JP3381948B2 - 高活性酸化カルシウム多孔質体の製造方法 - Google Patents
高活性酸化カルシウム多孔質体の製造方法Info
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Description
かも粒度が大きくて取り扱いやすい高活性酸化カルシウ
ム多孔質体の製造方法に関するものである。
を焼成することによって製造されているが、このものは
焼成温度によって活性度が異なることが知られている。
すなわち、炭酸カルシウムの脱炭酸温度に近い焼成温度
で得られるものは軟焼生石灰といわれ活性に富むが、さ
らに高温で焼成されるものは硬焼生石灰といわれ活性が
低い。これは、酸化カルシウムの結晶の成長と焼締りに
より開口空隙率の低下、換言すると比表面積が低下する
ためである。例えば純粋品についていえば軟焼生石灰の
開口空隙率は約50%、比表面積は約2m2/gである
のに対し、硬焼生石灰の開口空隙率は約10%、比表面
積は約0.04m2/gと非常に小さくなっている。
ために、粉末度を小さくして、比表面積を大きくする試
みがなされてきたが、炭酸カルシウムの粉末を小さくす
ることには限度があるため、炭酸カルシウムを原料とし
て用いる限り、あまり比表面積を大きくすることができ
ず、常圧での焼成による酸化カルシウム粉末の最も大き
い比表面積は3m2/g程度である。また、真空下での
焼成により活性度を高めることも提案されているが、設
備上多くの問題があり、実用化されていない[「ギプサ
ム・アンド・ライム(Gypsum & Lim
e)」、第178号、第31〜40ページ]。
として用い、これを真空下300〜390℃の温度で焼
成して110〜133m2/gという大きい比表面積の
酸化カルシウム粉末を製造した例も知られているが
[「ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・セラミック・
ソサエティ(J.Am.Ceramic So
c.)」、第64巻、第2号、第74〜80ページ]、
この方法により得られる粉末は、高活性ではあるとして
も、粒径1〜10μmと微細なものであるため、取り扱
いにくく、その利用分野が制限されるのを免れない。
大きく、したがって高活性で、しかも粒度が大きくて取
り扱いやすく、触媒、排気ガス用吸着剤、製鋼用保温
材、製鋼用フラックスなど広い範囲にわたって利用可能
な高活性酸化カルシウム多孔質体を提供することを目的
としてなされたものである。
化カルシウムを得るために鋭意研究を重ねた結果、水酸
化カルシウム又は炭酸カルシウムの微粉末を造粒したの
ち、所定の加熱条件下、比較的低い温度で焼成して得た
酸化カルシウム多孔質体が大きい粒度であるにもかかわ
らず、高活性を示すことを見出し、この知見に基づいて
本発明をなすに至った。
の水酸化カルシウム粉末を粒径少なくとも1mmの顆粒
に造粒し、この造粒体を常圧下加熱し、390〜480
℃の間を少なくとも5分間かけて昇温するか、あるいは
粒径300μm以下の炭酸カルシウム粉末を粒径少なく
とも1mmの顆粒に造粒し、この造粒体を常圧下加熱
し、700〜780℃の間を少なくとも5分間かけて昇
温させ、必要に応じさらに950℃までの温度で細孔分
布スペクトルにおいて、0.02〜0.2μm付近のピ
ークが認められるまで焼成することを特徴とする比表面
積少なくとも5m 2 /g、粒径少なくとも1mmの高活
性酸化カルシウム多孔質体の製造方法を提供するもので
ある。
ウムは、市販水酸化カルシウム(消石灰)をそのまま用
いてもよいし、市販酸化カルシウム(生石灰)の水和生
成物を用いることもできるが、不純分が混入すると得ら
れる酸化カルシウムの活性度が低下するので、できるだ
け純度の高いものを用いるのが好ましい。
300μmの粉末として用いられる。
ずれでもよく、市販品をそのまま用いてもよいし、水酸
化カルシウム水溶液に二酸化炭素を通して製造したもの
