JP4340999B2 - 幅木回避用段部付きキャビネット及び板材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、幅木のある室内壁に当接させるように設置するキャビネット、並びこのように設置するキャビネットやカウンター等の側板等に用いる板材に関するものである。部屋には、室内壁の下端に幅木を取り付けたものがある。この室内壁にキャビネットやカウンターを当接するように施工する場合には、キャビネットやカウンターの側板の下端寄りに幅木回避用段部を形成して、側板が幅木と干渉しなようにする必要がある。
【0002】
【従来の技術】
従来、幅木のある室内壁にキャビネットやカウンターを当接するように施工する場合には、キャビネットやカウンターの側板の下端寄りに幅木回避用段部を製造元で予め形成し、施工現場に搬入するようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の方法では、次のような問題をあった。
(1)キャビネット等を設置する位置や幅木の高さ寸法が施工現場毎に異なるため、幅木のある室内壁に当接させるキャビネット等の側板が左右のいずれであるか、更に幅木の大きさが具体的にどの程度かを予め確認し、製造元に発注する手間を必要としていた。
【0004】
(2)発注して製造された後には、キャビネット等を設置する位置や幅木の高さ寸法を変更するこができない。もし、どうしても変更する場合には、再度発注し直して製造する必要があり、前回製造されているキャビネット等が無駄になる。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、施工現場で幅木回避用段部を容易に得ることができるキャビネット及び幅木回避用段部付き板材の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
施工現場で幅木回避用段部が容易に得られるキャビネットとするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、基板の外側面に表面材を接合した左右の側板を備えたキャビネットにおいて、前記左右の側板の各々は、前記基板の下端側の外側及び背側の各縁部に幅木回避用段部が形成されていると共に、両幅木回避用段部が前記表面材で覆われていることを特徴とする幅木回避用段部付きキャビネットである。
本発明にあっては、施工現場の幅木の位置及び大きさに応じて、キャビネットの左右の側板の一方または両方について、幅木回避用段部を覆う表面材を施工現場で切断して除去することで、施工現場の幅木の位置及び大きさに対応した幅木回避用段部を露出させることができる。
【0007】
幅木回避用段部が更に容易に得られるようにするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、前記左右の側板の各々が、上下に分離できる上下の分割部からなり、下方の分割部に前記幅木回避用段部が形成されている請求項1記載の幅木回避用段部付きキャビネットである。更に、施工を容易とするために、左右の下方の分割部どうしを蹴込み板で連結して一体化して台座部を形成しておくこともある。
本発明にあっては、表面材を切断して除去する対象が、分離して小さくなっている下方の分割部であるため、表面材の切断・除去作業が容易にできるようになる。
【0008】
施工現場で幅木回避用段部が容易に得られる板材とするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、基板の木口側の一方の長手縁部及び一方の短手縁部の各々に幅木回避用段部が形成され、幅木回避用段部が基板に接合した表面材で覆われていることを特徴とする幅木回避用段部付き板材である。
本発明にあっては、施工現場の幅木の位置及び大きさに応じて、表面材を施工現場で切断して除去することで、施工現場の幅木の位置及び大きさに対応した幅木回避用段部を露出させることができる。
【0009】
幅木のある室内壁に当接させる面が左右のいずれにも対処できるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、基板の木口側の一方の長手縁部及び両方の短手縁部の各々に幅木回避用段部が形成され、これら幅木回避用段部が基板に接合した表面材で覆われていることを特徴とする幅木回避用段部付き板材である。
本発明にあっては、短手方向の表面材のいずれか一方を選択して切断・除去することで、一枚の板材を左側用または右側用とすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るキャビネット及び幅木回避用段部付き板材(以下、「本発明キャビネット」及び「本発明板材」という)を図面に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示すものであり、図1は本発明キャビネットを用いて組み立てた洗面化粧台を示す斜視図、図2は施工前の本発明キャビネットを示すものであって、同図(A)は正面図、同図(B)は右側面図、同図(C)は右側縦断面図、図3は施工前の本発明キャビネットの右側板を構成する本発明板材を示すものであって、同図(A)は一部破断した正面図、同図(B)は一部破断した右側面図、同図(C)は背面図、(D)は底面図である。
