JP4004146B2 - プラズマ生成装置及び基板表面処理方法 - Google Patents

プラズマ生成装置及び基板表面処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変形マグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、固体デバイスを製造するためには、固体デバイスの基板の表面に所定の処理を施す表面処理装置が必要になる。ここで、固体デバイスとは、例えば、半導体デバイスや液晶表示デバイス等のデバイスをいう。また、固体デバイスの基板とは、例えば、半導体デバイスのウェーハや液晶表示デバイスのガラス基板等の基板をいう。
【0003】
この表面処理装置としては、ドライエッチング装置やCVD(Chemical Vapor Deposition)装置等がある。ここで、ドライエッチング装置とは、基板の表面をドライエッチングする装置である。また、CVD装置とは、基板の表面に化学反応を使って所定の薄膜を形成する装置である。
【0004】
これらの表面処理装置としては、プラズマを使って基板の表面に所定の処理を施すプラズマ表面処理装置である。このプラズマ表面処理装置を実現するためには、プラズマを生成するプラズマ生成装置が必要になる。
【0005】
このプラズマ生成装置としては、近年、放電用ガスの圧力が低い状態でプラズマを生成可能な装置が望まれている。これは、近年、固体デバイスの微細化が進められているからである。
【0006】
すなわち、固体デバイスが微細化されると、基板に対するイオンの入射方向の高精度化が求められる。この入射方向の精度は、放電用ガスの圧力に依存する。すなわち、このガス圧力が低い場合は、入射方向の精度が高くなり、高い場合は、低くなる。これは、ガス圧力が高いと、プラズマ中のイオンが基板前面のシース電圧により加速されながら基板に入射する際、途中で中性ガスと衝突するからである。したがって、固体デバイスの微細化に対処するためには、プラズマを低ガス圧力で生成する必要がある。
【0007】
なお、低ガス圧力とは、表面処理の種類によって異なるが、一般的には、30mTorr以下と考えられる。ちなみに、半導体デバイスのウェーハをドライエッチングする場合は、プラズマを10mTorr程度のガス圧力で生成することが望まれる。
【0008】
低ガス圧力でプラズマを生成可能なプラズマ生成装置としては、従来、マグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置が知られている。この装置は、高周波電界を使ったマグネトロン放電によってプラズマを生成するものである。
【0009】
このプラズマ生成装置としては、例えば、下記の文献に記載された装置がある。 文献:特開平7−201831号
【0010】
この文献に記載されたプラズマ生成装置は、円筒形の放電用電極によって形成される高周波電界とリング状の永久磁石によって形成される磁界とによってマグネトロン放電を発生させることにより、プラズマを生成するようになっている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記文献に記載されたプラズマ生成装置では、プラズマ生成領域の中央部で、高密度のプラズマを生成することができないという問題があった。これは、このプラズマ生成装置では、プラズマが、主に、放電用電極の表面で生成されるからである。ここで、プラズマ生成領域の中央部とは、放電用電極の径方向における中央部をいう(以下、同様)。
【0012】
これにより、このプラズマ生成装置では、プラズマ表面処理装置を実現する場合、プラズマ密度の均一な条件下で表面処理を行うことができないという問題があった。
【0013】
この問題を解決するためには、サセプタを放電用電極からその軸方向にかなり離れた場所に設置すればよい。ここで、サセプタとは、処理すべき基板が載置される基板載置体である。
【0014】
しかしながら、このような構成では、プラズマ密度の均一な条件下で表面処理を行うことができるものの、プラズマ密度の高い条件下で表面処理を行うことができないという問題が新たに生じる。これは、上述したようなプラズマ生成装置では、放電用電極からその軸方向に離れるに従い、プラズマの拡散損失によりプラズマ密度が低下するからである。これにより、このような構成では、表面処理の処理速度が遅くなる。
【0015】
以上から、変形マグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置では、放電用電極の中央部でも、周辺部と同様に、高密度のプラズマを生成することができる装置が望まれる。ここで、プラズマ生成領域の周辺部とは、放電用電極の径方向における周辺部をいう(以下、同様)。
【0016】
そこで、本発明は、プラズマ生成領域の中央部でも、周辺部と同様に、高密度のプラズマを生成することができる変形マグネトロン高周波放電型のプラズマ生成装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにプラズマ生成装置は、真空容器と、ガス導入手段と、排気手段と、放電用電極と、第1の高周波電力印加手段と、磁力線形成手段と、一対の壁とを備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、真空容器は、内部にプラズマ生成領域が設定される容器である。ガス導入手段は、真空容器の内部に放電用のガスを導入する手段である。排気手段は、真空容器の内部の雰囲気を排出する手段である。放電用電極は、プラズマ生成領域を囲むように配設された電極である。この電極は、円筒状に形成されている。
【0019】
第1の高周波電力印加手段は、放電用電極に高周波電力を印加する手段である。磁力線形成手段は、所定の磁力線を形成する手段である。この磁力線は、放電用電極の中心軸とほぼ平行な部分を有し、この平行な部分の長さが中心軸に近づくほど長くなるような磁力線である。一対の壁は、放電用電極の中心軸方向におけるプラズマ生成領域の範囲を規定する壁である。この一対の壁は、プラズマ生成領域を放電用電極の中心軸方向から挟むように配設されている。
【0020】
また、このプラズマ生成装置は、プラズマ生成領域の中央部を通過する磁力線が一対の壁と交差しないような形状を有するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
このような磁力線は、例えば、真空容器の大きさ、磁力線形成手段の位置や構成、一対の壁の位置や間隔等を適宜設定することにより形成される。
【0022】
このプラズマ生成装置では、プラズマを生成する場合、真空容器の内部にガス導入手段により放電用ガスが導入される。また、この場合、真空容器の内部の雰囲気が排気手段により排出される。これにより、真空容器の内部が減圧状態に設定される。さらに、この場合、放電用電極に高周波電力が印加される。これにより、放電用電極の径方向に向かう高周波電界成分が形成される。さらにまた、この場合、磁力線形成手段により、放電用電極の中心軸とほぼ平行な部分を有する磁力線が形成される。これにより、プラズマ生成領域に互いに直交する高周波電界と磁界とが形成される。その結果、放電用電極から放出された電子がマグネトロン運動する。このマグネトロン運動によりマグネトロン放電が発生する。このマグネトロン放電によりプラズマが生成される。
【0023】
この場合、本装置では、プラズマ生成領域の中央部を通過する磁力線が一対の壁と交差しないような形状を有するように設定されている。これにより、プラズマ生成領域の中央部では、高エネルギー電子の流出が抑制される。
【0024】
ここで、高エネルギー電子の流出とは、磁力線にトラップされている高エネルギー電子が一対の壁を介して流出することをいう。なお、この流出は、一対の壁の構成材料に関わらず発生する。この場合、この流出量は、一対の壁の表面電位とプラズマ空間電位との差や、プラズマ生成領域に形成されている磁力線と一対の壁との位置関係によって決まる。
【0025】
この抑制により、プラズマ生成領域の中央部においても、周辺部と同様に、マグネトロン放電の発生効率が高められる。これにより、プラズマ生成領域の中央部においても、周辺部と同様に、プラズマの生成効率が高められる。その結果、プラズマ生成領域の中央部においても、周辺部と同様に、高密度のプラズマが生成される。
【0026】
プラズマ生成装置は、一対の壁が導電性を有する材料で形成されていることを特徴とする。
