JP3634548B2 - 温風暖房機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を気化器で気化して燃焼させる開放燃焼式の石油ファンヒータ(FH)、強制給排気式の石油ファンヒータ(FF)等の温風暖房機であって、特に点火時及び消火時に発生しやすい臭いを抑制するための点火及び消火制御方式の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の液体燃料燃焼装置の点火動作の制御としては、特開昭57−47126号公報に開示されたように空気量に応じた燃料量を供給するようにしたものや、特開昭62−56707号公報に開示されたように空気量と燃料量とが適当な比率で混合された燃焼量(空燃比)として弱や微弱等の燃料供給量が少ない状態で緩やかに点火させることが主流であった。また、点火時における点火性を良くするために、燃料量を多くするものとして特開平2−238251号公報に開示されたものがあり、着火時及び消火時の炎を安定性を高めるために、着火時及び消火時の少なくとも一方に空気量を理論燃焼空気量よりも少ない量に低下させるものとして実開昭62−160150号公報に開示されたものがある。これら4つを合わせて前者公報という。
【0003】
一方、消火動作の制御としては、特開平2−197760号公報に開示されたように燃焼停止操作時には即座に液体燃料の供給を停止するようにしたものが一般的であった。特にこの公報に開示された暖房機によれば、燃料供給の停止と同時に燃焼用空気を微弱風量に固定することで、バーナの残熱によって燃料供給装置(詳しくはノズル)を加熱してその温度を高め、燃料を滴下しやすくしている。また、特開平6−94235号公報には、燃焼用空気と気化燃料との混合ガスの燃え残りを少なくして消火時の臭気を低減すべく、燃料の減少速度に燃焼用空気の減少速度を近づけたり、燃料が規定量に減少した時点で燃焼用空気の供給を停止したりする技術が開示されている。即ち、燃料の停止よりも燃焼用空気の停止を速めている。これら2つを合わせて後者公報という。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者公報に開示された技術おける点火時にも混合ガスの未燃分(以下これを未燃ガスという)が発生しており、この未燃ガスが液体燃料燃焼装置の機体外に放出されて臭いがすることがわかっている。点火時において点火装置としてのイグナイタがスパークして着火のための火種ができてからバーナの炎形成部としてのバーナ部の全体に火移りが完成するまでには、若干の時間(1秒未満)がかかる。この火移りが完了する時点で炎が立ち上がるが、このときに未燃ガスの発生を示すような現象として、炎が不安定な状態でちらつくことがわかった。さらに、点火動作時に対流用送風機からの送風がある場合にも、炎が乱されたり火移りしづらかったりといった着火性が悪くなるとともに、未燃ガスが発生しやすいことがわかった。
【0005】
一方、後者公報に示される消火動作によれば、使用者が燃焼停止操作をしたときの燃料供給装置(特にその一部を構成する電磁ポンプ)の状態はまちまちであり、この状態如何に関わらず使用者の操作即消火のための電磁ポンプの停止動作を行うため、停止信号が入力されたときの電磁ポンプの状態に応じて、燃料供給装置、詳しくはプランジャーの燃料吐出側(ひいてはノズルの先端側)から電磁ポンプの慣性力によって燃料が噴出されることとなり、この燃料が噴出される時間が電磁ポンプを停止させたときの状態によって変化するため、消火動作時における油の切れが一定ではなくなって、電気的にポンプを停止した後にしばらく油が垂れてしまう不具合があった。しかも、この油の切れの悪さによって消火する度に未燃ガスの発生量が異なることとなり、結果的に消火時に発生する臭い(詳しくは臭いの量及び時間)が消火毎に異なってしまう。使用者はこの臭いの異なりで、装置に異常が発生したかの如く錯覚や不安を抱きやすく、液体燃料燃焼装置が使用者に気に入られないことの大きな原因の一つになっている。
【0006】
特に、燃焼用空気の減少速度を近づけるために燃料の減少速度を検出する具体的構成及び制御が必要であり、また燃料が規定量に減少したことを検出する構成が必要であるため、検出装置の付加によるコストアップは否めない。しかも燃料の変化速度に合わせた送風量の制御は、製品の最大燃焼量(最大発生熱量)や製品自体の構造的なばらつき等製品毎に個々に異なる制御形態をとらなければならず、製作する側の立場に立てば、実際問題として大変難しい課題であった。
【0007】
さらに、消火動作時に対流用送風機からの送風がある場合にも、炎が乱されたり空気過多となって炎が飛び火状態になってから吹き消されてしまったりするといった消火特性が悪くなるとともに、飛び火状態になってからの消火では未燃ガスが発生しやすく臭いがしやすいことがわかっている。
【0008】
ここでいう未燃ガスの量は、燃焼部の構造や点火動作及び消火動作の各制御シーケンス、具体例を挙げれば、バーナヘッドの構造・バーナヘッドや気化部の温度・混合ガスの混合比(空燃比)・混合ガスのスピード・燃焼量等のいろいろな要因によって変化すると考えられる。この様々な要因の中では、混合ガスの混合比(空燃比)と混合ガスのスピード及び燃料(石油)の切れの悪さが特に影響が大きいことがわかった。
【0009】
そこで本発明では、先ず第一に、点火時における炎形成部の火移り完了までの時間を短くして未燃ガスの発生を出来るだけ少なくするために、点火動作時の初期に対流用送風機を停止すると共に、混合ガスの混合比(即ち空燃比)を空気量が少ない側に強制的に固定制御して燃料の混合比率を高くすると同時に炎形成部からの混合ガスの噴出速度を適切に設定できるようにした温風暖房機を提供することを目的とするものである。
