JP2001354414A - 高反応性アルカリ土類金属酸化物の製造方法 - Google Patents
高反応性アルカリ土類金属酸化物の製造方法Info
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- JP2001354414A JP2001354414A JP2000173429A JP2000173429A JP2001354414A JP 2001354414 A JP2001354414 A JP 2001354414A JP 2000173429 A JP2000173429 A JP 2000173429A JP 2000173429 A JP2000173429 A JP 2000173429A JP 2001354414 A JP2001354414 A JP 2001354414A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 高反応性のアルカリ土類金属材料の提供を目
的とするもので、併せてその反応性を任意のレベルで安
定的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 アルカリ土類金属水酸化物を大気圧力よ
り低い圧力に保った密閉容器内に入れ、350℃以上600℃
以下の温度範囲で加熱することにより脱水反応を起こさ
せることを特徴とするアルカリ土類金属酸化物の製造方
法である。
的とするもので、併せてその反応性を任意のレベルで安
定的に製造する方法を提供する。 【解決手段】 アルカリ土類金属水酸化物を大気圧力よ
り低い圧力に保った密閉容器内に入れ、350℃以上600℃
以下の温度範囲で加熱することにより脱水反応を起こさ
せることを特徴とするアルカリ土類金属酸化物の製造方
法である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製鉄用造滓材(銑
鉄中の不純物をスラグとして分離させる助材)や、各種
の燃焼炉から排出される排ガス中の酸性成分吸着材等と
して広い産業分野で利用されている生石灰や苦土石灰又
は消石灰等に代わる高反応性アルカリ土類金属酸化物の
製造方法に関するものである。
鉄中の不純物をスラグとして分離させる助材)や、各種
の燃焼炉から排出される排ガス中の酸性成分吸着材等と
して広い産業分野で利用されている生石灰や苦土石灰又
は消石灰等に代わる高反応性アルカリ土類金属酸化物の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】安価なアルカリ土類金属酸化物として広
範囲に使用されている生石灰[CaO]は、汎用的には天然
に産出する石灰石[CaCO3]を800℃ないし1,200℃程度の
高温で假焼する方法で製造している。このようにして得
られた生石灰は、例えば製鉄業では溶鋼中に含まれる硫
黄分などの不純物と反応させスラグとして分離させる造
滓材として使用されているが、この時に使用する生石灰
の反応性がこの造滓能力に大きな影響を与えることが知
られている。従って、この反応性を高くする方法に関し
種々の提案がなされている。例えば、粒状及び(又は)粉
状の生石灰又は生石灰を主成分としたものを、プレス等
の加圧装置で圧密してその密度を調整して反応性を改良
する方法(例えば特開昭62-226842)や、石灰石粉と水酸
化カルシウム(消石灰と同意語)を一定割合で混合したも
のを700〜1,000℃の熱で假焼する方法(例えば特開平6-1
57085)があるが、その効果は汎用的方法により製造され
た生石灰の反応性を著しく改良できるとは言い難い。
範囲に使用されている生石灰[CaO]は、汎用的には天然
に産出する石灰石[CaCO3]を800℃ないし1,200℃程度の
高温で假焼する方法で製造している。このようにして得
られた生石灰は、例えば製鉄業では溶鋼中に含まれる硫
黄分などの不純物と反応させスラグとして分離させる造
滓材として使用されているが、この時に使用する生石灰
の反応性がこの造滓能力に大きな影響を与えることが知
られている。従って、この反応性を高くする方法に関し
種々の提案がなされている。例えば、粒状及び(又は)粉
状の生石灰又は生石灰を主成分としたものを、プレス等
の加圧装置で圧密してその密度を調整して反応性を改良
する方法(例えば特開昭62-226842)や、石灰石粉と水酸
化カルシウム(消石灰と同意語)を一定割合で混合したも
のを700〜1,000℃の熱で假焼する方法(例えば特開平6-1
57085)があるが、その効果は汎用的方法により製造され
た生石灰の反応性を著しく改良できるとは言い難い。
【0003】また、汎用的に製造された生石灰を機械的
に微粉砕したものや、同生石灰と水とを反応させて得ら
れる消石灰[Ca(OH)2](水酸化カルシウムと同意語)は各
種の燃焼炉や焼却炉から発生する排ガス中に含まれる酸
化硫黄や塩化水素などの酸性ガスの吸着材として広く使
用されている。これらの用途の多くは、処理対象排ガス
気流中に吸着材を吹きこむ乾式法が採用されており、こ
こでの吸着効率と吸着材使用量原単位は使用する吸着材
の反応性に依存している。従って、この反応性を高める
ために種々の方法が提案されている。例えば、生石灰の
反応性を高める方法としては、生石灰を100〜400℃の雰
囲気下において水で水和して消石灰とした後に450〜900
℃で再脱水する方法や、処理対象排ガスを発生するプロ
セス中に、吹き込んだ消石灰の一部を脱水させて生石灰
とする装置を付加して、消石灰と生石灰の混合物として
使用する方法などが提案されている(例えば特開平7-172
825や特開平4-300626)が、反応性の改良程度や均質性に
欠ける。
に微粉砕したものや、同生石灰と水とを反応させて得ら
れる消石灰[Ca(OH)2](水酸化カルシウムと同意語)は各
種の燃焼炉や焼却炉から発生する排ガス中に含まれる酸
