JP4344500B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体と、前記電解質・電極接合体を挟持する一対の金属板製セパレータとを備え、前記セパレータには、少なくとも燃料ガスまたは酸化剤ガスである反応ガスを前記電解質・電極接合体の電極面内に供給する反応ガス流路が形成された燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜(電解質)を採用している。この燃料電池は、電解質膜の両側に、それぞれ触媒電極と多孔質カーボンからなるアノード側電極およびカソード側電極を対設して構成される接合体(電解質・電極接合体)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより構成される単位セル(単位発電セル)を備えている。通常、この単位セルを所定数だけ積層した燃料電池スタックが使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、触媒電極上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
上記の燃料電池では、セパレータの面内に、アノード側電極に対向して燃料ガスを流すための燃料ガス流路と、カソード側電極に対向して酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路とが設けられている。また、セパレータ間には、必要に応じて冷却媒体を流すための冷却媒体流路が前記セパレータの面方向に沿って設けられている。
【0005】
燃料ガス流路および酸化剤ガス流路(以下、単に反応ガス流路ともいう)並びに冷却媒体流路は、一般的にセパレータの積層方向に貫通する流路入口から流路出口に向かって前記セパレータの面内に設けられる複数本の流路溝を備えるとともに、この流路溝は、直線溝や折り返し溝で構成されている。
【0006】
ところが、複数本の流路溝に対して開口の小さな流路入口や流路出口が設けられる場合、前記流路溝に沿って燃料ガス、酸化剤ガスまたは冷却媒体等の流体をセパレータ面内に均一に流すために、前記流路入口や前記流路出口の周囲にバッファ部が必要になっている。さらに、複数本の平行な流路溝では、特定の流路溝に生成水が滞留し易くなり、この生成水の排出効率が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、例えば、特開平8−222237号公報に開示されている燃料電池用セパレータが知られている。この従来技術では、図16に示すように、セパレータ板1を備え、このセパレータ板1は、エンボス加工乃至ディンプル加工が容易な金属材料で構成されており、その表裏両面には、数mm間隔で多数の突起2、3がエンボス加工乃至ディンプル加工により形成されている。
【0008】
セパレータ板1の両側縁部には、例えば、燃料ガス入口4aおよび燃料ガス出口4bが設けられるとともに、前記セパレータ板1の上下両端縁部には、例えば、酸化剤ガス入口5aおよび酸化剤ガス出口5bが設けられている。
【0009】
突起2は、セパレータ板1の一方の面1a側に突出しており、前記突起2間には、燃料ガス入口4aと燃料ガス出口4bとに連通する燃料ガス流路6が形成されている。突起3は、セパレータ板1の他方の面1b側に突出しており、前記突起3間には、酸化剤ガス入口5aと酸化剤ガス出口5bとに連通する酸化剤ガス流路7が形成されている。
【0010】
このような構成において、例えば、燃料ガス入口4aに供給された燃料ガスは、セパレータ板1の一方の面1aに供給されると、突起2間に連続して形成されている燃料ガス流路6を通って図示しない電極に供給されるとともに、未使用の燃料ガスが燃料ガス出口4bに排出される。
【0011】
一方、酸化剤ガス入口5aに供給された酸化剤ガスは、セパレータ板1の他方の面1bに突起3間に連続して形成されている酸化剤ガス流路7を介し、図示しない電極に供給されるとともに、未使用の酸化剤ガスが酸化剤ガス出口5bに排出される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、セパレータ板1では、突起2、3がそれぞれ異なる両側に突出して形成されるとともに、それぞれ独立した前記突起2、3により燃料ガス流路6および酸化剤ガス流路7が形成されている。このため、面1a、1b内で燃料ガスおよび酸化剤ガスが均一に流れず、燃料ガス流路6および酸化剤ガス流路7内に燃料ガスや酸化剤ガスが十分に供給されない領域が発生し易い。これにより、電極面内に燃料ガスおよび酸化剤ガスを均一に供給することが困難になるとともに、生成水が突起3等に捕捉されて滞留し易く、該生成水が排出され難いという問題が指摘されている。
【0013】
一方、セパレータ板1には、冷却媒体流路が同様に突起部間を連通して形成される場合がある。その際、冷却媒体が流れ難い部分が発生すると、発電時の電極の冷却が不十分となり、温度が高くなって湿度の低下による抵抗過電圧が増加するという問題がある。
【0014】
さらに、発電面内の発電分布にばらつきが発生したり、電解質膜の温度上昇による耐久性の低下が惹起されたりする。この種の性能低下を阻止するために多量の冷却媒体を流そうとすると、システム全体の効率が低下するとともに、圧損が増加するという不具合が惹起されてしまう。
【0015】
