JP3792176B2 - カラートナー用バインダー樹脂組成物とその製造方法ならびにカラートナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用カラートナー用樹脂組成物およびカラートナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機やプリンターにおける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像をトナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。近年、この電子写真法を用いた複写機やプリンターの技術はモノクロからフルカラーへの展開が急速になされている。
【0003】
フルカラートナーにおいては一般に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を用い全ての色の再現を行うものであり、モノクロに比べ良好な発色性が求められる。この発色性を得るためには、トナーは紙などの被定着シート上に充分に溶融、定着がなされる必要がある。このような要求特性を満たすために、カラートナー用バインダー樹脂として、その分子量を低下させ、溶融粘度を低くしたものを用いるのが一般的である。しかしながら、低分子量化することにより、充分な定着性能は確保されるものの、同時に樹脂の凝集力も低下するため、定着ロールへのオフセット現象が発生する問題が生じる。
【0004】
この問題を防ぐため、定着ローラーにはオイルを塗布したものが多く用いられる。しかしながら、定着ローラーにオイルを塗布する定着方式においては、ローラー表面にオイルを塗布するための塗布機構が必要であり、複写機やプリンターの大型化や高コスト化が問題となってくる。
【0005】
このような問題を回避するため、近年、定着ローラーにオイルを塗布しない、あるいは少量のオイルを塗布するのみとする、いわゆるオイルレス定着方式が検討されてきている。このような定着方式を用いた場合には、カラートナーは充分な発色性を得るための良好な定着性能と、オイルを塗布しないローラーにおいてもオフセットが発生しない良好なオフセット性能の両特性を満たす必要が生じる。
【0006】
また、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
このような要求に対して、これまでに、スチレン-アクリル系樹脂(例えば、特公昭55-6895号公報、特公昭63-32180号公報、米国特許第5,084,368号明細書等)やポリエステル樹脂(例えば、特開昭61-284771号公報、特開昭62-291668号公報、特公平7-101318号公報、米国特許第4,833,057号明細書等)やポリオール樹脂等(例えば、特開平11-189647号公報等)が主として用いられている。
【0007】
特に、ポリオール樹脂は、その構造において、水酸基を主鎖中に多数有しているため、紙との親和性において他材料よりも秀でた特性を有している。また、その構造に由来し、高度な耐久性を有していることが知られている。
しかしながら、従来技術においては、該ポリオール樹脂を高分子量化させる技術は見出されていなかった。したがって、現在までのところ、ポリオール樹脂は定着性能および耐久性能には優れているものの、同時にオフセット性能を充分に満足し得る材料であるとは言い難く、また、上記定着性能と耐久性能、およびオフセット性能とを両立させ得るポリオール樹脂を生成し得る手段は得られていなかった。すなわち、上述の要求を満たすオイルレス定着方式用カラートナーは未だ得られていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来のカラートナーの有する問題を解決するもので、その目的とするところは、低温定着性、耐オフセット性、さらに長期にわたって複写する場合でも、現像耐久性に優れたカラートナー用樹脂組成物およびカラートナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の諸問題を解決すべく鋭意検討した結果、以下に記述する発明に到達するに至った。
すなわち、
(1)少なくとも、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを反応させてなるポリオール樹脂(A)を、多価イソシアネート(B)でウレタン伸長したウレタン変性ポリオール樹脂を含有することを特徴とするカラートナー用バインダー樹脂。
(2)前記ウレタン変性ポリオール樹脂のピーク分子量が1000〜20000であり、かつガラス転移温度が40〜75℃であることを特徴とする請求項1記載のカラートナー用バインダー樹脂。
(3)前記ウレタン変性ポリオール樹脂が1〜40質量%のゲルを含有することを特徴とする請求項1ないし2記載のカラートナー用バインダー樹脂。
(4)前記ポリオール樹脂(A)をポリイソシアネート(B)でウレタン伸長してウレタン変性ポリオール樹脂を製造する際、二軸混練機を使用することを特徴とするカラートナー用バインダー樹脂の製造方法。
(5)少なくとも、上記(1)〜(3)記載のカラートナー用バインダー樹脂を含有するカラートナー。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明のカラートナー用樹脂組成物の構成要件であるポリオール樹脂(A)について詳述する。
【0011】
本発明に使用されるポリオール樹脂(A)は、少なくとも、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを反応させることにより、製造される。
【0012】
本発明に用いられているビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロロヒドリンから製造される、いわゆる一段法エポキシ樹脂、または一段法エポキシ樹脂とビスフェノール類との重付加反応生成物である二段法エポキシ樹脂等が挙げられる〔垣内 弘編著、「新エポキシ樹脂」(昭晃堂)、30頁(昭和60年発行)]。なお、ビスフェノール類の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称、ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔通称、ビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔通称、ビスフェノールAD〕、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0013】
