JP4339504B2 - トナー用バインダー樹脂及び該樹脂を用いた電子写真トナー - Google Patents

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Description

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は電子写真トナー用樹脂及び該樹脂を用いたトナーに関し、更に詳しくは脱墨性に優れた電子写真トナーに関する。
【従来の技術】
【0002】
電子写真法は、光導電性物質を利用して各種の手段により感光体上に電気的潜像を形成させ、次いでかかる潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じ紙等の画像支持体上に転写した後、加熱ロール等により定着して画像を得るものである。ここで用いられるトナーの主成分であるトナー用バインダー樹脂としては種々のものが検討されてきたが、現在主流となっている熱ロール定着ではスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が用いられている。
【0003】
また近年、複写機や光プリンターに使用される普通紙の使用量が飛躍的に増大した結果、これに伴なって廃棄、償却される紙の量が増大し、資源保護の観点からは重大な問題を招きつつあり、これらの普通紙を再生し、再利用することは環境汚染の防止および資源保護の観点から重要な技術となっている。特にオフィスの情報関連機器から出てくる、いわゆるオフィス古紙は上質パルプが多く含有されており再生資源としての利用価値は極めて高い。よって複写機や光プリンターに使用されるトナーが紙の脱墨、再生工程におけるアルカリ加水分解において効率良く分解し、紙の繊維から分離されることが望ましい。かかる点において、通常使用されているスチレン系、ポリエステル系、ポリオール系のバインダー樹脂はアルカリ加水分解性が低く紙の繊維からの分離は困難である。一方、ポリα−ヒドロキシカルボン酸等の分解性ポリエステルを用いたトナー用バインダー樹脂は紙のリサイクルにおいて脱墨性が高く、有用であることがWO 92/01245等において知られているが、分解性ポリエステルだけではトナー特性が十分でないことが判った。また、特開平7−120975号公報は、特定の乳酸系樹脂を含有する電子写真トナーが脱墨性に優れていることを提案しているが、乳酸系樹脂の含有量が多すぎるため保存性が不十分であり、且つ、紙表面への定着強度が強くなりすぎるため脱墨工程において紙繊維からトナーが剥離しづらく脱墨性も十分でないことが判った。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
古紙再生工程において従来のスチレン系、ポリエステル系、ポリオール系の樹脂をバインダーとして用いている電子写真トナーを繊維から分離する際、トナーの高い機械強度によりトナーは繊維から分離しにくい。このためトナーを繊維から分離するには多くの機械力が必要であり、経済効率は低くならざるを得ない。そこで古紙再生過程において樹脂強度低下を示すトナーが望まれている。
【0005】
また、従来の電子写真トナーは紙に融着するのに必要な最低限の温度即ち最低定着温度が低くトナーは容易に定着する。しかし、この良好な定着性は紙を単繊維に離解する過程においてトナーが繊維を抱き込んだ状態、いわゆるヘアリートナーを発生させる。このためフローテーション工程においてトナーと共に繊維も除去され古紙再生時の収率の低下を引き起こす原因となる。また、このヘアリートナーの一部は除去されずに再生紙の一成分として混入するため、再生紙の白色度の低下を引き起こす。そこで離解工程において繊維との剥離性の高いトナーが望まれている。
【0006】
一方、従来の分解性ポリエステルからなるトナー用バインダー樹脂はその粉砕性が悪く、粒径10μm程度のトナーの90%を占めるバインダー樹脂として使用することは困難で、その改善が望まれている。また、分解性ポリエステル以外のポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオール系樹脂は粉砕性に優れているものの、加水分解性、アルカリ分解性、生分解性に劣り、その改良が求められている。
【0007】
また、分解性ポリエステルからなるトナー用バインダー樹脂は融点より低温では粘度が著しく高く、融点以上の高温においては粘度が著しく低下する。このため、トナーが紙に融着するのに必要な最低限の温度即ち最低定着温度は高くならざるを得ず定着性が悪化する。一方熱ローラー表面ではトナーが高温になるためトナーの粘度が著しく低下して熱ローラー表面を汚染するいわゆるホットオフセット現象が発生する。この定着性と耐ホットオフセット性を両立するためにはトナー用バインダー樹脂が非結晶性もしくは半結晶性である事が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、このような要望を満足させるために、十分な性能を持つトナーを製造するのに用いることのできる優れた特性を有するバインダー樹脂を開発すべく鋭意検討した結果、従来の技術では到達出来なかった優れたトナー用バインダー樹脂を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
(1) ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂と、ビスフェノール類とビスフェノール型エポキシ樹脂と多価アルコールおよび該多価アルコールと酸無水物との反応物から選ばれる少なくとも1種と、エポキシ基と反応する活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物と、を重付加反応させた樹脂もしくはこれらを含む樹脂、であるポリオール系樹脂と、を含有し
前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂3質量%以上30質量%以下と、前記ポリオール系樹脂97質量%以下70質量%以上と、を混合し、前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂は直接脱水重縮合法によって得られたことを特徴とするトナー用バインダー樹脂。
