JP4337419B2 - 非再水和性活性アルミナ粉末並びにそれを用いた活性アルミナ成形体および樹脂組成物 - Google Patents

非再水和性活性アルミナ粉末並びにそれを用いた活性アルミナ成形体および樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非再水和性活性アルミナ粉末並びにそれを用いた活性アルミナ成形体および樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性アルミナ粉末は、活性アルミナ成形体の原材料として有用である。活性アルミナ粉末から活性アルミナ成形体を製造する方法として、非特許文献1〔「表面」、第29巻(1991)、362頁〜373頁〕には、明礬を熱分解して得た非再水和性活性アルミナ粉末(γ−アルミナ)を水と混練したのち賦形し、焼成する方法が開示されている。また、非特許文献2〔Appl. Catal.(アプライド キャタリシス), 59(1990), 89〜102〕には、アルミニウムアルコキシドを加水分解して得た水酸化アルミニウム粉末を焼成して非再水和性活性アルミナ粉末を得、得られた非再水和性活性アルミナ粉末を水と混練したのち賦形し、焼成する方法が開示されている。
【0003】
しかし、かかる従来の活性アルミナ粉末をそのまま水と混練し、賦形し、焼成して得られた活性アルミナ成形体は、半径10nm以上の細孔(マクロポア)の少ないものであった。
【0004】
【非特許文献1】
表面、第29巻(1991)、362頁〜373頁
【非特許文献2】
Appl. Catal.(アプライド キャタリシス), 59(1990), 89〜102
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者は、比表面積が十分に大きくマクロポアの多い活性アルミナ成形体を与え得る活性アルミナ粉末を開発するべく鋭意検討した結果、平均2次粒子径が20μm以下で40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.5g/cm3以下であるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を300℃を超える焼成温度で焼成して得られ、中心粒子径が20μm以下で40μmを超える粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.8g/cm3以下であり、比表面積が250m2/g以上である非再水和性活性アルミナ粉末は、水と混練し、賦形し、焼成することで、多くのマクロポアを有していて比表面積の大きな活性アルミナ成形体を与え得ることを見出し、本発明に至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、平均2次粒子径が20μm以下であり、40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.8g/cm3以下であるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を焼成して得られ、
平均2次粒子径が20μm以下で40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.8g/cm3以下であり、比表面積が250m2/g以上であるχ−アルミナを主成分とする非再水和性活性アルミナ粉末を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉体は、ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を原料として得られるものである。ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、ギブサイト型の結晶系を示す水酸化アルミニウムの粉末であって、その組成はAl23・3H2Oで示され、例えばバイヤー法によって製造される。
【0008】
バイヤー法によって製造されるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は通常、粒子径0.1μm〜10μm程度の一次粒子が凝集して0.2μm〜100μm程度の粒子径の二次粒子を形成しているが、本発明で規定する平均2次粒子径のギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、バイヤー液からの析出温度、析出速度などを調製する方法、バイヤー法によって得られるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を篩分する方法、粉砕する方法などによって得ることができる。平均2次粒子径が0.5μm未満のギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を篩分または粉砕によって得ることは通常は困難であるので、かかる平均2次粒子径は、入手が容易である点で0.5μm以上であることが好ましい。また、平均2次粒子径が20μmを超えると、得られる非再水和性活性アルミナ粉末の比表面積が大きくならない傾向にあり、好ましくは10μm以下である。
