JP4340348B2 - プラズマ生成装置 - Google Patents

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    • H01L21/67063Apparatus for fluid treatment for etching
    • H01L21/67069Apparatus for fluid treatment for etching for drying etching

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、低電子エネルギープラズマを利用して負イオンプラズマを生成するプラズマ生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種半導体デバイス、液晶ディスプレイ、太陽電池等を製造する工程で、プラズマを利用した処理が盛んに使われている。
【0003】
例えば、基板の表面に形成された薄膜をドライエッチングする場合は、プラズマを利用したドライエッチング処理が使われている。このドライエッチング処理の具体例としては、例えば、シリコン半導体基板上に形成された酸化シリコン膜をプラズマ中で生成される活性種やイオンの作用を利用してエッチングする処理が挙げられる。
【0004】
また、基板の表面に所定の薄膜を形成する場合は、プラズマを利用した成膜処理が使われている。この成膜処理の具体例としては、例えば、プラズマによる気相反応を利用して基板の表面に所定の薄膜を形成するプラズマCVD(ChemicalVapor Deposition)処理が挙げられる。このプラズマCVD処理の具体例としては、例えば、シリコン半導体基板上に層間絶縁膜を形成するた処理が挙げられる。
【0005】
すなわち、近年、半導体デバイスの高集積化に伴って配線が多層化されている。これにより、配線と配線との間に絶縁膜( 層間絶縁膜) を設けなければならなくなった。この層間絶縁膜を形成する処理としては、CVD処理がある。このCVD処理としては、熱CVD処理がある。この熱CVD処理は、反応の活性化に必要なエネルギーとして熱を利用する処理である。すなわち、プロセス用の反応室に導入された反応性ガスに熱を加えて反応させることにより、層間絶縁膜を形成する処理である。
【0006】
しかしながら、この熱CVD処理では、比較的に高い温度が必要なため、デバイスに不具合が生じることが多い。そこで、最近では、活性化エネルギーとして、プラズマを利用する処理が用いられるようになってきた。この場合、プラズマとしては、例えば、グロー放電を通じて生じるプラズマが利用される。
【0007】
なお、太陽電池などの基板上に所定の薄膜を形成する場合も、プラズマCVD処理が使われている。
【0008】
ところで、代表的なプラズマプロセスであるドライエッチングプロセスにおいては、プラズマを生成する場合、次のような点が要求される。
(1)基板の大面積化や装置のスループットの向上に対応できるように、均一で高密度のプラズマを生成することができること。
(2)電子デバイス構造の微細化や多層化に対応するために、加工精度や選択性を向上させることができること
(3)チャージアップダメージを低減するために、均一なプラズマを生成することができること。
【0009】
このような要求に応えるために、近年、様々なプラズマ生成装置(プラズマ源)の開発が進められている。このプラズマ生成装置としては、ECR(Electron-Cyclotron-Resonance)型プラズマ生成装置、誘導結合型プラズマ生成装置(ICP:Inductively-Coupled Plasma)、マイクロ表面波型プラズマ生成装置、ヘリコン波型プラズマ生成装置、マグネトロン高周波放電型プラズマ生成装置等の高密度プラズマ生成装置がある。
【0010】
これらの装置においては、プラズマの密度として、十分な密度を得ることができる。しかしながら、プラズマの均一性としては、φが300mmの範囲内において、十分な均一性を得ることができない状況にある。
【0011】
また、これらの装置においては、プラズマの電子温度を低く抑えることが要求される。これは、プロセス用ガスの過度の解離を抑制するためである。
【0012】
しかしながら、シリコン酸化膜のドライエッチング用の高密度プラズマ生成装置は開発途中にある。そのため、この装置では、ガスの過度の解離によるエッチングの選択性の低下と基板表面での電荷の蓄積とが大きな課題になっている。
【0013】
現状の高密度プラズマ生成装置を用いるエッチングプロセスにおいては、次のような点が現実に問題になっている。
(1)微細なシリコン酸化膜をエッチングすることによってコンタクトホールを形成する場合に、下地シリコンに対する選択性が低下すること
(2)ゲートポリシリコン電極をエッチングする場合に、電荷蓄積によって異常なサイドエッチングが発生すること
(3)ゲート酸化膜の絶縁破壊が発生すること
【0014】
これらの現象は、低圧高密度プラズマ生成装置により生成されたプラズマに高エネルギー電子が多く存在することによって発生すると考えられている。言い換えれば、このプラズマの電子温度が高いことによって発生すると考えられている。すなわち、プラズマの電子温度が高いと、プラズマ中の解離反応が進みすぎる。これにより、選択性の決め手となるラジカル種( CFxラジカルなど) が少なくなったり、基板の表面に発生するシース電位(プラズマ空間の平均電位と基板表面の電位との差)が高くなったりする。その結果、基板の凹凸やプラズマの密度分布によるシース電位の分布により電荷蓄積が大きくなって、上記現象が生じると考えられている。なお、シース電位とは、プラズマ空間の平均電位に対する基板表面の電位をいう。
【0015】
以上から、プロセスプラズマの電子温度を低く抑える方法の開発が望まれる。この方法としては、現在、パルス変調プラズマ法とグリッド制御法とが考えられている。
【0016】
ここで、パルス変調プラズマ法とは、プラズマ生成用の電極に対してプラズマ生成用の電力を断続的に供給することにより、電子温度の低いプラズマを生成する方法である。すなわち、給電の実行と停止とを繰り返すことにより、電子温度の低いプラズマを生成する方法である。言い換えれば、プラズマ生成用の電力をパルス変調することにより、電子温度の低いプラズマを生成する方法である。この場合、パルス信号としては、数十マイクロメートル程度の短いパルス幅を有する信号が用いられる。
【0017】
この方法によれば、ある程度のプラズマ密度を維持しながら、電子温度を低下させることができる。すなわち、給電を停止した時のプラズマ密度の減衰速度は電子温度の減衰速度より遅い。これにより、給電の実行と停止とを操り返すことによって、ある程度のプラズマ密度を維持しながら、電子温度を低下させることができる。
【0018】
この方法は、上述したような高密度プラズマ生成装置のいずれにも適用可能である。但し、この場合、最適な電子温度を得るためのパルス変調周波数は、各装置ごとに異なる。これは、各装置ごとに、プラズマ密度や電子温度の立上がり時間及び減衰時間が異なるからである。
【0019】
また、グリッド制御法とは、グリッドによって真空容器の内部領域をプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域とに分割することにより、プラズマ拡散領域に電子温度の低いプラズマを生成する方法である。
【0020】
図17は、電子温度低下法として、このグリッド制御法を採用した従来のプラズマ生成装置の構成を示す図である。なお、図には、グリッド制御法をマグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置に適用した場合を代表として示す。また、図には、このプラズマ生成装置を有する基板表面処理装置の一例の構成を示す。さらに、図では、断面を示すハッチングを一部の構成要素にのみに付す。これは、図が煩雑になるのを防止するためである。
【0021】
図示の装置は、平板状のグリッド42を真空容器41の中心軸Zに対して垂直に配設することにより、真空容器41の内部領域をその中心軸Z方向にプラズマ生成領域R1とプラズマ拡散領域R2とに分割するようになっている。言い換えれば、図示のプラズマ生成装置は、平板状のグリッド42を基板Wと平行に配設することにより、真空容器41の内部領域をその中心軸Z方向にプラズマ生成領域R1とプラズマ拡散領域R2とに分割するようになっている。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電子温度低下法として、パルス変調プラズマ法を用いたプラズマ生成装置では、放電用電力が大きくなると、低い電子温度を得ることが難しくなるという問題があった。これは、放電用電力が大きくなると、給電を停止したとき、電子温度が減衰し難くなるからである。
【0023】
また、この装置では、電子温度の低いプラズマを得るために、給電の停止時間を長くすると、プラズマの生成効率が低下し、基板の処理効率が低下するという問題があった。