化硫黄や塩化水素などの酸性ガスの吸着材として広く使
用されている。これらの用途の多くは、処理対象排ガス
気流中に吸着材を吹きこむ乾式法が採用されており、こ
こでの吸着効率と吸着材使用量原単位は使用する吸着材
の反応性に依存している。従って、この反応性を高める
ために種々の方法が提案されている。例えば、生石灰の
反応性を高める方法としては、生石灰を100〜400℃の雰
囲気下において水で水和して消石灰とした後に450〜900
℃で再脱水する方法や、処理対象排ガスを発生するプロ
セス中に、吹き込んだ消石灰の一部を脱水させて生石灰
とする装置を付加して、消石灰と生石灰の混合物として
使用する方法などが提案されている(例えば特開平7-172
825や特開平4-300626)が、反応性の改良程度や均質性に
欠ける。
【0004】消石灰の反応性を高める方法としては、生
石灰から消石灰を製造する時に使用する反応水として、
水とエタノールの混合液を使用することにより、出来上
がった消石灰の比表面積を大きくする方法などが提案さ
れている(特開平8-108040)が、複雑な製造装置が必要で
あり、また全体として経済性に欠ける。
石灰から消石灰を製造する時に使用する反応水として、
水とエタノールの混合液を使用することにより、出来上
がった消石灰の比表面積を大きくする方法などが提案さ
れている(特開平8-108040)が、複雑な製造装置が必要で
あり、また全体として経済性に欠ける。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的にアルカリ土類
金属酸化物はその炭酸塩固体を加熱することで得られる
が、酸化カルシウム[CaO](生石灰と同意語)の場合はそ
の炭酸塩である炭酸カルシウム[CaCO3]を加熱し次の脱
炭酸反応を起こさせることで得られる。
金属酸化物はその炭酸塩固体を加熱することで得られる
が、酸化カルシウム[CaO](生石灰と同意語)の場合はそ
の炭酸塩である炭酸カルシウム[CaCO3]を加熱し次の脱
炭酸反応を起こさせることで得られる。
【0006】
【化1】
【0007】工業的には塊状固体の炭酸カルシウムを、
液体燃料や固体燃料を燃焼させる假焼炉で焼成して製造
するが、[化1]式の反応は大気圧力下では約900℃(解離
温度)で開始する。工業的には塊中心部まで假焼する必
要性から炉内部温度は解離温度約900℃より相当高い温
度に保たれ、一般的にこの炉内温度は1,200〜1,300℃程
度であることが多く、このため製造される生石灰塊は解
離温度より相当高い被加熱履歴を受けており、脱炭酸反
応直後の酸化カルシウム結晶粒子相互が溶融肥大化して
しまい反応性の低下を起こしている。この反応性は假焼
雰囲気ガス成分や假焼温度によって異なるが、一般に反
応性の指標となる比表面積は1〜3m2/g程度しかないの
が実状である。
液体燃料や固体燃料を燃焼させる假焼炉で焼成して製造
するが、[化1]式の反応は大気圧力下では約900℃(解離
温度)で開始する。工業的には塊中心部まで假焼する必
要性から炉内部温度は解離温度約900℃より相当高い温
度に保たれ、一般的にこの炉内温度は1,200〜1,300℃程
度であることが多く、このため製造される生石灰塊は解
離温度より相当高い被加熱履歴を受けており、脱炭酸反
応直後の酸化カルシウム結晶粒子相互が溶融肥大化して
しまい反応性の低下を起こしている。この反応性は假焼
雰囲気ガス成分や假焼温度によって異なるが、一般に反
応性の指標となる比表面積は1〜3m2/g程度しかないの
が実状である。
【0008】従来試みられている反応性を高める方法
に、前述の方法で製造した酸化カルシウムを一旦水と反
応させて水酸化カルシウムにし、更にこの水酸化カルシ
ウムを加熱することで脱水させ再び酸化カルシウムに戻
す方法がある。
に、前述の方法で製造した酸化カルシウムを一旦水と反
応させて水酸化カルシウムにし、更にこの水酸化カルシ
ウムを加熱することで脱水させ再び酸化カルシウムに戻
す方法がある。
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】酸化カルシウムに水を加えると[化2]の反
応式で激しい発熱を伴いながら水酸化カルシウムを生成
し、この水酸化カルシウムを一定の温度で加熱すると
[化3]の反応式で水が解離し酸化カルシウムを生成する
ことが出来る。[化3]の反応が開始する温度(解離温度)
は雰囲気の圧力(分解圧)によって異なり、大気圧力と同
一の0.1MPaの圧力下では約550℃程度で反応が開始す
る。しかしながら工業的にこの反応を起こさせるには55
0℃以上(一般に600℃以上)を保つ必要があり、その結果
水が解離した直後の酸化カルシウム結晶粒子が溶融肥大
化することで高い反応性を期待することが出来ない。
応式で激しい発熱を伴いながら水酸化カルシウムを生成
し、この水酸化カルシウムを一定の温度で加熱すると
[化3]の反応式で水が解離し酸化カルシウムを生成する
ことが出来る。[化3]の反応が開始する温度(解離温度)
は雰囲気の圧力(分解圧)によって異なり、大気圧力と同
一の0.1MPaの圧力下では約550℃程度で反応が開始す
る。しかしながら工業的にこの反応を起こさせるには55
0℃以上(一般に600℃以上)を保つ必要があり、その結果
水が解離した直後の酸化カルシウム結晶粒子が溶融肥大
化することで高い反応性を期待することが出来ない。
【0012】本発明では、このような従来の欠点を解決
できる酸化反応条件について検討をし、かつ高反応性の
アルカリ土類金属材料の提供を目的とするもので、併せ
てその反応性を任意のレベルで安定的に製造する方法を
提供するものである。
できる酸化反応条件について検討をし、かつ高反応性の
アルカリ土類金属材料の提供を目的とするもので、併せ
てその反応性を任意のレベルで安定的に製造する方法を
提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ土類
