JP4343281B2 - リラクタンスモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステータの励磁により発生する磁束が、ロータを通って磁気回路を形成するとき、磁気回路における磁気抵抗、即ち、リラクタンスが最小になるように、ロータにトルクが働く原理(この原理によって、発生するトルクをリラクタンストルクという。)によって、ロータが回転駆動される、あらゆる種類のモータに関するもので、その代表的なモータは、リラクタンスモータと呼ばれる。その他に、可変リラクタンス型ステッピングモータが知られている。これら従来のリラクタンスモータは、軟磁性体と空気の単位面積、単位長さ当たりのリラクタンスの差を利用して、ロータの角度位置によるリラクタンスの差を形成し、リラクタンストルクを得るものである。
【0002】
本発明では、従来のリラクタンスモータとは異なった構成のモータも提案されるが、本発明においては、既存の型のリラクタンスモータにとらわれず、ロータのステータに対する角度位置によって、リラクタンスが変化し、リラクタンスが最小になるように、ロータが回転しようとする原理に基づくモータを全てリラクタンスモータと呼ぶことにする。
【0003】
【従来の技術】
従来、一例として、図14に示されているように、4つの突極r1〜r4を有する、軟磁性体からなるロータRと、相対して配置されるとともに、それぞれに巻線が巻回された3対の突極s1、s1’、s2、s2’、s3、s3’を有するステータSからなるリラクタンスモータが知られている。ステータSの相対する突極s1、s1’の巻線にだけ電流を流して、突極s1がS極に、また、突極s1’がN極に磁化されて、ロータRの突極r1が、図14に示されている位置にある状態から、ステータSの相対する突極s2、s2’の巻線にだけ電流を流して、突極s2をN極に、また、突極s2’をS極に磁化すると、ロータRの突極r2は、ステータSの突極s2に移動する。これは、ロータRの突極r1〜r4が、隣接するステータSの突極s1、s1’、s2、s2’、s3、s3’の中間に位置しているときが、リラクタンスが大きく、また、ロータRの突極r1〜r4とステータSの突極s1、s1’、s2、s2’、s3、s3’とが一致している場合に、リラクタンスが最も小さく、ロータRは、リラクタンスが小さくなる方向に移動しようとするために、上記のように、隣接するステータSの突極s2と突極s3の間に位置するロータRの突極r2が、ステータSの突極s2の方向に移動し、ロータRが回転することになる。次いで、ステータSの相対する突極s3、s3’の巻線にだけ電流を流して、突極s3をS極に、また、突極s3’をN極に磁化すると、ロータRの突極r3は、ステータSの突極s3に移動する。このように、ステータSの相対する突極s1、s1’の巻線、次いで、ステータSの相対する突極s2、s2’の巻線、次いで、ステータSの相対する突極s3、s3’の巻線というように、順次、各巻線に電流を流して、ステータSの回りに回転磁界を発生させることにより、ロータRが、図14において、反時計方向に回転する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図15に示されているように、ロータRのリラクタンストルクは、ロータRの突極rが、ステータSの隣接する突極sの中間に位置する時のリラクタンスと、ロータRの突極rが、ステータSのいずれかの突極sと一致する角度位置にある時のリラクタンスとの差が大きいほどロータRに働くリラクタンストルクは大きい。また、このリラクタンスの差を大きくすることができれば、リラクタンスモータの力率や効率を改善できることが知られている。ロータRの突極rが、ステータSの隣接する突極sの中間に位置する時のリラクタンスと、ロータRの突極rが、ステータSのいずれかの突極sと対峙した時のリラクタンスとの差を大きくするために、ロータRの突極rの突出度を大きくしたり、非磁性体層を挟んで積層された鉄板によりロータRを形成する方法(アキシャリィラミネイテッド型リラクタンスモータ)や、鉄板に多数のスリットを金型打抜加工により形成して、鉄板内において、リラクタンスが大きい方向と小さい方向を形成し、このような鉄板を積層してロータRを形成する方法(フラックスバリヤ型リラクタンスモータ)等、多くの工夫がなされてきた。
【0005】
しかしながら、ロータRの突極rの突出度を大きくすると、リラクタンスモータの直径が大きくなり、リラクタンスモータが大型化し、また、ロータRの直径を変えずに、ロータRの突極rの突出度を大きくするということは、突極rを細くすることであるから、ステータSの突極sが、ロータRの突極rを引きつける力(トルク)をかえって減少させる面もあり、ロータRの突極rの突出度を大きくするには限界がある。更に、ロータRに大きい突極rが形成されると、トルクリップルが大きくなったり、空気抵抗が大きく、また、騒音が大きくなるという問題があった。
【0006】
