JP4031936B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体と、前記電解質・電極接合体を挟持する一対のセパレータとを備えた燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜(電解質)を採用している。この燃料電池は、電解質膜の両側に、それぞれ触媒電極と多孔質カーボンからなるアノード側電極およびカソード側電極を対設して構成される電解質膜・電極接合体(電解質・電極接合体)を、セパレータ(バイポーラ板)によって挟持することにより構成される単位セル(単位発電セル)を備えている。通常、この単位セルを所定数だけ積層した燃料電池スタックとして使用されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、触媒電極上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子が外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
上記の燃料電池では、積層されている各電解質膜・電極接合体のアノード側電極およびカソード側電極に、それぞれ燃料ガスおよび酸化剤ガス(反応ガス)を供給するために、内部マニホールドを構成することが行われている。
【0005】
この内部マニホールドは、具体的には、積層されている各電解質膜・電極接合体およびセパレータに積層方向に一体的に連通して設けられた複数の連通孔を備えており、供給用の連通孔に反応ガスが供給されると、前記反応ガスが各電解質膜・電極接合体毎に分散供給される一方、使用済みの反応ガスが排出用の連通孔に一体的に排出されるように構成されている。
【0006】
また、燃料電池では、電極発電面を冷却するために冷却媒体を供給することが行われており、前記内部マニホールドには、反応ガスと同様に、冷却媒体用の連通孔が設けられることがある。
【0007】
例えば、図14および図15に示すように、燃料電池を構成するセパレータ1では、内部マニホールドを構成する連通孔2と、このセパレータ1の面内に反応ガスを流すための反応ガス流路3とが、連結流路4を介して連通している。連結流路4には、凹部5が形成されており、この連結流路4のシール性を確保するために、前記凹部5に薄板状のカバー(ブリッジ)6が嵌め込まれている。このカバー6には、ガスケット7が押し当てられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図15に示すように、連結流路4にカバー6が設けられるため、この連結流路4は、反応ガス流路3よりも前記カバー6の厚さ分だけ流路深さが浅くなってしまう。従って、連結流路4で反応ガスの圧損が増大してしまい、該反応ガスを供給するためのコンプレッサの出力を増大させる必要があり、燃料電池システムの効率が低下するという不具合が指摘されている。
【0009】
しかも、連結流路4の開口断面積が狭くなるために、この連結流路4に結露水等による詰まりが生じ易い。これにより、発電面に対して反応ガスの供給不足が惹起する他、前記発電面に沿って前記反応ガスを均一に供給することができない等の問題がある。
【0010】
そこで、例えば、特開2000−164227号公報に開示されているように、ガス導入マニホールド孔とガス流路溝部を連結するガス導入口、ガス排出マニホールド孔と前記ガス流路溝部を連結するガス排出口の少なくとも一方のガス流路溝の断面積が、前記ガス流路溝部のガス流路溝の断面積より大きいガスマニホールド一体型セパレータで、電解質と電極の接合体を挟んで積層した燃料電池が知られている。
【0011】
ところが、上記の従来技術では、ガス流路溝部に幅広なガス流路溝が一方向に向かって設けられるとともに、ガス導入口またはガス排出口に幅狭なガス流路溝が他方向に向かって設けられており、さらに前記ガス流路溝部と前記ガス導入口または前記ガス排出口との間には、複数の突起部を備えたバッファ部が形成されている。このため、セパレータには、一方向に向かう幅広なガス流路溝と、他方向に向かう幅狭なガス流路溝と、バッファ部とを個別に設けなければならず、前記セパレータ自体の構成が複雑化してしまい、経済的ではないという問題がある。
【0012】
なお、セパレータの内部マニホールドに冷却媒体用連通孔が設けられている際にも、薄板状のカバーを用いる必要があり、上記の反応ガスと同様の問題が発生してしまう。
