JP3630918B2 - 液体燃料燃焼装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を気化器で気化して燃焼させる石油ファンヒータ、強制給排気式の温風暖房機等の液体燃料燃焼装置に関し、特に、消火動作時における液体燃料燃焼装置の燃焼用送風機の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体燃料燃焼装置の消火動作の制御としては、特開平2−197760号公報に開示されたように、燃焼停止操作時には、燃料供給装置(詳しくは電磁ポンプ)の動作状態如何に関係なく、即座に液体燃料の供給を停止するようにしたものが一般的である。特に、上記公報に開示された暖房機によれば、液体燃料の供給停止と同時に燃焼用空気を微弱風量に固定することで、バーナの残熱によって燃料供給装置(詳しくは、ノズル)を加熱してその温度を高め、燃料を滴下しやすくしている。
【0003】
また、特開平6−94235号公報には、燃焼用空気と気化燃料との混合ガスの燃え残りを少なくして消火時の臭気を低減すべく、燃焼用空気の減少速度を燃料の減少速度に近づけたり、燃料が規定量に減少した時点で燃焼用空気の供給を停止したりする技術が開示されている。
【0004】
しかしながら、上記制御形態であっても、消火時には混合ガスの未燃分(以下未燃ガスという)は発生しており、この未燃ガスが液体燃料燃焼装置の機体外に放出されて、使用者に臭いとなって感じられることがわかっている。
【0005】
そこで、消火動作が指示された消火時における未燃ガスの発生を出来るだけ少なくするために、燃料供給送装置(特にポンプ)を停止してから燃焼用送風機にブレーキをかける時期を適宜制御することで、炎が無くなる前、すなわち、未燃ガスの発生を抑制し、燃えるための適正な値になるよう失火寸前の混合ガスの濃度を適切に調整した液体燃料燃焼装置が考案されている。
【0006】
係る制御形態であれば、消火時に気化器から炎形成部にかけての空間に滞留した混合ガスを燃やし切ることが可能となり、従来のように飛び火(炎のリフティング)現象の後に失火し未燃ガスが排出されるといった問題が解消され、消火時の臭いを抑制することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような液体燃料燃焼装置においては、 燃料供給装置を停止する時の機器の燃焼状態(強燃焼状態か弱燃焼状態、或いは、その時の燃焼用送風機の回転数等)によって、燃料供給装置を停止してから完全に消火するまでの時間がそれぞれ異なるため(例えば、2500kcal/hの燃焼装置では、強燃焼で約0.2秒、弱燃焼で約0.8秒)、前記した消火動作時の燃焼用送風機のブレーキ制御の起動タイミングやブレーキ時間が燃焼状態によってまちまちであることから、消火動作の制御が複雑化するといった欠点があった。
【0008】
本発明は、上記欠点を解消するために成されたものであって、消火動作時は燃焼状態の如何に関わらず、燃焼装置を一旦所定の燃焼量に移行し、その後、燃焼用送風機を一定のシーケンスで減速制御することにより、消火シーケンスの制御を簡略化すると共に、燃焼モードに左右されない安定した消火制御を実現した液体燃料燃焼装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、請求項1に記載の本発明では、交互に供給されるオン信号とオフ信号に基づいて動作する燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスを炎形成部にて点火装置で点火して燃焼させる液体燃料燃焼装置において、運転切スイッチによる消火操作時には、燃焼を所定の燃焼量に移行した後、前記燃料供給装置へのオフ信号供給から所定時間後に前記燃焼用送風機を減速制御する減速信号を一定時間出力する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の本発明では、交互に供給されるオン信号とオフ信号に基づいて動作する燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスを炎形成部にて点火装置で点火して燃焼させる液体燃料燃焼装置において、運転切スイッチによる消火操作時には、燃焼を所定の燃焼量に移行した後、前記燃料供給