JP4336910B2 - 水素化重合体、樹脂組成物、及び情報記録媒体基板用成形材料 - Google Patents
水素化重合体、樹脂組成物、及び情報記録媒体基板用成形材料 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ビニル系重合体水素添加物、該水素化重合体を含有する樹脂組成物、及び情報記録媒体用基板に関し、更に詳しくは、複屈折値が十分に小さく、且つ、機械強度に優れた情報記録媒体用基板、耐湿性及び成形加工性に優れた樹脂組成物、及びこれらを得るために好適な芳香族ビニル系重合体水素添加物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複屈折の小さい情報記録媒体基板用成形材料として、ポリスチレン等の芳香族ビニル系重合体の芳香環を水素添加して得られる水素化重合体が知られている。例えば、特開昭63−43910号公報には、分子鎖中にビニルシクロヘキサン成分を30重量%以上含有する重合体を光ディスク基板用成形材料として使用することが提案され、具体的には芳香環部分の水素添加率が97%、重量平均分子量(Mw)が92,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.84の芳香族ビニル系重合体水素添加物や、芳香環部分の水素添加率が85%、重量平均分子量(Mw)が150,000、分子量分布(Mw/Mn)が1.87である芳香族ビニル系重合体水素添加物を用いて光ディスク基板に成形した例が開示されている。
しかし、これらの光ディスク基板は、光線透過率が高く、吸水率が小さく、複屈折値は比較的小さいことが確認されているものの、基板としての機械強度が十分ではなかったり、複屈折値も十分には満足するレベルでなかったり、長期耐熱性などの信頼性が十分でなかったりといった問題を有していた。
【0003】
また、特開平1−318015号公報には、数平均分子量が50,000以上であり、軟化点が150℃以上のポリビニルシクロヘキサン系樹脂からなる光ディスク基板が提案されており、具体的には芳香環部分の水素添加率が99%、重量平均分子量が160,000のポリビニルシクロヘキサンを用いて光ディスク基板に成形した例が開示されているが、この光ディスクも複屈折値が満足するレベルにまで低減できていなかった。
以上のことから、十分に小さな複屈折値を有し、機械強度にも優れ、且つ基板に要求される諸特性が高度にバランスされた基板を得るための成形材料が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、十分に小さな複屈折値と、優れた機械強度とを兼ね備えた情報記録媒体基板を得ることができる成形材料を提供することにある。
本発明の他の目的は、十分小さな複屈折値を有し、機械強度に優れ、さらに、耐湿性に優れる基板を得ることができ、成形加工性などにも優れた成形材料としての水素化重合体及び樹脂組成物ならびにこれら水素化重合体及び水素化重合体の組成物を成形してなる情報記録媒体基板を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲の分子量と狭い分子量分布を有し、且つ芳香環部分が高度に水素添加された特定の水素化重合体を用いて成形した情報記録媒体用基板が、十分に小さな複屈折を有するのみならず、機械強度にも優れていることを見い出し、さらに分子量(M)10,000以下の成分含有量が一定量以下の前記水素化重合体、
又は水素化重合体と特定の配合剤とを含有する樹脂組成物が、上記特性に加えて、高温高湿環境下における白濁防止性などの耐湿性や表面平滑性に優れた成形物に成形可能であることを見い出し、さらに該成形物が光学部品材料として好適であり、特に情報記録媒体基板用材料として最適であることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
かくして本発明によれば、
芳香族ビニル系重合体を水素添加して得られる、芳香環の水素添加率が97%以上で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0以下、重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000であり、分子量(M)10,000以下の成分が重合体全重量中2重量%以下である水素化重合体100重量部に、ガラス転移温度が40℃以下の軟質重合体0.01〜10重量部を配合してなる樹脂組成物が提供される。この樹脂組成物は、情報記録媒体基板の成形材料として好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
情報記録媒体基板用成形材料
本発明の情報記録媒体基板用成形材料は、芳香族ビニル系重合体を水素添加して得られる、芳香環の水素添加率が97%以上で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0以下、重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000であり、分子量(M)10,000以下の成分が重合体全重量中2重量%以下である水素化重合体100重量部に、ガラス転移温度が40℃以下の軟質重合体0.01〜10重量部を配合してなる樹脂組成物からなるものである。
【0008】
水素化重合体
本発明の水素化重合体は芳香族ビニル系重合体の芳香環を水素添加して得られるものである。
【0009】
また、本発明の水素化重合体の芳香環の水素添加率は、芳香族ビニル重合体の全芳香環の97%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。芳香環の水素添加率が過度に小さいと、複屈折が大きくなり好ましくない。尚、芳香環の水素添加率は、1H−NMR測定により求めることができる。
【0010】
本発明においては、芳香族ビニル系重合体の水素添加物の重量平均分子量(Mw)を、GPCにより測定されるポリスチレン換算値で、100,000〜300,000、好ましくは100,000〜270,000、より好ましくは100,000〜250,000の範囲とし、且つ分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)で、2.0以下、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.3以下することが重要である。芳香族ビニル系重合体の水素添加物のMw/Mnが過度に大きいと機械強度に劣り十分な成形物が得られず、また、複屈折が大きくなる等の問題が生じる。また、重量平均分子量(Mw)が過度に小さいと機械強度に劣り十分な成形体ができず、逆に、過度に大きいと成形性に劣り複屈折が大きくなり、いずれも好ましくない。
【0011】
さらに本発明において好適な水素添加物は、水素化重合体中に、分子量(M)10,000以下の成分含有量が重合体全重量中2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下にしたものである。分子量(M)10,000以下の成分の含有量を上記範囲にすることによって、該重合体水素添加物を用いて成形した成形物の表面の平滑性が改善され、光学部品、特には情報記録媒体基板として優れた性能を示す。
【0012】
原料として用いる芳香族ビニル化合物は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が通常2.0以下で、重量平均分子量(Mw)が100,000〜400,000、好ましくは100,000〜300,000、より好ましくは100,000〜280,000のものである。
原料である芳香族ビニル系重合体の重量平均分子量(Mw)が過度に大きいと、芳香環の水素添加反応が困難で、100%近くまで強制的に水素添加反応を進ませると競争反応である分子鎖切断反応が進んで分子量分布が大きくなり、また低分子量成分が増加するため強度特性や耐熱性が低下し、逆に、過度に小さいと、強度特性に劣り十分な成形物が成形できず、いずれも好ましくない。
【0013】
原料として用いられる芳香族ビニル系重合体は、その製造方法において特に制限はないが、好適な方法として、例えば、芳香族ビニル化合物を、または芳香族ビニル化合物及びこれと共重合可能な単量体とを、炭化水素系溶媒中で(共)重合することにより得られる。
【0014】
(芳香族ビニル化合物)
芳香族ビニル化合物は、芳香環を有し且つ重合性のビニル基を有する化合物であれば格別な限定はない。芳香族ビニル化合物の代表例として、化1
【0015】
【化1】
【0016】
(化1中、R1は、水素原子またはアルキル基、R2〜R6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基またはハロゲン原子を示す。)
【0017】
で表されるものが挙げられる。化1中のR1のアルキル基は、好ましくは炭素原子数1〜5個の低級アルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、アミル基などが挙げられる。R2〜R6としては、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子またはR1と同様の低級アルキル基である。R2〜R6のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0018】
芳香族ビニル化合物の具体例としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノフルオロスチレン等を挙げることができる。
【0019】
これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレンなどが好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−プロピルスチレン、α−イソプロピルスチレン、α−t−ブチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレンが特に好ましい。
【0020】
これらの芳香族ビニル化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
(共重合可能な単量体)
芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などの重合法において芳香族ビニル化合物と共重合可能なものであれば特に制限はなく、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの共役ジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどのニトリル系単量体;メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸メチルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系単量体;エチレン、プロピレンなどのポリオレフィン;フェニルマレイミド等を挙げることができる。これらの芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0022】
芳香族ビニル系重合体を得るために用いる芳香族ビニル化合物の量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、全単量体に対して、通常は50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、最も好ましくは100重量%である。芳香族ビニル系重合体中の芳香族ビニル化合物の割合が多くなるにつれて水素添加物の複屈折が十分に小さくなる。
【0023】
この重合に用いられる開始剤としては、有機アルカリ金属からなるものや、有機アルカリ金属とルイス塩基との組み合せからなるもの等が挙げられ、分子量分布を狭くするためには、有機アルカリ金属とルイス塩基との組み合せからなるものが好適である。
有機アルカリ金属としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどのモノ有機リチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの多官能性有機リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、モノ有機リチウム化合物が特に好ましい。
【0024】
これらの有機アルカリ金属は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機アルカリ金属の使用量は、要求される生成重合体の分子量によって適宜選択され、通常、単量体100重量部当り、0.05〜100ミリモル、好ましくは0.10〜50ミリモル、より好ましくは0.15〜20ミリモルの範囲である。
【0025】
ルイス塩基は分子量分布の狭い芳香族ビニル系重合体を得る上で有用である。ルイス塩基としては、溶液重合で通常使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、エーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジンなどの第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、特にエーテル化合物が、得られる芳香族ビニル系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を充分に狭くできるので好適である。
【0026】
