JP4344583B2 - 半導体装置用ステム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
かかる半導体装置用ステムとしては、図4に示す半導体装置用ステム100が用いられている。図4の半導体装置用ステム100は、コバール等の鉄系金属で形成されたアイレット102に、リード用貫通孔104,104の各々にリード106がガラス封着されていると共に、熱伝導率がコバール等の鉄系金属よりも高い銅から成る柱状のヒートシンク108が、アイレット102の一面側に銀ろう等の導電性ろう材によって固着されている。
かかるヒートシンク108の一端部側の側面には、半導体素子110が搭載されており、半導体素子110はアイレット102の一面側に突出するリード106,106の突出端部とワイヤボンディングされる。
尚、アイレット102の他面側には、アースリード107が当接して接合されている。
更に、ヒートシンク108を、アイレット102の一面側に銀ろう等の導電性ろう材によって固着しているため、未着や空孔等のろう付け障害や位置ずれ等の問題が発生することもある。
かかる図4に示す半導体装置用ステム100に対して、下記特許文献1には、図5に示す半導体装置用ステム200が提案されている。
このヒートシンク208の固着は、柱状部208aの他端部208bを、アイレット202に形成されたヒートシンク用貫通孔210内に、その一面側開口部から圧入してなされている。
このため、ヒートシンク208の他端部208bの端面は、ヒートシンク用貫通孔210の他面側開口部に露出しており、この端面にアースリード207が接続されている。
更に、熱伝導率の高い金属で形成されたヒートシンク208の他端部208bの端面が、アイレット202の他面側に露出しており、半導体装置用ステム200の放熱性を図4に示す半導体装置用ステム100よりも向上できる。
しかしながら、本発明者の検討によれば、アイレット202の一面側にキャップを被着し、ヒートシンク208の柱状部208aを含むキャップ内を高気密に保持せんとする場合には、銀ろう等の導電性ろう材をヒートシンク用貫通孔210とヒートシンク208の他端部208bとの間に流し込むことが必要である。
或いは、特許文献1に記載されている如く、ヒートシンク用貫通孔210の内壁面に、アイレット202のリード用貫通孔にリード206をガラス封着する際に、溶融してヒートシンク208の他端部208bを封着するように、リン等を含有して融点が低下したニッケルめっき皮膜を形成することが必要である。
そこで、本発明の課題は、ヒートシンクをろう材等を用いることなくアイレットに充分に固着でき、且つヒートシンクの柱状部を内包するキャップをアイレットの一面側に被着したとき、キャップ内を高気密に保持できる半導体装置用ステム及びその製造方法を提供することにある。
このため、本発明者は、ヒートシンクの少なくとも一部をアイレットの他面側に露出した際に、アイレットの一面側に被着したヒートシンクの柱状部を含むキャップ内の気密保持性を向上し得る手段について更に検討を重ねた。
その結果、ヒートシンクとして、半導体素子を搭載する柱状部と、この柱状部の一端部から突出する挿入部とが一体に形成されたヒートシンクを用い、このヒートシンクの挿入部を、アイレットを貫通するヒートシンク用貫通孔のアイレットの一面側開口部から挿入した後、アイレットの他面側開口部から突出する挿入部の先端部に潰し加工を施し、アイレットの他面側開口部近傍にフランジ状の潰し部を形成することによって、アイレットの一面側に被着したヒートシンクの柱状部を含むキャップ内の気密保持性を向上し得ることを見出し、本発明に到達した。
また、本発明は、半導体素子が搭載される柱状のヒートシンクがアイレットの一面側に固着された半導体装置用ステムを製造する際に、前記ヒートシンクとして、前記半導体素子を搭載する柱状部と、前記柱状部のアイレット側の端面から突出する挿入部とを、前記アイレットを形成する金属よりも熱伝導率の高い金属によって一体に形成したヒートシンクを用い、前記ヒートシンクの挿入部を、前記アイレットの他面側に形成した凹部の底面に開口したヒートシンク用貫通孔内に、そのアイレットの一面側開口部から挿入した後、前記凹部の開口部から突出する前記挿入部の先端部を、前記凹部の開口部から突出する前記挿入部の先端部に潰し加工を施すことによって、前記挿入部よりも拡径し前記凹部を充填するフランジ状の潰し部に形成して、前記ヒートシンクの挿入部をヒートシンク用貫通孔内に固着し、且つ前記アイレットの他面側を平坦面に形成することを特徴とする半導体装置用ステムの製造方法にある。