金属酸化物を水と反応させる時の水分量(条件イ)を制御
しながら水酸化物を生成させ、得られた水酸化物を大気
圧力以下の負圧力雰囲気(条件ロ)に保ちながら比較的低
温(条件ハ)で一定時間(条件ニ)加熱することによって脱
水反応を起こさせて水酸化物の水を解離させることで、
非常に高い反応性を有する酸化物を得る方法である。特
に、水酸化物の酸化条件ロとハは重要である。
金属酸化物を水と反応させる時の水分量(条件イ)を制御
しながら水酸化物を生成させ、得られた水酸化物を大気
圧力以下の負圧力雰囲気(条件ロ)に保ちながら比較的低
温(条件ハ)で一定時間(条件ニ)加熱することによって脱
水反応を起こさせて水酸化物の水を解離させることで、
非常に高い反応性を有する酸化物を得る方法である。特
に、水酸化物の酸化条件ロとハは重要である。
【0014】すなわち、アルカリ土類金属水酸化物を大
気圧力より低い圧力に保った密閉容器内に入れ、350℃
以上600℃以下の温度範囲で加熱することにより脱水反
応を起こさせることを特徴とするアルカリ土類金属酸化
物の製造方法である。ここで、アルカリ土類金属水酸化
物の加熱時の密閉容器内の圧力は、0.04MPa以下の負圧
力が好ましい。温度も好ましくは450℃以上で且つ600℃
以下の温度範囲で加熱することにより脱水反応を起こさ
せると、高反応性のアルカリ土類金属酸化物が得られる
のである。
気圧力より低い圧力に保った密閉容器内に入れ、350℃
以上600℃以下の温度範囲で加熱することにより脱水反
応を起こさせることを特徴とするアルカリ土類金属酸化
物の製造方法である。ここで、アルカリ土類金属水酸化
物の加熱時の密閉容器内の圧力は、0.04MPa以下の負圧
力が好ましい。温度も好ましくは450℃以上で且つ600℃
以下の温度範囲で加熱することにより脱水反応を起こさ
せると、高反応性のアルカリ土類金属酸化物が得られる
のである。
【0015】この方法で製造することによって得られる
酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物は、従来
法で製造されたものと比較すると著しく高い比表面積の
粉体となり、その結果高い反応性が実現できる。またそ
の反応性の程度は著しく高いばかりでなく、前述の反応
条件イからニを制御することで容易に粉体比表面積の調
整が可能で、目的の反応性を有する製品を得ることが可
能となる。
酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属酸化物は、従来
法で製造されたものと比較すると著しく高い比表面積の
粉体となり、その結果高い反応性が実現できる。またそ
の反応性の程度は著しく高いばかりでなく、前述の反応
条件イからニを制御することで容易に粉体比表面積の調
整が可能で、目的の反応性を有する製品を得ることが可
能となる。
【0016】条件イの水酸化物の製造条件に関しては、
アルカリ土類金属の炭酸塩又はその化合物を焼成して得
られる酸化物原料をいったん一次反応装置へ投入して水
酸化物を生成させ、この反応装置出口の水酸化物付着自
由水分が5%以上20%以下の範囲になるように反応させ
た後、上記条件ロ及びハの雰囲気の二次反応装置内に上
記条件ニの時間滞留させて脱水反応を起こさせるのであ
る。
アルカリ土類金属の炭酸塩又はその化合物を焼成して得
られる酸化物原料をいったん一次反応装置へ投入して水
酸化物を生成させ、この反応装置出口の水酸化物付着自
由水分が5%以上20%以下の範囲になるように反応させ
た後、上記条件ロ及びハの雰囲気の二次反応装置内に上
記条件ニの時間滞留させて脱水反応を起こさせるのであ
る。
【0017】また、本発明の製造方法では、この二次反
応装置で得られた酸化物を冷却機中を通過させて酸化物
温度が使用する表面改質剤の沸点又は融点に相当する程
度まで冷却した状態で表面改質剤をノズル又は散布装置
から散布して表面改質すると各種用途に適合させること
ができる。
応装置で得られた酸化物を冷却機中を通過させて酸化物
温度が使用する表面改質剤の沸点又は融点に相当する程
度まで冷却した状態で表面改質剤をノズル又は散布装置
から散布して表面改質すると各種用途に適合させること
ができる。
【0018】更に、本発明における水酸化物生成の過程
で、得られる水酸化物の比表面積を大きくするために、
既存技術の特開平8-108040号などにみられる反応水とし
て水とエタノールの混合物を用いる等の方法を使用して
も良い。但しこの場合次の加熱工程でエタノールなどの
助剤に含まれている炭素成分等が、酸化物の比表面積増
加を妨げる作用を起こすことで、酸化物の反応性は若干
劣る場合もある。
で、得られる水酸化物の比表面積を大きくするために、
既存技術の特開平8-108040号などにみられる反応水とし
て水とエタノールの混合物を用いる等の方法を使用して
も良い。但しこの場合次の加熱工程でエタノールなどの
助剤に含まれている炭素成分等が、酸化物の比表面積増
加を妨げる作用を起こすことで、酸化物の反応性は若干
劣る場合もある。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法を実施する際に
必要ないくつかの条件に関し更に詳細に説明する。条件
イは反応式[化2]に関するもので一次反応装置内での作
用に関するが、ここでの温度は高いほうが反応は速やか
に右に移行するが、その時には反応生成水酸化物の比表
面積が小さくなる傾向が有ることが知られている。ここ
では比表面積を高くする目的を達成するために一次反応
装置内温度を下げる手段として反応水を理論当量よりも
多く作用させることで解決した。図3にその関係を示
す。即ち水和物の付着水を0(ゼロ)に近くすると反応温
度は170℃を超える高い値を示すが、10%を超える付着
水に制御すると著しく反応温度が低下する結果が得られ