エーテル化合物としては、特に限定はないが、炭素数が、通常2〜100、好ましくは4〜50、より好ましくは4〜20のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソアミルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテルなどの脂肪族モノエーテル類;アニソール、フェネトール、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテルなどの芳香族モノエーテル類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどの環状モノエーテル類;
【0027】
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジアミルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、イソプロピレングリコールジメチルエーテル、イソプロピレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジブチルグリコールなどのアルキレングリコールジアルキルエーテル類;エチレングリコールメチルフェニルエーテルなどのアルキレングリコールアルキルアリールエーテル類;エチレングリコールジフェニルエーテルなどのアルキレングリコールジアリールエーテル類;エチレングリコールジベンジルエーテルなどのアルキレングリコールジアラルキルエーテル類;などが挙げられる。
【0028】
これらのルイス塩基は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのルイス塩基の使用量は、開始剤として用いる有機アルカリ金属1モルに対して0.001〜10.0ミリモル、好ましくは0.01〜5.0ミリモル、より好ましくは0.1〜2.0ミリモルの範囲である。
【0029】
重合において用いられる炭化水素系溶媒としては、ポリマーを溶解できるもので開始剤を失活させないものであれば格別な制限はなく、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;などが挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素類や脂環式炭化水素類を用いると、水素添加反応をそのまま行うことができるので好ましい。これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて、通常、単量体濃度が1〜30重量%になる量比で用いられる。
【0030】
重合反応は、等温反応、断熱反応のいずれでもよく、通常は0〜150℃、好ましくは20〜120℃の重合温度範囲で行われる。重合時間は、0.01〜20時間、好ましくは0.1〜10時間の範囲である。
【0031】
重合反応後は、スチームストリッピング法、直接脱溶媒法、アルコール凝固法等の公知の方法で重合体を回収できる。また、本発明においては、重合時に水素添加反応に不活性な溶媒を用いた場合は、重合溶液から重合体を回収せず、そのまま水素添加工程に供することができる。
【0032】
上記芳香族ビニル系重合体の水素添加方法は、芳香族環の水素添加率が高く、且つ重合体鎖切断の少ない水素添加方法であれば格別な制限はない。例えば、有機溶媒中で、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム及びレニウムから選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒を用いて行う方法を挙げることができる。前記水素化触媒の中でも、特にニッケル触媒は、Mw/Mnの小さい水素添加物を得ることができるので好適である。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれでもよい。
【0033】
不均一系触媒は、金属または金属化合物のまま、または適当な担体に担持して用いることができる。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土(珪藻土)、炭化珪素等が挙げられる。これらの中でも、ケイソウ土を使用すると、分子量分布をより狭くすることができて好適である。
この場合の担体上の上記金属の担持量は、通常0.01〜80重量%の範囲、好ましくは0.05〜60重量%の範囲である。
【0034】
均一系触媒として、ニッケル、コバルト、チタンまたは鉄の化合物と有機アルミニウム化合物や有機リチウム化合物等の有機金属化合物とを組み合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体等を用いることができる。均一系触媒に用いられるニッケル、コバルト、チタンまたは鉄の化合物としては、例えば、各種金属のアセチルアセトン塩、ナフテン酸塩、シクロペンタジエニル化合物、シクロペンタジエニルジクロロ化合物等が挙げられる。有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルキルアルミニウム;ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウム;などが挙げられる。
有機金属錯体の例としては、上記各金属のγ−ジクロロ−π−ペンゼン錯体、ジクロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体、ヒドリッド−クロロ−トリス(トリフェニルホスフィン)錯体等が挙げられる。
【0035】
これらの水素化触媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。水素化触媒の使用量は、芳香族ビニル系重合体100重量部当り、通常0.03〜50重量部、好ましくは0.16〜33重量部、より好ましくは0.33〜15重量部の範囲である。
【0036】
水素添加方法において用いられる有機溶媒としては、例えば、前記脂肪族炭化水素類;前記脂環式炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;アルコール類;エステル類などが挙げられる。これらの有機溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。有機溶媒の使用量は、芳香族ビニル系重合体の濃度が、通常1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲で用いられる。
【0037】
水素添加反応は、温度を通常、10〜250℃、好ましくは50〜200℃、より好ましくは80〜180℃の範囲にし、水素圧力を、通常、1〜300kg/cm2、好ましくは10〜250kg/cm2、より好ましくは20〜200kg/cm2の範囲にして行われる。
【0038】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、上記の特定な芳香族ビニル系重合体水素添加物の中で、分子量分布が2.0以下で、且つ分子量(M)10,000以下の成分が重合体全重量中2重量%以下であるものに白濁防止剤を配合してなるものである。
上記樹脂組成物を成形材料として使用することにより、白濁防止効果や成形加工性に優れた成形物を得ることができる。
白濁防止効果とは、高温高湿度環境下や耐スチーム試験において、成形物の白濁を生じさせないような特性をいい、成形加工性とは、成形物表面の凹凸等の欠陥、シルバーストリーク、ボイド等の表面不良等が少ない表面の平滑性に優れる成形物を得ることが可能な特性等をいう。
【0039】
白濁防止剤
本発明で使用する白濁配合剤は、芳香族ビニル系重合体水素添加物に一定量配合した場合に、上記白濁防止効果、すなわち、高温高湿度環境下や耐スチーム試験において、該水素化重合体からなる成形物の白濁を防止する機能を付与し得るような物質である。このような白濁防止剤は、軟質重合体、多価アルコールの部分エーテル化合物、及び多価アルコールの部分エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である。
【0040】
(軟質重合体)
本発明において、上記芳香族ビニル系重合体水素添加物に配合することができる軟質重合体は、該水素化重合体以外の重合体であり、本発明の芳香族ビニル系重合体水素添加物に配合した場合に、上記白濁防止効果を付与するような重合体であれば特に限定はないが、上記耐湿性を付与するためには、該重合体を芳香族ビニル系重合体水素添加物に配合する際に、該重合体の配合前の形状が変化して、例えばミクロドメイン状態を形成して水素化重合体中に分散し得るようなものである。
【0041】
そのような重合体として、ゴム質重合体や熱可塑性エラストマーなどの軟質重合体や樹脂などが挙げられる。
樹脂の具体例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、などのポリエーテルまたはポリチオエーテル;芳香族ポリエステル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどのポリエステル系重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4‐メチル−ペンテン−1などの鎖状ポリオレフィン系重合体;ポリメチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレート共重合体、ポリアクリロニトリルスチレン(AS樹脂)などの汎用の透明樹脂;アクリル樹脂;MS樹脂;液晶プラスチックなどが挙げられる。
【0042】
本発明に使用される軟質重合体は、ガラス転移温度が通常40℃以下の重合体であって、通常のゴム質重合体および熱可塑性エラストマーが含まれる。なお、ブロック共重合したゴム質重合体などでガラス転移温度が2点以上ある場合は、最も低いガラス転移温度が40℃以下であれば軟質重合体として用いることができる。
【0043】
ゴム質重合体の具体例としては、イソプレンゴム及びその水素添加物;クロロプレンゴム及びその水素添加物;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体などの飽和ポリオレフィンゴム;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、α−オレフィン・ジエン共重合体、ジエン共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、イソブチレン・ジエン共重合体などのジエン系共重合体及びそれらのハロゲン化物、ならびに前記ジエン系重合体及びジエン系重合体ハロゲン化物の水素添加物;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体及びその水素添加物;フッ化ビニリデン・三フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン・六フッ化プロピレン・四フッ化エチレン共重合体、プロピレン・四フッ化エチレン共重合体などのフッ素ゴム;ウレタンゴム、シリコーンゴム、ポリエーテル系ゴム、アクリルゴム、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、プロピレンオキサイドゴム、エチレンアクリルゴムなどの特殊ゴム;ノルボルネン系単量体とエチレンまたはα−オレフィンとの共重合体、ノルボルネン系単量体とエチレンとα−オレフィンとの三元共重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物などのノルボルネン系ゴム質重合体;乳化重合または溶液重合で得られたスチレン・ブタジエン・ゴム、ハイスチレンゴムなどのランダム系共重合体及びこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0044】
又、熱可塑性エラストマーの具体例としては、スチレン・ブタジエン・スチレン・ゴム、スチレン・イソプレン・スチレン・ゴム、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン・ゴムなどの芳香族ビニル系モノマー・共役ジエンの直鎖状または放射状ブロック共重合体、それらの水素添加物のごときスチレン系熱可塑性エラストマー;ウレタン系熱可塑性エラストマー;ポリアミド系熱可塑性エラストマー;1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー;塩化ビニル系熱可塑性エラストマー;フッ素系熱可塑性エラストマー;等が挙げられる。
【0045】
これらの中でも、芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合体、およびその水素添加物は、芳香族ビニル系重合体水素添加物との分散性が良いので好ましい。芳香族ビニル系モノマーと共役ジエン系モノマーの共重合体はブロック共重合体でもランダム共重合体でも良い。耐候性の点から芳香環以外の部分を水素添加しているものがより好ましい。具体的には、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン・ブロック共重合体、およびこれらの水素添加物、スチレン・ブタジエン・ランダム共重合体およびこれらの水素添加物などが挙げられる。
【0046】
