JP4338087B2 - 味噌とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、日本人にとっては必需の調味料である味噌並びに味噌の製造方法に関する。
味噌は、平安朝後期からは米類を使って短期間に醸造できる米味噌が全国に普及し、以来各地で独自の味噌が作られ、伝承されて多くの銘柄が生まれたという。
味噌の原料もいろいろと提案され、実用化されているが、大豆や精米、玄米、麦などが採用されている。また、味噌は長期の保存性が要求されることから、例えば特開平5−236901号公報に記載のように、蒸煮大豆を擂砕すると共に適宜な加塩を行い、所定の大きさの味噌玉に成型した後、一旦その表面に麹菌によるカビ付けを行い、これを加熱殺菌包装してなる味噌玉と、麹及び酵母材とからなり、特に麹及び酵母材を所定の酵素力価を備え且つ乾燥すると共に包装した麹と、所定の保存可能状態とした包装酵母材とした手造り味噌セットを提案し、風味豊かな減塩味噌の家庭での製造を容易とすると共に、更に日持ちを長くし流通過程での取り扱いを容易としたことが公開されている。
また、特開平6−56188 号公報に記載のように、食料品の中で特に味噌特有の紫外線による酸化を防止すると同時に、その内容物を外部から目視できる透明のブラスチックを使用するために、容器本体に当該容器本体上縁部を被覆する蓋体と、当該本体内に封入された味噌の上層部と蓋体の間に有する空間を分断するシール材を有し、当該シール材の一部に味噌内部に貫通する呼吸弁を配し、少なくとも容器本体が非結晶質のPET樹脂であって、当該樹脂に紫外線防止剤と着色顔料を添加したことを特徴とする味噌容器も公開されている。
さらに、特開2002−272407号公報に記載のように、味噌製造時における蓋味噌の発生を無くし、材料の無駄を少なくするために、適宜容量の発酵容器と発酵容器を密閉できると共に、リリーフ弁機能を有する蓋体とを備え、容器内に所定の原料を収納して常法どおり発酵させると共に、切り返し時以外は前記蓋体を密閉装着して発酵を促進させてなることを特徴とする味噌の製造方法が公開されている。
味噌の味覚向上の目的では、特開平10−201443号公報に記載のように、鰹節風味を備え、かつ、核酸系成分による旨みを持続する新たなタイプの容器入り味噌、及びその製造方法を提供するために、文字通りの「鰹本仕込み味噌」及び「生きた味噌」を製造すべく、蒸煮済みの大豆と麹菌を種付けした米とを混合する仕込工程では塊状の鰹節をネットに入れて仕込む、この状態で発酵工程を行い、鰹節からイノシン酸などの旨味成分を味噌中にしみ出させる、味噌を小分けする際には容器内に味噌とともに少なくとも1本の塊状の鰹節を入れておく、この味噌は、出汁入り味噌の一種であるが加熱処理を行っていないので、フォスフォターゼがイノシン酸などの旨味成分を消失させてもこのような旨み成分は塊状の鰹節が補給し続けるという発明が公開されている。
特開平5−236901号公報 特開平6−56188 号公報 特開2002−272407号公報 特開平10−201443号公報 特開昭63−179899号公報
しかしながら、特開平5−236901号公報に記載のように、麹菌によるカビ付けを行なった後に加熱殺菌包装することは、味噌本来の味覚を犠牲にすることになり、また脱酸素剤と共に包装することは、化学薬品の使用につながり、消費者に敬遠される。
透明合成樹脂に紫外線防止剤や着色顔料を添加したPET樹脂を用いた容器は、味噌色が酸化褪色するのを相殺するような色に着色する材料を選択したことによる効果は認められるが、特殊の樹脂を用いるため、高価な容器を用いることになる。
蓋味噌の発生を防止するために、リリーフ弁機能を持たせる構造も、特殊の構造が必要となり、普及が期待できない。味噌の仕込みの際に、鰹節の塊を埋め込んでおくことは、味覚の向上のためには有効であるが、味噌自体の品質向上は望めない。
ところが、味噌の製造の際には、麹立ての際の麹の成長のタイミングに合わせて、大豆と混合したり、仕込み後の熟成段階におけるガス抜きのタイミングを見計らうことが、味噌自体の品質を向上する上で肝要なことであり、長年の熟練を要する。また、麹の原料を蒸煮した状態における米などが、麹立てに適した状態にかつ均一に維持することが困難なため、麹立てを円滑に進行可能な技術の開発も要求されている。