【0024】
これらの問題は、電子温度低下法として、グリッド制御法を採用したプラズマ生成装置では生じない。これは、この装置では、放電用電力に何ら手を加えないからである。
【0025】
しかしながら、この装置では、基板の寸法が大きくなったとき、基板の表面における電子温度分布が不均一になることがあるという問題があった。
【0026】
すなわち、この装置では、グリッド42が基板Wと平行に配設されている。これにより、基板Wの寸法が大きくなると、グリッド42の口径も大きくなる。その結果、グリッド42がプラズマにより加熱されたとき、変形することがある。グリッド42が変形すると、基板Wとグリッド42との平行度が崩れる。これにより、基板Wの表面における電子温度分布が不均一になる。
【0027】
そこで、本発明は、処理対象物の寸法が大きくなっても、処理対象物の表面における電子温度分布が不均一になることを防止することができるプラズマ生成装置を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために第1の発明のプラズマ生成装置は、筒状の真空容器と、ガス導入手段と、雰囲気排出手段と、リング状の放電用電極と、放電用電力供給手段と、領域分割手段と、電子温度制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
ここで、ガス導入手段は、真空容器の内部に放電用のガスを導入する機能を有する。雰囲気排出手段は、真空容器の内部の雰囲気を排出する機能を有する。放電用電極は、真空容器と同軸的に設けられ、放電用ガスを放電させることにより、真空容器の周辺部でプラズマを生成する機能を有する。放電用電力供給手段は、放電用電極に放電用ガスを放電させるための放電用電力を供給する機能を有する。
【0030】
領域分割手段は、放電用電極の近傍でこの放電用電極の内側を覆うことにより、真空容器の内部領域をその中心軸に垂直な方向にプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域とに分割する。この領域分割手段は、複数の電子通過孔を有する筒状の壁を有する。この壁は、処理対象物の配設位置の外側に位置するように真空容器と同軸的に設けられている。電子温度制御手段は、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を制御する機能を有する。
【0031】
この第1の発明の装置によれば、真空容器の内部領域を真空容器の中心軸に垂直な方向にプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域とに分割することができる。これにより、処理対象物の寸法が大きくなった場合でも、壁の強度が低下することを防止することができる。その結果、壁の変形によって処理対象物の表面の電子温度分布が不均一になることを防止することができる。
【0032】
また、この装置によれば、真空容器の内部領域をプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域とに分割することができる。これにより、プラズマ生成領域のプラズマに影響を与えることなく、プラズマ拡散領域のプラズマを制御することができる。その結果、プラズマ拡散領域のプラズマの制御性を高めることができる。
【0033】
さらに、この装置によれば、領域分割手段が放電用電極の近傍に設けられている。これにより、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を効果的に制御することが可能となる。
【0034】
さらにまた、この装置によれば、領域分割手段が処理対象物の外側に位置するように配設されている。これにより、処理対象物の全面でプラズマ密度を均一にすることができる。その結果、処理対象物の全面でプラズマ処理を均一にすることができる。
【0035】
第2の発明のプラズマ生成装置は、第1の発明の装置において、壁が導電性を有することを特徴とする。
【0036】
この第2の発明の装置によれば、導電性を有する壁によって領域分割を行うことができる。これにより、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度をプラズマ生成領域のプラズマの電子温度より低くすることができる。
【0037】
第3の発明のプラズマ生成装置は、第2の発明の装置において、電子温度制御手段が絶縁手段を有することを特徴とする。ここで、絶縁手段は、壁を基準電位点から電気的に絶縁する機能を有する。
【0038】
この第3の発明の装置によれば、壁を基準電位点から電気的に絶縁することができる。これにより、壁の電気的特性を制御することが可能となる。その結果、この壁を使って、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を制御することが可能となる。
【0039】
第4の発明のプラズマ生成装置は、第3の発明の装置において、電子温度制御手段が容量性素子を有することを特徴とする。ここで、容量性素子は、壁と基準電位点との間に挿入されている。
【0040】
この第4の発明の装置によれば、壁の高周波インピーダンスを小さくすることができる。これにより、放電用電極に高周波電力を印加することによってプラズマ空間電位が変動しても、壁の電位が変動することを抑制することができる。その結果、壁の表面に発生するシース電位を所望の電位に設定することができる。これにより、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度をかなり低い温度まで下げることができる。
【0041】
第5の発明のプラズマ生成装置は、第3の発明の装置において、電子温度制御手段が電位制御手段を有することを特徴とする。ここで、電位制御手段は、壁の電位を制御する機能を有する。
【0042】
この第5の発明の装置によれば、壁の電位を制御することができる。これにより、壁の表面に発生するシース電位を制御することができる。その結果、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0043】
第6の発明のプラズマ生成装置は、第3の発明の装置において、電子温度制御手段が、電位制御手段と、容量性素子とを有することを特徴とする。ここで、電位制御手段は、壁の電位を制御する機能を有する。容量性素子は、壁と基準電位点との間に挿入されている。
【0044】
この第6の発明の装置によれば、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度をかなり低い温度まで下げることができるとともに、この電子温度を広い範囲に亘って制御することができる。
【0045】
第7の発明のプラズマ生成装置は、第4または6の発明の装置において、容量性素子が可変容量性素子であることを特徴とする。
【0046】
この第7の発明の装置によれば、容量性素子の容量を制御することができる。これにより、壁の高周波インピーダンスを制御することができる。その結果、壁の表面に発生するシース電位を制御することができる。これにより、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0047】
第8の発明のプラズマ生成装置は、第5または6の発明の装置において、電位制御手段が壁の直流電位を制御することを特徴とする。
【0048】
この第8の発明の装置によれば、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を広範囲に亘って連続的に制御することができる。
【0049】
第9の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7または8の発明の装置において、電子温度制御手段が面積調整手段を有することを特徴とする。ここで、面積調整手段は、複数の電子通過孔の総面積を調整する機能を有する。
【0050】
この第9の発明の装置によれば、複数の電子通過孔の総面積を調整することができる。これにより、電子通過孔に発生するシース電位を制御することができる。その結果、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0051】
なお、面積調整手段としては、例えば、各電子通過孔の面積を調整することにより複数の電子通過孔の総面積を調整する手段であってもよいし、電子通過孔の数を調整することにより、上記総面積を調整するものであってもよい。
【0052】
第10の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8または9の発明の装置において、壁が複数の小壁を有するように分割され、電子温度制御手段が複数の小壁の間隔を調整可能な間隔調整手段を有することを特徴とする。
【0053】