【0010】
第二に、消火時における未燃ガスの発生を出来るだけ少なくするために、燃料供給装置(特にポンプ)の停止時期を適宜制御することで液体供給装置(特にノズル)からの燃料だれを防止するようにして燃料の切れをよくする一方、ポンプを停止してから燃焼用送風機にブレーキをかける時期を適宜制御することで混合ガスの噴出速度を遅くした温風暖房機を提供することを目的とするものである。
【0011】
第三に、点火動作期間における燃焼用空気の量を少ない側から順次段階的に増大させて最終的に燃料の混合比率を安定させるために、点火動作期間を三つのモードで構成し、運転切スイッチ操作による消火動作期間におけるポンプ動作を終了するタイミングと燃焼用空気及び対流用空気の供給を抑制するタイミングとを適宜調整するために、消火動作期間を四つのモードで構成することにより、点火時及び消火時の空気供給による混合ガスへの悪影響を抑制しつつ混合ガスの噴出速度を遅くした温風暖房機を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させ、この燃焼ガスを温風として対流用送風機で室内に排出して暖房を行う温風暖房機において、点火トライアル期間における最初の所定時間だけは燃焼用空気の量を通常の燃焼時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高めると共に、前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制し、前記所定時間の経過後に燃料の混合比率を通常燃焼時の混合比率に近づけるように燃焼用空気の量を段階的に増大させ、前記点火トライアル期間における最初の所定時間よりも短い一定時間の経過後に対流用送風機を運転させる制御装置を備えたものである。
【0013】
本発明の請求項2の発明は、燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させ、この燃焼ガスを温風として対流用送風機で室内に排出して暖房を行う温風暖房機において、燃焼用送風機、対流用送風機、燃料供給装置及び点火装置の動作を制御する制御装置は、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間における動作制御として、燃料供給装置を駆動してから第1の所定時間を燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードとし、その後の第2の所定時間を混合比率が第1のモードの混合比率よりも高く通常燃焼時の混合比率よりも低い第2の混合比率とする第2のモードとし、続いて通常燃焼時の混合比率に安定させる通常モードとするものである。
【0014】
本発明の請求項3の発明は、交互に供給されるオン信号とオフ信号に基づいて動作する燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させ、この燃焼ガスを温風として対流用送風機で室内に排出して暖房を行う温風暖房機において、運転切スイッチによる消火操作時には、少なくとも燃料供給装置のオン信号からオフ信号に切り替わるまでは前記燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を運転させ、燃料供給装置へのオフ信号供給に合わせて燃焼用送風機及び対流用送風機への駆動信号を停止し、この駆動信号の停止から所定時間の経過後に燃焼用送風機を減速制御する減速信号を出力し、燃焼用送風機が停止しないうちに燃焼用送風機及び対流用送風機をそれぞれ固定風量で駆動する駆動信号を出力する制御装置を備えたものである。
【0015】
本発明の請求項4の発明は、温風暖房機に何らかの異常が発生したことを検出した場合には制御装置は即座に消火動作に移行させるものである。
【0016】
本発明の請求項5の発明は、燃焼用送風機、対流用送風機、燃料供給装置及び点火装置の動作を制御する制御装置は、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間における動作制御として、燃料供給装置を駆動してから第1の所定時間を燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードとし、その後の第2の所定時間を混合比率が第1のモードの混合比率よりも高く通常燃焼時の混合比率よりも低い第2の混合比率とする第2のモードとし、続いて通常燃焼時の混合比率に安定させる通常モードとするとともに、運転切スイッチによる消火操作時の消火動作期間における制御装置として、消火操作時から燃料供給装置のオン信号からオフ信号に切り替わるまで間を燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を運転させる第4のモードとし、燃料供給装置へのオフ信号供給後の所定時間を燃焼用送風機及び対流用送風機への駆動信号を停止する第5のモードとし、所定時間経過後からの一定時間を燃焼用送風機を減速制御する減速信号を出力する第6のモードとし、続いて燃焼用送風機が停止しないうちに燃焼用送風機及び対流用送風機をそれぞれ固定風量で駆動する駆動信号を出力する第7のモードとするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。以下、本発明の実施例を図1乃至図7に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例を示す温風暖房機として石油ファンヒータの全体構成を示す概略の斜視図、図2は同じく液体燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を制御する制御手段を中心とする制御装置のブロック回路図、図3は制御手段の制御動作の概略を示すフローチャート、図4は図3の点火動作シーケンスの概略を示す本発明の主要なフローチャート、図5は図4の点火動作シーケンスにおける信号の概略変化を示すタイムチャート、図6は図3の消火動作のシーケンスにおける概略を示す主要なフローチャート、図7は図6の消火シーケンスにおける信号処理の概略を示すタイムチャートである。