味覚向上の目的で鰹節を埋め込むことは、製造工数が増えるだけでなく、高価な鰹節を要し、加えて鰹節の付近だけしか味覚向上できない。また、鰹節に限られるため、味覚が鰹節味に限定されるほか、日本人が毎日食する味噌からバランスの良い栄養価を摂取することなどは困難である。
本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、味噌自体の品質の向上を実現し、また熟練を要せずに素人でも製造可能な簡易な製造技術を実現し確立することにある。
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、食塩で発酵を止めた麹と、少なくとも、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込んで製造してなることを特徴とする味噌である。
通常の手法で米などを蒸煮して麹立てするだけでは、水っぽくなって団子状に固まったりするため、全体に通気性が悪く、均質でしかも良好な麹立てが困難であるが、請求項1のように、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、食塩で発酵を止めた麹と、少なくとも、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込んで製造してなる味噌によると、サラサラのすりゴマや米ぬか分に余分な水分が吸収され、しかも粘性の無いすりゴマや米ぬか分が介在するため、通気性が良く、団子状の固まりが発生せず、全体的に均一に空気を含んで弾力に富み、かつ水っぽさが解消される。その結果、均質で通気性が良くなって、麹立てが円滑に進行でき、素人でも全体的に良質の麹立てが可能となる。米ぬか分や玄米とはと麦に、すりゴマが加わることで、栄養バランス的にも優れた味噌となる。
請求項2は、前記の玄米は、予め煎ってあることを特徴とする請求項1に記載の味噌である。
このように、予め煎ってから蒸煮すると、抗腫瘍活性物質を含んだ健康味噌を製造できる。また、精米と予め煎った米ぬかを併用すると、玄米の代用となる。このように煎ると、香り成分が発生するため、食欲をそそる、香ばしい味噌を製造できる。玄米を煎る場合、乾燥状態で若しくは洗ってから又は十分に浸漬してから煎ってもよい。発芽玄米の場合は、発芽のために数日間浸漬した結果、水分を含んだ状態で煎ることになるが、十分に乾燥させてから煎ってもよい。
請求項3は、少なくとも、1.6〜2.4kgの大豆を圧力鍋で蒸煮してから、食塩で発酵を止めた前記麹と混ぜてミンチにした状態で仕込んで製造してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の味噌である。
このように、蒸煮した大豆と麹を混ぜ、チョッパーやミンチ機にかけて破砕混合した後、図1のステップS10のように仕込み樽に入れて保管し、発酵を進行させて熟成すると、味噌が出来上がる。
請求項4は、味噌製造用の麹を製造する際に、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、冷却後に麹菌と混ぜて麹立てすることを特徴とする味噌製造用の麹の製造方法である。
玄米の場合は、発芽玄米を用いると、より効果的である。「すりゴマ」とは、硬い皮の内部の肉質部を露出させるために破砕したゴマのことであり、破砕手段の如何を問わない。玄米と米ぬかを併用してもよい。
通常の手法で米などを蒸煮して麹立てするだけでは、水っぽくなって団子状に固まったりするため、全体に通気性が悪く、均質でしかも良好な麹立てが困難であるが、請求項4のように、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、冷却後に麹菌と混ぜて麹立てする製麹法によると、サラサラのすりゴマや米ぬか分に余分な水分が吸収され、しかも粘性の無いすりゴマや米ぬか分が介在するため、通気性が良く、団子状の固まりが発生せず、全体的に均一に空気を含んで弾力に富み、かつ水っぽさが解消される。その結果、均質で通気性が良くなって、麹立てが円滑に進行でき、素人でも全体的に良質の麹立てが可能となる。米ぬか分や玄米とはと麦に、すりゴマが加わることで、栄養バランス的にも優れた味噌となる。