この第10の発明の装置によれば、複数の小壁の間隔を調整することができる。これにより、複数の小壁間に発生する電位バリアを制御することができる。その結果、プラズマ拡散領域の電子エネルギー分布の広さを制御することができる。これにより、壁をバイアスする必要がない。その結果、反応ガスを用いるプロセスにおいて、壁の表面に絶縁膜が形成された場合でも、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0054】
第11の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9または10の発明の装置において、電子温度制御手段が間隔調整手段を有することを特徴とする。ここで、間隔調整手段は、壁と放電用電極との間隔を調整可能となっている。
【0055】
この第11の発明の装置によれば、壁と放電用電極との間隔を調整することができる。これにより、壁の表面に発生するシース電位を制御することができる。その結果、壁によって形成される電位バリアを制御することができる。これにより、この電位バリアを乗り越えられる電子が持っているエネルギーが変化する。その結果、プラズマ拡散領域の電子温度を制御することができる。
【0056】
また、この装置によれば、プラズマの生成効率の低下と装置の大型化を防止することができる。すなわち、壁と放電用電極との間隔が小さすぎると、壁と放電用電極との間に放電が発生する。これにより、プラズマの生成効率が低下する。逆に、大きすぎると、装置が大型化する。以上から、壁と放電用電極との間隔を調整することができることにより、プラズマの生成効率の低下と装置の大型化を防止することができる。
【0057】
第12の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11の発明の装置において、壁と放電用電極との間隔が両者の間に異常放電が発生しないような間隔に設定されていることを特徴とする。
【0058】
この第12の発明の装置によれば、壁と放電用電極との間で異常放電が発生しないようにすることができる。これにより、プラズマの生成効率を高めることができる。
【0059】
第13の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12の発明の装置において、壁が真空容器の中心軸と平行になるように設定されていることを特徴とする。
【0060】
この第13の発明の装置によれば、壁を容易に形成することができる。
【0061】
第14の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12または13の発明の装置において、壁が処理対象物側を向くように、真空容器の中心軸に対して傾けられていることを特徴とする。
【0062】
この第14の発明の装置によれば、処理対象物の表面におけるプラズマ密度を高めることができる。これにより、処理対象物の処理効率を高めることができる。
【0063】
第15の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13または14の発明の装置において、壁が誘電体によって覆われていることを特徴とする。
【0064】
この第15の発明の装置によれば、壁とプラズマとの相互作用によって壁の表面から金属製の不純物が出るのを防止することができる。これにより、処理対象物が不純物により汚染されるのを防止することができる。
【0065】
第16の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15の発明の装置において、領域分割手段が、リング状の第1,第2の仕切り板を有することを特徴とする。ここで、第1の仕切り板の外縁部は真空容器の内壁側に固定されている。この仕切り板の内縁部には壁の一端部側が固定されている。第2の仕切り板は、第1の仕切板とともに放電用電極を挟むように配設されている。この仕切り板の外縁部は真空容器の内壁側に固定されている。この仕切り板の内縁部には壁の他端部側が固定されている。
【0066】
この第16の発明の装置によれば、放電用電極をその内側から覆う領域分割手段を簡単に構成することができる。
【0067】
第17の発明のプラズマ生成装置は、第1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15または16の発明の装置において、複数の電子通過孔が格子状に配列されていることを特徴とする。
【0068】
この第17の発明の装置によれば、電子通過孔を有する壁を簡単に構成することができる。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0070】
[1]第1の実施の形態
[1−1]構成
図1は、本発明の第1の実施の形態の構成を示す側断面図である。なお、図1には、本発明をマグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置に適用した場合を代表として示す。また、図1には、本発明を基板表面処理装置のプラズマ生成装置に適用した場合を代表として示す。さらに、図1では、断面を示すハッチングを一部の構成要素にのみ示す。これは、図が煩雑になるのを防止するためである。
【0071】
図示の基板表面処理装置は、例えば円筒状の真空容器11と、ガス導入部12と、ガス導入管13と、雰囲気排出部14とを有する。ここで、真空容器11は、プラズマ生成空間を形成する機能を有する。ガス導入部12とガス導入管13は、真空容器11の内部に放電用のガスを導入する機能を有する。雰囲気排出部14は、真空容器11の内部の雰囲気を排出する機能を有する。
【0072】
また、この装置は、例えば円筒状の放電用電極15と、高周波発振器16と、整合回路17と、円形のリング状の遮蔽カバー18と、円形のリング状の絶縁体19,20とを有する。ここで、放電用電極15は、マグネトロン放電用の高周波電界を形成する機能を有する。高周波発振器16は、放電用電極15に供給する放電用の高周波電力を発生する機能を有する。整合回路17は、高周波発振器16と放電用電極15との整合をとる機能を有する。遮蔽カバー18は、放電用電極15によって形成される高周波電界を遮蔽する機能を有する。絶縁体19,20は、真空容器11と放電用電極15との間を絶縁する機能を有する。
【0073】
さらに、この装置は、円盤状の上部電極21と、円盤状の下部電極22と、高周波発振器23と、整合回路24と、直流阻止コンデンサ25と、絶縁体26とを有する。ここで、上部電極21と下部電極22とは、平行平板電極を形成する。高周波発振器23は、上部電極21に高周波電力を供給する機能を有する。整合回路24は、高周波発振器23と上部電極21との整合をとる機能を有する。直流阻止コンデンサ25は、上部電極21に直流電流が供給されるのを阻止する機能を有する。絶縁体26は、上部電極21と真空容器11との間を絶縁する機能を有する。
【0074】
さらにまた、この装置は、2つの円形のリング状の永久磁石27,28と、円形のリング状の電界遮蔽部29とを有する。ここで、永久磁石27,28は、真空容器11の内部に磁界を形成する機能を有する。電界遮蔽部29は、真空容器11の内部に形成された高周波電界を遮蔽する機能を有する。
【0075】
また、この装置は、領域分割部30を有する。ここで、領域分割部30は、真空容器11の内部領域をその径方向(真空容器11の中心軸Zと垂直な方向)にプラズマ生成領域R1とプラズマ拡散領域R2とに分割する機能を有する。
【0076】
上記円筒状の真空容器11は、例えば、中心軸Zが鉛直方向に向くように配設されている。また、この真空容器11は、上部容器111と下部容器112とを有するように水平に分割されている。上部容器111は、上端部が閉塞され、下端部が開口されている。逆に、下部容器112は、上端部が開口され、下端部が閉塞されている。
【0077】
上部電極111と下部電極112との間には、リング状の放電用電極15が配設されている。この場合、この放電用電極15は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、上部容器111と放電用電極15とは、絶縁体19によって絶縁されている。同様に、下部容器112と放電用電極15とは、絶縁体20によって絶縁されている。さらに、下部容器112は接地されている。上部容器111は、遮蔽カバー18と下部容器112とを介して接地されている。
【0078】
上記ガス導入部12は、上部容器111の天板1aに設けられている。上記雰囲気排出部14は、下部容器112の底板2aに設けられている。
【0079】
上記円盤状の電極21,22は、互いに平行にかつ対向するように配設されている。また、これらは、水平に配設されている。すなわち、真空容器11の中心軸Zに垂直に配設されている。さらに、上部電極21は、絶縁体26によって上部容器111と絶縁されている。上記遮蔽カバー18は、放電用電極15と永久磁石27,28とを外側から覆うように真空容器11に取り付けられている。
【0080】
