JP3680342B2 - 遷移アルミナ成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は乾燥剤、吸着剤、触媒、触媒担体および各種薬品担体用の高細孔容積アルミナ成形体の製造方法に関する。さらに詳細には高細孔容積の成形体を得るのに適した製造方法、就中高細孔容積,高BET表面積を有し、かつ高強度の遷移アルミナ成形体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遷移アルミナ成形体は乾燥剤、吸着剤、触媒、各種担体等に使用されている。これらの用途に使用される場合、成形体内部への分子拡散速度を大きくするため成形体の細孔容積、就中細孔半径数100オングストローム以上のマクロ細孔容積を大きくすることが要求される。また、触媒成分、脱臭剤、香料、吸着剤等の各種薬液を遷移アルミナ成形体に担持する場合、担持量を大きくするため高細孔容積の成形体が要求される。
【0003】
これらの要求を達成するための活性アルミナ成形体の製造方法としては、例えば、アルミニウム塩の中和によりゲルを析出し、これを洗浄・乾燥・成形・焼成する方法において析出条件を制御する方法(特公平2−1767号公報)が知られている。
【0004】
また、再水和しうるアルミナに繊維状燃焼性有機起孔剤を混合し、成形し、再水和した後、450〜650℃の温度条件下で焼成する方法(特開昭49−6006号公報)が知られている。有機起孔剤の種類としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、結晶性セルロース、カーボンブラック等が知られているが、いずれも有機起孔剤の燃焼を完結させるため500〜800℃という高い焼成温度を必要としている。
【0005】
低温で起孔剤を除去する方法として、ポリエチレングリコールをアルコールで洗い流し除去する方法〔Basmadjian;J.Catalysis 、Vol.1 、P547(1962)〕、ナフタレン等の揮発性有機物を使用する方法(米国特許3701718号)が知られている。
【0006】
別な方法として、中心粒径が約1μm〜35μmで粒径分布の四分偏差値が約1.5以下の再水和性アルミナを成形し再水和し焼成することによりマクロ細孔容積が大で、かつ耐磨耗強度が優れた低密度活性アルミナ成形体を製造する方法(特公昭63−24932号公報)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記ゲル析出時の条件を制御する方法に於いては、高細孔容積・高表面積の成形体を得ることはできるが、この方法によって得た成形体は、単に物理的に析出した粒子が結合しているのみなので強度が低いという欠点がある。
【0008】
また、燃焼性有機起孔剤を添加する方法では、使用有機起孔剤として焼成時の発熱が少なく、燃焼温度が低く、かつ成形性に悪影響を与えない物性を有する起孔剤が要求されるが、これら全ての条件を満たす起孔剤は未だ見いだされていない。
【0009】
起孔剤を溶出あるいは昇華で除去する方法は、溶剤を大量に消費したり、高価な昇華性有機物を使用するので経済的でない。
【0010】
一方、四分偏差値が約1.5以下の再水和性アルミナを成形し再水和し焼成する方法は、高細孔容積・高表面積・高強度の活性アルミナ成形体を得ることができるが、四分偏差値が約1.5以下の再水和性アルミナを得るためにアルミン酸ソーダを特定の条件で加水分解する必要があったり、水酸化アルミニウムを分級したりする必要があり、コストが高いとの問題点を有する。
【0011】
このような事情に鑑み、本発明者等は、廉価でかつ高細孔容積を有する遷移アルミナ成形体の製造方法、とくには高細孔容積、高BET表面積を有し、且つ高強度を有する活性アルミナ成形体の製造方法を見いだすことを目的として鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、少なくとも部分的に再水和性を有する遷移アルミナ粉末を湿式成形し、再水和し、次いで再水和後の成形体を焼成してなる遷移アルミナ成形体の製造方法において、遷移アルミナ粉末の湿式成形時に、ポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質の粉末もしくはラテックスであって、前記高分子物質の中心粒子径が0.01〜100μmである粉末もしくはラテックスを存在せしめることを特長とする遷移アルミナ成形体の製造方法を提供するにある。
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施に際し、原料アルミナとして用いる、部分的に再水和性を有する遷移アルミナ粉末は、通常、中心粒径が約0.1μm〜50μm、望ましくは約1μm〜20μm、灼熱減量3〜10重量%、BET比表面積が150〜400m2 /g、結晶形主成分はχ,ρ−アルミナ、窒素吸着法により測定した細孔容積が0.1〜0.3cm3 /gの物性を有するものである。