る。但しあまり高い付着水を採用すると、材料の取扱い
が困難となり装置内での付着閉塞や粉体凝集塊の発生な
どが起り好ましくない。
必要ないくつかの条件に関し更に詳細に説明する。条件
イは反応式[化2]に関するもので一次反応装置内での作
用に関するが、ここでの温度は高いほうが反応は速やか
に右に移行するが、その時には反応生成水酸化物の比表
面積が小さくなる傾向が有ることが知られている。ここ
では比表面積を高くする目的を達成するために一次反応
装置内温度を下げる手段として反応水を理論当量よりも
多く作用させることで解決した。図3にその関係を示
す。即ち水和物の付着水を0(ゼロ)に近くすると反応温
度は170℃を超える高い値を示すが、10%を超える付着
水に制御すると著しく反応温度が低下する結果が得られ
る。但しあまり高い付着水を採用すると、材料の取扱い
が困難となり装置内での付着閉塞や粉体凝集塊の発生な
どが起り好ましくない。
【0020】条件ロ、ハ、ニは反応式[化3]に関するも
ので二次反応装置内での作用に関係する。[化3]の反応
は大気圧力下、即ち水蒸気分圧0.1MPaにおいて約550℃
から開始するが、水酸化物固体の内部まで脱水させ酸化
物を得るにはそれ以上の温度が必要で一般には600℃程
度である。ところがこの付近の温度では反応後の酸化物
結晶の溶融肥大化がはじまり、生成物の比表面積を低下
させてしまう。本発明ではこの比表面積低下を防止する
方法として、反応雰囲気を負圧力に保つことで水蒸気分
圧を下げ(条件ロ)反応開始温度を低くし(条件ハ)、さら
に高温に晒される時間を短くする(条件ニ)ことが有効で
ある。反応時間は10〜60分の範囲、好ましくは20〜40分
である。
ので二次反応装置内での作用に関係する。[化3]の反応
は大気圧力下、即ち水蒸気分圧0.1MPaにおいて約550℃
から開始するが、水酸化物固体の内部まで脱水させ酸化
物を得るにはそれ以上の温度が必要で一般には600℃程
度である。ところがこの付近の温度では反応後の酸化物
結晶の溶融肥大化がはじまり、生成物の比表面積を低下
させてしまう。本発明ではこの比表面積低下を防止する
方法として、反応雰囲気を負圧力に保つことで水蒸気分
圧を下げ(条件ロ)反応開始温度を低くし(条件ハ)、さら
に高温に晒される時間を短くする(条件ニ)ことが有効で
ある。反応時間は10〜60分の範囲、好ましくは20〜40分
である。
【0021】一般に生石灰や苦土石灰のようなアルカリ
土類金属酸化物の反応性は、水と反応する速さを塩酸で
中和滴定してその滴定時間毎の塩酸消費量で表示する。
図6に本発明の製造方法で得られた生石灰と市販の汎用
生石灰の反応性を示す。(A)が本発明のもので比表面積
が30m2/g、滴定時間が1分で390ml程度を示し、2分で
は早くもほぼ理論滴定量に匹敵する420mlに近い値を示
す。(B)は比較的高い反応性を有する汎用生石灰で比表
面積が3m2/gのもの、(C)は同様の普通反応性を有する
比表面積が1.5m2/gのものである。いずれも本方法のも
のと比較して著しく低い反応性を示している。
土類金属酸化物の反応性は、水と反応する速さを塩酸で
中和滴定してその滴定時間毎の塩酸消費量で表示する。
図6に本発明の製造方法で得られた生石灰と市販の汎用
生石灰の反応性を示す。(A)が本発明のもので比表面積
が30m2/g、滴定時間が1分で390ml程度を示し、2分で
は早くもほぼ理論滴定量に匹敵する420mlに近い値を示
す。(B)は比較的高い反応性を有する汎用生石灰で比表
面積が3m2/gのもの、(C)は同様の普通反応性を有する
比表面積が1.5m2/gのものである。いずれも本方法のも
のと比較して著しく低い反応性を示している。
【0022】
【実施例】以下本発明を適用した実施例について具体的
に説明する。
に説明する。
【0023】実施例1 図1に本発明を実施可能とした製造方法のフローシート
を示す。図において一次反応装置1に原料となるアルカ
リ土類金属酸化物、ここでは汎用生石灰A及び反応水を
投入する。この反応水には後述の冷却装置7で使用した
間接冷却媒体の冷却水Eを使用しても良い。一次反応装
置1の内部で生成した水酸化物は、一次反応熟成装置2
に入り、ここで水酸化反応の熟成がなされる。この一次
反応熟成装置2はあまり高い反応性を必要としない酸化
物製品を製造する時には省略しても良い。熟成した水酸
化物は装置前後を気密装置3で他の装置と絶縁された二
次反応装置4に投入される。
を示す。図において一次反応装置1に原料となるアルカ
リ土類金属酸化物、ここでは汎用生石灰A及び反応水を
投入する。この反応水には後述の冷却装置7で使用した
間接冷却媒体の冷却水Eを使用しても良い。一次反応装
置1の内部で生成した水酸化物は、一次反応熟成装置2
に入り、ここで水酸化反応の熟成がなされる。この一次
反応熟成装置2はあまり高い反応性を必要としない酸化
物製品を製造する時には省略しても良い。熟成した水酸
化物は装置前後を気密装置3で他の装置と絶縁された二
次反応装置4に投入される。
【0024】二次反応装置4の内部は減圧装置6により
必要な負圧力に保たれながら、装置外殻を熱ガス発生装
置5から供給される熱量または他プロセスなどから発生
する余剰熱ガスEで間接加熱することで内部を必要な温
度に保っている。二次反応装置4では投入された水酸化
物が脱水反応を起し酸化物に転移し、このときに発生す
る水蒸気は減圧装置6により装置外に取出され冷却や除
塵などの後、大気に放出する。酸化物に転移した原料は
気密装置3を経て冷却装置7に投入する。冷却装置7の
外殻は水などの間接冷却媒体Eにより冷却されており、
ここで必要な温度まで冷却された後、表面改質装置8へ
投入し、ここで投入される表面改質剤Fにより表面改質
することで表面改質高反応性酸化カルシウムBを得た。
表面改質を施す必要がない場合には冷却装置7から取出
すことで、高反応性酸化カルシウムB’を得ることが出