【0013】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、簡単な構成で、所望の発電性能を確保するとともに、経済的に製造することが可能な燃料電池を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池では、セパレータに、少なくとも燃料ガスまたは酸化剤ガスである反応ガスを電解質・電極接合体の電極面内に供給する反応ガス流路と、前記セパレータに貫通して設けられ、燃料ガスまたは酸化剤ガスを流すための連通孔と、前記反応ガス流路と前記連通孔とを直接繋ぐ連結流路とが設けられている。
【0015】
そして、連結流路を構成する壁部同士の間隔が、反応ガス流路を構成する壁部同士の間隔よりも広く設定されている。具体的には、連結流路を構成する壁部は、この連結流路に直接繋がる反応ガス流路を構成する壁部を間引くだけで、該壁部同士の間隔を広く設定することができる。このため、簡単な構成で、流路断面積を増加させることが可能になり、圧損を有効に減少させるとともに、結露水等による詰まりを阻止することができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池では、連結流路が、セパレータを貫通して設けられるとともに、一端が電極面とは反対の面側で連通孔に連通しかつ他端が前記電極面側で反応ガス流路に連通している。これにより、連結流路のシール性を確保すべく前記連結流路に薄板を嵌め込む必要がなく、前記薄板の段差によるセパレータの締め付け不良等の発生を阻止するとともに、部品点数の削減を図ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池10を組み込む燃料電池スタック12の要部分解斜視図であり、図2は、前記燃料電池10の一部断面図である。
【0018】
図1に示すように、燃料電池スタック12は、複数の燃料電池10を矢印A方向に積層して構成されている。燃料電池10は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極接合体)14と、前記電解質膜・電極構造体14を挟持する第1および第2セパレータ16、18とを備える。第1および第2セパレータ16、18は、例えば、金属製薄板により構成されている。
【0019】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の長辺(矢印B方向)側の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔20a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔22a、および燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔24bが設けられる。
【0020】
電解質膜・電極構造体14と第1および第2セパレータ16、18の長辺側の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔24a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔22b、および酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔20bが設けられる。
【0021】
電解質膜・電極構造体14は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸されてなる固体高分子電解質膜(電解質)26と、該固体高分子電解質膜26を挟持するアノード側電極28およびカソード側電極30とを備える。
【0022】
アノード側電極28およびカソード側電極30は、図2に示すように、カーボンペーパー等からなるガス拡散層32a、32bと、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層32a、32bの表面に一様に塗布されてなる電極触媒層34a、34bとをそれぞれ有する。電極触媒層34a、34bは、互いに固体高分子電解質膜26を介装して対向するように、前記固体高分子電解質膜26の両面に接合されている。
【0023】
図1に示すように、第1セパレータ16の電解質膜・電極構造体14側の面16aには、燃料ガス流路36が設けられるとともに、この燃料ガス流路36は、燃料ガス供給連通孔24aと燃料ガス排出連通孔24bとに連結流路38a、38bを介して連通する。図3に示すように、燃料ガス流路36は、壁部40を介してそれぞれ独立した複数本の燃料ガス流路溝42を備え、この燃料ガス流路溝42は、面16aに水平方向に蛇行しながら重力方向に向かって設けられる。
【0024】
