JP4339548B2 - パンチングマシン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層前のセラミックグリーンシートやフレキシブル基板用フィルム等のシート状ワークを穿孔するパンチングマシンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−174492号公報には、図5に示すようなパンチングマシンが提案されている。このパンチングマシンは、シート状のワークWに穴を明ける穿孔装置51と、穿孔装置51の下側でワークWを支持する作業テーブル52と、作業テーブル52の前方でワークWを保持するホルダ53と、ホルダ53を前後左右に移動する移動装置54とから構成されている。ホルダ53は移動装置54のX移動体55に取り付けられ、X移動体55はY移動体56の上に搭載されている。そして、X移動体55をモータ57によりボールネジ58を介しレール59に沿って左右方向に駆動し、Y移動体56をモータ60によりボールネジ61を介しレール62に沿って前後方向に駆動して、ワークWの目的箇所を穿孔装置51のパンチピン63に位置決めするようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のパンチングマシンによると、ワークWを位置決めする移動装置54が穿孔装置51の前方に設置されているので、ボールネジ58,61やレール59,62の長尺部材が穿孔位置の前方に大きなスペースを占有し、マシン全体が大型化するばかりでなく、マシン前面から穿孔位置までの距離が長くなり、ワーク交換や保守点検等の作業性が悪くなる問題点があった。また、移動装置54が移動体55,56、モータ57,60、ボールネジ58,61等の多数の移動物体で構成されているため、移動物体の総質量が増加し、ワークWの位置決め速度が制限され、加えて、振動により穴のピッチ精度や真円度が低下したり、衝撃によってパンチピン63が折れやすくなるなどの不具合もあった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、マシン全体を小型化でき、ワークの高速位置決めを可能にし、穿孔精度を向上できるパンチングマシンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明のパンチングマシンは、シート状のワークに穴を明ける穿孔装置と、穿孔装置の一側に配置されたワークテーブルと、穿孔装置の他側に配置された平面サーボモータと、ワークテーブルの上面により摺動可能に支持されており、且つ環状の薄板からなる保持枠と、該保持枠の周辺端部を平面サーボモータの可動部に連結する連結機構とを具備し、該連結機構は、保持枠を着脱自在に掛止する掛止部材と、掛止部材を駆動するためのアクチュエータとからなり、シート状ワークを保持した保持枠に掛止部材を掛止してアクチュエータによって保持枠を移動させることにより、保持枠を平面サーボモータの可動部に固定するようにしたことを特徴とする。
また、本発明のパンチングマシンは、掛止部材の駆動により保持枠を位置決めする位置決め部材を具備し、位置決め部材は、平面サーボモータの可動部に設けられた一対のピンと、保持枠の周辺端部に形成されて一対のピンに係合可能な一対の溝とを含んでおり、アクチュエータによって保持枠が平面サーボモータ側に移動する際に、各溝が対応するピンに係合することによって、保持枠が平面サーボモータの可動部の所定の位置に位置決めされるようにして構成される。
【0006】
ここで、ワークとして、積層前のセラミックグリーンシートやフレキシブル基板用フィルム等を穿孔加工する場合は、ワークへの塵埃の付着を防止するために、パンチングマシンに加工室を設けるのが好ましい。この観点から発明されたパンチングマシンは、パンチングマシンの機体の上部に加工室を形成し、加工室の前面に扉を設け、加工室の内側に穿孔装置を配置し、穿孔装置の前方にワークテーブルを設置し、穿孔装置の後方に平面サーボモータを設置し、平面サーボモータの上方に穿孔装置の配線配管類を配設して構成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態のパンチングマシンは、積層前(焼成前)の柔軟なセラミックグリーンシートをワークとして穿孔加工する機械であって、精細なスルーホール印刷(導通印刷)を可能にするために、例えば、150mm×150mmのワークに0.05〜0.2mmの穴径のスルーホール穴を±0.01mmのピッチ精度で数万個穿孔できるように構成されている。
【0009】
図1及び図2に示すように、パンチングマシンの機体1の上部には加工室2が形成され、加工室2の前面に扉3が設けられている。加工室2の底部にはベース4が水平に固定され、加工室2の内側にワークW(図3参照)にスルーホール穴を明ける穿孔装置5が配置されている。穿孔装置5は上側のパンチユニット6と下側のダイユニット7とからなり、パンチユニット6はベース4の上方に図示しない昇降装置によって所定量昇降可能な左右一対のロッド9を用いて架設した左右に長いフレーム8上に設置され、ダイユニット7はベース4の上面に設置されている。
【0010】
