JP3789390B2 - トナー用樹脂組成物およびトナー - Google Patents
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Description
本発明は、電子写真用トナー用樹脂組成物およびトナーに関する。
【0001】
【従来の技術】
一般に、複写機やプリンターに於ける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像を、トナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。この熱ロール定着方式においては、消費電力等の経済性の向上、複写速度の上昇、用紙等のカール防止等のため、より低温で定着可能な定着性の良好なトナーが要求されている。
【0002】
このような要求に対して、従来技術では、結着樹脂の分子量や分子量分布を改良したもの等の提案がなされている。具体的には、結着樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようとする試みがなされた。
【0003】
しかしながら、低分子量化することにより融点は低下したが、同時に樹脂の凝集力も低下したため、定着ロールへのオフセット現象が発生する問題が生じた。
【0004】
このような問題を防ぐため、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合使用して分子量分布を広くしたものを該結着樹脂として用いる方法や、あるいは、さらに結着樹脂の高分子量部分を架橋させたりすることなどが行われていた。
【0005】
しかしながらこの方法においては、樹脂の粘度が上昇してしまい、逆に、定着性を満足させることが困難となる。特に近年の複写機の低温定着化への要求に対しては、いまだ充分な性能を有したトナーを提供し得る技術であるとは言い難いのが現状である。
【0006】
一方、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
【0007】
そういった中で、従来主に用いられてきたスチレン−アクリル系樹脂に代えて、バインダー樹脂としてより高密度なポリエステル樹脂(例えば、特開昭61−284771号公報、特開昭62−291668号公報、特公平7−101318号公報、特公平8−3663号公報、米国特許第4,833,057号明細書等)やポリオール樹脂(例えば、特開平11−189647号公報等)を用いたトナーが種々提案されているが、これらから得られたトナーは上記問題点を未だ満足に解決するに至っていない。
【0008】
このように、充分な定着性、オフセット性を持ち、なおかつ、高画質の複写画像を提供することが可能な二成分現像剤を提供するためには、上述の現像剤に十分な電子写真特性を付与する必要があり、現在までに、複写画像の高画質,高精細化を図るために、種々の手法が試みられてはいるものの、特に上述した欠点を全て改善することができる手段は現在までのところ得られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来のトナーの有する問題を解決するもので、その目的とするところは、低温定着性、耐オフセット性、さらに長期にわたって複写する場合でも、現像耐久性に優れたトナー用樹脂組成物およびトナーを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の諸問題点を解決すべく鋭意検討した結果、以下に記述する発明に至った。
【0011】
(1)少なくとも、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを反応させてなる、ポリオール樹脂を、多価イソシアネートでウレタン伸長した、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA)とポリエステル樹脂(B)とを含有することを特徴とするトナー用バインダー樹脂。
【0012】
(2)ポリエステル樹脂(B)が、PET及び多価カルボン酸及び多価アルコールより合成されたポリエステルである、(1)記載のトナー用バインダー樹脂。
【0013】
(3)前記ウレタン変性ポリオール樹脂(UA)のピーク分子量が1000〜20000であり、且つガラス転移温度が40〜75℃であり、且つ軟化点が120〜160℃であり、前記ポリエステル樹脂(B)のピーク分子量が1000〜20000であり、且つガラス転移温度が40〜75℃であり、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)が2〜10であり、且つ軟化点が85℃〜120℃であることを特徴とする(1)乃至(2)記載のトナー用バインダー樹脂。
【0014】
(4)前記ウレタン変性ポリオール樹脂(UA)と前記ポリエステル樹脂(B)の混合比が90〜10重量部:10〜90重量部であることを特徴とする(1)乃至(3)記載のトナー用バインダー樹脂。
【0015】
(5)(1)乃至(4)記載のトナー用バインダー樹脂を含むトナー。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明のトナー用樹脂組成物の構成要件であるウレタン変性ポリオール樹脂(UA)の前駆体である、ポリオール樹脂(A)について詳述する。
【0017】
本発明で用いられるポリオール樹脂(A)は、少なくとも、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを反応させてなるものである。
【0018】