アキシャリィラミネイテッド型リラクタンスモータやフラックスバリヤ型リラクタンスモータも、空気やその他の非磁性物と軟磁性体とのリラクタンスの差からリラクタンストルクを得るという点では原理は同じであるので、所謂、突極比を大きくするためには、非磁性体層やスリット部を厚く、また、数を多くしなくてはならない。そうすると、ロータR中の磁性体部の体積比が減少し、トルクが減少したり、ロータRの機械的強度が低下したりする。ロータR中の磁性体量を、一定量確保するために増大させると、ロータRが大型化するという問題があった。また、非磁性体層や空間の形状により、リラクタンスの大きい方向を作るという原理に基づく限り、ロータRとしては、外周部に界磁ステータSがあり、その内側において、ロータRが回転する、所謂、インナーロータ型のリラクタンスモータのみが可能で、後述するアウターロータ型やディスクロータ型は、ロータの空間占有体積が大きくなり過ぎて実現不可能であった。
【0007】
上述した問題、即ち、ロータRの突出度を大きくしないとリラクタンストルクを大きくできないという問題は、ロータRが、磁気的に等方的な軟磁性材料によって構成されているためである。即ち、このロータRを構成する軟磁性材料が、何方の方向にも容易に磁化される性質を持っているため、図15に示すように、ロータRの突極rが、ステータSの励磁された1つの突極sから、ずれた位置にあるとき、この励磁された突極sの先端s4から発生する磁束が、ロータRの突極rの先端r5だけでなく、突極rの側面r6や隣の突極rとの中間の面r7に入り、ロータR中を通過してステータSの励磁されたもう一方の突極s(2つの突極sは、ペアになるように励磁されている。)に向かって出ていく。このように、ステータSの励磁された突極sからの磁束が、ロータRの突極rの先端r5以外の側面r6や中間の面r7からも容易に入って、また、出ていくために、ロータRの突極rの突出度を大きくしないと、リラクタンストルクを大きくできないという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来のリラクタンスモータが有する課題を解決して、高力率、高効率化が可能な、より小型化が可能な、また、トルクリップル低下や低騒音化が可能なリラクタンスモータを提供し、更に、アウターロータ型やディスクロータ型の新しいタイプのリラクタンスモータを提供し、用途に応じて種々のタイプのモータを選定できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、リラクタンスモータにおいて、第1には、偶数の磁極を有するロータを構成する磁性体が、異方性磁界が20kOe以上の高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒とFeやFe合金の結晶粒とを含むとともに、上記結晶粒を所望の方向に配向することにより、上記磁性体中に、上記磁極間を結ぶ磁路が形成されており、また、上記磁性体が、磁界5kOeのときに測定される磁化容易方向の磁化の大きさ(Ie)と磁化困難方向の磁化の大きさ(Id)との比(Ie/Id)が、2以上であって、且つ、2kOe以下の低保磁力を有するものであり、第2には、ロータがインナーロータであり、該インナーロータの外側面に、前記磁極が形成されているものであり、第3には、ロータがアウターロータであり、該アウターロータの内側面に、前記磁極が形成されているものであり、第4には、ロータがディスクロータであり、該ディスクロータの円板面に、前記磁極が形成されているものである。
【0010】
【実施例】
本発明の特徴は、以下に説明するような、高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒を含む磁性体の前記結晶粒を、後述するように所望の方向に配向させた、前記磁性体によりロータを構成することにより、高性能なリラクタンスモータを製造したものである。
【0011】
先ず最初に、本発明のリラクタンスモータのロータに使用される磁性体について説明する。
【0012】
ある種の磁性体は、その単結晶の磁化曲線を測定すると、結晶方向によって、磁化されやすさに、相違があることが知られている。例えば、正方晶又は六方晶等の結晶において、c軸方向に、磁界を印加した場合には、磁化されやすく、c軸と垂直な面内の方向に、磁界を印加した場合には、磁化されにくいという、所謂、一軸磁気異方性の大きな磁性体や、同じく、正方晶又は六方晶等の結晶において、c軸方向に、磁界を印加した場合には、磁化されにくく、c軸に垂直な面内に磁界を印加した場合には、磁化されやすいという、所謂、面内磁気異方性の大きな磁性体が知られている。なお、磁化されやすい方向を磁化容易方向といい、磁化されにくい方向を磁化困難方向という。
【0013】
上述した磁気異方性について、化合物の結晶粒の集合体の模式図である図1を用いて、より具体的に説明する。この集合体は直方体の形状で、その上下面及び側面を、図示のようにP,Q,R,S面とする。図1に示されているように、一軸磁気異方性の大きな結晶粒sのc軸を、矢印で示されているように、P、Q面に垂直になるように揃えると、磁束は、これらの面に垂直な方向には、極めて通りやすく、また、これらP、Q面に平行な方向は、どの方向にも、極めて通りにくい。また、面内磁気異方性の大きな結晶粒sのc軸を、図1に示されているように、一方向に揃えた場合には、磁束は、P、Q面に垂直な方向には、極めて通りにくく、また、これらの面に平行な方向は、どちらの方向でも、磁束は、極めて通りやすい。
