JP4340899B2 - Ni基合金製品 - Google Patents

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Description

本発明は、高温水環境で長期にわたり使用される原子炉構造部材としての用途を前提とするNi基合金製品に関する。
Ni基合金は、すぐれた耐食性、耐熱性ばかりでなく機械的性質も良好なので、厳しい環境下での種々の部材として使用されている。とくに加圧水型原子炉の蒸気発生器等では長期にわたり高温高圧の水に曝されるが、その間、部材の交換はできるだけ抑制したいことから、たとえば、アロイ690合金(60%Ni−30%Cr−10%Fe:商品名)などのNi基合金が適用されている。
原子炉内で高温水は炉心部を通過して加熱され、蒸気発生器にて熱交換して蒸気を発生させるというように循環して使用される。これらに用いられるNi基合金は、耐食性にすぐれていて腐食速度は遅くても、わずかではあるがNiがNiイオンとなって溶出する。溶出したNiは、高温水が循環する過程で炉心部に運ばれ中性子照射を受けると、核反応により放射性のCoに変換され、配管部分に沈着するものがある。放射性のCoは半減期が非常に長く、強力な放射線を放出し続ける。
加圧水型原子炉(PWR)の場合、Ni基合金の伝熱管や蒸気発生器などは、短いもので数年、長い場合には数十年もの間、300℃前後の高温水環境で用いられる。このため、Niイオンの溶出量はわずかであっても、長期間使用中に放射性Coは次第に蓄積されていくので、定期検査などをおこなう作業者の放射線被曝量を抑制するには、Niイオンの溶出をできるだけ防止しなければならない。
Niイオンの溶出防止は、このように原子炉を長期にわたって使用していく上で非常に重要な課題である。したがって、これまでにもこのNi基合金の耐食性改善方法が種々提案され、さらには循環使用する水の水質を制御することなどにより、Niの溶出を防止する対策が採られてきた。
原子炉に用いられるNi基合金のNiイオン溶出改善方法としては、たとえば特許文献1には、Cr:20〜35%、Ni:40〜70%を含有するNi基合金伝熱管に関し、高真空下で加熱熱処理する際に、その熱処理工程の一部を10-2〜10-4Torrの真空度として550〜750℃の温度域内で、かつ1〜50時間の時間域内の特定範囲に保持することにより、表面にクロム酸化物を主体とする酸化皮膜を形成させる熱処理方法の発明が開示されている。
また、特許文献2には、Cr:15〜35%、Ni:30〜75%を含有するNi基合金伝熱管に関して、10-2〜10-4vol%の酸素を含む不活性ガスによる10-1〜10-3気圧の雰囲気とし、400〜750℃の温度域および0.1〜100時間の時間域内の特定範囲に保持する熱処理をおこない、表面にクロム酸化物を主体とする酸化皮膜を形成させて耐食性を向上させ、Niイオンの溶出を低減する方法の発明が開示されている。
さらに特許文献3には、表面の酸化皮膜層が、Cr23を主体とする第一層とその外側のMnCr24を主体とする第二層との2層以上からなり、第一層のCr23の結晶粒径は50〜1000nmで、酸化皮膜の全厚みは180〜1500nmとした、Cr:10〜40%、Fe:5〜15%、Mn:0.1〜1.0%、Ti:0.1〜0.5%を含有するNi基合金製品の発明が開示されている。このような酸化皮膜を形成させることにより、Niイオンの溶出を低減できるとしている。
Ni基合金の諸性能を向上させるために、種々の合金元素の添加も検討されている。たとえば、特許文献4に開示された耐応力腐食割性Ni基合金の発明では、Mgを0.001〜0.03%含有させ、熱間鍛造性を向上させている。また、特許文献5にはCr:12〜32%、Fe:20%以下を含むNi基合金にて、Mg、Mo、W、Zr、Hf、Nb、Ta、V、REM(希土類元素)を少量含有させ、耐酸化性、高温強度および熱間加工性を向上させた発明が提示されている。しかしながら、これら少量の添加元素の効果について、Ni基合金の高温水環境下におけるNiイオンの溶出に関しては何も明らかにされていない。
