JP4486357B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜を一対の電極間に配設した電解質膜・電極構造体を第1及び第2金属セパレータで挟持する発電セルを備え、前記発電セルが積層される燃料電池に関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の両側に、それぞれアノード側電極及びカソード側電極を配設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持した発電セルを備えている。この種の燃料電池は、通常、所定の数の発電セルを積層することにより、燃料電池スタックとして使用されている。
この発電セルにおいて、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子及び酸素が反応して水が生成される。
発電セルにおいて、セパレータの面内には、各電極に対向して反応ガスを流すための反応ガス流路が設けられるとともに、隣接する発電セルを構成するセパレータ間には、前記発電セルを冷却する冷却媒体を流すための冷却媒体流路が設けられている。反応ガスは、酸化剤ガス及び燃料ガスであり、反応ガス流路は、カソード側電極に対向して前記酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路と、アノード側電極に対向して燃料ガスを流すための燃料ガス流路とを有する。
ところで、この種のセパレータとしては、薄板状の金属製プレートに凹凸状のプレス加工を施した金属セパレータが採用されている。その際、金属セパレータの両面には、反応ガス流路や冷却媒体流路を形成するための凹凸が一体的に設けられている。従って、金属セパレータの一方の面に、例えば、サーペンタイン形状の反応ガス流路を設けようとすると、他方の面が前記反応ガス流路の形状に拘束されてしまい、所望形状の冷却媒体流路を設けることができないおそれがある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池用セパレータが採用されている。このセパレータは、凹凸が形成されて外面にそれぞれガス流路を形成する2枚の金属板と、該2枚の金属板の間に挟まれ、凹凸が形成されて表裏に冷却水流路を形成する中間金属板とを有している。
特開2002−75395号公報(図3)
上記の特許文献1では、具体的には、図15に示すように、中間金属板1の両面に冷却水流路2a、2bが形成されている。その際、中間金属板1の一端部側には、冷却水マニホールドのIN部3及びOUT部4が設けられており、前記IN部3及び前記OUT部4は、冷却水流路2a、2bの両端部に連通している。そして、冷却水流路2a、2bは、中間金属板1の両面に沿って連続的に連なるサーペンタイン流路に構成されている。
しかしながら、上記のように、冷却水流路2a、2bが連続したサーペンタイン流路を構成するため、特に湾曲部位の加工が困難となる。このため、中間金属板1の成形作業が繁雑化するとともに、冷却水流路2a、2bの全長にわたって所望の開口寸法及び開口形状に維持することができないおそれがある。これにより、中間金属板1の製造コストが相当に高騰するとともに、反応面内に沿って冷却媒体を均一に供給することができないという問題が指摘されている。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、経済的な構成で、冷却媒体を反応面内に沿って良好且つ均一に流すことが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料電池では、電解質膜を一対の電極間に配設した電解質膜・電極構造体を第1及び第2金属セパレータで挟持する発電セルを備えるとともに、隣接する発電セル間に第3金属セパレータが配設され、前記第3金属セパレータの一方の面と前記第1金属セパレータとの間及び前記第3金属セパレータの他方の面と前記第2金属セパレータとの間には、それぞれ冷却媒体流路が形成されている。
そして、冷却媒体流路は、第3金属セパレータの両面両端部分に、冷却媒体入口及び冷却媒体出口に連通し且つそれぞれ独立した複数の直線状の冷却媒体入口流路溝及び複数の直線状の冷却媒体出口流路溝と、第1金属セパレータの前記第3金属セパレータに対向する面に、前記冷却媒体入口及び前記冷却媒体出口に連通する複数の冷却媒体流路溝と、第2金属セパレータの前記第3金属セパレータに対向する面に、前記冷却媒体入口及び前記冷却媒体出口に連通する複数の冷却媒体流路溝とを有している。
