JP4338322B2 - ガスコンロ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱調理等に用いるガスコンロに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスコンロの一例としての中火点火機能を有する形態のものは、燃料用ガスを燃焼させる燃焼バーナと、燃料用ガスの供給流量を調整するための流量調整手段と、流量調整手段を作動制御するための制御手段とを具備し、流量調整手段は、ガス流量を制御する火力弁、この火力弁を作動するためのステッピングモータ及び火力弁の位置を検出するエンコーダを備えている。このガスコンロでは、制御手段がステッピングモータを作動制御し、このステッピングモータの回動量に対応して火力弁が移動し、このようにして燃焼バーナに供給される燃料用ガスの供給量が制御される。また、エンコーダは火力弁の位置、換言すると火力弁の開度を検知し、制御手段は、このエンコーダの検知信号を利用してステッピングモータを作動制御する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この中火点火機能を有するガスコンロでは、点火時に燃焼バーナの燃焼状態を強制的に中火状態に、一般に最大火力の50〜80%の燃焼状態に保つように構成されている。このように構成すると、燃焼バーナの点火時に火炎が大きくならず、これによって炎あふれ(調理鍋の底部から半径方向外方に炎があふれる現象)を防止することができる。尚、炎あふれが発生すると、燃焼バーナの燃焼火炎の一部が調理鍋の底部に作用せず、熱効率が低くなるとともに、あふれた火炎によって調理鍋の取手が加熱されるようになる。
【0004】
加熱調理等に用いる調理鍋が比較的小さいと、上述した炎あふれが生じ易くなり、従って点火時に燃焼バーナの燃焼を中火状態にすることは有効である。しかし、調理鍋が比較的大きいと、燃焼バーナの最大火力の燃焼状態においても炎あふれはほとんど発生せず、点火時に上述したように中火状態に強制的に保持すると、調理鍋に最適な火力(炎があふれない範囲で最も強い火力)でもって加熱することができす、加熱効率が悪くなって加熱調理に時間がかかるようになる。
【0005】
本発明の目的は、加熱調理に用いる調理鍋に最適な火力に自動的に設定することができるガスコンロを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料用ガスを燃焼させる燃焼バーナと、前記燃焼バーナに供給される燃料用ガスの流量を調整するための流量調整手段と、調理鍋の鍋底の温度を検知する温度センサと、前記流量調整手段を作動制御するための制御手段とを具備するガスコンロであって、
前記制御手段は、加熱初期の第1の期間と第2の期間において前記流量調整手段を制御して前記燃焼バーナの燃焼状態を変化させ、前記温度センサの検出信号を利用して前記第1の期間の熱効率と前記第2の期間の熱効率とを演算し、これら熱効率に基づいて前記燃焼バーナの燃焼状態を設定することを特徴とするガスコンロである。
【0007】
本発明に従えば、加熱初期の第1の期間と第2の期間において燃焼バーナの燃焼状態が切り替えられる。例えば、燃焼バーナの燃焼は、第1の期間においては例えば大火状態に保たれ、第2の期間においてはこれよりも小さい例えば中火状態に切り替えられる。或いは、第1の期間においては例えば中火状態に保持され、第2の期間においては例えば大火状態に切り替えられる。制御手段は、燃焼バーナの燃焼状態における第1の期間の熱効率と第2の期間の熱効率を演算し、これらの熱効率に基づいて最適な熱効率となるように燃焼バーナの燃焼状態を設定するので、炎あふれがほとんどなく、最適な燃焼状態に保つことができ、調理鍋を高効率で加熱することができる。
【0008】
また、本発明では、前記制御手段は、前記第2の期間における燃焼状態が前記第1の期間における燃焼状態よりも弱くなるように前記流量制御手段を作動制御し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化したときには前記第2の期間の燃焼状態を維持し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも前記所定値以上大きくなるように変化しなかったときには前記第1の期間の燃焼状態に戻すことを特徴とする。
【0009】