特開昭64−55366号公報
特開平1−159362号公報 特開2002−121630号公報 特開昭60−245758号公報 特開2003−247039号公報
本発明の課題は、長期間にわたる高温水環境での使用にて、Niの溶出がきわめて少ないNi基合金製品の提供にある。
本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%にて、C:0.15%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:10〜40%、Fe:15%以下、Ti:0.1〜0.5%で、Ca:0.001〜0.03%、希土類元素(REM):0.005〜0.2%およびMg:0.001〜0.03%のうちのいずれか1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不純物からなり、その表面にCrの酸化物を主体とする厚さ0.1〜2μmの酸化皮膜を有することを特徴とするNi基合金製品。
ここで、「Crの酸化物を主体とする酸化皮膜」とは、皮膜を構成する酸化物の金属元素のうち、50原子%以上がCrであることを意味する。
(2)表面に形成された酸化皮膜を断面観察したとき、酸化皮膜とその下の合金との界面に、径が2μm以上のポアが存在せず、かつ界面の単位長さ50μmの中に径が0.2μm以上2μm未満のポアが4個以下であることを特徴とする上記(1)のNi基合金製品。
(3)上記(1)または(2)のNi基合金製品からなることを特徴とする高温水環境で用いられる原子炉構造用部材。
本発明のNi基合金製品は、高温水環境下においてNiの溶出がきわめて少なく、長期にわたって使用される加圧水型原子炉の一次冷却水系の伝熱管や蒸気発生器用として、効果的に適用できる。
現状実施されている、Ni基合金の高温水中におけるNi溶出をできるだけ抑制するための効果的な対策は、高温水に接するNi基合金の部品または製品の表面に酸化クロム(Cr23)を主とする酸化皮膜を形成させる方法である。
これは、用いるNi基合金製品を、前述の特許文献1〜3に例示されるように、真空度をやや低下させた真空中、酸素分圧を低い範囲に制御したアルゴンなどの不活性ガス中、または露点を管理した水素を含む雰囲気中にて加熱する熱処理をおこなう。すなわち、加熱する温度域における雰囲気を、Ni基合金の主要成分であるNiおよびFeに対しては還元性であるがCrに対しては酸化性となる範囲に制御し、合金中のCrを選択的に酸化させて、表面に酸化クロムを主とする緻密な酸化皮膜を形成させる。
この方法によるNi溶出の抑制効果について、種々検討をおこなっていたところ、同じように酸化皮膜を形成させ溶出を抑制できても、Ni溶出抑制効果が小さいものや大きいもののあることが見いだされた。そこで、Ni溶出抑制効果の小さいものと大きいものとを選び出し、詳細調査をおこなった。
調査の結果、次のようなことが明らかになってきた。まず、上記のようにしてNi基合金に形成させた酸化皮膜には、表面をSEM観察すると、通常、微少な凸部が分布していることが観察される。そして、溶出抑制効果の小さいものでは、このような凸部が相対的に多く、溶出抑制効果の大きいものでは凸部が少ない。そこで、この皮膜の凸部が形成されている部分の断面を観察してみると、図2に示すように皮膜と合金との界面近傍にポア(空洞)が存在している場合が多いことがわかった。このようなポアの存在は、酸化皮膜の厚さを薄くさせ、そして皮膜と合金との密着性を低下させるため、皮膜のNi溶出抑制効果を低減させると考えられた。