【0012】
図1に示すように、洗面化粧台1は、本発明キャビネット2の上端に洗面器3を載置して構成してある。本発明キャビネット2は、図2に示す如く、本発明板材からなる左右の側板4,5と、左右の側板4,5を連結する連結材6,7,8,蹴込み板9及び背板10と、左右の側板4,5の間で連結材6,7の上に配置した底板20と、左右の側板4,5へ蝶番(図示略)を介して取付けた左右の開閉扉11,11とを備えている。左右の側板4,5の各々は、上端面に洗面器連結用のダボ12を突設すると共に、下端側に設けたボルト等からなる高さ調節用部材13を備えている。
【0013】
上記本発明板材からなる右側の側板5は、図3に示す如く、厚みが24mm程度の木質板材で枠組み形成した基板14と、基板14の左右の側面に接合した厚みが2.5mm程度の化粧合板からなる側面表面材15,16と、基板14の正面に接合した合成樹脂製テープからなる正面表面材17とで形成されている。この側板5は、基板14の木口側(下端側)の右側縁部に、長手方向に沿う幅木回避用段部18が削成等して形成されていると共に、幅木回避用段部18が側面表面材16及び正面表面材17で覆われている。また、この側板5は、基板14の木口側(下端側)の背側縁部に、短手方向に沿う幅木回避用段部19が削成等して形成されていると共に、幅木回避用段部19が両方の側面表面材15,16で覆われている。幅木回避用段部18,19は、厚みWが12mmで高さHが100mm程度に形成され、一般に用いられる幅木Aの最大寸法に対処できるようにしてある。本発明板材からなる左側の側板4は、その詳細図は省略したが、上記右側の側板5と対称の構造となるように形成されている。
【0014】
図1に示す幅木A,Aのある室内壁R1,R2に本発明キャビネット2を当接させるように施工する場合には、本発明キャビネット2の右側板4の右側(キャビネット外側)下端寄りに幅木回避用段部18を露出させると共に、本発明キャビネット2の両側板4,5の各背面下端寄りに幅木回避用段部19を露出させ、露出した幅木回避用段部18,19に幅木A,Aを侵入させるようにして設置を行う。長手の幅木回避用段部18の露出は、図2に示す右側板5の側表面材16及び正面表面材17を、現場の幅木Aに対応する所定位置で切断除去して行う。短手の幅木回避用段部19の露出は、左側板4の両方の側面表面材15,16の背側及び右側板5の内側の側面表面材15の背側を、現場の幅木Aに対応する所定位置で切断除去して行う。幅木回避用段部18,19を露出させるための切断除去は、側面表面材15,16及び正面表面材17が薄い切断容易なものであるため、施工現場においてカッターや鋸等を用いて簡単に行うことができる。なお、左側の室内壁(図示略)に本発明キャビネット2の左側板4を当接させるように設置する場合には、本発明キャビネット2の左側板4の左側下端寄りに幅木回避用段部18を露出させる。
【0015】
(第2の実施の形態)
図4及び図5は本発明の第2の実施の形態を示すものであり、図4は本発明キャビネットの上下の分割部を接合した状態を示すものであって、同図(A)は正面図、同図(B)は右側面図、同図(C)は右側縦断面図、図5は本発明キャビネットの上下の分割部を分離した状態を示すものであって、同図(A)は一部破断した正面図、同図(B)は一部破断した右側面図、同図(C)は右側縦断面図、同図(D)は要部を拡大して示す部分断面した正面図である。
【0016】
本発明キャビネット22は、左右の側板24,25の各々が、上方の分割部24a,25aと下方の分割部24b,25bとに分離と接合ができるように形成され、下方の分割部24b,25bの各々に幅木回避用段部18,19が形成されている。左右の側板24,25の各々は、上下の分割部24a,24b(25a,25b)を接合したとき、キャビネット外側を臨む外側面が面一となるようにしてある。左右の側板24,25の各々は、上端面に洗面器連結用のダボ12を突設すると共に、下端面に高さ調節用部材13を備えている。
【0017】
左右の側板24,25の上方の分割部24a,25aは、厚みが15mm程度の木質板材で枠組み形成した基板34と、基板34の左右の表面に接合した厚みが2.5mm程度の化粧合板からなる側面表面材35,36と、基板34の正面に接合した合成樹脂製テープからなる正面表面材37とで形成されている。上方の分割部24a,25aは、連結材30及び背板39で連結されていると共に、蝶番(図示略)を介して開閉扉31,31を取付けて、キャビネット上半部を形成している。