上記の重合体を添加すると、多くの場合、成形品に多数の分散したミクロドメインが形成される。電子顕微鏡で観察したミクロドメインの平均粒径(電子顕微鏡観察により、無作為に選ばれたミクロドメイン100個それぞれの長径と短径を測定し、測定値を式[(長径+短径)/2]によってミクロドメイン径を計算し、その計算値の平均を求めたもの。)は、通常0.001〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.3μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmの大きさである。このようなミクロドメインを形成させると成形品の透明性と、高温高湿環境下での白濁防止効果が高度にバランスされ好適である。
【0047】
(部分エーテル化合物、部分エステル化合物)
本発明に使用される、部分エーテル化合物は、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合を有する化合物であり、部分エステル化合物は、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合とを有する有機化合物である。部分エーテル化合物又は部分エステル化合物を芳香族ビニル系重合体水素添加物に配合することで、高温高湿度環境下での白濁を防止でき、高い透明性を維持することが可能である。
少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエーテル結合を有する化合物とは、フェノール性の水酸基ではないアルコール性の水酸基を少なくとも1個と、分子中にエーテル結合単位を少なくとも1個有する有機化合物であれば特に限定はされない。該部分エーテル化合物は、多価アルコールの中の水酸基の少なくとも1つがエーテル化されたものである。多価アルコールは、水酸基が2個以上、好ましくは3個以上、さらに好ましくは3〜8個を有するものである。
【0048】
また、少なくとも1個のアルコール性水酸基と少なくとも1個のエステル結合を有する化合物とは、フェノール性の水酸基ではないアルコール性の水酸基を少なくとも1個と、分子中にエステル結合単位を少なくとも1個有する有機化合物であれば特に限定はされない。該部分エステル化合物は、多価アルコールの中の水酸基の少なくとも1つがエステル化されたものである。多価アルコールは、水酸基が2個以上、好ましくは3個以上、さらに好ましくは3〜8個を有するものである。
【0049】
多価アルコールとしては例えば、ポリエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリグリセロール、ジペンタエリスリトール、1,6,7−トリヒドロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−4−オキソヘプタン、ソルビトール、2−メチル−1,6,7−トリヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−4−オキソヘプタン、1,5,6−トリヒドロキシ−3−オキソヘキサンペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、これらのうち、特に3価以上の多価アルコール、さらには3〜8個の水酸基を有する多価アルコールが好ましい。また部分エステル化合物を得る場合には、α、β−ジオールを含む部分エステル化合物が合成可能なグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどが好ましい。
【0050】
このような部分エーテル化合物、部分エステル化合物の具体的として、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノベヘネート、ジグリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリンジラウレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールモノラウレート、ペンタエリスリトールモノベヘレート、ペンタエリスリト^ルジステアレート、ペンタエリスリトールジラウレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ジペンタエリスリトールジステアレートなどの多価アルコールのエーテル化物、エステル化物;
【0051】
3−(オクチルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(デシルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(ラウリルオキシ)−1,2−プロパンジオール、3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−プロパンジオール、1,6−ジヒドロオキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)−7−(4−ノニルフェニルオキシ)−4−オキソヘプタン、p−ノニルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物、p−オクチルフェニルエーテルとホルムアルデヒドの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物、p−オクチルフェニルエーテルとジシクロペンタジエンの縮合体とグリシドールの反応により得られるエーテル化合物などが挙げられる。
【0052】
これら多価アルコールの部分エーテル化合物または部分エステル化合物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用される。
これらの多価アルコールの部分エーテル化合物または部分エステル化合物の分子量は特に限定されないが、通常500〜2000、好ましくは800〜1500のものが、透明性の低下も少なく好ましい。
【0053】
(微粒子充填剤)
本発明に使用される微粒子充填剤としては、有機、または無機のフィラーなどが挙げられるが、高分子工業で通常使用されるものであれば、特に限定はされない。
これらの微粒子充填剤は、水素化重合体に配合する際に形状を変化させることなく、配合前の微粒子状態で該水素化重合体中に分散し得るようなものである。よって、前述の水素化重合体以外の重合体と、組成が同一のものであっても、配合前の微粒子形状を維持して水素化重合体中に分散し得るものは当該微粒子充填剤である。
【0054】
有機フィラーとしては、通常の有機重合体粒子または架橋有機重合体粒子を用いることができる。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル‐1‐ブテン、ポリ4‐メチル‐1−ペンテン、ポリ1−ブテンなどのポリオレフィン; ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロプレン、塩素化ゴムなどのハロゲン含有ビニル重合体; ポリアリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル・スチレン・アクリル酸エステル(共)重合体などのα,β‐不飽和酸またはその誘導体から誘導された(共)重合体;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル、ポリ安息香酸ビニル、ポリマレイン酸ビニル、ポリビニルビチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミン、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの不飽和アルコール及びアミンまたはそのアシル誘導体またはアセタールから誘導された重合体;
【0055】
ポリエチレンオキシド、またはビスグリシジルエーテルからから誘導された重合体; ポリフェニレンオキシド; ポリカーボネート; ポリスルフォン; ポリウレタン; 及び尿素樹脂; ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12などのポリアミド; ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ1,4−ジメチロール・シクロヘキサンテレフタレートなどのポリエステル; フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒドとフェノール、尿素またはメラミンとから誘導された架橋構造を有する重合体、例えば、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどの天然高分子化合物; などの粒子または架橋粒子を挙げることができる。
【0056】
無機フィラーとしては、1族、2族、4族、6族、7族、8〜10族、11族、12族、13族、14族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、燐酸塩、亜燐酸塩、有機カルボン酸塩、珪酸塩、チタン酸塩、硼酸塩およびそれらの含水化合物、もしくは複合化合物、及び天然鉱物粒子が挙げられる。具体的には、フッ化リチウム、硼砂(硼酸ナトリウム含水塩)などの1族元素化合物;炭酸マグネシウム、燐酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、フッ化マグネシウム、チタン酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、珪酸マグネシウム含水塩(タルク)、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、亜燐酸カルシウム、硫酸カルシウム(石膏)、酢酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、フッ化カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸バリウム、燐酸バリウム、硫酸バリウム、亜燐酸バリウムなどの2族元素化合物;
【0057】
二酸化チタン(チタニア)、一酸化チタン、窒化チタン、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)、一酸化ジルコニウムなどの4族元素化合物;二酸化モリブデン、三酸化モリブデン、硫化モリブデンなどの6族元素化合物;塩化マンガン、酢酸マンガンなどの7族元素化合物;塩化コバルト、酢酸コバルトなどの8〜10族元素化合物;沃化第一銅などの11族元素化合物;酸化亜鉛、酢酸亜鉛などの12族元素化合物;酸化アルミニウム(アルミナ)、フッ化アルミニウム、アルミノシリケート(珪酸アルミナ、カオリン、カオリナイト)などの13族元素化合物;酸化珪素(シリカ、シリカゲル)、石墨、カーボン、グラファイト、ガラスなどの14族元素化合物;カーナル石、カイナイト、雲母(マイカ、キンウンモ)、バイロース鉱などの天然鉱物の粒子が挙げられる。
【0058】
無機フィラーの平均粒径は、電子顕微鏡などにより、3000〜5000個の粒子の直径から測定される平均粒径で、0.05〜50μm、好ましくは0.1〜30μmの範囲である。また針状粒子よりも長辺と短辺の長さの比(=長径/短径)が2以下である球状粒子が好ましい。フィラーの大きさがこの範囲にある時に、透明性と高温高湿度環境下での白濁防止効果との高度なバランスが得られる。
【0059】
これらの白濁防止剤の中でも、軟質重合体、部分エーテル化合物、部分エステル化合物が、透明性、耐熱性、成形加工性、および高温高湿度環境下における白濁防止効果とを高度にバランスさせることができ好適である。
【0060】
本発明においては上記の白濁防止剤は芳香族ビニル系重合体水素添加物に適量配合する。配合量は芳香族ビニル系重合体水素添加物と白濁防止剤の組み合わせによって決まるが、一般に、配合量が多すぎれば、樹脂組成物のガラス転移温度や透明性が大きく低下し、光学材料として使用するのに不適である。また配合量が少なすぎれば、高温高湿下において成形物の白濁を生じる場合がある。
白濁防止剤の量は、芳香族ビニル系重合体水素添加物100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.02〜5重量部、特に好ましくは0.05〜2重量部である。配合量が上記範囲にある場合に、成形品の耐熱性、透明性と、高温高湿度環境下における白濁防止効果が高度にバランスされて好適である。
【0061】
また、上記白濁防止剤の中で、部分エーテル化合物又は部分エステル化合物を配合した樹脂組成物を用いて情報記録媒体基板を成形し、当該基板に情報記録用の記録膜層を形成した場合、上記高温高湿下における白濁防止効果に加えて、高温高湿環境下における記録膜層の密着性低下や、フクレなどの部分剥離現象、記録膜層の腐食等が防止できるため有効である。
【0062】
(酸化防止剤)
本発明の芳香族ビニル系重合体水素添加物は及び樹脂組成物は、成形時の酸化による劣化、分解等の防止、使用環境における酸化等の防止を目的として、酸化防止剤を配合するのが好ましい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられるが、これらの中でも、フェノール系酸化防止剤が好ましく、アルキル置換フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
【0063】