【0027】
このプラズマ生成装置では、一対の壁が導電性を有する材料で形成されている。これにより、この壁を使って、プラズマの密度を電気的に制御することが可能となる。
【0028】
プラズマ生成装置は、一対の壁の一方に高周波電力を印加する第2の高周波電力印加手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0029】
このプラズマ生成装置では、一対の壁の一方に第2の高周波電力印加手段により高周波電力が印加される。これにより、放電用電極の中心軸方向に向かう高周波電界が形成される。その結果、磁力線にトラップされている高エネルギー電子が放電用電極の中心軸方向に高周波振動する。この高周波振動により、マグネトロン放電とは異なる放電(以下、「高周波振動放電」という。)が発生する。その結果、プラズマの生成効率が高められる。
【0030】
高周波振動放電の発生効率は、プラズマ生成領域の周辺部より中心部で高くなる。これは、磁力線において、放電用電極の中心軸と平行な部分の長さがこの中心軸に近づくほど長くなるからである。これにより、プラズマ生成領域の中央部におけるプラズマの生成効率が高められる。
【0031】
プラズマ生成装置は、一対の壁の他方が基準電位点に接続されていることを特徴とする。
【0032】
このプラズマ生成装置では、一対の壁の他方が基準電位点に接続されている。これにより、プラズマ空間平均電位を低くすることができる。その結果、基準電位点に接続されている他の電極の表面からの金属汚染を低減することができる。
【0033】
プラズマ生成装置は、一対の壁の他方が電気的にフローティング状態に設定されていることを特徴とする。
【0034】
このプラズマ生成装置では、一対の壁の他方が電気的にフローティング状態に設定されている。これにより、シース電圧による一対の壁の他方の損傷を低減することができる。
【0035】
プラズマ生成装置は、一対の壁の他方が、プラズマを使って被処理物に所定の処理を施す場合、被処理物を保持する保持部として利用されることを特徴とする。
【0036】
このプラズマ生成装置では、一対の壁の他方に保持されている被処理物の表面におけるシース電圧を低くすることができる。その結果、シース電圧による被処理物の損傷を低減することができる。
【0037】
プラズマ生成装置は、第1の高周波電力印加手段が放電用電極に印加される高周波電力を出力する第1の高周波電源を備えたことを特徴とする。また、本装置は、第2の高周波電力印加手段が一対の壁の一方に印加される高周波電力を出力する第2の高周波電源を備えたことを特徴とする。
【0038】
このプラズマ生成装置では、放電用電極に印加される高周波電力は、第1の高周波電源から出力される。これに対し、一対の壁の一方に印加される高周波電力は、第2の高周波電源から出力される。これにより、放電用電極に印加される高周波電力の大きさと一対の壁の一方に印加される高周波電力の大きさとを独立に設定することができる。その結果、マグネトロン放電によって生成されるプラズマの密度と高周波振動放電によって生成されるプラズマの密度を独立に設定することができる。これにより、放電用電極の径方向におけるプラズマの密度分布として均一な密度分布を設定することができる。
【0039】
プラズマ生成装置は、第1の高周波電力印加手段が放電用電極に印加される高周波電力を出力する高周波電源を備えたことを特徴とする。また、本装置は、第2の高周波電力印加手段が高周波電源から出力される高周波電力に共振する高周波共振回路を備えたことを特徴とする。
【0040】
このプラズマ生成装置では、放電用電極に印加される高周波電力は、高周波電源から与えられる。これに対し、一対の壁の一方に印加される高周波電力は、高周波電源から高周波共振回路を介して与えられる。これにより、高周波電源の数を1つにすることができる。その結果、装置の回路構成を簡単にすることができるとともに、製造経費を低減することができる。
【0041】
プラズマ生成装置は、一対の壁がいずれも基準電位点に接続されていることを特徴とする。
【0042】
このプラズマ生成装置では、一対の壁がいずれも基準電位点に接続されている。これにより、プラズマ空間平均電位をさらに低くすることができる。その結果、基準電位点に接続されている電極の表面からの金属汚染を極端に抑制することができる。
【0043】
プラズマ生成装置は、第1の高周波電力印加手段から放電用電極に印加される高周波電力の大きさを制御する制御手段をさらに備えた特徴とする。
【0044】
このプラズマ生成装置では、放電用電極に印加される高周波電力の大きさが制御手段により制御される。これにより、マグネトロン放電により生成されるプラズマの密度を制御することができる。
【0045】
プラズマ生成装置は、第1、第2の高周波電源から出力される高周波電力を制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0046】
このプラズマ生成装置では、放電用電極に印加される高周波電力の大きさと一対の壁の一方に印加される高周波電力の大きさが制御手段により制御される。これにより、マグネトロン放電により生成されるプラズマの密度と高周波振動放電により生成されるプラズマの密度を制御することができる。その結果、放電用電極の径方向におけるプラズマの密度分布も制御することができる。
【0047】
プラズマ生成装置は、制御手段が、第1、第2の高周波電源から出力される高周波電力の大きさを制御する場合、両者の比が常に予め定めた値となるように制御するように構成されていることを特徴とする。
【0048】
このプラズマ生成装置では、第1、第2の高周波電源から出力される高周波電力の大きさは、常に、両者の比が予め定めた値となるように制御される。これにより、プラズマの密度を制御する場合、放電用電極の径方向におけるプラズマの密度分布として、常に、所望の密度分布を保ったまま制御することができる。また、第1、第2の高周波電源の一方から出力される高周波電力の大きさを指定することにより、自動的に他方から出力される高周波電源の大きさが修正される。これにより、高周波電力の大きさを制御する場合の作業者の負担を軽減することができる。
【0049】
プラズマ生成装置は、高周波電源から出力される高周波電力の大きさを制御する制御手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0050】
このプラズマ生成装置では、高周波電源から出力される高周波電力の大きさを制御することにより、放電用電極に印加される高周波電力の大きさが制御される。また、これと同時に、一対の壁の一方に印加される高周波電力の大きさも自動的に制御される。これにより、高周波電力の大きさを制御する場合の作業者の負担を軽減することができる。
【0051】
プラズマ生成装置は、放電用電極の中心軸方向における一対の壁の位置を調整する位置調整手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0052】
このプラズマ生成装置では、放電用電極の中心軸方向における一対の壁の位置を調整することができる。これにより、装置を組み立てた後に、一対の壁と交差しないような磁力線を形成することができる。その結果、このような磁力線の形成が容易となる。
【0053】
プラズマ生成装置は、一対の壁の一方が放電用ガスをプラズマ生成領域に分散させるためのガス分散板として利用されることを特徴とする。また、本装置は、一対の壁の他方が、プラズマを使って被処理物に所定の処理を施す場合、被処理物を保持する保持部として利用されることを特徴とする。
【0054】
このプラズマ生成装置では、ガス導入手段により導入された放電用ガスは、一対の壁の一方によりプラズマ生成領域に分散される。これにより、放電用ガスがプラズマ生成領域に均一に供給される。また、本装置では、プラズマを使って被処理物に所定の処理を施す場合、一対の壁の他方によって被処理物が保持される。これにより、プラズマ生成装置からプラズマ処理装置を簡単に構成することができる。
【0055】
プラズマ生成装置は、真空容器と、ガス導入手段と、排気手段と、放電用電極と、第1の高周波電力印加手段と、磁力線形成手段と、一対の壁と、第2の高周波電力印加手段とを備えたことを特徴とする。
【0056】