【0018】
左右の側板24,25の下方の分割部24b,25bは、連結材26,27,28及び蹴込み板29で連結して台座部40を構成し、キャビネット上半部を形成する分割部24a,25aを載置できるようにしてある。台座部40は、連結材26,27の上に、底板32を着脱自在に載置するようにしてある。下方の分割部24b,25bの各々は、厚みが24mm程度の木質基板44と、基板44の左右の表面に接合した厚みが2.5mm程度の化粧合板からなる側面表面材45,46と、基板44の正面に接合した合成樹脂製テープからなる正面表面材47とで形成されている。
【0019】
下方の分割部24b,25bの各々は、基板44の木口側(下端側)の外側縁部に、長手方向に沿う幅木回避用段部18が削成等して形成されていると共に、幅木回避用段部18が側面表面材46及び正面表面材47で覆われている。また、下方の分割部24b,25bの各々は、基板44の木口側(下端側)の背側縁部に、短手方向に沿う幅木回避用段部19が削成等して形成されていると共に、幅木回避用段部19が両方の側面表面材45,46で覆われている。幅木回避用段部18,19は、前記実施の形態と同様に、厚みWが12mmで高さHが100mm程度に形成され、一般に用いられる幅木の最大寸法に対処できるようにしてある。なお、下方の分割部24b,25bの各々は、キャビネット内側の側面表面材45を省略することがある。
【0020】
図1に示す幅木A,Aのある室内壁R1,R2に、図4に示す本発明キャビネット22を当接させるように施工する場合には、本発明キャビネット22の台輪40を構成する下方の分割部24b,25bの所定位置に、幅木回避用段部18及び幅木回避用段部19を露出させ、露出した幅木回避用段部18,19に幅木A,Aを侵入させるようにして台座部40を設置して行う。幅木回避用段部18の露出は、いずれか一方の分割部24b,25bの側面表面材46及び正面表面材47を、現場の幅木Aに対応する所定位置で切断除去して行う。幅木回避用段部19の露出は、分割部24b,25bの側面表面材45,46の背側を、幅木Aに対応する所定位置で切断除去して行う。幅木回避用段部18,19を露出させるための切断除去は、施工現場において、軽量の台座部40に対してカッターや鋸等を用いて簡単に行うことができる。この台座部40の設置が終了したならば、台座部40の上に、上方の分割部24a,25aで形成されているキャビネット上半部を載置して施工を完了する。
【0021】
(第3の実施の形態)
図6及び図7は本発明の第3の実施の形態を示すものであり、図6は本発明板材を示すものであって、同図(A)は一部破断した正面図、同図(B)は一部破断した右側面図、同図(C)は一部破断した背面図、同図(D)は底面図、図7は本発明板材を用いて組み立てカウンターを示すものであって、同図(A)は左側隅部に寄せて設置した斜視図、同図(B)は右側隅部に寄せて設置した斜視図である。
【0022】
本発明板材51は、厚みが24mm程度の木質板材で枠組み形成した基板54と、基板54の左右の側面に接合した厚みが2.5mm程度の化粧合板からなる表面材55,56と、基板54の正面及び背面に接合した合成樹脂製テープからなる表面材57,58とで構成されている。本発明板材51は、基板54の木口側(下端側)の右側の長手縁部に幅木回避用段部18が形成されている共に、同木口側(下端側)の正面及び背面の両方の短手縁部の各々に幅木回避用段部19が形成され、これら幅木回避用段部18,19が表面材56,57,58で覆われている。これら幅木回避用段部18,19は、前記実施の形態と同様に、厚みWが12mmで高さHが100mm程度に形成され、一般に用いられる幅木A(図7参照)の最大寸法に対処できるようにしてある。
【0023】
本発明板材51は、左右の側面が同質の表面材55,56で覆われていると共に、正面及び背面が同質の表面材57,58で覆われているため、正面と背面ととを逆転させることで、左側用又は右側用とすることができる。図7に示すカウンター61は、二枚の本発明板材51を左側用脚62と右側用脚63とに使用し、両脚62,63に天板64を架設して構成してある。
【0024】
カウンター61は、図7(A)に示すように、幅木Aのある左側の室内壁R3に左側用脚62を当接させると共に、幅木Aのある正面室内壁R2に左右の脚62,63を当接させるように施工する場合には、左側用脚62の左側下方に幅木回避用段部18を露出させると共に、左右の脚62,63の背面側下方に幅木回避用段部19を露出させた後に設置して行う。また、カウンター61は、図7(B)に示すように、幅木Aのある右側の室内壁R1に右側用脚63を当接させると共に、幅木Aのある正面室内壁R2に左右の脚62,63を当接させるように施工する場合には、右側用脚63の右側下方に幅木回避用段部18を露出させると共に、左右の脚62,63の背面側下方に幅木回避用段部19を露出させた後に設置して行う。カウンター61の設置は、露出した幅木回避用段部18,19に幅木A,Aを侵入させるようにして行う。