本発明に従えば、燃焼バーナの燃焼は、第2の期間の燃焼状態が第1の期間の燃焼状態よりも弱くなるように、換言すると火力が小さくなるように切り替えられ、例えば第1の期間では大火状態(最大火力又はそれに近い火力の状態)に保たれ、第2の期間では中火状態(最大火力よりも例えば20%程度小さい火力の状態)に保たれる。そして、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化したときには、第1の期間の熱効率が低すぎ、このことは第1の期間の燃焼状態では炎あふれが発生しているということであり、従って、第2の期間の後に第2の期間の燃焼状態(中火状態)が維持される。一方、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化しなかったときには、第1の期間の熱効率が充分に高く、このことは第1の燃焼状態では炎あふれがほとんど発生していないということであり、従って、第2の期間の後に第1の期間の燃焼状態(大火状態)に戻る。このように燃焼バーナの燃焼状態を設定することによって、炎あふれのほとんどない、加熱効率の高い燃焼状態に自動的に保つことができる。
【0010】
また、本発明では、前記制御手段は、前記第2の期間における燃焼状態が前記第1の期間の燃焼状態よりも強くなるように前記流量制御手段を作動制御し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化したときには前記第1の期間の燃焼状態に戻し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化しなかったときには前記第2の期間の燃焼状態を維持することを特徴とする。
【0011】
本発明に従えば、燃焼バーナの燃焼は、第2の期間の燃焼状態が第1の期間の燃焼状態よりも強くなるように、換言すると火力が大きくなるように切り替えられ、例えば第1の期間では中火状態に保たれ、第2の期間では大火状態に保たれる。そして、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化したときには、第2の期間の熱効率が低すぎ、このことは第2の期間の燃焼状態では炎あふれが発生しているということであり、従って、第2の期間の後に第1の期間の燃焼状態(中火状態)に切り替えられる。一方、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化しなかったときには、第2の期間の熱効率が充分に高く、このことは第2の燃焼状態では炎あふれがほとんど発生していないということであり、従って、第2の期間の後に第2の期間の燃焼状態(大火状態)が維持される。このように燃焼バーナの燃焼状態を設定することによって、炎あふれのほとんどない、加熱効率の高い燃焼状態に自動的に保つことができる。
【0012】
また、本発明では、火炎の強さを自動的に設定する自動火炎設定モードと火炎の強さを手動で調整する手動火炎設定モードに設定可能なモード設定手段を更に備え、前記モード設定手段により前記自動火炎設定モードを設定した場合、前記制御手段は前記第1の期間の熱効率と前記第2の期間の熱効率とに基づいて前記燃焼バーナの燃焼状態を設定し、前記モード設定手段により前記手動火炎設定モードを設定した場合、前記制御手段は火力設定手段により設定される火力となるように前記燃焼バーナの燃焼状態を設定することを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、自動火炎設定モード及び手動火炎設定モードを設定可能なモード設定手段が設けられ、モード設定手段により自動火炎設定モードを設定すると、第1及び第2の期間の熱効率に基づいて燃焼バーナの燃焼状態が自動的に設定され、モード設定手段により手動火炎設定モードを設定すると、火力設定手段により設定される火力となるように燃焼バーナの燃焼状態が設定される。このように、モード設定手段を操作することによって、加熱初期の燃焼状態の設定を自動、手動に切り替えることができる。
【0014】
更に、本発明では、前記制御手段は、前記自動火炎設定モード中の前記第1及び/又は第2の期間において、前記温度センサによる検出温度の上昇率が所定上昇率より大きいときには前記自動火炎設定モードを解除することを特徴とする。本発明に従えば、第1及び/又は第2の期間における温度センサの検出温度の上昇率が所定上昇率より大きいことは、燃焼バーナの炎あふれが実質上なく、燃焼火炎が非常に効果的に調理鍋に作用していることであり、例えば調理鍋として中華鍋を用いたときにこのような燃焼状態となる。このときには、燃焼バーナの燃焼状態を切り替えて効率のよい燃焼状態に設定する必要はなくなる。従って、このときには、火炎の強さを自動的に設定する自動火炎設定モードを解除し、燃焼バーナの燃焼が例えば大火状態に設定される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うガスコンロの一実施形態について説明する。