ここで、真空容器は、内部にプラズマ生成領域が設定される容器である。ガス導入手段は、真空容器の内部に放電用のガスを導入する手段である。排気手段は、真空容器の内部の雰囲気を排出する手段である。放電用電極は、プラズマ生成領域を囲むように配設された電極である。この電極は、円筒形に形成されている。第1の高周波電力印加手段は、放電用電極に高周波電力を印加する手段である。磁力線形成手段は、プラズマ生成領域に磁力線を形成する手段である。一対の壁は、放電用電極の中心軸方向におけるプラズマ生成領域の範囲を規定する壁である。この一対の壁は、導電性を有する材料によって形成されるとともに、プラズマ生成領域を放電用電極の中心軸方向から挟むように配設されている。第2の高周波電力印加手段は、一対の壁の一方に高周波電力を印加する手段である。
【0057】
このプラズマ生成装置では、プラズマを生成する場合、真空容器の内部にガス導入手段により放電用ガスが導入される。また、この場合、真空容器の内部の雰囲気が排気手段により排出される。これにより、真空容器の内部が減圧状態に設定される。さらに、この場合、放電用電極に高周波電力が印加される。これにより、放電用電極の径方向に向かう高周波電界が形成される。さらにまた、この場合、磁力線形成手段によりプラズマ生成領域に磁力線が形成される。これにより、電子がマグネトロン運動する。このマグネトロン運動によりマグネトロン放電が発生する。このマグネトロン放電によりプラズマが生成される。
【0058】
また、この場合、一対の壁の一方に高周波電力が供給される。これにより、放電用電極の中心軸方向に向かう高周波電界が形成される。その結果、磁力線にトラップされている高エネルギー電子が高周波振動する。これにより、マグネトロン放電とは異なる放電が発生する。その結果、マグネトロン放電のみを行う場合より、プラズマの生成効率を高めることができる。
【0059】
なお、本装置には、一対の壁と交差しない磁力線を有しない場合も含まれる。この場合、磁力線にトラップされている高エネルギー電子の数が少なくなる。これにより、マグネトロン放電によるプラズマの生成効率が低下する。しかしながら、本装置では、高周波振動放電が得られる。これにより、マグネトロン放電によるプラズマの生成効率の低下が補われる。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0061】
[1]第1の実施の形態
[1−1]構成
図1は、本発明の第1の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0062】
本実施の形態のプラズマ生成装置は、真空容器11と、ガス導入部12と、排気部13と、放電用電極14と、一対の永久磁石15,16と、一対の壁17,18と、第1の高周波発振器19と、第1の整合回路20と、第2の高周波発振器21と、第2の整合回路22と、ブロッキングコンデンサ23と、高周波遮蔽部24と、高周波遮蔽カバー25と、制御部26とを有する。
【0063】
ここで、真空容器11は、内部にプラズマ生成領域41が設定される容器である。言い換えれば、密閉されたプラズマ生成空間を提供する容器である。ガス導入部12は、真空容器11の内部に放電用のガスを導入する部分である。排気部13は、真空容器11の内部の雰囲気を排出する部分である。
【0064】
放電用電極14は、マグネトロン放電用の高周波電界を形成する電極である。永久磁石15,16は、マグネトロン放電用の磁力線43を形成する磁石である。一対の壁17,18は、放電用電極14の中心軸42方向におけるプラズマ生成領域41の範囲を規定する壁である。この壁17,18は、導電性の材料によって形成されている。この場合、例えば、下側の壁18は、高周波振動放電用の高周波電界を形成するための電極として用いられる。以下、上側の壁17を上壁17といい、下側の壁18を下壁18という。
【0065】
第1の高周波発振器19は、マグネトロン放電用の高周波電力を出力する発振器である。この高周波発振器19は、例えば、第1の整合回路20を介して放電用電極14に接続されている。ここで、整合回路20は、第1の高周波発振器19と放電用電極14との整合をとる回路である。
【0066】
第2の高周波発振器21は、高周波振動放電用の高周波電力を出力する発振器である。この高周波発振器21は、例えば、第2の整合回路22とブロッキングコンデンサ23とを介して一対の壁17,18のうち、例えば、下壁18に接続されている。ここで、整合回路22は、第2の高周波発振器21と下壁18との整合をとる回路である。また、ブロッキングコンデンサ23は、下壁18に印加される高周波電力から直流成分を除去するコンデンサである。
【0067】
高周波遮蔽部24は、放電用電極14と下壁18とによってプラズマ生成領域41に形成される高周波電界を遮蔽する遮蔽部である。高周波遮蔽カバー25は、放電用電極14によって真空容器11の外部に形成される高周波電界を遮蔽するカバーである。
【0068】
制御部26は、例えば、作業者の操作に従って高周波発振器19,21から出力される高周波電力の大きさを電気的に制御する制御部である。この制御部26は、2つの高周波電力の大きさを、両者の比が予め定めた値となるように制御する。なお、予め定めた値としては、例えば、放電用電極41の径方向に密度分布の均一なプラズマが得られるような値が用いられる。
【0069】
上記真空容器11は、例えば、円筒状に形成されている。そして、この真空容器11は、例えば、中心軸が鉛直方向を向くように配設されている。上記ガス導入部12は、例えば、円筒状に形成されている。そして、このガス導入部12は、真空容器11の天板111に設けられている。上記排気部13は、例えば、円筒状に形成されている。この排気部13は、真空容器13の底板112に設けられている。
【0070】
上記放電用電極14は、円筒状に形成されている。この放電用電極14は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、この放電用電極14は、プラズマ生成領域41を囲むように配設されている。さらに、この放電用電極14は、真空容器11に組み込まれている。すなわち、真空容器11は、水平に2つに分割されている。放電用電極14は、この分割により得られた上側の容器27と下側の容器28との間に挿入されている。以下、上側の容器27を上容器27といい、下側の容器28を下容器28という。この場合、放電用電極14と上容器27とは、リング状の絶縁体29によって絶縁されている。同様に、放電用電極14と下容器28とは、リング状の絶縁体30によって絶縁されている。なお、上容器27と下容器28とは、基準電位点に接続されている。図には、この基準電位点として、電位が零の点、すなわち、アースを設定する場合を代表として示す。
【0071】
上記一対の永久磁石15,16は、リング状に形成されている。この永久磁石15,16は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、この永久磁石15,16は、放電用電極14を囲むように配設されている。この場合、永久磁石15は、放電用電極14の上端部付近に位置決めされている。これに対し、永久磁石16は、放電用電極14の下端部付近に位置決めされている。
【0072】
永久磁石15,16は、その径方向に着磁されている。この場合、永久磁石15,16は、互いに逆向きに着磁されている。すなわち、今、例えば、永久磁石15の内側の部分がN極、外側の部分がS極に着磁されているとする。以下、内側の部分を内側部といい、外側の部分を外側部という。この場合、永久磁石16の内側部はS極、外側部はN極に着磁されている。これにより、プラズマ生成領域41には、永久磁石15の内側部から放電用電極14の中心軸42側に向かって延在した後、永久磁石16の内側部に向かって延在する磁力線43が形成される。この磁力線43は、放電用電極14の中心軸42にほぼ平行な部分を有する。そして、この平行部分の長さは、中心軸42に近づくほど長くなる。この場合、磁力線43は、永久磁石15の各部から出力される磁力線43の相互作用により、原理的には、最高でも放電用電極14の中心軸42上で折り返す。
【0073】
上記一対の壁17,18は、例えば、円形の平板状に形成されている。この壁17,18は、放電用電極14の中心軸方向からプラズマ生成領域41を挟むように配設されている。また、この壁17,18は、放電用電極14の中心軸42に垂直に配設されている。言い換えれば、壁17,18は、水平に配設されている。上壁17と真空容器11とは、絶縁体31によって絶縁されている。これにより、この上壁17は、電気的にフローティング状態に設定されている。