また、冷却媒体流路は、第3金属セパレータの両面中央部分に、冷却媒体入口流路溝及び冷却媒体出口流路溝と交差する方向に延在する複数の凸部を有することが好ましい。
本発明によれば、第3金属セパレータの両面両端部分には、それぞれ独立した直線状の冷却媒体入口流路溝及び直線状の冷却媒体出口流路溝が設けられるため、冷却媒体流路の形状が有効に簡素化される。従って、第3金属セパレータの成形作業が簡単且つ経済的に遂行されるとともに、第1及び第2金属セパレータの反応ガス流路の形状に影響されることがなく、前記第3金属セパレータの両面に沿って冷却媒体を円滑に供給することができる。
また、第3金属製セパレータの両面中央部分には、複数の凸部が設けられており、この凸部が第1及び第2金属セパレータに形成された反応ガス流路溝に対応して配置される。これにより、第1及び第2金属セパレータと第3金属セパレータとの間に形成される冷却媒体流路は、全長にわたって開口断面積を略一定に維持することができ、冷却媒体を反応面内に沿って良好且つ均一に流すことが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池を構成する発電セル10の要部分解斜視説明図であり、図2は、複数の前記発電セル10を水平方向(矢印A方向)に積層してスタック化された燃料電池12の、図1中、II−II線断面説明図であり、図3は、前記燃料電池12の、図1中、III−III線断面説明図である。
図1に示すように、発電セル10は、電解質膜・電極構造体14が、第1及び第2金属セパレータ16、18に挟持されるとともに、隣接する前記発電セル10同士の間には、第3金属セパレータ20が配設される。第1〜第3金属セパレータ16、18及び20は、板状金属製プレート、例えば、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板、あるいはめっき処理鋼板等を用い、プレス成形により所望の形状に成形されている。
発電セル10の矢印B方向(図1中、水平方向)の一端縁部には、積層方向である矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔22aと、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bとが、矢印C方向(鉛直方向)に配列して設けられる。
発電セル10の矢印B方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24aと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔22bとが、矢印C方向に配列して設けられる。
発電セル10の矢印C方向の一端縁部(上部)には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体入口連通孔(冷却媒体入口)26aが設けられる一方、前記発電セル10の矢印C方向の他端縁部(下部)には、冷却媒体を排出するための冷却媒体出口連通孔(冷却媒体出口)26bが設けられる。冷却媒体入口連通孔26aと冷却媒体出口連通孔26bとは、互いに略対角位置に設定される。
図1に示すように、第1金属セパレータ16の電解質膜・電極構造体14に向かう面16aには、例えば、矢印B方向に延在する直線流路である酸化剤ガス流路28が設けられる。酸化剤ガス流路28は、第1金属セパレータ16を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部28aを備えている。第1金属セパレータ16の面16bには、溝部28a間に位置して溝部28bが設けられ、この溝部28bは、矢印B方向に略直線状に延在する。酸化剤ガス流路28は、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bに近接して、例えば、エンボス加工されたバッファ部30a、30bを有する。
第1金属セパレータ16の面16a、16bには、この第1金属セパレータ16の外周端部を周回して、第1シール部材32が焼き付けや射出成形等により一体化される。第1シール部材32は、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコンゴム、フロロシリコンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン、又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材を使用する。