パンチユニット6は、フレーム8に左右複数個(図では3個)のパンチヘッド12を僅かに昇降可能に設けると共に、フレーム8にパンチヘッド12の上方を跨ぐように固着した支持枠8Aに左右3台の下向きのエアシリンダ10を固着し、各エアシリンダ10によって僅かに昇降可能なパンチピン駆動装置11を各パンチヘッド12に固着し、パンチヘッド12内にスリーブ12Aを介して昇降自在に設けたパンチピン支承軸13Aとパンチピン駆動装置11の駆動部を図示しない連結部材によって連結して構成されている。パンチピン駆動装置11は周知のエアシリンダを用いたものや新たな圧電アクチュエータを用いたもの等種々のものが利用される。ダイユニット7はダイベース14の上面に左右3個のダイホルダ15を固定的に備え、ダイホルダ15にダイ16が内蔵されている。そして、パンチピン駆動装置11によりパンチピン支承軸13Aを上下動させることによってパンチピン13をダイ16に打ち合わせてワークWを穿孔し、穿孔チップをダイ16から吸引ホース17を介して機外のチップ回収装置(図示略)に排出するようになっている。
【0011】
ワークWは四角環状の薄板からなる保持枠Hにテープ等によって貼り付けて保持され、作業者により扉3から加工室2の内側に供給される。保持枠Hは薄板から成り、軽く作られている。加工室2の内側において、穿孔装置5を挟む前後2位置にはワークテーブル19と平面サーボモータ20とが設置されている。ワークテーブル19は穿孔装置5の前方においてベース4上に取付台21を介し水平に取り付けられ、その上面は保持枠Hを摺動自在に支持する支持面19aとなっている。平面サーボモータ20は穿孔装置5の後方に設置され、平面サーボモータ20の上方にモータカバー26が設けられ、このカバー26の上方に穿孔装置5の配線配管類22が配設されている。
【0012】
平面サーボモータ20は、上面に多数のN極永久磁石とS極永久磁石とが配列された固定部23と、下面に複数の電磁石が配設された可動部24とから構成されている(詳しくは、特公昭52−48271号公報、特開昭62−100161号公報、特開平5−69242号公報を参照)。固定部23はベース4上に固定され、その上面はワークテーブル19の支持面19aと平行に形成されている。可動部24は固定部23の上面に前後左右に移動可能に載置され、可動部24の後端面と固定部23の側面との間に可撓性の給電ケーブル25が配線されている。
【0013】
図3及び図4に示すように、可動部24の上面にはプレート27がワークテーブル19の支持面19aと同じ高さに固定され、プレート27上に保持枠Hを着脱自在に連結する連結機構28が設けられている。連結機構28は、保持枠Hを着脱自在に掛止する頭付きの掛止ピン29と、掛止ピン29を前後方向へ駆動するアクチュエータとしてのエアシリンダ30と、掛止ピン29の後方移動により保持枠Hを平面サーボモータ20の可動部24に位置決めする左右2本の位置決めピン31,32を備えている。
【0014】
掛止ピン29はスライダ33の前端に固定され、スライダ33はプレート27の溝27aに前後動自在に嵌合され、プレート27に止着された板34でワークテーブル19の支持面19aと同じ高さに保持されている。エアシリンダ30はプレート27上に設置され、そのロッド30aは連結板35,36を介しスライダ33に結合されている。保持枠Hの後端中央部には掛止ピン29の頭部29aに嵌合する掛止孔37が形成され、スライダ33の後退時には、頭部29aが掛止孔37に掛止され、保持枠Hが平面サーボモータ20の可動部24に離脱不能に連結される。
【0015】
位置決めピン31,32は、掛止ピン29の左右両側においてプレート27の前端部上面に突設されている。保持枠Hの後端縁には、左側の位置決めピン31に嵌合するV溝39と、右側の位置決めピン32に嵌合する幅広溝40とが形成されている。そして、スライダ33の後退時には、保持枠Hが可動部24に対し位置決めピン31で左右方向に位置決めされるとともに、3本のピン29,31,32で前後方向に位置決めされる。なお、プレート27には、保持枠Hの後端をプレート27上に上下位置決めする左右一対の押え片41と、保持枠Hの後端をプレート27上に左右位置を案内する左右一対の案内片42とが設けられている。
【0016】
上記構成のパンチングマシンによれば、ワークWのセッティングに際し、保持枠Hの掛止孔37を掛止ピン29に嵌合してエアシリンダ30を駆動するだけの簡単な操作で、保持枠Hを平面サーボモータ20の可動部24に正確かつ迅速に連結することができる。パンチングマシンの運転時には、穴明けする穴に適合した所望のパンチヘッド12(1つ又は2つ以上でも良い)に対応するシリンダ10を作動させてパンチヘッド12を図1に示すようにダイ16に接近した位置に下降させる。また、平面サーボモータ20が穿孔プログラムに従って制御され、可動部24により保持枠Hがワークテーブル19上で前後左右に駆動され、ワークWの目的箇所が穿孔装置5のパンチピン13に対して位置決めされる。この状態でパンチピン駆動装置11が作動してパンチピン13を昇降させ、ダイ16に打ち付けてワークWに穿孔する。この穿孔はワークWが次々位置決めされる毎に行われる。
【0017】