図1は、本発明に従うガスコンロの一実施形態の要部を簡略的に示す図であり、図2は、図1のガスコンロの加熱初期において火力を自動設定する流れを示すフローチャートであり、図3(a)及び(b)は、それぞれ、大火状態において炎あふれが生じる燃焼状態と、中火状態において炎あふれが生じない状態を示す簡略説明図であり、図4は、大火状態において炎あふれが生じるときの調理鍋の鍋底の温度変化、熱効率の変化及び火力の制御を示す図であり、図5(a)及び(b)は、それぞれ、大火状態において炎あふれが生じない状態と、中火状態において炎あふれが生じない状態を示す簡略説明図であり、図6は、大火状態において炎あふれが生じないときの調理鍋の鍋底の温度変化、熱効率の変化及び火力の制御を示す図である。
【0016】
図1において、図示のガスコンロは、燃料用ガスを燃焼させる燃焼バーナ2を備えている。燃焼バーナ2は、混合室4を規定するバーナ本体6と、このバーナ本体6に接続された混合管8から構成され、バーナ本体6の上部にはバーナキャップ10が装着されている。バーナ本体6の外周面には周方向に間隔をおいて複数個の炎孔(図示せず)が設けられ、これら炎孔を通して混合ガス(燃料用ガスと燃焼用空気とが混合したガス)が噴出する。図3及び図5に示すように、バーナ本体6の周囲には五徳5が配設され、加熱調理すべき食材が収容された調理鍋7がこの五徳5に載置され、燃料バーナ2からの燃焼火炎によって加熱調理される。
【0017】
混合管8の流入部(図1において右端部)には燃料ノズル12が配設されている。燃料ノズル12にはガス供給流路14が接続され、このガス供給流路14がガス供給源(例えば埋設管、ガスボンベ等)(図示せず)に接続される。ガス供給流路14には、電磁弁16及び流量コントロールユニット18(流量調整手段を構成する)が配設されている。電磁弁16はガス供給流路14を開閉し、流量コントロールユニット18はガス供給流路14を流れる燃料用ガスの流量を調整する。この実施形態では、流量コントロールユニット18は、ガス供給流路14の流路面積を調整するための火力弁(図示せず)と、この火力弁を移動させるためのステッピングモータ20と、火力弁の位置を検知するためのエンコーダ22とを備え、ステッピングモータ20により火力弁を移動させることによって、ガス供給流路14を通して燃料ノズル12に送給される燃料用ガスの供給量が調整される。この流量コントロールユニット18による供給量の調整は、例えば5段階、「大」、「中の大」、「中の中」、「中の小」、「小」に調整され、この供給量と燃焼バーナ2の燃焼火力とが対応する。このように5段階に調整する場合、「大」が大火状態となり、「中の大」、「中の中」、「中の小」が中火状態となり、「小」が小火状態となる。尚、この供給量の調整段階数は、機種によって適宜設定することができ、例えば7段階等に設定するようにしてもよい。更に、バーナ本体6には点火プラグ24が付設され、この点火プラグ24は点火器26によって作動される。
【0018】
このように構成されているので、ガス供給源(図示せず)からの燃料用ガスはガス供給流路14を流れて燃料ノズル12から混合管8内に噴出する。このとき、燃料ノズル12からのガス流によって周囲の空気が混合管8内に吸引流入され、燃料用ガスと空気とが混合された混合ガスがバーナ本体6の混合室4内に送給される。このように送給された混合ガスは、バーナ本体6の炎孔(図示せず)から噴出し、点火プラグ24にて発生される火花によって混合ガスが点火燃焼される。
【0019】
このガスコンロにおいては、加熱初期の燃焼状態における熱効率に基づいて燃焼バーナ2の燃焼状態を自動的に設定するように構成されている。このガスコンロは、更に、各種構成要素、例えば電磁弁16、流量コントロールユニット18及び点火器26を作動制御するための制御ユニット28(制御手段を構成する)を備えている。制御ユニット28は、例えばマイクロプロセッサから構成され、モータ制御部30、電磁弁制御部32、点火器制御部34、熱効率演算手段36、タイマ手段38、第1メモリ40及び第2メモリ42を有している。モータ制御部30はステッピングモータ20を作動制御し、電磁弁制御部32は電磁弁16を作動制御し、点火器制御部34は点火器26を作動制御する。また、熱効率演算手段36は後述する如くして燃焼状態の熱効率を演算し、タイマ手段38は所定時間、加熱初期の第1及び第2の期間を計時する。第1メモリ40には燃焼状態を設定するための動作プログラム等が記憶され、また第2メモリ42には、熱効率演算手段36により演算された第1及び第2期間の熱効率が記憶される。
【0020】