装置へのオフ信号供給から所定時間後に前記燃焼用送風機を減速制御する減速信号を出力し、且つ燃焼用送風機が停止しない内に燃焼用送風機の駆動信号を出力する制御装置を備えたことを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項3に記載の本発明では、液体燃料燃焼装置に何らかの異常が発生したことを検出した場合は、制御装置は即座に消火動作に移行させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す温風暖房機として石油ファンヒータの全体構成を示す概略の斜視図、図2は同じく液体燃料供給装置、燃焼用送風機および対流用送風機を制御する制御手段を中心とする制御装置のブロック回路図、図3は図2に示す制御手段の制御動作の概略を示すフローチャート、図4は図3の消火動作シーケンスの概略を示す本発明の主要なフローチャート、図5は図4の消火動作シーケンスにおける信号処理の概略を示すタイムチャートである。
【0013】
図1において、1は石油ファンヒータHの本体を構成する外装ケース、2は温風を吹き出す吹出口であり、外装ケース1内におけるこの吹出口2の後方には図示しない燃焼室、燃焼用送風機ならびに対流用送風機などがある。
【0014】
尚、ここでいう燃焼室には、燃料タンクから気化器および気化器の上部に位置した炎形成部としてのバーナヘッド(これらを総称してバーナもしくは燃焼部という)に燃料を供給するための電磁ポンプ、および燃料吐出ノズルを含む液体燃料供給装置、点火装置としての点火プラグ(イグナイタ)、バーナヘッドに形成される炎の状態を検出する着火および炎検出装置としてのフレームセンサおよび気化器に内蔵された気化ヒータ等で構成される燃焼装置が配置されている。
【0015】
3は図示しない燃料タンクに対して着脱自在にセットされるカートリッジタンクを出し入れするための開閉自在の蓋体、4は後述する制御手段による石油ファンヒータHの動作を指示するためのスイッチなどの操作手段およびランプや液晶などの表示手段を配置した操作部としての操作パネルであって、外装ケース1の上面に設けられている。
【0016】
また、石油ファンヒータHの背面下部には操作パネル4の真下に配置した操作基板や制御基板上に搭載された制御装置10や燃焼装置、燃焼用送風機ならびに対流用送風機などの電機部品に電源を供給するための電源コードが配線され、電源コードのプラグをコンセントに差し込めば、少なくとも制御装置10には電源が供給されるようになっており、ここでは、プラグをコンセントに差し込む操作のことを運転スイッチオン操作と区別して電源投入という。
【0017】
次に、図2に基づき、点火装置、液体燃料供給装置、燃焼用送風機ならびに対流用送風機を制御する制御手段11を中心とする制御装置10の概略構成を説明する。
【0018】
図2中、10は本発明の主体的構成要素である制御手段11を中心とする制御装置であり、制御手段11はタイマや記憶手段としてのROMやRAMを備えるマイクロコンピュータで構成されている。制御手段11は、入力信号に基づいて各種負荷の動作を制御するための制御信号を出力するもので、12はこの制御手段11に信号線で接続された随時書き込み可能な記憶手段としてのEEPROMである。なお、図2ではEEPROMを制御手段11と別体であるかの如く表現してあるが、これは別体に限定されるものではなく、EEPROMを制御手段11に組み込んでも構わない。
【0019】
この制御手段11の入力側には、操作パネル4に設けられた各種スイッチ13乃至15、および適所に設置された各種センサ16乃至20が接続され、制御手段11の出力側には電機部品すなわちバーナ(詳しくは気化器)に内蔵された気化ヒータ21、点火装置としての点火プラグ(イグナイタ)22、燃料タンクからバーナ(燃焼部)に燃料を供給するための燃料供給装置の一部を構成する電磁ポンプ23、燃焼部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機24、および外気を外装ケース1内に吸い込み燃焼室で発生した燃焼ガスと熱交換して吹出口2へ供給する対流用送風機25が接続されている。
【0020】
制御手段11の入力側に接続される各種スイッチとしては、石油ファンヒータHの運転開始および燃焼時間の延長を指示する運転入スイッチ13、運転の停止を指示する運転切スイッチ14、および秒速点火やタイマなど、その他の機能を指示するその他のスイッチ15がある。