高温で金属表面に酸化皮膜を形成させると、冷却過程で、金属と酸化物との熱膨張係数の差から、酸化皮膜の面方向に圧縮応力が働くが、金属母材と表面酸化皮膜との密着力の弱い部分があれば、圧縮応力のためにそこが離間しポアを発生させ、その部分が皮膜表面観察における微少な凸部になったのではないかと思われる。
ポア部分をさらに詳細に調べると、母材の結晶粒界に沿ってポアが生じている傾向があり、またその近傍にはしばしば酸化物や硫化物系の介在物が認められた。結晶粒界や介在物などがポアの起点になっているとすれば、それらの存在する部分は、酸化皮膜と合金との密着力が低下していると推定される。
Crを含むNi基合金製品の表面は、表面でCrが選択的に酸化されることにより、表面近傍の合金中のCrの固溶濃度が低下するため、内部からCrが拡散してきて形成されていく。このようなCrの拡散に伴い、合金内部の表層近くには空孔が発生するが、介在物表面はこの空孔の消滅場所(シンク)になり、空孔が多く集まると空隙ができポアを発生させやすいと思われる。また、結晶粒界にはP,SあるいはO(酸素)などが偏析し、その上これら元素の拡散経路ともなるので、合金と酸化皮膜の界面における結晶粒界でのこれら元素の濃化は、皮膜の密着性を低下させ、これもまたポアを発生させやすくすると推測される。
このような知見および推測から、合金中のP、SおよびOの低減と、それに加えてこれらの不純物元素と結合し、粒界での拡散、あるいは粒界での介在物生成を抑制する作用のある種々の添加元素についての検討をおこなった。その結果、Ca、Mg、またはREM(希土類元素)の少量添加が有効であることが見いだされた。
これらの元素を少量含有させたNi基合金にて、雰囲気を調整して高温に加熱することによりクロムの酸化物を主とする酸化皮膜を形成させると、酸化皮膜の表面の微少な凹凸は大きく低減する。断面を観察すると図1に例示するように、合金との界面に大きなポアは存在しない表面が平滑な酸化皮膜を得ることができた。
以上のような結果に基づき、さらに、表面に形成される酸化皮膜状態を改善することによるNiの溶出の低減効果をより一層高めたNi基合金製品を得るための諸条件を検討し、本発明を完成させた。
(a)Ni基合金の化学組成
本発明製品は、たとえば、管、板、棒およびそれらから製造された容器等を含み、酸化皮膜を形成させる表面とは、それら製品の高温水に直接接する面をいう。この製品の母材となるNi基合金の化学組成は、質量%で次のとおりである。
C:0.15%以下。Cは多く含有しすぎると耐応力腐食割れ性が劣化するなど耐食性を悪くするおそれがあるので、0.15%以下とする。ただし、Cは合金の粒界強度を高め脆化を防止する効果を有するため、0.01%以上含有するのが望ましい。好ましいのは0.01〜0.06%である。
Si:1.0%以下。Siは合金の溶製時に脱酸剤として利用される。ただし、多すぎる含有は延性が低下して熱間加工性を悪くするので1.0%までとするが、好ましいのは0.5%以下である。下限は特には設けないが、脱酸不十分では清浄度を悪くする傾向があるため0.02%以上含有させるのが望ましい。
Mn:2.0%以下。MnはSiと同様に溶製時の脱酸剤に利用される。ただし、多すぎる含有は合金の耐食性を低下させるので、2.0%以下とする。なお、Mnは皮膜と合金母材との密着性を低下させるSを、MnSとして固定する効果もあるため、0.05%以上含有させるのが望ましい。
P:0.03%以下。Pは不純物として原料から混入してくる元素であり、合金の耐食性を劣化させる上、酸化皮膜を脆くさせ、粒界に沿って表面に拡散して皮膜と合金母材との密着性を悪くし、ポア発生の原因になると考えられる。したがって、少なければ少ないほどよいが、顕著な悪影響を及ぼさない限界として、0.03%以下とする。望ましいのは0.015%以下とすることである。