【0018】
図1において、1は石油ファンヒータHの本体を構成する外装ケース、2は温風を吹き出す吹出口であり、外装ケース1内におけるこの吹出口2の後方には図示しない燃焼室、燃焼用送風機並びに対流用送風機等がある。
【0019】
尚、ここでいう燃焼室には、燃料タンクから気化器及び気化器の上部に位置した炎形成部としてのバーナヘッド(これらを総称してバーナ若しくは燃焼部という)に燃料を供給するための電磁ポンプ及び燃料吐出ノズルを含む液体燃料供給装置、点火装置としての点火プラグ(イグナイタ)、バーナヘッドに形成される炎の状態を検出する着火及び炎検出装置としてのフレームセンサ及び気化器に内蔵された気化ヒータ等で構成される燃焼装置が配置されている。
【0020】
3は図示しない燃料タンクに対して着脱自在にセットされるカートリッジタンクを出し入れするための開閉自在な蓋体、4は後述する制御手段による石油ファンヒータHの動作を指示するためのスイッチ等の操作手段及びランプや液晶等の表示手段を配置した操作部としての操作パネルであって、外装ケース1の上面に設けられる。
ここで、石油ファンヒータHの背面下部には操作パネル4の直下に配置した操作基板や制御基板上に搭載された制御装置10や燃焼装置、燃焼用送風機並びに対流用送風機等の電気部品に電源を供給するための電源コードが設けてあり、電源コードのプラグをコンセントに差し込めば少なくとも制御装置10には電源が供給されるようになっており、プラグをコンセントに差し込む操作のことを運転入スイッチのオン操作と区別するために電源投入という。
【0021】
次に、点火装置、液体燃料供給装置、燃焼用送風機並びに対流用送風機を制御する制御手段11を中心とする制御装置10の概略構成を説明する。
【0022】
10は本発明の主体的構成要素である制御手段11を中心とする制御装置であり、制御手段11はタイマ、記憶手段としてのROMやRAMを備えるマイクロコンピュータ(以下単にマイコンという)で構成されている。制御手段即ちマイコン11は、入力信号に基づいて各種負荷の動作を制御するための制御信号を出力するもので、12はこのマイコン11に信号線で接続され随時書き込み可能な記憶手段としてのEEPROMである。尚、図2ではEEPROM12をマイコン11と別体であるかの如く表現しているが、これは別体に限定されるものではなく、EEPROMをマイコン11自体に組み込んでも差し支えない。
【0023】
この制御手段11の入力側には操作パネル4に設けられた各種スイッチ13乃至15及び適所に設置された各種センサ16乃至20が接続され、制御手段11の出力側には電気部品即ちバーナ(詳しくはバーナ)に内蔵された気化ヒータ21、点火装置としての点火プラグ(イグナイタ)22、燃料タンクからバーナ(燃焼部)に燃料を供給するための液体燃料供給装置の一部を構成する電磁ポンプ23、燃焼部に燃焼用空気を供給する燃焼用送風機24及び外気を外装ケース1内に吸い込み燃焼室で発生した燃焼ガスと熱交換して吹出口2へ供給する対流用送風機25が接続されている。
【0024】
制御手段11の入力側に接続される各種スイッチとしては、石油ファンヒータHの運転の開始及び燃焼時間の延長を指示する運転入スイッチ13、運転の停止を指示する運転切スイッチ14及び秒速点火やタイマー等その他の機能を指示するその他のスイッチ15がある。
【0025】
尚、本実施例では、運転入スイッチ13に対して点火動作モード時の最初の所定時間(これを第1の所定時間という)だけを燃焼用空気の量を通常燃焼時のそれよりも少なくして燃料の混合比率を高くしその後空気の量を徐々に通常の量に近づけるように増大させる減臭を最終目的とした制御形態(換言すれば減臭制御)を指示する制御指示手段としての機能を持たせている。また、運転切スイッチ14に対して消火動作時の電磁ポンプ23及び燃焼用送風機24のそれぞれの運転を制御して未燃ガスの発生を抑制制御する機能を持たせている。各指示手段の具体例としては、運転入スイッチ13とは別に単独で他のスイッチを設けても良いし運転切スイッチ14とは別に単独で他のスイッチを設けても良いが、それぞれ操作パネルのスイッチを少なくする上では兼用する方が好ましいことに加え、運転を開始するときには常時この制御形態で点火動作を行うようにした方が、温風暖房機としての機能が充実するし、運転を停止するときには常時この制御形態で消火動作を行うようにした方がさらに温風暖房機としての機能が充実する。
【0026】
各種センサとしては、バーナ(詳しくは気化器)の下部に設けられバーナの温度を検出するバーナサーミスタ16、バーナヘッドに炎が形成されたこと即ち着火とバーナヘッドに形成される炎の状態を検出する炎検出装置としてのフレームセンサ17、燃焼用送風機24の回転数を検出する回転数センサ18、燃料タンク内に貯留される灯油等の液体燃料の所定レベル以上の残り有無を検出する液面センサ19及び図示しない吸込口近傍に設けられ外装ケース1内に吸い込んだ外気(即ち室内空気)の温度を検出する室温センサ20がある。
【0027】
以上の構成により図3乃至図7に基づき制御手段11の点火動作及び消火動作を中心とする各種動作処理について簡単に説明する。