このような遷移アルミナは水酸化アルミニウム、通常バイヤー工程から得られるギブサイトを瞬間仮焼して得られる。瞬間仮焼に用いるギブサイトはバイヤー法により得られる純度のものであれば特に制限されるものではなく、異物の含有がないものであればよい。該ギブサイトのNa2 O含有量は0.02〜1重量%程度である。
【0014】
ギブサイトの瞬間仮焼は公知の方法が採用される。代表的には、焼成雰囲気温度約500℃〜1200℃、線速度約5m/秒〜約50m/秒の気流中にギブサイトを同伴させて、接触時間約0.1秒〜約10秒の条件で、焼成後のアルミナ中の灼熱減量が3〜10重量%まで焼成すればよい。
気流中で焼成された粉末は通常サイクロン、バグフィルター、電気集塵機等公知の方法で気流より分離、回収することにより再水和性アルミナは得られる。
瞬間仮焼後の遷移アルミナの中心粒径が約50μm以上の場合には、成形を容易にし、また製品の強度を向上する目的より粉砕を行うことが好ましい。この場合は瞬間仮焼前の原料ギブサイトを予め粉砕しておいても良い。粉砕はボールミル等公知の装置を用いればよい。
【0015】
このようにして得た少なくとも部分的に再水和可能な遷移アルミナは、次いでポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末もしくはラテックスよりなる有機起孔剤と水の存在下、湿式成形を行う。
【0016】
本発明で使用するポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末もしくはラテックスとは、アルキル基の炭素数が1〜8のメタクリル酸エステルの重合体であり、より好ましくはポリメタクリル酸メチル50重量%以上と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体を重合して得られる共重合体である。ここで共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体としては、アルキル基の炭素数が1〜8のアクリル酸アルキルエステル、スチレンに代表される芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル等が挙げられる。
ポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質は、実質的に非水溶性でかつ、成形に対しバインダー効果がないものが使用される。
【0017】
本発明でいうラテックスとはポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質が水性媒体中に分散しているコロイド分散系をいう。
本発明のポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末もしくはラテックスの製造方法はとくに限定するものではなく、たとえば乳化重合、懸濁重合、分散重合等、公知の重合法により得られる。また、塊状重合、溶液重合で得られた重合物を所定の粒径まで粉砕および/もしくは分級することによっても得られる。粉末もしくはラテックス中の高分子物質の中心粒径は0.01〜100μmにする必要がある。この粒径より小さいと、細孔容積向上の効果が少なく、この粒径より大きいと得られた遷移アルミナ成形体の強度が小さくなり望ましくない。
【0018】
本発明のポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末は、少なくとも部分的に再水和可能な遷移アルミナ粉末に混合される。該遷移アルミナが粉砕工程を経る場合、混合は粉砕前に行っても良いし、粉砕後に行ってもよい。ただし、粉砕前に行った場合、粉砕機の防爆対策が必要である。ポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質がラテックス状の場合、成形に用いる水に混合すればよい。
【0019】
ポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末あるいはラテックスの添加量は該遷移アルミナ粉末100重量部に対し、高分子物質(固体換算)として約1〜約100重量部が適当である。添加量が少ないと細孔容積増大の効果が少ないし、添加量が多すぎると製品強度が低下する。とくに、BET表面積が約250m2 /g以上の製品を得ようとする場合は固体換算で約0.1〜約20重量部が適当である。添加量が多すぎると、たとえ本発明で規定する通気条件で焼成したとしても、焼成時の発熱により、成形体内の実温度が500℃以上となり、BET表面積が低下してしまう。