請求項5は、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、自然海塩で発酵を止めた麹と、少なくとも、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込むことを特徴とする味噌の製造方法である。発酵止めに使用する自然海塩はミネラル分が多い。
このように、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、自然海塩で発酵を止めた麹と、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込むため、発酵止めに使用する自然海塩の多量のミネラル分とすりゴマや玄米、はと麦の各成分とを含む味噌を製造できる。
通常の手法で米などを蒸煮して麹立てするだけでは、水っぽくなって団子状に固まったりするため、全体に通気性が悪く、均質でしかも良好な麹立てが困難であるが、請求項1のように、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、食塩で発酵を止めた麹と、少なくとも、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込んで製造してなる味噌によると、サラサラのすりゴマや米ぬか分に余分な水分が吸収され、しかも粘性の無いすりゴマや米ぬか分が介在するため、通気性が良く、団子状の固まりが発生せず、全体的に均一に空気を含んで弾力に富み、かつ水っぽさが解消される。その結果、均質で通気性が良くなって、麹立てが円滑に進行でき、素人でも全体的に良質の麹立てが可能となる。米ぬか分や玄米とはと麦に、すりゴマが加わることで、栄養バランス的にも優れた味噌となる。
請求項2のように、予め煎ってから蒸煮すると、抗腫瘍活性物質を含んだ健康味噌を製造できる。また、精米と予め煎った米ぬかを併用すると、玄米の代用となる。このように煎ると、香り成分が発生するため、食欲をそそる、香ばしい味噌を製造できる。玄米を煎る場合、乾燥状態で若しくは洗ってから又は十分に浸漬してから煎ってもよい。発芽玄米の場合は、発芽のために数日間浸漬した結果、水分を含んだ状態で煎ることになるが、十分に乾燥させてから煎ってもよい。
請求項3のように、蒸煮した大豆と麹を混ぜ、チョッパーやミンチ機にかけて破砕混合した後、図1のステップS10のように仕込み樽に入れて保管し、発酵を進行させて熟成すると、味噌が出来上がる。
通常の手法で米などを蒸煮して麹立てするだけでは、水っぽくなって団子状に固まったりするため、全体に通気性が悪く、均質でしかも良好な麹立てが困難であるが、請求項4のように、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、冷却後に麹菌と混ぜて麹立てする製麹法によると、サラサラのすりゴマや米ぬか分に余分な水分が吸収され、しかも粘性の無いすりゴマや米ぬか分が介在するため、通気性が良く、団子状の固まりが発生せず、全体的に均一に空気を含んで弾力に富み、かつ水っぽさが解消される。その結果、均質で通気性が良くなって、麹立てが円滑に進行でき、素人でも全体的に良質の麹立てが可能となる。米ぬか分や玄米とはと麦に、すりゴマが加わることで、栄養バランス的にも優れた味噌となる。
請求項5のように、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、自然海塩で発酵を止めた麹と、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込むため、発酵止めに使用する自然海塩の多量のミネラル分とすりゴマや玄米、はと麦の各成分とを含む味噌を製造できる。
次に本発明による味噌の製造方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は、本発明による味噌の製造方法を工程順に説明するフローチャートである。ステップS1からステップS8は麹の製造工程であり、原料として玄米を用いる場合は、まずステップS1のように、玄米を用意して水に浸漬する。このとき、ステップS2のように数日間、一定温度の水に浸漬すると、ステップS3のように、発芽玄米となる。発芽の程度は、浸漬時間で設定できる。発芽することで、玄米には含まれていない優れた成分が増えることが知られているので、人体の健康維持の上でも有効である。予め水に浸漬した通常の玄米又は発芽玄米と、水に浸漬して水分を吸収させたはと麦と、すりゴマに、水を加えて圧力鍋で約5分間蒸煮する。すりゴマは、炒ったゴマを破砕するのがよい。