上記リング状の永久磁石27,28は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、これらは、放電用電極15を囲むように配設されている。さらに、これらは、真空容器11の中心軸Z方向に所定間隔離れるように配設されている。この場合、永久磁石27は、放電用電極15の上端部側に位置決めされている。逆に、永久磁石28は、下端部側に位置決めされている。
【0081】
永久磁石27,28は、径方向に着磁されている。この場合、これらは、互いに逆向きに着磁されている。すなわち、今、例えば永久磁石27の内側部分がN極、外側部分がS極に着磁されているとすると、永久磁石28の内側部分はS極、外側部分はN極に着磁されている。これにより、永久磁石27の内側部分から真空容器11の中心軸Z側に向かって延在した後、永久磁石28の内側部分に戻る磁力線が形成される。この磁力線は、真空容器11の中心軸Zにほぼ平行な部分を有する。この部分の長さは、中心軸Zに近づくほど長くなる。この場合、磁力線は、永久磁石27の各部から出力される磁力線の相互作用により、原理的には、最高でも真空容器11の中心軸Z上で折り返す。
【0082】
上記リング状の電界遮蔽部29は、真空容器11と同軸的に配設されている。この場合、この電界遮蔽部29は、下部電極22の周縁部と下部容器112の側壁との間に挿入されている。また、この電界遮蔽部29は、2枚のリング状の金属遮蔽板291,292を有する。この2枚の金属遮蔽板291,292は、真空容器11の中心軸Z方向に所定間隔離れるようにして平行に配設されている。
【0083】
各金属遮蔽板291,292には、真空容器11の内部の雰囲気を排出するための排気孔が形成されている。この場合、金属遮蔽板291に形成された排気孔と金属遮蔽板292に形成された排気孔とは、全体的に重なることがないように設定されている。すなわち、一部が重なるか、または、全く重ならないように形成されている。これにより、高周波電界の遮蔽機能と雰囲気の排出機能の両方が得られる。
【0084】
上記円筒状の領域分割部30は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、この領域分割部30は、放電用電極15の近傍でこの放電用電極15の内側を覆うように配設されている。これにより、真空容器11の内部領域がその中心軸Zに垂直な方向にプラズマ生成領域R1とプラズマ拡散領域R2とに分割される。
【0085】
図2は、この領域分割部30を拡大して示す側断面図である。図示のごとく、領域分割部30は、1つの円筒状のグリッド301と、2つの円形のリング状の仕切板302,303とを有する。
【0086】
円筒状のグリッド301は、真空容器11と同軸的に配設されている。これにより、このグリッド301は、真空容器11の中心軸Zと平行に配設されている。また、このグリッド301は、放電用電極15と対向するように配設されている。さらに、このグリッド301は、リング状の仕切り板302,303を介して真空容器11に固定されている。
【0087】
この場合、仕切板302,303は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、仕切り板302,303は平行に配設されている。さらに、仕切り板302の外縁部は、上部容器111の側壁に固定され、内縁部には、グリッド301の上端部が固定されている。さらにまた、仕切り板303の外縁部は、下部容器112の側壁に固定され、内縁部には、グリッド301の下端部が固定されている。また、仕切り板302,303は、グリッド301と放電用電極15との間隔を両者の間で異常放電が発生しないような間隔に設定するようになっている。
【0088】
グリッド301と仕切板302,303とは、例えば、金属により形成されている。これにより、これらは、導電性を有する。この金属としては、例えば、ステンレスが用いられている。この場合、グリッド301と仕切板302,303の全体を金属で形成してもよいし、表面だけを金属で形成してもよい。また、グリッド301と仕切板302,303の表面は、プラズマに強い誘電体で覆われている。すなわち、プラズマと反応し難い誘電体で覆われている。この誘電体としては、例えば、Al、セラミックス等がある。
【0089】
[1−2]動作
上記構成において、動作を説明する。
【0090】
まず、プラズマを生成し、このプラズマを使って基板Wの表面に所定の処理を施す場合の動作を説明する。
【0091】
この場合、基板Wは、図1に示すように、下部電極22の上面に載置される。また、この場合、ガス導入部12から真空容器11の内部に放電用ガスが導入される。この放電用ガスは、上部電極21に形成されたガス分散孔211を介して真空容器11の内部に均一に分散される。さらに、この場合、放電用ガスがガス導入管13を介して真空容器11の内部に導入される。さらにまた、この場合、真空容器11の内部に存在する雰囲気が雰囲気排出部14を介して排出される。これにより、真空容器11の内部が減圧状態に設定される。
【0092】
また、この場合、放電用電極15に高周波発振器16から整合回路17を介して高周波電力が供給される。この高周波電力の周波数は、例えば、13.56MHzに設定され、電力量は、例えば、500Wに設定されている。さらに、この場合、上部電極21に高周波発振器23から整合回路24と直流阻止コンデンサ25とを介して高周波電力が供給される。この高周波電力の周波数は、例えば、100MHzに設定され、電力量は、例えば、100Wに設定されている。
【0093】
放電用電極15に高周波電力が供給されることにより、この放電用電極15の電位が変動する。これにより、真空容器11の内部に、高周波電界が形成される。この高周波電界と永久磁石27,28により形成される磁界との相互作用により真空容器11の内部にプラズマが生成される。
【0094】
すなわち、放電用電極15によって形成される高周波電界は、真空容器11の中心軸Z方向に向かう。また、永久磁石7,28によって形成される磁力線は、真空容器11の中心軸Zにほぼ平行な部分を有する。これにより、真空容器11の内部にほぼ直交する高周波電界と磁界とが形成される。その結果、放電用電極15の近傍で、電子が磁力線にトラップされるとともに、マグネトロン運動する。このマグネトロン運動により、電子が加速され、放電用ガスが電離させられる。このマグネトロン放電により真空容器11の内部にプラズマが生成される。以下、このプラズマを第1のプラズマという。
【0095】
また、上部電極21に高周波電力が供給されることにより、この上部電極21の電位が変動する。これにより、真空容器11の内部に真空容器11の中心軸Z方向に向かう高周波電界が形成される。この高周波電界と永久磁石27,28により形成される磁界との相互作用により真空容器11の内部にプラズマが生成される。
【0096】
すなわち、上記高周波電界が形成されると、永久磁石27,28によって形成された磁力線上にトラップされている高エネルギー電子が磁力線上を真空容器11の中心軸Z方向に高周波振動する。この高周波振動により高エネルギー電子がが加熱される。この加熱により放電用ガスが放電させられる。この高周波振動放電によりプラズマが生成される。以下、このプラズマを第2のプラズマという。
【0097】
上述した第1,第2のプラズマが形成されることにより、表面処理用の化学反応が活性化される。これにより、基板Wの表面に所定の処理が施される。
【0098】
第1のプラズマの密度は、真空容器11の中心軸Zから離れるにつれて高くなる。言い換えれば、放電用電極15の内側の側面に近づくにつれて高くなる。これは、放電用電極15の内面に近づくにつれて、放電用電極15により形成される電界と永久磁石27,28より形成される磁界とが強くなるからである。すなわち、これらが強くなることにより、マグネトロン放電が活発になるからである。
【0099】
第2のプラズマの密度は、真空容器11の中心軸Zに近づくにつれて高くなる。これは、この中心軸Zに近づくにつれて、永久磁石26,27によって形成される磁力線のうち、この中心軸Zにほぼ平行な部分の長さが長くなるからである。すなわち、この平行部分の長さが長くなることにより、高エネルギー電子が真空容器11の中心軸Z方向に加速運動可能な距離が長くなるからである。
【0100】
第1のプラズマの密度は、高周波発振器16から出力される高周波電力の大きさに依存する。したがって、この高周波電力の大きさを制御することにより、第1のプラズマの密度を制御することができる。同様に、第2のプラズマの密度は、高周波発振器23から出力される高周波電力の大きさに依存する。したがって、この高周波電力の大きさを制御することにより、第2のプラズマの密度を制御することができる。
【0101】
これにより、2つの高周波電力の大きさを制御することによって、真空容器11の径方向のプラズマ密度の分布を制御することができる。その結果、ガスの圧力が低い場合であっても、真空容器11の内部の周辺部から中央部に亘って全体的に高密度でかつ密度分布の均一なプラズマを生成することができる。