【0020】
本発明による成形は水を用いた湿式法で行う。起孔剤としてのポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末あるいはラテックスは予め再水和性アルミナ粉末に混合するか、水に混合していてもよく、勿論均一な混合が可能であれば、起孔剤と再水和性アルミナ粉末と水を同時に添加して湿式成形してもよい。
より具体的にはマルメライザーもしくは転動造粒機でポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末あるいはラテックスの存在下、再水和性アルミナに水を供給し造粒する方法、再水和性アルミナを水で湿らせた後金型で圧縮成形する方法、水と混合後押出機で成形する方法、再水和性アルミナを水と混合した後水と混和しない溶媒中に投入し撹拌することにより微粒成形体を得る方法等が挙げられる。水以外の液体、たとえば有機溶媒を用いた湿式成形法では、本発明の効果は得ることができない。成形体の形状としては球状、円柱状、リング状、板状、ハニカム状、塊状等のいずれであってもよいが、生産性が大きく、球状の製品が得られることから転動造粒法が推奨される。
【0021】
かくして得られた成形体はついで成形体自体の機械的強度(耐圧強度)を高めるために再水和に足る時間、室温〜120℃、好ましくは50〜90℃の水中、水蒸気中または水蒸気含有ガス中で保持され再水和される。再水和は一般に1分〜1週間行われる。再水和時間が長いほど、また温度が高いほど機械的強度が大きくなるが、120℃を越えると製品の表面積が低下し好ましくない。上記の温度は水蒸気処理中の成形体の温度であり、再水和性アルミナは再水和時に発熱するため密閉容器中に投入し放熱を防ぐことによっても再水和は可能である。
【0022】
再水和後の成形体は次いで焼成し、成形体中の付着水分、結晶水およびポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質を除去する。焼成温度は通常約300〜約1000℃、好ましくは300℃〜500℃であり、該焼成温度は成形体製品の目標とする結晶形、細孔径、あるいはBET表面積により適宜選択すればよい。焼成は燃焼ガス、電気ヒーターによる間接加熱、赤外線加熱等で実施される。焼成に先だって自然乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法で付着水分を除去して置くことも可能である。
【0023】
BET表面積の高い成形体を得ようとする場合、焼成時の成形体実温度を約300〜500℃に保持する必要がある。一方、ポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質は、1gあたり2kcal程度の燃焼熱を発生するので、この燃焼熱を除去しないことには、上記範囲の温度保持は困難である。
【0024】
この条件を達成するため、再水和処理後の成形体を板上(網を含む)、好ましくは通気能を有する板上に層状に充填し、固定床の場合にはその層状充填物の下部或いは上部より、また移動床の場合にはその層状充填物の下部或いは上部或いは移動方向と平行に約300〜500℃、望ましくは約300〜450℃の熱風が通気する条件で焼成を行う。この過程でポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質の熱分解・燃焼が行われる。充填層の大きさはとくに制限されないが高さは約1〜1000cm、好ましくは2〜500cm、幅は約1〜1000cm、好ましくは30〜300cmが現実的である。充填層は固定床、移動床のいずれであってもよい。固定床の場合は、焼成はバッチ方式で実施される。移動床の場合は焼成終了した成形体を順次取り出しながら、未焼成成形体を焼成炉に供給していく。
【0025】
熱風は空気を電気、燃料で加熱し使用する方法、燃焼ガスを直接使用する方法等がある。熱風の温度は約300〜500℃、望ましくは約300〜450℃で、線速度は約0.05〜1.0Nm/secが適当である。温度がこれ以下であるとポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質の熱分解・燃焼が不十分となる。温度がこれ以上だと、得られた製品のBET表面積が低下し250m2 /g以上の製品が得られない。線速度がこれ以下だと燃焼熱の除去が不十分となり、熱風温度が増加する。線速度がこれ以上であると、充填層を通過する熱風の圧力損失が増大し、熱風排風機が大きくなり経済的でない。
酸素を含有しない雰囲気で行えば、上記焼成条件を用いずともポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質の熱分解のみがおこり、発熱は少なく高表面積の遷移アルミナが得られるが、工業的には高コストとなり実用的でない。