【0028】
まず、ステップS1で運転入スイッチ13をONして運転開始を指示すると、ステップS2で運転ランプを点灯させるか液晶表示部の運転モードの文字を表示させ、ステップS3で気化ヒータ(例えばシーズヒータ)21に通電を開始し、ステップS4で気化器(詳しくはバーナボディ)の温度が点火動作に適した温度(例えば250〜270℃の温度帯)か否かが判断され、適温に達するまで気化ヒータ21の通電制御が継続され、適温に達するとステップS5で燃焼用送風機(詳しくはバーナモータ)24を駆動する。
【0029】
次に制御手段11では、回転数センサ18で検出されたバーナモータの回転数が規定の回転数R1(例えば1100rpm)に達したか否かが判断され(ステップS6)、規定の回転数R1に達していなければステップS15乃至S16の動作に移行し、規定の回転数R1に達すればステップS7で点火動作を行い、ステップS8でフレームセンサ17で検出されたフレーム電流に基づいて着火されたか否かが判断され、ステップS9で正常燃焼か否かが判断される。
【0030】
ステップS8で着火されない若しくはステップS9で正常燃焼ではないと判断された場合には、ステップS17乃至S18の動作に移行し、正常燃焼である場合にはステップS10で点火プラグの点火動作(スパーク)を停止し、ステップS11で気化ヒータ24の通電を停止し、ステップS12で温調スイッチ17による設定に基づいた燃焼モード若しくは設定室温にすべく燃焼量の自動変化動作が開始される。
【0031】
次のステップS13ではフレームセンサ20で検出されたフレーム電流に基づいて設定された燃焼量での炎の状態が正常か否かが判断され、正常でなければステップS23乃至S26の動作に移行し、正常であればステップS14で運転切スイッチ14が操作されたか否かが判断される。
【0032】
ステップS14で電源切スイッチ14が操作されるまでは以下ステップS12、S13及びステップS14の動作が繰り返され、電源切スイッチ14が操作されれば次のステップS15で消火動作を行い、ステップS16で燃焼停止動作が完了して石油ファンヒータHの運転が停止する。
【0033】
ステップS6でバーナモータの回転数が異常であることが判明したので、ステップS17ではバーナモータのエラー処理が行われる。この場合異常が解除されるまで点火動作に移行することはない。そして、ステップS18で使用者の運転切スイッチ14及び運転入スイッチ13の操作を経て、ステップS3へ復帰できる。
【0034】
ステップS8若しくはステップS9で点火トライアル期間(例えば23秒間)内に正常な炎を検出できない異常(これをミス着火という)であることが判明したので、ステップS19ではミス着火の処理が行われる。
【0035】
続くステップS20で対流用送風機25を、ステップS21で燃焼用送風機24をそれぞれ停止すべく駆動信号を停止して点火シーケンスを終了する。そして、ステップS22で使用者の運転切スイッチ14及び運転入スイッチ13の操作を経て、ステップS3へ復帰できる。
【0036】
着火はしたが燃焼量を変化させる途中で消火した異常(これを途中消火という)であることがステップS13で判明したので、ステップS23では途中消火の処理が行われる。続いてステップS24で対流用送風機25を、ステップS25で燃焼用送風機24をそれぞれ停止すべく駆動信号を停止して燃焼量制御のシーケンスを終了する。そして、ステップS26で使用者の運転切スイッチ14及び運転入スイッチ13の操作を経て、ステップS3へ復帰できる。
【0037】
ここでエラー処理、ミス着火処理及び途中消火の処理について一例を説明すると、気化ヒータ21の通電を停止し、運転ランプを点滅させるか液晶表示部の運転モードの文字を点滅表示させ、異常内容としてバーナモータの回転数異常を示す記号(例えばE6)、ミス着火を示す記号(例えばE1)及び途中消火を示す記号(例えばE2)のうちで何れかを表示して異常を報知する動作のことである。
【0038】
さて、次に上述のステップS7における点火動作について、図4に基づき更に詳細な動作を説明する。まず、ステップS71で最初に点火プラグ22の点火動作(即ちスパーク)を開始し、続くステップS72で電磁ポンプ23を点火動作特有の燃料供給量(例えば中燃焼に対応する中燃料の量)となるように駆動し、ステップS73で電磁ポンプ23が駆動されたときを起点とする時間が遅延時間としての一定時間A(例えば2.1秒間)が経過したか否かが判断され、ステップS74で時間Aが経過するまで待って対流用送風機25を通常の回転数F(例えば中燃焼に見合った回転数960rpm)で駆動する駆動信号を出力する。
【0039】
このため、通常よりも少ない量での燃焼用空気の供給開始、点火スパーク開始、燃料の供給開始の順序で動作が続けられ着火を試みる着火トライアル期間の初期には、対流用送風機25が停止しているため、バーナヘッドに供給される燃料と燃焼用空気との混合ガスは従来よりもその噴出速度が遅くなることはもとより、この遅い速度の混合ガスに対して一定時間Aだけは対流用の風による影響を無くすことができ、これによって着火しようとする混合ガスの適当な流れが対流用の風で乱されて不安定になることが防止され、着火トライアル期間の初期(詳しくは時間A以内)で着火しやすくなった。特に従来のような着火遅れや飛び火(炎のリフティング)現象も発生しにくくなり、これら着火遅れ若しくは着火ミスや炎のリフティングに伴う未燃ガスの発生が抑制できた。
【0040】