そこで、例えば、特開2000−182631号公報に開示されている燃料電池用のセパレータが知られている。この従来技術では、ガス不透過の緻密性カーボンにより形成されるセパレータを備え、前記セパレータの両面に複数の凸部を形成することによって、反応ガス流路が形成されている。そして、反応ガス流路における屈曲部には、等間隔の複数の溝を形成するコの字状の屈曲部リブが形成されており、反応ガスが前記屈曲部に沿って良好に流れるように構成されている。
【0016】
しかしながら、上記の従来技術では、セパレータが緻密性カーボンにより形成されており、靱性が低く耐振破損性に劣るとともに、前記セパレータの板厚が相当に大きなものとなってしまう。これにより、燃料電池全体の小型および軽量化が達成されないという問題が指摘されている。
【0017】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、セパレータの面内に沿って反応ガス等の流体を円滑かつ均一に供給することができ、小型かつ簡単な構成で、良好な発電性能を得ることが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、薄板状の一対の金属板製セパレータを備えており、少なくとも一方のセパレータに設けられる反応ガス流路は、電極に対向する面側に前記反応ガス流路全体にわたって突出する複数のエンボス部と、電極面内に位置し且つ反応ガスが流れ難い部分に対応し2以上の前記エンボス部同士を連結して形成されるリブ状ガイド部とを備えている
【0019】
このため、反応ガス流路には、複数のエンボス部とリブ状ガイド部との案内作用下に、反応ガスを良好に供給することができ、電極面内に反応ガスを均一に案内することが可能になる。これにより、反応ガスを電極面に十分に供給するとともに、前記反応ガスの流れ不良による生成水の排出性の低下を有効に阻止することが可能になる。
【0020】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池では、少なくとも一方のセパレータに、電解質・電極接合体冷却用の冷却媒体を供給するための冷却媒体流路が設けられるとともに、前記冷却媒体流路は、複数のエンボス部と、2以上の前記エンボス部同士を連結して形成されるリブ状ガイド部とを備えている。従って、電極面方向に沿って冷却媒体を均一に案内することができ、燃料電池を良好に冷却して発電性能を向上させることが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池(単位セル)10を組み込む燃料電池スタック12の要部分解斜視図であり、図2は、前記燃料電池10の一部断面説明図である。
【0022】
図1に示すように、燃料電池スタック12は、複数の燃料電池10が矢印A方向に積層されている。燃料電池10は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極接合体)14と、前記電解質膜・電極構造体14を挟持する第1および第2セパレータ16、18とを備える。第1および第2セパレータ16、18は、金属製薄板により構成されている。
【0023】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の長辺(矢印B方向)側の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口20b、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口22a、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口24bが設けられる。
【0024】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の長辺側の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口24a、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口22b、および冷却媒体を供給するための冷却媒体入口20aが設けられる。
【0025】
電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜(電解質)26と、該固体高分子電解質膜26を挟持するアノード側電極28およびカソード側電極30とを備える。
【0026】
アノード側電極28およびカソード側電極30は、図2に示すように、カーボンペーパー等からなるガス拡散層32a、32bと、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層32a、32bの表面に一様に塗布されてなる電極触媒層34a、34bとをそれぞれ有する。電極触媒層34a、34bは、互いに固体高分子電解質膜26を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜26の両面に接合されている。
【0027】
図1に示すように、第1セパレータ16の電解質膜・電極構造体14側の面16aには、燃料ガス流路36が設けられるとともに、この燃料ガス流路36は、燃料ガス入口24aと燃料ガス出口24bとに連通する。
【0028】