ガスコンロの前面には操作パネル44が設けられ、この操作パネル44には、電源スイッチ46、火力設定スイッチ48及び自動解除スイッチ48が設けられている。電源スイッチ46はガスコンロの電源をオン(閉)・オフ(開)するためのスイッチであり、押圧するとオンになって燃焼バーナ2が燃焼し、再度押圧するとオフになって燃焼バーナ2の燃焼が終了する。火力設定スイッチ48は燃焼バーナ2の燃焼火力を設定するためのスイッチであり、この形態ではアップスイッチ52及びダウンスイッチ54から構成され、アップスイッチ52を押圧すると燃焼火力が一段階強くなり、ダウンスイッチ54を押圧すると燃焼火力が一段階弱くなる。自動解除スイッチ50は、後述する自動火炎設定モードを解除するためのスイッチであり、一度押圧すると自動火炎設定モードが解除され、再度押圧するとこの自動火炎設定モードが設定される。この実施形態では、自動解除スイッチ50がモード設定手段として機能し、自動解除スイッチ50を押圧操作しないときには自動的に自動火炎設定モードが設定され、この自動解除スイッチ50を押圧操作すると手動火炎設定モードが設定される。自動火炎設定モードにおいては、燃焼バーナ2の燃焼火炎の強さは後述する如くして自動的に設定されるが、この自動火炎設定モードを解除する、即ち手動火炎設定モードを設定すると、燃焼バーナ2の燃焼火炎の強さは火力設定手段48の設定操作によって手動で設定される。尚、自動解除スイッチ50を設けることに代えて、火力設定手段48(アップスイッチ52及びダウンスイッチ54)をモード設定手段として機能させるようにしてもよく、かかる場合、火力設定手段48を操作しないときには自動火炎設定モードが自動的に設定され、火力設定手段48を操作することによって、この自動火炎設定モードが解除されて手動火炎設定モードが設定されるように構成される。また、自動解除スイッチ50に代えて、モード設定手段としてのモード設定スイッチ(図示せず)を設けるようにしてもよく、この場合、例えばモード設定スイッチを押圧操作すると自動火炎設定モードが設定され、このモード設定スイッチを再度押圧すると手動火炎設定モードが設定されるように構成される。
【0021】
操作パネルの各種スイッチからの操作信号は制御ユニット28に送給され、制御ユニット28はこれら操作信号に基づいて電磁弁16、流量コントロールユニット18等を作動制御する。この形態では、燃焼バーナ2の中央部には、五徳5に載置された調理鍋7の鍋底の温度を検知するための温度センサ56が設けられている。温度センサ56の検出信号は制御ユニット28に送給され、熱効率演算手段36はこの温度センサからの検出信号を利用して熱効率を演算する。
【0022】
次に、図1とともに図2を参照して、自動火炎設定モードによる火炎の設定動作について説明する。電源スイッチ46をオンにすると、燃焼バーナ2による燃焼が開始され(ステップS1)、その火力は初期火力に設定される(ステップS2)。電源スイッチ46をオンにすると、制御ユニット28の電磁弁制御部32が電磁弁22を開状態にし、またモータ制御部30がステッピングモータ20を作動して火力弁(図示せず)を初期位置に、この実施形態では大火状態となる「大」位置に位置付け、燃焼バーナ2は最大火力で燃焼する。燃焼バーナ2の大火燃焼状態は、所定時間である第1の期間T1行われ、この間、温度センサ56からの検出信号は制御ユニット28に送給され、この第1の期間を経過すると、ステップS3からステップS4に進む。
【0023】
ステップS4では、熱効率演算手段36は温度センサ56からの検出温度を利用してこの第1の期間T1の燃焼状態の熱効率P1を演算する。この第1の期間T1は、例えば10〜20秒程度に設定される。この実施の形態では、熱効率演算手段36は、火力弁の位置を検知するエンコーダ22からの検出信号に基づいてガス供給流路14を通して送給される燃料用ガスの供給量(この供給量によって燃焼バーナ2の燃焼量が演算される)と、温度センサ56の温度上昇の割合を利用して熱効率P1を演算する。そして、熱効率演算手段36により演算された第1の期間T1の熱効率P1が制御ユニット28の第2メモリ42に記憶される(ステップS5)。
【0024】
次いで、ステップS6に進み、燃焼バーナ2の燃焼火力が切り替わる。この形態では、制御ユニット28のモータ制御部30は、ステッピングモータ20を作動して火力弁を燃焼火力が一段階小さくなる、換言すると中火状態となる「中の大」位置に位置付け、燃焼バーナ2は中火燃焼状態に変わる。この中火燃焼状態は、所定時間が経過する第2の期間T2行われ、この間、温度センサ56からの検出信号は制御ユニット28に送給され、この第2の期間T2を経過すると、ステップS7からステップS8に進む。第2の期間T2は、この形態では、第1の期間T1と等しい期間、例えば10〜20秒に設定されるが、両期間T1,T2は異なる時間でもよい。
【0025】