琉球大学医学部名誉教授の伊藤悦男医学博士の発明に係る特開昭63−179899号公報の記載によると、米ぬかを加圧加熱処理してから熱水抽出すると、抗腫瘍活性物質が得られることが実験の結果明らかになったという。また、米ぬか分が付いたままの玄米を用いた場合も同様であるという。したがって、本発明においても、通常の玄米や発芽玄米を用いる場合に、予め煎ってから蒸煮すると、抗腫瘍活性物質を含んだ健康味噌を製造できる。また、精米と予め煎った米ぬかを併用すると、玄米の代用となる。このように煎ると、香り成分が発生するため、食欲をそそる、香ばしい味噌を製造できる。玄米を煎る場合、乾燥状態で若しくは洗ってから又は十分に浸漬してから煎ってもよい。発芽玄米の場合は、発芽のために数日間浸漬した結果、水分を含んだ状態で煎ることになるが、十分に乾燥させてから煎ってもよい。米ぬかは、粉末化したものを用いてもよい。なお、米ぬかを用いる場合は、米ぬかがすりゴマと同様に水分を吸収するので、すりゴマを省くこともできる。
以上のように、予め煎った米ぬかや玄米とはと麦とすりゴマの蒸煮を完了した後、ステップS4のように急冷して、麹の床にする。そして、ステップS5のように、合成樹脂製の密封容器に入れて、麹菌と混合する。均一に混合した後、ステップS6のように、別の合成樹脂の密封容器に入れて、麹立てする。この際に使用する密封容器は、合成樹脂製で四角い浅底の容器1が適している。この密封容器1の使用に際しては、図2のように、四角容器1の底に、新聞紙2と簀の子3を敷き、その上に、バスタオルなどの厚布4を敷く。次いで、前記の麹菌と混合後の玄米5をさらし布6に移した状態で、前記の厚布4の中に包み込む。そして、さらに新聞紙を被せてから、最後に密封蓋を被せて密閉する。これによって、外部との断熱性が確保され、保温が維持されるため、麹立てが円滑に進む。密閉のとき部分的に通気口を残して、外部との通気を確保するので、麹立てに必要な外気を取り込める。密閉蓋8は、ポリエチレン樹脂からなり、柔軟性に富むため、密閉蓋8の1箇所の角部のみ、四角容器1から引き離して開けたり、対角線上の2箇所の角部を四角容器1から引き離したりすることによって、容易に通気口を残すことができる。なお、四角容器1は、ポリプロピレン樹脂製である。
こうして密閉した状態にしておくと、内部で発酵が進行するに伴って、6〜24時間(夏場は短時間、寒冷時は長時間)程度経過すると、密封蓋の内面やシール部に水滴が付着してくる。この際の水滴の付着具合を見て、発酵の進行程度を判断するのに利用する。すなわち、密閉蓋のシール部に霧吹き状の水滴がつき始めると、発酵の始まりである。この頃合いを見計らって、ステップs2のように、大豆を浸漬する。このときの浸漬水は、大豆に吸水させるのに必要最小限の量とし、余分の水を用いない。
こうして約8時間浸漬すると、水分を十分に吸収する(余分の水を用いないので、大豆に吸水しきれないで残ることはない)ので、ステップs3のように圧力鍋で20〜25分間蒸煮する。浸漬に必要最小限の水しか使用しないので、大豆の有効成分が余分な水と一緒に逃げることはない。こうして蒸煮完了した頃に、ステップS7の麹立て工程における密閉蓋の内面がびっしょり濡れてシール部に流れる程度に水滴が発生する頃には、麹ができ上がっている。この頃合いを見て、ステップS8のように、別の合成樹脂容器中において、出来上がった麹に食塩をまぶして発酵を止め、かつ蒸煮後に自然冷却した大豆と混合する。