本発明に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノール類とエピクロロヒドリンから製造される、いわゆる一段法エポキシ樹脂、または一段法エポキシ樹脂とビスフェノール類との重付加反応生成物である二段法エポキシ樹脂等が挙げられる[垣内 弘編著「新エポキシ樹脂」(昭晃堂)30頁(昭和60年)]。なお、ビスフェノール類の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称、ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔通称、ビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔通称、ビスフェノールAD〕、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0019】
本発明において、このビスフェノール型エポキシ樹脂は、1種単独でも2種類以上または数平均分子量の異なる2種以上の混合物の組み合わせで用いてもよい。2種類以上または数平均分子量の異なる2種以上の混合物を用いる場合は、1種単独で用いる場合に比べて、分子量分布(Mw/Mn)が大となり、耐オフセット性の向上に有利となる。
【0020】
また、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物としては、フェノール類、アミン類、カルボン酸類等が挙げられる。フェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、P−クミルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール等の1価フェノール類や、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称、ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔通称、ビスフェノールF〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン〔通称、ビスフェノールAD〕、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等の多価フェノール類等が挙げられる。
また、アミン類の具体例としては、例えば、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジドデシルアミン、ジステアリルアミン、ジエタノールアミン、ジアリルアミン等の脂肪族2級アミン、N−メチルアニリン、N−メチルトルイジン、N−メチルニトロアニリン、ジフェニルアミン、ジトリルアミン、ベンジルジメチルアミン等の芳香環含有2級アミン等が挙げられる。また、カルボン酸類の具体例としては、例えば、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の1価の脂肪族カルボン酸類、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多価脂肪族カルボン酸類、安息香酸、トルイル酸、α−ナフトエ酸、β−ナフトエ酸、フェニル酢酸等の1価の芳香環含有カルボン酸類や、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸等、多価芳香環含有カルボン酸類や、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸類等が挙げられる。
【0021】
また、ポリオール樹脂(A)製造の際に、酸無水物やアルコール類を用いてもよく、その具体例としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水琥珀酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物等の酸無水物や、例えば、ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,2)−ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の芳香族アルコール類や、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、脂環式ジオールとしては、例えば、ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスロトール、トリペンタエリスロトール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン水添ビスフェノールA等の脂肪族アルコール類等が挙げられる。
【0022】
ポリオール樹脂(A)の製造は、少なくとも、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを重付加反応させて行うことができる。エポキシ基のモル数と、エポキシ基と反応する活性水素基のモル数との比は、1.6〜0.6の範囲にあることが好ましい。上記値が1.6より大きいときは、系はゲル化を起こしやすくなるため反応制御が困難となるため好ましくなく、上記値が0.6より小さいときは、反応終了時に酸モノマーが多く残存し、好ましくない。
【0023】
本発明のポリオール樹脂(A)の製造において、この重付加反応は、通常、触媒を用いて行われる。用いられる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等の有機リン化合物、塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ等のルイス酸などを例示することができる。本発明の樹脂の製造において、触媒を使用する場合、その使用量は、生成物量に対して、通常、1〜1000ppm、好ましくは5〜500ppmとなる量である。
【0024】