(2)前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂は、数平均分子量2000以上200000以下であることを特徴とする(1)に記載のトナー用バインダー樹脂。
(3)前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂を3質量%以上20質量%未満と、前記ポリオール系樹脂を97質量%以下80質量%より多くとを混合した(1)または(2)に記載のトナー用バインダー樹脂。
(4) 固体の状態で分散混合して得られた樹脂、溶融混練によって得られた樹脂、もしくは溶剤に溶解した状態で混合し脱溶剤を行うことによって得られた樹脂を用いることを特徴とする(2)又は(3)に記載のトナー用バインダー樹脂。
)バインダー樹脂として(1)乃至()のいずれかに記載の樹脂を主成分として用いた電子写真トナー。
に関する。
【0010】
本明細書において、"ポリα−ヒドロキシカルボン酸"とは、α−ヒドロキシカルボン酸の光学異性体の混合物又は数種のα−ヒドロキシカルボン酸の直接脱水重縮合によって得られる融点を有さないポリα−ヒドロキシカルボン酸を意味し、融点の有無には関わらない。このような非晶性ポリα−ヒドロキシカルボン酸を得るためには、全α−ヒドロキシカルボン酸単量体のうち少なくとも10モル%が光学異性体で占められていることが好ましく、20モル%以上が光学異性体で占められていることがより好ましい。この場合に、光学異性体の量が10モル%未満に低下すると、得られるポリα−ヒドロキシカルボン酸に融点が現れてきて、トナーの定着性が悪化するので好ましくない。なお、異種のα−ヒドロキシカルボン酸の共重合等の他の手段によって得た非晶性ポリα−ヒドロキシカルボン酸も使用でき、製造方法や単量体組成によって制限されるものではない。
【0011】
本発明に言うα−ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸のD体とL体、オキシ酪酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸あるいはそれらの混合物を挙げることができ、好ましくはグリコール酸、乳酸、更に好ましくは乳酸を挙げることができる。
【0012】
また、本発明に言う直接脱水重縮合とは、グリコリドやラクチドの開環重合とは根本的に異なる方法で行なわれる製造方法であり、開環重合が基本的に重付加であるのに対し、本方法は重縮合である。本方法の直接脱水重縮合は、α−ヒドロキシカルボン酸を溶媒還流下かつα−ヒドロキシカルボン酸の環状2量化を起こさない温度で重縮合させて目的のポリマーを製造することができる。また、比較的高分子量のポリマーを得ようとする場合は溶媒の存在下に脱水重縮合を行うことができる。
【0013】
更に詳細に直接脱水重縮合について述べると、本方法では例えばα−ヒドロキシカルボン酸に錫末等の縮合触媒を添加し、ジフェニルエーテル、アニソールなどのエーテル系溶媒やその他の共沸脱水溶媒を用い、130℃〜150℃付近の温度で減圧下に溶媒と水を留去し、留去した溶媒は水分離器等で水から分離した後に更にモレキュラーシープ3A等の脱水剤を充填したカラムで実質的に無水の状態にして反応器に戻すことによって目的のポリα−ヒドロキシカルボン酸を得ることができる。
【0014】
本方法で得られるポリα−ヒドロキシカルボン酸は2量体の開環重合で得られるポリα−ヒドロキシカルボン酸とはその高次構造が異なる。即ち、2量体の開環重合によって得られるポリα−ヒドロキシカルボン酸は重合度が偶数のもののみから構成されているのに対し、直接法では重合度は全ての整数から構成されている。
【0015】
更に、D体とL体の共重合体を得る場合には、2量体の開環重合体ではD体の環状2量体とL体の環状2量体の共重合またはラセミ体の開環重合を行うことができるが、モノマー成分のシークエンスは常にダイアッドの並びを単位セグメントとしているのに対し、本方法の直接重縮合法においてはD体のモノマーとL体のモノマーが完全にランダムに配列したシークエンスを有している。本発明においてポリα−ヒドロキシカルボン酸の数平均分子量は2000以上200000以下であることが好ましく、2000未満では過粉砕気味となり好ましくない場合があり、また200000を越えると粉砕性が悪化して微細なトナーが得られにくく、好ましくない場合がある。
【0016】
また、α−ヒドロキシカルボン酸以外に、分解性を損なわない範囲で、他のヒドロアクリル酸、トロパ酸等のヒドロキシカルボン酸類と共重合したポリα−ヒドロキシカルボン酸を用いることもできる。
【0017】
本発明においてポリオール系樹脂とはビスフェノール類とビスフェノール型エポキシ樹脂と多価アルコールおよび該多価アルコールと酸無水物との反応物から選ばれる少なくとも1種と、エポキシ基と反応する活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物と、さらに必要に応じて架橋剤とを主原料とし、これらの主原料を重付加反応させて得られた樹脂もしくはこれを主成分とすることを特徴とする樹脂であり分子量分布、組成、架橋点の有無、作製方法等の条件に制限されることはない。
【0018】