本発明において、このビスフェノール型エポキシ樹脂は、1種単独でも2種類以上または数平均分子量(Mn)の異なる2種以上の混合物の組み合わせで用いてもよい。2種類以上または数平均分子量(Mn)の異なる2種以上の混合物を用いる場合は、1種単独で用いる場合に比べて、分子量分布(Mw/Mn)が大となり、耐オフセット性の向上に有利となる。
【0014】
また、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物としては、フェノール類、アミン類、カルボン酸類等が挙げられる。フェノール類の具体例としては、例えばm¥、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、P−クミルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等の1価フェノール類, 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称、ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔通称、ビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔通称、ビスフェノールAD〕、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノール類等が挙げられる。
【0015】
また、アミン類の具体例としては、例えば、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジドデシルアミン、ジステアリルアミン、ジエタノールアミン、ジアリルアミン等の脂肪族2級アミン類, N−メチルアニリン、N−メチルトルイジン、N−メチルニトロアニリン、ジフェニルアミン、ジトリルアミン、ベンジルジメチルアミン等の芳香族2級アミン類等が挙げられる。
【0016】
また、カルボン酸類の具体例としては、例えば、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族モノカルボン酸類, マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族多価カルボン酸類, 安息香酸、トルイル酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸等の芳香族モノカルボン酸類, テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸類, マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類等が挙げられる。
【0017】
また、ポリオール樹脂(A)を製造する際に、酸無水物やアルコール類を用いてもよく、その具体例としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水琥珀酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等の酸無水物や、例えば、ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,2)−ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール類や、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、脂環式ジオールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスロトール、トリペンタエリスロトール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン水添ビスフェノールA等の脂肪族アルコール類等が挙げられる。
【0018】
ポリオール樹脂(A)は、少なくとも、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを重付加反応させることによって製造することができる。エポキシ基のモル数と、エポキシ基と反応する活性水素基のモル数との比は、ゲル化の防止や未反応活性水素基の過度の残存を避ける観点から、1.6〜0.6モル比の範囲にあることが好ましい。
【0019】
前記重付加反応は、通常、触媒を用いて行われる。触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物,ナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート, N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン, テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩, トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等の有機リン化合物, 塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ等のルイス酸などを例示することができる。本発明の樹脂の製造において、触媒を使用する場合、その使用量は、生成物量に対して、通常、1〜1000ppm、好ましくは5〜500ppmである。
【0020】
また、前記重付加反応を行う際、溶媒を併用することも可能である。好適な溶媒としては、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素, メチルエチルケトン(2−ブタノン)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類, エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル類, N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒を例示することができる。
これらの溶媒は1種単独でも2種以上を混合して使用することもできる。溶媒を使用する場合、その使用量は、通常、仕込原料の合計量を基準として、通常、1〜100重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0021】