【0074】
上壁17は、例えば、放電用ガスを分散させるためのガス分散板として利用されている。このため、この上壁17には、複数のガス分散穴32が形成されている。下壁18は、本装置を使ってプラズマ表面処理装置を構築する場合、例えば、サセプタとして利用される。すなわち、基板が載置される基板載置部として利用される。
【0075】
上記高周波遮蔽部24は、例えば、2つのリング状の金属遮蔽板33,34を有する。この金属遮蔽板33,34は、真空容器11と同軸的に配設されている。また、この金属遮蔽板33,34は、下壁18を囲むように、下壁18と下容器28との間に配設されている。この場合、この金属遮蔽板33,34は、放電用電極14の中心軸42方向に所定間隔離れるように配設されている。また、下壁18と高周波遮蔽部24は、図示しない絶縁体により絶縁されている。さらに、高周波遮蔽部24と下容器28とは、同電位に設定されている。
【0076】
各金属遮蔽板33,34には、プラズマ生成領域41の雰囲気を排出するための排気穴35,36が形成されている。各排気穴35,36は、全体的に重なることがないように形成されている。すなわち、一部が重なるか、または、全く重ならないように形成されている。これにより、高周波電界の遮蔽機能と雰囲気の排出機能の両方が得られる。上記高周波遮蔽カバー25は、放電用電極14を囲むように真空容器11の外壁に取り付けられている。
【0077】
上記構成においては、真空容器11が本発明の真空容器に相当し、ガス導入部12が、同じくガス導入手段に相当し、排気部13が排気手段に相当する。また、放電用電極14が、本発明の放電用電極に相当し、永久磁石15,16が同じく磁力線形成手段に相当し、一対の壁17,18が同じく一対の壁に相当する。さらに、第1の高周波発振器19と第1の整合回路20が本発明の第1の高周波電力印加手段に相当し、第2の高周波発振器21と、第2の整合回路22と、ブロッキングコンデンサ23が同じく第2の高周波電力印加手段に相当し、制御部26が同じく制御手段に相当する。
【0078】
また、本実施の形態のプラズマ生成装置は、プラズマ生成領域41の中央部を通過する磁力線43が一対の壁17,18と交差しないような形状を有するように構成されている。これは、例えば、所定のパラメータを適宜設定することにより行われる。このパラメータとしては、例えば、真空容器11の大きさ、永久磁石15,16の位置、大きさ、間隔(放電用電極14の中心軸42方向の間隔)、壁17,18の位置、間隔(放電用電極14の中心軸42方向の間隔)等がある。上述した非交差構成は、例えば、これらのいずれか1つまたは2つ以上を適宜設定することにより実現される。
【0079】
[1−2]動作
上記構成において、プラズマ生成動作を説明する。
【0080】
(1)マグネトロン放電によるプラズマ生成動作
まず、マグネトロン放電によるプラズマ生成動作を説明する。
【0081】
本実施の形態では、プラズマを生成する場合、ガス導入部12により真空容器11の内部に放電用ガスが導入される。この放電用ガスは、上壁17に形成された複数のガス分散穴32によりプラズマ生成領域41に均一に分散される。
【0082】
また、この場合、真空容器11の内部の雰囲気が排気部13により排出される。これにより、真空容器11の内部が減圧状態に設定される。この場合、プラズマ生成領域41の雰囲気は金属遮蔽板33,34に形成された排気孔35,36を介して排出される。
【0083】
さらに、この場合、放電用電極14に第1の高周波発振器19から第1の整合回路20を介して高周波電力が印加される。これにより、プラズマ生成領域41に面する放電用電極14の表面に高周波電界が形成される。
【0084】
さらにまた、この場合、永久磁石15,16により、磁力線43が形成される。この磁力線43は、上記のごとく、放電用電極14の中心軸とほぼ平行な部分を有する。これにより、プラズマ生成領域41に、ほぼ直交する高周波電界と磁界とが形成される。その結果、放電用電極14の近傍で電子が磁力線43にトラップされるとともに、マグネトロン運動する。このマグネトロン運動により、電子が加速され、放電用のガスが放電させられる。このマグネトロン放電により、プラズマ生成領域Rにプラズマが生成される。以下、このプラズマを第1のプラズマという。
【0085】
(2)高周波振動放電によるプラズマ生成動作
次に、高周波振動放電によるプラズマ生成動作を説明する。
【0086】
本実施の形態では、プラズマを生成する場合、下壁18にも第2の高周波発振器21から第2の整合回路22とブロッキングコンデンサ23とを介して高周波電力が印加される。これにより、プラズマ生成領域41に放電用電極14の中心軸42方向に向かう高周波電界が形成される。その結果、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子がこの中心軸42方向に高周波振動させられる。この高周波振動により高エネルギー電子が加熱される。この加熱により放電用ガスが放電させられる。この高周波振動放電により、プラズマ生成領域41にプラズマが生成される。以下、このプラズマを第2のプラズマという。
【0087】
(3)第1のプラズマの密度
次に、第1のプラズマの密度について説明する。
【0088】
上記第1のプラズマの密度は、マグネトロン放電の発生効率に依存する。このマグネトロン放電の発生効率は、例えば、放電用電極14によって形成される高周波電界の強さと永久磁石15,16によって形成される磁界の強さと形状に依存する。この高周波電界と磁界は、プラズマ生成領域41の中央部より周辺部で強くなる。これは、プラズマ生成領域41の中央部より周辺部の方が放電用電極14や永久磁石15,16に近いからである。これにより、マグネトロン放電の発生効率は、プラズマ生成領41の中央部より周辺部で高くなる。その結果、第1のプラズマの密度は、プラズマ生成領域41の中央部より周辺部で高くなる。
【0089】
しかしながら、マグネトロン放電の発生効率は、高周波電界と磁界の強さだけでなく、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子の数にも依存する。この高エネルギー電子の数は、磁力線43が壁17,18と交差しなければ多くなる。これは、磁力線43が壁17,18と交差すると、この磁力線43にトラップされている高エネルギー電子が壁17,18を介して流出するからである。
【0090】
本実施の形態では、プラズマ生成領域Rの中央部を通過する磁力線43が壁17,18と交差しないように設定されている。これにより、プラズマ生成領域41の中央部で高エネルギー電子の流出が抑制される。その結果、この中央部でも、周辺部と同様に、マグネトロン放電の発生効率が高められる。これにより、この中央部でも、周辺部と同様に、第1のプラズマの生成効率が高められる。その結果、この中央部でも、周辺部と同様に、高密度の第1のプラズマが得られる。
【0091】
(4)第2のプラズマの密度
次に、第2のプラズマの密度について説明する。
【0092】
上記第2のプラズマの密度は、高周波振動放電の発生効率に依存する。この発生効率は、磁力線43のうち、放電用電極14の中心軸42とほぼ平行な部分の長さに依存する。すなわち、この平行部分の長さが長くなれば、高周波振動放電の発生効率が高くなり、短くなれば、低くなる。これは、上記平行部分の長さが長くなると、高エネルギー電子が加速度運動可能な距離が長くなるからである。
【0093】
本実施の形態では、上記平行部分の長さは、プラズマ生成領域41の周辺部より中央部で長くなる。これにより、高周波振動放電の発生効率は、プラズマ生成領域41の周辺部より中央部で高くなる。その結果、第2のプラズマの密度は、プラズマ生成領域41の周辺部より中央部で高くなる。
【0094】
以上から、高周波振動放電を発生させると、発生させない場合より、さらに、プラズマ生成領域41の中央部におけるプラズマの密度を高めることができる。
【0095】
(5)プラズマ密度の制御
次に、プラズマの密度の制御について説明する。
【0096】
第1のプラズマの密度は、上記のごとく、放電用電極14によって形成される高周波電界の強さに依存する。この高周波電界の強さは、第1の高周波発振器19から出力される高周波電力の大きさに依存する。この高周波電力の大きさは、作業者の操作に基づいて、制御部26によって制御される。これにより、作業者の操作に基づいて、この高周波電力の大きさを制御することにより、第1のプラズマの密度が制御される。