本発明のポリオール樹脂(A)の製造における重付加反応においては、溶媒を併用することも可能である。好適な溶媒としては、キシレン、トルエン等の芳香族化合物、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル類、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒を例示することができる。これらの溶媒は1種単独でも2種以上を混合して使用することもできる。溶媒を使用する場合、その使用量は、通常、仕込原料の重量の1〜100重量%、好ましくは5〜50重量%の割合となる量である。
【0025】
この重付加反応における反応温度は、触媒量にもよるが、通常、120〜180℃の範囲である。
【0026】
このようにして得られる本発明のポリオール樹脂(A)は、ピーク分子量が1000以上20000以下の範囲のものが好ましい。ピーク分子量が1000未満の場合、樹脂強度および凝集力が低下するため、耐久性およびオフセット性の面で好ましくなく、20000以上の場合、定着性の面で好ましくない場合がある。また、分子量分布(Mw/Mn)は2〜20であるものが好ましい。Mw/Mnが20を越えた場合、製造時の系内の粘度が高いため、制御が困難となり、好ましくない場合がある。また、Tgは40℃〜70℃のものが好ましい。40℃未満ではトナーがブロッキングを起こし好ましくなく、75℃より高いと定着性が悪化して好ましくない場合がある。また、軟化点は85℃以上120℃以下が好ましい。軟化点が85℃未満の場合、耐久性の面で好ましくなく、120℃以上の場合、定着性の面で好ましくない。
【0027】
なお、本発明のポリオール樹脂(A)は、通常、50〜200KOHmg/gの水酸基価を有するものである。このように分子鎖に多数の水酸基価を有する構造を達成することにより、分子間の水素結合力により、樹脂の凝集力が高いものとなり、比較的分子量の小さいものでも、より現像耐久性に優れた性能を発揮することができる。なお、本発明において、水酸基価は、樹脂1g中の水酸基をエステル化するのに必要な酸無水物を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
【0028】
以下本発明のトナー用樹脂組成物の構成要件であるウレタン変性ポリオール樹脂(UA)について詳述する。
【0029】
上記ポリオール樹脂(A)を多価イソシアネート(B)で鎖長伸長する場合、ポリオール樹脂の水酸基価1モル当量に対してイソシアネート基として1モル当量以下で使用することが好ましく、さらには0.5モル当量以下で使用することが好ましい。0.5モル当量以上であると、反応系内の粘度上昇が著しく、定着性の面で好ましくなく、同時に、製造されるウレタン変性ポリオール樹脂中に多価イソシアネートが、モノマーのまま存在する可能性があり好ましくない場合がある。
【0030】
使用される多価イソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる。また、その他三価以上の多価イソシアネートを用いることも可能である。
【0031】
前記ポリオール樹脂(A)と前記多価イソシアネート(B)との反応は二軸混練機等の混練装置内で行われる。その際の混練機内の温度は100℃以上であることが好ましい。該温度以下では反応が十分に進行しないため好ましくない。
【0032】
該ウレタン変性ポリオール樹脂(UA)のピーク分子量は1000以上20000以下が好ましい。ピーク分子量が1000未満の場合、樹脂強度および凝集力が低下するため、耐久性およびオフセット性の面で好ましくなく、20000以上の場合、定着性の面で好ましくない場合がある。Tgは40以上75℃以下であることが好ましい。40℃未満ではトナーがブロッキングを起こし好ましくなく、75℃より高いと定着性が悪化して好ましくない場合がある。また、該ウレタン変性ポリポリオール樹脂の軟化点は120℃以上160℃以下が好ましい。軟化点が120℃未満の場合、オフセット性の面で好ましくなく、160℃以上の場合、定着性の面で好ましくない。また、該ウレタン変性ポリオール樹脂は1%以上40%以下のゲルを含有していることが好ましい。ゲル含有量が1%未満の場合、オフセット性の面で好ましくなく、40%以上の場合、定着性の面で好ましくない。なお、本発明におけるゲル含有量とは、樹脂5部をテトラヒドロフラン95部に十分に溶解させた時の、樹脂全量に対するテトラヒドロフラン不溶分のことである。
【0033】
以下本発明のトナー用樹脂組成物の構成要件である、ポリエステル樹脂(B)について詳述する。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂(B)は、PET及び多価カルボン酸及び多価アルコールより合成されたポリエステルであることが好ましい。本発明に用いられているPETは回収PETのリサイクル品をフレーク状に加工したものを使用してもよい。回収PETのリサイクル品は重量平均分子量で20000〜60000程度のものであるが、PETの分子量分布、組成、製造方法、使用する形態等に何ら制限されることはない。また、リサイクル品に制限されることはなく、工場より排出したオフスペックのPETの繊維クズやペレットを用いても良い。また、PETを加アルコール分解することにより得られるビスヒドロキシエチルテレフタレートを用いてもよい。本発明において、ポリエステル樹脂は、ポリ多価イソシアネートでウレタン化反応を行ったウレタン変性ポリエステル樹脂であっても良い。
【0035】
上記ポリエステル樹脂は、PET中のエチレングリコール成分を含む全アルコール成分に対してPET中のエチレングリコール成分が5〜90モル%と少なくとも一種のジオール成分とからなるアルコール成分と少なくとも一種以上の酸成分を重縮合して製造する。このとき、反応温度は200〜270℃であることが好ましく、更には220〜260℃であることが好ましい。反応温度が200℃以下の場合、PETの溶解性が悪化し反応時間が延びるため好ましくない。反応温度が270℃以上の場合、原料の分解が激しくなるため好ましくない。