S:0.03%以下。SはPと同様、不純物として原料から混入してくる元素であり、合金の耐食性を劣化させる。また、介在物を形成したり、Pと同様粒界に沿って表面に拡散したりして皮膜と合金母材との密着性を悪くし、ポア発生の原因になると考えられる。したがって、少なければ少ないほどよいが、顕著な悪影響を及ぼさない限界として、0.03%以下とする。望ましいのは0.010%以下であり、より望ましいのは0.005%以下とすることである。
Cr:10〜40%。CrはNi基合金の耐食性に重要な元素であり、Ni溶出を防止する酸化皮膜を形成させるためにも必要で、10%以上含有させなければその効果は顕著には現れない。しかし40%を超える含有は、逆に合金の耐食性を低下させることもあるので、その含有量は10〜40%とする。
Fe:15%以下。FeはNi合金の耐食性などの性能からは含有させなくてもよい。しかしながらNiの一部を置き換えても十分に利用できる元素であるので、高価なNiの一部に代えて使用してもよい。ただし、15%を超えて含有させると、合金の耐食性が劣化してくるおそれがあるので、15%以下とする。含有させる場合、通常は4%以上とするのがよい。
Ti:0.1〜0.5%。Tiは合金の熱間加工性を向上のため含有させる。このような効果を得るには、0.1%以上の含有が必要であるが、多すぎる含有は合金の清浄性を悪くし、地疵発生の原因になるので多くても0.5%までとする。
Ca:0.001〜0.03%、REM(Yも含む希土類元素):0.005〜0.2%およびMg:0.001〜0.03%のうちのいずれか1種または2種以上。Ca,REMおよびMgは、いずれもNi基合金製品の表面に酸化クロム(Cr23)を主とする酸化皮膜を形成させたとき、高温水環境におけるNiの溶出を、大きく低下させる効果のある添加元素である。
この効果は、これらの元素を含有させると、形成された酸化皮膜と合金母材との界面に多く見られるポアの発生が大幅に抑制されるので、それによってもたらされると推測される。すなわちこれらの元素は、界面近くの介在物発生の抑止や、皮膜の密着性を低下させるP、S、Oなどの濃化の結晶粒界を通じての拡散を抑止することにより、ポアの起点になる要因を排除する作用をしているのではないかと思われる。
このような効果を得るための含有量は、Caでは0.001%以上、REMでは0.005%以上、Mgでは0.001%以上の含有が必要である。しかしながら、これらの元素はいずれも酸素との結合力が強く、含有量を増そうとすると溶製の過程で酸化物となり、合金中に混入して清浄度を悪くし熱間加工性を劣化させるので、多くても、Caは0.03%以下、REMは0.2%以下、Mgは0.03%以下とするのがよい。
なお、これらの元素の含有は1種でも効果があるが、2種以上でも加算された効果があり、とくにMgについては、1種よりもCaまたはREMとともに含有させる方がより効果的である。
(b)酸化皮膜
本発明のNi基合金製品は、表面に形成させる酸化皮膜の厚さを、0.1〜2μmとする。これは、厚さが0.1μmを下回る場合、ポアのない平滑な酸化皮膜が形成できたとしても、薄すぎてNi溶出を十分抑止できないからであり、厚さが2μmを超えるようになると、母材との熱膨張率の差による応力が増大し、わずかな変形でも皮膜に亀裂が生じやすくなり、Ni溶出抑制効果が減退してくるからである。
この皮膜の厚さは、断面を研磨して、EPMA、SEM等の観察映像より測定、あるいは表面よりSIMS等で深さ方向の元素濃度プロファイルを測定して、求めることができる。
さらに本発明のNi基合金製品の、表面に形成された酸化皮膜とその母材合金との界面には、その断面観察において、径が2μm以上のポアが存在せず、かつ界面の単位長さ50μmの中に径が0.2μm以上2μm未満のポアが4個以下であることとする。ここで、ポアの径とは、断面にて観察されるポアの最長径であることとする。なお、隣接するポア間の距離が0.5μm以下の場合は、あわせて一つのポアとして、径を計測する。