来る。表面改質剤としては、有機ケイ素化合物、アルミ
ニウム塩、脂肪酸類などが挙げられる。
必要な負圧力に保たれながら、装置外殻を熱ガス発生装
置5から供給される熱量または他プロセスなどから発生
する余剰熱ガスEで間接加熱することで内部を必要な温
度に保っている。二次反応装置4では投入された水酸化
物が脱水反応を起し酸化物に転移し、このときに発生す
る水蒸気は減圧装置6により装置外に取出され冷却や除
塵などの後、大気に放出する。酸化物に転移した原料は
気密装置3を経て冷却装置7に投入する。冷却装置7の
外殻は水などの間接冷却媒体Eにより冷却されており、
ここで必要な温度まで冷却された後、表面改質装置8へ
投入し、ここで投入される表面改質剤Fにより表面改質
することで表面改質高反応性酸化カルシウムBを得た。
表面改質を施す必要がない場合には冷却装置7から取出
すことで、高反応性酸化カルシウムB’を得ることが出
来る。表面改質剤としては、有機ケイ素化合物、アルミ
ニウム塩、脂肪酸類などが挙げられる。
【0025】実施例2 実施例1に示す構造の装置を使い製造した例について述
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分量を各種の値に調整し、二次反応装置4の内部圧力を
大気圧に保ち、加熱温度500℃で滞留時間60分「ケース
(A)」、及び加熱温度600℃で滞留時間18分「ケース
(B)」の条件で運転し、冷却装置7で冷却して高反応性
酸化カルシウムを製造した。得られた製品の比表面積と
一次反応装置出口の付着水分量との関係を図2に示す。
いずれのケースも付着水分が無い状態では比表面積が20
m2/g程度しかないが、付着水分量が5%では25m2/g程度
まで増加し、「ケース(A)」では付着水分量が高くなる
毎に比表面積も増加する結果を得、一次反応装置1の出
口付着水分量を制御することで製品の比表面積即ち反応
性が調節できることが確認出来た。
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分量を各種の値に調整し、二次反応装置4の内部圧力を
大気圧に保ち、加熱温度500℃で滞留時間60分「ケース
(A)」、及び加熱温度600℃で滞留時間18分「ケース
(B)」の条件で運転し、冷却装置7で冷却して高反応性
酸化カルシウムを製造した。得られた製品の比表面積と
一次反応装置出口の付着水分量との関係を図2に示す。
いずれのケースも付着水分が無い状態では比表面積が20
m2/g程度しかないが、付着水分量が5%では25m2/g程度
まで増加し、「ケース(A)」では付着水分量が高くなる
毎に比表面積も増加する結果を得、一次反応装置1の出
口付着水分量を制御することで製品の比表面積即ち反応
性が調節できることが確認出来た。
【0026】実施例3 本発明品を製造するに必要ないくつかの条件に関し解説
する。条件イは反応式[化2]に関するもので一次反応装
置内での作用に関するが、ここでの温度は高いほうが反
応は速やかに右に移行するが、その時には反応生成水酸
化物の比表面積が小さくなる傾向が有ることが知られて
いる。ここでは比表面積を高くする目的を達成するため
に一次反応装置内温度を下げる手段として反応水を理論
当量よりも多く作用させることで解決した。図3にその
関係を示す。即ち水和物の付着水を0(ゼロ)に近くする
と反応温度は170℃を超える高い値を示すが、10%を超
える付着水に制御すると著しく反応温度が低下する結果
が得られる。但しあまり高い付着水を採用すると、材料
の取扱いが困難となり装置内での付着閉塞や粉体凝集塊
の発生などが起り好ましくない。
する。条件イは反応式[化2]に関するもので一次反応装
置内での作用に関するが、ここでの温度は高いほうが反
応は速やかに右に移行するが、その時には反応生成水酸
化物の比表面積が小さくなる傾向が有ることが知られて
いる。ここでは比表面積を高くする目的を達成するため
に一次反応装置内温度を下げる手段として反応水を理論
当量よりも多く作用させることで解決した。図3にその
関係を示す。即ち水和物の付着水を0(ゼロ)に近くする
と反応温度は170℃を超える高い値を示すが、10%を超
える付着水に制御すると著しく反応温度が低下する結果
が得られる。但しあまり高い付着水を採用すると、材料
の取扱いが困難となり装置内での付着閉塞や粉体凝集塊
の発生などが起り好ましくない。
【0027】実施例4 実施例1に示す構造の装置を使い製造した例について述
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分を一定の値に固定し、二次反応装置4の内部圧力を大
気圧力よりも0.095MPa低い負圧力に保ち、各種加熱温度
と各種滞留時間に調整して高反応性酸化カルシウムを製
造した。得られた製品の比表面積と加熱温度・滞留時間
の関係を図4に示す。結果は加熱温度毎に固有の適性滞
留時間があり、内部圧力を一定にしておけば加熱温度を
制御することのみで反応性のレベル調節が広範囲に可能
で、且つ加熱温度は500〜550℃が好ましいことが確認で
きた。
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分を一定の値に固定し、二次反応装置4の内部圧力を大
気圧力よりも0.095MPa低い負圧力に保ち、各種加熱温度
と各種滞留時間に調整して高反応性酸化カルシウムを製
造した。得られた製品の比表面積と加熱温度・滞留時間
の関係を図4に示す。結果は加熱温度毎に固有の適性滞
留時間があり、内部圧力を一定にしておけば加熱温度を
制御することのみで反応性のレベル調節が広範囲に可能
で、且つ加熱温度は500〜550℃が好ましいことが確認で
きた。
【0028】実施例5 実施例1に示す構造の装置を使い製造した例について述
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分を一定の値に固定し、二次反応装置4の内部圧力を大