【0036】
ここで言う酸成分としては、従来ポリエステル樹脂を製造する際に用いられているものをいずれも用いることができ、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸類、これらジカルボン酸の無水物或いは低級アルキルエステルなどを挙げることができる。また、分子量を調整する目的で1価のカルボン酸及び多価カルボン酸を用いることもできる。1価のカルボン酸で好ましいものとしては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、分岐していても、不飽和基を有していてもよく、また、これら脂肪族1価カルボン酸は、ガラス転移点を下げる性質があるため、ガラス転移点調節のため、安息香酸やナフタレンカルボン酸などの芳香族カルボン酸を用いてもよい。ポリカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。
【0037】
また、アルコール成分としては、従来ポリエステル樹脂を製造する際に用いられているものをいずれも用いることができ、例えばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどのアルキルジオールや、水添ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール、ビスフェノールF、ビスフェノールS誘導体、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどとビスフェノールF、ビスフェノールSとの反応物であるアルキレンオキサイドや、前述のビスヒドロキシエチルテレフタル酸やビスヒドロキシプロピルテレフタル酸、ビスヒドロキシブチルテレフタル酸などのジカルボン酸低級アルキルエステルである芳香族ジオールなどが挙げられる。また、ビスフェノールA・エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールAアルキレンオキサイドなどのビスフェノールA誘導体が挙げられる。また、分子量を調整する目的でモノアルコール及び三価以上のポリオールを用いることもできる。モノオールで好ましいものとしては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪族モノアルコールなどが挙げられ、分岐していても、不飽和基を有していてもよい。三価以上のポリオールとしては、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ソルビット、ソルビタンなどが挙げられる。ポリイソシアネートで鎖伸長する際に十分に高分子化させるために、少なくとも1種類以上の三価以上のポリオールを含有することが好ましい。この三価以上のポリオール成分は、通常全アルコール成分を基準にして0.5モル%未満である場合にはポリイソシアネートで鎖伸長した際に高分子化しづらく、耐オフセット性や耐久性が不十分なものとなりがちであり、また逆に20モル%を越えるとゲル化しやすくなり重縮合し難くなるため、0.5〜20モル%の量で用いることが好ましく、さらには2〜20モル%がより好ましい
前記ポリエステル樹脂を得る際の重縮合反応は、窒素ガス等の不活性ガス中での、例えば無溶剤下高温重縮合、溶液重縮合等の公知の方法により行うことができる。反応に際してのカルボン酸とアルコールの使用割合は、前者のカルボキシル基に対する後者の水酸基の割合で0.7〜1.4であることが一般的である。
【0038】
また、上記ポリエステル樹脂を得る際の重縮合反応において、触媒を添加すると反応の進行が速やかになり、好ましい。上記触媒として、錫系触媒、具体的にはジブチル錫オキサイドや等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、その際の添加量としては0.01重量%〜1.00重量%であることが好ましい。
【0039】
該ポリエステル樹脂(B)のピーク分子量は1000以上20000以下が好ましい。ピーク分子量が1000未満の場合、樹脂強度および凝集力が低下するため、耐久性およびオフセット性の面で好ましくなく、20000以上の場合、定着性の面で好ましくない場合がある。Tgは通常、40以上75℃以下が必要である。40℃未満ではトナーがブロッキングを起こし好ましくなく、75℃より高いと定着性が悪化して好ましくない場合がある。また、該ポリエステル樹脂の分子量分布指数(Mw/Mn)は2以上10以下である。分子量分布指数が10以上であると定着性が悪化するため好ましくない。また、該ポリエステル樹脂の軟化点は85℃以上120℃以下が好ましい。軟化点が85℃未満の場合、オフセット性の面で好ましくなく、120℃以上の場合、定着性の面で好ましくない。
【0040】
上記手法により得られるポリエステル樹脂の密度は1.15以上1.30g/cm3以下であり、このような高密度のポリエステルであることにより、現像耐久性に優れた性能を発揮することができる。
【0041】
なお、本発明において、酸価は、樹脂1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいい、また、水酸基価は、樹脂1g中の水酸基をエステル化するのに必要な酸無水物を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
【0042】
本発明のトナー用バインダー樹脂における、前記ウレタン変性ポリオール樹脂(A)と前記ポリエステル樹脂(B)の混合比は樹脂(A)が90〜10重量部、樹脂(B)が10〜90重量部である。樹脂(A)の含有量が10重量%未満であると、オフセット性に劣るトナー用バインダー樹脂となるため好ましくなく、樹脂(A)の含有量が90重量部より大きいと、定着性に劣るトナー用バインダー樹脂となるため好ましくない。