【0097】
第2のプラズマの密度は、下壁18によって形成される高周波電界の強さに依存する。この高周波電界の強さは、第2の高周波発振器21から出力される高周波電力の大きさに依存する。この高周波電力の大きさは、作業者の操作に基づいて、制御部26により制御される。これにより、作業者の操作に基づいて、この高周波電力の大きさを制御することにより、第2のプラズマの密度が制御される。
【0098】
第1のプラズマの密度は、上記のごとく、プラズマ生成領域41の中央部より周辺部で高くなる。これに対し、第2のプラズマの密度は、上記のごとく、プラズマ生成領域42の周辺部より中央部で高くなる。したがって、上記2つの高周波電力の大きさを適宜制御することにより、プラズマ生成領域41の全域に亘って密度分布の均一なプラズマを得ることができる。
【0099】
密度分布の均一なプラズマが得られるときの2つの高周波電力の比は、プラズマの密度に関係なくほぼ一定である。本実施の形態では、この点に着目し、2つの高周波電力の大きさを制御する場合、両者の比が予め定めた値になるように制御するようになっている。これにより、作業者によって2つの高周波電力の一方の大きさが指定されると、他方の大きさも自動的に修正される。その結果、常に、プラズマ生成領域41の全域に亘って密度分布の均一なプラズマが得られる。
【0100】
(6)平行平板電極によるプラズマ生成方法との違い
次に、壁17,18によるプラズマ生成方法と通常の平行平板電極によるプラズマ生成方法との違いを説明する。
【0101】
本実施の形態の壁17,18は通常の平行平板電極とほぼ同じ形状を有する。しかしながら、この壁17,18によるプラズマ(第2のプラズマ)の生成方法は、通常の平行平板電極によるプラズマ生成方法とは異なる。
【0102】
すなわち、通常の平行平板電極によるプラズマ生成方法では、プラズマは、主に、イオンが平板電極のシース電圧により加速された後、平板電極の表面に衝突することにより出力される二次電子と、シース電圧の高周波変動による電子の加熱と、プラズマオーム抵抗による電子の加熱とによって生成される。
【0103】
これに対し、壁17,18によるプラズマ生成方法では、プラズマは、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子の高周波振動による電子の加熱によって生成される。
【0104】
通常の平行平板電極によるプラズマ生成方法では、放電用ガスの圧力が高い場合は、ある程度高い密度のプラズマを生成することができる。しかしながら、ガス圧力が低い場合は、密度の高いプラズマを生成することができない。ここで、ガス圧力が高い場合とは、例えば、ガス圧力が0.1Torr以上の場合をいう。これに対し、ガス圧力が低い場合とは、例えば、ガス圧力が30mTorr以下の場合をいう。
【0105】
これに対し、本実施の形態では、壁17,18と交差しないような磁力線43が形成される。これにより、高エネルギー電子が磁力線43に効率的にトラップされる。その結果、ガス圧力が、1mTorrのような低い場合であっても、密度の高いプラズマを生成することができる。
【0106】
[1−3]効果
以上詳述した本実施の形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0107】
(1)まず、本実施の形態によれば、プラズマ生成領域41の中央部を通過する磁力線43が壁17,18と交差しないように設定されている。これにより、プラズマ生成領域41の中央部でも、周辺部と同様に、マグネトロン放電の発生効率を高めることができる。その結果、この中央部でも、周辺部と同様に、高密度の第1のプラズマを生成することができる。ちなみに、本実施の形態によれば、放電用電極14に印加される高周波電力の大きさが同じとした場合、上述した文献に記載される装置に比べ、第1のプラズマの密度を1桁高めることができる。
【0108】
(2)また、本実施の形態によれば、一対の壁17,18が導電性を有する材料によって形成されている。これにより、この壁17,18を使って第2のプラズマの密度を電気的に制御することができる。
【0109】
(3)さらに、本実施の形態によれば、下壁18に高周波電力が印加される。これにより、高周波振動放電を発生させることができる。その結果、この放電を発生させない場合より、プラズマ生成領域41の中央部において、プラズマの密度をさらに高めることができる。
【0110】
(4)さらにまた、本実施の形態によれば、上壁17が電気的にフローティング状態に設定されている。これにより、この上壁17の表面におけるシース電圧を低くすることができる。その結果、シース電圧により上壁17の金属汚染を低減することができる。
【0111】
(5)また、本実施の形態によれば、放電用電極14に印加される高周波電力と上壁18に印加される高周波電力とが別々の高周波発振器19,21から出力される。これにより、2つの高周波電力の大きさを独立に設定することができる。その結果、第1のプラズマの密度と第2のプラズマの密度を独立に設定することができる。これにより、放電電極14の径方向におけるプラズマの密度分布として、均一な密度分布を設定することができる。
【0112】
(6)さらにまた、本実施の形態によれば、高周波発振器19,21から出力される高周波電力の大きさを制御する制御部26が設けられる。これにより、第1のプラズマの密度と第2のプラズマの密度を制御することができる。その結果、放電用電極14の径方向におけるプラズマの密度分布を制御することができる。
【0113】
(7)また、本実施の形態によれば、2つの高周波電力の大きさを制御する場合、両者の比が常に予め定めた値になるように制御される。これにより、放電用電極14の径方向におけるプラズマの密度分布として、常に所望の密度分布を得ることができる。また、高周波電力の大きさを制御する場合の作業者の負担を軽減することができる。
【0114】
(8)さらにまた、本実施の形態によれば、一対の壁17,18として、真空容器11の天板111と底板112ではなく、専用の壁が設けられる。これにより、上壁17を放電用ガスを分散させるためのガス分散板として利用することができる。また、本実施の形態のプラズマ生成装置を使ってプラズマ表面処理装置を構成する場合、下壁18を基板を載置するためのサセプタとして利用することができる。
【0115】
[1−4]変形例
以上の説明では、上壁17を電気的にフローティング状態に設定する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態では、これをアースに接続するようにしてもよい。このような構成においても、プラズマ空間平均電位を小さくすることができる。これにより、他のアース電極による金属汚染を抑制することができる。
【0116】
[2]第2の実施の形態
図2は、本発明の第2の実施の形態の構成を示す側断面図である。なお、図2に示す装置おいて、先の図1に示す装置の構成要素とほぼ同一機能を果たす構成要素には同一符号を付して詳細な説明を省略する。これは、以下に説明する第3の実施の形態以降の実施の形態においても同様である。
【0117】
先の第1の実施の形態では、下壁18に高周波電力を印加する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図2に示すように、上壁17に高周波電力を印加し、下壁18をアースに接続するようにしたものである。
【0118】
このような構成によれば、先の実施の形態とほぼ同じ効果を得ることができるとともに、さらに、次のような効果を得ることができる。
【0119】
すなわち、本実施の形態によれば、下壁18がアースに接続されている。これにより、この下壁18の表面におけるシース電圧を低くすることができる。その結果、シース電圧による下壁18の損傷を低減することができる。
【0120】
また、本装置を使ってプラズマ表面処理装置を構築した場合、下壁18に載置される基板の表面のシース電圧を低くすることができる。その結果、シース電圧による基板の損傷を低減することができる。
【0121】
[3]第3の実施の形態
図3は、本発明の第3の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0122】