また、空気量を少なくする所定時間Bよりも対流用送風機28を運転させる一定時間A短くしたので、後述する着火トライアル期間における第1のモード中に対流用送風機25が運転されることとなり、燃焼用送風機の風だけでバーナの冷却(これをプリパージという)が行われる時間が短くなり、プリパージ効果が期待できない時間も短くなるため、結果的に未燃ガスの発生も抑制されて、より着火性能が向上できた。
【0041】
次のステップS74で電磁ポンプ23が駆動されたときを起点とする時間が燃焼用空気の量を通常時よりも少なくする所定時間としての一定時間B(条件B≧A、Bの期間を着火トライアル期間における第1のモードといい例えば3秒間とする)が経過したか否かが判断され、ステップS76で時間Bが経過するまでまって燃焼用送風機24の回転数を第1の回転数R1よりも大きく電磁ポンプ23の供給量に見合った回転数R3(これを通常の回転数という)よりも小さい第2の回転数R2(これを第2のモードといい例えば1350rpm)に上昇して一定時間C(例えば25秒間)だけ継続駆動する。
【0042】
このため、バーナに供給される燃料に対して空気が少なくなるように燃料の混合比率を所定時間Bだけ通常時よりも高い側に強制的に固定することにより、点火動作(上述の着火トライアル期間)の初期(即ち第1のモード)における風量が抑えられるため、混合ガスの噴出速度を従来のそれよりも遅くすることができ、その結果、炎形成部における炎はリフト気味で発生するのではなく、炎形成部全体に広がるようにして速やかに炎を発生させることができるようになり、炎形成部での火移りが従来の点火制御の動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、この期間における未燃ガスの発生が少なくなった。
【0043】
また、この所定時間Bの経過後に混合比率を通常燃焼時の混合比率に近づけるように燃焼用送風機24の回転数を第1の回転数R1よりも大きく電磁ポンプ23の供給量に見合った回転数R3よりも小さい第2の回転数R2(即ち着火トライアル期間における第2のモード)にして、空気の量を増大させることにより、空気過少気味でこの点火時に炎形成部に形成される炎が発生するときの音を従来よりも小さくすることができた。
【0044】
しかも、燃焼用空気の量を段階的(若しくはリニア)に徐々に増加させるようにしたので、着火トライアル期間における炎の状態が安定するまでの間は、燃焼用空気の量を徐々に増加移行させることができるため、風量の急激な変化による炎形成部と炎そのものの急激な温度変化を抑制することができ、結果的に炎形成部の温度を徐々に上昇させることが可能となった。そして、炎の状態が不安定になりやすいままでの燃焼量が継続される時間が減り、着火トライアル期間初期におけるリフト気味な炎の生成を抑制でき、リフト気味の炎があるときに燃えないでバーナヘッドの炎孔から噴出される混合ガス、即ち未燃ガスの量をも抑制することができ、点火動作時の臭いを一段と低減でき、結果として着火を確認するまでの時間が従来よりも短くなった。
【0045】
その後、ステップS77で一定時間Cが経過したか否かが判断され、ステップS78で燃焼用送風機24の回転数を通常の回転数R3(これを着火トライアル期間における第3のモードとしての通常モードといい、例えば1500rpm)に上昇して、ステップS8へ移行する。
【0046】
このように、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの着火トライアル期間を、第1のモードと、第2のモードと、通常のモードとの3つで構成したことにより、トライアル期間初期(即ち第1のモード)の混合ガスの噴出速度が従来よりも遅くなり、炎形成部における火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、第1のモードにおける未燃ガスの発生量が少なくなって、いわゆる点火時の臭いが減り、従来の点火制御に比べて格段の効果があった。
【0047】
さて、次に上述のステップS15における消火動作について、図6に基づき更に詳細な動作を説明する。まず、ステップS30では消火信号(燃焼OFF信号)の有無を検出し、このOFF信号が検出されるまで燃焼を継続し、OFF信号が検出されればステップS31で運転切スイッチ14の操作によるOFF信号かそれ以外(例えばミス着火など器具異常の発生)によるOFF信号かを判断する。
【0048】
運転切スイッチ14の操作による場合は、通常の消火信号と判断してステップS32でポンプ信号のon time出力が終了したか否かが判断され、on time出力が終了するまで燃焼を継続し、on time出力が終了すればステップS33で電磁ポンプ23の駆動を停止する一方、燃焼用送風機24(及び対流用送風機25)への駆動信号(詳しくは位相制御信号)を停止すると共に消臭表示動作を行わせるいわゆる通常の消火シーケンスを開始する。
【0049】
次のステップS34でEEPROM12に記憶されたデータの中から直前の燃焼量に応じて適宜選択した所定時間(正確には第2の所定時間)aをセットする。詳述すると、所定時間aは消火シーケンスの開始即ち電磁ポンプ23のOFF信号供給から両送風機への位相制御信号の出力を停止させる停止時間としての時間aであって、例えば燃焼用送風機24の回転数が強燃焼に相当する回転数(例えば1900rpm以上)のときを例にとれば0.1秒間である。
【0050】