ステップS8では、熱効率演算手段36は温度センサ56からの検出温度を利用して第2の期間T2の燃焼状態の熱効率P2を演算する。この熱効率P2の演算は、上述したと同様にして行われ、演算された第2の期間T2の熱効率P2が第2メモリ42に記憶される(ステップS9)。
次に、ステップS10において、第2メモリ42に記憶された熱効率P1,P2の比較が行われ、第2の期間T2の熱効率P2が第1の期間T1の熱効率P1よりも所定値、例えば ?(適当な値) 以上大きくなるように変化すると、ステップS11からステップS12に進み、その後の燃焼バーナ2の燃焼は第2の期間T2の燃焼状態、即ち「中の大」の中火状態に維持され、この火力でもって調理鍋7の加熱調理が行われる。
【0026】
図3及び図4を参照して更に説明すると、第1の期間T1の燃焼状態は第2の期間T2の燃焼状態よりも大きく、それ故に、加熱調理する調理鍋7に対して炎あふれが発生するとすると、第2の期間T2よりも第1の期間T1の方がより起こり易くなる。第2の期間T2の熱効率が第1の期間T1の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化するということは、第1の期間T1においては、図3(a)に示すように、燃焼火炎が調理鍋7より半径方向外方に延びてその先端部が調理鍋7の鍋底に有効に作用せず、所謂炎あふれが発生して燃焼火炎の一部が無駄になって熱効率が低いのに対し、第2の期間T2においては、図3(b)に示すように、燃焼火炎全体が調理鍋7の鍋底に有効に作用し、所謂炎あふれがなく作用して熱効率が高い場合である。この場合には、上述したように、第2の期間T2の燃焼状態に、即ち燃焼火力が「中の大」の中火状態に維持される(図4も参照)。燃焼バーナ2の燃焼火炎をこのように設定することによって、炎あふれの発生を防止し、加熱調理の際の熱効率を高めることができる。
【0027】
これに対して、第2の期間T2の熱効率P2が第1の期間T1の熱効率P1よりも所定値以上大きくなるように変化しないと、ステップS11からステップS13に移り、燃焼バーナ2の燃焼が第1の期間T1の燃焼状態に切り替えられ、最初の燃焼状態、即ち大火状態でもって調理鍋7の加熱調理が行われる。図5及び図6を参照して更に説明すると、第2の期間T2の熱効率が第1の期間T1の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化しないということは、第1の期間T1においては、図5(a)に示すように、燃焼火炎が調理鍋7の鍋底に作用し、所謂炎あふれがほとんどなく燃焼火炎全体が調理鍋7の鍋底に有効に作用し、また第2の期間T2においても、図5(b)に示すように、燃焼火炎全体が調理鍋7の鍋底に有効に作用し、所謂炎あふれがなく作用する場合である。この場合には、上述したように、その後燃焼バーナ2の燃焼は第1の期間T1の燃焼状態に、即ち燃焼火力が「大」である大火状態に保たれる(図6も参照)。燃焼バーナ2の燃焼火炎をこのように設定することによって、炎あふれの発生しない最大火力に保持することができ、加熱調理の際の加熱効率(より多くの熱量を与えて速く加熱すること)及び熱効率(一定の熱量を無駄なくより多く与えて加熱すること)を高めることができる。
【0028】
以上の通りであるので、自動火炎設定モードの場合には、炎あふれが発生しない最適な燃焼状態に自動的に設定されるので、燃焼バーナ2による燃焼の熱効率を高めることができる。
このような燃焼バーナ2では、第1の期間T1における温度センサ56の温度上昇率が所定上昇率以上のときに自動火炎設定モードを解除するように構成するようにしてもよい。この場合、図1に示すように、制御ユニット28は、更に、解除手段58を含み、温度センサ56からの検出温度の上昇率が所定上昇率以上になると、解除手段58は自動設定解除信号を生成し、この自動設定解除信号に基づいて制御ユニット28は自動火炎設定モードを解除する。温度センサ56の温度上昇率が所定上昇率以上になるということは、燃焼バーナ2の燃焼火炎が炎あふれが生じることなく調理鍋7の鍋底に充分に作用し、これによって鍋底の温度が急激に上昇する場合であり、調理鍋として例えば中華鍋を用いたときに鍋底の温度が急激に上昇する。この場合、燃焼バーナ2の燃焼は例えば、「大」の火力の大火状態に設定される。
【0029】
上述した実施形態では、加熱初期(燃焼初期)の第1の期間T1においては燃焼バーナ2の燃焼状態を「大」の大火状態に保ち、第2の期間T2においてはその燃焼状態を「中の大」の中火状態に保っているが、このように設定することに代えて、例えば火炎の大きさを一段階小さくし、第1の期間においてはその燃焼状態を「中の大」に設定し、第2の期間においてはその燃焼状態を「中の中」に設定するようにしてもよく、この場合、「大」及び「中の大」を大火状態に、「中の中」を中火状態とみることができる。