燃料ガス供給連通孔24aの近傍に設けられた連結流路38aは、図3および図4に示すように、薄板44を取り付けるための凹部46を設けるとともに、燃料ガス流路溝42から連なる連結流路溝48を備える。この連結流路溝48は、壁部50を介して複数本だけ独立して設けられており、前記壁部50は、燃料ガス流路36を構成し連結流路38aに直接繋がる壁部40を、例えば、1つおきに間引くことにより形成されている。換言すれば、壁部50同士の間隔H1は、壁部40同士の間隔H2よりも広く設定されている(図4参照)。
【0025】
なお、燃料ガス排出連通孔24bの近傍に設けられている連結流路38bは、上記の連結流路38aと同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0026】
図5に示すように、第2セパレータ18の電解質膜・電極構造体14側の面18aには、酸化剤ガス供給連通孔20aと酸化剤ガス排出連通孔20bとを連通する酸化剤ガス流路52が形成される。酸化剤ガス供給連通孔20aおよび酸化剤ガス排出連通孔20bの近傍には、前記酸化剤ガス供給連通孔20aおよび前記酸化剤ガス排出連通孔20bを酸化剤ガス流路52に連通する連結流路54a、54bが設けられる。酸化剤ガス流路52は、水平方向に蛇行しながら重力方向に向かって設けられており、壁部56によってそれぞれ独立した複数本の酸化剤ガス流路溝58を備えている。
【0027】
連結流路54a、54bは、上記の連結流路38aと同様に構成されており、壁部56を、例えば、1つおきに間引くことにより、前記壁部56同士の間隔よりも広い間隔に設定された壁部60を備えており、前記壁部60間には、連結流路溝62が形成されている。
【0028】
図1に示すように、第2セパレータ18の面18bには、冷却媒体流路64が形成される。冷却媒体流路64は、冷却媒体供給連通孔22aと冷却媒体排出連通孔22bとに連結流路66a、66bを介して連通する。冷却媒体流路64は、壁部67を介して面18bに沿って水平方向および鉛直方向に延在する複数本の冷却媒体流路溝68を設ける。連結流路66a、66bは、連結流路38aと同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
【0029】
このように構成される燃料電池10の動作について、以下に説明する。
【0030】
図1に示すように、燃料電池スタック12内には、水素含有ガス等の燃料ガスと、酸素含有ガスである空気等の酸化剤ガスと、純水やエチレングリコールやオイル等の冷却媒体とが供給される。このため、燃料電池スタック12では、矢印A方向に重ね合わされた複数組の燃料電池10に対し、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷却媒体が、順次、供給される。
【0031】
矢印A方向に連通している酸化剤ガス供給連通孔20aに供給された酸化剤ガスは、図1および図5に示すように、第2セパレータ18に設けられている酸化剤ガス流路52に導入され、電解質膜・電極構造体14を構成するカソード側電極30に沿って移動する。一方、燃料ガスは、図1および図3に示すように、燃料ガス供給連通孔24aから第1セパレータ16に設けられている燃料ガス流路36に導入され、電解質膜・電極構造体14を構成するアノード側電極28に沿って移動する。
【0032】
従って、各電解質膜・電極構造体14では、カソード側電極30に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極28に供給される燃料ガスとが、電極触媒層34b、34a内で電気化学反応により消費され、発電が行われる(図2参照)。
【0033】
次いで、アノード側電極28に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔24bに排出される(図3参照)。同様に、カソード側電極30に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔20bに排出される(図5参照)。
【0034】
また、冷却媒体供給連通孔22aに供給された冷却媒体は、第2セパレータ18の冷却媒体流路64に導入される。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体14を冷却した後、冷却媒体排出連通孔22bに排出される(図1参照)。
【0035】
この場合、第1の実施形態では、図3および図4に示すように、燃料ガス流路36と燃料ガス供給連通孔24aとを直接繋ぐ連結流路38aが設けられるとともに、この連結流路38aは、前記燃料ガス流路36を構成する壁部40を、例えば、1つおきに間引くことにより、前記壁部40同士の間隔H2よりも広い間隔H1に設定された壁部50を備えている。