【0102】
以上が、プラズマを生成し、このプラズマを使って基板Wの表面に所定の処理を施す場合の動作である。
【0103】
次に、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を低下させる場合の動作を説明する。
【0104】
領域分割部30は、放電用電極15の近傍でこの放電用電極15を内側から囲むようになっている。これにより、真空容器11の内部領域のうち、第1のプラズマが多く生成される領域が領域分割部30によって囲まれる。この領域分割部30のグリッド301は、仕切板302,303と直接接続されている。これにより、グリッド301の電位は、仕切板302,303の電位と同じ電位に設定されている。仕切板302は容器111、112と遮蔽カバー18とを介して接地されている。また、仕切板303も、下部容器112を介して接地されている。これにより、仕切板302,303とグリッド301の電位は零電位に設定されている。
【0105】
ところで、プロセスプラズマにおいては、電子の温度がイオンの温度よりはるかに高く、電子の質量がイオンの質量よりはるかに小さい。これにより、このプラズマにおいては、電子の移動度がイオンの移動度より十分大きくなる。その結果、プラズマ生成領域R1でプラズマが生成されると、電子がイオンより早く領域分割部30の壁の方に移動する。これにより、プラズマ中には、イオンが電子より多く残されてしまう。その結果、プラズマ中の電位(プラズマ空間電位)が領域分割部30の壁の電位より高くなる。これにより、プラズマ空間電位に対する壁電位(シース電位)が負の方向に大きくなる。その結果、プラズマ中から壁の方に拡散する電子が追い返され、プラズマ中から壁の方に拡散するイオンが加速される。
【0106】
領域分割部30の壁が金属製のグリッド301により構成される場合、エネルギーの低い電子は、グリッド301の表面に発生するシース電位によって追い返される。これに対し、エネルギーの高い電子は、このシース電位を乗り越え、グリッド301の電子通過孔を介してプラズマ拡散領域R2に移動する。
【0107】
プラズマ拡散領域R2に移動した高エネルギー電子は、この領域R2で加速され、中性ガス分子と操り返し衝突する。この衝突により、高エネルギー電子は、持っているエネルギーを失って低エネルギー電子になる。また、高エネルギー電子が中性ガス分子と衝突することにより、新たな放電が発生する。その結果、プラズマ拡散領域R2には、電子温度が低いプラズマが生成される。
【0108】
以上が、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を低下させる動作である。
【0109】
[1−3]効果
以上詳述した本実施の形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0110】
(1)まず、本実施の形態によれば、真空容器11の内部領域をその中心軸Zに垂直な方向にプラズマ生成領域R1とプラズマ拡散領域R2とに分割することができる。これにより、基板Wの寸法が大きくなった場合に、グリッド301の強度が低下することを防止することができる。その結果、このような場合に、グリッド301の変形によって、基板Wの表面の電子温度分布が不均一になることを防止することができる。
【0111】
(2)また、真空容器11の内部領域をプラズマ生成領域R1とプラズマ拡散領域R2とに分割することにより、プラズマ生成領域R1のプラズマに影響を与えることなく、プラズマ拡散領域R2のプラズマを制御することができる。これにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの制御性を高めることができる。
【0112】
(3)さらに、本実施の形態によれば、導電性を有するグリッド301によって領域分割を行うようになっている。これにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度をプラズマ生成領域R1のプラズマの電子温度より低くすることができる。
【0113】
(4)さらにまた、導電性を有するグリッド301によって領域分割を行うことにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を容易に制御することができる。
【0114】
(5)また、本実施の形態によれば、金属製のグリッド301の表面をプラズマに強い誘電体で覆うようになっている。これにより、グリッド301の表面から金属製の不純物が出て、基板Wを汚染してしまうことを防止することができる。
【0115】
すなわち、グリッド301の表面を誘電体で覆わない場合、グリッド301とプラズマとの相互作用によって、グリッド301の表面からプラズマ空間に金属製の不純物が出ることがある。これにより、基板Wを汚染してしまうことがある。これに対し、グリッド301の表面をプラズマに強い誘電体で覆うことにより、グリッド301とプラズマとの相互作用を防止することができる。これにより、グリッド301の表面から金属製の不純物が出て、基板Wを汚染してしまうことを防止することができる。
【0116】
(6)さらに、本実施の形態によれば、領域分割部30を円筒状のグリッド301とリング状の仕切板302,303とで形成するようになっている。これにより、放電用電極15を確実に覆うことができるとともに、領域分割部30を簡単に構成することができる。
【0117】
(7)また、本実施の形態によれば、電子通過孔を有する壁をグリッド301により形成するようになっている。これにより、この壁を簡単に構成することができる。
【0118】
(8)また、本実施の形態によれば、グリッド301を真空容器11の中心軸zと平行に配設するようになっている。これにより、グリッド301を容易に構成することができる。
【0119】
(9)また、本実施の形態によれば、放電用電極15とグリッド301との間隔が、両者の間に異常放電が発生しないような間隔に設定されている。これにより、プラズマ生成領域R1におけるプラズマの生成効率を高めることができる。
【0120】
[1−4]変形例
以上の説明では、グリッド301と仕切板302,303とを金属で形成する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態では、金属以外の導電体で形成するようにしてもよい。また、本実施の形態では、グリッド301にバイアスをかけないので、これらを導電体以外の材料で形成するようにしてもよい。例えば、プロセスによっては、グリッド301の表面に自然に誘電体が形成される場合がある。このような場合は、グリッド301を最初から絶縁材料によって形成する必要がある。
【0121】
[2]第2の実施の形態
図3は、本発明の第2の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図3において、先の図2とほぼ同一機能を果たす部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0122】
先の実施の形態では、グリッド301を仕切板302,303に直接固定する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図3に示すように、グリッド301を2つの円形のリング状の絶縁体304,305を介して仕切板302,303に固定するようにしたものである。ここで、絶縁体304は、グリッド301の上端部と仕切板302の内縁部との間に挿入され、絶縁体305は、グリッド301の下端部と仕切板303の内縁部との間に挿入されている。
【0123】
このような構成によれば、グリッド301の電気的特性を制御することが可能となる。これにより、グリッド301を使って、プラズマ拡散領域R2の電子温度を制御することが可能となる。
【0124】
[3]第3の実施の形態
図4は、本発明の第3の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図4において、先の図3に示す構成要素とほぼ同一機能を果たす構成要素には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0125】
本実施の形態は、図4に示すように、第2の実施の形態において、グリッド301とアースとの間に容量が十分大きなコンデンサ31を挿入するようにしたものである。この場合、コンデンサ31は、例えば、複数設けられている。この複数のコンデンサ31は真空容器11の中心軸Zの周りに均等に配設されている。
【0126】
このような構成によれば、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度をかなり低い温度(例えば、0.02eV)まで下げることができる。
【0127】