また、前記重付加反応における反応温度は、触媒量にもよるが、通常、120〜180℃の範囲である。
【0022】
このようにして得られる本発明に使用されるポリオール樹脂(A)は、樹脂強度、凝集力、耐久性、耐オフセット性、定着性などの観点から、テトラヒドロフラン(THF)可溶分についてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で評価したときのピーク分子量が1000〜20000の範囲のものが好ましい。
また、Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、2〜20であるものが好ましい。
また、Tgは、トナーのブロッキングや定着性の観点から、40℃〜70℃のものが好ましい。
軟化点は、耐久性や定着性の観点から、85℃〜120℃が好ましい。 なお、本発明のポリオール樹脂(A)は、通常、50〜200 KOH mg/gの水酸基価を有するものである。このように分子鎖に多数の水酸基価を有する構造を達成することにより、分子間の水素結合力により、樹脂の凝集力が高いものとなり、比較的分子量の小さいものでも、より現像耐久性に優れた性能を発揮することができる。なお、本発明において、水酸基価は、樹脂1g中の水酸基をエステル化するのに必要な酸無水物を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
【0023】
以下本発明のウレタン変性ポリオール樹脂について詳述する。
ポリオール樹脂(A)を多価イソシアネート(B)で鎖長伸長する場合、ポリオール樹脂の水酸基価1モル当量に対してイソシアネート基として1モル当量以下で使用することが好ましく、さらには0.5モル当量以下で使用することが好ましい。0.5モル当量以上であると、反応系内の粘度上昇が著しく、定着性の面で好ましくなく、同時に、製造されるウレタン変性ポリオール樹脂中に多価イソシアネートが、モノマーのまま存在する可能性があり好ましくない場合がある。
【0024】
使用される多価イソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる。また、その他三価以上の多価イソシアネートを用いることも可能である。
【0025】
前記ポリオール樹脂(A)と前記多価イソシアネート(B)との反応は二軸混練機等の混練装置内で行われる。その際の混練機内の温度は100℃以上であることが好ましい。該温度以下では反応が十分に進行しないため好ましくない。
【0026】
該ウレタン変性ポリオール樹脂のピーク分子量は1000以上20000以下が好ましい。ピーク分子量が1000未満の場合、樹脂強度および凝集力が低下するため、耐久性およびオフセット性の面で好ましくなく、20000以上の場合、定着性の面で好ましくない場合がある。Tgは40以上75℃以下であることが好ましい。40℃未満ではトナーがブロッキングを起こし好ましくなく、75℃より高いと定着性が悪化して好ましくない場合がある。また、該ウレタン変性ポリオール樹脂は1%以上40%以下のゲルを含有していることが好ましい。ゲル含有量が1%未満の場合、オフセット性の面で好ましくなく、40%以上の場合、定着性の面で好ましくない。なお、本発明におけるゲル含有量とは、樹脂5部をテトラヒドロフラン95部に十分に溶解させた時の、樹脂全量に対するテトラヒドロフラン不溶分のことである。
【0027】
本発明のトナー用樹脂組成物には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用樹脂組成物中に0〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0028】
上記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0029】
さらに、本発明のカラートナー用樹脂組成物には、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良く、その添加量は、カラートナー用樹脂組成物中に0〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0030】
また、本発明のカラートナー用樹脂組成物中には、上記ウレタン変性ポリオール樹脂の他に、スチレン系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を添加してもよい。
【0031】
以下、本発明のトナーに付いて詳述する。
【0032】
本発明のトナーは、少なくとも先の本発明のトナー用樹脂組成物、帯電調整剤(CCA)、着色剤、表面処理剤を含むものである。
本発明のトナ−用樹脂組成物の量は、トナー中に50〜95重量%であることが好ましい。
【0033】
以下、トナー用樹脂組成物以外のものについて詳述する。
まず、着色剤について記すと、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー、ニグロシン染料(C.I.No. 50415),アニリンブルー(C.I.No. 50405),カルコオイルブルー(C.I.No.azoec Blue 3),クロームイエロー(C.I.No. 14090),ウルトラマリンブルー(C.I.No. 77103),デユポンオイルレツド(C.I.No. 26105),オリエントオイルレツド#330(C.I.No. 60505),キノリンイエロー(C.I.No. 47005),メチレンブルークロライド(C.I.No. 52015),フタロシアニンブルー(C.I.No. 74160),マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No. 42000),ランブブラツク(C.I.No. 77266),ローズベンガル(C.I.No. 45435),オイルブラツク,アゾオイルブラツク等を使用することができる。その添加量としては、トナー用樹脂組成物100重量部に対して3〜15重量部であることが好ましい。
【0034】
また、帯電調整剤としては、カラートナーの色調を損なうことのない透明色から白色の物質を用いることが好ましい。具体的には、4級アンモニウム塩類、イミダゾール金属錯体、サリチル酸金属錯体等を使用することができ、その使用量はトナー用樹脂組成物100重量部に対して、通常用いられる0.1〜10重量部である。