【0014】
上述した一軸磁気異方性或いは面内磁気異方性の大きな化合物としては、R2 Fe14B、R2 Fe173 、RFe11Ti,RFe11V,RFe11TiN,R2 (Fe1-x Cox 17等がある。これらは、希土類(R)の種類(17種)によって、室温で一軸磁気異方性を示す場合と、面内磁気異方性を示す場合とがある。例えば、R2 Fe14Bの金属間化合物においては、R=Pr,Nd,Tb,Dyのとき一軸磁気異方性を示し、また、R=Smのとき面内磁気異方性を示す。また、R2 Fe173 の金属間化合物においては、R=Pr,Ndのとき面内磁気異方性を示し、また、R=Smのとき一軸磁気異方性を示す。
【0015】
本発明で使用される磁心材料では、これらの高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒を含む。ここで、高い結晶磁気異方性とは、異方性磁界(Ha)で、その結晶磁気異方性を表したとき、異方性磁界(Ha)が、20kOe以上、望ましくは、30kOe以上の化合物をいう。
【0016】
本発明は、これらの高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒を含み、その結晶磁気異方性の効果により、磁性体全体として、磁化容易方向と磁化困難方向を持ち、その磁化容易方向と磁化困難方向における磁化の差が大きな磁性体を、リラクタンスモータのロータに使用することを提案する。そして、本発明においては、ロータに使用される磁性体を構成する高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒の配向方向が、所望の方向に制御されたものであり、更に、本発明においては、ロータに使用される磁性体は、保磁力が、2kOe以下、好ましくは、1kOe以下であることを特徴とするものである。
【0017】
先ず最初に、本発明のリラクタンスモータのロータに使用される磁性体の特徴ある構成としての磁化容易方向と磁化困難方向における磁化の差が大きな点について説明する。なお、磁化容易方向と磁化困難方向は、上述の高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒について定義されるものであるが、以下に述べる磁化容易方向と磁化困難方向は、これら化合物の結晶粒を含む磁性体全体としての磁気的性質に関するものである。また、本発明における磁性体の磁気異方性とは、磁性体に含まれている化合物の結晶磁気異方性ではなく、磁性体全体としての、磁化容易方向と磁化困難方向における印加磁界に対する磁化の立ち上がりの差、又は、比に関するもので、その差、又は、比が大きいものを磁気異方性が大きい磁性体と呼ぶことにする。
【0018】
磁気異方性を有する磁性体の磁化容易方向と磁化困難方向における磁化曲線は、一例として、図2に示されているようになる。即ち、磁化容易方向、即ち、磁束の通りやすい方向に磁界を印加した場合には、図2の磁化曲線(a)に示されているように、飽和磁化(Is)まで、磁化は略垂直に立ち上がっているが、磁化困難方向に磁界を印加した場合には、(b)に示されているように、飽和磁化(Is)までの磁化の立ち上がり勾配が、大変小さい。
【0019】
本発明のリラクタンスモータのロータに使用される磁性体は、磁化困難方向に磁界を印加した場合の磁化曲線における、飽和磁化(Is)までの磁化の立ち上がり勾配が、磁化容易方向に磁界を印加した場合の磁化曲線における、飽和磁化(Is)までの磁化の立ち上がり勾配に比べて、緩やかであることが重要である。この勾配の差を表す指標として、磁界が5kOeのときに測定される、磁化容易方向の磁化の大きさ(Ie)と磁化困難方向の磁化の大きさ(Id)との比を用いる。そして、本発明のリラクタンスモータのロータに使用される磁性体においては、磁化容易方向の磁化の大きさ(Ie)と磁化困難方向の磁化の大きさ(Id)との比(Ie/Id)が、2以上であることが望ましい。
【0020】
上述した条件を、本発明のリラクタンスモータのロータに使用される磁性体の磁気異方性に関する基準に選んだ理由は、これまでロータ材料として使われた磁性体の中で、5kOeもの高磁界で、これほど大きい磁化の異方性、即ち、大きい比(Ie/Id)を示す材料は前例が無く、方向性硅素鋼板や積層鋼板等、磁気的な異方性を持つことが知られている磁性体でも、上記の基準と比べると、はるかに、磁気異方性が小さいからである。5kOeという高磁界を印加すると、従来の磁性体では、印加方向がどんな方向でも、磁性体が測定方向に細長ければ(反磁界係数が小さければ)、磁化は、かなり飽和に近くなる。5kOeという高磁界は、本発明のリラクタンスモータのロータに使用される磁性体を、従来のものと区別するための測定磁界として最適である。
【0021】
磁化容易方向の磁化の大きさ(Ie)と磁化困難方向の磁化の大きさ(Id)との比(Ie/Id)が、2より大きいと、磁性体を通過する磁束に対して、磁化容易方向と通過する磁束のなす角度により、リラクタンスの差が大きくなり、(Ie/Id)の比が、更に大きくなると、リラクタンスの角度依存性が、更に大きくなるので、ロータ材料として、更によい磁性体になる。なお、比(Ie/Id)を測定するための磁化測定においては、試料の形状に起因する反磁界を補正した磁化曲線によらなければならない。