ここでon time出力が終了するまで燃焼を継続する場合の燃焼モードは、消火信号が出力される直前の燃焼モード(例えば固定燃焼モード)であり、燃焼モードに応じてポンプ信号のオンオフ周期が変化するようにしてあり、図7a)のタイムチャートにその信号変化の推移を示しているように、例えばオンオフ周期をT1、on timeをT2とし(自動的にoff timeはT1−T2となる)、off time中(図7a)のT1期間中)に運転切スイッチ14の操作がなされたとすると、この期間(特にoff time)が終了して次のon timeが終了した時点で、燃焼用送風機24の駆動信号(位相制御信号)が停止される。即ち、ポンプ信号がどの状態で運転切スイッチ14が操作されるかによって、この燃焼用送風機24の駆動信号(位相制御信号)が停止されるまでの時間が変化する。但し、最大でもオンオフ周期T1であることはいうまでもない。
【0051】
次にステップS35で所定時間aが経過したか否かが判断され、所定時間aが経過するまで継続し、所定時間aが経過すればステップS36で減速信号を出力し、次のステップS37で減速時間としての一定時間bをセットし、ステップS38で一定時間bが経過したか否かが判断され、一定時間bが経過するまで継続し、一定時間bが経過すればステップS39で燃焼用送風機24及び対流用送風機25の駆動信号を再び供給(即ち再駆動)して、ステップS14へ移行する。
【0052】
尚、再駆動信号を停止するまでの時間の起点は、運転切スイッチ14が操作された時点にあわせてあり、この起点から時間A+Bよりも大きい時間C(これをポストパージ時間という)の経過後に両送風機24、25を停止するようにしている。ただし再駆動信号の供給開始及び及び停止の両方を同期させる例を示したが、本実施例に限定されるものではなく、開始の時期が同じでも停止の時期を互いに異ならせる(例えば燃焼用送風機24を対流用送風機25よりも後に停止させたり逆に先に停止させたりする)ようにしてもよい。
【0053】
ここで、一定時間bは、燃焼用送風機24の回転数を強制的に下げる(即ちブレーキ制御する)ように、例えば半波整流された信号(これをロック信号という)を出力する時間(これをロック時間といい、例えば所定時間aが0.1sのとき680ms)となるものであり、この一定時間bも所定時間aと同様にEEPROM12に記憶されたデータの中から直前の燃焼量に応じて適宜選択された時間である。
【0054】
このように、燃焼用送風機24の位相制御信号を停止することで送風機24の回転数は慣性力で徐々に低下するが、ポンプ信号がOFFへ切り替えられてから所定時間a後に燃焼用送風機24をブレーキ制御したことで、燃焼用送風機24の回転数の低下速度が速くなり、消火動作時における失火寸前の混合ガスの濃度を燃えやすい適切な状態にすることができた。
【0055】
また、A+Bの時間だけ対流用送風機25の駆動信号(位相制御信号)を停止することで、送風機25の回転数は慣性力で徐々に低下するため、通常の消火動作の開始初期時における対流用空気による混合ガスへの悪影響を抑制することができた。
【0056】
ここでは、ポンプ信号がOFFに切り替わると同時に位相制御信号を停止する例を示したが、これに限定するものではなく、例えばポンプ信号のOFF後も位相制御信号を継続してOFFから所定時間A後に減速信号を出力させても良い。
【0057】
また、あたかもポンプ信号のOFFによる電磁ポンプ23の停止動作に伴う燃料の減少速度にあわせるように、燃焼用送風機24をOFF信号の起点から所定時間Aだけ遅らせてブレーキ制御することによって、燃焼用空気の量も急激に減少させることができ、混合ガスの濃度が適切になって混合ガスが燃えやすい(換言すれば燃え切りやすい)状態を意識的に作ることができる。
【0058】
このため、消火時に気化器から炎形成部にかけての空間に滞留しやすい若しくは滞留した混合ガスを燃やす切ることが可能となり、従来のように飛び火(炎のリフティング)現象の後に失火して炎形成部から未燃ガスが排出されることを抑制防止することができ、結果的に消火(失火)時の臭いを従来よりも抑制できた。
【0059】
一方、ここで上述の停止時間としての所定時間aと後述の減速信号を出力する一定時間bとの間の相関関係について簡単に説明すると、消火操作が行われる前の燃焼量が大きければ大きいほど所定時間aは短く一定時間bは長くなり、小さければ小さいほど所定時間aは長く一定時間bは短くなるようにあたかも両時間が反比例するかのように、燃焼量に基づいて所定時間a及び一定時間bを自動的に変化させるために減速信号(減速信号)を出力している。
【0060】
具体例を挙げると、燃焼用送風機の回転数が強燃焼に相当する回転数(例えば1900rpm以上)のときは、所定時間aが0.1sで一定時間bが680msとなる。中燃焼に相当する回転数(例えば1680rpm以上1900rpm未満)のときは、所定時間aが0.27sで一定時間bが600msとなり、弱燃焼に相当する回転数(例えば1050rpm以上1680rpm未満)のときは、所定時間aが0.32sで一定時間bが520msとなる。さらに、微弱燃焼に相当する回転数(例えば1050rpm未満)のときは、所定時間aが0.65sで一定時間bが380msとなる。
【0061】
このように、燃焼用送風機24の駆動信号を停止する時間(即ち所定時間a)と減速制御をする時間(即ち一定時間b)とが消火指令が出される直前の燃焼量(燃料と燃焼用空気の混合ガスの混合比率)に基づいて制御装置10で自動的に決定及び変化させるようにしたので、燃焼用空気を供給する燃焼用送風機24の消火直前の運転状況(即ち燃焼用空気の量)に応じた減速制御を実現することが可能となり、消火時の空気過多を抑制することとともに、どんな燃焼モードで消火操作がなされても、混合ガスを燃やし切ることが可能となり、未燃ガスの発生量を従来の消火動作よりも抑制できた。
【0062】
さらに、一定時間bの経過後に燃焼用送風機24及び対流用送風機25を再駆動するので、失火させてから速やかにポストパージ運転に移行することができる。尚、ポストパージとは消火動作(詳しくは失火)後に燃焼部、遮熱用の板(例えばシェルタ)及び液体燃料供給装置(詳しくはノズル)を冷却すると共に燃焼部に滞留した未燃ガスを排出するための送風動作のことである。