すなわち、コンデンサ31を挿入しない構成では、周波数が13.56MHzのような高周波電力を放電用電極15に印加して第1のプラズマを生成する場合、放電用電極15の電位が変化する。これにより、プラズマ空間電位が変化する。その結果、グリッド301の電位が変化する。これにより、グリッド301の表面に発生するシース電位として、所望の電位を設定することができない。その結果、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度として、あまり低い温度を得ることができない。
【0128】
これに対し、本実施の形態では、コンデンサ31によって、グリッド301の高周波インピーダンスを小さくすることができる。これにより、放電用電極15の電位が変化しても、グリッド301の電位をほぼー定にすることができる。その結果、グリッド301の表面に発生するシース電位として、所望の電位を設定することができる。その結果、プラズマ拡散領域R2の電子温度として、かなり低い温度を得ることができる。
【0129】
[4]第4の実施の形態
図5は、本発明の第4の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図5において、先の図3に示す構成要素とほぼ同一機能を果たす構成要素には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0130】
本実施の形態は、図5に示すように、第2の実施の形態において、グリッド301とアースとの間に直流可変電源32を挿入するようにしたものである。
【0131】
このような構成によれば、直流可変電源32から出力される直流電圧を変えることにより、グリッド301の直流電位を広範囲に亘って連続的に制御することができる。これにより、グリッド301の表面に発生するシース電位を広範囲に亘って連続的に制御することができる。その結果、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を広範囲に亘って連続的に制御することができる。具体的には、この電子温度を連続的に1桁以上制御することができる。
【0132】
これを図6及び図7を用いて説明する。これらは、本実施の形態の実験結果を示す特性図である。なお、これらは、平行平板電極(上部電極21と下部電極22)に高周波電力を供給しない状態で実験を行った場合の結果を示す。
【0133】
図6は、グリッド301の直流電位V(V:ボルト)に対するプラズマの電子温度T(eV)の依存性を示す特性図である。図6において、横軸は、直流電位Vを示し、縦軸は、電子温度Tを示す。図示のごとく、プラズマ生成領域R1のプラズマの電子温度Tは、グリッド301の直流電位Vを−30
(V)から30(V)まで変えても、ほとんど変わらない。これに対し、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度Tは、約0.02(eV)から約2.3(eV)まで変化する。
【0134】
図7は、グリッド301の直流電位Vに対するプラズマの電子密度n(×10cm−3)の依存性を示す特性図である。図において、横軸は、グリッド301の直流電位Vを示し、縦軸は、プラズマの電子密度nを示す。
【0135】
上述した図6に示すように、プラズマ拡散領域R2では、直流電位Vが負の場合、この直流電位Vが負の方向に大きくなるにつれて、プラズマの電子温度Tは低くなる。これに対し、プラズマの電子密度nは、図7に示すように大きくなる。
【0136】
ここで、注目すべきことは、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度Tが低くなると、その電子密度nがプラズマ生成領域R1のプラズマの電子密度nより高くなることである。この理由は、プラズマ生成領域R1の高工ネルギー電子がグリッド301のバイアスによって形成される電位バリアを乗り越えてプラズマ拡散領域R2に移動し、このプラズマ拡散領域R2で中性原子と衝突し、新たな放電を起こすことにより、低エネルギーのプラズマを生成するからであると考えられる。
【0137】
通常の弱電離プラズマの場合は、プラズマの電子密度nは、プラズマの生成と拡散損失とのバランスによって決まる。このことから、プラズマ拡散領域R2では、電子温度Tが低くなるにつれて、拡散損失が少なくなり、プラズマ生成領域R1よりも高いプラズマの電子密度nが観測されたと考えられる。
【0138】
なお、実験では、放電用ガスとして、アルゴンガスを用いた。また、このアルゴンガスの圧力を1mTorr、グリッド301のメッシュサイズを12メッシュ/インチとした。
【0139】
以上の説明では、グリッド301の直流電位を制御する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態では、交流電位を制御するようにしてもよい。
【0140】
[5]第5の実施の形態
図8は、本発明の第5の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図8において、先の図4及び図5に示す構成要素とほぼ同一機能を果たす構成要素には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0141】
本実施の形態は、先の第3の実施の形態と第4の実施の形態とを組み合わせるようにしたものである。すなわち、図8に示すように、グリッド301とアースとの間にコンデンサ31と直流可変電源32とを並列に挿入するようにしたものである。
【0142】
このような構成によれば、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度をかなり低い温度まで下げることができるとともに、この電子温度を広範囲に渡って連続的に制御することができる。
【0143】
[6]第6の実施の形態
図9は、本発明の第6の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図9において、先の図3とほぼ同一機能を果たす部分には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0144】
先の第3の実施の形態では、コンデンサとして、容量固定型のコンデンサ31を用いる場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図9に示すように、容量可変型のコンデンサ33を用いるようにしたものである。
【0145】
このような構成によれば、コンデンサ33の容量を変えることにより、グリッド301の高周波インピーダンスを制御することができる。これにより、グリッド301の表面のシース電位を制御することができる。その結果、放電用電極15の電位変化に影響されることなく、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0146】
なお、本実施の形態は、図4に示すような第3の実施の形態だけでなく、図8に示すような第5の実施の形態にも適用することができる。
【0147】
[7]第7の実施の形態
図10は、本発明の第7の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図10において、先の図4に示す構成要素とほぼ同一機能を果たす構成要素には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0148】
本実施の形態は、グリッド301をコンデンサ31を介して接地するとともに、グリッド301のメッシュサイズ(電子通過孔の大きさ)を変更することができるようにしたものである。
【0149】
本実施の形態では、メッシュサイズを変更するために、例えば、グリッド301として、2つのグリッドを重ねた2層構造のグリッドを用いるようになっている。このような構成によれば、2つのグリッドの相対的な位置をずらすことにより、2つのグリッドの電子通過孔の重なり具合を変更することができる。これにより、グリッド301のメッシュサイズを変更することができる。
【0150】
図10において、34は、2つのグリッドの相対的な位置をずらすずらし機構を示す。このずらし機構34としては、種々様々な機構が考えられる。したがって、図では、このずらし機構34を概念的に示す。また、図では、2層構造のグリッド301を便宜上、1つのグリッドで表している。
【0151】
このような構成によれば、グリッド301のメッシュサイズを変えることにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0152】
すなわち、グリッド301のメッシュサイズを変えると、グリッド301の線と線の間のポテンシャルバリア(電位バリア)が変化する。この場合、グリッド301のメッシュサイズが小さくなるほど、電位バリアが大きくなり、メッシュサイズが大きくなるほど、電位バリアが小さくなる。その一方、メッシュサイズが小さくなるほど、グリッド301の線の表面積が大きくなるため、高エネルギー電子がグリッド301の線にぶつかる確率が高くなる。これにより、グリッド301のメッシュサイズが小さくなるほど、グリッド301の表面に発生するシース電位が大きくなる。