【0022】
ロータ構造を、従来と同じ突極型にする場合には、上述した磁性体の磁化容易方向の磁化の大きさ(Ie)と磁化困難方向の磁化の大きさ(Id)との比(Ie/Id)が2以上でなくても、例えば、比(Ie/Id)が、1.2〜1.5でも、その磁性体の中の高異方性結晶粒の磁化容易方向を、突極から隣の突極を結ぶ方向に配向することにより、突極型の形状から得られるリラクタンスの差に、本発明の磁気異方性から得られるリラクタンスの差が相加的に働き、従来の軟磁性体だけで形成されるロータを使う場合よりも、リラクタンストルクを大きくすることができ、また、ロータの突出度を余り大きくしなくても、所望のリラクタンストルクが得られるようになる。比(Ie/Id)が大きい磁性体を用いることにより、ロータを突極にしなくても、即ち、円柱状でも、また、非磁性体層を設けたり、スリットを配置したりしなくても、高異方性結晶粒の磁化容易方向の配向により、軟磁性体のみで構成された従来の突極を持つロータの場合と同じように、磁極から磁束が入る場合と、磁極間から磁束が入る場合とで、リラクタンスの差を与えることができ、従って、リラクタンストルクを与えることができる。このように、ロータが円柱状の場合或いは突出度が小さい形状の場合には、比(Ie/Id)は、2以上が望ましく、比(Ie/Id)が、もっと大きければ、更に、大きいリラクタンストルクが得られる。
【0023】
磁性体の1つの磁気特性として、飽和磁化(Is)が大きいことが重要である。飽和磁化(Is)を大きくすることにより、磁心材料の磁束通過断面積を小さくすることができるので、ロータを小さくすることができ、従って、リラクタンスモータを小型化することができるからである。
【0024】
本発明においては、ロータに使用される磁性体として、飽和磁化が大きく、且つ、磁気的にソフトな(即ち、保磁力が小さい)高異方性磁性体材料を使うことを提案する。即ち、上述したように、保磁力を、2kOe以下、好ましくは、1kOe以下としたものである。保磁力が、2kOe以下であれば、本発明のロータが、該モータ中に装備されている電磁石や永久磁石により、最初に磁化された後に、使用中又は分解修理中に、何らかの理由により、望ましくない方向に磁化されてしまっても、ロータが組み込まれたモータ中に装備されている電磁石や永久磁石からの磁束により、正常な方向に再磁化されるので、モータが異常動作等を起こすことなく、常に、正常に動作することになる。磁性体は、一般に、保磁力が大きくなると、磁化の可逆性が失われる。本発明のロータにおいて、ロータを構成する磁性体の保磁力(iHc)が、2kOeを越えると、運転中や修理中に、何らかの理由により、一旦、減磁されたり、正常方向と異なる方向に磁化されてしまったとき、正常な方向に磁化するためには、モータ中に装備された電磁石や永久磁石からの磁界では磁化力不足で、別に用意されたパルス磁界源等による強力な着磁が必要となる。これは実用的ではない。保磁力を、1kOe以下とすることにより、磁化の可逆性は、更に高まり、上述の中途半端な保磁力を持つ磁性材料を、ロータに使うことにより起こり得る種々の問題が、全くなくなる。
【0025】
磁気異方性が大きく、飽和磁化が大きく、保磁力が小さい磁性体として、次のような構成の磁性体がそれにあてはまる。先ず、磁気異方性が大きいためには、上述した磁気異方性が大きい化合物の結晶粒が含まれていることが必要である。そして、それらの結晶粒の結晶方向が一定方向に配向されていることが必要である。磁性体として、これら高結晶磁気異方性化合物の結晶粒だけからなるとき、その磁性体の磁気異方性は極めて大きくなる。上述の比(Ie/Id)は、2よりもずっと大きく、Nd2 Fe14BやSm2 Fe173 等を使用すると、比(Ie/Id)>5〜10の高異方性磁性体が容易に得られる。
【0026】
一方、飽和磁化が大きいことが必要なので、NdFeB焼結磁石において必要なNd−rich相のような非磁性相はできるだけ少なくする。更に、飽和磁化を大きくするために、上述の高異方性化合物の他に、FeやFeCo合金等を加える。このような高結晶磁気異方性化合物の結晶粒とFeやFeCo合金等の高飽和磁化軟磁性合金の結晶粒との混合体は、本発明のロータを構成する磁性体として最適である。その混合比は、高い磁気異方性を持つ磁性体として、通常のFeやFeSi等のFe合金(以下、Fe合金とは、高異方性の化合物が含まれてない、従来法のロータを構成する等方性軟磁性体を指す。)のみからなる磁性体に比べて、顕著な効果を持つためには、磁性体全体の中で、高磁気異方性化合物の体積比は、少なくとも、20%、望ましくは、30%以上必要である。また、保磁力を小さくするために、永久磁石として望ましい合金組織が微細であることと逆行する、合金組織が十分粗大であることが必要である。また、上述のFeやFeCoが磁性体中に含まれていることは、保磁力低下に好都合である。
【0027】