第1シール部材32は、第1金属セパレータ16の面16aにおいて、酸化剤ガス入口連通孔22a及び酸化剤ガス出口連通孔22bを酸化剤ガス流路28に連通してこれらを囲繞する。第1シール部材32は、図4に示すように、第1金属セパレータ16の面16bにおいて、冷却媒体入口連通孔26a及び冷却媒体出口連通孔26bを後述する第1冷却媒体流路40に連通して形成される。
図1及び図5に示すように、第2金属セパレータ18の電解質膜・電極構造体14に向かう面18aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとに連通し、矢印B方向に延在する直線流路である燃料ガス流路34が形成される。燃料ガス流路34は、第2金属セパレータ18を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部34aを備えている。
第2金属セパレータ18の面18bには、溝部34a間に位置して溝部34bが設けられ、この溝部34bは、矢印B方向に略直線状に延在する。燃料ガス流路34は、面18aにおいて、燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bに近接して、例えば、エンボス加工されたバッファ部36a、36bを有する(図5参照)。
第2金属セパレータ18の面18a、18bには、この第2金属セパレータ18の外周端部を周回して、第2シール部材38が一体化される。第2シール部材38は、上記の第1シール部材32と同一の材料で構成される。第2シール部材38は、第2金属セパレータ18の面18aにおいて、燃料ガス流路34と燃料ガス入口連通孔24a及び燃料ガス出口連通孔24bとを連通してこれらを囲繞する(図5参照)。第2シール部材38は、面18bにおいて、後述する第2冷却媒体流路42と冷却媒体入口連通孔26a及び冷却媒体出口連通孔26bとを連通してこれらを囲繞する(図1参照)。
第3金属セパレータ20は、第1金属セパレータ16の面16bに向かう面(一方の面)20aに第1冷却媒体流路40を設ける一方、第2金属セパレータ18の面18bに向かう面(他方の面)20bに第2冷却媒体流路42を設ける。
第1及び第2冷却媒体流路40、42は、第3金属セパレータ20の矢印B方向両端部分に設けられ、冷却媒体入口連通孔26a及び冷却媒体出口連通孔26bに連通し且つそれぞれ独立した直線状の冷却媒体入口流路溝44a、44b及び直線状の冷却媒体出口流路溝46a、46bを有する。冷却媒体入口流路溝44a、44bは、それぞれ面20a、20bに沿って矢印C方向に延在する複数の直線溝から構成される(図1及び図3参照)。冷却媒体出口流路溝46a、46bは、同様にそれぞれ面20a、20bに沿って矢印C方向に延在する複数の直線溝から構成される(図1参照)。
冷却媒体入口流路溝44aは、面20aの上端部に開放されるとともに、前記面20aの下端縁部で終端する。冷却媒体出口流路溝46aは、面20aの下端部に開放される一方、前記面20aの上端縁部で終端する。図6示すように、冷却媒体入口流路溝44bは、面20bの上端部に開放されるとともに、前記面20bの下端縁部で終端する。冷却媒体出口流路溝46bは、面20bの下端部に開放される一方、前記面20bの上端縁部で終端する。
図1に示すように、第1冷却媒体流路40は、第3金属セパレータ20の面20aの中央部分に、冷却媒体入口流路溝44a及び冷却媒体出口流路溝46aと交差する方向(矢印B方向)に延在する複数の凸部48aを有する。凸部48aは、例えば、ゴム材を用いて第3金属セパレータ20に成形されている。なお、ゴム材に代えて、第3金属セパレータ20に金属凸部48aを一体成形してもよい。各凸部48aは、図2に示すように、第1金属セパレータ16の各溝部28bに配置されており、前記溝部28bを流れる冷却媒体の流量を制限する機能を有している。
図6に示すように、第2冷却媒体流路42は、第3金属セパレータ20の面20bの中央部分に、冷却媒体入口流路溝44b及び冷却媒体出口流路溝46bと交差する方向(矢印B方向)に延在する、例えば、ゴム製凸部48bが生成される。各凸部48bは、図2に示すように、第2金属セパレータ18の各溝部34bに配置されており、前記溝部34bを流れる冷却媒体の流量を制限する機能を有している。第3金属セパレータ20の矢印C方向両端部には、溝部34bの流路断面積を減少させるために、該端部を周回してゴム部材49を設けることが好ましい(図2及び図6参照)。
図1に示すように、電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜50と、前記固体高分子電解質膜50を挟持するアノード側電極52及びカソード側電極54とを備える。固体高分子電解質膜50の外周縁部は、アノード側電極52及びカソード側電極54の外周端部よりも外方に突出している。