フェノール系酸化防止剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレートなどの特開昭63−179953号公報や特開平1−168643号公報に記載されるアクリレート系化合物;オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン[すなわち、ペンタエリスリメチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート)]、トリエチレングリコール ビス(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート)などのアルキル置換フェノール系化合物;6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、4−ビスオクチルチオ−1,3,5−トリアジン、2−オクチルチオ−4,6−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−オキシアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン基含有フェノール系化合物;などが挙げられる。
【0064】
リン系酸化防止剤としては、一般の樹脂工業で通常使用される物であれば格別な限定はなく、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系化合物が好ましく、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトなどが特に好ましい。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピピオネート、ジステアリル 3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ [5,5] ウンデカンなどが挙げられる。
【0065】
これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択されるが、本発明の芳香族ビニル系重合体水素添加物100重量部に対して通常0.001〜5重量部、好ましくは0.01〜1重量部の範囲である。
【0066】
(その他の配合剤)
本発明の芳香族ビニル系重合体水素添加物及び、樹脂組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤、染料や顔料などの着色剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤などのその他の配合剤を単独であるいは2種以上混合して用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
【0067】
情報記録媒体基板
本発明の情報記録媒体用基板は、上記情報記録媒体基板用成形材料を従来の成形方法によって成形して得ることができる。
使用できる成形方法としては、射出成形法(射出圧縮成形法)、圧縮成形法、プレス成形法、押出成形法、キャスト成形法などが挙げられるが、複屈折が十分に小さく、機械強度及び表面平滑性に優れる基板を得るためには射出成形法(射出圧縮成形法を含む)を用いるのが好ましい。
【0068】
具体的な射出成形方法としては、上記本発明の成形材料を、例えば加熱シリンダー等を用いて加熱溶融させ、溶融した成形用材料を金型内に充填させた後に冷却する方法が挙げられる。
使用する金型内面には、スタンパーが取り付けられ、ピット、グルーブ等が転写される。基板の形状は、その基板の規格に応じて変えられ、厚みは通常0.05〜10mm、基板径は通常30mm〜300mmである。
成形条件は、特に限定されないが、成形機のシリンダ設定温度を200〜400℃、好ましくは220〜380℃、最も好ましくは240〜360℃の範囲、金型温度を、50〜180℃にするのが好ましい。温度が低すぎると、いずれの場合も転写性が低下したり、複屈折がおおきくなる。温度が高すぎると、成形サイクルが延びたり、バリが発生したり、樹脂の分解が起こる場合がある。スプルー部を別個の温度、例えば30〜100℃、に調整をすることも可能である。
【0069】
上記成形の際には、シリンダー内で溶融した成形用材料の酸化、分解等を防止する目的で、(A)シリンダー内及び金型内を低酸素濃度状態にする方法や、(B)成形前に成形材料中の溶存酸素除去する方法を用いることができ、それによって、成形物の表面平滑性等がさらに向上する。これらの成形方法は、本発明の芳香族ビニル系重合体水素添加物及び該組成物だけではなく、従来から知られている水素化ポリスチレン、水素化ポリビニルシクロヘキセン、ポリビニルシクロヘキサンなどの脂環構造を有するポリマーにも適用できる。
【0070】
(A)(成形時にシリンダーおよび金型内を低酸素濃度状態にする方法)
成形時にシリンダーおよび金型内を低酸素濃度状態にするための具体的方法としては、(1)溶融樹脂の成形機への供給を低酸素濃度ガスの雰囲気中で行う方法、(2)溶融樹脂を射出装置に供給して射出成形するに際して、射出装置の内部を減圧状態にして該溶融樹脂を金型内に溶融射出して成形体を製造する方法などを挙げることができる。
【0071】
(1)成形機への供給を低酸素濃度ガスの雰囲気中で行う方法
成形機への供給を低酸素濃度ガスの雰囲気中で行う方法は、熱溶融式成形機を用いて成形品を成形するに当たり、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の該成形機への供給を低酸素濃度ガスの雰囲気中で行うものである。その結果、酸化、分解等による分子量の低下、成形品の着色、シルバーストリークの発生、さらに成形金型への芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の付着による成形物表面の剥離などの不良現象が著しく改善される。
上記の低酸素濃度ガスは、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂に対して不活性なガスであって、含有される酸素の量が通常2容量%以下、好ましくは1容量%以下、さらに好ましくは0.1容量%以下、特に好ましくは0.05容量%以下のものであり、具体例として、ヘリウム、ネオン、窒素、アルゴン、キセノン、クリプトンおよび二酸化炭素などが挙げられる。
【0072】
さらに、本発明で使用される不活性ガスは、−100℃以下の沸点を有することが望ましい。即ち、沸点が−100℃を超える不活性ガスを使用すると、この不活性ガスが芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂中に溶存されて、成形体を製造する際に溶存しているガスが気化することにより、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂が発泡することがあり、成形体がシルバーストリークあるいは気泡を有するようになることがあるので、ヘリウム、ネオン、窒素、アルゴン、キセノンが特に好ましい。
低酸素濃度ガスの使用量は、好ましくは成形機へ供給される芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の量1kg当たり30リットル以上、さらに好ましくは60リットル以上、特に好ましくは120リットル以上の流量で低酸素濃度ガスを供給し、低酸素濃度ガス雰囲気下とする。
【0073】
本発明において、水素化重合体の供給を低酸素濃度ガス雰囲気中で行うということは、成形機の加熱シリンダーへ供給された芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂が空気を伴って熱溶融することを防止するために、空気を低酸素濃度ガスで置換し、該空気量を極力少なく、または無くすることである。
【0074】
すなわち、本発明における水素化重合体の成形機への供給は、該樹脂を熱溶融式成形機の加熱シリンダーへの供給をいう。
水素化重合体に随伴される空気を低酸素濃度ガスで置換するために、低酸素濃度ガス雰囲気を作る方法としては、例えば、成形機に付帯している芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の供給ホッパーに低酸素濃度ガスを送入し、シリンダー内を低酸素濃度ガス雰囲気とする方法、成形機の加熱シリンダーにおいて、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂が熱溶融されるまでのシリンダーの任意な位置からシリンダー内へ低酸素濃度ガスを挿入し、シリンダー内あるいはシリンダー内と上記ホッパー内を低酸素濃度ガス雰囲気とする方法、別途、低酸素濃度ガス置換した芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂をシリンダーへ供給する方法などが挙げられる。
低酸素状態で成形する方法に用いられる熱溶融式成形機としては特に限定するものではないが、例えば、射出成形機、押し出し成形機が挙げられる。
【0075】
(2)溶融樹脂を射出装置に供給して射出成形するに際して、この射出装置の内部を減圧状態にして該溶融樹脂を金型内に溶融射出して成形体を製造する方法
芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂を、射出装置に供給して射出成形するに際して、この射出装置の内部を減圧状態にして芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂を金型内に溶融射出して成形体を製造する方法の詳細を以下に記載する。
【0076】
この方法の場合には、まず射出装置のシリンダー後方部、あるいは樹脂の供給ホッパー部などに設けられたベント孔から気体を排出することにより射出成形機(シリンダー)内部を減圧状態にする。
シリンダー内部の圧力を通常15torr以下、好ましくは8torr以下、さらに好ましくは1torr以下、特に好ましくは0.5torr以下の減圧状態にする。このように減圧下に芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂を溶融して射出することにより、例えば芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂ペレットから気体成分が発生したり、ペレットの乾燥が不十分である場合でも、分解による分子量の低下や、成形品の着色、シルバーストリークの発生、さらに成形金型への芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の付着による成形物表目の剥離などの、成形体外観の不良発生を抑制することができる。
【0077】
さらに、射出装置内部の空気を排出して、ホッパーおよびシリンダー内を上記の低酸素濃度ガスでパージした後に減圧を行うことが好ましい。
このように低酸素濃度ガスでパージすることにより、得られる成形体の透明性などの光学的特性がさらに向上する。上記のようにして減圧状態で行われる射出成形の条件は、本発明の水素化重合体以外の重合体を成形する場合においても同様である。
【0078】
(B)(成形前に成形材料中の溶存酸素除去する方法)
また、上記成形の前処理として、上記成形材料を成形前に加熱処理や減圧処理、不活性ガス雰囲気下での置換処理、及びそれらの併用処理等の方法を用いて、成形材料中の溶存酸素濃度を低くすることによっても、溶融した成形材料の酸化、分解等を防止することができ、上記のような成形時処理と同様な効果を得ることができる。
【0079】
成形材料中の溶存酸素濃度を低くする方法の具体例としては、例えば、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂のガラス転移温度(Tg−60) ℃以上で、かつ(Tg−5) ℃以下の温度範囲で0.1〜100時間、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂を加熱処理した後に溶融成形する方法が挙げられる。
加熱処理とは上記温度範囲の雰囲気に樹脂を置くことを示し、必ずしも樹脂中の水分の除去を目的とはしない。
【0080】
上記温度範囲に保持することで溶存酸素量は低減するが、同時に低酸素濃度雰囲気下で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気とは、通常酸素濃度が5容量%以下、好ましくは3容量%以下、さらに好ましくは1容量%以下の低酸素濃度ガス雰囲気のこと、あるいは通常15torr以下、好ましくは8torr以下、さらに好ましくは1torr以下の減圧状態にすることであるり、いずれの方法でも良い。
【0081】
低酸素濃度ガスとしては、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂に対して不活性なガスであって、例えばヘリウム、ネオン、窒素、アルゴン、キセノン、クリプトンおよび二酸化炭素などが挙げられ、また酸素濃度が上記範囲になるように前記不活性ガスで希釈した希釈空気雰囲気などを例示できるる。
加熱処理に用いる乾燥器は特に限定されず、通常の樹脂ペレットの乾燥に用いられている熱風循環式棚型乾燥器、ホッパードライヤー、棚型真空乾燥器や撹拌型真空乾燥器を用いることが出来る。
【0082】
加熱処理後の樹脂ペレットは、時間をおかず速やかに溶融成形に供されることが望ましい。加熱乾燥の後、成形を行うまでの時間は、通常12時間以内、好ましくは6時間以内、さらに好ましくは3時間以内、特に好ましくは1時間以内である。また、その間樹脂ペレットは低酸素濃度雰囲気下で保持されることが好ましい。
【0083】
加熱処理に加えて、加熱処理を行う前に樹脂ペレットを低酸素濃度雰囲気下に保存する方法をとるとさらに効果的である。すなわち酸素濃度が通常5容量%以下、好ましくは3容量%以下、さらに好ましくは1容量%以下の低酸素濃度ガス雰囲気下、あるいは通常15torr以下、好ましくは8torr以下、さらに好ましくは1torr以下の減圧状態で、あるいはこれらの方法を組み合わせ、例えば低酸素濃度ガスで希釈した希釈空気を減圧にした雰囲気下で保存する。そのような低酸素濃度雰囲気下での保存時間は1時間以上であるが、より好ましくは2時間以上である。なお、低酸素濃度雰囲気下にする時間は長時間であっても問題なく、例えばペレット製造後、樹脂を包装する際に包装に酸素透過量の少ない袋または容器を用い、低酸素濃度雰囲気下に充填し、包装内を低酸素濃度雰囲気下のまま長期間保管し、そのまま乾燥することも本発明に含まれる。