【0043】
本発明のトナー用バインダー樹脂における、樹脂(A)と樹脂(B)の混合の方法としては、例えば、(i)両樹脂を有機溶剤に溶解し混合する方法、(ii)トナー化時に溶融混練する方法等が挙げられる。
【0044】
本発明のトナー用樹脂組成物には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用樹脂組成物中に0〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0045】
上記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
さらに、本発明のトナー用樹脂組成物には、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用樹脂組成物中に0〜10重量%の範囲であることが好ましい。
【0047】
また、本発明のトナー用樹脂組成物中には、上記ウレタン変性ポリオール樹脂およびポリエステル樹脂の他に、スチレン系共重合体、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を添加してもよい。
【0048】
以下、本発明のトナーに付いて詳述する。
【0049】
本発明のトナーは、少なくとも先の本発明のトナー用樹脂組成物、帯電調整剤(CCA)、着色剤、表面処理剤を含むものである。
本発明のトナ−用樹脂組成物の量は、トナー中に50〜95重量%であることが好ましい。
【0050】
以下、トナー用樹脂組成物以外のものについて詳述する。
【0051】
まず、着色剤について記すと、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー、ニグロシン染料(C.I.No. 50415),アニリンブルー(C.I.No. 50405),カルコオイルブルー(C.I.No.azoec Blue 3),クロームイエロー(C.I.No. 14090),ウルトラマリンブルー(C.I.No. 77103),デユポンオイルレツド(C.I.No. 26105),オリエントオイルレツド#330(C.I.No. 60505),キノリンイエロー(C.I.No. 47005),メチレンブルークロライド(C.I.No. 52015),フタロシアニンブルー(C.I.No. 74160),マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No. 42000),ランブブラツク(C.I.No. 77266),ローズベンガル(C.I.No. 45435),オイルブラツク,アゾオイルブラツク等を使用することができる。その添加量としては、トナー用樹脂組成物100重量部に対して3〜15重量部であることが好しい。
【0052】
また、帯電調整剤としては、ニグロシン、4級アンモニウム塩や含金属アゾ染料をはじめとする公知の帯電調整剤を適宜選択して使用することができ、その使用量はトナー用樹脂組成物100重量部に対して、通常用いられる0.1〜10重量部である。
【0053】
次に表面処理剤については、トナーに対して該表面処理剤を添加することによって、トナーとキャリア、あるいはトナー相互の間に該表面処理剤が存在することになり、現像剤の粉体流動性が向上され、かつさらに現像剤の寿命をも向上させることが出来る。具体的な例示としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーンといった微粉末を挙げることが出来、商品名としては、AEROSIL 130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、R972、R972V、R972CF、R974、R976、RX200、R200、R202、R805、R812、R812S、TT600、MOX80、MOX170、COK84、酸化チタンT805、酸化チタンP25(以上、日本アエロジル社、およびテグザ社製)、CAB−O−SIL L90、LM130、LM150、M5、PTG、MS55、H5、HS5、LM150D、M7D、MS75D、TS720、TS610、TS530(以上、CABOT社製)などであり、特に該表面処理剤の表面積としては、BET法による窒素吸着によった比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良い。かかる該表面処理剤の添加量は、トナー用樹脂組成物100重量部に対して0.1〜20重量部で使用することが好適である。
【0054】
本発明のトナーは、ポリオレフィンワックスを含んでも良く、その量はトナー用樹脂組成物100重量部に対して0〜10重量部である。
【0055】
これらの材料を含む本発明のトナーの製造方法としては、本発明のトナー用樹脂組成物、着色剤、必要であればその他の添加剤を粉体混合機により充分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーといった混練機を用いて溶融、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行なって、通常8〜20μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶしてトナーを得る。
【0056】
本発明により得られるトナーは種々の現像プロセス、例えばカスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タツチダウン現像法、キヤリアとして粉砕法によつて製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によつて必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法などに用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0057】