アノード側電極52及びカソード側電極54は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布された電極触媒層とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜50の両面に接合されている。
このように構成される燃料電池12の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤ガス入口連通孔22aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給される。さらに、冷却媒体入口連通孔26aに純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
このため、燃料ガスは、図5に示すように、燃料ガス入口連通孔24aから第2金属セパレータ18の燃料ガス流路34に導入され、矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極52に供給される。一方、酸化剤ガスは、図1に示すように、酸化剤ガス入口連通孔22aから第1金属セパレータ16の酸化剤ガス流路28に導入され、矢印B方向に移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極54に供給される。
従って、電解質膜・電極構造体14では、アノード側電極52に供給される燃料ガスと、カソード側電極54に供給される酸化剤ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、アノード側電極52に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔24bに沿って矢印A方向に排出される。同様に、カソード側電極54に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔22bに沿って矢印A方向に排出される。
また、冷却媒体入口連通孔26aに供給された冷却媒体は、第1及び第2金属セパレータ16、18と第3金属セパレータ20との間に形成された第1及び第2冷却媒体流路40、42に導入される。第1冷却媒体流路40では、冷却媒体が冷却媒体入口流路溝44aに沿って鉛直下方向に移動するとともに、第1金属セパレータ16の面16bに形成された溝部28bに導入される。
このため、冷却媒体は、溝部28bと凸部48aとの間隙を通って水平方向(矢印B方向)に移動し(図1参照)、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、冷却媒体出口流路溝46aに移動する。冷却媒体出口流路溝46aは、鉛直方向に延在して面20aの下端に開放されており、この冷却媒体出口流路溝46aに供給された冷却媒体は、鉛直下方向に移動して冷却媒体出口連通孔26bに排出される(図4参照)。
この場合、第1の実施形態では、第3金属セパレータ20の面20aに、冷却媒体入口連通孔26a及び冷却媒体出口連通孔26bに連通し且つそれぞれ独立した直線状の冷却媒体入口流路溝44a及び直線状の冷却媒体出口流路溝46aが設けられている。
従って、第1金属セパレータ16の面16aに酸化剤ガス流路28を設けることにより、面16bに沿って複数の溝部28bが矢印B方向に延在していても(図4参照)、冷却媒体入口連通孔26aから面20a内の第1冷却媒体流路40に冷却媒体を円滑且つ確実に供給する一方、前記第1冷却媒体流路40から冷却媒体出口連通孔26bに冷却媒体を円滑且つ確実に排出することができる。
しかも、面20aには、直線状の冷却媒体入口流路溝44a及び直線状の冷却媒体出口流路溝46aを設けるだけでよく、第1冷却媒体流路40の形状が有効に簡素化される。これにより、第3金属セパレータ20の成形作業が簡単且つ経済的に遂行されるとともに、酸化剤ガス流路28の形状に影響されることがなく、前記第3金属セパレータ20の面20aに沿って冷却媒体を良好に供給することが可能になる。
また、第3金属セパレータ20の面20aの中央部分には、複数の凸部48aが設けられており、この凸部48aが第1金属セパレータ16の各溝部28bに配置されている(図2参照)。このため、第1金属セパレータ16と第3金属セパレータ20との間に形成される第1冷却媒体流路40は、全長にわたって開口断面積を略一定に維持することができ、冷却媒体を反応面内に沿って良好且つ均一に流すことが可能になるという利点がある。