ポアの存在は酸化皮膜の欠陥であり、形成させた皮膜のNi溶出抑制効果を低減させるが、とくに2μm以上のポアが存在すると、長期にわたる場合効果が維持できなくなるからである。
また、ポアの径が2μm未満であっても、その数が多くなるとやはり皮膜のNi溶出抑制効果が減退する。Ni溶出量の調査から、界面の単位長さ50μmの中に0.2μm以上2μm未満のポアが、4個を超えるようになると、径が2μmの以上ポアの存在と同様に、十分なNi溶出抑制が得られなかった。したがって、このようなポアの存在を4個以下とする。
酸化皮膜とその母材Ni基合金との界面のポアの発生は、前述のように合金にCa、REMあるいはMgを含有させることにより、抑制することができる。
(c)酸化皮膜形成
Ni基合金製品は、通常、所定の化学組成の合金インゴットを溶製し、熱間加工により所要形状に成形後、焼きなましするか、熱間加工および冷間加工により成形後、焼きなましして製造される。さらに、応力腐食割れ等の耐食性を向上させるためTT(Thermal Treatment)処理と呼ばれる熱処理が施されることもある。
酸化皮膜を形成させる処理は、従来からNi基合金に対して施されているものと同じでよく、製品表面の成形過程で付着した汚れや酸化皮膜を研削などの機械的あるいは酸洗などの化学的方法で除去して清浄化後、温度は650〜1200℃の範囲で、加熱しておこなう。
この酸化皮膜形成処理の加熱時の雰囲気は、その加熱温度において、FeおよびNiに対しては還元性、Crに対しては酸化性の組成にする。それにより表面でCrが選択的に酸化されるので、合金表層部のCrの固溶濃度が低下することにより、内部からCrが拡散してきて、酸化皮膜がCrの酸化物を主体に成長し形成される。
FeおよびNiに対しては還元性、Crに対しては酸化性である組成の雰囲気は、真空度の管理や、不活性ガス中の微量酸素の管理でもよいが、水素ガスまたは不活性ガスに水素を混ぜたガスを用い、露点を制御してH2/H2O比を管理するかCO2を混ぜて水素中の酸素量を制御した雰囲気とするのが容易である。たとえば、650℃以上の温度であれば、20vol.%以上の水素を含む場合、露点を−60〜+20℃とすることによりこのような雰囲気が得られる。
形成される皮膜の厚さは、処理時の温度、時間および雰囲気中の酸素量に大きく支配される。温度は、650℃未満の場合、所要厚さの酸化皮膜形成には長時間を要し、その上、同じ雰囲気組成でもFeやNiまで酸化されCr酸化物を主とする皮膜が得られなくなるおそれがある。また1200℃を超える場合はCr23が粒成長して緻密度が低下し、Ni溶出抑制効果が失われるので好ましくない。処理時間は、当然のことながら、目的とする厚さに対して酸素量が多く温度が高ければ短時間で済み、酸素量が少なく温度が低くければ長時間を要するというように、雰囲気中の酸素量と温度により大幅に変化するので、試験的に処理をおこなって、時間を定めるのが望ましい。
皮膜の形成処理は、前述の焼きなまし処理後施せばよいが、製品製造過程の焼きなまし工程、あるいはTT処理の工程で、雰囲気および時間を管理しておこなってもよい。いずれにしても、製品が成形され上記温度範囲に加熱されるとき、この皮膜形成処理をあわせて施せば、工程の合理化が可能である。なお、酸化皮膜形成処理は、冷間加工された状態の合金を用いると、皮膜の形成速度が速くなりかつ皮膜がより緻密なものとなるので、冷間圧延や冷間抽伸の後の、焼きなまし処理工程の中でおこなうことが望ましい。
表1に示す種々の化学組成のNi基合金インゴットを真空溶解法にて溶製し、得られたインゴットを熱間鍛造してスラブとし、1200℃に加熱後熱間圧延して厚さ20mm、幅200mmの板にした。これら各合金板を冷間圧延して厚さ5mmとしてから大気中にて1100℃で5分の均熱処理を施した。これら各合金試料板から機械加工にて厚さ3mm、幅10mm,長さ20mmの試験片を切り出し、表面を研磨、脱脂して酸化皮膜のポア生成調査に用いた。