【0153】
以上から、グリッド301のメッシュサイズが小さくなるほど、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度が低くなる。これにより、グリッドのメッシュサイズを変えることにより、プラズマ拡散領域R2の電子温度を制御することができる。
【0154】
これを図11を用いて説明する。図11は、本実施の形態において、メッシュサイズに対するプラズマの電子温度Tと電子密度nの依存性を示す特性図である。なお、図11は、平行平板電極(上部電極21と下部電極22)に高周波電力を供給しない状態で実験を行った場合の結果を示す。図において、横軸は、メッシュサイズMS(メッシュ/インチ)を示し、縦軸は、プラズマの電子温度Tと電子密度nを示す。
【0155】
図示のごとく、メッシュサイズを変えることにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度Tを約0.3(eV)から約2.8(eV)まで変化させることができるとともに、プラズマの電子密度nを約4.9(×10cm−3)から1.0(×10cm−3)まで変化させることができる。
【0156】
なお、以上の説明では、メッシュサイズを変えることにより、電子温度を制御する場合を説明した。すなわち、電子通過孔の大きさを変えることにより、電子温度を制御する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態は、電子通過孔の数を変えることにより、電子温度を制御するようにしてもよい。要は、本実施の形態は、複数の電子通過孔の総面積を変えることにより、電子温度を制御する構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0157】
また、本実施の形態は、図4に示すような第3の実施の形態だけでなく、図5、図8、図9に示すような第4、第5、第6の実施の形態にも適用することができる。
【0158】
[8]第8の実施の形態
図12は、本発明の第8の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。なお、図12において、先の図3に示す構成要素とほぼ同一機能を果たす構成要素には、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0159】
先の実施の形態では、グリッドとして、1つの円筒形のグリッド301を用いる場合を説明した。これに対し、本実施の形態は、グリッド301を水平に分割することにより、2つの円筒形のグリッド301(1),301(2)を用いるようにしたものである。
【0160】
また、本実施の形態は、2つのグリッド301(1),301(2)の鉛直方向の間隔dを連続的に調整することができるようにしたものである。図において、35が、このグリッド間隔dを調整するためのグリッド間隔調整機構を示す。このグリッド間隔調整機構35としては、種々様々な機構が考えられる。したがって、図には、このグリッド間隔調整機構35を概念的に示す。
【0161】
さらに、本実施の形態は、グリッド301(1),301(2)とアースとの間にそれぞれコンデンサ36,37を挿入するようにしたものである。
【0162】
このような構成によれば、2つのグリッド301(1),301(2)の間隔dを変えることにより、プラズマ拡散領域R2の電子温度Tを制御することができる。
【0163】
すなわち、2つのグリッド301(1),301(2)のグリッド間隔dを変えると、2つのグリッド301(1),301(2)間に形成される電位分布のバリアが変わる。この場合、2つのグリッド301(1),301(2)の間隔dを大きくすると、電位バリアが小さくなり、間隔dを小さくすると、電位バリアが大きくなる。
【0164】
電位バリアが小さくなると、電位エネルギーが低い電子も電位バリアを乗り越えて、プラズマ拡敢領域R2に入ることができるようになる。これにより、この場合は、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子エネルギー分布が広くなり、電子温度が高くなる。
【0165】
これに対し、電位バリアが大きくなると、電位エネルギーが低い電子は電位バリアを乗り越えて、プラズマ拡敢領域R2に入ることができない。これにより、この場合は、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子エネルギー分布が狭くなり、電子温度が低くなる。
【0166】
以上から、2つのグリッド301(1),301(2)の間隔dを制御することにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を制御することができる。これを図13を用いて説明する。図13は、グリッド間隔dに対するプラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度Tの依存性を示す特性図である。なお、図13は、平行平板電極(上部電極21と下部電極22)に高周波電力を供給しない状態で実験を行った場合の結果を示す。
【0167】
図において、横軸は、グリッド間隔d(mm)を示し、縦軸は、プラズマの電子温度Tを示す。また、Zdは、平行平板電極の間隔、すなわち、真空容器11の中心軸Z方向の間隔を示す。図には、このZdが10cmである場合を示す。
【0168】
図示のごとく、本実施の形態では、グリッド間隔dを約10(mm)から約0(mm)まで変えることにより、プラズマの電子温度Tを約2.8(eV)から0.2(eV)まで変化させることができる。なお、本実験では、放電用ガスとして、アルゴンガスを用いた。また、このアルゴンガスの圧力を3mTorrとし、放電用電極15に供給される高周波電力の電力量を100Wとした。
【0169】
また、本実施の形態によれば、プラズマの電子密度と、プラズマ空間電位と、プラズマの電子温度の分布状態を均一にすることができる。これを図14を用いて説明する。図14は、プラズマ拡散領域R2におけるプラズマの電子密度nと、プラズマ空間電位Vと、プラズマの電子温度Tの分布状態を示す特性図である。なお、図14は、真空容器11の径方向における分布状態を測定した場合の結果を示す。
【0170】
図において、横軸は、真空容器11の中心から径方向への距離r(cm)を示し、縦軸は、プラズマの電子密度nと、プラズマ空間電位V(×10V)と、プラズマの電子温度Tとを示す。また、Zdは、平行平板電極の間隔を示す。図には、このZdが10cm、グリッド間隔dが0mmである場合を示す。
【0171】
図示のごとく、本実施の形態では、距離rが約12cm以下の範囲で、プラズマの電子密度nと、プラズマ空間電位Vと、プラズマの電子温度Tのいずれも均一に分布するようになっている。
【0172】
さらに、本実施の形態によれば、グリッド間隔dを連続的に変えるだけの比較的簡単な構成により、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度Tを連続的に制御することができる。
【0173】
さらにまた、本実施の形態によれば、グリッド301(1),301(2)にバイアスをかける必要がない。これにより、反応ガスを用いるプロセスで、グリッド301(1),301(2)の表面に絶縁膜が形成された場合でも、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度Tを制御することができる。
【0174】
[9]第9の実施の形態
図15は、本発明の第9の実施の形態を示す側断面図である。なお、図15において、先の図4に示す構成要素とほぼ同じ機能を果たす構成要素には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0175】
先の実施の形態では、グリッド301と放電用電極15との間隔を一定にする場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、このグリッド・電極間隔を調整することができるようにしたものである。このグリッド・電極間隔を調整する機構36としては、種々様々な機構が考えられる。したがって、図では、このグリッド・電極間隔調整機構36を概念的に示す。
【0176】
このような構成によれば、グリッド301と放電用電極15との間隔を変えることができる。これにより、プラズマ拡散領域R2のプラズマの電子温度を制御することができる。
【0177】
すなわち、グリッド301と放電用電極15との間隔を変えることにより、グリッド301の表面に発生するシース電位を制御することができる。これにより、グリッド301によって形成される電位バリアを制御することができる。その結果、この電位バリアを乗り越えられる電子が持っているエネルギーが変化する。これにより、プラズマ拡散領域の電子温度を制御することができる。
【0178】