【0063】
他方、ステップS31で運転切スイッチ14の操作以外(即ち器具異常)による消火信号と判断した場合は、ステップS40で即座に電磁ポンプ23の駆動を停止するいわゆる異常発生時の消火シーケンスを開始して、ステップS39で燃焼用送風機24及び対流用送風機25の駆動信号を再び供給(即ち再駆動)して、ステップS14へ移行する。因みに、この異常発生時の消火シーケンスでは、異常内容を別途表示するようにすれば使用者に対して親切である。
また、図7b)のタイムチャートにその信号変化の推移を示しているように、上述と同じ時点でエラー信号が発生した場合には燃焼モードに関係なく即座に電磁ポンプ23のON信号が停止される。
【0064】
このように、温風暖房機Hに何らかの異常が発生したこと(即ちエラー)を検出した場合には、制御装置10が即座に電磁ポンプ23、燃焼用送風機24及び対流用送風機25をそれぞれ消火動作に移行させるので、このエラー発生時は臭いを抑制する制御を行うよりも安全性を重視したいわゆるフェイルセーフの制御を行うことができ、燃焼の継続で危険性が増すことを抑制でき、安全性を向上できた。
【0065】
【発明の効果】
請求項1に記載の温風暖房機によれば、燃料の混合比率を所定時間だけ通常時よりも高い側に強制的に固定することで、点火トライアル期間の初期における風量を抑えて混合ガスの噴出速度を遅くすることができ、その結果、炎形成部における炎はリフト気味で発生するのではなく炎形成部全体に広がるようにして発生させることができ、炎形成部での火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、この期間における未燃ガスの発生が少なくなった。
【0066】
また、所定時間の経過後に混合比率を通常燃焼時の混合比率に近づけるように空気の量を段階的に増大させることで点火時における炎が発生するときの音を小さくすることができ、風量の急激な変化による炎形成部と炎の急激な温度変化を抑制することができ、結果的に炎形成部の温度を徐々に上昇させることが可能となり、炎の状態が不安定なままで継続する時間が減り、点火動作初期時におけるリフト気味な炎の生成を抑制でき、リフト気味の炎があるときに燃えないで噴出される混合ガス即ち未燃ガスの量をも抑制することができ、点火動作時の臭いを一段と低減できた。
【0067】
さらに、点火動作開始から遅延して対流用送風機を動作させることにより、点火させるときの炎形成部における混合ガスに対する風の影響をなくすことができると共に、流用送風機の風で燃焼用送風機による混合ガスの適当な流れが乱されることがなくなり、着火遅れや飛び火(炎のリフティング)現象も発生しなく若しくは発生しにくくなって、この着火遅れやリフティングに伴う未燃ガスの発生を抑制できた。
【0068】
請求項2に記載の温風暖房機によれば、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間を、第1のモードと、第2のモードと、第3のモードとの三モードで構成したことにより、点火動作初期の混合ガスの噴出速度が従来よりも遅くなり、炎形成部における火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、特に第1のモードにおける未燃ガスの発生量が少なくなって、点火時の臭いが減った。
【0069】
請求項3に記載の温風暖房機によれば、燃料供給装置(例えば電磁ポンプ)は装置の先端(例えばプランジャー若しくはノズルの先端)から燃料を出し切った状態で止まることとになり、消火時に先端(ノズル)から出る燃料の量を常に一定に維持できることに加え、先端部分における油のきれが良くなり、燃料供給装置の惰性(若しくは慣性)による油だれがなくなった。
【0070】
また、燃焼用送風機を所定時間後に減速制御するようにしたので、燃焼用送風機の回転数を従来よりも急激に低下させることが可能となることに加え、消火動作時において炎形成部に供給される混合ガスの噴出速度を抑えて消火することができるようになり、燃料供給装置の停止で減少する燃料の速度に合わせたブレーキ制御を行うことが可能となり、燃料の混合比率を従来よりも高くするとともに混合比率が高いままで安定させることができ、混合ガスが燃えやすい状態を作ることができるようになった。
【0071】
さらに、燃焼用送風機及び対流用送風機を固定風量で再起動することで温度の高いバーナの熱影響でノズル先端が加熱されるのを抑制することができ、消火後の未燃ガスの発生を抑制して、結果的に臭いの発生を抑制できた。
【0072】
請求項4に記載の温風暖房機によれば、温風暖房機に何らかの異常が発生したことを検出した場合には、制御装置が即座に消火動作に移行させるので、この異常発生時には臭いを抑制する制御を行うよりも安全性を重視したいわゆるフェイルセーフの制御を行うことができ、臭い抑制のための燃焼の継続で危険性が増すことを抑制できる。
【0073】