ビスフェノール類としては2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称、ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔通称、ビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔通称、ビスフェノールAD〕、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられ、これらのビスフェノール類は1種単独で使用してもよく、必要に応じて2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0019】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては上記のビスフェノール類とエピクロロヒドリンから製造されるいわゆる一段法エポキシ樹脂、または一段法エポキシ樹脂とビスフェノール類との重付加反応生成物である二段法エポキシ樹脂等が挙げられる[垣内 弘編著「新エポキシ樹脂」(昭晃堂)30頁(昭和60年)]。このビスフェノール型エポキシ樹脂は、1種単独でも2種類以上または数平均分子量の異なる2種以上の混合物の組み合わせで用いてもよい。2種類以上または数平均分子量の異なる2種以上の混合物を用いる場合は、1種単独で用いる場合に比べて、分子量分布(Mw/Mn)が大となり、耐オフセット性の向上に有利となる。この場合、低分子量成分の数平均分子量が300〜3000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。
【0020】
本発明のポリオール樹脂の製造においては、原料供給の操作性の観点から、一般に低分子量成分が主成分であることが好ましい。
【0021】
多価アルコール類としては芳香族ジオール、脂肪族ジオール、脂環族ジオールなどの2価アルコール、ならびに3価アルコールまたは4価アルコールなどを挙げることが出来る。芳香族ジオールとしてはポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,2)−ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。また、芳香族ジオールとして、P−キシリレングリコ−ル、m−キシリレングリコールも使用することができる。脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。脂環式ジオールとしてはジヒドロキシメチルシクロヘキサン、水添ビスフェノールA等が挙げられる。3価または4価のアルコールとしては1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスロトール、トリペンタエリスロトール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンなどが挙げられる。酸無水物としては無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水琥珀酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物などを挙げることができる。
【0022】
多価アルコール類と酸無水物の反応は、通常、触媒の存在下、80℃〜150℃で1〜8時間の反応時間で行うことができる。この多価アルコール類と酸無水物の反応は、樹脂の製造における重付加反応と同時に行ってもよいし、重付加反応の前に行ってもよい。酸無水物が架橋剤として作用し、場合によってはゲル化が起こることもあるため、重付加反応の前に行うのがより好ましい。
【0023】
この反応で用いられる触媒としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等の有機リン化合物、塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ、オクチル酸スズ、安息香酸亜鉛等のルイス酸などを例示することができる。その使用量は、生成物量に対して通常1〜1000ppm、好ましくは5〜500ppmとなる量である。
【0024】
また、この反応においては、溶剤を使用しても、しなくてもよい。溶剤を使用する場合はトルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好ましい。エポキシ基と反応する活性水素を分子内に少なくとも1個有する化合物は1価のフェノール類、2級アミン類、1価のカルボン酸類である。1価のフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、P−クミルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等が挙げられる。2級アミン類としては、例えば、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジドデシルアミン、ジステアリルアミン、ジエタノールアミン、ジアリルアミン等の脂肪族2級アミン、N−メチルアニリン、N−メチルトルイジン、N−メチルニトロアニリン、ジフェニルアミン、ジトリルアミン、ベンジルジメチルアミン等の芳香環含有2級アミン等が挙げられる。1価のカルボン酸類としては、例えば、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、フェニル酢酸等の芳香環含有1価カルボン酸を挙げることができる。架橋材としては芳香族ポリアミン、脂肪族ポリアミン等のポリアミン類、酸無水物、3価以上のフェノール化合物、3価以上のエポキシ樹脂などが用いられる。ポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メタキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等が挙げられ、3価以上のフェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、オルソクレゾールノボラック樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンを挙げることができる。また、3価以上のエポキシ樹脂は、3価以上のフェノール化合物または3価以上のアルコール化合物とエピハロヒドリンとの反応で得られるグリシジル化物である。3価以上のフェノール化合物としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、オルソクレゾールノボラック樹脂、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニルメタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−3−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等が挙げられる。3価以上のアルコールとしては、例えば、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0025】