【0036】
その際、連結流路38aでは、薄板44を取り付けるために凹部46が設けられており、連結流路溝48の深さ方向の寸法が、燃料ガス流路36を構成する燃料ガス流路溝42の深さ方向の寸法よりも浅く設定されている。従って、壁部50同士の間隔H1を壁部40同士の間隔H2よりも広く設定することにより、連結流路溝48の幅方向の寸法を拡大することができ、前記連結流路溝48の流路断面積を有効に増加させることが可能になる。
【0037】
このため、燃料ガス供給連通孔24aから連結流路38aに導入される燃料ガスは、比較的流路断面積の大きな連結流路溝48を通ることにより、圧損を有効に減少させることができるとともに、結露水等による詰まりを阻止することが可能になる。
【0038】
これにより、第1の実施形態では、燃料ガスを供給するためのコンプレッサ(図示せず)等の出力を増大させる必要がなく、燃料電池スタック12の発電効率の向上が図られるという効果が得られる。しかも、結露水等の詰まりによる燃料ガスの供給不足や供給状態の不均一化を回避し、良好な発電機能を営むことができる。
【0039】
さらに、燃料ガス流路36を構成する壁部40を間引くだけでよく、構成が簡素化するとともに、第1セパレータ16を経済的に製造することが可能になるという利点がある。
【0040】
一方、燃料ガス流路36と燃料ガス排出連通孔24bとを直接繋ぐ連結流路38bは、上記の連結流路38aと同様に構成されている。このため、燃料ガス流路36から連結流路38bに未使用の燃料ガスが排出される際に、圧損を有効に減少させるとともに、結露水等の詰まりを防止することができる。従って、燃料ガス流路36に沿って燃料ガスを円滑かつ良好に流動させることが可能になり、良好な発電機能を営むことができる。
【0041】
なお、第2セパレータ18に設けられた酸化剤ガス流路52においても同様に、酸化剤ガス供給連通孔20aから連結流路54aに酸化剤ガスが良好に供給されるとともに、この連結流路54aから酸化剤ガス流路52に酸化剤ガスが良好に排出される。これにより、酸化剤ガスの圧損の低減を図ることが可能になり、前記酸化剤ガスをカソード側電極30に確実に供給して発電性能を有効に向上させることができる。
【0042】
さらにまた、第2セパレータ18の面18bに設けられている冷却媒体流路64でも同様に、連結流路70a、70bにおける圧損の低減を図り、冷却媒体の円滑な流動を確保することが可能になる。
【0043】
また、例えば、燃料ガス流路36および連結流路38aを、図6および図7に示すように構成してもよい。
【0044】
図6では、燃料ガス流路36を構成する壁部40aの先端に、R形状部80が設けられるとともに、連結流路38aを構成する壁部50aの先端部に、R形状部82が設けられる。このため、燃料ガス供給連通孔20aから連結流路38aに燃料ガスが供給される際に、前記酸化剤ガスは、壁部50aの先端部に設けられたR形状部82に沿って前記連結流路溝48に円滑に導入され、該燃料ガスの圧損を有効に減少させることができる。
【0045】
さらに、燃料ガスは、連結流路溝48から燃料ガス流路36の燃料ガス流路溝42に導入される際、各壁部40aの先端部に設けられているR形状部80を介して円滑に前記燃料ガス流路溝42に導入される。従って、燃料ガスの圧損を有効に削減し得るという利点がある。
【0046】
一方、図7に示す燃料ガス流路36および連結流路38aでは、それぞれの壁部40b、50bの先端部に三角形状部84、86が形成されている。これにより、燃料ガス供給連通孔20aから連結流路38aを介して燃料ガス流路36に燃料ガスが供給される際、三角形状部84、86の案内作用下に、前記燃料ガスの圧損を有効に減少させることができ、連結流路溝48から燃料ガス流路溝42に該燃料ガスを円滑に供給することが可能になる。
【0047】
図8は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池100の要部分解斜視図である。なお、第1の実施形態に係る燃料電池10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0048】
燃料電池100は、電解質膜・電極構造体14と、前記電解質膜・電極構造体14を挟持する第1および第2セパレータ102、104とを備える。第1セパレータ102には、この第1セパレータ102を貫通するとともに、一端が電解質膜・電極構造体14側の面102aとは反対側の面102bで燃料ガス供給連通孔24aに連通する一方、他端が前記面102a側で燃料ガス流路36に連通する連結流路106aと、一端が前記面102b側で燃料ガス排出連通孔24bに連通する一方、他端が前記面102a側で燃料ガス流路36に連通する連結流路106bとが設けられる。