【0009】
ギブサイト型水酸化アルミニウム粉体は、径が40μmを超える2次粒子の割合0.5質量%以下であり、0であること、即ち40μmを越える2次粒子を全く含まないことが理想的である。ここで、質量%は質量基準の百分率を示す単位である。40μmを超える粒子の割合が0.5質量%を超えると、得られる非再水和性活性アルミナ粉末の比表面積が250n2/g以上とはならない傾向にある。径が40μmを超える2次粒子の割合を0.5質量%以下とするには、篩分などの方法で分級してもよいし、粉砕してもよい。
【0010】
ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末の軽装密度は0.8g/cm3以下である。0.8g/cm3を超えると、得られる非再水和性活性アルミナ粉末の比表面積が250n2/g以上とはならない傾向にある。軽装密度は通常0.2g/cm3以上である。かかる軽装密度のギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、例えばギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を粉砕する方法などによって得ることができる。
【0011】
かかるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、市販されているものを用いることもできる。市販されているギブサイト型水酸化アルミニウム粉末としては、例えば「C−301」、「C−303」、「C−308」、「C−3005」(いずれも住友化学工業(株)製)などが挙げられる。市販されているギブサイト型水酸化アルミニウム粉末の平均2次粒子径や40μmを超える2次粒子の含有量が本発明で規定する範囲を超える場合もあるが、この場合には、篩分、粉砕などの通常の方法で、平均2次粒子径や40μmを超える2次粒子の含有量が本発明で規定する範囲となるように調整すればよい。
【0012】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉末は、かかるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を焼成する方法で得られるものである。
【0013】
焼成温度は300℃を超える温度、通常は350℃以上500℃以下の温度である。ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を焼成するには、例えば乾燥雰囲気下、具体的には、例えば水分含有量がモル分率で20%以下の雰囲気下で焼成温度に加熱すればよい。乾燥雰囲気下で焼成されることで、水酸化アルミニウムの結晶水が脱離する。また、焼成されるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、結晶水が速やかに脱離するよう、空隙率が50%以上となる状態で焼成されることが好ましい。雰囲気中の水分含有量が20%を超えたり、空隙率が50%未満であると、得られる非再水和性活性アルミナ粉末の比表面積が小さくなる傾向にある。焼成時間は通常1時間以上10時間以下程度である。焼成は、例えばトンネルキルン、ロータリーキルンなどを用い行なわれてもよいし、容器に入れて電気炉、バッチ炉などの中で行なわれてもよい。ギブサイト型水酸化アルミニウムを入れる容器としては、脱離した結晶水が容易に系外に導かれて乾燥雰囲気下での焼成が容易である点で、開放型の容器が好ましい。
【0014】
また、ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、例えば500℃以上で線速度5m/秒以上50m/秒以下程度の気流中に同伴させ、かかる気流に0.1秒以上10秒以下程度の接触時間で接触させることにより焼成する、いわゆる瞬間仮焼法により焼成してもよい。瞬間仮焼法によれば、気流に接触させることでギブサイト型水酸化アルミニウム粉末が加熱されて、結晶水が脱離する。ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は結晶水が脱離することで質量が3%以上10%程度減少する。ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は、気流中に同伴され、焼成された後、サイクロン、バグフィルターなどによって捕集される。
【0015】