各試験片は、雰囲気の制御が可能な炉を用い、露点を−35℃とした水素雰囲気またはCO2を0.05vol.%含有させた水素雰囲気にて、室温から1100℃まで3分間で昇温し、1100℃にて保持して酸化皮膜を形成させた後、同じ雰囲気の炉内の冷却部分に引き出して室温まで放冷した。表2に各合金試料の試験片の酸化皮膜形成処理条件を示す。
酸化皮膜を形成させた試験片は、表面をSEM観察して凹凸の発生有無を確認した後、切断して断面を研磨し、EPMAを用いて断面観察によりポアの大きさとその個数および酸化膜厚さを測定した。その場合、表面の凹凸が明らかでない場合は凸部と思われる断面を、凸部の発生した試験片では凸部を含む位置の断面を、それぞれ観察できるように切断研磨をおこなった。観察されたポアの大きさが2μmを下回る場合は、任意の位置の50μm長さを基準に、その長さ範囲におけるポアの大きさと個数を計測した。
ポア生成調査用試験片とは別に、各合金試料に対し、平行部が厚さ1mm、幅3mm、長さ20mmの板状引張試験片を用意し、それぞれ表2に示したポア生成調査用試験片と同じ条件にて酸化皮膜を形成させた後、2%の伸び歪みを加えた。これらの試験片にてオートクレーブを用い、純水中320℃、1000時間の暴露試験によるNiイオンの溶出量を測定した。この場合、オートクレーブの内壁から溶出してくるNiイオンによる汚染を避けるため、白金製の容器を用意し、その中に満たした純水中に浸漬して、これをオートクレーブ内に装入した。暴露試験終了後、白金容器内の純水を高周波プラズマ溶解法(ICP)により分析し、Niイオンの溶出量を求めた。これらの試験結果を合わせて表2に示す。表に示したNiイオン溶出量は、板状試験片1個あたりの量である。
Figure 0004340899
Figure 0004340899
表2の結果からわかるように、本発明のCrの酸化物を主とする酸化皮膜の厚さが0.1〜2μmの範囲内にあり、かつ酸化皮膜と母材Ni基合金との界面位置に2μm以上のポアが無く、ポアがあったとしても50μmの界面長さ範囲内に2μm未満のポアが4個以下であれば、Niの溶出量きわめて少ないNi基合金製品になることが明らかである。 このような酸化皮膜と母材との界面にポアの発生が抑止され、Niの溶出が低減されたNi基合金製品は、表1に見られるように、Ca、REM、またはMgの適量含有によって得られる。
本発明製品の酸化皮膜と母材との界面にポアの発生のない断面の例を示す図である。 酸化皮膜と母材との界面にポアが発生した断面の例を示す図である。

Claims (3)

  1. 質量%にて、C:0.15%以下、Si:1.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Cr:10〜40%、Fe:15%以下、Ti:0.1〜0.5%で、かつCa:0.001〜0.03%、希土類元素(REM):0.005〜0.2%およびMg:0.001〜0.03%のうちのいずれか1種または2種以上を含有し、残部がNiおよび不純物からなり、その表面に厚さ0.1〜2μmのCrの酸化物を主体とする酸化皮膜を有することを特徴とするNi基合金製品。
  2. 表面に形成された酸化皮膜を断面観察したとき、酸化皮膜とその下の合金との界面に、径が2μm以上のポアが存在せず、かつ界面の単位長さ50μmの中に径が0.2μm以上2μm未満のポアが4個以下であることを特徴とする請求項1に記載のNi基合金製品。
  3. 請求項1または2に記載のNi基合金製品からなることを特徴とする高温水環境で用いられる原子炉構造用部材。


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