本発明においてポリα−ヒドロキシカルボン酸とポリオール系樹脂との混合は固体状態又は溶剤に溶解した状態で行うことができ、得られたトナーの物性に大きな差異はない。ポリα−ヒドロキシカルボン酸とポリオール系樹脂の固体状態での混合はヘンシェルミキサーなどを用いることができ、混合前処理としてポリα−ヒドロキシカルボン酸およびポリオール系樹脂をそれぞれ予備粉砕することがこのましい。また、溶剤に溶解した状態で混合する場合の溶剤としてはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、キシレン、ジメチルアセトアミド−キシレン混合溶媒、ジメチルホルムアミド−キシレン混合溶媒などを用いることが出来るが、これに限定されるものではない。
【0026】
本発明においてポリα−ヒドロキシカルボン酸とポリオール系樹脂との混合はトナー用バインダー樹脂中のポリα−ヒドロキシカルボン酸の質量で3%以上30%以下が好ましく、更には20%未満であることが好ましく、良好な定着性、耐オフセット性等の性質を維持し且つ良好な脱墨性を発現させることが可能であった。樹脂中のポリα−ヒドロキシカルボン酸が3%未満では古紙再生工程における紙の収率の低下、再生された紙の白色度の低下が起こるため好ましくない場合があり、30%を超えると保存性が低下するため好ましくない場合がある。また、トナー用バインダー樹脂中のポリα−ヒドロキシカルボン酸が20%以上の場合、脱墨工程でのトナーの分解性よりもトナーの定着性が強くなり、20%未満の場合よりも脱墨効率が下がるため、トナー用バインダー樹脂中のポリα−ヒドロキシカルボン酸は20%未満であることがより好ましい。
【0027】
また、本発明のトナーは、その特性を損なわない範囲で他のトナー用バインダー樹脂を含有せしめることができる。含有させる事のできる他のトナー用バインダー樹脂としてはバインダー樹脂として公知のものであればいずれでもよく、例えばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。本発明のトナーは、上記のトナー用バインダー樹脂、帯電調整剤(CCA)、着色剤、表面処理剤を含むものである。本発明のトナ−用バインダー樹脂の量は、トナー中に40〜95質量%であることが好ましい。
【0028】
以下、トナー用バインダー樹脂以外のものについて詳述する。まず、着色剤について記すと、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー、ニグロシン染料(C.I.No. 50415),アニリンブルー(C.I.No. 50405),カルコオイルブルー(C.I.No.azoec Blue 3),クロームイエロー(C.I.No. 14090),ウルトラマリンブルー(C.I.No. 77103),デユポンオイルレツド(C.I.No. 26105),オリエントオイルレツド#330(C.I.No. 60505),キノリンイエロー(C.I.No. 47005),メチレンブルークロライド(C.I.No. 52015),フタロシアニンブルー(C.I.No. 74160),マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No. 42000),ランブブラツク(C.I.No. 77266),ローズベンガル(C.I.No. 45435),オイルブラツク,アゾオイルブラツク等を使用することができる。その添加量としては、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して3〜35質量部、好ましくは3〜20質量部、さらにはトナー像の好適なOHPフィルムの透過性を考慮すると12質量部以下の範囲で使用されるのが好ましく、通常3〜9質量部であるのが最も好適である。また、帯電調整剤としては、ニグロシン、4級アンモニウム塩や含金属アゾ染料をはじめとする公知の帯電調整剤を適宜選択して使用することができ、その使用量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して、通常用いられる0.1〜10質量部である。
【0029】
次に表面処理剤については、トナーに対して該表面処理剤を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に該表面処理剤が存在することになり、現像剤の粉体流動性が向上され、かつさらに現像剤の寿命をも向上させることが出来る。具体的な例示としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーンといった微粉末を挙げることが出来、商品名としては、AEROSIL 130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、R972、R972V、R972CF、R974、R976、RX200、R200、R202、R805、R812、R812S、TT600、MOX80、MOX170、COK84、酸化チタンT805、酸化チタンP25(以上、日本アエロジル社、およびテグザ社製)、CAB−O−SIL L90、LM130、LM150、M5、PTG、MS55、H5、HS5、LM150D、M7D、MS75D、TS720、TS610、TS530(以上、CABOT社製)などであり、特に該表面処理剤の表面積としては、BET法による窒素吸着によった比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良い。かかる該表面処理剤の添加量は、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部で使用することが好適である。