かくして焼成することで、ギブサイト型活性アルミナ粉末は活性アルミナ粉末となるが、本発明の非再水和性活性アルミナ粉末は、かかる活性アルミナ粉末を300℃以上焼成温度以下の温度で保持して得られるものであることが好ましい。かかる温度での保持は乾燥雰囲気下、具体的には、例えば水分含有量がモル分率で20%以下の雰囲気下で行なわれる。保持時間は通常、1時間以上である。また、空隙率が50%以上となる状態で焼成されることが好ましい。保持には、焼成と同様にトンネルキルン、ロータリーキルンなどを用いてもよいし、容器に入れて電気炉、バッチ炉などの中で保持してもよい。かかる容器としては、乾燥雰囲気下での焼成が容易である点で、開放型の容器が好ましい。300℃未満の温度で保持したのでは、再水和性の活性アルミナ粉末が得られ、非再水和性活性アルミナ粉末を得ることができない傾向にある。また、焼成温度を超えると、比表面積250m2/g以上とならない傾向にある。
【0016】
かくして本発明の非再水和性活性アルミナ粉末が得られるが、かかる粉末の2次粒子径および軽装密度は、用いたギブサイト型水酸化アルミニウム粉末と同程度であり、用いたギブサイト型水酸化アルミニウム粉末と同様に、平均2次粒子径は20μm以下、好ましくは10μm以下通常は0.5μm以上である。また40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度は0.1g/cm3以上0.8g/cm3以下である。比表面積は250m2/g以上、通常は400m2/g以下である。かかる非再水和性活性アルミナ粉末は、γ−アルミナ、χ−アルミナ、κ−アルミナ、η−アルミナ、θ−アルミナ、δ−アルミナまたはこれらの混合物であって、実質的にρ−アルミナや不定形アルミナを含まないものであり、非再水和性である。このため、例えばこの非再水和性活性アルミナ粉末100gを水50gと混合し、80℃で24時間保持しても、擬ベーマイトやバイヤライトなどが生成することはなく、硬化することはない。
【0017】
かかる非再水和性活性アルミナ粉末は、活性アルミナ成形体の原料として有用である。本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を成形して活性アルミナ成形体を得るには、例えば本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を水と混練した後、賦形すればよい。具体的には、例えば非再水和性活性アルミナ粉末を水と共に転動造粒機に供給することで非再水和性活性アルミナ粉末を水と混練しながら、粒状に賦形して造粒する方法が挙げられる。かかる方法により、粒状の活性アルミナ成形体を製造することができる。非再水和性活性アルミナ粉末を水と混練したのち型内で圧縮して賦形する方法も挙げられる。かかる方法により、型に応じた形状、例えば板状、円柱状、リング状の活性アルミナ成形体を得ることができる。非再水和性活性アルミナ粉末を水と混練した後、押出機を用いてダイから押出して賦形する方法も挙げられる。かかる方法によりダイの形状に応じた形状、例えば円柱状、リング状、板状、ハニカム状、塊状の活性アルミナ成形体を得ることができる。非再水和性活性アルミナ粉末は再水和しないので水と混練しても硬化することがなく、容易に賦形して活性アルミナ成形体を得ることができる。
【0018】
水の使用量は、非再水和性活性アルミナ粉末100質量部あたり通常は20質量部以上100質量部以下、好ましくは40質量部以上80質量部以下程度である。
【0019】
非再水和性活性アルミナ粉末は、水およびバインダーと混練されてもよい。バインダーとしては、例えば硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどの水溶性の無機物、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの水溶性の有機物などが挙げられ、その使用量は非再水和性活性アルミナ粉末100質量部あたり通常10質量部以下程度である。バインダーの使用量が10質量部を超えると、比表面積が小さくなる傾向にある。バインダーと共に混練することで、混練や賦形が容易に行なうことができる。
【0020】
かくして賦形した後、乾燥し、焼成することで、本発明の非再水和性活性アルミナ粉末が成形されて、活性アルミナ成形体を得ることができる。焼成焼成温度は通常300℃以上1000℃以下程度である。
【0021】
得られた活性アルミナ成形体は、多くのマクロポアを有し、比表面積も大きなものであり、細孔半径10nmのマクロポアの容積は、例えば0.05cm3/g以上であり、比表面積は、例えば200m2/g以上である。