次に、図3を用いて、高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒を含む磁性体の前記結晶粒を、所望の方向に配向させてロータを製造する、一例について説明する。
【0028】
例えば、図3(a)に示されているような、700°C以上の高温に加熱された、Sm2 Fe14Bを含む合金の断面十字状の素材塊w1を、太い十字状から、徐々に、細い十字状に、断面積を余り変えずに押し出し加工すると、図3(b)に示されているように、寸法が収縮した方向と平行に、Sm2 Fe14Bの結晶粒のc軸が配向した、側断面形状が十字状の磁心材料1が製造できる。この場合、ロータの突極を構成する、十字状の磁心材料1の4つの突出部分1aは、内側に収縮しているので、矢印で示されているように、突出部分1aの突出方向に対して垂直な方向にc軸が配向し、また、十字状の磁心材料1の4つの窪んだ角部1bでは、角部1bの曲率半径方向にc軸が配向することになる。そして、Sm2 Fe14Bは、面内異方性を示すので、図3(b)に矢印で示したc軸方向に垂直な面が、磁化容易方向となり、c軸方向が、磁化困難方向になる。
【0029】
従って、図3(b)に示されているように結晶粒のc軸が配向された面内磁気異方性を有する十字状の磁心材料1を、図4に示されているリラクタンスモータのインナーロータRに使用すると、図3(b)と同じ断面形状を持ち、通常のFeやFeSi等の軟磁性材料からなるインナーロータを使用する場合に比べて、リラクタンストルクを大きくできる。それは、図3(b)のように、配向されたSm2 Fe14Bを含むインナーロータを使用することにより、ステータの1つの磁極から出て、インナーロータを通過して、90°ずれた位置のステータの磁極に入る磁束を考えるとき、磁束のロータ中での道筋によるリラクタンスの大きさの差は、ステータの磁極とインナーロータの磁極の間の空間の大きさの、インナーロータの角度位置による差の効果(これは等方性軟磁性体による従来のインナーロータを使用したときのリラクタンストルクを与える。)に加え、磁束が高異方性磁性体の磁化容易方向に沿って進むか、それとも、磁化困難方向に沿って進むかによる磁気異方性の効果が加算されるからである。
【0030】
なお、図3(b)の4極インナーロータの最終形状は、熱間加工前の素材塊w1の形状(図3(a))により必要に応じて調整できる。もし図3(b)よりも突出度の小さい形状が望ましいならば、素材塊w1の形状を、図3(a)よりも、もっと突出度が小さい形状、若しくは、ほとんど円柱に近い形状から出発して、突出度をそれより少し大きくすることにより得られる。もし、図3(a)の素材塊w1を、断面積は変えずに、図3(a)において突出している部分w1’を、凹んでいる部分w1”と、中心からの距離が同じになるように加工すると、円柱状のロータが得られ、図3(a)で突出していた部分w1’では、加工された円柱状のロータの円柱側面に対して化合物のc軸方向が垂直に、逆に、図3(a)で凹んでいる部分w1”では、上記円柱側面に対して化合物のc軸方向が平行になり、Sm2 Fe14Bの化合物の場合、前者(もともと突出していた部分w1’)からは磁束が入りにくく、後者(もともと凹んでいた部分w1”)からは磁束が入りやすい円柱状インナーロータが作製できる。
【0031】
図5に示されている実施例では、一軸磁気異方性を示す化合物の結晶粒を含む粉末を、円筒状の金型2内で、圧縮成形して円柱状圧粉体w2を成形する。このとき、圧縮前に、円筒状の金型2の周囲に90°間隔で配設された4組のコイル3に、電流を流すことにより、矢印で示されているように、磁力線が、1つの磁極を通って、他の磁極に入るように磁界を印加して、化合物の結晶粒を磁界配向し、配向を保ったまま圧縮成形する。このようにして成形された円柱状圧粉体w2を焼結することにより、或いは、円柱状圧粉体w2に、予め、含有させておいた樹脂粉末を硬化させることにより、図6に示されているように、円柱体側面を円周に沿って4等分する位置に、化合物の結晶のc軸方向が集中した極が形成された円柱状の磁性体が製造される(図6において、点線は、磁力線を示す。)。この円柱状磁性体では、上記4つの極においては化合物の結晶のc軸方向が、円柱の側面に垂直であり、これらの極の間では、隣りどうしの極を結ぶ方向に、化合物の結晶のc軸方向が配向されている。
【0032】
上述のようにして製造された円柱状磁性体を、図7に示されているリラクタンスモータのインナーロータRに使用すると、ステータSの突極sの1つを励磁したとき、上述のc軸方向が配向された極mの1つが、ちょうど、この励磁された突極sの位置に一致したとき、磁路のリラクタンスが最小になり、この励磁された突極sが、隣りどうしの極mの中間に位置したとき、磁路のリラクタンスは最大になる。このリラクタンスの差によりリラクタンストルクが生じてインナーロータRが回転することになる。
【0033】