【0030】
また、上述した実施形態では、加熱初期の第2の期間の燃焼状態が第1の期間の燃焼状態よりも弱くなる、即ち燃焼火力が小さくなるように構成しているが、これとは反対に、第2の期間の燃焼状態が第1の期間の燃焼状態よりも強くなる、即ち燃焼火力が大きくなるように構成してもよい。この場合、燃焼バーナ2は、第1の期間では燃焼火力が例えば「中の大」(又は「中の中」)になるように設定され、その後の第2の期間では燃焼火力が例えば「大」(又は「中の大」)になるように設定される。そして、第1の期間における熱効率と第2の期間における熱効率とを比較し、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化したときには、第2の期間の燃焼状態において所謂炎あふれが発生して燃焼の一部が無駄になっているとして、その後の燃焼バーナ2の燃焼は第1の期間の燃焼状態、即ち燃焼火力が「中の大」(又は「中の中」)となる中火状態となる。これに対し、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化しないときには、第2の期間の燃焼状態において所謂炎あふれがほとんど発生せず、燃焼火炎全体が調理鍋に作用しているとして、その後の燃焼バーナ2の燃焼は第2の期間の燃焼状態、即ち燃焼火力が「大」(又は「中の大」)となる大火状態に保たれる。このようにしても、上述したと同様に、燃焼バーナ2の燃焼状態を炎あふれのない状態に自動的に設定することができる。
【0031】
また、上述した実施形態では、燃焼バーナ2の燃焼状態を一段階切り替えて燃焼状態を設定しているが、燃焼バーナ2の燃焼状態を調理鍋7によりマッチさせて熱効率を高めるとともに加熱効率をも高めるために、その燃焼状態を例えば図7に示すように二段階に切り替えて燃焼状態を設定するようにしてもよい。
図1とともに図7を参照して説明すると、電源スイッチ46をオンにすると、燃焼バーナ2による燃焼が開始され(ステップS21)、この形態では、その火力は初期火力が「大」の火力に設定される(ステップS22)。この「大」の大火燃焼状態は第1の期間T1行われ、第1の期間T1が経過すると、ステップS23からステップS24に進み、熱効率演算手段36が温度センサ56の検出信号を利用して第1の期間T1の熱効率P1を演算し(ステップS24)、演算された熱効率P1が第2メモリ42に記憶される(ステップS25)。これらステップS21からステップS25の動作内容は、図2にフローチャートにおけるステップS1からステップS5の動作内容と実質上同一である。
【0032】
第1の期間T1の後に第2の期間T2が始まり、この第2の期間T2においては、燃焼バーナ2の燃焼状態が一段階弱く、その火力が一段階小さくなり、この形態では「中の大」の火力に設定される(ステップS26)。この火力の燃焼状態は第2の期間T2行われ、この第2の期間T2を経過すると、ステップSS27からステップS28に進み、熱効率演算手段36は第2の期間T2の熱効率P2を演算し、演算された熱効率P2が第2メモリ42に記憶される(ステップS29)。これらステップS26からステップS29の動作内容は、図2のフローチャートにおけるステップS6からステップS9の動作内容と実質上同一である。
【0033】
このようにして第1及び第2の期間T1,T2の熱効率P1,P2が演算されると、ステップS30に進み、これら熱効率P1,P2の比較が行われる。そして、第2の期間T2の熱効率P2が第1の期間T1の熱効率P1よりも所定値以上大きくなるように変化すると、ステップS31からステップS32に進み、燃焼バーナ2の燃焼状態が更に一段階弱く、その火力が更に一段階小さくなり、この形態では、「中の中」の火力に設定される。このように熱効率が大きく変化するということは、「大」の火力の燃焼状態においては所謂炎あふれが発生しているということであり、それ故に、もう一段階火力を下げ、「中の大」の火力の燃焼状態において炎あふれが発生しているかを調べて燃焼状態を設定するようになる。
【0034】
これに対して、第2の期間T2の熱効率P2が第1の期間T1の熱効率P1よりも所定値以上大きくなるように変化しないと、ステップS33に進み、第1の期間T1の燃焼状態に、即ち「大」の火力の燃焼状態に戻り、その後燃焼バーナ2はこの燃焼状態にて燃焼する。第2の期間T2の熱効率P2が第1の期間T1の熱効率P1よりも所定値以上大きくなるように変化しなということは、第1の期間T1において燃焼火炎の炎あふれが実質上発生していないということであり、それ故に、第1の期間T1の燃焼状態に、即ち燃焼火力が「大」に保たれる。