【0022】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉末は、表面に硝酸ランタン、酸化ランタン、酢酸ランタン、硫酸ランタン、塩化ランタン、炭酸ランタンなどのランタン塩、硝酸バリウム、酸化バリウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、塩化バリウム、炭酸バリウムなどのバリウム塩が担持されてもよい。
【0023】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉末は、樹脂、繊維、紙などに配合する充填剤としても用いることもできる。
【0024】
樹脂としては、例えばナイロン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、メチルメタクリレート樹脂などが挙げられる。非再水和性活性アルミナ粉末の配合量は目的により異なるが、例えば本発明の非再水和性活性アルミナ粉末が配合された活性アルミナ粉末含有樹脂組成物を人工大理石として用いる場合には、樹脂100質量部あたり通常50質量部以上400質量部以下程度、好ましくは150質量部以上300質量部以下程度である。本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を樹脂に配合するには、例えばヘンシェルミキサー、ブレンダーなどを用いて樹脂および本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を樹脂の溶融温度以上の温度で溶融混練すればよい。
【0025】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を充填剤として用いるには、白色度が93以上であることが好ましい。かかる非再水和性活性アルミナ粉末は鉄分の含有量がFe23換算で通常0.01質量%以下、理想的には0である。かかる鉄分含有量の本発明の非再水和性活性アルミナ粉末は、例えばギブサイト型水酸化アルミニウム粉末として鉄分の含有量がFe23換算で0.01質量%以下のものを用い、内表面がセラミクス製の容器を用いて焼成し、同様の容器を用いて300℃以上焼成温度未満の温度で保持することにより得ることができる。かかる鉄分含有量のギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は市販されている。セラミクスとしては、例えばアルミナ、ムライトなどが挙げられる。
【0026】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を樹脂充填剤として用いる場合、シランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理が施されてもよい。表面処理剤で表面処理を施すことで、樹脂中に均一に分散させることが容易となる。シランカップリング剤としては、メタクリル系シラン、アクリル系シラン、ビニル系シラン、エポキシ系シラン、アミノ系シランなどが挙げられる。また、シリケート類と併用してもよい。表面処理剤の使用量は、非再水和性活性アルミナ粉末100質量部あたり通常は1質量部以上10質量部以下程度である。
【0027】
表面処理を施すには、例えばヘンシェルミキサー、ブレンダーなどの混合装置を用いて、本発明の非再水和性活性アルミナ粉末を撹拌しながら表面処理剤を添加すればよい。また、原料として用いるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末に予め表面処理を施してもよい。
【0028】
【発明の効果】
本発明の非再水和性活性アルミナ粉末によれば、十分に大きな比表面積で、マクロポアの多い活性アルミナ成形体を得ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されるものではない。
【0030】
なお、各実施例における評価は以下の方法により行なった。
(1)平均2次粒子径
日機装社製「マイクロトラックMK−2」にて測定した2次粒子の粒径分布から質量平均粒子径を求めた。
(2)鉄分含有量
フレーム原子吸光法により酸化物(Fe23)換算で求めた。
(3)軽装密度
細川粉体工学研究所社製「パウダーテスター」を用いて測定した。
(4)比表面積
マウンテック社製の比表面積測定装置を用いてBET比表面積を求めた。
(5)再水和性
試料20gを水16gと混合し、ポリエチレン製袋中に密閉して80℃で24時間静置して、目視により硬化の有無を判断した。
(6)マクロポア容積
水銀圧入法によって半径1.8nm〜100μmの細孔分布を求め、その分布から半径10nm以上の細孔の容積を求めた。
(7)耐圧強度
得られた成形体10固について、その直径をマイクロメーターで測定した後、硬度試験機にてこの成形体が破壊されたときに加えた単位断面積あたりの力を求め、その平均値を耐圧強度とした。
(8)白色度
ハンター白色度として求めた。
【0031】
実施例1