気圧力(0MPa)から(−)0.095MPaの負圧力まで変化さ
せ、加熱温度500℃で滞留時間30分「ケース(A)」、及
び加熱温度450℃で滞留時間60分の条件で運転し高反応
性酸化カルシウムを得た。結果を図5に示す。結果はい
ずれも大気圧力よりも負圧力に保った方が比表面積が高
くなり、「ケース(A)」では(−)0.04MPa以下で急激に
比表面積が高くなり、「ケース(B)」では(−)0.06MPa
以下で急激に比表面積が高くなる結果を得、加熱温度を
一定にしておけば内部負圧力のみを調節することで広範
囲な反応性レベルの調節が可能であることが確認でき
た。
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分を一定の値に固定し、二次反応装置4の内部圧力を大
気圧力(0MPa)から(−)0.095MPaの負圧力まで変化さ
せ、加熱温度500℃で滞留時間30分「ケース(A)」、及
び加熱温度450℃で滞留時間60分の条件で運転し高反応
性酸化カルシウムを得た。結果を図5に示す。結果はい
ずれも大気圧力よりも負圧力に保った方が比表面積が高
くなり、「ケース(A)」では(−)0.04MPa以下で急激に
比表面積が高くなり、「ケース(B)」では(−)0.06MPa
以下で急激に比表面積が高くなる結果を得、加熱温度を
一定にしておけば内部負圧力のみを調節することで広範
囲な反応性レベルの調節が可能であることが確認でき
た。
【0029】実施例6 実施例1に示す構造の装置を使い製造した例について述
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分を10%、二次反応装置4の内部圧力を大気圧、加熱温
度600℃、滞留時間を30分の条件で運転し、更に冷却装
置7の出口材料温度を120℃に調整して得られた高反応
性酸化カルシウム(A)と、冷却装置7で120℃に冷却さ
れた材料を更に表面改質装置8に投入して、改質剤吹込
みノズルから市販のシリコーンオイルを酸化カルシウム
100重量部に対し1重量部の割合で吹込み表面改質高反
応性酸化カルシウム(B)を得た。
べる。一次反応装置1の出口水酸化カルシウムの付着水
分を10%、二次反応装置4の内部圧力を大気圧、加熱温
度600℃、滞留時間を30分の条件で運転し、更に冷却装
置7の出口材料温度を120℃に調整して得られた高反応
性酸化カルシウム(A)と、冷却装置7で120℃に冷却さ
れた材料を更に表面改質装置8に投入して、改質剤吹込
みノズルから市販のシリコーンオイルを酸化カルシウム
100重量部に対し1重量部の割合で吹込み表面改質高反
応性酸化カルシウム(B)を得た。
【0030】この酸化カルシウム(A)及び(B)の粉体特
性をホソカワミクロン(株)製粉体特性測定装置「パウダ
テスタPT-N型」で測定した結果、表1に示す値を得た。
この結果によると酸化カルシウム(A)は流動性指数が3
3.0であるのに対し、(B)は65.0と高くなり、これは
(A)が容器からの排出に際し内部で粉体の架橋現象を発
生する可能性があるが(B)は架橋現象を発生することな
くスムーズに排出されることを意味している。又同様に
噴流性指数は(A)が72.5であるのに対し(B)は92.5を示
すが、これは(A)が空気輸送を行うに際し輸送配管内で
閉塞を起す可能性があるが(B)にはその可能性が無いこ
とを意味している。このように適当な材料温度状態で表
面改質を行うことで著しく粉体特性が改良出来た。
性をホソカワミクロン(株)製粉体特性測定装置「パウダ
テスタPT-N型」で測定した結果、表1に示す値を得た。
この結果によると酸化カルシウム(A)は流動性指数が3
3.0であるのに対し、(B)は65.0と高くなり、これは
(A)が容器からの排出に際し内部で粉体の架橋現象を発
生する可能性があるが(B)は架橋現象を発生することな
くスムーズに排出されることを意味している。又同様に
噴流性指数は(A)が72.5であるのに対し(B)は92.5を示
すが、これは(A)が空気輸送を行うに際し輸送配管内で
閉塞を起す可能性があるが(B)にはその可能性が無いこ
とを意味している。このように適当な材料温度状態で表
面改質を行うことで著しく粉体特性が改良出来た。
【0031】
【表1】
【0032】実施例7 一般に生石灰や苦土石灰のようなアルカリ土類金属酸化
物の反応性は、水と反応する速さを塩酸で中和滴定して
その滴定時間毎の塩酸消費量で表示する。図6に本発明
品例と市販の汎用生石灰との反応性を示す。(A)が本発
明品例で比表面積が30m2/gのもので滴定時間が1分で39
0ml程度を示し、2分では早くもほぼ理論滴定量に匹敵
する420mlに近い値を示す。(B)は比較的高い反応性を
有する汎用生石灰で比表面積が3m2/gのもの、(C)は同
様の普通反応性を有する比表面積が1.5m2/gのものであ
る。いずれも開発品と比較して著しく低い反応性を示し
ている。
物の反応性は、水と反応する速さを塩酸で中和滴定して
その滴定時間毎の塩酸消費量で表示する。図6に本発明
品例と市販の汎用生石灰との反応性を示す。(A)が本発
明品例で比表面積が30m2/gのもので滴定時間が1分で39
0ml程度を示し、2分では早くもほぼ理論滴定量に匹敵
する420mlに近い値を示す。(B)は比較的高い反応性を
有する汎用生石灰で比表面積が3m2/gのもの、(C)は同
様の普通反応性を有する比表面積が1.5m2/gのものであ
る。いずれも開発品と比較して著しく低い反応性を示し
ている。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法によって得られる金属酸化
物は、従来品に比較して著しくその比表面積が大きく、
その結果高い化学的反応活性が実現できる。例えば代表
的なアルカリ土類金属酸化物である酸化カルシウムは、