【0035】
次に表面処理剤については、トナーに対して該表面処理剤を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に該表面処理剤が存在することになり、現像剤の粉体流動性が向上され、かつさらに現像剤の寿命をも向上させることが出来る。具体的な例示としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーンといった微粉末を挙げることが出来、商品名としては、AEROSIL 130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、R972、R972V、R972CF、R974、R976、RX200、R200、R202、R805、R812、R812S、TT600、MOX80、MOX170、COK84、酸化チタンT805、酸化チタンP25(以上、日本アエロジル社、およびテグザ社製)、CAB−O−SIL L90、LM130、LM150、M5、PTG、MS55、H5、HS5、LM150D、M7D、MS75D、TS720、TS610、TS530(以上、CABOT社製)などであり、特に該表面処理剤の表面積としては、BET法による窒素吸着によった比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良い。かかる該表面処理剤の添加量は、トナー用樹脂組成物100重量部に対して0.1〜20重量部で使用することが好適である。
【0036】
本発明のトナーは、ポリオレフィンワックスを含んでも良く、その量はトナー用樹脂組成物100重量部に対して0〜10重量部である。
【0037】
これらの材料を含む本発明のトナーの製造方法としては、本発明のトナー用樹脂組成物、着色剤、必要であればその他の添加剤を粉体混合機により充分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーといった混練機を用いて溶融、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行なって、通常8〜20μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶしてトナーを得る。
【0038】
本発明により得られるトナーは種々の現像プロセス、例えばカスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タツチダウン現像法、キヤリアとして粉砕法によつて製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によつて必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法などに用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0039】
また,本発明により得られるトナーは、オイルレス定着法以外の種々の定着方法にも用いることができる。具体的には、オイル塗布ヒートロール法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。
【0040】
更に、本発明のトナーは,種々のクリーニング方法、例えば、所謂フアーブラシ法、ブレード法などに用いることができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以降「部」は、特に断わらない限り重量%を表す。
【0042】
なお、本発明における分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
【0043】
検出器 ; SHODEX RI-71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム ; KF-G + KF-807L x 3 + KF800D
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.25 %THF溶液
なお、測定の信憑性は上記の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン試料(Mw=288,000, Mn=137,000, Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが、2.11±0.10となることにより確認し得る。
【0044】
以下に本発明で行ったトナーの評価方法を記載する。
▲1▼ 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は200 mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5 Kgの荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
【0045】
▲2▼ 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラ定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
▲3▼ 現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
○ : 7万枚以上でも劣化しない
△ : 5〜7万枚で劣化
× : 5万枚以上で劣化
ウレタン変性ポリオール樹脂の製造
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例1
四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を取り付け、ビスフェノールA24.0部、 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、エポミックR140P)56.3部、ステアリン酸5.3部、安息香酸5.3部、リチウムクロライド50%水溶液0.05部を仕込み、170℃で重付加反応を行った。2時間の反応の後、系内を徐々に減圧にしてゆき、キシレンおよび水を留去した。そのまま5時間、減圧を保持したまま攪拌した後、系内を常圧に戻し、内容物をフラスコから抜き出しポリオール樹脂(A-1)を得た。さらに、このポリオール樹脂100部とトリレンジイソシアネート2.6部とをニ軸混練機中で、180℃で混練し、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA-1)を得た。この樹脂の物性を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例 2