バイヤー法によって得たギブサイト型水酸化アルミニウム粉末〔平均2次粒子径1.5μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0、鉄分含有量は0.01%、軽装密度0.30g/cm3〕を、アルミナ製坩堝〔深さ3cm〕に高さ2cm(空隙率85%)で仕込み、水分含有量(モル分率)20%の雰囲気下、電気炉中で200℃/時間の昇温速度で昇温し、450℃で2時間保持して焼成した。引き続き温度を400℃とし、同温度で2時間保持した後、100℃/時間の冷却速度で室温まで冷却して、アルミナ粉末を得た。このアルミナ粉末はχ−アルミナを主成分とし、僅かにベーマイトを含む活性アルミナ粉末であった。この活性アルミナ粉末の平均2次粒子径1.5μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0、軽装密度は0.2g/cm3、鉄分含有量は0.01%、比表面積は291m2/g、白色度は97であり、非再水和性であった。
【0032】
上記で得た活性アルミナ粉末100質量部に有機バインダー(メチルセルロース、信越化学社製、「メトローズSM−4000」)3質量部および純水73質量部を加え、混練した後、押出機から押出して円柱状に賦形した。その後乾燥し、400℃で焼成して活性アルミナ成形体を得た。この活性アルミナ成形体のマクロポア容積は0.55cm3/g、比表面積は292m2/g、耐圧強度は1.7N/mm2であった。
【0033】
ビニルエステル樹脂〔武田薬品工業社製「XP−675」、25℃での粘度は8.5ポイズ〕100質量部に上記で得た活性アルミナ粉末200質量部を加え、活性アルミナ粉末含有樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を硬化させて得た成形体は、高白色で着色が少なかった。
【0034】
実施例2
実施例1で用いたギブサイト型水酸化アルミニウムに代えて、バイヤー法によって得たギブサイト型水酸化アルミニウム粉末〔平均2次粒子径6.5μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0.2質量%、鉄分含有量は0.01%、軽装密度0.68g/cm3〕を用いる以外は実施例1と同様に操作して焼成し、実施例1と同様に400℃で2時間保持してアルミナ粉末を得た。このアルミナ粉末はχ−アルミナを主成分とし、僅かにベーマイトを含む活性アルミナ粉末であった。この活性アルミナ粉末の平均2次粒子径は6.5μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0.2質量%、軽装密度は0.56g/cm3、鉄分含有量は0.01%、比表面積は283m2/g、白色度は93で、非再水和性であった。
【0035】
実施例1で得た活性アルミナ粉末に代えて上記で得た活性アルミナ粉末を用いる以外は実施例1と同様に操作して、活性アルミナ成形体を得た。この活性アルミナ成形体のマクロポア容積は0.38cm3/g、比表面積は207m2/g、耐圧強度は0.4N/m2であった。
【0036】
比較例1
バイヤー法によって得たギブサイト型水酸化アルミニウム粉末〔平均2次粒子径3.3μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0、鉄分含有量は0.01%、軽装密度0.48g/cm3〕を、アルミナ製坩堝〔深さ3cm〕に高さ2cm(空隙率80%)で仕込み、水分含有量(モル分率)20%の雰囲気下、電気炉中で200℃/時間の昇温速度で昇温し、500℃で2時間保持して焼成してアルミナ粉末を得た。このアルミナ粉末はχ−アルミナを主成分とし、僅かにベーマイトを含む活性アルミナ粉末であった。このアルミナ粉末の平均2次粒子径3.3μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0、軽装密度は0.48g/cm3、鉄分含有量は0.01%、比表面積は210m2/g、白色度は94であり、非再水和性であった。
【0037】
実施例1で得た活性アルミナ粉末に代えて上記で得た活性アルミナ粉末を用いる以外は実施例1と同様に操作して、活性アルミナ成形体を得た。この活性アルミナ成形体のマクロポア容積は0.49cm3/g、比表面積は207m2/g、耐圧強度は0.7N/mm2であった。
【0038】
実施例3
実施例1で用いたギブサイト型水酸化アルミニウムに代えて、バイヤー法によって得たギブサイト型水酸化アルミニウム粉末〔平均2次粒子径11.0μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0.3質量%、鉄分含有量は0.01%、軽装密度0.70g/cm3〕を用いる以外は実施例1と同様に操作して焼成し、400℃で2時間保持して、アルミナ粉末を得た。このアルミナ粉末はχ−アルミナを主成分とし、僅かにベーマイトを含む活性アルミナ粉末であった。この活性アルミナ粉末の平均2次粒子径は11.0μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0.3質量%、軽装密度は0.67g/cm3、鉄分含有量は0.01%、比表面積は264m2/g、白色度は94で、非再水和性であった。