なお、第2冷却媒体流路42では、上記の第1冷却媒体流路40と同様の効果が得られる。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する第3金属セパレータ56aの一部斜視説明図であり、図8は、前記第3金属セパレータ56aの図7中、VIII−VIII線断面図である。
図7に示すように、第3金属セパレータ56aは薄板状である。第3金属セパレータ56aの両面には、プレス成形により波状に成形することによって複数の直線状の冷却媒体入口流路溝44c、44dが矢印C方向に延在して交互に設けられる。第3金属セパレータ56aの中央部分には、プレス形成により冷却媒体入口流路溝44c、44dと交差する方向(矢印B方向)に延在する複数の凸部48cが設けられる。
図8に示すように、凸部48cは、溝部28bに配置されるとともに、この凸部48cの裏面側の凹部には、ゴム部材48dが成形される。このゴム部材48dは、溝部34bに配置される。なお、凸部48cの形状やゴム部材48dの形状等を変更することにより、溝部28bの流路断面積と溝部34bの流路断面積とを異なるように設定することができる。その際、アノード側電極52よりもカソード側電極54からの熱が多いため、カソード側である溝部28bの流路断面積を大きく設定すればよい。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成する第3金属セパレータ56bの一部斜視説明図であり、図10は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池を構成する第3金属セパレータ56cの一部斜視説明図である。
図9に示すように、第3金属セパレータ56bには、該第3金属セパレータ56bを矢印A方向に切り欠いて複数の直線状の冷却媒体入口流路溝44eが矢印C方向に延在して設けられる。このため、冷却媒体入口流路溝44eは、第3金属セパレータ56bの両面に開放される。
図10に示すように、第3金属セパレータ56cには、矢印A方向に貫通して複数の長円状開口部58が形成される。各開口部58は、矢印C方向に延在して配列されており、全体として矢印C方向に延在する直線状の冷却媒体入口流路溝が構成される。これにより、第2〜第4の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図11は、本発明の第5の実施形態に係る燃料電池を構成する発電セル60の要部分解斜視説明図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池12を構成する発電セル10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
発電セル60は、電解質膜・電極構造体14が、第1及び第2金属セパレータ62、64に挟持されるとともに、隣接する前記発電セル60同士の間には、第3金属セパレータ66が配設される。
第1金属セパレータ62の電解質膜・電極構造体14に向かう面62aには、例えば、矢印B方向に1往復半だけ折り返す蛇行流路である酸化剤ガス流路68が設けられる。酸化剤ガス流路68は、第1金属セパレータ62を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部68aを備えている。溝部68aは、矢印B方向に略直線状に延在するとともに、2つの折り返し用仕切り部70aが互いに矢印C方向に離間し且つ千鳥状に設けられる。
図12に示すように、第1金属製セパレータ62の面62bには、溝部68aの反対である凸部の間に溝部68bが設けられる一方、各仕切り部70aに隣接して仕切り部70bが設けられる。
図13に示すように、第2金属セパレータ64の電解質膜・電極構造体14に向かう面64aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとに連通し、矢印B方向に1往復半だけ折り返す蛇行流路を構成する燃料ガス流路72が形成される。
燃料ガス流路72は、第2金属セパレータ64を波形状に成形することにより設けられる複数の溝部72aを備えている。溝部72aは、矢印B方向に略直線状に延在するとともに、2つの折り返し用仕切り部74aが互いに矢印C方向に離間し且つ千鳥状に設けられる。第2金属製セパレータ64の面64bには、溝部72aの反対である凸部の間に溝部72bが設けられる一方、各仕切り部74aに隣接して仕切り部74bが設けられる(図11及び図13参照)。