第2セパレータ18の電解質膜・電極構造体14側の面18aには、酸化剤ガス入口22aと酸化剤ガス出口22bとを連通する酸化剤ガス流路38が形成される。第2セパレータ18の面18bには、冷却媒体入口20aと冷却媒体出口20bとを連通する冷却媒体流路40が形成される。
【0029】
図1および図3に示すように、第1セパレータ16には、少なくとも面16a側に突出する複数の突起部、例えば、エンボス部41が設けられるとともに、電解質膜・電極構造体14内に燃料ガスを均一に案内するために、2以上の前記エンボス部41同士を連結してそれぞれ一対のリブ状ガイド部42a、42bおよび42cが形成される。エンボス部41とリブ状ガイド部42a〜42cとにより燃料ガス流路36が構成される。
【0030】
リブ状ガイド部42aは、面16a内で発電面の外周縁部にかつ燃料ガスが流れ難い部分に対応し略L字状に屈曲して上下に設けられる。リブ状ガイド部42bは、リブ状ガイド部42aの内方に位置して、同様に略L字状に屈曲して設けられるとともに、リブ状ガイド部42cは、前記リブ状ガイド部42bの内方に位置し、L字状に屈曲して設けられている。リブ状ガイド部42a〜42cは、外側から内側に向かってそれぞれの長さが短尺に設定されている。
【0031】
図4および図5に示すように、第2セパレータ18には、面18a、18bに交互に突出して複数のエンボス部44a、44bが設けられている。第2セパレータ18の面18aには、図4に示すように、2以上のエンボス部44a同士を連結してそれぞれ一対のリブ状ガイド部46a、46b、46cおよび46dが形成される。複数のエンボス部44aとリブ状ガイド部46a〜46dとにより、酸化剤ガス流路38が構成される。
【0032】
リブ状ガイド部46aは、酸化剤ガス入口22aおよび酸化剤ガス出口22bに向かって水平方向に突出するとともに、それぞれ鉛直方向に延在した後、発電面の外周端縁側で水平方向に沿って一体的に延在している。
【0033】
リブ状ガイド部46bは、リブ状ガイド部46a内に位置し、かつ前記リブ状ガイド部46aと略相似形状に設定されている。直線状のリブ状ガイド部46c、46dは、それぞれリブ状ガイド部46bの両端部の水平延長線上に配置されている。換言すれば、リブ状ガイド部46c、46dは、リブ状ガイド部46bの両端部から分離して構成されている。
【0034】
第2セパレータ18の面18bには、2以上のエンボス部44b同士を連結してそれぞれ一対のリブ状ガイド部48a、48bおよび48cが形成される。複数のエンボス部44bとリブ状ガイド部48a〜48cとにより冷却媒体流路40が構成される。リブ状ガイド部48a〜48cは、第1セパレータ16のリブ状ガイド部42a〜42c(図3参照)と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
【0035】
第2セパレータ18では、表裏のリブ、すなわち、面18a側のリブ状ガイド部46a〜46dと、面18b側のリブ状ガイド部48a〜48cとが重なる部分が存在すると、優先して流れを制御したい方のリブを繋げる一方、他方のリブを分離させている。具体的には、図6に示すように、冷却媒体流路40側のリブ状ガイド部48bを連続させる一方、酸化剤ガス流路38側のリブ状ガイド部46bを分離させてリブ状ガイド部46dを設けている。
【0036】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0037】
図1に示すように、燃料電池スタック12内には、水素含有ガス等の燃料ガスと、酸素含有ガスである空気等の酸化剤ガスと、純水やエチレングリコールやオイル等の冷却媒体とが供給される。このため、燃料電池スタック12では、矢印A方向に重ね合わされた複数組の燃料電池10に対し、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体が、順次、供給される。
【0038】
矢印A方向に連通している酸化剤ガス入口22aに供給された酸化剤ガスは、図1および図4に示すように、第2セパレータ18に設けられている酸化剤ガス流路38に導入され、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極30に沿って移動する。一方、燃料ガスは、図1および図3に示すように、燃料ガス入口24aから第1セパレータ16の燃料ガス流路36に導入され、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極28に沿って移動する。
【0039】
従って、各電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極30に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極28に供給される燃料ガスとが、電極触媒層34b、34a内で電気化学反応により消費され、発電が行われる(図2参照)。
【0040】
次いで、アノード側電極28に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口24bに排出される(図3参照)。同様に、カソード側電極30に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口22bに排出される(図4参照)。
【0041】
また、冷却媒体入口20aに供給された冷却媒体は、第2セパレータ18の冷却媒体流路40に導入される。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、冷却媒体出口20bに排出される(図1参照)。