上述したように、ロータRを円周方向に4等分する位置に磁極mが形成されるとともに、隣接する磁極m間を、円弧状に結ぶように、結晶のc軸が配向した磁路が形成されているので、磁極m部分に、突極が形成されたような円柱状のインナーロータRを構成することができる。このようなインナーロータRは、円柱状に形成されており、突極を有していないので、インナーロータRを小型化することができるとともに、トルクリップルが少なく、騒音の発生を抑えることができる。即ち、従来の軟磁性材料によるインナーロータでは空間を作ることによりリラクタンスを大きくする部分を形成していたのに対して、本実施例では、従来法の空間に当たる部分は、磁束の通路として有効に利用されている。このためモータ内に余分な空間を設ける必要がなく、モータの小型化、トルクリップル抑制、低騒音化が可能となる。
【0034】
図8に示されている実施例は、図7に示されているインナーロータRにおいて、各磁極m間に位置する円周面を削除して、突極rを形成したものである。このように、突極rを形成することにより、リラクタンスの最小値と最大値との差を更に大きくすることができ、従って、リラクタンストルクのより大きなリラクタンスモータを製造することができる。図8のロータを、従来の軟磁性材料のみからなるロータに比べると、形状の突出度が同じなら、図8のロータの方が従来法のロータよりも大きいリラクタンス差を与えることができ、リラクタンストルクを大きくできる。モータの効率や力率の改善に関して、従来法の突出度を大きくしたり、スリットを多数設けてリラクタンス差を大きくするだけの手段では、限界に達していたが、本発明の方法により、突出度やスリット数や幅は余り大きくしないで、リラクタンス差を大きくすることができるようになったので、従来の限界を越えて、リラクタンス差の観点から、モータの力率や効率を改善することができるようになった。
【0035】
図9に示されているインナーロータRは、図7に示されているインナーロータRにおいて、各半径線4a〜4dに沿って、Fe又は/及びFe合金からなる十字状枠5を埋設したものである。このFe又は/及びFe合金からなる十字状枠5は塊状Fe又はFe合金を加工したもの、又は、薄板状Fe又は/及びFe合金を積層したものを使用することができる。このように、各半径線4a〜4dに沿って、Fe又は/及びFe合金からなる十字状枠5を埋設したことにより、インナーロータRの機械的強度が増し、高速回転のリラクタンスモータ用ロータとして使用できる。特に、上述の十字状枠を積層した硅素鋼板により製作することにより、ロータ内に発生する渦電流を減少させることができる。この実施例のように、本発明のロータは、ロータ全体が高い結晶磁気異方性を持つ化合物の結晶粒を含む高異方性磁性体のみにより形成される必要はなく、その一部がこのような高異方性磁性体からなり、その磁性体が所望の方向に配向されていて、高異方性磁性体と等方的なFeやFe合金の組み合わせにより、所望の方向に磁路が形成されていても、本発明の効果を発揮することができる。
【0036】
図10に示されているインナーロータRは、図8と同様に、図9に示されているインナーロータRにおいて、Fe又は/及びFe合金からなる十字状枠5間に位置する円周面を削除して、突極rを形成したものであり、このように、突極rを形成することにより、リラクタンスの最小値と最大値との差を更に大きくすることができ、従って、リラクタンストルクの大きなリラクタンスモータを製造することができる。
【0037】
従来法のリラクタンスモータのインナーロータでは、始動時に、誘導モータとして加速するため、かご形のロータバーが軟磁性材料のインナーロータに取付けられている。本発明のリラクタンスモータでもインナーロータにCuやAl製のロータバーを取付け、誘導モータとして始動するようにすることもできる。
【0038】
上述した実施例は、ロータが、ステータの内側に配置された、所謂、インナーロータ型のリラクタンスモータについて説明したが、本発明の趣旨は、ロータが、ステータの外側に配置された、アウターロータ型のリラクタンスモータに適用することができる。
【0039】
図11に示されている実施例では、円筒状に形成された、高異方性磁性体からなるアウターロータRの内側に、ステータSを構成するコイル6aが巻回された鉄心6を、放射線状に配置し、アウターロータRの内径面に12個の磁極mが形成されている。そしてアウターロータR内では、隣どうしの磁極mを結ぶように、高い結晶磁気異方性を持つ化合物の結晶の磁化容易方向が配向されている。ステータSの突極を形成する鉄心6の先端部6bが、磁極mに対峙するように位置した時に、リラクタンスが最小となる。また、鉄心6の先端部6bが、隣どうしの2つの磁極mの中央部に位置する時には、アウターロータRの磁極m間では、磁化容易方向は円周面に平行であり、鉄心6の先端部6bからアウターロータRに侵入する磁束の方向は、アウターロータRを構成する磁性体の磁化困難方向に当たるので、アウターロータRがステータSに対してこの位置のとき、リラクタンスは最大になる。このリラクタンスの差により、リラクタンストルクが発生してアウターロータRが回転する。このアウターロータRを回転させるためには、アウターロータRのステータSに対する角度位置を検出し、この検出された角度位置により、所望の方向にアウターロータRを回転させるための最適ステータ磁極を選択して、これを励磁する。この実施例のように、本発明により、形状的な突極を持たない円筒状磁性体からなるアウターロータにより、リラクタンスモータが製作可能となった。アウターロータをFeやFe合金だけで作ろうとすると、磁極が大きく突出したものになり、モータが大型化したり、風損が大きくなり過ぎたり、回転が不安定になったりする問題があった。本発明により、始めて、アウターロータ型のリラクタンスモータが可能となった。