第3金属セパレータ66は、第1金属セパレータ62の面62bに向かう面66aに第1冷却媒体流路76を設ける一方、第2金属セパレータ64の面64bに向かう面66bに第2冷却媒体流路78を設ける。
第1冷却媒体流路76は、第3金属セパレータ66の矢印B方向一端部分に、冷却媒体入口連通孔26aに連通する直線状の冷却媒体入口流路溝80aと、この冷却媒体入口流路溝80aの下方に配置される第1冷却媒体中間流路溝82aとをそれぞれ個別に有する。第1冷却媒体流路76は、第3金属セパレータ66の矢印B方向他端部分に、第2冷却媒体中間流路溝84aを有するとともに、前記第2冷却媒体中間流路溝84aの下方には、冷却媒体出口連通孔26bに連通する直線状の冷却媒体出口流路溝を有する。
第2冷却媒体流路78は、図14に示すように、冷却媒体入口流路溝80aと交互に設けられる直線状の冷却媒体入口流路溝80bと、第1及び第2冷却媒体中間流路溝82a、84aと交互に設けられる第1及び第2冷却媒体中間流路溝82b、84bと、冷却媒体出口流路溝86aと交互に設けられる直線状の冷却媒体出口流路溝86bとをそれぞれ個別に有する。
図11及び図14に示すように、冷却媒体入口流路溝80a、80bは、面66a、66bの上端部に開放されるとともに、前記面66a、66bの途上で終端し、第1及び第2冷却媒体中間流路溝82a、82bは、前記面66a、66bの途上から該面66a、66bの下端縁部で終端する。第2冷却媒体中間流路溝84a、84bは、面66a、66bの途上に設けられる一方、冷却媒体出口流路溝86a、86bは、前記面66a、66bの途上から該面66a、66bの下端部に開放される。
このように構成される発電セル60では、燃料ガス入口連通孔24aに供給される燃料ガスは、第2金属セパレータ64の燃料ガス流路72に導入され、矢印B方向に往復移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極52に供給される。一方、酸化剤ガス入口連通孔22aに供給される酸化剤ガスは、第1金属セパレータ62の酸化剤ガス流路68に導入され、矢印B方向に往復移動しながら、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極54に供給される。
一方、冷却媒体入口連通孔26aに供給された冷却媒体は、第1及び第2金属セパレータ62、64と第3金属セパレータ66との間に形成された第1及び第2冷却媒体流路76、78に導入される。第1冷却媒体流路76では、冷却媒体が冷却媒体入口流路溝80aに沿って鉛直下方向に移動するとともに、第1金属セパレータ62の面62bに形成された溝部68bに導入される。
このため、冷却媒体は、溝部68bと凸部48aとの間隙を通って水平方向(矢印B方向)に移動し、第2冷却媒体中間流路溝84aに移動する。冷却媒体は、第2冷却媒体中間流路溝84aに沿って鉛直下方向に移動するとともに、第1金属セパレータ62の溝部68bに導入されて水平方向に移動する。さらに、冷却媒体は、第1冷却媒体中間流路溝82aに沿って鉛直下方向に移動した後、溝部68bに沿って水平方向に移動し、冷却媒体出口流路溝86aを介して冷却媒体出口連通孔26bに排出される。
これにより、第1冷却媒体流路76では、冷却媒体が矢印B方向に蛇行しながら矢印C方向に移動し、電解質膜・電極構造体14を冷却する。同様に、第2冷却媒体流路78では、冷却媒体が矢印B方向に蛇行しながら矢印C方向に移動し、電解質膜・電極構造体14を冷却する。
この場合、第5の実施形態では、酸化剤ガス流路68及び燃料ガス流路72がサーペンタイン流路を構成する際に、第1及び第2冷却媒体流路76、78をサーペンタイン流路に設定することができる。従って、酸化剤ガス流路68及び燃料ガス流路72の流路形状に影響されることがなく、簡単且つ経済的な構成で、第3金属セパレータ66の面66a、66bに沿って冷却媒体を良好に供給することが可能になる。