従来生石灰や消石灰が使用されている各種産業界におい
て、経済的で且つ効率的な代替品として適用が可能であ
るが、特筆すべき用途は次のとおりである。
物は、従来品に比較して著しくその比表面積が大きく、
その結果高い化学的反応活性が実現できる。例えば代表
的なアルカリ土類金属酸化物である酸化カルシウムは、
従来生石灰や消石灰が使用されている各種産業界におい
て、経済的で且つ効率的な代替品として適用が可能であ
るが、特筆すべき用途は次のとおりである。
【0034】酸性物質を含む燃焼排ガス、特にゴミ焼却
設備より排出される排ガスから少なくとも有害酸性物質
である硫黄酸化物やハロゲン化水素を中和・除去するの
に用いられる排ガス処理剤には、多くの場合粉末炭酸カ
ルシウムや粉末生石灰及び消石灰が使用されているが、
近年その処理効率を上げるためにそれら粉体の比表面積
をあげることで化学的反応活性を附与する方法が試みら
れている。特に消石灰に関しては各種の製造方法が開発
され、多くの焼却設備において高い比表面積の消石灰が
使用され始めている。本発明品でこれら消石灰と同等も
しくはそれ以上の比表面積と反応活性を有するものが得
られ、加えて中和・除去するに際しその必要量を決定す
る単位重量当りの化学的反応当量は水酸化カルシウムに
比較して約32%大きく(カルシウム1モル当りの水酸化
カルシウム分子量/カルシウム1モル当りの酸化カルシ
ウム分子量≒1.32)、結果的に相当する少ない量で同等
の効果を発揮することが出来る。
設備より排出される排ガスから少なくとも有害酸性物質
である硫黄酸化物やハロゲン化水素を中和・除去するの
に用いられる排ガス処理剤には、多くの場合粉末炭酸カ
ルシウムや粉末生石灰及び消石灰が使用されているが、
近年その処理効率を上げるためにそれら粉体の比表面積
をあげることで化学的反応活性を附与する方法が試みら
れている。特に消石灰に関しては各種の製造方法が開発
され、多くの焼却設備において高い比表面積の消石灰が
使用され始めている。本発明品でこれら消石灰と同等も
しくはそれ以上の比表面積と反応活性を有するものが得
られ、加えて中和・除去するに際しその必要量を決定す
る単位重量当りの化学的反応当量は水酸化カルシウムに
比較して約32%大きく(カルシウム1モル当りの水酸化
カルシウム分子量/カルシウム1モル当りの酸化カルシ
ウム分子量≒1.32)、結果的に相当する少ない量で同等
の効果を発揮することが出来る。
【0035】また、製鉄業においては鋼に含まれる不純
物元素を低減させるために、製鋼の過程で造滓材として
ソーダ灰系フラックスや生石灰系フラックスを吹きこん
で溶鋼中の硫黄分等と反応させて、鋼中の不純物をスラ
グとして取出している。そしてここで使用する石灰系フ
ラックスの比表面積を大きくすることなどで反応活性を
高めることが効果的であることが知られているが、その
製法に関しては研究されているものの実用段階には至っ
ていない。本方法で得られる製品はまさにこのような目
的で使用する時に必要な高い比表面積と高い反応活性を
有しており、従来の生石灰の代替として使用することに
より、例えば速やかな造滓反応性による精錬時間の短縮
などに寄与できる。
物元素を低減させるために、製鋼の過程で造滓材として
ソーダ灰系フラックスや生石灰系フラックスを吹きこん
で溶鋼中の硫黄分等と反応させて、鋼中の不純物をスラ
グとして取出している。そしてここで使用する石灰系フ
ラックスの比表面積を大きくすることなどで反応活性を
高めることが効果的であることが知られているが、その
製法に関しては研究されているものの実用段階には至っ
ていない。本方法で得られる製品はまさにこのような目
的で使用する時に必要な高い比表面積と高い反応活性を
有しており、従来の生石灰の代替として使用することに
より、例えば速やかな造滓反応性による精錬時間の短縮
などに寄与できる。
【0036】従って、本発明は従来品に比較し少ない量
で同等の効果をあげることが出来、結果的に広い範囲の
産業界のエネルギー使用合理化と生産性の向上に寄与す
る。
で同等の効果をあげることが出来、結果的に広い範囲の
産業界のエネルギー使用合理化と生産性の向上に寄与す
る。
【図1】本発明に係る製造方法のフローシートである。
【図2】二次反応装置内圧力を一定にして一次反応装置
出口水酸化物の付着水分と二次反応装置内温度を変更し
て運転したときに得られる酸化カルシウムの比表面積の
変化を示すグラフである。
出口水酸化物の付着水分と二次反応装置内温度を変更し
て運転したときに得られる酸化カルシウムの比表面積の
変化を示すグラフである。
【図3】一次反応装置出口の水酸化物付着水分量を変更
して運転したときの一次反応装置内材料温度の変化を示
すグラフである。
して運転したときの一次反応装置内材料温度の変化を示
すグラフである。
【図4】二次反応装置内圧力を一定にして同反応装置内
温度と滞留時間を変更して製造した時に得られる酸化カ
ルシウムの比表面積の変化を示すグラフである。
温度と滞留時間を変更して製造した時に得られる酸化カ
ルシウムの比表面積の変化を示すグラフである。
【図5】二次反応装置内温度と同反応装置内圧力を変更
して製造した時に得られる酸化カルシウムの比表面積の
変化を示すグラフである。
して製造した時に得られる酸化カルシウムの比表面積の
変化を示すグラフである。
【図6】本方法で得られた酸化カルシウムと市販生石灰
の反応性を示すグラフである。
の反応性を示すグラフである。
1 一次反応装置 2 一次反応熟成装置 3 気密装置 4 二次反応装置 5 熱ガス発生装置 6 減圧装置 7 冷却装置 8 表面改質装置
Claims (4)
- 【請求項1】 アルカリ土類金属水酸化物を大気圧力よ
り低い圧力に保った密閉容器内に入れ、350℃以上600℃
以下の温度範囲で加熱することにより脱水反応を起こさ
せることを特徴とするアルカリ土類金属酸化物の製造方