また,本発明により得られるトナーは、オイルレス定着法以外の種々の定着方法にも用いることができる。具体的には、オイル塗布ヒートロール法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。
【0058】
更に、本発明のトナーは,種々のクリーニング方法、例えば、所謂フアーブラシ法、ブレード法などに用いることができる。
【0059】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以降「部」は、特に断わらない限り重量%を表す。
【0060】
なお、本発明におけるウレタン変性ポリオール樹脂およびポリエステル樹脂の分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
【0061】
検出器 ; SHODEX RI-71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム ; KF-G + KF-807L x 3 + KF800D
流速 ; 1.0 ml/分
試料 ; 0.25 %THF溶液
なお、測定の信憑性は上記の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン試料(Mw=288,000, Mn=137,000, Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが、2.11±0.10となることにより確認し得る。
【0062】
本発明におけるガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを−20℃から100℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブのベースラインと吸熱ピークの傾線の交点よりTgを求める。この昇温測定の前に、一旦樹脂を200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一することが望ましい。
【0063】
また、本発明における軟化点とは、島津製作所製高架式フローテスターCFT-500を用い、ダイスの細孔の系1mm、加圧20Kg/cm2、昇温速度6℃/minの条件で、1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を意味する。
【0064】
また、以下に本発明で行ったトナーの評価方法を記載する。
▲1▼ 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は200 mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5 Kgの荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
【0065】
▲2▼ 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラ定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
○ ; オフセット発生温度 ≧ 240℃
△ ; 240℃ > オフセット発生温度 ≧ 220℃
× ; 220℃ > オフセット発生温度
▲3▼ 現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
○ : 7万枚以上でも劣化しない
△ : 5〜7万枚で劣化
× : 5万枚以上で劣化
ウレタン変性ポリオール樹脂( UA )の製造
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例1
四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を取り付け、ビスフェノールA24.0部、 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、エポミックR140P)56.3部、ステアリン酸5.3部、安息香酸5.3部、リチウムクロライド50%水溶液0.05部を仕込み、170℃で重付加反応を行った。2時間の反応の後、系内を徐々に減圧にしてゆき、キシレンおよび水を留去した。そのまま5時間、減圧を保持したまま攪拌した後、系内を常圧に戻し、内容物をフラスコから抜き出しポリオール樹脂(A-1)を得た。さらに、このポリオール樹脂100部とトリレンジイソシアネート2.6部とをニ軸混練機中で、180℃で混練し、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA-1)を得た。この樹脂の物性を表1に示す。
【0066】
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例 2
トリレンジイソシアネートの添加量を3.2部とした以外は、ウレタン変性ポリオール樹脂製造例1と同様の操作でウレタン変性ポリオール樹脂(UA-2)を得た。これらの樹脂の物性を表1に示す。
【0067】
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例 3