このため、第5の実施形態では、電解質膜・電極構造体14の発電面全面を均一に冷却することができ、発電効率の向上を図ることが可能になる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料電池を構成する発電セルの要部分解斜視説明図である。 前記燃料電池の、図1中、II−II線断面説明図である。 前記燃料電池の、図1中、III−III線断面説明図である。 前記発電セルを構成する第1金属セパレータの正面説明図である。 前記発電セルを構成する第2金属セパレータの正面説明図である。 前記発電セルを構成する第3金属セパレータの正面説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池を構成する第3金属セパレータの一部斜視説明図である。 前記第3金属セパレータの図7中、VIII−VIII線断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池を構成する第3金属セパレータの一部斜視説明図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池を構成する第3金属セパレータの一部斜視説明図である。 本発明の第5の実施形態に係る燃料電池を構成する発電セルの要部分解斜視説明図である。 前記発電セルを構成する第1金属セパレータの正面説明図である。 前記発電セルを構成する第2金属セパレータの正面説明図である。 前記発電セルを構成する第3金属セパレータの正面説明図である。 特許文献1に開示されている燃料電池用セパレータの説明図である。
符号の説明
10、60…発電セル 12…燃料電池
14…電解質膜・電極構造体
16、18、20、56a〜56c、62、64、66…金属セパレータ
16a、16b、20a、20b、62b、64a、64b、66a、66b…面
22a…酸化剤ガス入口連通孔 22b…酸化剤ガス出口連通孔
24a…燃料ガス入口連通孔 24b…燃料ガス出口連通孔
26a…冷却媒体入口連通孔 26b…冷却媒体出口連通孔
28、68…酸化剤ガス流路
28a、28b、34a、34b、68a、68b、72a、72b…溝部
34、72…燃料ガス流路
40、42、76、78…冷却媒体流路
44a、44b、44c、44d、44e、80a、80b…冷却媒体入口流路溝
46a、46b、86a、86b…冷却媒体出口流路溝
48a、48c…凸部 48d、49…ゴム部材
50…固体高分子電解質膜 52…アノード側電極
54…カソード側電極 58…開口部
60…発電セル 70a、70b、74a、74b…仕切り部
82a、82b、84a、84b…冷却媒体中間流路溝

Claims (3)

  1. 電解質膜を一対の電極間に配設した電解質膜・電極構造体を第1及び第2金属セパレータで挟持する発電セルを備え、前記発電セルが積層される燃料電池であって、
    隣接する前記発電セル間に配設される第3金属セパレータを備え、
    前記第3金属セパレータの一方の面と前記第1金属セパレータとの間及び前記第3金属セパレータの他方の面と前記第2金属セパレータとの間には、それぞれ冷却媒体流路が形成されるとともに、
    前記冷却媒体流路は、前記第3金属セパレータの両面両端部分に、冷却媒体入口及び冷却媒体出口に連通し且つそれぞれ独立した複数の直線状の冷却媒体入口流路溝及び複数の直線状の冷却媒体出口流路溝と、
    前記第1金属セパレータの前記第3金属セパレータに対向する面に、前記冷却媒体入口及び前記冷却媒体出口に連通する複数の冷却媒体流路溝と、
    前記第2金属セパレータの前記第3金属セパレータに対向する面に、前記冷却媒体入口及び前記冷却媒体出口に連通する複数の冷却媒体流路溝と、
    を有することを特徴とする燃料電池。
  2. 請求項1記載の燃料電池において、前記冷却媒体流路は、前記第3金属セパレータの両面中央部分に、前記冷却媒体入口流路溝及び前記冷却媒体出口流路溝と交差する方向に延在する複数の凸部を有することを特徴とする燃料電池。
  3. 電解質膜を一対の電極間に配設した電解質膜・電極構造体を第1及び第2金属セパレータで挟持する発電セルを備え、前記発電セルが積層される燃料電池であって、
    隣接する前記発電セル間に配設される第3金属セパレータを備え、
    前記第3金属セパレータの一方の面と前記第1金属セパレータとの間及び前記第3金属セパレータの他方の面と前記第2金属セパレータとの間には、それぞれ蛇行する冷却媒体流路が形成されるとともに、
    前記冷却媒体流路は、前記第3金属セパレータの両面両端部分に、冷却媒体入口及び冷却媒体出口に連通し且つそれぞれ独立した複数の直線状の冷却媒体入口流路溝及び複数の直線状の冷却媒体出口流路溝と、
    前記第1金属セパレータの前記第3金属セパレータに対向する面に、前記冷却媒体入口及び前記冷却媒体出口に連通する複数の蛇行する冷却媒体流路溝と、
    前記第2金属セパレータの前記第3金属セパレータに対向する面に、前記冷却媒体入口及び前記冷却媒体出口に連通する複数の蛇行する冷却媒体流路溝と、
    を有することを特徴とする燃料電池。
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