【0025】
前記幅木回避用段部18を露出させる場合には、化粧合板からなる表面材56及び合成樹脂製テープからなる表面材57,58を、施工現場の幅木Aに対応する所定位置で切断除去して行う。前記幅木回避用段部19を露出させる場合には、設置するときに背側となる合成樹脂製テープからなる表面材57又は58及び化粧合板からなる表面材55,56を、施工現場の幅木Aに対応する所定位置で切断除去して行う。幅木回避用段部18,19を露出させるための切断除去は、施工現場においてカッターや鋸等を用いて簡単に行うことができる。
【0026】
(その他の実施の形態)
本発明キャビネットは、前記第1及び2の実施の形態の洗面化粧台用のもの以外に、収納家具用又は収納庫用等のものにも適用することができる。
【0027】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明に係るキャビネットは、施工現場の幅木の位置及び大きさに応じた幅木回避用段部が施工現場で容易に得られるため、キャビネット製造元に指示することなく施工現場の仕様に対処でき、施工性の向上が図れる。
請求項2記載の本発明に係るキャビネットは、分離して小さくなっている下方の分割部の表面材を切断・除去するため作業が容易となり、施工性を更に向上できる。
【0028】
請求項3記載の本発明に係る幅木回避用段部付き板材は、施工現場の幅木の位置及び大きさに応じた幅木回避用段部が施工現場で容易に得られるため、カウンター等を構成する板材を容易に提供できる。
請求項4記載の本発明に係る幅木回避用段部付き板材は、一枚の板材を右側用または左側用とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであり、本発明キャビネットを用いて組み立てた洗面化粧台を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態における施工前の本発明キャビネットを示すものであって、同図(A)は正面図、同図(B)は右側面図、同図(C)は右側縦断面図である。
【図3】同実施の形態における施工前の本発明キャビネットの左側板を構成する本発明板材を示すものであって、同図(A)は一部破断した正面図、同図(B)は一部破断した右側面図、同図(C)は背面図、(D)は底面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る本発明キャビネットの上下の分割部を接合した状態を示すものであって、同図(A)は正面図、同図(B)は右側面図、同図(C)は右側縦断面図である。
【図5】同実施の形態における本発明キャビネットの上下の分割部を分離した状態を示すものであって、同図(A)は一部破断した正面図、同図(B)は一部破断した右側面図、同図(C)は右側縦断面図、同図(D)は要部を拡大して示す部分断面した正面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る本発明板材を示すものであって、同図(A)は一部破断した正面図、同図(B)は一部破断した右側面図、同図(C)は一部破断した背面図、同図(D)は底面図である。
【図7】同実施の形態における本発明板材を用いて組み立てカウンターを示すものであって、同図(A)は左側に寄せて設置した斜視図、同図(B)は右側に寄せて設置した斜視図である。
【符号の説明】
4(5,24,25)…側板、14(34,44,54)…基板、15(16,35,36,45,46)…側面表面材、17(37,47)…正面表面材、18(19)…幅木回避用段部、24a(24b)…分割部、25a(25b)…分割部,55〜58…表面材、A…幅木
Claims (4)
- 基板の外側面に表面材を接合した左右の側板を備えたキャビネットにおいて、前記左右の側板の各々は、前記基板の下端側の外側及び背側の各縁部に幅木回避用段部が形成されていると共に、両幅木回避用段部が前記表面材で覆われていることを特徴とする幅木回避用段部付きキャビネット。
- 前記左右の側板の各々が、上下に分離できる上下の分割部からなり、下方の分割部に前記幅木回避用段部が形成されている請求項1記載の幅木回避用段部付きキャビネット。
- 基板の木口側の一方の長手縁部及び一方の短手縁部の各々に幅木回避用段部が形成され、幅木回避用段部が基板に接合した表面材で覆われていることを特徴とする幅木回避用段部付き板材。
- 基板の木口側の一方の長手縁部及び両方の短手縁部の各々に幅木回避用段部が形成され、これら幅木回避用段部が基板に接合した表面材で覆われていることを特徴とする幅木回避用段部付き板材。
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