【0021】
なお、本実施形態では、運転切スイッチ14に対して消火動作時の電磁ポンプ23および燃焼用送風機24のそれぞれの運転を制御して未燃ガスの発生を抑制制御する機能を持たせている。その具体例としては、運転切スイッチ14とは別に単独で他のスイッチを設けても良いが、操作パネルのスイッチを少なくする上で、兼用することが好ましいことに加え、運転を停止するときには常時この制御形態で消火動作を行うようにした方が温風暖房機としての機能が充実する。
【0022】
各種センサとしては、バーナ(詳しくは気化器)の下部に設けられたバーナの温度を検出するバーナサーミスタ16、バーナヘッドに炎が形成されたこと、すなわち、着火とバーナヘッドに形成される炎の状態を検出する炎検出装置としてのフレームセンサ17、燃焼用送風機24の回転数を検出する回転数センサ18、燃料タンク内に貯留される灯油などの液体燃料の所定レベル以上の残り有無を検出する液面センサ19、および図示しない吸込口近傍に設けられた外装ケース1内に吸込んだ外気(即ち、室内空気)の温度を検出する室温センサ20がある。
【0023】
以上の構成により、図3乃至図5に基づき、制御手段11の各動作処理について説明する。
【0024】
先ず、ステップS1で運転入スイッチ13をオンして運転開始を指示すると、ステップS2で運転ランプを点灯させるか液晶表示部の運転モードの文字を表示させ、ステップS3で気化ヒータ(例えば、シーズヒータ)21に通電を開始し、ステップS4で気化器(詳しくはバーナボディ)の温度が点火動作に適した温度(例えば250〜270℃の温度帯)か否かが判断され、適温に達するまで気化ヒ−タ21の通電制御が継続され、適温に達するとステップS5で燃焼用送風機(詳しくはバーナモータ)24を駆動する。
【0025】
次に、ステップS6では、回転数センサ18で検出されたバーナモータ24の回転数が規定の回転数(例えば1100rpm)に達したか否かが判断され、規定の回転数に達していなければステップS15、S16の動作に移行し、規定の回転数に達すればステップS7で点火動作を行い、ステップS8でフレームセンサ17で検出されたフレーム電流に基づいて着火されたか否かが判断され、続くステップS9で正常燃焼か否かが判断される。
【0026】
ステップS8で着火されない、若しくはステップ9で正常燃焼でないと判断された場合は、ステップS17乃至S19の動作に移行し、正常燃焼である場合は、ステップS10でその他のスイッチ15による設定に基づいた燃焼モード若しくは設定室温にすべく燃焼量の自動変化動作が開始される。
【0027】
次のステップS11では、フレームセンサ17で検出されたフレーム電流に基づいて設定された燃焼量での炎の状態が正常か否かが判断され、正常でなければ、ステップS21乃至S23の動作に移行し、正常であれば、ステップS12で運転切スイッチ14が操作されたか否か判断される。
【0028】
以下、電源切スイッチ14が操作されるまでステップS10乃至S12の動作が繰り返され、電源切スイッチ14が操作されれば次のステップS13で消火動作を行い、ステップS14で燃焼停止動作が完了して石油ファンヒータHの運転が停止する。
【0029】
前記ステップS6において、バーナモータ24の回転数が異常であることが判明した場合、ステップS15でバーナモータ24のエラー処理が実行される。この場合、異常が解除されるまで点火動作に移行することはない。そして、ステップS16で使用者が運転切スイッチ14および運転入スイッチ13の操作を行うと、制御処理はステップS3へ復帰する。
【0030】
前記ステップS8、若しくはステップS9で点火トライアル期間(例えば23秒)内に正常な炎が検出されない場合(これを点火ミスという)、ステップS17でミス着火の処理が実行される。
【0031】
続くステップS18で対流用送風機25(ファンモータ)を、ステップS19で燃焼用送風機24(バーナモータ)をそれぞれ停止すべく、駆動信号を停止して点火シーケンスを終了する。そして、ステップS20で使用者が運転切スイッチ14および運転入スイッチ13の操作を行うと、制御処理はステップS3へ復帰する。
【0032】