先の第2の実施の形態では、下壁18を接地する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図3に示すように、下壁18を電気的にフローティング状態に設定するようにしたものである。
【0123】
このような構成によれば、第2の実施の形態より、下壁18や基板の表面のシース電圧をさらに小さくすることができる。これにより、シース電圧による下壁18や基板の損傷をさらに低減することができる。
【0124】
[4]第4の実施の形態
図4は、本発明の第4の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0125】
先の第1,第2,第3の実施の形態では、上壁17または下壁18に高周波電力を印加する場合、高周波発振器21を使って印加する場合を説明した。言い換えれば、自分自身で高周波電力を出力することができる高周波電源を使って印加する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図4に示すように、高周波共振回路51を使って印加するようにしたものである。
【0126】
この高周波共振回路51は、放電用電極14用の高周波発振器19から出力される高周波電力に共振するように構成されている。また、この高周波共振回路51は、例えば、可変コンデンサ52と、コイル53と、分布容量54とにより構成されている。ここで、可変コンデンサ52は、共振周波数を調整するためのコンデンサである。この可変コンデンサ52とコイル53は直列に接続されている。そして、この直列回路は、上壁17とアースとの間に挿入されている。分布容量54は、上側の壁17とアースとの間に形成された分布容量である。図には、この分布容量54を便宜上1つのコンデンサで表す。
【0127】
なお、本実施の形態では、第2の高周波発振器21が設けられない。このため、制御部26は、高周波発振器19から出力される高周波電力の大きさのみを制御するようになっている。
【0128】
このような構成においては、高周波発振器19から放電用電極14に印加される高周波電力に高周波共振回路51が共振する。これにより、高周波発振器19から高周波共振回路51を介して上壁17にも高周波電力が印加される。
【0129】
このような構成によれば、高周波発振器を1つにすることができる。これにより、装置の回路構成を簡単にすることができるとともに、回路の製造経費を低減することができる。
【0130】
なお、図4では、下壁18を接地する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態では、この下壁18を、先の第3の実施の形態のように、電気的にフローティング状態にするようにしてもよい。
【0131】
また、図4では、高周波共振回路51を上壁17に接続する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態では、高周波共振回路51を、先の第1の実施の形態のように、下壁18に接続するようにしてもよい。
【0132】
[5]第5の実施の形態
図5は、本発明の第5の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0133】
先の第1〜第4の実施の形態では、2つの壁17,18のいずれか一方に高周波電力を印加する場合を説明した。これに対し、本実施の形態は、図5に示すように、2つの壁17,18をいずれもアースに接続するようにしたものである。なお、本実施の形態では、高周波電力が印加されないため、制御部26は不要となる。
【0134】
このような構成によれば、壁17,18の表面におけるシース電圧を小さくすることができる。これにより、シース電圧による壁17,18の損傷を低減することができる。同様に、下壁18をサセプタとして利用する場合、シース電圧による基板の損傷を低減することができる。
【0135】
[6]第6の実施の形態
図6は、本発明の第6の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0136】
先の第5の実施の形態では、一対の壁17,18のいずれもアースに接続する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図6に示すように、上壁17を電気的にフローティング状態に設定するようにしたものである。
【0137】
このような構成によれば、先の第5の実施の形態より、上壁17の表面におけるシース電圧を小さくすることができる。これにより、この実施の形態より、シース電圧による上壁17からの金属汚染をさらに低減することができる。
【0138】
[7]第7の実施の形態
図7は、本発明の第7の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0139】
先の第6の実施の形態では、上壁17のみを電気的にフローティング状態に設定する場合を説明した。これに対し、本実施の形態では、図7に示すように、下壁18も電気的にフローティング状態に設定するようにしたものである。
【0140】
このような構成によれば、先の第6の実施の形態より、下壁18や基板の表面におけるシース電圧を小さくすることができる。これにより、この実施の形態より、シース電圧による下壁18や基板の損傷を低減することができる。
【0141】
[8]第8の実施の形態
図8は、本発明の第8の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【0142】
先の第1〜第7の実施の形態では、一対の壁17,18の位置を固定する場合を説明した。ここで、一対の壁17,18の位置とは、放電用電極14の中心軸42方向の位置をいう(以下、同様)。これに対し、本実施の形態では、図8に示すように、上壁17の位置を調整可能な位置調整部55と、下壁18の位置を調整可能な位置調整部56とを設けるようにしたものである。
【0143】
この位置調整部55,56の構成として、種々様々な構成が考えられる。例えば、壁17,18をスライド機構によって保持し、このスライド機構によって壁17,18を放電用電極14の中心軸42方向にスライドさせる構成が考えられる。また、壁17,18を昇降機構によって保持し、この昇降機構によって壁17,18を放電用電極14の中心軸42方向に昇降駆動する構成が考えられる。図には、この位置調整部55,56を概念的に示す。
【0144】
このような構成によれば、装置を組み立てた後、一対の壁17,18の位置を調整することができる。これにより、装置を組み立てた後、一対の壁17,18と交差しないような磁力線43を形成することができる。その結果、このような磁力線43の形成が容易となる。
【0145】
また、このような構成によれば、一対の壁17,18の位置を独立に調整することができる。これにより、位置調整作業を容易にすることができる。
【0146】
[9]第9の実施の形態
本実施の形態の外観構成は、例えば、先の第1の実施の形態と同じである。異なる点は、磁力線43と一対の壁17,18との関係にある。
【0147】
すなわち、先の第1の実施の形態では、プラズマ生成領域41の全域に亘って一対の壁17,18と交差しないような磁力線43を形成する場合を説明した。これに対し、本実施の形態は、プラズマ生成領域41の周辺部でのみ、このような磁力線43を形成し、中央部では形成しないようにしたものである。
【0148】
このような構成でも、プラズマ生成領域の中央部で、高密度のプラズマを生成することができる。これは、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子を高周波振動させることができるからである。
【0149】
すなわち、本実施の形態では、プラズマ生成領域41の中央部で、すべての磁力線43と一対の壁17,18とが交差する。これにより、この部分では、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子の数が少なくなる。その結果、この部分では、第1のプラズマの生成効率が低下する。
【0150】
しかしながら、本実施の形態では、下壁18に高周波電力が印加される。これにより、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子が高周波振動させられる。その結果、第2のプラズマが生成される。この第2のプラズマの生成効率はプラズマ生成領域41の周辺部より中央部で高い。これにより、プラズマ生成領域41の中央部では、第1のプラズマの生成効率の低下が、第2のプラズマによって補われる。その結果、プラズマ生成領域43の中央部でも、高密度のプラズマを生成することができる。