【0026】
本発明の実施に於いて成形体の細孔容積、強度を減じない範囲で、湿式成形の原料中に他の無機化合物を添加することができる。そのような無機化合物の例としては、再水和性のないアルミナ例えばαアルミナ、アルミニウム塩、シリカ、粘土、タルク、ベントナイト、ゼオライト、コーディエライト、チタニア、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、希土類金属塩、ジルコニア、ムライト、シリカアルミナ等がある。酸化物以外の塩を添加した場合は、成形体の焼成温度は塩の分解温度以上にすることが必要である。
【0027】
再水和処理、乾燥あるいは焼成後の成形体を酸性成分を含有する水溶液と接触処理する、更に必要ならば酸性分と接触処理後の成形体を焼成してもよい。
かかる場合には活性アルミナ成形体中の不純物であるNa2 Oが除去でき、また表面を酸性にする効果がある。
【0028】
このようにして得られた本発明の遷移アルミナ成形体は通常、BET表面積として約10〜400m2 /g、細孔容積として約0.45〜1.5cm3 /g、マクロ細孔容積として約0.05〜1.3cm3 /g、耐圧強度として約5kg以上、磨耗率として約2%以下の物性を有している。また、焼成条件を特定化して実施する場合には、BET表面積として約250〜400m2 /g、細孔容積として約0.45〜1.0cm3 /g、マクロ細孔容積として約0.05〜0.8cm3 /g、耐圧強度として約5kg以上、磨耗率として約1%以下の遷移アルミナ成形体を得ることが可能である。
【0029】
本発明に於いて何故、細孔容積、BET表面積が大でかつ耐圧強度に優れた遷移アルミナ成形体が得られるのか、その理由は詳らかではないが、本発明に於いて有機起孔剤として適用する特定粒径のポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末もしくはラテックスは、水に対し不溶性でかつ親和性を有することより、本発明の如く水をバインダーとして適用する湿式成形に於いて、バインダーに対し起孔剤が溶解し所望の細孔径のマクロ細孔が得られないとか、粘度が高くなり成形に支障をきたすとか、バインダーに対する分散性が悪い等の欠点もなく、また成形、再水和処理後の焼成温度も、起孔剤の燃焼除去温度がアルミナ再水和物の分解温度に近いことより、得られる遷移アルミナのBET表面積を低下せしめることもなく、上記物性を有する遷移アルミナ成形体が得られるものと推察される。
【0030】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、廉価に、高比表面積、高細孔容積、高強度の遷移アルミナ成形体が得られるもので、その産業的効果は頗る大である。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により制限されるものではない。
なお、本文中において示した物性値は次の測定法によった。
アルミナの中心粒径:日機装マイクロトラックMK−2で測定した。
高分子樹脂粉末の中心粒径:乾式篩別(JIS篩)法で測定した。
ラテックスの中心粒径:電子顕微鏡により測定した。
灼熱減量:試料を1100℃で2時間加熱した後の重量減少を測定した。
アルミナの結晶形態:X線回折法で求めた。
耐圧強度:木屋式硬度計にて試料10個につき強度を測定し、平均値を求めた。
マクロ細孔容積:Hg圧入法(カンタクローム社製、オートスキャン33型、ポロシメーターにて測定)で求めた半径250オングストローム以上の細孔容積をいう。
磨耗率:JIS K−1464に準じた。
水分平衡吸着量:JIS K−1464に準じた。
【0032】
実施例1
バイヤー工程で得られた中心粒径42μm、水分0.03%のギブサイトをボールミルにて中心粒径14μmまで粉砕した。粉砕ギブサイトを約700℃の熱ガス気流中に投入し瞬間仮焼した。瞬間仮焼したものは灼熱原料が7%、結晶形がχ、ρで表される再水和性アルミナであり、中心粒径が11μmであった。
このようにして得られた再水和性アルミナ100重量部に粉末状のポリメタクリル酸メチル(住友化学工業株式会社製、商品名:XC−01、中心粒径30μm)を5重量部を二重円錐混合機(重伸鉄工所製)で混合した。
得られた混合粉末を直径1mの皿形造粒機を用い、混合粉末100重量部に対し水約50重量部をスプレーしながら直径2〜4mmの球状に成形した。
成形後の造粒物15kgを蓋付き容器に入れ密閉して80℃の温度で16時間保持して再水和せしめた。熟成品の結晶形を調べたところ、擬ベーマイトとバイヤライトの合計が20%であった。