請求項5に記載の温風暖房機によれば、点火動作期間を、第1のモードと、第2のモードと、第3のモードとの三モードで構成したことで、点火動作初期の混合ガスの噴出速度が従来よりも遅くなり、炎形成部における火移りが従来の点火動作よりも短時間でしかも確実に行えるようになり、特に第1のモードにおける未燃ガスの発生量が少なくなって、点火時の臭いが減り、消火動作期間を、第4のモードと、第5のモードと、第6のモードと第7のモードとの四モードで構成したことで、消火時には燃料供給装置の先端から燃料を出し切った状態で止めると共に先端部分における油のきれを良くし、燃焼用送風機の回転数を従来よりも急激に低下させて炎形成部に供給される混合ガスの噴出速度を抑えて消火すると共に燃料の混合比率を高いままで安定させて混合ガスが燃えやすい状態を作り、さらに、温度の高いバーナの熱影響で先端部分が加熱されるのを抑制しつつ消火後の未燃ガスの発生を抑制することができ、結果的に消火時の臭いが減った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す温風暖房機として石油ファンヒータの全体構成を示す断面図である。
【図2】同じく液体燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を制御する制御手段を中心とする制御装置のブロック回路図である。
【図3】同じく制御手段の制御動作の概略を示すフローチャートである。
【図4】図3の点火動作シーケンスの概略を示す本発明の主要なフローチャートである。
【図5】図4の点火動作シーケンスにおける信号の概略変化を示すタイムチャートである。
【図6】図3の消火動作のシーケンスにおける概略を示す主要なフローチャートである。
【図7】図6の消火シーケンスにおける信号処理の概略を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
H 石油ファンヒータ(温風暖房機)
S 制御装置
11 マイコン(制御手段)
21 気化ヒータ(気化器)
22 点火プラグ(点火装置)
23 電磁ポンプ(燃料供給装置)
24 燃焼用送風機
25 対流用送風機
Claims (5)
- 燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させ、この燃焼ガスを温風として対流用送風機で室内に排出して暖房を行う温風暖房機において、点火トライアル期間における最初の所定時間だけは燃焼用空気の量を通常の燃焼時よりも少なくして強制的に燃料の混合比率を高めると共に、前記炎形成部からの混合ガスの噴出速度を抑制し、前記所定時間の経過後に燃料の混合比率を通常燃焼時の混合比率に近づけるように燃焼用空気の量を段階的に増大させ、前記点火トライアル期間における最初の所定時間よりも短い一定時間の経過後に対流用送風機を運転させる制御装置を備えたことを特徴とする温風暖房機。
- 燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させ、この燃焼ガスを温風として対流用送風機で室内に排出して暖房を行う温風暖房機において、燃焼用送風機、対流用送風機、燃料供給装置及び点火装置の動作を制御する制御装置は、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間における動作制御として、燃料供給装置を駆動してから第1の所定時間を燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードとし、その後の第2の所定時間を混合比率が第1のモードの混合比率よりも高く通常燃焼時の混合比率よりも低い第2の混合比率とする第2のモードとし、続いて通常燃焼時の混合比率に安定させる通常モードとすることを特徴とする
- 交互に供給されるオン信号とオフ信号に基づいて動作する燃料供給装置で供給された液体燃料を気化器で気化し、この気化ガスを燃焼用送風機からの燃焼用空気と混合し、この混合ガスに点火装置で点火して炎形成部にて燃焼させ、この燃焼ガスを温風として対流用送風機で室内に排出して暖房を行う温風暖房機において、運転切スイッチによる消火操作時には、少なくとも燃料供給装置のオン信号からオフ信号に切り替わるまでは前記燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を運転させ、燃料供給装置へのオフ信号供給に合わせて燃焼用送風機及び対流用送風機への駆動信号を停止し、この駆動信号の停止から所定時間の経過後に燃焼用送風機を減速制御する減速信号を出力し、燃焼用送風機が停止しないうちに燃焼用送風機及び対流用送風機をそれぞれ固定風量で駆動する駆動信号を出力する制御装置を備えたことを特徴とする温風暖房機。
- 温風暖房機に何らかの異常が発生したことを検出した場合には制御装置は即座に消火動作に移行させることを特徴とする請求項3に記載の温風暖房機。
- 燃焼用送風機、対流用送風機、燃料供給装置及び点火装置の動作を制御する制御装置は、燃焼用送風機を駆動してから燃料供給装置を駆動し燃料の混合比率が安定するまでの点火動作期間における動作制御として、燃料供給装置を駆動してから第1の所定時間を燃料の混合比率が通常燃焼時の混合比率よりも高い第1のモードとし、その後の第2の所定時間を混合比率が第1のモードの混合比率よりも高く通常燃焼時の混合比率よりも低い第2の混合比率とする第2のモードとし、続いて通常燃焼時の混合比率に安定させる通常モードとするとともに、運転切スイッチによる消火操作時の消火動作期間における制御装置として、消火操作時から燃料供給装置のオン信号からオフ信号に切り替わるまで間を燃料供給装置、燃焼用送風機及び対流用送風機を運転させる第4のモードとし、燃料供給装置へのオフ信号供給後の所定時間を燃焼用送風機及び対流用送風機への駆動信号を停止する第5のモードとし、所定時間経過後からの一定時間を燃焼用送風機を減速制御する減速信号を出力する第6のモードとし、続いて燃焼用送風機が停止しないうちに燃焼用送風機及び対流用送風機をそれぞれ固定風量で駆動する駆動信号を出力する第7のモードとすることを特徴とする温風暖房機。
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