法。 - 【請求項2】 アルカリ土類金属水酸化物の加熱時の密
閉容器内の圧力は、大気圧力よりも0.04MPa以上低い負
圧力である請求項1記載のアルカリ土類金属酸化物の製
造方法。 - 【請求項3】アルカリ土類金属の炭酸塩又はその化合物
を焼成して得られる酸化物を一次反応装置へ投入して水
と反応させて水酸化物とし、該一次反応装置出口の水酸
化物付着自由水分が5%以上20%以下の範囲になるよう
に反応させた後、二次反応装置で脱水反応を起こさせる
請求項1記載のアルカリ土類金属酸化物の製造方法。 - 【請求項4】 二次反応装置で得られた酸化物を冷却機
に投入通過させて、酸化物温度が使用する表面改質剤の
沸点又は融点に相当する程度まで冷却した状態で表面改
質剤をノズル又は散布装置から散布して表面改質する請
求項1記載のアルカリ土類金属酸化物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000173429A JP2001354414A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | 高反応性アルカリ土類金属酸化物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000173429A JP2001354414A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | 高反応性アルカリ土類金属酸化物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001354414A true JP2001354414A (ja) | 2001-12-25 |
Family
ID=18675659
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000173429A Pending JP2001354414A (ja) | 2000-06-09 | 2000-06-09 | 高反応性アルカリ土類金属酸化物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001354414A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006021945A (ja) * | 2004-07-07 | 2006-01-26 | Yoshizawa Lime Industry | 高反応性の生石灰とその製造方法 |
JP2006169062A (ja) * | 2004-12-17 | 2006-06-29 | Ube Material Industries Ltd | 酸化カルシウム含有多孔質粒状物 |
WO2007142192A1 (ja) * | 2006-06-02 | 2007-12-13 | National University Corporation Tohoku University | 多孔質酸化カルシウム粒状物及び多孔質水酸化カルシウム粒状物 |
JP2008001534A (ja) * | 2006-06-20 | 2008-01-10 | Ube Material Industries Ltd | 酸化カルシウム粉末及びその製造方法 |
JP2009057254A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Sekitan Energy Center | 粒子状のCa(OH)2の製造方法及びそれを用いたガス吸収方法又はガス回収方法 |
JP2012066952A (ja) * | 2010-09-22 | 2012-04-05 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 消石灰ブリケット及びその用途 |
Citations (7)
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JPH01308825A (ja) * | 1988-06-06 | 1989-12-13 | Yoshizawa Sekkai Kogyo Kk | 高活性生石灰の製造装置 |
JPH07149580A (ja) * | 1992-12-02 | 1995-06-13 | Suzuki Kogyo Kk | 高活性酸化カルシウム多孔質体及びその製造方法 |
JPH07172825A (ja) * | 1991-10-01 | 1995-07-11 | Yahashi Kogyo Kk | 生石灰の水和・再脱水処理による、高反応性生石灰の製造方法 |
JPH07187662A (ja) * | 1993-12-28 | 1995-07-25 | Tateho Chem Ind Co Ltd | アルカリ土類金属酸化物の製造方法 |
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-
2000
- 2000-06-09 JP JP2000173429A patent/JP2001354414A/ja active Pending
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JP2009057254A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Sekitan Energy Center | 粒子状のCa(OH)2の製造方法及びそれを用いたガス吸収方法又はガス回収方法 |
JP2012066952A (ja) * | 2010-09-22 | 2012-04-05 | Denki Kagaku Kogyo Kk | 消石灰ブリケット及びその用途 |
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