【0084】
なお、上記(A)及び(B)の方法は、前述の如く、本発明における特定の芳香族ビニル系重合体水素添加物の成形に限らず、従来公知の芳香族ビニル系重合体水素添加物や脂環構造を有するポリマーの成形に用いた場合、成形用材料の酸化、分解等による分子量の低下、成形品の着色、シルバーストリークの発生、さらに成形金型への芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の付着による成形物表面の剥離などの不良現象を防止することができるため有効である。また、その効果は特に情報記録媒体基板を成形する際に顕著である。
【0085】
すなわち、以上の
(A)芳香族ビニル系重合体もしくは不飽和化合物の重合体を水素添加してなる水素化重合体または飽和脂環式ビニル化合物の重合体を含有する成形材料を、低酸素濃度雰囲気下で成形する成形方法、
(B)(A)に記載の成形材料を、加熱処理および/または減圧処理し、その後成形する成形方法、
を用いることにより、
芳香族ビニル系重合体もしくは不飽和化合物の重合体を水素添加してなる水素化重合体または飽和脂環式ビニル化合物の重合体を含有する材料を成形してなるもので、複屈折が小さく、透過率が高く、AFM観察による表面欠陥数が少ない成形物、好適には情報記録媒体基板、
が提供される。
【0086】
(記録膜層)
本発明においては、情報記録媒体基板に記録膜層を設けることにより情報記録媒体として使用することができる。記録膜層は上記方法により得られた基板の表面に、アルミ反射膜層や、光の反射率を非可逆的または可逆的に局所的に変化しうるように設けたものであり、記録膜層は数百〜数千オングストロ−ム、厚くても10,000オングストロ−ム以下の厚みである。
【0087】
音楽用CDや、CD−ROM等では、情報自体は射出成型時の金型のスタンパー部分に刻んであり、基板にそれに対応した微細なグルーブが形成されているから、このグルーブを含む面の表面にアルミニウムまたは金などの反射膜層をスパッタリング法等で形成すればグルーブと反射膜層とで記録膜層になる。
【0088】
追記型のCD−Rや、書き換え可能な光磁気ディスク(MO)などでは、光の反射率または透過率を可逆的または非可逆的に変化させる記録膜層と、光を反射する反射膜層と、これらを保護し、また光学的な歪みを補正するための薄い無機または有機の保護膜層が形成される。これらの層はスパッタリング法、気層成長法、化学薬品のコートによる方法などで、単層または組み合わせて多層構造に形成することにより情報記録層が形成される。例えば、光磁気ディスク用途では、光磁気記録媒体(例えば、Tb−Fe−Co,Pt−Tb−Fe−Co等の記録媒体)に;反射層としてアルミニウム、金やその合金類;薄い保護膜層として、SiN、SiC等を積層した情報記録層が用いられる。相変化型のディスクの場合、Te−Ge−Sb,In−Sb−Te,Te−Ge−Cr,Te−Ge−Zn等やその合金類に上記と同様の反射膜層や、薄い保護膜層が積層された情報記録層が用いられる。
【0089】
これらの情報記録層の厚みや形成方法は各情報記録媒体基板の種類によって異なり、公知の方法で規格に沿って形成される。
【0090】
(コート層)
本発明の情報記録媒体基板を用い、光ディスクなどの情報記録媒体として使用する場合には、通常上記情報記録層を水分等から保護するためのコート層を形成して使用する。
【0091】
(コート剤)
コート層を形成する場合に用いるコート剤はシリコン系コート剤でも、有機系コート剤でもよい。シリコーン系のコート剤は、シラン化合物の部分加水分解物であり、有機系のコート剤には、メラミン系、アルキッド系、ウレタン系およびアクリル系の塗科を加熱硬化するコート剤と、多官能アクリル系モノマ−などを紫外線硬化する紫外線硬化型コート剤がある。芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂が熱変形しにくい条件で硬化でき、十分な硬さと耐候性の点で、紫外線硬化型コート剤が好ましい。
【0092】
(紫外線硬化型コート剤)
本発明の紫外線硬化型コート剤は、反応性モノマ−および/または反応性オリゴマーと光重合開始剤、その他の添加剤を含み、無溶剤または溶剤で希釈したものである。
【0093】
本発明においては、光重合性のモノマーの内、アクリレート基を有するものをアクリレート基の数によって、単官能アクリレートモノマー、2官能アクリレートモノマー、3官能アクリレートモノマーなどという。また、本発明においては、アクリレート基は、狭義のアクリレート基のほかに,メタクリレート基、エタクリレート基なども含む。
【0094】
単官能アクリレートモノマーとしては、例えば、n一ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2一ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシプロピルアクリレートなどが挙げられる。なかでも、ラジカル酸素により硬化反応が阻害されないように、メタクリレート基などを有さず狭義のアクリレート基のみを有するものが好ましく、また、紫外線硬化性コート剤の硬化収縮を減少させるために、炭素数4〜6程度の側鎖を有するものが好ましい。
【0095】
また、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂との接着性をよくするため、後述のように、長鎖脂肪族単官能アクリレートモノマーや脂環式単官能アクリレートモノマーを用いることも好ましい。長鎖脂肪族単官能アクリレートモノマーとしては、脂肪族部分の炭素数が5〜18が好ましく、8〜16のものがより好ましい。炭素数が小さすぎると接着性が悪く、炭素数が大きすぎると架橋させにくく、強度に劣る。長鎖脂肪族単官能アクリレートモノマーとしては,具体的には、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレートなどが例示される。脂環式単官能アクリレートモノマーとしては、具体的には、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルアクリレート、その水素添加物、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが例示される。
【0096】
2または3官能アクリレートモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、トレメチロールプロパン、テトラメチロールブロパン、ペンタエリストール、ジペンタエリスリトール等のポリオール類に2または3個のアクリル酸がエステル化したものやビスフェノールF型エポキシアクレートが挙げられる。また,芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂との接着性をよくするため、後述のように、脂環式2官能アクリレートモノマーを用いることが好ましい。脂環式2官能アクリレートモノマーとしては、具体的には、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルジアクリレート、その水素添加物、イソボニルジアクリレート、シクロヘキシルジアクリレートなどが例示される。
【0097】
4官能以上のアクリレートモノマーとしては、例えば、テトラメチロールプロパン、ペンタエリストール、ジペンタエリスリトール等のポリオール類に、4個以上、好ましくは4〜8個のアクリル酸がエステル化したものである。特に、一般に入手が容易な4〜6官能のアクリレートモノマーが好ましい。
【0098】
反応性オリゴマーとしては、末端にアクロイル基を持つポリエステルアクリレート、分子鎖中にエポキシ基かつ末端にアクロイル基を持つエポキシアクリレートまたはポリウレタンアクリレート、分子鎖中に二重結合を持つ不飽和ポリエステル、1,2−ポリブタジエン、その他のエポキシ基またはビニルエーテル基を持つオリゴマーを挙げることができる。
【0099】
光重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、塩素化アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン類:ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、べンゾインアルキルエーテル等のベンゾイン類:α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、ヒドラゾン等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド等の有機パーオキサイド類;ジフェニルジサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジベンゾイルジサルファイド等のジフェニルジサルファイド類;等を挙げることができる。
【0100】
これらの混合割合は、通常、アクリレートモノマーと光重合開始剤を合わせた重量に対して、単官能アクリレートモノマーは15〜65重量%、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは30〜55重量%、2または3官能アクリレートモノマーは5〜50重量%、好ましくは6〜40重量%、より好ましくは8〜30重量%、4官能以上のアクリレートモノマー10〜60重量%、好ましくは12〜50重量%、より好ましくは15〜45重量%、反応性オリゴマーは0〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。反応性オリゴマーの量が多過ぎると硬化収縮が大きくなったり密着が悪くなる。少なすぎると粘度が下がり、均一な膜を形成しにくくなったり、硬化に時間がかかる場合がある。
【0101】
光重合開始剤は1〜10重量%、好ましくは2〜6重量%である。4官能以上のアクリレートモノマーが多すぎると、硬化収縮が増大し、少なすぎると硬化層の硬度が低下し、また硬化速度が低下する。単官能アクリレートモノマーの量が少ないと粘度が高くなり作業性が悪い。また、単官能アクリレートモノマーの量が多いと硬化収縮が減少するほか、2または3官能アクリレートモノマーの量が少なくなり、硬化層の柔軟性が低下し、クラック発生の原因となる。また、接着性を向上させるためには2または3官能アクリレートモノマーの量は多いことが好ましい。
【0102】
また、本発明の紫外線硬化性コート剤は、長鎖脂肪族単官能アクリレートモノマー、脂環式単官能アクリレートモノマー、および脂環式2官能アクリレートモノマーから選ばれる1種以上のモノマーを40重量%以上含有することが好ましく、45重量%以上含有することがより好ましく、50重量%以上含有することが特に好ましい。長鎖脂肪族単官能アクリレートモノマー、脂環式単官能アクリレートモノマー、および脂環式2官能アクリレートモノマーから選ばれる1種以上のモノマ一の含量が多いほど、紫外線硬化性コート剤の芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂への接着性が向上する。
【0103】
硬化層の接着性や硬度を損なわない限りにおいて、紫外線硬化性コート剤に適当な添加物を加えてもよい。例えば、フッ素系ノニオン界面活性剤を添加することにより、基枚との濡れや硬化後の表面平滑性が改良できたりする。その他、適当な熱可塑性樹脂を添加することにより、粘度を調整したり、接着性を向上させることもできる。接着性を向上させる熱可塑性樹脂としては、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂またはそれと構造が類似の樹脂、例えば、ノルボルネン系単量体の開環重合体や、ジシクロペンタジエン系、ジエン系、脂肪族系、ウオーターホワイト系などの石油樹脂またはその水素添加物などが挙げられる。
【0104】
(帯電防止剤)
紫外線硬化性コート剤は、特に保護コート剤として使用する場合に、硬化層の帯電防止のために、帯電防止剤を添加することが好ましい。帯電防止剤としては、特に限定されず、一般の帯電防止剤でよいが、ノニオン系帯電防止剤がアクリレートモノマーが好ましい。ノニオン系帯電防止剤は、アクリレートモノマーとの相溶性に優れており、均一の紫外線硬化性組成物が得られるため、接着性、帯電防止効果にムラが生じない。
【0105】
硬化層の帯電防止が必要な場合、硬化層の表面電気抵抗値が5×1013Ω以下、好ましくは2×1013Ω以下、より好ましくは1013Ω以下にする。そのためには、帯電防止剤の添加量を1〜7重量%、好ましくは1.5〜5重量%添加することにすればよい。紫外線硬化性コート剤に帯電防止剤を表面電気抵抗値を充分に下げる量添加して用いても、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂からなる成形品に実用上支障のない接着性を有する硬化層が形成できる。仮に接着性が不十分となる場合は、後述のようにプライマー組成物を用いてプライマー層を形成することが好ましい。
【0106】
上記コート剤は、このままで用いることもできるが、操作性の必要等に応じて、トルエン、キシレン、クロルペンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶剤:等をはじめ、エステル系溶剤、セロソルブ系溶剤、クロル系溶剤等に80重量%以上の濃度に溶解して用いて、紫外線硬化性コート剤としてもよい。