トリレンジイソシアネートの添加量を2.0部とした以外は、ウレタン変性ポリオール樹脂製造例1と同様の操作でウレタン変性ポリオール樹脂(UA-2)を得た。これらの樹脂の物性を表1に示す。
【0048】
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例 3
四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を取り付け、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学社製、KB−280)7.4部、無水フタル酸5.6部、ベンジルジメチルアミン(BDMA)0.03部、およびキシレン2.6部を仕込み、130℃にて4時間反応させた。その後、ビスフェノールA20.0部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、エポミックR140P)49.0部、ステアリン酸1.8部、安息香酸6.0部、リチウムクロライド50%水溶液0.05部を仕込み、170℃で重付加反応を行った。2時間の反応の後、系内を徐々に減圧にしてゆき、キシレンおよび水を留去した。そのまま5時間、減圧を保持したまま攪拌した後、系内を常圧に戻し、内容物をフラスコから抜き出しポリオール樹脂(A−2)を得た。さらに、このポリオール樹脂100部とトリレンジイソシアネート2.7部とをニ軸混練機中で、180℃で混練し、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA-3)を得た。この樹脂の物性を表1に示す。
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例4
トリレンジイソシアネートの添加量を2.1部とした以外は、ウレタン変性ポリオール樹脂製造例3と同様の操作でウレタン変性ポリオール樹脂(UA-4)を得た。これらの樹脂の物性を表1に示す。
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例5
トリレンジイソシアネートの添加量を3.2部とした以外は、ウレタン変性ポリオール樹脂製造例3と同様の操作でウレタン変性ポリオール樹脂(UA-5)を得た。これらの樹脂の物性を表1に示す。
【0049】
実施例1
上記ウレタン変性ポリオール樹脂製造例により示した手順により得られた、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA-1)100部に、カーボンブラック(MA100;三菱化学製)8.0部、帯電調整剤(BONTRON E-84;オリエント化学工業社製)2.0部、ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP105;三井化学製)3.0部をヘンシェルミキサ−で予備混合した後、2軸混練機を用い、120℃に設定して混練した後、冷却、粗粉砕、微粉砕し、さらに分級器で分級し6.0〜18.0μmのブラックトナーを得た。次いで、上記トナ−100重量部に対して、疎水性シリカ(R−972、アエロジル社製)を0.5重量部となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してブラックトナ−を得た。また、カーボンブラックに変えて、着色剤(Toner Yellow HG;クラリアントジャパン社製)6.0部を加えた以外は同様の操作でイエロートナーを得た。また、カーボンブラックに変えて、着色剤(Toner Magenta E 02;クラリアントジャパン社製)5.0部を加えた以外は同様の操作でマゼンタトナーを得た。さらに、カーボンブラックに変えて、着色剤(Toner Cyan BG;クラリアントジャパン社製)3.0部を加えた以外は同様の操作でマゼンタトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表2に示した。
【0050】
【表2】
【0051】
実施例2〜5
ウレタン変性ポリオール樹脂の種類を変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表2に示した。
比較例1、2
ウレタン変性ポリオール樹脂を用いず、ウレタン変性ポリオール樹脂製造例1および3に記した、ウレタン変性前のポリオール樹脂(A-1、A−2)をバインダー樹脂とした用いた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表2に示した。
【0052】
【発明の効果】
この発明のカラートナー用樹脂組成物およびカラートナーは、上述のように構成されており、定着性、耐オフセット性、現像耐久性に優れている。
【0053】
したがって、この発明のカラートナー用樹脂組成物およびカラートナーによれば、複写機の高速化、低温定着化など、近年高まっている要求に充分に対応することができる。
Claims (4)
- 少なくとも、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを反応させてなるポリオール樹脂(A)を多価イソシアネート(B)でウレタン伸長したウレタン変性ポリオール樹脂を含有し、前記ウレタン変性ポリオール樹脂を製造する際、二軸混練機を使用することを特徴とするカラートナー用バインダー樹脂。
- 前記ウレタン変性ポリオール樹脂のピーク分子量が1000〜20000であり、かつガラス転移温度が40〜75℃であることを特徴とする請求項1記載のカラートナー用バインダー樹脂。
- 前記ウレタン変性ポリオール樹脂が1〜40質量%のゲルを含有することを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載のカラートナー用バインダー樹脂。
- 少なくとも、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカラートナー用バインダー樹脂を含有することを特徴とするカラートナー。
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