【0042】
この場合、第1の実施形態では、例えば、図3に示すように、第1セパレータ16の面16aに設けられている酸化剤ガス流路38が、複数のエンボス部41と、2以上の前記エンボス部41同士を連結して形成されるリブ状ガイド部42a〜42cとを備えている。
【0043】
このリブ状ガイド部42a〜42cは、燃料ガスが流れ難い部分に対応して設けられており、燃料ガスは、燃料ガス流路36に沿って電極面内に均一に案内される。これにより、燃料ガスを電極面に十分に供給することができるとともに、前記燃料ガスの流れ不良による生成水の排出性の低下を有効に阻止することが可能になるという効果が得られる。
【0044】
すなわち、図7に示すように、複数のエンボス部41のみが設けられた第1セパレータ16′では、燃料ガス入口24aから燃料ガス流路36′に燃料ガスが供給されると、この燃料ガス流路36′には、前記燃料ガスが流れ難い領域Sa、Sbが存在し易い。従って、領域Sa、Sbに燃料ガスが十分に供給されず、電解質膜・電極構造体14に燃料ガスを均一かつ良好に供給することが困難になり、発電性能が低下するとともに、前記領域Sa、Sbに生成水が滞留し易いという問題がある。
【0045】
これに対して、第1の実施形態では、燃料ガスは、燃料ガス流路36全体に均一に分散して移動し、前記燃料ガスを発電面全面に対して不足することなく十分に供給することができる。これにより、燃料電池10の発電性能が向上するとともに、圧損を有効に減少させることが可能になる。
【0046】
また、冷却媒体流路40においても同様に、冷却媒体入口20aから前記冷却媒体流路40に冷却媒体を均一に供給することができるとともに、この冷却媒体を前記冷却媒体流路40から冷却媒体出口20bに円滑に排出することが可能になる。このため、燃料電池10の発電時の発熱を十分に冷却することができ、温度の上昇に伴う湿度の低下が有効に回避され、抵抗過電圧が増加することがない。しかも、発電面内の発電分布のばらつきや固体高分子電解質膜26の温度上昇による耐久性の悪化を阻止し、効率的な冷却機能を営むことができるという利点がある。
【0047】
さらに、図6に示すように、冷却媒体流路40側のリブ状ガイド部48bを連続させる一方、酸化剤ガス流路38側のリブ状ガイド部46bを分離させてリブ状ガイド部46dを設けている。このため、従来の波板状の流路のように表裏の流路形状に制限がなく、酸化剤ガス流路38および冷却媒体流路40を独立して設けることができ、設計自由度が高いという効果がある。
【0048】
なお、第1の実施形態では、第1および第2セパレータ16、18に突起部としてエンボス加工されたエンボス部41、44aおよび44bを用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ディンプル加工されたディンプル部(図示せず)を用いてもよい。また、以下に説明する他の実施形態でも、同様である。
【0049】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ60の正面説明図である。なお、図1に示す燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3〜第9の実施形態においても同様である。
【0050】
セパレータ60は、一方の面60aに冷却媒体流路62が設けられるとともに、他方の面60bに燃料ガス流路64が設けられる。冷却媒体流路62は、面60a側に突出する複数のエンボス部66と、2以上の前記エンボス部66同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部68a、68bおよび68cとを備える。リブ状ガイド部68a〜68cは、全体として略L字状を有し、それぞれ3分割および2分割されるとともに、冷却媒体が流れ難い部分に対応して設けられている。
【0051】
燃料ガス流路64は、面60b側に突出する複数のエンボス部70と、2以上の前記エンボス部70同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部72a、72bおよび72cとを備える。リブ状ガイド部72a〜72cは、それぞれ略L字状に構成され、燃料ガス入口24aから供給される燃料ガスを電極面全面に均一に案内して燃料ガス出口24bに排出するために、所定の位置に設定されている。
【0052】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ80の正面説明図である。
【0053】
このセパレータ80は、長辺側の一端縁部に冷却媒体出口20bと酸化剤ガス入口22aとが設けられるとともに、長辺側の他端縁部に燃料ガス入口24aと冷却媒体入口22aとが設けられる。セパレータ80の下端縁部には、酸化剤ガス出口22bと燃料ガス出口24bとが形成される。セパレータ80の一方の面80aには、酸化剤ガス流路82が形成され、前記セパレータ80の他方の面80bには、冷却媒体流路84が形成される。
【0054】
酸化剤ガス流路82は、面80a側に突出する複数のエンボス部88と、2以上の前記エンボス部88同士を連結して形成されるリブ状ガイド部90a、90b、90c、90dおよび90eとを備える。リブ状ガイド部90a〜90eは、それぞれ所定の形状に設定されており、酸化剤ガス入口22aから酸化剤ガス出口22bに酸化剤ガスを良好に供給するように構成されている。