【0151】
なお、以上の説明では、本実施の形態を図1に示す装置に適用する場合を説明した。しかしながら、本実施の形態は、一対の壁17,18の一方に高周波電力を印加する構成の装置であれば、図1に示す装置以外の装置にも適用することができる。したがって、本実施の形態は、先の図2、図3、図4に示す装置にも適用することができる。
【0152】
[10]性能の比較
図9は、複数のプラズマ生成装置の性能の比較結果を示す図である。
【0153】
ここで、複数のプラズマ生成装置としては、例えば、第1の実施の形態のプラズマ生成装置(図1に示す装置)と、第4の実施の形態のプラズマ生成装置(図4に示す装置)と、第6の実施の形態のプラズマ生成装置(図6に示す装置)と、マグネトロン放電を用いないプラズマ生成装置とが用いられる。
【0154】
マグネトロン高周波放電を用いないプラズマ生成装置としては、例えば、図10に示す装置が用いられる。図示の装置は、先の図2に示す装置から放電用電極14を除去したものである。このような構成では、磁力線43にトラップされている高エネルギー電子の高周波振動によって第2のプラズマのみが生成される。
【0155】
また、性能の比較項目としては、図9に示すように、プラズマの生成効率と、プラズマの密度分布の制御性と、装置の大口径化と、装置のコストがある。ここで、プラズマの生成効率は、プラズマの高密度化を表す。プラズマの密度分布の制御性は、プラズマの密度分布の均一化の難易度を表す。装置の大口径化は、直径の大きな基板への対応性を表す。
【0156】
性能は、二重丸と、丸と、三角で表される。ここで、二重丸は最も性能がよいことを示し、丸は、二番目に性能がよいことを示し、三角は、3番目に性能がよいことを示す。
【0157】
(1)プラズマ生成効率の比較
図9に示すごとく、プラズマの生成効率は、図6と図10の装置より図1と図4の装置の方が高い。これは、図1と図4の装置では、第1のプラズマと第2のプラズマが生成されるのに対し、図6の装置では、第1のプラズマのみ生成され、図10の装置では、第2のプラズマのみ生成されるからである。また、このプラズマの生成効率は、図4の装置より図1の装置の方が高い。これは、図1の装置の方が図4の装置より上壁17または下壁18に対する高周波電力の供給効率がよいからである。
【0158】
ちなみに、図6の装置のプラズマ生成効率を1とすると、図1の装置のプラズマ生成効率は4以上で、図4の装置のプラズマ生成効率は4となる。これにより、プラズマの密度は、図6と図10の装置より図4の装置の方が高く、この図4の装置より図1の装置の方が高くなる。
【0159】
(2)プラズマの密度分布の制御性
プラズマの密度分布の制御性は、電気的に制御可能なプラズマの密度分布の範囲で表される。この範囲は、図4の装置より図1の装置の方が広い。これは、図1の装置では、第1のプラズマと第2のプラズマの密度を独立に制御することができるのに対し、図4の装置では、これらを独立に制御することができないからである。これにより、プラズマの密度分布の均一化の難易度は、図4の装置より図1の装置の方が低い。
【0160】
なお、図6の装置と図10の装置では、従来装置より、プラズマの密度が高くなり、プラズマの密度分布が均一になる。しかしながら、これらの装置では、電気的にはプラズマの密度分布を制御することができない。これは、図6の装置では、第1のプラズマの密度のみ制御しており、図10の装置では、第2のプラズマの密度のみ制御しているからである。
【0161】
(3)装置の大口径化の比較
装置の大口径化は、口径の大きさで表される。この大口径化は、図6と図10の装置より図4の装置の方が実現し易い。これは、前者は、プラズマの密度分布を電気的に制御することができないのに対し、後者は、これができるからである。また、この大口径化は、図4の装置より図1の装置の方が実現し易い。これは、前者より後者の方がプラズマの密度分布の制御性がよいからである。これにより、基板の直径の大型化への対応性は、図6と図10の装置より図4の装置の方が良く、この図4の装置より図1の装置の方が良い。
【0162】
(4)装置のコストの比較
装置のコストは、安さで表される。このコストは、いずれの装置も安い。但し、これらの中では、図4、図6、図10の装置の方が図1の装置より安い。これは、前者の装置では、高周波発振器が1つだけ設けられるのに対し、後者の装置では、2つ設けられるからである。
【0163】
[11]そのほかの実施の形態
以上、本発明の9つの実施の形態を詳細に説明した。しかしながら、本発明は、上述したような実施の形態に限定されるものではない。
【0164】
(1)例えば、先の実施の形態では、一対の壁17,18を導電性を有する材料で形成する場合を説明した。しかしながら、本発明では、これを絶縁性を有する材料で形成するようにしてもよい。このような構成では、この場合、壁17,18からの金属汚染をなくすことができる。
【0165】
(2)また、先の実施の形態では、壁17,18を水平に配設し、放電用電極14を垂直に配設する場合を説明した。しかしながら、本発明では、壁17,18を垂直に配設し、放電用電極14を水平に配設するようにしてもよい。
【0166】
(3)さらに、先の実施の形態では、壁17,18を真空容器11の天板111や底板112とは別に設ける場合を説明した。しかしながら、本発明では、壁17,18として、この天板111や底板112を利用するようにしてもよい。
【0167】
(4)このほかにも、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々様々変形実施可能なことは勿論である。
【0168】
【発明の効果】
以上詳述したようにプラズマ生成装置は、プラズマ生成領域の中央部を通過する磁力線が一対の壁と交差しないように設定されている。これにより、プラズマ生成領域の中央部においても、周辺部と同様に、高密度のプラズマを生成することができる。
【0169】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁が導電性を有する材料で形成されている。これにより、この壁を使って、プラズマの密度を電気的に制御することが可能となる。
【0170】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の一方に高周波電力が印加される。これにより、プラズマ生成領域の中央部におけるプラズマの生成効率を高めることができる。
【0171】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の他方が基準電位点に接続されている。これにより、基準電位点に接続されている他の電極表面からの金属汚染を低減することができる。
【0172】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の他方が電気的にフローティング状態に設定されている。これにより、シース電圧による一対の壁の他方の損傷を低減することができる。
【0173】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の他方が被処理物を保持する保持部として利用される。これにより、シース電圧による被処理物の損傷を低減することができる。
【0174】
プラズマ生成装置によれば、放電用電極に印加される高周波電力と一対の壁の一方に印加される高周波電力が別々の高周波電源から出力される。これにより、2つの高周波電力の大きさを独立に設定することができる。その結果、放電用電極の径方向におけるプラズマの密度分布として均一な密度分布を設定することができる。
【0175】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の一方の高周波電力が、放電用電極の高周波電源から高周波共振回路を介して与えられる。これにより、高周波電源の数を1つにすることができる。
【0176】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁がいずれも基準電位点に接続されている。これにより、基準電位点に接続されている電極からの金属汚染を抑制することができる。