【0049】
図9および図10に示すように、連結流路106aは、それぞれ2本の燃料ガス流路溝42の端部に一体的に連通して第1セパレータ102を貫通する貫通孔108と、面102b側に設けられ、前記貫通孔108と燃料ガス供給連通孔24aとに連通する連結流路溝110とを備える。
【0050】
連結流路溝110を構成する壁部112は、燃料ガス流路36を構成する壁部40を1つおきに間引くことにより、前記壁部40同士の間隔よりも広い間隔に設定される。連結流路溝110の幅寸法は、燃料ガス流路溝42の幅寸法よりも大きく設けられており、この連結流路溝110の流路断面積が有効に増加される。
【0051】
連結流路106bは、上記の連結流路106aと同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図11に示すように、第2セパレータ104には、酸化剤ガス供給連通孔20aおよび酸化剤ガス排出連通孔20bを酸化剤ガス流路52に連通する連結流路114a、114bが設けられる。連結流路114aは、連結流路106aと同様に、それぞれ2本の酸化剤ガス流路溝58の端部に一体的に連通して第2セパレータ104を貫通する貫通孔116と、面104b側に設けられて前記貫通孔116と酸化剤ガス供給連通孔20aとに連通する連結流路溝118とを備える。
【0053】
連結流路溝118を構成する壁部120は、酸化剤ガス流路52を構成する壁部56を1つおきに間引くことにより、前記壁部56同士の間隔よりも大きく設定されている。このため、連結流路溝118の幅寸法は、酸化剤ガス流路溝58の幅寸法よりも大きく設定される。
【0054】
なお、連結流路114bは、上記の連結流路114aと同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0055】
第2セパレータ104には、図8および図11に示すように、冷却媒体供給連通孔22aと冷却媒体排出連通孔22bとを冷却媒体流路64に連通する連結流路122a、122bが設けられる。連結流路122a、122bは、それぞれ2本の冷却媒体流路溝68の端部に一体的に連通して第2セパレータ104を貫通する貫通孔124と、面104a側に設けられて前記貫通孔124と冷却媒体供給連通孔22aおよび冷却媒体排出連通孔22bとに連通する連結流路溝126とを備える。各連結流路溝126を構成する壁部128は、冷却媒体流路64を構成する壁部67を1つおきに間引いて構成されている。
【0056】
このように構成される第2の実施形態では、燃料電池100の動作が実質的に第1の実施形態に係る燃料電池10と同様であり、以下に、例えば、燃料ガスの流れについて概略的に説明する。
【0057】
燃料電池100内の燃料ガス供給連通孔24aに供給された燃料ガスは、図9および図10に示すように、第1セパレータ102の面102b側で連結流路106aを構成する連結流路溝110に導入される。燃料ガスは、この連結流路溝110に連通する貫通孔108を介して面102b側から面102a側に移動し、この面102a側に形成されている燃料ガス流路溝42に供給される。
【0058】
この場合、第2の実施形態では、連結流路106aを構成する連結流路溝110の幅寸法が、燃料ガス流路36を構成する燃料ガス流路溝42の幅寸法よりも大きく設定されており、前記連結流路溝110の流路断面積を増加させている。このため、連結流路溝110に導入される燃料ガスの圧損を有効に減少させることができ、前記燃料ガス用のコンプレッサ(図示せず)等の出力を増加させる必要がない。従って、燃料電池100の発電効率が有効に向上するとともに、結露水等による詰まりを防止することができる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
さらに、貫通孔108は、2本の燃料ガス流路溝42の端部に一体的に設けられている。これにより、貫通孔108における圧損の減少と結露水等による詰まりの防止が確実に遂行されるという利点がある。
【0060】
また、第1セパレータ102の面102aでは、燃料ガス流路36を構成する燃料ガス流路溝42が燃料ガス供給連通孔24aおよび燃料ガス排出連通孔24bから所定距離だけ離間する位置で終端している。このため、第1の実施形態で用いられている薄板44を不用にすることができ、部品点数の削減が容易に図られる。
【0061】
図12は、図6に示す構成に対応するものであり、燃料ガス流路36を構成する壁部40aの先端に、R形状部80が設けられるとともに、連結流路106aを構成する壁部112aの先端部に、R形状部130が設けられた構成を示している。