このように大豆と麹を混ぜた後、破砕混合してから合成樹脂製の樽に仕込むが、健康維持に有効な薬膳味噌を製造する場合は、ウコン又はショウガを混ぜるのがよい。すなわち、前記のようにして蒸煮した後の大豆に混ぜてから、麹と混ぜる。あるいは、蒸煮前の大豆に混ぜて、大豆と一緒に蒸煮してもよい。混ぜる際のウコンやショウガは、磨り潰した状態がよいが、ぶつ切り状態でもよい。磨り潰した状態で大豆と混ぜると、渾然一体の状態の味噌となるが、ぶつ切り状態で混ぜた場合は、出来上がった味噌からウコンやショウガを取り出して用いることもできる。すなわち、ウコンやショウガのみそ漬けとなる。なお、ウコンの種類には、春ウコンや秋ウコン、紫ウコン(ガジュツ)などがあるが、これらのどの種のウコンを用いてもよい。ウコンは、種々の薬効が有ることは既に知られている。また、ショウガも殺菌殺虫効果や保温効果、抗酸化作用などが有ることは知られている。したがって、これらを混ぜることで、薬膳味噌を実現できる。
前記のように大豆と麹を混ぜ、また必要に応じてウコンやショウガを混ぜた状態で、そのまま仕込んでもよいが、通常はステップS9のように、チョッパーやミンチ機にかけて破砕混合した後、ステップS10のように仕込み樽に入れて保管し、発酵を進行させて熟成すると、味噌が出来上がる。本発明の場合、仕込み樽も合成樹脂製を用いる。図3は、仕込み樽の断面図である。仕込み樽7も密閉蓋8も合成樹脂である。仕込み樽7の上端縁は上開き状のテーパ状になっており、密閉蓋8の内面外周は、仕込み樽7の上端縁がぴったりと嵌入できるように、仕込み樽上端縁と同じ向きのテーパ状の凹溝になっている。しかも、この密閉蓋8は、ポリエチレン樹脂などのような柔軟性に富んだ材質でできているため、図のように密閉した状態では、密封力が強く、気密が確保される。
この密閉蓋8は、蓋板部81が仕込み樽内部に向けて凹状となるように、仕込み樽内部に引っ込んだ形状に構成してある。しかしながら、材質が柔軟なため、仕込み樽7の内側から押し上げると、鎖線で示すように外側に凸状となるように反転した形状に変形できる。したがって、仕込み樽8中の味噌が発酵してガスが発生すると、そのガス圧の上昇によって、実線状態の蓋板81が次第に外側に変形し、遂には鎖線で示すように、外側に膨らんだ状態となる。こうして膨らんだ状態になると、内部に発酵ガスが充満しているので、取っ手82を摘んで密閉蓋8を強引に引き上げて解放し、内部のガスを放出させる。このようにして、密閉蓋8の状態を観察し、タイミング良く密閉蓋8を開けて、溜まったガスを出すことが、良質の味噌を作る上で大事である。ガス放出後、再度密閉蓋8を閉じて、蓋板81を凹状に状態にしておく。こうてし、約3か月経過すると、美味しい自然味噌が出来上がる。この間に、密閉蓋8を解放してガス抜きするのは、2〜3回程度である。
仕込みの際は、ミンチ後の味噌を大きめの団子に空気を抜きながら作り、あらかじめ酒塩で内面を消毒した仕込み樽7中にどんどん詰めていく。最後に表面に酒塩をしてから、鎖線で示すラップ(合成樹脂フィルム)9を被せる。次に、わさびをピンポン玉大に握った玉10を前記のラップの上に載せておいてから、密閉蓋8を閉じると、雑菌の繁殖やカビの発生を防止できる。なお、タッパー(登録商標)と呼ばれる合成樹脂製容器の密閉力を利用すれば、図2、図3の密閉容器としてそのまま使用できる。
このように、仕込む際に、ペースト状にした青梅又は梅干しを混ぜてから、密封樽7に仕込むことによって、ウコン又はショウガとは異なった薬効が期待できる。すなわち、梅肉は、クエン酸、リンゴ酸その他の各種有機酸が豊富で、これらの相乗効果が作用して、疲労回復や食中毒予防、食欲増進、整腸効果、老化防止、骨の強化などの効果が期待できると言われている。また、青梅又は梅干しの殺菌効果によって、仕込み樽7中における腐敗抑制も期待できる。なお、青梅や梅干しは、ペースト状にしないで、果実の状態で混ぜることもできる。
青梅や梅干、ウコンやショウガ以外の薬効物質を混ぜて味噌を製造することも可能である。したがって、薬草その他の薬効物質であれば、何を混ぜても薬膳味噌を実現できる。薬草その他の薬効物質とは、前記のウコンや梅肉などのような陸上の薬用植物でもよいし、乾燥モズクや乾しシジミなどのような海中の動植物でもよい。そして、これらの薬効物質を、麹と大豆とを混ぜる段階で混ぜると、大豆と一緒に発酵されるし、密封樽に仕込む段階で混ぜると、味噌と一緒に熟成される。しかしながら、これら以外の任意の段階で混ぜることも可能である。
本発明による製法は、前記のような合成樹脂製の密閉容器を用いることで、外気と共に雑菌が侵入するのも抑制でき、自家製の手作り味噌を簡易にかつ円滑に作るのに最適であるが、大型の樹脂製密閉容器を利用すれば、大量生産もできることは言うまでもない。また、手作業の部分を全部又は一部を機械化もできる。麹の原料も、玄米に限らず、精米を用いてもよい。なお食塩は、ミネラル分の多い自然海塩、特に沖縄産のぬちマース(登録商標)を使用することが望ましい。