【0107】
(プライマー及びプライマー層の形成)
本発明においては、光ディスクなどの成形品の表面に特定の紫外線硬化性コート剤を塗布し、該紫外線硬化性コート剤に紫外線を照射して硬化させ、保護コート層を形成するが、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂と保護コート層の密着性をより強固なものとするために、紫外線硬化性コート剤の塗布に先立ち、プライマーを塗布してもよい。プライマーとしては、ハロゲン化炭化水素重合体が好ましい。このようなハロゲン化炭化水素重合体としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、スチレンなどの炭化水素系モノマ一を重合または共重合して得られた炭化水素系ポリマーをハロゲン化したもの、あるいは、ビニルクロリド、ビニリデンクロリド、クロロプレンなどのハロゲン含有モノマーを重合または共重合したものなどである。なかでも、炭化水素系ポリマーを塩素化したものが好ましく、特に塩素化ポリプロピレンが好ましい。
【0108】
ハロゲン化炭化水素重合体の分子量は、通常、5,000〜200,000、好ましくは10,000〜150,000、より好ましくは20,000〜100,000である。分子量が小さすぎるとプライマ一層の強度が低くなり、大きすぎると粘度が高くなりすぎて塗布の作業性が悪い。ハロゲン化炭化水素重合体のハロゲン含有量は、通常、15〜55重量%、好ましくは20〜45重量%、より好ましくは25〜35重量%である。ハロゲンの含有量が少なすぎても多すぎても、保護コート層と成形品表面の密着性が悪くなる。
【0109】
プライマーには、後述の光重合性モノマー、光重合性オリゴマーなどを反応性希釈剤として添加してもよく、特に単官能アクリレートモノマーを2〜20重量%の割合で添加すると、保護コート層とプライマー層との間、及びプライマー層と樹脂成形品表面との間の密着性が向上し、成形品から保護コート層が剥離しにくくなるので好ましい。プライマーは、溶剤に溶解してプライマー溶液として用いるのが好ましい。溶剤は、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂に対する実質的な貧溶媒であれば、特に限定されない。例えば、トルエンは、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂の良溶媒であるが、メチルイソブチルケトンで70重量%以下に希釈すれば、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂成形品に塗布しても浸食が小さくなるので、プライマーの溶剤として用いることができる。
【0110】
n−ブチルメタクリレートやイソアミルメタクリレートなどの単官能アクリレートも、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂に対する貧溶媒であり、かつ、前述のようにプライマーに添加する光重合性モノマーとしての効果を有する反応性希釈剤であるため、好ましいものである。プライマー溶液の固形分濃度は、通常、1〜30重量%、好ましくは1.5〜20重量%、より好ましくは2〜10重量%である。プライマー層は、プライマー溶液を芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂成形品の表面に塗布し、プライマー溶液中の揮発性成分を十分に除去することにより形成される。ただし、プライマーの溶剤として、前述のような反応性希釈剤のみを使用する場合には、揮発性成分の除去操作は不要である。
【0111】
プライマー溶液のコート面への塗布方法は、特に限定されず、例えぱ、スプレー、浸漬、スピンコート、ロールコーター等が採用できる。プライマー溶液中の揮発性成分の除去方法も、特に限定されない.プライマー溶液の溶剤を実質的に除去するのに必要な揮発温度と時間は、使用する溶剤の種類、プライマー溶液の塗布量、塗布面の成形品の形状によっても異なるが、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂成形品の熱変形が起こらないように、約100℃以下で、かつ、十分に除去できるように条件を決定すればよい。具体的には、60〜100℃で、3〜60分間程度放置しておくのが適当である。高温で揮発性成分を除去した後は、室温で10秒〜10分間程度の冷却を行い、ほぼ室温近くまで冷却することが好ましい。
【0112】
プライマー溶液の塗布量は、特に限定されないが、厚さ1〜10μm程度、特に2〜5μm程度になるようにすることが好ましい。プライマー溶液の塗布後、揮発性成分の除去が必要な場合は、十分に揮発性成分を除去した後に上記の厚さになるように調整することが好ましい。プライマー溶液の塗布量が少ないと、プライマー溶液の効果が小さく、多すぎると揮発性成分の除去が困難であったり、ハードコ−ト層が成形品から剥離しやすくなったりする。
【0113】
(コート層の形成)
本発明においては、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂成形品の表面に、必要によりプライマー層を形成し、その上に前記紫外線硬化性コート剤を塗布し、紫外線を照射して硬化させて、コート層を形成する。芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂成形品は、該樹脂単体の成形品であってもよく、あるいは、他の材料や成型品との複合体であってもよい。コート層を形成するのは、芳香族ビニル系重合体水素添加物樹脂基板表面及び記録膜層であり、該表面全体あるいは特に耐摩耗性、耐擦傷性が要求される表面部分である。
【0114】
塗布方法は特に限定されず、例えば、スプレー、浸漬、スピンコート、ロールコーター等が可能である。溶剤を用いた場合は、塗布後、実質的に溶剤が含まれなくなるように、十分に乾燥する。乾燥方法は特に限定されない。
【0115】
紫外線硬化性コート剤の厚さは、コーティングにおいては2〜300μm、接着においては10〜400μm程度であることが好ましい。溶剤を用いた場合は、乾燥後にこの厚さになるようにする。厚さが薄い場合には、強度の強い硬化層が得られず、十分な表面硬度の改良効果や接着性が得られない。厚い場合には、乾燥や硬化反応に時問がかかり、生産性が悪くなり、また、硬化不十分で硬度が低い場合や、硬化層が柔軟性に欠け、割れることがある。
【0116】
塗装面は必要に応じて、十分に乾燥させる必要がある。溶剤を多量に含んだまま硬化させると、塗膜にクラックが発生しやすく、また、高硬度の塗膜が得られない原因にもなる。溶剤を実質的に除去するのに必要な乾燥温度と時間は、便用する溶剤の種類、塗布量、接着面の形状によっても異なるが,基材の熱変形がないように、おおむね120℃以下で、かつ、十分に乾燥できるように条件を決定すればよい。具体的には60〜120℃で,3〜60分程度の乾燥が通当である。高温で乾燥した後は、室温で10秒〜10分程度の冷却を行い、ほぼ室温近くまで冷却することが好ましい。なお、溶剤を用いない場合は、乾燥は不要である。
【0117】
その後、高圧水銀灯などの紫外線を効率的に発生する光源から紫外線を照射することにより、硬化が短時間で起こり、硬度の高い硬化層が形成される。紫外線の照射量は、光重合性モノマーや光重合開始剤の反応性によっても異なるが、通常、80W/cmの高圧水銀灯の場合、5〜10秒程度の短時間で硬化させることができる。
【0118】
なお、上記これらのコート層も、本発明における特定の芳香族ビニル系重合体水素添加物からなる情報記録媒体基板への使用に限られず、従来公知の芳香族ビニル系重合体水素添加物を成形した情報記録媒体基板に設けることにより、情報記録媒体の信頼性を一層向上させることができて好適である。
さらに、上記これらのコート剤は、成形物に塗布した場合の表面の滑りが良好であり、帯電防止効果に優れ、印刷が可能である等の効果に優れるために、従来公知の芳香族ビニル系重合体水素添加物や、その他のビニル系環状炭化水素樹脂を用いたその他の光学部品などの一般成形品の保護コート剤、ハードコート剤などとしても有用である。
【0119】
このような手法を採用することによって従来にない優れたコート層を有する情報記録媒体基板、すなわち、
(1)ビニル系環状炭化水素樹脂からなり、碁盤目剥離試験による密着強度が90%以上であって、かつ、表面硬度(鉛筆硬度)が2H以上の保護コート層を有することを特徴とする情報記録媒体基板、
(2)保護コート層が、基板の表面に反応性単量体および/または反応性オリゴマー、および光重合開始剤からなる紫外線硬化型コート剤を塗布し、紫外線照射して形成されるものである(1)に記載の情報記録媒体基板、
(3)紫外線硬化型コート剤が、長鎖脂肪族単官能アクリレート単量体、脂環式単官能アクリレート単量体、及び脂環式2官能アクリレート単量体から選ばれる1種以上の単量体を40重量%以上含有しているものである(1)または(2)記載の情報記録媒体基板、
が提供される。
【0120】
(表面処理)
本発明においては、上記記録膜層やコート層の基板への密着性を向上させることを主な目的として、基板表面を、プラズマ処理、コロナ放電処理、活性ガス処理、溶剤エッチング処理、マイクロサンドブラスト処理、ケミカルエッチング処理などの従来公知の種々の表面処理を行ってもよい。
【0121】
(その他の工程など)
例えばデジタルビデオディスクやレーザーディスクでは、半分の厚みに作ったディスクを2枚用い、記録膜層が内側になるように互いにディスクを貼り合わせたものも可能である。コート剤の上に更にレーベル等をスクリーン印刷法などで印刷することも可能である。また、本発明の製造工程で規定されている各工程は、順番に沿って実施していく必要があるが、これらの工程以外の工程を付加することも可能である。
【0122】
情報記録媒体
以上のような工程により、情報記録媒体が製造される。本発明に係る情報記録媒体としては、光学的に読みとり可能な情報記録媒体などが挙げられる。具体的には音楽用CD、CD−ROM、レーザーディスク、などの微細な凹凸による反射光の変化を利用し、書き換え不可能なもの、CD−R、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)、DVD(デジタルビデオディスク)など、官能性色素や相変化による反射率の変化を利用し、追記または書き換え可能なものなどがある。特に、例えば反射膜層として、アルミ、金、鉄等およびこれらの金属原子を含む化合物等からなる導電性膜層を有する光学式情報記録媒体ディスクに対しては、導電性膜層を形成したあとにコロナ放電処理しようとすると放電の危険があり、そのような処理が不可能であったが、本発明の製造方法を採用することにより、放電によってコゲたりヤケたりすることが無く、各層間の接着力を改良できるので好適である。
【0123】
光学部品
本発明の成形材料は、十分小さな複屈折、優れた機械強度を有し、且つ、耐湿性、成形加工性に優れるため、上記情報記録媒体基板としてのみならず、これらの特性が要求されるようなあらゆる光学部品用に好適である。
本発明の成形材料が使用可能な光学部品としては、例えば、光学レンズ、プリズム、ミラー、医療用検査セル、導光板、光学フィルムなど従来公知のプラスチックで成形可能な光学部品が挙げられる。具体的にはカメラの撮像系レンズ、ビデオカメラの撮像系レンズ、顕微鏡レンズ、内視鏡レンズ、望遠鏡レンズ、双眼鏡レンズ、眼鏡レンズ、拡大レンズなどの全光線透過型レンズ、CD、CD−ROM、WORM(追記型光ディスク)、MO(書き変え可能な光ディスク;光磁気ディスク)、MD(ミニディスク)などの光ディスクのピックアップレンズ、レーザービームプリンターのfθレンズ、センサー用レンズなどのレーザー走査系レンズ、カメラのファインダー系のプリズムレンズ、などの幅広い用途に用いられる。また、前述の吸収剤や染料、顔料を配合して赤外線センサーレンズ、オートフォーカスレンズ、バンドパスフィルターレンズなど光学レンズ;光学ミラー;プリズム;液晶ディスプレイなどの導光板、医療用の血液検査セル等の各種検査セル;偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなどの光学フィルムなどが挙げられる。
【0124】
本発明の成形物は、さらに厳しい条件である繰り返しスチーム滅菌を必要とするような医療用各種透明部品としても好適であり、具体的には、注射用の液体薬品容器、アンプル、プレフィルドシリンジ、輸液用バッグ、固体薬品容器、点眼薬容器、点滴薬容器などの液体または粉体、固体の薬品容器;血液検査用のサンプリング用試験管、採血試験管、検体容器などのサンプル容器;注射器などの医療器具;医療器具などの滅菌に用いる滅菌容器;医薬検査用プラスチックレンズなどの医療用光学部品などが挙げられる。
また、本発明の成形材料は、電器電子分野において使用される絶縁材、半導体処理用器材などの用途にも好適である。
【0125】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。これらの例中の部及び%は、特に断わりのない限り重量基準である。
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行った。
(1)分子量は、トルエンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)分子量分布は、トルエンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出した。