【0062】
一方、図13は、図7に示す構成に対応するものであり、燃料ガス流路36を構成する壁部40bの先端部に、三角形状部84が設けられるとともに、連結流路106aを構成する壁部112bの先端部に、三角形状部132が設けられた構成を示している。
【0063】
このように、R形状部80、130および三角形状部84、132を採用することにより、燃料ガス供給連通孔24aから導入される燃料ガスを円滑に案内することができ、圧損を一層有効に減少させることが可能になるという効果が得られる。
【0064】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池では、反応ガス流路と連通孔とを直接繋ぐ連結流路の流路断面積を有効に増加させることができ、簡単な構成で、圧損を減少させるとともに、結露水等による詰まりを阻止することが可能になる。これにより、燃料電池全体の発電効率を有効に向上させるとともに、反応ガスを電解質・電極接合体に均一かつ十分に供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る燃料電池を組み込む燃料電池スタックの要部分解斜視図である。
【図2】前記燃料電池の一部断面図である。
【図3】前記燃料電池を構成する第1セパレータの正面説明図である。
【図4】図3に示す前記第1セパレータのIV−IV線断面図である。
【図5】前記燃料電池を構成する第2セパレータの正面説明図である。
【図6】壁部にR形状部が設けられた前記第1セパレータの要部拡大図である。
【図7】前記壁部先端部に三角形状部が設けられた前記第1セパレータの要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の要部分解斜視図である。
【図9】前記燃料電池を構成する第1セパレータの正面説明図である。
【図10】図9に示す前記第1セパレータのX−X線断面図である。
【図11】前記燃料電池を構成する第2セパレータの正面説明図である。
【図12】前記壁部先端部にR形状部が設けられた前記第1セパレータの要部拡大図である。
【図13】前記壁部先端部に三角形状部が設けられた前記第1セパレータの要部拡大図である。
【図14】従来技術に係る燃料電池の一部正面説明図である。
【図15】図14中、XV−XV線断面図である。
【符号の説明】
10、100…燃料電池 12…燃料電池スタック
14…電解質膜・電極構造体
16、18、102、104…セパレータ 20a…酸化剤ガス供給連通孔
20b…酸化剤ガス排出連通孔 22a…冷却媒体供給連通孔
22b…冷却媒体排出連通孔 24a…燃料ガス供給連通孔
24b…燃料ガス排出連通孔 26…固体高分子電解質膜
28…アノード側電極 30…カソード側電極
36…燃料ガス流路
38a、38b、54a、54b、66a、66b、106a、106b、114a、114b、122a、122b…連結流路
40、40a、40b、50、50a、50b、56、60、67、112、112a、112b、120、128…壁部
46…凹部
48、62、110、118、126…連結流路溝
52…酸化剤ガス流路 58…酸化剤ガス流路溝
64…冷却媒体流路 68…冷却媒体流路溝
80、82、130…R形状部 84、86、132…三角形状部
108、116、124…貫通孔
Claims (2)
- 電解質の両側にそれぞれ電極を設けた電解質・電極接合体と、前記電解質・電極接合体を挟持する一対のセパレータとを備えた燃料電池であって、
前記セパレータには、少なくとも燃料ガスまたは酸化剤ガスである反応ガスを前記電解質・電極接合体の電極面内に供給するとともに、壁部を介して独立した複数の反応ガス流路溝を備える反応ガス流路と、
前記セパレータに貫通して設けられ、燃料ガスまたは酸化剤ガスを流すための連通孔と、
前記反応ガス流路と前記連通孔とを直接繋ぐ連結流路と、
が設けられるとともに、
前記連結流路は、前記反応ガス流路を構成する前記壁部を所定数ずつ間引くことにより、前記反応ガス流路の前記壁部同士の間隔よりも広く設定され、前記反応ガス流路と前記連通孔とを連続的に繋ぐ壁部を備え、全ての前記反応ガス流路溝が前記連結流路を介して前記連通孔に直接連通することを特徴とする燃料電池。 - 請求項1記載の燃料電池において、前記連結流路は、前記セパレータを貫通して設けられるとともに、一端が前記電極面とは反対の面側で前記連通孔に連通しかつ他端が該電極面側で前記反応ガス流路に連通することを特徴とする燃料電池。
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