【0055】
冷却媒体流路84は、面80b側に突出する複数のエンボス部92と、2以上の前記エンボス部92同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部94a、94bおよび94cとを備える。リブ状ガイド部94a〜94cは、略L字状に屈曲形成されている。
【0056】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ100の正面説明図である。
【0057】
セパレータ100の一方の面100aには、酸化剤ガス流路102が形成されるとともに、前記セパレータ100の他方の面100bには、燃料ガス流路104が形成される。酸化剤ガス流路102は、面100a側に突出する複数のエンボス部106と、2以上の前記エンボス部106同士を連結して形成されるリブ状ガイド部108a、108b、108cおよび108dとを備える。リブ状ガイド部108b〜108dは、分離形成されている。
【0058】
燃料ガス流路104は、面100b側に突出する複数のエンボス部110と、2以上の前記エンボス部110同士を連結して形成されるリブ状ガイド部112a、112b、112c、112dおよび112eとを備える。リブ状ガイド部112a〜112eは、略L字状に屈曲して構成されている。
【0059】
図11は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ120の正面説明図である。
【0060】
セパレータ120の一方の面120aには、燃料ガス流路122が設けられるとともに、面120b側には、冷却媒体流路124が設けられる。燃料ガス流路122は、面120a側に突出する複数のエンボス部126と、2以上の前記エンボス部126同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部128、a、128bおよび128cとを備える。リブ状ガイド部128a〜128cは、略L字状に屈曲して構成されている。
【0061】
冷却媒体流路124は、面120b側に突出する複数のエンボス部130と、2以上の前記エンボス部130同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部132a、132bおよび132cとを備える。リブ状ガイド部132a〜132cは、略L字状に屈曲して構成され、リブ状ガイド部128a〜128cとは対称位置に配置されている。
【0062】
図12は、本発明の第6の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ140の正面説明図である。
【0063】
セパレータ140の一方の面140aには、酸化剤ガス流路142が形成されるとともに、他方の面140bには、冷却媒体流路144が形成される。酸化剤ガス流路142は、面140a側に突出する複数のエンボス部146と、2以上の前記エンボス部146同士を連結して形成されるリブ状ガイド部148a、148b、148c、148dおよび148eとを備える。リブ状ガイド部148a〜148eは、略L字状に構成されている。
【0064】
冷却媒体流路144は、面140b側に突出する複数のエンボス部150と、2以上の前記エンボス部150同士を連結して形成され、鉛直方向に延在する複数本、例えば、7本のリブ状ガイド部152とを備える。リブ状ガイド部152は、リブ状ガイド部148a〜148eに重なり合う部分を分離して構成されている。
【0065】
図13は、本発明の第7の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ160の正面説明図である。
【0066】
セパレータ160の一方の面160a側には、酸化剤ガス流路162が形成される一方、他方の面160b側に燃料ガス流路164が形成される。酸化剤ガス流路162は、面160a側に突出する複数のエンボス部166と、2以上の前記エンボス部166同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部168a、168bおよび168cとを備える。
【0067】
燃料ガス流路164は、面160b側に突出する複数のエンボス部170と、2以上の前記エンボス部170同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部172a、172bおよび172cを備える。リブ状ガイド部168a〜168cおよび172a〜172cは、略L字状に構成されており、それぞれ対角位置に対応して配置されている。
【0068】
図14は、本発明の第8の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータ180の正面説明図である。
【0069】
このセパレータ180の一方の面180a側には、燃料ガス流路182が形成される。燃料ガス流路182は、面180a側に突出する複数のエンボス部184と、2以上の前記エンボス部184同士を連結して形成されるそれぞれ一対のリブ状ガイド部186a、186bおよび186cとを備える。リブ状ガイド部186a〜186cは、略L字状に屈曲して構成されている。
【0070】