(3)分子量10,000以下の成分量は、トルエンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の分子量(M)10,000以下の成分の積算量として求めた。
(4)芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出した。
(5)光ディスク基板の複屈折値は、直径85mmの光ディスク基板の中央から25mm位置での複屈折値で評価した。複屈折値は偏光顕微鏡(ニコン社製;546nmセナルモンコンペンセータ)にて測定した。評価は、複屈折値が5nm以下である場合を◎、5nmを越え、10nm以下である場合を○、10nmを越える場合を×とした。
【0126】
(6)曲げ強度は、長さ127mm,幅12.7mm,厚さ3mmの射出成形試験片を用いて、ASTM D790に基づいて、ストログラフ(東洋精機製作所社製;V10−B)にて測定した。評価は、降伏点強度もしくは破断強度が500kgf/cm2以上有る場合を◎、破断強度が500kgf/cm2未満、400kgf/cm2以上有る場合を○、破断強度が400kgf/cm2未満の場合を×とした。
(7)光ディスク基板の表面状態の観察は、信号パターン側の表面を、光学顕微鏡で倍率100で観察した。
(8)光ディスク基板の表面欠陥の観察は、信号パターン側の表面を、AFM(原子間力顕微鏡;セイコー電子工業社製;SPI3700/SPA−250)により、5μm×5μmの面部を50ヶ所観察し、長さ或いは幅が0.3μm以上,深さ10nm以上の凹状欠陥の数を測定した。
(9)高温高湿度試験Iは、光ディスク基板を恒温恒湿度試験器内50℃、80%相対湿度の環境下に成形物を100時間保持し、急激に室温環境(試験器外)に取り出して、1時間室内に置いた後、波長:830nmの光線透過率を測定した。結果は、高温高湿に保持する前後の光線透過率の差で求めた。
(10)高温高湿度試験IIは、恒温恒湿度試験器内条件を60℃、90%相対湿度に変えて高温高湿度試験Iと同様に行った。
【0127】
(製造例1)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Aの製造)
十分に乾燥し窒素置換した、撹拌装置を備えたステンレス鋼製反応器に、脱水シクロヘキサン960部、スチレンモノマー240部及びジブチルエーテル3.81部を仕込み、40℃で撹拌しながらn−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)0.65部を添加して重合を開始した。同条件下で3時間重合を行った後、イソプロピルアルコール1.26部を添加して反応を停止させた。製造された芳香族ビニル系重合体aの重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=180,000、 Mw/Mn=1.04、分子量10,000以下の成分含量=0.0%であった。
なお、成分含量0.0%は分子量10,000以下の成分含量が検出限界以下であることを表す(以下同じ)。
【0128】
次いで、上記芳香族ビニル系重合体a含有の重合溶液1200部を攪拌装置を備えた耐圧反応容器に移送し、ニッケル−珪藻土触媒(日揮化学工業社製; N113, ニッケル担持量40%)24部を添加混合した。仕込み終了後、反応容器内部を水素ガスで置換し、撹拌しながら150℃で、水素を供給して圧力70kg/cm2に保ち、6時間水素添加反応を行った。水素添加反応終了後、反応溶液からろ過により水素添加触媒を除去した。シクロヘキサン1200部を加えて希釈した後、クリーン度クラス1000の環境下で、この濾液をさらに孔径1μmのフィルターにて濾過し、異物を除去した。この濾液を、クリーン度クラス1000の環境下で、孔径1μmのフィルターにて濾過した9000部のイソプロパノール中に注ぎ芳香族ビニル系重合体の水素添加物Aを析出させた。水素添加物Aをろ過により分離後、減圧乾燥器により、100℃で48時間乾燥させ芳香族ビニル系重合体水素添加物Aを回収した。得られた水素添加物Aの物性はMw=153,000、Mw/Mn=1.09、分子量10,000以下の成分含量=0.0%、水素化率は100.0%であった。
【0129】
(製造例2)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Bの製造)
ニッケル−珪藻土触媒を16.8部、水素添加反応温度を160℃、圧力を60kg/cm2、反応時間を8時間とする以外は製造例1と同様にして、芳香族ビニル系重合体水素添加物Bを製造した。得られた水素添加物Bの物性はMw=122,000、Mw/Mn=1.17、分子量10,000以下の成分含量=0.1%、水素化率は99.9%であった。
【0130】
(製造例3)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Cの製造)
ジブチルエーテルを3.36部、 n−ブチルリチウム溶液(15%含有ヘキサン溶液)を0.57部とする以外は実施例1と同様にして、芳香族ビニル系重合体cを製造した。芳香族ビニル系重合体cの重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=204,000、 Mw/Mn=1.10、分子量10,000以下の成分含量=0.0%であった。
【0131】
次いで、得られた芳香族ビニル系重合体c含有の重合溶液1200部を実施例1と同様の反応容器に移送し、実施例1と同様のニッケル−珪藻土触媒24部を添加混合した。水素添加反応温度を160℃、反応時間を8時間とする以外は製造例1と同様にして、芳香族ビニル系重合体水素添加物Cを製造した。得られた水素添加物Cの物性はMw=152,000、Mw/Mn=1.26、分子量10,000以下の成分含量=0.3%、水素化率は99.4%であった。
【0132】
(製造例4)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Dの製造)
水素添加反応の圧力を50kg/cm2、反応時間を10時間とする以外は製造例3と同様にして、芳香族ビニル系重合体水素添加物Dを製造した。得られた水素添加物Dの物性はMw=140,000、Mw/Mn=1.67、分子量10,000以下の成分含量=1.2%、水素化率は99.9%であった。
【0133】
(製造例5)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Eの製造)
ニッケル−珪藻土触媒に代えてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学工業社製;N163, ニッケル担持量40重量%)を24部、水素添加反応温度を230℃、圧力を45kg/cm2とする以外は製造例3と同様にして、芳香族ビニル系重合体水素添加物Eを製造した。得られた水素添加物Eの物性はMw=132,000、Mw/Mn=1.82、分子量10,000以下の成分含量=2.1%、水素化率は99.0%であった。
【0134】
(製造例6)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Fの製造)
実施例1と同様の反応器に、脱水シクロヘキサン280部、脱水トルエン280部、スチレンモノマー240部を仕込み、40℃で撹拌しながらアゾビスイソブチロニトリル0.12部を添加して重合を開始した。反応系の温度を70℃とし、24時間重合を行った。反応後製造された芳香族ビニル系重合体fの重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=161,000、 Mw/Mn=2.30、分子量10,000以下の成分含量=0.8%であった。
【0135】
重合体fの溶液に脱水シクロヘキサン400部を加えて希釈し、製造例5で使用したのと同じニッケル−アルミナ触媒28.8部を添加混合した。水素添加反応温度230℃、圧力45kg/cm2、反応時間8時間とし、その他は製造例1と同様にして、芳香族ビニル系重合体水素添加物Fを製造した。得られた水素添加物Fの物性はMw=116,000、Mw/Mn=2.63、分子量10,000以下の成分含量=3.4%、水素化率は98.1%であった。
【0136】
(製造例7)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Gの製造)
アゾビスイソブチロニトリルを0.10部、反応温度を60℃、反応時間を48時間とする以外は製造例6と同様にして芳香族ビニル系重合体gを製造した。芳香族ビニル系重合体gの重量平均分子量(Mw)と分子量分布(Mw/Mn)を測定したところ、Mw=195,000、 Mw/Mn=1.80、分子量10,000以下の成分含量=0.5%であった。
【0137】
ニッケル−アルミナ触媒に代えてルテニウム−カーボン触媒(エヌ・イー・ケムキャット社製; ルテニウム担持量5%)を72部添加混合し、水素添加反応温度を170℃、反応時間を10時間とする以外は製造例6と同様にして、芳香族ビニル系重合体水素添加物Gを製造した。得られた水素添加物Gの物性はMw=79,000、Mw/Mn=1.65、分子量10,000以下の成分含量=1.9%、水素化率は98.5%であった。
【0138】
(製造例8)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Hの製造)
水素添加反応温度を160℃とし、圧力30kg/cm2で反応時間5時間、引続き圧力を60kg/cm2に高めて、反応時間を5時間とする以外は製造例5と同様にして水素添加し、芳香族ビニル系重合体水素添加物Hを製造した。得られた水素添加物Hの物性はMw=106,000、Mw/Mn=1.58、分子量10,000以下の成分含量=2.4%、水素化率は99.6%であった。
【0139】
(製造例9)(芳香族ビニル系重合体の水素添加物Iの製造)
水素添加反応温時間を5時間とする以外は製造例2と同様にして水素添加し、芳香族ビニル系重合体水素添加物Iを製造した。得られた水素添加物Iの物性はMw=137,000、Mw/Mn=1.12、分子量10,000以下の成分含量=0.1%、水素化率は95.0%であった。
【0140】
以上、製造例によって得られた水素化重合体の物性を表1に示す。
【0141】
【表1】
【0142】
(実施例1〜4)
製造例1〜4で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物A〜D夫々100部に軟質重合体(旭化成社製;タフテックH1052)0.1部、酸化防止剤(チバガイギー社製;イルガノックス1010)0.1部を添加し、2軸混練機(東芝機械社製;TEM−35B、スクリュー径37mm、L/D=32、スクリュー回転数150rpm、樹脂温度240℃、フィードレート15kg/時間)で混練し、ストランド状に押し出した。これを水冷してペレタイザーで切断し、ペレット化した。
【0143】
得られた4種類のペレットを、空気を流通させた熱風乾燥器を用いて70℃で2時間乾燥して水分を除去し、射出成形機(住友重機械工業社製;DISC−3)を用いて、光ディスク用スタンパーを取り付けた金型を使用し、樹脂温度300℃、型温度100℃に設定して射出成形を行い、85mmφの光ディスク基板を得た。
【0144】
得られた光ディスク基板の複屈折値はいずれも5nm以下で評価は◎であった。スタンパーにより信号パターンの形成された表面を顕微鏡観察した結果ではいずれも異常は認められなかった。信号パターンの形成された表面をAFMにより観察したが長さ或いは幅が0.3μm以上,深さ10nm以上の凹状欠陥は見つからなかった。光ディスク基板の高温高湿度試験IおよびIIを行い光線透過率の変化を測定したが、変化は認められなかった。評価結果をまとめて表2に示す。
【0145】
上記4種類のペレットを用いて射出成形機(ファナック社製;AUTOSHOTO MODEL 30A)を用いて、樹脂温度300℃、型温度100℃に設定して射出成形を行い、長さ127mm,幅12.7mm,厚さ3mmの試験片を成形した。試験片の曲げ強度は500kgf/cm2以上で評価は◎であった。評価結果を表2に示す。
【0146】
(参考例1)製造例1で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物A100部当たりに、部分エーテル化合物としてノニルフェノール1分子にグリシドール2分子の割合で反応しているポリ(オキシ−2−ヒドロキシルトリメチレン)ノニルフェニルエーテルHO[CH2CH(OH)CH2O]nC6H4C9H19(nは自然数であり、全分子の平均nは2)0.5部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、実施例1と同様に2軸混練機で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0147】
得られたペレットを用いて実施例1と同様の評価を行った。得られた光ディスク基板の複屈折値は5nm以下で評価は◎であった。表面を顕微鏡観察した結果では異常は認められなかった。AFMによる観察でも欠陥は見つからなかった。高温高湿度試験IおよびIIよる光線透過率の変化も認められなかった。試験片の曲げ強度は500kgf/cm2以上で評価は◎であった。結果を表2に示す。
【0148】
(参考例2)製造例2で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物B100部当たりに、部分エーテル化合物としてノニルフェノール1分子にグリシドール2.5分子の割合で反応しているポリ(オキシ−2−ヒドロキシルトリメチレン)ノニルフェニルエーテルHO[CH2CH(OH)CH2O]nC6H4C9H19(nは自然数であり、全分子の平均nは2.5)0.5部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、実施例1と同様に2軸混練機で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0149】