を用いてもよい。
シウム粉末の造粒は、これに水を加えて混練りし、慣用
の造粒機を用いて最小直径、少なくとも1mm、例えば
直径3〜6mm、長さ3〜6mm程度の円柱状顆粒に押
出し成形することによって行われる。この際添加する水
分の量としては、水酸化カルシウムの重量に基づき5〜
25重量%の範囲が適当である。この造粒に際しては、
保形性を向上させるために、所望に応じ有機バインダー
を添加することもできる。この有機バインダーとして
は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニ
ルアルコールなどの水溶性高分子物質が用いられる。こ
の有機バインダーの添加量は、水酸化カルシウムの重量
当り0.5〜5%の範囲が適当である。
ば電気炉を用いて焼成されるが、この焼成条件として
は、水酸化カルシウムの場合、390〜480℃の範囲
の間を少なくとも5分間、炭酸カルシウムの場合700
〜780℃の範囲の間を少なくとも5分間かけて昇温さ
せることが必要である。これ以外の条件で焼成した場
合、比表面積5m2/g以上の高活性のものを得ること
ができない。
の範囲が好ましく、また水酸化カルシウムの場合480
℃、炭酸カルシウムの場合780℃の上限に達したなら
ば、できるだけ早く加熱を停止するのが好ましい。細孔
分布スペクトルを測定すると、この時点において、0.
02〜0.2μm付近でピークが認められる。
完全な焼成をはかるために、さらに昇温を続行させるこ
とが必要になるが、この場合は950℃を超えない温度
で、しかも凝結が生じることがないように注意して行わ
なければならない。
れた高活性酸化カルシウムの凝結が起って、活性度が低
下しはじめ、時間が増加するとともに、この傾向は著し
くなる。
%よりも高いことが知られているので、あらかじめCO
2濃度が知られているCO2とN2との混合ガスを、20
℃において100ml/分の割合で通し、通過前の混合
ガスと同体積の通過後の混合ガス中のCO 2 濃度を測定
し、これらのCO2濃度の差を通過前のCO2濃度で除
し、100を乗じたものとして定義される。
のような低温で分解する還元剤を添加することにより、
焼成時間を短縮することができる。また本発明方法によ
れば、上記の製造条件を選択することにより、活性度を
所望の程度に調整された酸化カルシウムを得ることがで
きる。
上、通常は10〜60m2/gの高活性をもつ酸化カル
シウム多孔質体が、径1〜6mmの粒状体として得られ
る。この多孔質体は、必要に応じ、さらに細かく粉砕し
て各種用途に供せられる。
は、少なくとも5m2/gの大きい比表面積を有するの
で、非常に高い活性を示す上に、多孔質体であるため、
従来の酸化カルシウムよりも大きい粒度の製品として、
触媒、排気ガス用吸着剤、製鋼用保温材、製鋼用フラッ
クスなどに利用しうるので、非常に取り扱いやすいとい
う利点がある。また、本発明方法によれば、製造条件の
選択により、使用目的に応じた活性度をもつ酸化カルシ
ウムを得ることができるという利点もある。
明する。なお、各例におけるCO2反応率及び比表面積
は、次のようにして求めたものである。 (1)CO2反応率; 試料5gを内径20mm、長さ600mmの円筒状反応
器に装入し、温度20℃において100ml/分の割合
でCO2ガスとN2ガスとの混合物を通過させ、試料と接
触する前後における混合物中のCO2濃度をJIS R
6124燃焼容量法により測定し、得られた結果より次
式にしたがって計算した。
アイオニクス社製)を用いて、BET法により測定した
のち、得られた測定値を2倍して1g当りの表面積とし
た。
灰、純度95.9%、粒度300μm以下]に水25重
量%を加え、ディスクペレター[(株)不二パウダル
製]を用いて直径3mm、長さ3mmの顆粒に造粒し
た。
/分で470℃まで加熱し、470℃に達したとき、た
だちに電気炉より取り出し、放冷した。この際の390