かかるフランジ状の潰し部は、アイレットの他面側に露出している。このため、本発明に係る半導体装置用ステムは、ヒートシンクの少なくとも一部をアイレットの他面側に露出することなく、ヒートシンクをアイレットに固着した半導体装置用ステムに比較して、放熱性を向上できる。
しかも、ヒートシンクの挿入部は、アイレットのヒートシンク用貫通孔に挿入され、その先端部に潰し加工が施される。このため、挿入部の先端部がフランジ状の潰し部に形成されると共に、ヒートシンク用貫通孔内に位置する部分も若干拡径されて、ヒートシンク用貫通孔の内壁面に密着し、ヒートシンクの挿入部をアイレットのヒートシンク用貫通孔内に充分に固着できる。
更に、ヒートシンクの挿入部とヒートシンク用貫通孔との間に微小なクリアランス(ヒートシンクの挿入部の外径とヒートシンク用貫通孔の孔径との隙間)が存在していても、アイレットの他面側で形成されたフランジ状の潰し部によってシールされる。このため、アイレットの一面側にヒートシンクの柱状部を含むキャップを被着したとき、キャップ内を高気密に保持できる。
この様に、本発明に係る半導体装置用ステムは、ヒートシンクをろう材等を用いることなくアイレットに充分に固着でき、且つアイレットの一面側に、ヒートシンクの柱状部を内包するように被着したキャップ内を高気密に保持できる結果、CDやLD等に用いられる発熱量が大きい半導体レーザ等の半導体素子を搭載できる。
図1に示す半導体装置用ステム10には、コバールから成るアイレット12のリード用貫通孔14,14の各々にリード16が、その一端部がアイレット12の一面側に突出するようにガラス封着されている。
更に、アイレット12の一面側には、アイレット12を形成するコバールよりも熱伝導率の高い銅から成る柱状のヒートシンク18の柱状部20が固着されている。かかるヒートシンク18に形成された平坦面である搭載面18aに半導体素子が搭載される。
また、アイレット12の他面側には、アースリード21の一端部が当接され、抵抗溶接によって接合されている。
かかる挿入部20aの先端部は、ヒートシンク用貫通孔22のアイレット12の他面側開口部近傍で潰し加工が施され、棒状の挿入部20aよりも拡径されたフランジ状の潰し部20bに形成されている。このヒートシンク用貫通孔22のアイレット12の他面側開口部近傍で形成されたフランジ状の潰し部20bによって、ヒートシンク18はアイレット12に固着されている。
更に、かかるフランジ状の潰し部20bは、微小なクリアランスが存在する可能性のある挿入部20aとヒートシンク用貫通孔22との間をアイレット12の他面側からシールする。このため、アイレット12の一面側にヒートシンク18を含むキャップ内を被着したとき、キャップ内を高気密に保持できる。
かかる凹部24内に、図2に示す様に、凹部24内にフランジ状の潰し部20bを形成すること、特に、凹部24内をフランジ状の潰し部20bによって充填することによって、アイレット12の他面側を平坦面に形成できる。
また、凹部24を、図1(c)に示す様に、楕円形の凹部24とし、この凹部24内にフランジ状の潰し部20bを形成することによって、ヒートシンク18の回転止めを図ることができる。
更に、プレス加工によって、図3(a)に示す銅から成るヒートシンク18を形成する。このヒートシンク18には、半導体素子を搭載する搭載面18aが平坦面に形成された柱状部20と、柱状部20の一端側から突出する挿入部20aとが一体に形成されている。この挿入部20aは柱状部20よりも細い。
かかる挿入部20aは、その先端部をアイレット12に形成したヒートシンク用貫通孔22内に、そのアイレット12の一面側開口部から挿入し、挿入部20aの先端部を、図3(b)に示す様に、凹部24の底面に開口したヒートシンク用貫通孔22の他面側開口部から突出させる。
従って、挿入部20aは、挿入部20aをヒートシンク用貫通孔22のアイレット12の一面側開口部から挿入し、その他面側開口部から突出する先端部に潰し加工を施した際に、アイレット12の他面側開口部近傍において、挿入部20aよりも拡径されたフランジ状の潰し部20bが形成されるように、挿入部20aの先端部がヒートシンク用貫通孔22のアイレット12の他面側開口部から所定長突出する長さに形成することが大切である。
更に、フランジ状の潰し部20bによって凹部24を充填する場合には、ヒートシンク用貫通孔22のアイレット12の他面側開口部から突出する挿入部20aの突出長を、0挿入部20aの先端部に施される潰し加工によって形成されるフランジ状の潰し部20bの大きさと凹部24の体積との関係を予め実験によって決定する。