【0040】
図12に示されている実施例は、図11に示されている実施例において、アウターロータRの磁極mに、内側に向かう突極8を形成したものであり、このような突極8を形成することにより、上述したリラクタンス差をより大きくすることができ、従って、リラクタンストルクの大きなリラクタンスモータを製造することができる。この場合、リラクタンストルクの主要部分は、本発明の趣旨である結晶磁気異方性の大きい化合物の結晶粒の配向の効果によるものであり、形状的な突極性による部分は、補助的なものであることが望ましい。これは、突極8の突出度があまり大きくなるとモータが大型化したり、風損が大きくなったり、回転が不安定になったりしやすいからである。
【0041】
図13(a)は、4等分された扇状領域9a〜9dを有するディスクロータRであり、各扇状領域9a〜9dにおいては、扇状領域9cの正面図である図13(b)に示されているように、隣接する扇状領域9c、9dとの上面境界線10に向かう円弧線に沿って、結晶の磁化容易方向が配向されている。このように形成されたディスクロータRにおいては、各扇状領域9a〜9dの境界部に磁極mが形成され、隣接する磁極m間を結ぶように、結晶の磁化容易方向が円弧状に配向した磁路が形成されている。
【0042】
上述したディスクロータRの上部に、回転磁界を発生させるステータを配置すると、ステータの磁極が、ディスクロータRの円板面に形成された磁極mに対峙するように位置した時に、リラクタンスが最小となる。また、ステータの磁極が、扇状領域9a〜9dの中央部に位置する時には、扇状領域9a〜9dの中央部は、上下方向が、磁化困難方向であるので、この方向に磁束が通り難いのでリラクタンスが最大となる。このリラクタンス差を利用して、ディスクロータRを回転させることができる。また、上面境界線10に沿って、上方に突出した小さい突極を形成することにより、上述したリラクタンス差をより大きくすることができ、従って、リラクタンストルクの大きなリラクタンスモータを製造することができる。この場合にも、リラクタンストルクの主要部分は、ディスクロータを構成する磁性体の磁気異方性によることは、上述のアウターロータの場合と同様である。
【0043】
上述したアウターロータとディスクロータの場合にも、所望の配向を与える方法として、(1)高温で磁性体を加工して塑性変形に伴う加工組織として、磁性体に含まれている高異方性化合物の結晶を配向する方法と、(2)高異方性化合物の単結晶からなる結晶粒を含む粉末を、金型やゴム型に充填し、磁界を印加して結晶粒の結晶方向を配向した後、金型プレス、または、Rubber Isostatic Press(RIP)により圧縮して圧粉体を得る方法がある。(2)により圧縮成形された圧粉体は、高温に加熱して焼結体にしたり、又は、あらかじめ粉末に樹脂粉を混ぜておき、樹脂を硬化させて固化する。
【0044】
高温の塑性変形により、所望の方向に化合物の結晶方位を配向する方法の原理は、図3のインナーロータの製作のときと同じである。即ち、R2 Fe14B、又は、R2 Fe14Bを含む合金を700〜800℃で塑性変形させると、寸法が収縮した方向に平行に結晶のc軸が向くことが知られている。この原理と、Sm2 Fe14Bは面内異方性を持つこと、そして、Nd2 Fe14BやPr2 Fe14Bは一軸異方性を持つことと合わせて、磁化容易方向が所望の方向に配向されたアウターロータやディスクロータを製造する。また、粉末を磁界配向して、その後配向を保ったまま圧縮する方法では、圧粉に使う金型やゴム型の周囲に磁界発生のためのコイルを配し、コイルに電流を流して、粉末の中に含まれる高異方性化合物の結晶の磁化容易方向が、コイルから発生する磁力線の方向に配向される性質を利用する。ロータの極数に応じて複数のコイルを配置して、所望の配向を有するアウターロータやディスクロータを製造する。また、インナーロータの場合と同様、アウターロータやディスクロータにおいても、リラクタンスの小さい磁路の形成は、所望の方向に配向された高異方性磁性体のみからなる場合と、磁路の一部が、等方的なFe又は/及びFe合金からなり、等方的な磁性体と高異方性磁性体の組み合わせにより磁路が形成される場合との両方が可能である。後者の採用により、ロータの機械的強度増強や渦電流減少(鉄損減少)のために有利な設計が可能になる。
【0045】
上述した実施例においては、いずれも、インナーロータの場合4極、アウターロータの場合12極、ディスクロータの場合4極の例が示されているが、磁極の数は、公知のリラクタンスモータと同様に、偶数であれば、用途に応じて自由に選択できる。
【0046】