前記ステップS11で、着火はしたが燃焼量を変化させる途中で消火した(これを途中消火という)ことが判明した場合、ステップ21で途中消火の処理が実行される。続いて、ステップS22で対流用送風機25を、また、ステップS23で燃焼用送風機24をそれぞれ停止すべく、駆動信号を停止して燃焼量制御のシーケンスを終了する。そして、ステップS24で使用者が運転切スイッチ14および運転入スイッチ13の操作を行うと制御処理はステップS3へ復帰する。
ここで、エラー処理、ミス着火処理、および途中消火の処理についての一例を説明すると、気化ヒータ21の通電を停止し、運転ランプを点滅させるか、液晶表示部の運転モードの文字を点滅表示させ、異常内容としてバーナモータ24の回転数異常を示す記号(例えば、E6)、ミス着火を示す記号(例えば、E1)および途中消火を示す記号(例えば、E2)を表示して異常を報知する。
【0033】
次に、図4に基づき上述のステップS13の運転切スイッチ14による消火動作について更に詳細な動作を説明する。
【0034】
先ず、ステップS30では、消火信号(燃焼オフ信号)の有無を検出し、このオフ信号が検出されるまで燃焼を継続する。オフ信号が検出されると、ステップS31で運転切スイッチ14の操作によるオフ信号か、或いは、それ以外の原因(例えば、ミス着火などの機器異常が発生した場合)によるオフ信号かどうかを判断する。
【0035】
運転切スイッチ14の操作による場合は、通常の消火信号と判断してステップS32で機器の燃焼を予め設定した燃焼量に移行(燃焼用送風機24の回転数を変化させる。この場合、燃焼用送風機24の回転数に応じ、電磁ポンプ23の駆動パルス信号も変化して液体燃料の供給量が変化する)する。ステップS33で燃焼量が所定レベル(定点)に達したことが認識されると(例えば、回転数センサ18により燃焼用送風機24の回転数を監視する)、ステップS34でポンプ信号(電磁ポンプ23の駆動パルス信号)のon time出力(図5のT2)が終了したか否かが判断され、on time出力が終了するまで移行された燃焼量にて燃焼運転を継続する。
【0036】
前記ポンプ信号のon time出力が終了すると、ステップS35で電磁ポンプ23の駆動を停止する一方、燃焼用送風機24(及び対流用送風機25)への駆動信号(詳しくは、位相制御信号)を停止して、消臭動作を行わせる消火シーケンスを開始する。
【0037】
ここで、燃焼量が定点に移行される時の燃焼用送風機24の回転数の変化は図5のタイムチャートに示すように、回転数を低下させる制御、すなわち、燃焼量を減少させる場合が示されているが、運転切スイッチ14が操作された時の燃焼運転が、例えば弱燃焼で、且つ定点となる燃焼量が強燃焼と弱燃焼の中間に設定されている場合などにおいては、燃焼量の移行動作による燃焼用送風機の回転数は、増加させる方向に制御されることになる。そして、本実施形態では、燃焼量の移行がoff time中(T1−T2)に終了した場合は、その時移行された燃焼状態が継続され、このoff time期間が終了し、次のon timeが終了した時点で、燃焼量送風機24の駆動信号が停止される。
【0038】
次に、ステップS36では、移行された燃焼量に応じた所定時間Aが制御手段11のタイマにセットされる。この所定時間Aは、消火シーケンスの開始、すなわち、電磁ポンプ23のオフ信号供給から前記両送風機への位相制御信号の出力を停止させる停止時間で、この間、両送風機は惰性によって動作し、回転数が徐々に減少していく。
【0039】
次に、ステップS37で所定時間Aが経過したか否か判断され、所定時間Aが経過するまで惰性による回転動作が継続し、所定時間Aが経過すると、ステップS38で後述する減速信号を出力して両送風機24、25の減速制御を開始し、続くステップS39で減速時間としての一定時間Bをセットする。ステップS40で一定時間Bが経過したか否か判断され、一定時間Bが経過するまで減速制御を継続し、一定時間Bが経過すると、次のステップS41で燃焼用送風機24および対流用送風機25の駆動信号を再び供給(即ち、再駆動)して、ステップS14へ移行する。尚、再駆動信号を停止するまでの時間の起点は、運転切スイッチ14が操作された時点に合わせてあり、この起点から時間A+Bよりも大きい時間C(これをポストパージ時間という)の経過後に両送風機25を停止するように制御される。
【0040】