以上のようにして製造した味噌を利用して、各種の漬物もできる。例えば、生のパパイヤやキュウリ、タマゴの黄身、大根、ニンジンなどを前記の本発明の味噌に埋め込んでおくと、一夜漬けができる。もちろん、もっと長時間漬けてもよい。また、チーズや獣肉、魚などの漬物も可能である。なお、鰹節の塊、乾し昆布、うこんの根茎、梅等の場合は、仕込み時から漬け初めて、長時間漬けるのがよい。
味噌漬けは、本発明の味噌を利用したぬか味噌漬けも可能である。米ぬかや鰹節、じゃこ、食塩、わさびなどと本発明の味噌と混ぜて味噌床を作り、きゅうりやニンジン、大根、なすなどの野菜を漬けて、一夜漬けにする。漬物からの浸出液で味噌床の水分が増えたら、その都度、米ぬかを加えることで、何度も繰り返し漬物ができる。このように、味噌に米ぬかを混ぜるため、甘味に富んだ漬物ができる。したがって、この味噌床自体を、味つきの味噌又は調味用味噌にしてもよい。この場合、パッションフルーツを割ったりして果肉内面を露出させた状態で漬けておくと、パッションフルーツの香りつきの味噌となる。こうして、漬物として使用した後は、漬物の成分もしみ込んでおり、米ぬかも入っていて、栄養価も富んでいるので、そのままみそ汁に利用したり、タレとしても利用できる。
本発明による高品質味噌は、調理の段階で揚げ物に加えると、予期しない効果を奏する。例えば、沖縄伝統の砂糖天ぷら(サーターアンダーギー)は、小麦粉を溶いて、卵と砂糖を加えてボール状に丸めて、油で揚げるが、小麦粉に本発明の味噌を適量混ぜておくと、揚げた後に、ほのかな香りとわずかな味噌味がする。和風の天ぷらにおいて、衣に本発明の味噌を混ぜておくことも可能。なお、本発明の味噌をあん状に中心部に包み込むこともできる。
豚カツを揚げる場合に、溶いた卵に本発明による味噌を適量混ぜておき、これを豚肉に塗った状態でパン粉を付けて揚げると、味噌味のついた豚カツとなる。したがって、ソースやタレを付けなくても、そのまま食べることができる。なお、コロッケの中に本発明の味噌を入れることもできる。
このように、調理の段階で揚げ物に本発明の健康味噌を加えてあるため、油で揚げる際の熱で味噌の香りが引き出される。そして、その状態で包み込まれているので、食べる際に味噌の香りが口中に広がって食欲がそそられる。油分の多い揚げ物ではあるが、すりゴマや米ぬか分を用いた健康味噌を加えてあるため、安心して揚げ物を食べることができる。特に、観光土産品としても人気のある砂糖天ぷらの場合は、長寿県沖縄のイメージアップや砂糖天ぷらの新商品開発の上でも、本発明による健康味噌を加えることは非常に有効である。沖縄特産の油脂分を含む「ちんすこう」も、予め本発明の味噌を混ぜ込むこともできる。
また、本発明の味噌を利用して、味噌汁風調味料や即席味噌汁の素を製造することもできる。味噌汁風調味料を製造するには、前記のようにして製造した本発明の味噌約1kg、鰹節300g、だし昆布100g、シイタケ100g、水4リットルを寸胴鍋に入れて、水が半分位になるまで煮沸する。そして、木綿の袋で漉してから、味噌を混ぜる。次いで、みりんと食塩で味を調整した後、2度、漉し布で濾過すると完成である。この味噌汁風調味料は、容器に入れて冷蔵庫で保管しておくと、醤油やソースを使用する要領で手軽に使用できる。
即席味噌汁の素は、もどしシイタケや豚肉のミンチ、鰹節の粉、ジャコの粉などと、シイタケのもどし汁を合わせて、電子レンジなどで約5分間加熱する。そして、これに、本発明による味噌と乾しわかめときざみネギを混ぜ込んで、平らな容器に詰め込んで、冷凍庫で保存しておけば、随時取り出して、湯をかけるだけで、即席味噌汁として使用できる。なお、小分けにして密封包装しておけば、市販用に商品化することもできる。
次に、各種の実施例を挙げておく。
実施例1「手作り味噌」
<材料と分量> 玄米・・・・ 2.5kg(2〜3kgでも可)
黒ゴマ・・・ 1カップ(0.8〜1.2カップでも可)
はと麦・・・ 500g(400 〜600gでも可)
こうじ菌・・ 小さじ1(0.8〜1.2さじでも可)
ぬちマース・ 750g(600 〜900gでも可)