【0030】
本発明のトナーは、トナー用バインダー樹脂の項でも記したのと同じく、ポリエチレン系および/またはポリプロピレン系オフセット防止剤を含んでも良く、その量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して0〜10質量部である。
【0031】
これらの材料を含む本発明のトナーの製造方法としては、本発明のトナー用バインダー樹脂、着色剤、必要であればその他の添加剤を粉体混合機により充分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーといった混練機を用いて温度100〜200℃で溶融、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行なって、通常8〜20μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶして電子写真用トナーを得る。
【0032】
本発明により得られるトナーは種々の現像プロセス、例えばカスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タツチダウン現像法、キヤリアとして粉砕法によつて製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によつて必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法などに用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0033】
また,本発明により得られるトナーは種々の定着方法,例えば所謂オイルレスおよびオイル塗布ヒートロール法、フラツシユ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。更に、本発明のトナーは,種々のクリーニング方法、例えば、所謂フアーブラシ法、ブレード法などに用いることができる。
【実施例】
【0034】
次に実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。実施例、比較例の記載において「部」は特にことわらない限り質量部を意味する。また、各表中のデータの測定法及び判定法は次の通りであった。分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めた数平均分子量である。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
【0035】
検出器 ; SHODEX RI-71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム ; KF-G + KF-807L x 3 + KF800D
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.25 %THF溶液
なお、測定の信憑性は上記の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン試料(Mw=288,000, Mn=137,000, Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが、2.11±0.10となることにより確認し得る。
【0036】
体積平均粒径はコールターカウンターによって求めた体積平均粒径であり、トナーの粉砕性の判定は一定条件下ジェット粉砕した試料の体積平均粒径を測定し以下の基準に従って行った。
○ ; 11μm ≧ 体積平均粒径 ≧ 7μm
△ ; 7μm > 体積平均粒径 ≧ 5μm
13μm ≧ 体積平均粒径 > 11μm
× ; 5μm > 体積平均粒径
体積平均粒径 > 13μm
【0037】
定着性は市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は210 mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5 Kgの荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。
【0038】
また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
○ ; 最低定着温度 ≦ 170℃
△ ; 190℃ ≧ 最低定着温度 > 170℃
× ; 最低定着温度 > 190℃
耐オフセット性の評価は、上記最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラ定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。
【0039】
また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
○ ; オフセット発生温度 ≧ 240℃
△ ; 240℃ > オフセット発生温度 ≧ 220℃
× ; 220℃ > オフセット発生温度
【0040】
保存性は温度40℃、相対湿度60%の環境条件下に24時間放置後、150メッシュのふるいに5gのせ、パウダーテスター(細川粉体工学研究所)の加減抵抗機の目盛りを3にして、1分間振動を加える。振動後の150メッシュのふるいの上に残った質量を測定し、残存質量比を求めた。
○ ; 20%より小さい
△ ; 20%以上35%以下
× ; 35%より大きい
【0041】
脱墨性(再生紙中のトナー残留量)は熱分解ガスクロマトグラフィ(GC-14B島津株式会社 GP-1018 Yanaco社)を用いた。測定条件は熱分解温度450℃、注入部温度250℃、FID検出温度280℃、カラム温度は初期温度150℃として、5℃/minで300℃まで昇温した。判定にはポリα−ヒドロキシカルボン酸を含まないトナーで印字した古紙を再生した時の残留量に対する比率を用いた。