【0035】
ステップS31からステップS32に進んで燃焼バーナ2の燃焼状態が更に一段階弱くなると、この燃焼状態は第3の期間T3(この第3の期間T3は、例えば第1及び第2の期間T1,T2と実質上等しい時間に設定される)行われ、この第3の期間T3を経過すると、ステップSS34からステップS35に進み、熱効率演算手段36が第3の期間T3の熱効率P3を演算し、演算された熱効率P3が第2メモリ42に記憶される(ステップS36)。これらステップS32からステップS35の動作内容は、ステップS26からステップS29の動作内容と実質上同一である。
【0036】
上述したようにして第2の期間T3の熱効率P3が演算されると、次に、第2期間T2の熱効率P2と第3の期間T3の熱効率P3との比較が行われる。そして、第3の期間T3の熱効率P3が第2の期間T2の熱効率P2よりも所定値以上大きくなるように変化すると、ステップS37からステップS38に進み、燃焼バーナ2の燃焼が第3の期間T3の燃焼状態に、即ち「中の中」の火力となるように設定され、その後この火力で燃焼される。熱効率P2,P3を比較して熱効率が大きく変化するということは、「中の大」の火力の燃焼状態においても所謂炎あふれが発生しているということであり、それ故に、燃焼バーナ2は「中の中」の火力で燃焼する。
【0037】
これに対して、第3の期間T3の熱効率P3が第2の期間T2の熱効率P2よりも所定値以上大きくなるように変化しないと、ステップS39に移り、第2の期間T2の燃焼状態に、即ち「中の大」の火力の燃焼状態に戻り、その後燃焼バーナ2はこの火力で燃焼する。第3の期間T3の熱効率P3が第2の期間T2の熱効率P2よりも所定値以上大きくなるように変化しなということは、第2の期間T2において燃焼火炎の炎あふれが実質上発生していないということであり、それ故に、第2の期間T2の燃焼状態に、即ち燃焼火力が「中の大」に保たれる。
【0038】
燃焼バーナ2の燃焼状態を二段階に切り替えて燃焼状態を自動的に設定する場合には、例えば上述したようにして行うことができる。尚、この形態では、第1の期間T1から第3の期間T3に向けて燃焼バーナ2の燃焼状態を漸次弱めている(火力を漸次小さくしている)が、これとは反対に、第1の期間T1から第3の期間T3に向けてその燃焼状態を漸次強める(火力を漸次大きくする)ようにしてもよく、このようにしても燃焼バーナ2の燃焼火力を自動的に設定することができる。
【0039】
以上、本発明に従うガスコンロの実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0040】
【発明の効果】
本発明の請求項1のガスコンロによれば、制御手段は、燃焼バーナの燃焼状態における第1の期間の熱効率と第2の期間の熱効率を演算し、このれらの熱効率に基づいて燃焼バーナの燃焼状態を設定するので、熱効率の高い燃焼状態にすることよって、炎あふれがほとんどなく、最適な燃焼状態に保つことができ、調理鍋を高効率で加熱することができる。
【0041】
また、本発明の請求項2のガスコンロによれば、燃焼バーナの燃焼は、第2の期間の燃焼状態が第1の期間の燃焼状態よりも火力が小さくなるように切り替えられ、第1の期間では例えば大火状態に保たれ、第2の期間では例えば中火状態に保たれる。そして、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化したときには、第2の期間の後に第2の期間の燃焼状態に維持され、一方、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化しなかったときには、第2の期間の後に第1の期間の燃焼状態に戻り、このようにすることによって、炎あふれのほとんどない、加熱効率の高い燃焼状態に自動的に保つことができる。
【0042】
また、本発明の請求項3のガスコンロによれば、燃焼バーナの燃焼は、第2の期間の燃焼状態が第1の期間の燃焼状態よりも火力が大きくなるように切り替えられ、第1の期間では例えば中火状態に保たれ、第2の期間では例えば大火状態に保たれる。そして、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化したときには、第2の期間の後に第1の期間の燃焼状態に戻り、一方、第2の期間の熱効率が第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化しなかったときには、第2の期間の後に第2の期間の燃焼状態が維持され、このようにすることによって、炎あふれのほとんどない、加熱効率の高い燃焼状態に自動的に保つことができる。