また、本実施の形態によれば、プラズマの生成効率の低下と装置の大型化を防止することができる。
【0179】
すなわち、グリッド301と放電用電極15との間隔が小さすぎると、グリッド301と放電用電極15との間に放電が発生する。これにより、プラズマの生成効率が低下する。逆に、大きすぎると、装置が大型化する。以上から、グリッド301と放電用電極15との間隔を調整することができることにより、プラズマの生成効率の低下と装置の大型化を防止することができる。
【0180】
なお、本実施の形態は、図4に示すような第3の実施の形態だけでなく、図3、図5、図8、図9、図10、図12に示すような実施の形態にも適用することができる。
【0181】
[10]第10の実施の形態
図16は、本発明の第10の実施の形態を示す側断面図である。なお、図16において、先の図4に示す構成要素とほぼ同じ機能を果たす構成要素には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0182】
先の実施の形態では、グリッド301を真空容器11の中心軸Zと平行に設定する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図16に示すように、グリッド301が基板W側に向くように真空容器11の中心軸に対して傾けるようにしたものである。このようなグリッド301は、例えば、円錐の上部を切断したような筒によって簡単に構成することができる。
【0183】
このような構成によれば、基板Wの表面におけるプラズマ密度を高めることができる。これにより、基板Wの処理効率を高めることができる。
【0184】
なお、本実施の形態は、図4に示すような第3の実施の形態だけでなく、図3、図5、図8、図9、図10、図12、図15に示すような実施の形態にも適用することができる。
【0185】
[11]その他の実施の形態
以上、本発明の10個の実施の形態を説明したが、本発明は、上述したような実施の形態に限定されるものではない。
【0186】
(1)例えば、先の実施の形態では、壁として、電子通過孔を格子状に並べたグリッド301を用いる場合を説明した。しかしながら、本発明は、電子通過孔を格子状以外の形状、例えば、一列に並べた壁を用いるようにしてもよい。このような構成は、例えば、電子通過孔として、スリット状の電子通過孔を有する壁を用いる場合に利用できる。
【0187】
(2)また、先の実施の形態では、本発明を、平行平板電極を有するマグネトロン高周波放電型プラズマ生成装置に適用する説明した。しかしながら、本発明は、平行平板電極を有しないマグネトロン高周波放電型プラズマ生成装置にも適用することができる。
【0188】
(3)さらに、先の実施の形態では、リング状の永久磁石を有するマグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置に本発明を適用する場合を説明した。しかしながら、本発明は、永久磁石を有しないマグネトロン高周波放電型プラズマ生成装置にも適用することができる。
【0189】
(4)さらにまた、先の実施の形態では、本発明を、マグネトロン高周波放電型プラズマ生成装置に適用する説明した。しかしながら、本発明は、ECR型プラズマ生成装置、誘導結合型プラズマ生成装置、マイクロ表面波型プラズマ生成装置、ヘリコン波型プラズマ生成装置等の高密度プラズマ生成装置や負イオンプラズマ生成装置等にも適用することができる。
【0190】
(5)このほかにも、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々様々変形実施可能なことは勿論である。
【0191】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明のプラズマ生成装置によれば、真空容器の内部領域を真空容器の中心軸に垂直な方向にプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域に分割することができる。これにより、処理対象物の寸法が大きくなった場合でも、壁の変形によって処理対象物の表面の電子温度分布が不均一になることを防止することができる。
【0192】
また、本装置によれば、真空容器の内部領域をプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域に分割することができる。これにより、処理対象物の表面のプラズマの制御性を高めることができる。
【0193】
さらに、本装置によれば、領域分割手段が放電用電極の近傍に設けられている。これにより、プラズマ拡散領域のプラズマの電子温度を効果的に制御することが可能となる。
【0194】
さらにまた、本装置によれば、領域分割手段が処理対象物の外側に位置するように配設されている。これにより、処理対象物の全面でプラズマ処理を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の全体的な構成を示す側断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の効果を説明するための特性図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態の効果を説明するための特性図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態の効果を説明するための特性図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図13】本発明の第8の実施の形態の効果を説明するための特性図である。
【図14】本発明の第8の実施の形態の効果を説明するための特性図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図16】本発明の第10の実施の形態の要部の構成を示す側断面図である。
【図17】従来のプラズマ生成装置の構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
11…真空容器、111…上部電極、112…下部電極、12…ガス導入部、13…ガス導入管、14…雰囲気排出部、15…放電用電極、16…高周波電源、17…整合回路、18…遮蔽カバー、19,20…絶縁体、21…上部電極、22…下部電極、23…高周波電源、24…整合回路、25…直流阻止コンデンサ、26…絶縁体、27,28…永久磁石、29…電界遮蔽部、291,292…金属遮蔽板、30…領域分割部、301…グリッド、302,303…仕切板、304,305…絶縁体、31…コンデンサ、32…直流可変電源、33…容量可変コンデンサ、34…ずらし機構、35…グリッド間隔調整機構、36,37…コンデンサ、38…グリッド・電極間隔調整機構、1a…天板、2a…底板、R1…プラズマ生成領域、R2…プラズマ拡散領域、W…基板。

Claims (5)

  1. 筒状の真空容器と、
    この真空容器の内部に放電用ガスを導入するガス導入手段と、
    前記真空容器の内部の雰囲気を排出する雰囲気排出手段と、
    前記真空容器と同軸的に設けられ、前記放電用ガスを放電させるための高周波電界を形成するリング状の放電用電極と、
    前記放電用電極に前記高周波電界を形成させるための放電用電力を供給する放電用電力供給手段と、
    前記放電用電極の周囲に配置され、前記真空容器内部に磁界を形成し、この磁界と前記放電用電極に放電用電力を供給して得られる高周波電界とにより、前記真空容器の周辺部でプラズマを生成する永久磁石と、
    複数の電子通過孔を有し、処理対象物の配設位置の外側に位置するように設けられるとともに前記真空容器と同軸的に設けられる筒状の壁を有し、前記筒状の壁を前記放電用電極の近傍でこの放電用電極の内側を覆うように配置することにより、前記真空容器の内部領域をその中心軸に垂直な方向にプラズマ生成領域とプラズマ拡散領域とに分割する領域分割手段と、
    前記筒状の壁を基準電位点から電気的に絶縁する絶縁手段と、
    前記筒状の壁近傍のプラズマのシース電位を制御する電子温度制御手段とを備えていることを特徴とするプラズマ生成装置。
  2. 前記電子温度制御手段が、前記筒状の壁と前記基準電位点との間に挿入された容量性素子を有することを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成装置。
  3. 前記電子温度制御手段が、前記筒状の壁の電位を制御する電位制御手段を有することを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成装置。
  4. 前記容量性素子が可変容量性素子であることを特徴とする請求項2記載のプラズマ生成装置。
  5. 前記電位制御手段が前記筒状の壁の直流電位を制御することを特徴とする請求項3記載のプラズマ生成装置。
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