○ ; 60%より小さい
△ ; 60%以上90%以下
× ; 90%より大きい
【0042】
白色度は印字面積50%の古紙を再生した時のシートの画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定し、判定にはポリα−ヒドロキシカルボン酸を含まないトナーで印字した古紙を再生した時の画像濃度に対する比率を用いた。
○ ; 60%より小さい
△ ; 60%以上90%以下
× ; 90%より大きい
【0043】
また、本発明ではポリオール系樹脂として以下の樹脂を用いた。
【0044】
樹脂A;攪拌装置、温度計、窒素導入口、および還流管を備えた容量500mlセパラブルフラスコに、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンKB−280(三井化学株式会社製)33.9g、無水フタル酸26.1g、およびキシレン15gを仕込み、系が均一になるまで内温80℃で攪拌した。次に、触媒としてベンジルジメチルアミン(BDMA)30mgを添加後、130℃まで昇温し4時間反応させた。反応混合物を50℃以下に冷却後、ビスフェノールA41.3g、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂エポミックR140P(三井化学株式会社製)127.6g、ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂エポミックR309(三井化学株式会社製)48g、安息香酸19.7g、およびステアリン酸3.5gを仕込み、80℃でテトラメチルアンモニウムクロリド50%水溶液0.12gを加えた。160℃で1時間反応後、還流管を減圧蒸留装置に替え、減圧度を徐々に高めながらキシレンおよび水を留去した。1時間後、減圧度は1333Pa(10mmHg)に達した。さらに1時間攪拌した後、反応系内の圧力を常圧に戻し、攪拌を7時間継続した。この時点で、生成したポリオール樹脂をサンプリングしてエポキシ当量を測定し、エポキシ当量が20000以上であることを確認した後、生成したポリオール樹脂をフラスコから抜き出し樹脂Aを得た。得られた樹脂の軟化点は124℃、ガラス転移温度:59℃、数平均分子量(Mn):3400、重量平均分子量(Mw):75000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は22、水酸基価は158(KOHmg/g)であった。
【0045】
樹脂B;実施例1において、原料の使用量をビスフェノールAを46.1g、エポミックR140Pを133.7g、エポミックR309を40.5g、安息香酸を19.7g、ステアリン酸を0gに変えた以外は、実施例1と同様に反応を行い樹脂Bを得た。得られた樹脂の軟化点は121℃、ガラス転移温度:60℃、数平均分子量(Mn):3350、重量平均分子量(Mw):54800、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は16.4、水酸基価は159(KOHmg/g)であった。
【0046】
樹脂C;実施例1において、原料の使用量をビスフェノールAを51g、エポミックR140Pを150.5g、エポミックR309を0g、安息香酸、ステアリン酸をp−クミルフェノール31.9gに変え、無水フタル酸を6.6g加えた以外は、実施例1と同様に反応を行い樹脂Cを得た。得られた樹脂の軟化点は123℃、ガラス転移温度:63℃、数平均分子量(Mn):4100、重量平均分子量(Mw):71000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は17.3、水酸基価は141(KOHmg/g)であった。樹脂D;実施例1において、原料の使用量をポリオキシプロピレン(1、1)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを17.0g、無水フタル酸を13g、ビスフェノールAを48.8g、エポミックR140Pを150.8g、安息香酸を29.9g、ステアリン酸を0g、エポミックR309を30gに変え、さらに無水フタル酸を10.5g加えた以外は、実施例1と同様に反応を行い樹脂Dを得た。得られた樹脂の軟化点は125℃、ガラス転移温度:60℃、数平均分子量(Mn):2500、重量平均分子量(Mw):59300、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)は20.6、水酸基価は156(KOHmg/g)であった。
【0047】
なお、エポキシ当量は以下のように測定した。樹脂試料0.2〜5gを精秤し、200mlの三角フラスコに入れた後、ジオキサン25mlを加えて溶解させる。1/5規定の塩酸溶液(ジオキサン溶媒)25mlを加え、密栓して十分混合後、30分間静置する。次に、トルエン−エタノール混合溶液(1:1容量比)50mlを加えた後、クレゾールレッドを指示薬として1/10規定水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。滴定結果に基づいて下記式に従ってエポキシ当量(g/当量)を計算する。エポキシ当量(g/当量)=1000×W/〔(B−S)×N×F〕W:試料採取量(g)B:空試験に要した水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)S:試料の試験に要した規定水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)N:水酸化ナトリウム水溶液の規定度F:水酸化ナトリウム水溶液の力価また、本発明において水酸基価は樹脂の水酸基と無水フタル酸とを反応させ、その反応に要した酸を該樹脂1g当たり中和するために必要な水酸化カリウムのmg数を意味する。
【0048】
実施例1
