JP2629846B2 - 永久磁石回転子 - Google Patents

永久磁石回転子

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、整流用刷子を持たない電動機の永久磁石回
転子に関する。
[従来の技術] 永久磁石回転子を有する電動機は、駆動用の半導体素
子の発達と、整流用刷子を持つ整流子付電動機に比べ、
刷子部分がなく信頼性が高いために、OA用を中心に大型
のFA用電動機の分野までその使用される分野が広がって
いる。
従来の回転磁界の永久磁石を使用した永久磁石回転子
(インナーロータ用永久磁石回転子)の例を第3図に示
す。回転軸4の周囲にフェライト磁石9を接着固定した
例である。
上述の永久磁石回転子は、固定子(図示せず)に設置
された駆動コイルを順次励磁することにより回転する構
造となっている。
[発明が解決しようとする課題] しかし従来のフェライト磁石を永久磁石として使用し
た永久磁石回転子においては、界磁用永久磁石として必
要とされる最大エネルギー積が、ほぼ5MGOe以下と、希
土類磁石に比べ劣るために (1)効率が低い。
(2)十分なギャップ磁束密度を得るためには、磁気回
路のパーミアンスを高くしなくてはならないために、永
久磁石回転子が大型になってしまう。
という課題があった。
またアルニコ磁石は、最大エネルギー積ではフェライ
ト磁石よりも大きいものの、保磁力が1.5kOe程度しかな
いために、電動機に使用した場合、動力中に生ずる逆起
電力、特に始動時には始動電流に起因する強い反磁界が
加わるために減磁してしまうという問題があり、あまり
使用されていなかった。
一方、焼結型希土類磁石は、高いエネルギー積を持
ち、且つ保持力も大きいことから永久磁石回転子の磁石
としては最適であるが、原料が高価である上に製造工程
が、溶解、鋳造により合金インゴットを作製し、粉砕し
て3μm程度の粒径を有する磁石粉とした後、成形助剤
であるバインダーと混練され、磁場中でプレス成形し、
この成形体をアルゴン中で1000℃前後の温度で1時間焼
結して、その後600℃前後の温度で熱処理しなくてはな
らないために、複雑であり磁石がさらに高価になってし
まうという課題を有していた。
また、樹脂結合型の希土類磁石では、形状任意性・耐
衝撃性には優れているが、磁石粉末と樹脂との混合物で
あるため磁気特性は、焼結磁石に比べ劣っていた。
さらに、どの磁石を使用したインナーロータ型の永久
磁石回転子にも共通した課題として、高速回転電動機用
に使用する場合、遠心力が回転軸への永久磁石の固着力
により大きくなってしまうと、永久磁石が回転軸より剥
離し、電動機が壊れてしまうという課題を有していた。
そこで本発明は、このような問題点を解決するもの
で、その目的とするところは、永久磁石としてR(但し
RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)、遷移
金属、ボロンを基本組成とし、ヨークも同時に製造で
き、且つ、回転軸と磁石とが固相接合しているために高
速回転時にも破壊しない永久磁石回転子を低コストで提
供するところにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の永久磁石回転子は、磁界発生のための永久磁
石と軟磁性体のヨークとから構成される永久磁石回転子
において、前記磁石と磁石両面に配置した前記ヨークを
一体で熱間圧延加工し製造された磁石ヨーク接合体2個
を前記磁石の同一極同士が対向するようにヨーク部同士
を直接あるいは軟磁性材料を挟んで固着したことを特徴
とする。
また永久磁石はR(但しRはYを含む希土類元素のう
ち少なくとも1種)、遷移金属およびボロンを基本成分
とすることを特徴とする。
あるいは前記磁石は鋳造磁石であり、かつ鋳造時の鋳
型は前記ヨークと同一物であることを特徴とする。
[実施例] 第1図に本発明の製造方法による永久磁石回転子の軸
方向から見た側面図を示す。1は希土類、遷移金属およ
びボロンを主成分とする永久磁石、2は熱間圧延加工の
結果永久磁石1に固相接合された鋳型ヨーク、3は補助
ヨークである。補助ヨーク3と鋳型ヨーク2は結合板5
と固定ネジ6で互いに固着されている。4は永久磁石回
転子軸で補助ヨーク3に圧入されてる。永久磁石1はS
極が対向するように着磁されている。したがって永久磁
石回転子全体としては、補助ヨーク3と前記補助ヨーク
に密着する鋳型ヨーク2の円周部はS極、永久磁石1の
N極側に密着する鋳型ヨーク2の円周部はN極の4局永
久磁石回転子となる。
第1表に本実施例の磁石合金の組成を示す。
ただし、磁石の組成としては、表1に示した組成に限
らず、希土類金属としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、
Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが候補として挙げ
られ、これらの内1種類、あるいは2種類以上を組み合
わせて用いられる。最も高い磁気特性はPrで得られる。
従って実用的には、Pr、Pr−Nd、Ce−Pr−Nd合金等が用
いられる。遷移金属としてはFe、Co、Ni、Cu、等が候補
として挙げられ、これらの内1種類、あるいは2種類以
上を組み合わせて用いられる。また、小量の添加元素、
例えば重希土類のDy、Tb等や、Al、Si、Mo、Ga等の保磁
力の向上に有効である。
R−TN−B系永久磁石の主相はR2TM14B化合物相であ
る。従ってRが8原子%未満ではもはや上記化合物を形
成せず、高い磁気性能は得られない。一方、Rが30原子
%を越えると非磁性のRリッチ相が多くなり磁気特性は
著しく低下する。従ってRの範囲は8〜30原子%が適当
である。しかし、鋳造磁石とするため、好ましくは8〜
25原子%が適当である。
BはR2TM14B化合物相を形成するための必須元素であ
り、2原子%以下では菱面体のR−TM系になるために高
い保磁力は望めない、また、28原子%を越えるとBを含
む非磁性相が多くなり、残留磁束密度は著しく低下して
くる。しかし、鋳造磁石としては好ましくはBは8原子
%以下がよく、それ以上では特殊な冷却を施さない限り
微細なR2TM14B化合物相を得ることが出来ず、適切な保
磁力が得られない。
Al、Ga等は保磁力増大の効果を示す。しかしながら、
AlやGaは非磁性元素であるため、その添加量は増すと残
留磁束密度が低下し、Alでは15原子%を越えると、Gaで
は6原子%を越えるとハードフェライト以下の残留磁束
密度になってしまうので希土類磁石としての目的を果た
し得ない。よってAlの添加量は15原子%以下、Gaは6原
子%以下がよい。
第1表の組成の合金を溶解し、両面に鋳型ヨーク2を
用いて構成した鋳型の鋳込み、冷却後950℃に加熱し、
熱間圧延加工を行なった。ついで熱処理をおこない第2
図に示す永久磁石1、鋳型ヨーク2の固相接合体を得
た。この永久磁石1の磁気特性を第2表に示す。
固相接合体はスライサー7を用いて台形に切り出し固
定子の内側になる鋳型ヨーク2にネジ穴を加工し後、永
久磁石回転子軸4が圧入された補助ヨーク3と結合板5
を介して組み立てた。その後研削加工によって所望の直
径に加工し反発磁界による着磁を行なった。
[発明の効果] 以上述べたように、本発明の永久磁石回転子の製造方
法は、鋳造インゴットを粉砕・焼結という工程を経るこ
となく熱間加工と熱処理を施すだけで十分な保磁力が得
られ、永久磁石の生産工程を大幅に削減することができ
る。しかも磁石と鋳型ヨークの接合体を台形に切り出す
ことによって、永久磁石部分の切削代を極めて小さく抑
えることができ磁石合金の有効利用が図れる。
さらに、磁気特性としても最大エネルギー積が実施例
1では、16〜17(MGOe)と従来のフェライト磁石に比べ
約7倍の磁気特性を持つため小型で剛性の高い永久磁石
回転子を構成することが可能となっている。
また磁石自体の強度が焼結品と比較して非常に大き
く、さらに磁石と他の構造材あるいは磁気回路と固相接
合が行なわれるため高速度で回転する永久磁石回転子に
おいても破損や剥離等の問題なく使用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の製造方法による永久磁石回転子の側面
図、第2図は本発明の永久磁石回転子の製造過程におけ
る断面図、第3図は従来の永久磁石回転子の側面図であ
る。 1……永久磁石 2……鋳型ヨーク 3……補助ヨーク 4……永久磁石回転子軸 5……結合板 6……固定ネジ 7……スライサー

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁界発生のための永久磁石と軟磁性体のヨ
    ークとから構成される永久磁石回転子において、前記永
    久磁石と永久磁石両面に配置した前記ヨークを一体で熱
    間圧延加工し製造された、磁石ヨーク接合体2個を、前
    記磁石の同一極同士が対向するようにヨーク部同士が直
    接、あるいは軟磁性材料を挟んで固着したことを特徴と
    する永久磁石回転子。
  2. 【請求項2】前記永久磁石はR(但しRはYを含む希土
    類元素のうち少なくとも1種)、遷移金属およびボロン
    を基本成分とすることを特徴とする請求項1に記載の永
    久磁石回転子。
  3. 【請求項3】前記磁石は鋳造磁石であり、かつ鋳造時の
    鋳型は前記ヨークと同一物であることを特徴とした請求
    項1に記載の永久磁石回転子。
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