【0039】
実施例1で得た活性アルミナ粉末に代えて上記で得た活性アルミナ粉末を用いる以外は実施例1と同様に操作して、活性アルミナ成形体を得た。この活性アルミナ成形体のマクロポア容積は0.35cm3/g、比表面積は226m2/g、耐圧強度は1.7N/mm2であった。
【0040】
比較例2
実施例1で用いたギブサイト型水酸化アルミニウムに代えて、バイヤー法によって得たギブサイト型水酸化アルミニウム粉末〔平均2次粒子径30μm、40μmを超える2次粒子の含有量は15質量%、鉄分含有量は0.01%、軽装密度1.0g/cm3〕を用いる以外は実施例1と同様に操作して焼成し、400℃で2時間保持して、アルミナ粉末を得た。このアルミナ粉末はχ−アルミナを主成分とし、僅かにベーマイトを含む活性アルミナ粉末であった。この活性アルミナ粉末の平均2次粒子径は30μm、40μmを超える2次粒子の含有量は0.2質量%、軽装密度は0.58g/cm3、鉄分含有量は0.01%、比表面積は205m2/g、白色度は94で、非再水和性であった。
【0041】
実施例1で得た活性アルミナ粉末に代えて上記で得た活性アルミナ粉末を用いる以外は実施例1と同様に操作して、活性アルミナ成形体を得た。この活性アルミナ成形体のマクロポア容積は0.38cm3/g、比表面積は207m2/g、耐圧強度は1.3N/mm2であった。
【0042】
比較例3
実施例1で用いたギブサイト型水酸化アルミニウムに代えて、バイヤー法によって得たギブサイト型水酸化アルミニウム粉末〔平均2次粒子径9.8μm、40μmを超える2次粒子の含有量は1.9質量%、鉄分含有量は0.01%、軽装密度0.80g/cm3〕を用いる以外は実施例1と同様に操作して焼成し、400℃で2時間保持して、アルミナ粉末を得た。このアルミナ粉末はχ−アルミナを主成分とし、僅かにベーマイトを含む活性アルミナ粉末であった。この活性アルミナ粉末の平均2次粒子径は9.8μm、40μmを超える2次粒子の含有量は1.9質量%、軽装密度は0.69g/cm3、鉄分含有量は0.01%、比表面積は192m2/g、白色度は92で、非再水和性であった。
【0043】
実施例1で得た活性アルミナ粉末に代えて上記で得た活性アルミナ粉末を用いる以外は実施例1と同様に操作して、活性アルミナ成形体を得た。この活性アルミナ成形体のマクロポア容積は0.40cm3/g、比表面積は203m2/g、耐圧強度は2.2N/mm2であった。

Claims (7)

  1. 平均2次粒子径が20μm以下であり、40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.8g/cm3以下であるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を焼成して得られ、平均2次粒子径が20μm以下で40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.8g/cm3以下であり、比表面積が250m2/g以上であるχ−アルミナを主成分とする非再水和性活性アルミナ粉末。
  2. 鉄分の含有量がFe23換算で0.01質量%以下である請求項1に記載のχ−アルミナを主成分とする非再水和性活性アルミナ粉末。
  3. 平均2次粒子径が20μm以下であり、40μmを超える2次粒子の割合が0.5質量%以下であり、軽装密度が0.8g/cm3以下であるギブサイト型水酸化アルミニウム粉末を300℃を超える焼成温度で焼成し、次いで300℃以上焼成温度未満の温度で保持することを特徴とする請求項1に記載のχ−アルミナを主成分とする活性アルミナ粉末の製造方法。
  4. ギブサイト型水酸化アルミニウム粉末は鉄分含有量がFe23換算で0.01質量%以下であり、内表面がセラミクス製の容器を用いて焼成する請求項3に記載の製造方法。
  5. 請求項1に記載のχ−アルミナを主成分とする非再水和性活性アルミナ粉末が成形されてなることを特徴とするχ−アルミナを主成分とする活性アルミナ成形体。
  6. 請求項1に記載のχ−アルミナを主成分とする非再水和性活性アルミナ粉末を水と混練し、賦形することを特徴とする請求項5に記載のχ−アルミナを主成分とする活性アルミナ成形体の製造方法。
  7. 請求項1に記載のχ−アルミナを主成分とする非再水和性活性アルミナ粉末が樹脂に配合されてなることを特徴とするχ−アルミナを主成分とする活性アルミナ粉末含有樹脂組成物。
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