℃から480℃までの昇温時間は90分であった。
ロメディックス社製PORESIZER9310)を用
いて測定したところ、0.06μmの位置に最高ピーク
が認められた。また、このもののCO2反応率は97
%、比表面積は57.67m2/gであった。
粒度150μm以下]を直径3mm、長さ3mmの顆粒
に造粒し、この造粒体を電気炉に入れ、室温から780
℃まで、昇温速度1℃/分で加熱し、780℃に達する
と同時に電気炉より取り出し、放冷した。この際の70
0℃から780℃までの昇温時間は80分であった。こ
のもののCO2反応率は95%、比表面積は35.86
m2/gであった。
灰、純度95.9%]を45μm以下、45〜75μ
m、75〜150μm及び150〜300μmのフラク
ションに分級し、それぞれのフラクションの粉末に水2
5重量%を加えディスクペレター[(株)不二パウダル
製]を用いて直径3mm、長さ3〜4mmの顆粒に造粒
し、この造粒体を昇温速度10℃/分で700℃まで加
熱し、次いで900℃の加熱温度で1時間焼成した。こ
のようにして得た酸化カルシウム多孔質体について、C
O2反応率及び比表面積を測定した。この結果を表1に
示す。
m以下の水酸化カルシウム粉末はいずれも比表面積5m
2/g以上の酸化カルシウムを与える。
長さ3mmに造粒したのち、電気炉に入れて、昇温速度
10℃/分で700℃まで加熱し、この温度で30分間
焼成した。この際の390℃から470℃までの昇温時
間は8分であった。このようにして得た酸化カルシウム
多孔質体の細孔分布を測定した。この結果、本発明品
は、0.02〜0.2μmの範囲の細孔を有することが
分った。
径3mm、長さ3mmに造粒し、電気炉により昇温速度
10℃/分で、室温から400〜1100℃の間の異な
る温度まで加熱し、各30分間焼成した。この際の39
0℃から470℃までの昇温時間は8分であった。この
ようにして得られた酸化カルシウム多孔質体のCO2反
応率及び比表面積を測定し、その結果を表2に示す。
酸カルシウム粉末を直径3mm、長さ3〜4mmに造粒
し、この造粒体を電気炉に装入し、室温からそれぞれ8
00℃、900℃、950℃及び1100℃の温度まで
10℃/分の速度で昇温し、最高温度に達してから30
分間焼成した。次いで各試料を電気炉から取り出して冷
却して、酸化カルシウム多孔質体を得た。このもののC
O2反応率及び比表面積を測定し、その結果を表3に示
す。
Claims (4)
- 【請求項1】 粒径300μm以下の水酸化カルシウム
粉末を粒径少なくとも1mmの顆粒に造粒し、この造粒
体を常圧下加熱し、390〜480℃の間を少なくとも
5分間かけて昇温させて焼成することを特徴とする比表
面積少なくとも5m 2 /g、粒径少なくとも1mmの高
活性酸化カルシウム多孔質体の製造方法。 - 【請求項2】 さらに480〜950℃の範囲内の任意
の温度で、細孔分布スペクトルにおいて、0.02〜
0.2μm付近のピークが認められるまで焼成すること
を特徴とする比表面積少なくとも5m 2 /g、粒径少な
くとも1mmの請求項1記載の高活性酸化カルシウム多
孔質体の製造方法。 - 【請求項3】 粒径300μm以下の炭酸カルシウム粉
末を粒径少なくとも1mmの顆粒に造粒し、この造粒体
を常圧下加熱し、700〜780℃の間を少なくとも5
分間かけて昇温させ焼成することを特徴とする比表面積
少なくとも5m 2 /g、粒径少なくとも1mmの高活性
酸化カルシウム多孔質体の製造方法。 - 【請求項4】 さらに780〜950℃の範囲内の任意
の温度で、細孔分布スペクトルにおいて、0.02〜
0.2μm付近のピークが認められるまで焼成すること
を特徴とする比表面積少なくとも5m 2 /g、粒径少な
くとも1mmの請求項3記載の高活性酸化カルシウム多
孔質体の製造方法。
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