更に、挿入部20aの先端部に、ヒートシンク用貫通孔22内の挿入部20aよりも大径のフランジ状の潰し部20bが形成される。このフランジ状の潰し部20bは、微小なクリアランスが存在する可能性のある挿入部20aとヒートシンク用貫通孔22との間をアイレット12の他面側からシールする。このため、挿入部20aがヒートシンク用貫通孔22内に密着して固着されていることと相俟って、アイレット12の一面側にヒートシンク18の柱状部20を含むキャップを被着したとき、キャップ内を高気密に保持できる。
次いで、凹部24の底面に開口したヒートシンク用貫通孔22の他面側開口部から突出した挿入部20aの先端部に潰し加工を施し、挿入部20aよりも大径のフランジ状の潰し部20bによって凹部24内を充填して、ヒートシンク18をアイレット12の一面側に固着した。
その後、ヒートシンク18を固着したアイレット12に気密試験を行った。この気密試験には、リード用貫通孔14,14をろう材等で閉塞したヒートシンク18付のアイレット12を、400℃に加熱した後、氷が浮いた水(0℃の水)に投入して急冷したものを用いた。
かかるヒートシンク18付のアイレット12を用いた気密試験では、ヒートシンク18の柱状部20が形成されているアイレット12の一面側にヘリウムガスを流しつつ、フランジ状の潰し部20bが露出しているアイレット12の他面側を減圧状態とし、アイレット12の他面側にヘリウムガスが漏れるアイレット12の他面側の圧力によって、気密性を評価した。
このヒートシンク18付のアイレット12では、4.2×10-10Paという高い気密性を呈することが判った。
尚、ヒートシンク208の一端部をアイレット202に圧入して得た図5に示す半導体装置用ステム200を用いた、同様な気密試験では、2×10-8Pa程度の気密性であった。
更に、フランジ状の潰し部20bがアイレット12の他面側に露出している部分以外の部分に、アースリード21の一端部を抵抗溶接によって接続した後、リード用貫通孔14,14にリード16,16をガラス封着する。
その後、ヒートシンク18を形成する柱状部20の搭載面18aに搭載される半導体素子とワイヤボンディングされるリード16,16の一端部に潰し加工を施すことによって、半導体装置用ステム10を得ることができる。
尚、得た半導体装置用ステム10に金めっき等の外装めっきを施してもよい。
但し、この場合には、アースリード21の一端部を銀ろう等のろう材によって接続することが必要である。
12 アイレット
16 リード
18 ヒートシンク
18a 搭載面
20a 挿入部
20 柱状部
20b フランジ状の潰し部
21 アースリード
22 ヒートシンク用貫通孔
24 凹部
Claims (4)
- 半導体素子が搭載される柱状のヒートシンクがアイレットの一面側に固着された半導体装置用ステムであって、
前記アイレットを形成する金属よりも熱伝導率の高い金属によって形成されたヒートシンクには、前記半導体素子を搭載する柱状部と、前記柱状部のアイレット側の端面から突出する挿入部とが一体に形成されており、
前記ヒートシンクの挿入部が、前記アイレットの他面側に形成された凹部の底面に開口されているヒートシンク用貫通孔内に、そのアイレットの一面側開口部から挿入され、
且つ前記挿入部の先端部には、前記アイレットの他面側を平坦面に形成するように施された潰し加工によって、前記挿入部よりも拡径されて前記凹部に充填されて成るフランジ状の潰し部が形成されていることを特徴とする半導体装置用ステム。 - アイレットの他面側に形成された凹部が、楕円状の凹部である請求項1記載の半導体装置用ステム。
- 半導体素子が搭載される柱状のヒートシンクがアイレットの一面側に固着された半導体装置用ステムを製造する際に、
前記ヒートシンクとして、前記半導体素子を搭載する柱状部と、前記柱状部のアイレット側の端面から突出する挿入部とを、前記アイレットを形成する金属よりも熱伝導率の高い金属によって一体に形成したヒートシンクを用い、
前記ヒートシンクの挿入部を、前記アイレットの他面側に形成した凹部の底面に開口したヒートシンク用貫通孔内に、そのアイレットの一面側開口部から挿入した後、
前記凹部の開口部から突出する前記挿入部の先端部に潰し加工を施すことによって、前記挿入部よりも拡径して前記凹部を充填するフランジ状の潰し部に形成して、前記ヒートシンクの挿入部をヒートシンク用貫通孔内に固着し、且つ前記アイレットの他面側を平坦面に形成することを特徴とする半導体装置用ステムの製造方法。 - アイレットの他面側に形成した凹部を、楕円状の凹部とする請求項3記載の半導体装置用ステムの製造方法。
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