【0177】
プラズマ生成装置によれば、放電用電極に印加される高周波電力の大きさを制御する制御部が設けられる。これにより、第1のプラズマの密度を制御することができる。
【0178】
プラズマ生成装置によれば、第1、第2の高周波電源から出力される高周波電力の大きさを制御する制御部が設けられる。これにより、第1、第2のプラズマの密度を制御することができる。その結果、放電用電極の径方向におけるプラズマの密度分布も制御することができる。
【0179】
プラズマ生成装置によれば、第1、第2の高周波電源から出力される高周波電力の大きさを制御する場合、両者の比が常に予め定めた値となるように制御される。これにより、プラズマの密度を制御する場合、常に、所望のプラズマ密度分布を保ったまま制御することができる。また、高周波電力の大きさを制御する場合の作業者の負担を軽減することができる。
【0180】
プラズマ生成装置によれば、放電用電極に印加される高周波電力の大きさを制御することにより、一対の壁の一方に印加される高周波電力の大きさも自動的に制御することができる。これにより、高周波電力の大きさを制御する場合の作業者の負担を軽減することができる。
【0181】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の位置を調整することができる。これにより、装置を組み立てた後に、一対の壁と交差しないような磁力線を形成することができる。その結果、このような磁力線の形成が容易となる。
【0182】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の一方がガス分散板として利用される。これにより、放電用ガスをプラズマ生成領域に均一に分散させることができる。また、一対の壁の他方が、プラズマを使って被処理物に所定の処理を施す場合、被処理物の保持部として利用される。これにより、本装置を使ってプラズマ処理装置を構成する場合、簡単に構成することができる。
【0183】
プラズマ生成装置によれば、一対の壁の一方に高周波電力が供給される。これにより、マグネトロン放電だけでなく、高周波振動放電も発生させることができる。その結果、一対の壁と交差しない磁力線を有しない場合であっても、プラズマ生成領域の中央部で、高密度のプラズマを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図8】本発明の第8の実施の形態の構成を示す側断面図である。
【図9】複数のプラズマ生成装置の性能の比較結果を示す図である。
【図10】マグネトロン放電を用いないプラズマ生成装置の構成を示す側断面図である。
【符号の説明】
11…真空容器、111…天板、112…底板、12…ガス導入部、13…排気部、14…放電用電極、15,16…永久磁石、17,18…壁、19,21…高周波発振器、20,22…整合回路、23…ブロッキングコンデンサ、24…高周波遮蔽部、25…高周波遮蔽カバー、29,30,31…絶縁体、32…ガス分散穴、33,34…金属遮蔽板、35,36…排気穴、41…プラズマ生成領域、42…中心軸、43…磁力線、51…高周波共振回路、52…可変コンデンサ、53…コイル、54…分布容量、55,56…位置調整部。

Claims (11)

  1. 内部にプラズマ生成領域が設定される真空容器と、
    この真空容器の内部に放電用のガスを導入するガス導入手段と、
    前記真空容器の内部の雰囲気を排出する排気手段と、
    前記プラズマ生成領域を囲むように配設された円筒形の放電用電極と、
    この放電用電極に高周波電力を印加する第1の高周波電力印加手段と、
    前記プラズマ生成領域を前記放電用電極の中心軸方向から挟むように配設され、この中心軸方向における前記プラズマ生成領域の範囲を規定する一対の壁と、
    前記放電用電極を囲むように配設された磁力線形成手段と
    を備え、
    前記磁力形成手段は、
    前記放電用電極を囲むように前記真空容器と同軸的に配設された一対のリング状の磁石から構成され、該一対のリング状磁石は互いに逆向きに着磁されて磁力線を形成し、
    前記リング状磁石で形成された磁力線のうち、前記一対の壁と交差しない磁力線であって、該交差しない磁力線によって囲まれる前記プラズマ生成領域の側断面の面積が最大の磁力線は、前記真空容器の内壁の形状に略適合するような形状を有するように形成され、且つ、前記一対の壁と交差しない磁力線のそれぞれは、前記放電用電極の中心軸とほぼ平行な部分を有し、前記平行な部分の長さが前記中心軸に近づくほど長くなるように構成されていることを特徴とするプラズマ生成装置。
  2. 前記一対の壁が導電性を有する材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成装置。
  3. 前記一対の壁の一方に高周波電力を印加する第2の高周波電力印加手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のプラズマ生成装置。
  4. 前記一対の壁の他方が基準電位点に接続されていることを特徴とする請求項3記載のプラズマ生成装置。
  5. 前記一対の壁の他方が、前記プラズマを使って被処理物に所定の処理を施す場合、この被処理物を保持する保持部として利用されることを特徴とする請求項4記載のプラズマ生成装置。
  6. 前記第1の高周波電力印加手段が前記放電用電極に印加される高周波電力を出力する第1の高周波電源を備え、前記第2の高周波電力印加手段が前記一対の壁の一方に印加される高周波電力を出力する第2の高周波電源を備えたことを特徴とする請求項3記載のプラズマ生成装置。
  7. 前記第1の高周波電力印加手段が前記放電用電極に印加される高周波電力を出力する第1の高周波電源を備え、前記第2の高周波電力印加手段が前記第1の高周波電源から出力される高周波電力に共振する高周波共振回路を備えたことを特徴とする請求項3記載のプラズマ生成装置。
  8. 前記一対の壁がいずれも基準電位点に接続されていることを特徴とする請求項2記載のプラズマ生成装置。
  9. 前記放電用電極の中心軸方向における前記一対の壁の位置を調整する位置調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成装置。
  10. 前記一対の壁の一方が、前記放電用ガスを前記プラズマ生成領域に分散させるためのガス分散板として利用され、他方が、前記プラズマを使って被処理物に所定の処理を施す場合、この被処理物を保持する保持部として利用されることを特徴とする請求項1記載のプラズマ生成装置。
  11. 基板表面処理方法において、
    内部にプラズマ生成領域が設定される真空容器と、
    この真空容器の内部に放電用のガスを導入するガス導入手段と、
    前記真空容器の内部の雰囲気を排出する排気手段と、
    前記プラズマ生成領域を囲むように配設された円筒形の放電用電極と、
    この放電用電極に高周波電力を印加する第1の高周波電力印加手段と、
    前記プラズマ生成領域を前記放電用電極の中心軸方向から挟むように配設され、この中心軸方向における前記プラズマ生成領域の範囲を規定する一対の壁と、
    前記放電用電極を囲むように前記真空容器と同軸的に配設された一対のリング状の磁石から構成され、該一対のリング状磁石は互いに逆向きに着磁されて磁力線を形成する磁力線形成手段と
    を備えたプラズマ生成装置を用いて、
    前記真空容器の内部を減圧状態にするステップと、
    前記ガス導入部より前記真空容器の内部にガスを導入するステップと、
    前記放電用電極に高周波電力を印加するステップと、
    前記リング状磁石で形成された磁力線のうち、前記一対の壁と交差しない磁力線であって、該交差しない磁力線によって囲まれる前記プラズマ生成領域の側断面の面積が最大の磁力線は、前記真空容器の内壁の形状に略適合するような形状を有するように形成し、且つ、前記一対の壁と交差しない磁力線のそれぞれは、前記放電用電極の中心軸とほぼ平行な部分を有し、前記平行な部分の長さが前記中心軸に近づくほど長くなるような形状の磁力線を形成してプラズマを生成するステップと、
    前記プラズマを使って基板表面に処理を施すステップと
    を有する基板表面処理方法。
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