また、本発明の請求項4のガスコンロによれば、モード設定手段により自動火炎設定モードを設定すると、燃焼バーナの燃焼状態が自動的に設定され、モード設定手段により手動火炎設定モードを設定すると、火力設定手段により設定される火力となるように燃焼バーナの燃焼状態が設定される。
【0043】
更に、本発明の請求項5のガスコンロによれば、第1及び/又は第2の期間における温度センサの検出温度の上昇率が所定上昇率より大きいことは、自動火炎設定モードが解除され、燃焼バーナの燃焼は所定の火力となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従うガスコンロの一実施形態の要部を簡略的に示す図である。
【図2】図1のガスコンロの加熱初期において火力を自動設定する流れを示すフローチャートである。
【図3】図3(a)及び(b)は、それぞれ、大火状態において炎あふれが生じる燃焼状態と、中火状態において炎あふれが生じない状態を示す簡略説明図である。
【図4】大火状態において炎あふれが生じるときの調理鍋の鍋底の温度変化、熱効率の変化及び火力の制御を示す図である。
【図5】図5(a)及び(b)は、それぞれ、大火状態において炎あふれが生じない状態と、中火状態において炎あふれが生じない状態を示す簡略説明図である。
【図6】大火状態において炎あふれが生じないときの調理鍋の鍋底の温度変化、熱効率の変化及び火力の制御を示す図である。
【図7】図1のガスコンロの加熱初期において火力を自動設定する他の制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
2 燃焼バーナ
6 バーナ本体
7 調理鍋
16 電磁弁
18 流量コントロールユニット(流量調整手段)
28 制御ユニット(制御手段)
36 熱効率演算手段
44 操作パネル部
56 温度センサ
Claims (5)
- 燃料用ガスを燃焼させる燃焼バーナと、前記燃焼バーナに供給される燃料用ガスの流量を調整するための流量調整手段と、調理鍋の鍋底の温度を検知する温度センサと、前記流量調整手段を作動制御するための制御手段とを具備するガスコンロであって、
前記制御手段は、加熱初期の第1の期間と第2の期間において前記流量調整手段を制御して前記燃焼バーナの燃焼状態を変化させ、前記温度センサの検出信号を利用して前記第1の期間の熱効率と前記第2の期間の熱効率とを演算し、これら熱効率に基づいて前記燃焼バーナの燃焼状態を設定することを特徴とするガスコンロ。 - 前記制御手段は、前記第2の期間における燃焼状態が前記第1の期間における燃焼状態よりも弱くなるように前記流量制御手段を作動制御し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも所定値以上大きくなるように変化したときには前記第2の期間の燃焼状態を維持し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも前記所定値以上大きくなるように変化しなかったときには前記第1の期間の燃焼状態に戻すことを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
- 前記制御手段は、前記第2の期間における燃焼状態が前記第1の期間の燃焼状態よりも強くなるように前記流量制御手段を作動制御し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化したときには前記第1の期間の燃焼状態に戻し、前記第2の期間の熱効率が前記第1の期間の熱効率よりも所定値以上小さくなるように変化しなかったときには前記第2の期間の燃焼状態を維持することを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
- 火炎の強さを自動的に設定する自動火炎設定モードと火炎の強さを手動で調整する手動火炎設定モードに設定可能なモード設定手段を更に備え、前記モード設定手段により前記自動火炎設定モードを設定した場合、前記制御手段は前記第1の期間の熱効率と前記第2の期間の熱効率とに基づいて前記燃焼バーナの燃焼状態を設定し、前記モード設定手段により前記手動火炎設定モードを設定した場合、前記制御手段は火力設定手段により設定される火力となるように前記燃焼バーナの燃焼状態を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスコンロ。
- 前記制御手段は、前記自動火炎設定モード中の前記第1及び/又は第2の期間において、前記温度センサによる検出温度の上昇率が所定上昇率より大きいときには前記自動火炎設定モードを解除することを特徴とする請求項4記載のガスコンロ。
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