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸(商品名:レイシア、三井化学株式会社製)3部、樹脂A97部をヘンシェルミキサーにて分散混合しバインダー樹脂100部を得た。これに対してカーボンブラックMA−100(三菱化成株式会社製)6部及びポリプロピレンワックス ビスコール660P(三洋化成工業株式会社製)3部をヘンシェルミキサーにて分散混合した後、二軸混練機 PCM30(池貝鉄工株式会社製)にて180℃で溶融混練して塊状のトナー組成物を得た。この組成物をハンマーミルにて粗粉砕した後、ジェット粉砕機(日本ニューマチック社製 IDS2型)にて微粉砕し、次いで気流分級して平均粒径10μm(5μm以下3質量%、20μm以上2質量%)のトナー粒子を得た。トナーの粉砕性はジェット粉砕機への粗粉の供給速度を一定にした条件での粉砕後の体積平均粒径を測定して判断した。このトナーを市販の複写機を用いて定着性とオフセット性を判定して熱ローラの汚染性の程度を調べた。更に、このトナーと疎水性シリカ(エアロジルR972 日本エアロジル社製)0.1%とを混合したものを温度40℃、相対湿度60%の環境に24時間保存した後、粒子の凝集状態から保存性を調べた。次いで市販の坪量68g/m2の複写用紙を電子写真方式のコピー機を用いて印刷面積50%に印字して得た古紙試料を水酸化ナトリウムと脱墨剤を添加して離解機で離解した後、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、過酸化水素、脱墨剤を添加して漂白しフローテーター(FW型浮遊選別試験機 共伸産業株式会社製)を用いてフローテーション処理を行った試料を坪量80g/m2の手抄きシートを調製し、熱分解ガスクロマトグラフィ(GC-14B 島津株式会社 GP-1018 Yanaco社)を用いてトナーの残留量を測定し、トナーの脱墨性を評価した。また、画像濃度から再生された手抄きシートの白色度の評価を行った。それらの結果を表1に示す。
【0049】
実施例2
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Aを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0050】
実施例3
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)20部、樹脂Aを80部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0051】
実施例4
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)30部、樹脂Aを70部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0052】
比較例1
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)0部、樹脂Aを100部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0053】
比較例2
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)35部、樹脂Aを65部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。結果を表1示す。
【0054】
【表1】
Figure 0004339504
【0055】
ポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30質量%含むトナーは古紙再生においてポリα-ヒドロキシカルボン酸のアルカリ加水分解性に起因すると思われる良好な脱墨性、白色度が確認された。ポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30質量%含むトナーは耐オフセット性、定着性、保存性は良好であり、本発明の電子写真用トナーは優れた性能を有している。
【0056】
実施例5
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)3部、樹脂Aを97部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0057】
実施例6
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Aを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0058】
実施例7
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)30部、樹脂Aを70部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0059】
比較例3
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)35部、樹脂Aを65部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
Figure 0004339504
【0061】
ポリα-ヒドロキシカルボン酸の分子量に関わらず、ポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30質量%含むトナーは古紙再生においてポリα-ヒドロキシカルボン酸のアルカリ加水分解性に起因すると思われる良好な脱墨性、白色度が確認された。ポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30質量%含むトナーは耐オフセット性、定着性、保存性は良好であり、本発明の電子写真用トナーは優れた性能を有している。
【0062】
実施例8
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Bを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0063】
実施例9