なお、本発明のロータを使用したリラクタンスモータにおいては、ロータの各磁極は、始動時に、それぞれN極又はS極であることが決まると、その後の運転中には、各磁極は、その始動時に決められた磁極の符号を頻繁に変えないよう、できれば、始動時に獲得した磁極の符号を運転中ずっと変えないように界磁電流の方向とタイミングを工夫しなくてはならない。それは、本発明のロータを構成する磁性体は、従来のリラクタンスモータのロータに使われているFe−Si合金などに比べると鉄損がどうしても大きくなりがちであるからである。ただし、ロータ磁極の符号さえ変えなければ、即ち、ステータの界磁により、ロータの各磁極に、最初の磁極と逆の方向に磁化するように、逆の強い磁界を印加するのではなく、磁界の方向は同じで、ただ単に、磁界の大きさだけが変化するのは、本発明のロータを構成する高異方性磁性体の中に大きいヒステリシス損を生じる理由にならない。従って、ロータの磁極は、始動時に、一方向に磁化され、N極又はS極になり、その後、運転中は、その磁極に印加される磁界が同じ方向に大きくなったり小さくなったり、零になったりする励磁のされ方をするように運転されることが望ましい。
【0047】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏するものである。
【0048】
ロータの突出度を余り大きくしないでも、ロータの角度位置によるリラクタンス差を大きくする手段を得たので、モータの力率や効率を改善できるようになった。
【0049】
また、ロータの突出度を小さく抑えることができるので、トルクリップルが小さく、騒音の小さいリラクタンスモータができるようになった。
【0050】
更に、これまで、リラクタンスモータはインナーロータ型だけしか使われていなかったが、本発明により、形状的な突出による以外の磁気的異方性の手段により、ロータの角度位置によるリラクタンス差を大きくすることができるようになったので、これまで実用的でないため使われていなかったアウターロータ型及びディスクロータ型のリラクタンスモータが実用的に可能になり、用途によってモータ形式の選択の幅が拡がった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は化合物の結晶粒の集合体の模式図である。
【図2】図2は磁心材料の磁化曲線である。
【図3】図3は断面形状が十字状の面内磁気異方性を有する磁心材料の素材の断面図と該素材から成形されたインナーロータの断面図である。
【図4】図4は図3に示されているインナーロータとステータからなる本発明のリラクタンスモータの動作を説明するための模式図である。
【図5】図5は本発明のリラクタンスモータを構成する円柱状インナーロータの製造装置の概略水平断面図である。
【図6】図6は本発明のリラクタンスモータを構成する円柱状インナーロータの模式図である。
【図7】図7は図6に示されている円柱状インナーロータとステータからなるリラクタンスモータの動作を説明するための模式図である。
【図8】図8は図6に示されている円柱状インナーロータに変更を加えた別の実施例のインナーロータの模式図である。
【図9】図9は図6に示されている円柱状インナーロータに変更を加えた更に別の実施例のインナーロータの模式図である。
【図10】図10は図6に示されている円柱状インナーロータに変更を加えた更にまた別の実施例のインナーロータの模式図である。
【図11】図11は本発明のリラクタンスモータを構成するアウターロータの模式図である。
【図12】図12は図11に示されているアウターロータに変更を加えた別の実施例のアウターロータの模式図である。
【図13】図13は本発明のリラクタンスモータを構成するディスクロータの模式図である。
【図14】図14は従来のリラクタンスモータの動作を説明するための模式図である。
【図15】図15は同じく従来のリラクタンスモータの動作を説明するための部分模式図である。
【符号の説明】
R・・・・・・・・・・・ロータ
S・・・・・・・・・・・ステータ
r・・・・・・・・・・・ロータの突極
s・・・・・・・・・・・ステータの突極
m・・・・・・・・・・・磁極

Claims (4)

  1. 偶数の磁極を有するロータを構成する磁性体が、異方性磁界が20kOe以上の高い結晶磁気異方性を有する化合物の結晶粒とFeやFe合金の結晶粒とを含むとともに、上記結晶粒を所望の方向に配向することにより、上記磁性体中に、上記磁極間を結ぶ磁路が形成されており、また、上記磁性体が、磁界5kOeのときに測定される磁化容易方向の磁化の大きさ(Ie)と磁化困難方向の磁化の大きさ(Id)との比(Ie/Id)が、2以上であって、且つ、2kOe以下の低保磁力を有することを特徴とするリラクタンスモータ。
  2. ロータがインナーロータであり、該インナーロータの外側面に、前記磁極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリラクタンスモータ。
  3. ロータがアウターロータであり、該アウターロータの内側面に、前記磁極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリラクタンスモータ。
  4. ロータがディスクロータであり、該ディスクロータの円板面に、前記磁極が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリラクタンスモータ。
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