四つ口フラスコに還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を取り付け、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(三井化学社製、KB−280)7.4部、無水フタル酸5.6部、ベンジルジメチルアミン(BDMA)0.03部、およびキシレン2.6部を仕込み、130℃にて4時間反応させた。その後、ビスフェノールA20.0部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三井化学株式会社製、エポミックR140P)49.0部、ステアリン酸1.8部、安息香酸6.0部、リチウムクロライド50%水溶液0.05部を仕込み、170℃で重付加反応を行った。2時間の反応の後、系内を徐々に減圧にしてゆき、キシレンおよび水を留去した。そのまま5時間、減圧を保持したまま攪拌した後、系内を常圧に戻し、内容物をフラスコから抜き出しポリオール樹脂(A−2)を得た。さらに、このポリオール樹脂100部とトリレンジイソシアネート2.7部とをニ軸混練機中で、180℃で混練し、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA-3)を得た。この樹脂の物性を表1に示す。
ウレタン変性ポリオール樹脂製造例4
トリレンジイソシアネートの添加量を3.2部とした以外は、ウレタン変性ポリオール樹脂製造例3と同様の操作でウレタン変性ポリオール樹脂(UA-4)を得た。これらの樹脂の物性を表1に示す。
ポリエステル樹脂製造例1
四つ口フラスコに還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を取り付け、フレーク状リサイクルPET(重量平均分子量30000)を42.5部、 ポリオールKB300(三井化学株式会社製)31.5部、トリメチロールプロパン(TMP)2.1部、テレフタル酸(TPA)17.1部、安息香酸6.7部、ジブチル錫オキサイド0.5部を仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら240℃で脱水縮重合を行った。反応生成物の酸価が所定値に達したところでフラスコより抜き出し冷却、粉砕してポリエステル樹脂(B-1)を得た。この樹脂の物性を表2に示す。
【0068】
ポリエステル樹脂製造例 2
仕込み組成およびウレタン伸長反応時のTDI量を変更した以外はポリエステル樹脂製造例1と同様の操作でウレタン変性ポリエステル樹脂を得た。これらの樹脂の物性を表1に示す。
【0069】
実施例1
上記樹脂製造例により示した手順により得られた、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA-1)40部とポリエステル樹脂(B−1)60部に、カーボンブラック(MA100;三菱化学製)8.0部、帯電調整剤(BONTRON E-84;オリエント化学工業社製)2.0部、ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP105;三井化学製)3.0部をヘンシェルミキサ−で予備混合した後、2軸混練機を用い、120℃に設定して混練した後、冷却、粗粉砕、微粉砕し、さらに分級器で分級し6.0〜18.0μmのトナーを得た。次いで、上記トナ−100重量部に対して、疎水性シリカ(R−972、アエロジル社製)を0.5重量部となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してトナ−を得た。得られたトナーの評価結果を表3に示した。
実施例2〜6および比較例1〜5
ウレタン変性ポリポリオール樹脂UAとポリエステル樹脂Bの種類および配合比を変えた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表3に示した。
比較例6、7
ウレタン変性ポリポリオール樹脂UAの代わりに、その前駆体である、ポリオール樹脂(A-1, A-2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でトナーを得た。得られたトナーの評価結果を表3に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【発明の効果】
この発明のトナー用樹脂組成物およびトナーは、上述のように構成されており、定着性、耐オフセット性、現像耐久性に優れている。
【0074】
したがって、この発明のトナー用樹脂組成物およびトナーによれば、複写機の高速化、低温定着化など、近年高まっている要求に充分に対応することができる。
Claims (4)
- 少なくとも、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、活性水素基を分子内に少なくとも1個有する化合物とを反応させてなる、ポリオール樹脂を、多価イソシアネートでウレタン伸長した、ウレタン変性ポリオール樹脂(UA)とポリエステル樹脂(B)とを含有し、前記ウレタン変性ポリオール樹脂( UA )のピーク分子量が1000〜20000であり、且つガラス転移温度が4 0 〜75℃であり、且つ軟化点が120〜160℃であり、前記ポリエステル樹脂( B )のピーク分子量が1000〜20000であり、且つガラス転移温度が40〜75℃であり、重量平均分子量(M w )と数平均分子量(M n )の比(M w/ M n )が2〜10であり、且つ軟化点が85℃〜120℃であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂。
- ポリエステル樹脂(B)が、PET及び多価カルボン酸及び多価アルコールより合成されたポリエステルである、請求項1記載のトナー用バインダー樹脂。
- 前記ウレタン変性ポリオール樹脂(UA)と前記ポリエステル樹脂(B)の混合比が90〜10重量部:10〜90重量部であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載のトナー用バインダー樹脂。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー用バインダー樹脂を含むトナー。
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