この場合、保持枠Hは平面サーボモータ20の可動部24によって直接駆動されるので、ワーク位置決め機構における移動物体の数及び質量が減少する。従って、保持枠Hの移動初期及び終期の時定数値を低くし、加減速を早くし、高速位置決めを可能にし、合わせて、振動及び衝撃を抑え、スルーホール穴のピッチ精度及び真円度を向上し、パンチピン13の折損を抑制することができる。
【0018】
平面サーボモータ20の搭載有効面積は可動部24の移動範囲とほぼ同等であるから、ボールネジ・レール機構と比較して設置スペースに無駄がなく、マシン全体を小型に構成できる。また、平面サーボモータ20は穿孔装置5の後方に設置されているため、ワークテーブル19を扉3の近くに配置して、その上に保持枠Hを容易にセットできるとともに、扉3から穿孔位置までの距離を短くして、保持枠Hの交換や穿孔装置5の保守点検等の作業を容易にでき、さらに、平面サーボモータ20の上方に穿孔装置5の配線配管類22を配設して、加工室2の限られたスペースを有効に利用することができる。
【0019】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状並びに構成を適宜に変更して実施することも可能である。
(1)穿孔装置5におけるパンチピン13及びダイ16の数を適宜増減し、その際各パンチピン13及びダイ16の穴径を種々異なるものにしたり、総て同じものにしたり、所要数ずつ異なるようにしたりすること。
(2)上記構成のパンチングマシンをフレキシブル基板用フィルムや金属箔など、グリーンシート以外の各種シート状ワークの穿孔加工に適用すること。
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1の発明によれば、ワークテーブル及び平面サーボモータを穿孔装置を挟む2位置に設置し、平面サーボモータの可動部に、ワークテーブルの上面により摺動可能に支持されて環状の薄板からなる保持枠を、掛止部材とアクチュエータとからなる連結機構を介して平面サーボモータの可動部に固定するようにしたので、パンチングマシンの全体を小型に構成でき、ワークの高速位置決めを可能し、穿孔精度を向上できるという優れた効果を奏する。また、掛止部材を移動して、保持枠を平面サーボモータの可動部に位置決めするので、ワークのセッティング作業を迅速かつ正確に行うことができる効果がある。
一方、請求項2の発明によれば、一対のピンと溝とを含む位置決め部材の採用により、保持枠を平面サーボモータの可動部の所定の位置へ正確且つ迅速に位置決めできる。
【0021】
請求項3の発明によれば、ワークテーブル及び平面サーボモータを加工室の内側で穿孔装置の前後に設置したので、セラミックグリーンシートやフレキシブル基板用フィルム等を穿孔加工するパンチングマシンにおいて、マシン全体を小型化でき、ワークの高速位置決めを可能し、穿孔精度を向上できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すパンチングマシンの側面図である。
【図2】同パンチングマシンの平面図である。
【図3】図2の要部拡大平面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】従来のパンチングマシンを示す側面図である。
【符号の説明】
1・・機体、2・・加工室、3・・扉、4・・ベース、5・・穿孔装置、8・・フレーム、13・・パンチピン、16・・ダイ、19・・ワークテーブル、19a・・支持面、20・・平面サーボモータ、22・・配線配管類、23・・固定部、24・・可動部、28・・連結機構、29・・掛止ピン、30・・エアシリンダ、31,32・・位置決めピン、37・・掛止孔、39・・V溝、40・・幅広溝、41・・押え片、42・・案内片、H・・保持枠、W・・ワーク。
Claims (3)
- シート状のワークに穴を明ける穿孔装置と、穿孔装置の一側に配置されたワークテーブルと、穿孔装置の他側に配置された平面サーボモータと、ワークテーブルの上面により摺動可能に支持されており、且つ環状の薄板からなる保持枠と、該保持枠の周辺端部を平面サーボモータの可動部に連結する連結機構とを具備し、
該連結機構は、保持枠を着脱自在に掛止する掛止部材と、掛止部材を駆動するためのアクチュエータとからなり、シート状ワークを保持した保持枠に掛止部材を掛止してアクチュエータによって保持枠を移動させることにより、保持枠を平面サーボモータの可動部に固定するようにしたことを特徴とするパンチングマシン。 - 掛止部材の駆動により保持枠を位置決めする位置決め部材を具備し、位置決め部材は、平面サーボモータの可動部に設けられた一対のピンと、保持枠の周辺端部に形成されて一対のピンに係合可能な一対の溝とを含んでおり、
アクチュエータによって保持枠が平面サーボモータ側に移動する際に、各溝が対応するピンに係合することによって、保持枠が平面サーボモータの可動部の所定の位置に位置決めされるようにした請求項1に記載のパンチングマシン。 - パンチングマシンの機体の上部に加工室を形成し、加工室の前面に扉を設け、加工室の内側に穿孔装置を配置し、穿孔装置の前方にワークテーブルを設置し、穿孔装置の後方に平面サーボモータを設置し、平面サーボモータの上方に穿孔装置の配線配管類を配設した請求項1又は2に記載のパンチングマシン。
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