ここで、一定時間Bは、燃焼用送風機24の回転数を強制的に下げる(即ち、ブレーキ制御する)ように、例えば、半波整流された信号(減速信号)を出力する時間(減速時間)であり、この一定時間Bも所定時間Aと同様、運転切スイッチ14の操作後に移行される燃焼量に対応した時間が設定される。
【0041】
このように、燃焼用送風機24の位相制御信号を停止することで、送風機24の回転数は慣性力で徐々に低下するが、ポンプ信号がオフに切り替えられてから所定時間A後に燃焼用送風機24をブレーキ制御したことで、燃焼用送風機24の回転数の低下速度が速くなり、消火動作時における失火寸前に混合ガスの濃度を燃えやすい適切な状態にすることができる。
【0042】
しかも、消火操作が成された場合、如何なる燃焼モードであっても、一旦所定の燃焼量に移行した後に消火シーケンスを実行するようにしたことから、これに続く、燃焼用送風機24(および対流用送風機25)の駆動信号を停止する時間(すなわち、所定時間A)と減速制御をする時間(すなわち、一定時間B)とが消火指令が出される直前の燃焼量(燃料と燃焼用空気の混合ガスの混合比率)に関係なく一義的に設定できるので、燃焼用送風機24(および対流用送風機25)の制御は極めて簡略化され、且つ、常に最適値が設定できるようになる。
【0043】
従って、燃焼用空気を供給する燃焼用送風機24の消火直前の運転状況(即ち、燃焼用空気量)に関わらず、常に的確な減速制御を実現することが可能となり、消火時の空気過多を抑制すると共に、どんな燃焼モードで消火操作が成されても、混合ガスを燃やし切ることが可能となり、未燃ガスの発生量を従来の消火動作よりもより好適に抑制することができるようになる。
【0044】
また、一定時間Bの経過後に燃焼用送風機24および対流用送風機25を再駆動するので、失火させてから速やかにポストパージ運転に移行することが出来る。尚、ポストパージとは、消火動作(詳しくは失火)後に燃焼部、遮熱用の板(例えばシェルタ)および液体燃料供給装置(詳しくはノズル)を冷却すると共に、燃焼部に滞留した未燃ガスを排出するための送風動作のことである。但し、本実施形態では、図5aに示すように、このポストパージ時間Cとして運転切スイッチ14の操作時点を起点として計時するようにしてある。
【0045】
一方、ステップS31で運転切スイッチ14の操作以外(例えば、機器異常)による消火信号と判断した場合は、ステップS42で即座に電磁ポンプ23の駆動を停止する、いわゆる異常発生時の消火シーケンスを開始して、ステップS14へ移行する。因みに、この異常発生時の消火シーケンスでは、異常内容を別途表示するようにすれば、使用者に対して親切である。
【0046】
また、図5のタイムチャートにその信号変化の推移を示すように、上述と同じ時点でエラー信号が発生した場合には、燃焼モードに関係なく即座に電磁ポンプ23のオン信号が停止される。尚、ポストパージ時間は、図5のb)示すように、やはり図5のa)と同様Cであり、このポストパージ時の燃焼用空気の量は固定である。
【0047】
以上のように、運転切スイッチ14が操作されると、先ず、燃焼を所定の燃焼量に移し、その後、電磁ポンプ23へのポンプ信号がオフに切り替わるまで、この燃焼動作が継続される。そして、ポンプ信号がオフに切り替わったところで、燃焼用送風機24への駆動信号を停止するようにしたので、電磁ポンプ23は運転切りスイッチ14の操作による消火指示時には、常にプランジャーの先端(ひいてはノズルの先端)から燃料を出し切った状態(すなわち、先端側から引き込む方向の慣性力を期待できる状態)で止まることになり、この消火時にノズルから出る燃料の量を常に一定に維持することが出来ることに加え、電磁ポンプの惰性によるノズル先端部分からの油たれが無くなる。しかも、燃焼量が定点に移行されてから上記消火動作シーケンスが実行される構成であるため、燃焼モードに左右されない安定した制御が可能となる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明によれば、消火操作時は、燃焼を所定の燃焼量に移行した後の燃料供給装置(例えば電磁ポンプ)の停止指示(即ち、オフ信号)から所定時間後、燃焼用送風機のブレーキ制御を行うことで、急激に送風量を低下することができ、結果的に消火時における燃料の混合比率を燃えやすい適切な値にすることによって燃えやすい状態を作ることができ、混合ガスの燃え残り(すなわち、未燃ガスの発生)を抑制して、混合ガスを燃やしきる方向に近づけることができる。しかも、上記ブレーキ制御は、燃焼量が定点に移行された後に実行される構成であるため、ブレーキ制御の起動タイミングやブレーキ時間は消火時の燃焼状態に左右されず常に一義的に設定できるので、制御形態は簡略化され、且つ安定した制御が実現できる。