次いで、再水和処理後の成形品200gをステンレス網製の容器に入れ電気炉にて500℃で2時間焼成した。このとき、容器中に差し込んでいた熱電対は最高540℃になっていた。焼成品は白色であり、有機物およびカーボンの残留は認められなかった。
【0033】
実施例2
実施例1の方法に於いて得られた再水和処理後の成形体3kgを、ステンレス製のバスケットに入れ、バスケットを熱風通風式の電気炉に入れた。このバスケットは周囲はステンレス板であり、底部は直径25cmのステンレス網になっており、熱風がバスケット上部から入り、成形体充填層内を通過し、下部の網から出ていく構造になっている。20Nm3 /hの熱風を供給し、熱風入口温度を1時間で室温から380℃まで昇温し3時間保持した。熱風通気時の出口温度は最低365℃で、最高390℃であった。熱風風量とバスケット直径より、充填層内の熱風線速度を計算すると0.11Nm/secであった。
このようにして得られた遷移アルミナ成形体の物性を表1に示す。
【0034】
実施例3
ガラス製の5リットルの冷却機付き反応容器内に、イオン交換水1740g,ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ30g、ロンガリット0.6gを仕込み、窒素気流下で攪拌後、クメンハイドロパーオキサイド0.1%溶解させたメタクリル酸メチル358g、アクリル酸エチル14gを仕込だ。
続いて攪拌しながら70℃に昇温し45分攪拌を続け重合を完了した。このようにして得た重合物に、クメンハイドロパーオキサイド0.1%溶解させたメタクリル酸メチル1430g、アクリル酸エチル55gの混合物を80分間にわたって添加し、添加終了後更に60分間保持した。得られたラテックス中の重合物の中心粒径は0.4μmであった。
このようにして得た樹脂濃度50%のポリメタクリル酸メチル40リットルを水160リットルに混合し混合液を得た。
次いで直径1mの皿形造粒機を用い、実施例1の方法で得られた再水和性アルミナ100重量部に対し、上記で得た混合液約50重量部をスプレーしながら直径2〜4mmの球状に成形した。
成形後の造粒物15kgを蓋付き容器に入れ密閉して80℃の温度で16時間保持して再水和せしめた。熟成品の結晶形を調べたところ、擬ベーマイトとバイヤライトの合計が20%であった。
この再水和処理後の成形体を実施例2と同じ装置・条件で焼成した。
このようにして得られた遷移アルミナ成形体の物性を表1に示す。
【0035】
比較例1
実施例2に於いて、起孔剤としてポリメタクリル酸メチルに代え結晶性セルロース(旭化成工業株式会社製、商品名:アビセルTG−101、中心粒径40μm)10重量部を用いた他は実施例2と同様に焼成品を得た。
熱風入口温度380℃では、成形体は褐色でありカーボンが残留していた。
熱風入口温度400℃より50℃単位で熱風入口温度を昇温し成形体の色を観察したところ熱風入口温度650℃で成形体は白色になり結晶性セルロースの燃焼は完結していた。
このようにして得られた遷移アルミナ成形体の物性を表1に示す。
【0036】
比較例2
実施例2の方法に於いて、起孔剤としてポリメタクリル酸メチルを使用しなかった以外は全く同様にして成形、再水和処理、焼成し遷移アルミナ成形体を得た。得られた遷移アルミナ成形体の物性を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
Claims (4)
- 少なくとも部分的に再水和性を有する遷移アルミナ粉末を湿式成形し、再水和し、次いで再水和後の成形体を焼成してなる遷移アルミナ成形体の製造方法において、遷移アルミナ粉末の湿式成形時に、ポリメタクリル酸エステルを主成分とする高分子物質の粉末もしくはラテックスであって、前記高分子物質の中心粒子径が0.01〜100μmである粉末もしくはラテックスを存在せしめることを特徴とする遷移アルミナ成形体の製造方法。
- 湿式成形時に存在せしめるポリメタクリル酸エステルを主成分とする粉末もしくはラテックスの量が固体換算で遷移アルミナ粉末100重量部に対し0.1〜20重量部であることを特徴とする請求項1記載の遷移アルミナ成形体の製造方法。
- メタクリル酸エステルが、メタクリル酸メチル50重量%以上およびこれと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体からなる共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の遷移アルミナ成形体の製造方法。
- 再水和後の成形体を層状に充填し、約300〜約500℃の熱風が0.05〜1.0Nm/secの線速度でこの層内を通気する条件で焼成することを特徴とする請求項1〜3項いずれか記載の遷移アルミナ成形体の製造方法。
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