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Cを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0064】
実施例10
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Dを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0065】
実施例11
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Bを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0066】
実施例12
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Cを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0067】
実施例13
数平均分子量200000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Dを90部に変えた以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
Figure 0004339504
【0069】
ポリオール系樹脂の種類に関わらずポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30%含むトナーは古紙再生においてポリα-ヒドロキシカルボン酸のアルカリ加水分解性に起因すると思われる良好な脱墨性、白色度が確認された。ポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30%含むトナーは耐オフセット性、定着性、保存性は良好であり、本発明の電子写真用トナーは優れた性能を有している。
【0070】
実施例14
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂A90部を全量で700gとキシレン1000gを撹拌器、温度計、窒素導入管及び還流冷却器を付した2リットル四つ口フラスコに仕込み温度190℃にて2時間攪拌したのち溶媒を減圧下に留去してバインダー樹脂を得た以外は実施例1と同様の方法で試験を実施した。
【0071】
実施例15
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Bを90部に変えた以外は実施例14と同様の方法で試験を実施した。
【0072】
実施例16
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Cを90部に変えた以外は実施例14と同様の方法で試験を実施した。
【0073】
実施例17
数平均分子量2000のポリα‐ヒドロキシカルボン酸レイシア(三井化学株式会社製)10部、樹脂Dを90部に変えた以外は実施例14と同様の方法で試験を実施した。結果を表4に示す。
【0074】
【表4】
Figure 0004339504
【0075】
ポリα‐ヒドロキシカルボン酸と各種ポリオール系樹脂の混合方法に関わらずポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30%含むトナーは古紙再生においてポリα-ヒドロキシカルボン酸のアルカリ加水分解性に起因すると思われる良好な脱墨性、白色度が確認された。ポリα-ヒドロキシカルボン酸を3〜30%含むトナーは耐オフセット性、定着性、保存性は良好であり、本発明の電子写真用トナーは優れた性能を有している。
【0076】
【発明の効果】
本発明の電子写真トナーは、古紙再生においてα-ヒドロキシカルボン酸のアルカリ加水分解性に起因すると思われる良好な脱墨性、白色度を示し、定着性、粉砕性、耐ホットオフセット性、保存性が良好で、電子写真トナーとして優れた性能を有している。

Claims (5)

  1. ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂と、ビスフェノール類とビスフェノール型エポキシ樹脂と多価アルコールおよび該多価アルコールと酸無水物との反応物から選ばれる少なくとも1種と、エポキシ基と反応する活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物と、を重付加反応させた樹脂もしくはこれらを含む樹脂、であるポリオール系樹脂と、を含有し
    前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂3質量%以上30質量%以下と、前記ポリオール系樹脂97質量%以下70質量%以上と、を混合し、
    前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂は直接脱水重縮合法によって得られたことを特徴とするトナー用バインダー樹脂。
  2. 前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂は、数平均分子量2000以上200000以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナー用バインダー樹脂。
  3. 前記ポリα−ヒドロキシカルボン酸からなる分解性ポリエステル樹脂を3質量%以上20質量%未満と、前記ポリオール系樹脂を97質量%以下80質量%より多くとを混合した請求項1または2に記載のトナー用バインダー樹脂。
  4. 固体の状態で分散混合して得られた樹脂、溶融混練によって得られた樹脂、もしくは溶剤に溶解した状態で混合し脱溶剤を行うことによって得られた樹脂を用いることを特徴とする請求項2又は3に記載のトナー用バインダー樹脂。
  5. バインダー樹脂として請求項1乃至のいずれかに記載の樹脂を主成分として用いた電子写真トナー。
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