図15は、本発明の第9の実施形態に係る燃料電池200の一部断面説明図である。この燃料電池200は、第1および第2セパレータ202、204を備え、前記第1および第2セパレータ202、204の両面には、複数の突起部206a、206bおよび208a、208bが設けられる。突起部206a側に燃料ガス流路36が形成されるとともに、突起部208a側に酸化剤ガス流路38が形成される。
【0071】
この燃料電池200では、第1および第2セパレータ202、204の厚さを薄肉化することにより、燃料ガス流路36および酸化剤ガス流路38の流路面積を広く確保することができる。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、一対の金属板製セパレータを備え、少なくとも一方のセパレータに設けられた反応ガス流路は、複数のエンボス部と、2以上の前記エンボス部同士を連結して形成されたリブ状ガイド部とを備えている。このため、反応ガスの流動不良を有効に阻止することができ、電極面内に前記反応ガスを均一に案内することが可能になる。これにより、反応ガスを電極面に十分に供給するとともに、前記反応ガスの流れ不良による生成水の排出性を低下させることがなく、効率的かつ良好な発電機能を営むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池を組み込む燃料電池スタックの要部分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の一部断面説明図である。
【図3】前記燃料電池を構成する第1セパレータの正面説明図である。
【図4】前記燃料電池を構成する第2セパレータの一方の面の正面説明図である。
【図5】図4中、V−V線断面説明図である。
【図6】前記第2セパレータの一部断面斜視説明図である。
【図7】前記第1セパレータとの比較に用いられる従来構造のセパレータの正面説明図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図12】本発明の第6の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図13】本発明の第7の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図14】本発明の第8の実施形態に係る燃料電池を構成するセパレータの正面説明図である。
【図15】本発明の第9の実施形態に係る燃料電池の一部断面説明図である。
【図16】従来技術に係るセパレータの正面説明図である。
【符号の説明】
10、200…燃料電池 12…燃料電池スタック
14…電解質膜・電極構造体
16、18、60、80、100、120、140、160、180、202、204…セパレータ
20a…冷却媒体入口 20b…冷却媒体出口
22a…酸化剤ガス入口 22b…酸化剤ガス出口
24a…燃料ガス入口 24b…燃料ガス出口
26…固体高分子電解質膜 28…アノード側電極
30…カソード側電極 34a、34b…電極触媒層
36、64、104、122、164、182…燃料ガス流路
38、82、102、142、162…酸化剤ガス流路
40、62、84、124、144…冷却媒体流路
41、44a、44b、66、70、88、92、106、110、126、130、146、150、166、170、184…エンボス部
42a〜42c、46a〜46d、48a〜48c、68a〜68c、72a〜72c、90a〜90e、94a〜94c、108a〜108d、112a〜112e、128a〜128c、132a〜132c、148a〜148e、152、168a〜168c、172a〜172c、186a〜186c…リブ状ガイド部
206a、206b、208a、208b…突起部

Claims (2)

  1. 電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体と、前記電解質・電極接合体を挟持する一対の金属板製セパレータとを備え、前記セパレータには、少なくとも燃料ガスまたは酸化剤ガスである反応ガスを前記電解質・電極接合体の電極面内に供給するために、前記電極面内に反応ガス流路が形成された燃料電池であって、
    少なくとも一方のセパレータに形成された前記反応ガス流路は、前記電極に対向する面側に前記反応ガス流路全体にわたって突出する複数のエンボス部と、
    前記電極面内に前記反応ガスを均一に案内するために、前記電極面内に位置し且つ前記反応ガスが流れ難い部分に対応し2以上の前記エンボス部同士を連結して形成されるリブ状ガイド部と、
    により構成されることを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、少なくとも一方のセパレータには、前記電解質・電極接合体を冷却する冷却媒体を供給するための冷却媒体流路が設けられるとともに、
    前記冷却媒体流路は、前記反応ガス流路とは反対の面側に前記冷却媒体流路全体にわたって突出する複数のエンボス部と、
    前記電極面方向に沿って前記冷却媒体を均一に案内するために、前記電極面内に位置し且つ前記冷却媒体が流れ難い部分に対応し2以上の前記エンボス部同士を連結して形成されるリブ状ガイド部と、
    により構成されることを特徴とする燃料電池。
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