黄大豆・・・ 1kg(0.8 〜1.2kgでも可)
黒大豆・・・ 1kg(0.8 〜1.2kgでも可)
以上の材料を用いて麹立てする場合の四角容器1は、縦48×横38.2×高さ15.8cm程度で容量18リットル程度が適している。また、仕込みに用いた仕込み樽7は、11リットル程度が適している。
実施例2「味噌漬け用味噌床」
<味噌床の材料と分量>
味噌 2カップ 粉わさび 小さじ1
米ぬか 2カップ ぬちマース 大さじ1
かつお節の粉 大さじ1
じゃこの粉 大さじ1
実施例3「味噌汁風調味料」
<材料と分量> 味噌 1kg
かつお節 300g
だし昆布 100g
みりん 2CUP
しいたけ 100g
水 4リットル
塩 100g
酒 70cc
作り方
1.だし汁を取る。
かつお節、しいたけ、だし昆布、水を寸胴鍋に入れて水が約半分になるまで煮る。
2.半分になったら、もめんの袋でこしてから、味噌をまぜる。
3.みりんと塩で味を調整した後、もう一度、こし布でこす。
※ 2リットルの容器に入れて冷蔵庫に保存し、随時使用する。
実施例4「即席味噌汁の素」
<材料と分量> 味噌・・・・・・・・1kg(半)
しいたけ・・・・・・3枚
しいたけのもどし汁・1/2カップ
豚のミンチ・・・・・250g
ジャコの粉(電子レンジで加熱殺菌)・・大1.1/2
かつおの粉(電子レンジで加熱殺菌)・・100g
干しわかめ・・・・・適宜
きざみねぎ・・・・・適宜
作り方
1.もどしたしいたけをみじん切りにして、もどし汁、豚のミンチ、ジャコの粉、かつおの粉と合わせて電子レンジで5分加熱し、混ぜてから、さらに5加熱する。
2.ボールに味噌、干しわかめ、きざみねぎを入れて、前記1.で混ぜたしいたけ等も混ぜ込んで、偏平容器につめこむ。
※ 1回分づつ切れこみを入れておけば、取り出しやすい。
※ 冷凍庫で保存する。
以上のように、本発明による味噌は、すりゴマ又は米ぬか分を混合したことによって、良質で安定した麹立てに成功した麹を用いた高品質の味噌となり、またすりゴマや米ぬか分の良質な栄養も摂取できる。しかも、本発明の製法によると、素人では困難な味噌製造時の管理やタイミングの判断などが容易にできるため、素人でも自家製の手作り味噌を楽しむことがでる。また自家製は、材料も自由に選択できるので、農薬などを使用しない原料を使用し、添加物も無く、安全な味噌を製造することができる。その結果、添加物が多用されていると言われる漬物も、安全な自家製にして、家族の健康維持に活用できる。
本発明による味噌の製造方法を工程順に示すフローチャートである。 麹立て用の合成樹脂製の四角形密閉容器の使用方法を示す斜視図である。 仕込み樽と密閉蓋の断面図である。
1 四角容器(密封容器)
2 新聞紙
3 簀の子
4 厚布
5 玄米
6 さらし布
7 仕込み樽
8 密閉蓋
81 蓋板
82 取っ手
9 合成樹脂フィルム
10 わさび玉

Claims (5)

  1. 少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、食塩で発酵を止めた麹と、少なくとも、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込んで製造してなることを特徴とする味噌。
  2. 前記の玄米は、予め煎ってあることを特徴とする請求項1に記載の味噌。
  3. 少なくとも、1.6〜2.4kgの大豆を圧力鍋で蒸煮してから、食塩で発酵を止めた前記麹と混ぜてミンチにした状態で仕込んで製造してなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の味噌。
  4. 味噌製造用の麹を製造する際に、少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、冷却後に麹菌と混ぜて麹立てすることを特徴とする味噌製造用の麹の製造方法。
  5. 少なくとも、玄米2〜3kgに対し、すりゴマ0.8〜1.2カップと、はと麦400 〜600gの割合の原料を圧力鍋で蒸煮し、麹菌と混ぜて製麹した後、自然海塩で発酵を止めた麹と、少なくとも、圧力鍋で蒸煮した大豆とを混ぜて仕込むことを特徴とする味噌の製造方法。
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