【0049】
また、請求項2に記載の本発明によれば、燃焼用送風機を急激に減速制御することにより燃焼用空気の量が少なくなって燃料の混合比率を高くし、混合ガスを燃えやすい状態にして混合ガスの未燃分の発生を抑制する一方、燃焼用送風機が完全に停止しない状態で再起動するので、バーナ(詳しくは炎形成部や気化器、並びにノズル先端)の冷却(言い換えればバーナの残熱による輻射および伝達によるノズル先端部の温度上昇抑制のための送風)など、消火後のポストパージ運転に素早く移行できると共に、バーナの冷却を素早く開始することによる消火特性の向上およびポストパージ動作への適切な移行を実現することが出来る。しかも、係る消火動作シーケンスが上記同様、燃焼量が定点に移行された後に実行される構成であるため、ブレーキ制御の起動タイミングやブレーキ時間、或いはポストパージ動作への移行タイミングやポストパージ時間等、各種の時間制御は消火時の燃焼状態に左右されず常に一義的に設定できるので、制御形態が簡略化され、且つ安定した制御が実現できる。
【0050】
さらに、請求項3に記載の本発明によれば、液体燃料燃焼装置に何らかの異常が発生したこと(すなわちエラー)を検出した場合は、制御装置が即座に消火動作に移行させて安全性を確保する、いわゆるフェイルセーフの制御を行うから、異常時に燃焼が継続されるといった不都合が解消され、機器の安全性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す液体燃料燃焼装置として石油ファンヒータの全体構成を示す概略の斜視図である。
【図2】同じく、液体燃料供給装置、燃焼用送風機および対流用送風機を制御する制御手段を中心とする制御装置のブロック回路図である。
【図3】同じく制御手段の制御動作の概略を示すフローチャートである。
【図4】図3の消火動作のシーケンスにおける概略を示す主要なフローチャートである。
【図5】図4の消火シーケンスにおける信号処理の概略を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
H 液体燃料燃焼装置(石油ファンヒータ)
10 制御装置
11 制御手段(マイクロコンピュータ)
21 気化器(気化ヒータ)
23 燃料供給装置(電磁ポンプ)
24 燃焼用送風機
25 対流用送風機

Claims (3)

  1. 交互に供給されるオン信号とオフ信号に基づいて動作する燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスを炎形成部にて点火装置で点火して燃焼させる液体燃料燃焼装置において、
    運転切スイッチによる消火操作時には、燃焼を所定の燃焼量に移行した後、前記燃料供給装置へのオフ信号供給から所定時間後に前記燃焼用送風機を減速制御する減速信号を一定時間出力する制御装置を備えたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
  2. 交互に供給されるオン信号とオフ信号に基づいて動作する燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスを炎形成部にて点火装置で点火して燃焼させる液体燃料燃焼装置において、
    運転切スイッチによる消火操作時には、燃焼を所定の燃焼量に移行した後、前記燃料供給装置へのオフ信号供給から所定時間後に前記燃焼用送風機を減速制御する減速信号を出力し、且つ燃焼用送風機が停止しない内に燃焼用送風機の駆動信号を出力する制御装置を備えたことを特徴とする液体燃料燃焼装置。
  3. 液体燃料燃焼装置に何らかの異常が発生したことを検出した場合は、制御装置は即座に消火動作に移行させることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の液体燃料燃焼装置。
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