得られたペレットを用いて実施例1と同様の評価を行った。得られた光ディスク基板の複屈折値は5nm以下で評価は◎であった。表面を顕微鏡観察した結果では異常は認められなかった。AFMによる観察でも欠陥は見つからなかった。高温高湿度試験IおよびIIよる光線透過率の変化も認められなかった。試験片の曲げ強度は500kgf/cm2以上で評価は◎であった。結果を表2に示す。
【0150】
(参考例3)製造例3で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物C100部当たりに、部分エステル化合物としてベヘニン酸1分子にグリセロール1分子の割合で反応している、ベヘニン酸モノグリセリド[CH3(CH2)20COOCH2(CHOH)CH2OH]0.5部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、実施例1と同様に2軸混練機で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0151】
得られたペレットを用いて実施例1と同様の評価を行った。得られた光ディスク基板の複屈折値は5nm以下で評価は◎であった。表面を顕微鏡観察した結果では異常は認められなかった。AFMによる観察でも欠陥は見つからなかった。高温高湿度試験IおよびIIよる光線透過率の変化も認められなかった。試験片の曲げ強度は500kgf/cm2以上で評価は◎であった。結果を表2に示す。
【0152】
(参考例4)製造例4で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物D100部当たりに、部分エステル化合物としてステアリン酸1分子にペンタエリスリトール1分子の割合で反応している、ペンタエリスリトールモノステアレート[CH3(CH2)16COOCH2C(CH2OH)4]0.7部、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部を添加し、実施例1と同様に2軸混練機で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0153】
得られたペレットを用いて実施例1と同様の評価を行った。得られた光ディスク基板の複屈折値は5nm以下で評価は◎であった。表面を顕微鏡観察した結果では異常は認められなかった。AFMによる観察でも欠陥は見つからなかった。高温高湿度試験IおよびIIよる光線透過率の変化も認められなかった。試験片の曲げ強度は500kgf/cm2以上で評価は◎であった。結果を表2に示す。
【0154】
(参考例5〜8)
製造例1、2、5および8で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物A、B、EおよびHの夫々100部当たりに、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部のみを添加し、実施例1と同様に2軸混練機で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0155】
得られたペレットを用いて実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
【0156】
(比較例1〜3)
製造例6、7および9で製造した芳香族ビニル系重合体の水素添加物F、G、およびIの夫々100部当たりに、老化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)0.1部のみを添加し、実施例1と同様に2軸混練機で混練し、押し出し、ペレット化した。
【0157】
得られたペレットを用いて実施例1と同様の評価を行った。得られた光ディスク基板の複屈折値は、比較例1は8nm、比較例2は5nm以下で評価は○および◎であったが、比較例3では12nmで評価は×であった。表面を顕微鏡観察した結果ではいずれも異常は認められなかった。AFMによる観察では比較例例2および3では欠陥は見つからなかったが、比較例1では5個の欠陥が認められた。高温高湿度試験Iによる光線透過率の変化は認められなかったが、より条件の厳しい高温高湿度試験IIではいずれも9〜20%の光線透過率の低下が認められた。試験片の曲げ強度は比較例3は500kgf/cm2以上で評価は◎であったが、比較例1および2ではいずれも400kgf/cm2に満たず評価は×であった。結果を表2に示す。
【0158】
【表2】
【0159】
(特殊成形法による成形例)
本発明においては、上記詳細な説明中に記載した成形材料の成形方法として、成形時に射出成形機内を低酸素濃度状態にして基板を成形する方法や、成形前に成形材料中の溶存酸素濃度を小さくする処理を行った後に基板を成形する方法を用いることができる。
以下に実施例を記載する。
【0160】
(実施例9)(窒素ガス雰囲気での成形)
射出成形機のホッパー部に、酸素濃度0.1容量%以下の窒素ガスを10リットル/min.の流量で供給しながら行った以外は、参考例4と同様にして光ディスク基板を得た。得られた光ディスク基板の物性を評価した結果を以下に示す。なお、評価は実施例1〜8と同様の評価方法を用い、評価結果の記載も実施例1〜8の記載と同様の基準を用いた。(以下実施例9〜12において同じ。)
・機械強度(曲げ強度)は[◎]であった。
・顕微鏡観察結果は[異常なし]であった。
・AFM観察の結果は、欠陥数[0/50]であった。
また、実施例12の成形後の光ディスク基板の樹脂の分子量がMw=55,000、Mw/Mn=2.08であったのに対して、本実施例の場合には成形後でもMw=78,000、分子量分布はMw/Mn=1.82であり、成形後の分子量低下が少なかった。
【0161】
(実施例10)(窒素雰囲気下で予備乾燥)
成形前の樹脂ペレットを、内部を酸素濃度0.1容量%以下の窒素ガスで満たした熱風乾燥器を用いて、100℃で3時間乾燥させ、乾燥器から取り出した樹脂ペレットを空気中、室温の環境下で1時間放冷した後に成形機のホッパーに供給した以外は参考例4と同様にして光ディスク基板を得た。
・機械強度(曲げ強度)は[◎]であった。
・顕微鏡観察結果は[異常なし]であった。
・AFM観察の結果は、欠陥数[0/50]であった。
また、成形後の光ディスク基板の樹脂の分子量はMw=76,000、分子量分布はMw/Mn=1.82であった。
【0162】
(実施例11)(減圧下で予備乾燥)
成形前の樹脂ペレットを、真空乾燥器を用いて、1torr、100℃で2時間乾燥させ、乾燥器から取り出した樹脂ペレットを空気中、室温の環境下で1時間放冷した後に成形機のホッパーに供給した以外は参考例4と同様にして光ディスク基板を得た。
・機械強度(曲げ強度)は[◎]であった。
・顕微鏡観察結果は[異常なし]であった。
・AFM観察の結果は、欠陥数[0/50]であった。
また、成形後の光ディスク基板の樹脂の分子量はMw=79,000、分子量分布Mw/Mn=1.78であった。
【0163】
(実施例12)(窒素下で予備乾燥+窒素下で成形)
成形前の樹脂ペレットを、内部を酸素濃度0.1容量%以下の窒素ガスで満たした熱風乾燥器を用いて、100℃で3時間乾燥させ、乾燥器から取り出した樹脂ペレットを直ちに成形機のホッパーに供給し、さらに射出成形機のホッパー部に、酸素濃度0.1容量%以下の窒素ガスを10・/min.の流量で供給しながら行った以外は参考例4と同様にして光ディスク基板を得た。
・機械強度(曲げ強度)は[◎]であった。
・顕微鏡観察結果は[異常なし]であった。
・AFM観察の結果は、欠陥数[0/50]であった。
また、成形後の光ディスク基板の樹脂の分子量はMw=91,000、分子量分布Mw/Mn=1.65であった。
【0164】
(コート剤の使用例)
本発明においては、得られた基板を情報記録媒体として使用する際に、保護コート剤を使用するのが好ましい。
以下に、本発明の光ディスク基板に、上記好ましい保護コート剤を使用した例を比較例とともに示す。
なお、保護コート膜の評価方法を以下に記載する。
【0165】
(11)表面電気抵抗値はJIS K−6911に従って測定した。
(12)硬化収縮の評価は、ディスク基板の片面に保護コート剤を塗布・乾燥し、紫外線照射して硬化させた後に保護コート層を設けた面を上に向けて、基板の中心を水平面に固定した場合に、基板の最外周と基板の中心を結ぶ直線と水平面とでなす角度を測定し、その角度で硬化収縮の大きさを示した。
(13)表面硬度(鉛筆硬度)はJIS K−5400に従って、1kgの荷重で測定した。
(14)密着性評価(碁盤目剥離試験):基板表面に形成された保護コート層の上から、カッターナイフにより1mm間隔で縦、横各11本の切れ目を入れて1mm四方の碁盤目を100個作り、セロハン粘着テープ(積水化学社製)を貼る。次いで粘着テープを90゜方向に引き剥がして、保護コート層が剥離しなかった目の数を%で示した。
(15)高温高湿度試験は、恒温恒湿度試験器内65℃、90%相対湿度の環境下に光ディスクを500時間放置した後に試験器外に取り出して、金属記録膜の状態を観察して評価した。
【0166】
(実施例13)
n−ブチルアクリレート10重量部、イソアミルアクリレート28重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート30重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート42重量部、及び光重合開始剤(チバガイギー製、イルガキュアー651)5重量部を混合して、さらにノニオン系帯電防止剤(東邦化学製、アンスティックスSA−300)2重量部、及びフッ素系ノニオン界面活性剤(住友スリーエム社製、フロラードFC−171)を500ppmになるように添加し、紫外線硬化性コート剤を調整した。
【0167】
実施例1で得られた基板に、日電アネルバ製ILC−3000を使用して記録膜層の形成を行った。記録膜層の構成は、SiN 100nm,TbFeCo 30nm,SiN 40nm,Al 40nmである。記録膜層は最外周部の幅1.0mmと、内周部で溝の外側の幅2.0mmには設けなかった。
【0168】
得られた紫外線硬化性コート剤をスピンコーター(5000rpm、10秒)で、上記で得た基板に塗布し、10分間室温で放置し、十分に乾燥した。乾燥後の紫外線硬化性コート剤の膜の厚さは6μmであった。この基板に80mWの高圧水銀ランプによる紫外線照射(基板表面上のピーク照射強度:150mW/cm2、積算光量1500mJ/cm2、照射時間10秒)を行い、紫外線硬化性コート剤を硬化させ、ハードコート層を形成した。
【0169】
表面電気抵抗値は9.1×1012Ωであった。硬化収縮の大きさは3ミリラジアン、コートされた基板表面の硬度は鉛筆硬度で3Hであった。反り応力試験の結果、クラックの発生はなかった。碁盤目剥離試験の結果は98%、80℃、90%RH、500時間の高温高湿耐久試験後でも94%であった。また、高温高湿試験後の記録膜層には異常は観察されなかった。
【0170】
(実施例14)
n−ブチルアクリレート5重量部、イソアミルアクリレート32重量部、ネオペンチルグリコールジアクリレート20重量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート48重量部、及び光重合開始剤(チバガイギー製、イルガキュアー651)5重量部を混合して、さらにフッ素系ノニオン界面活性剤(住友スリーエム社製、フロラードFC−171)を500ppmになるように添加して、コート剤を調整し、その紫外線硬化性コート剤を用いて前記実施例12と同様にコート層を形成した。表面電気抵抗値は3.3×1015Ωであった。硬化収縮の大きさは4ミリラジアン、コートされた基板表面の硬度は鉛筆硬度で3Hであった。基板に反り応力を加えた時のクラックの発生はなかった。碁盤目剥離試験の結果は95%で、80℃、90%RH、500時間の高温高湿耐久試験後でも94%であった。また、高温高湿試験後における記録膜層には異常は観察されなかった。
【0171】
(比較例4)
紫外線硬化性コート剤として、市販のアクリル系コート剤(SD−17、大日本インキ化学工業製)を用いるほかは、実施例16と同様に基板にコート層を形成した。
【0172】
表面電気抵抗値は5.3×1015Ωであった。硬化収縮率は3ミリラジアン、コートされた基板表面の硬度は鉛筆硬度で2Hであった。基板に反り応力試験の結果クラックの発生はなかった。碁盤目剥離試験の結果は61%、さらに、80℃、90%RH、500時間の高温高湿耐久試験後においては、21%であった。また、高温高湿試験後において、記録膜層に腐食が発生しているのが確認された。
【0173】
【発明の効果】
本発明によれば、十分小さな複屈折を示し、且つ、機械強度にも優れた情報記録媒体基板として好適な成形材料、及びその成形材料を成形した情報記録媒体基板が提供される。また、十分小さな複屈折を示し、且つ、機械強度にも優れ、さらに高温高湿環境下における白濁防止や記録膜の耐久性などの耐湿性、表面平滑性等に優れる成形物の成形が可能な成形加工性にも優れた情報記録媒体基板用成形材料として好適な新規な芳香族ビニル系重合体水素添加物、及び該芳香族ビニル系重合体水素添加物からなる樹脂組成物が提供される。本発明の情報記録媒体基板は、小さな複屈折、機械強度、耐湿性、成形加工性が要求される情報記録媒体の分野において、特に光磁気ディスクやデジタルビデオディスク(DVD)用等の基板として有用である。また本発明の新規物質は、成形材料として優れた特性を有しているので、情報記録媒体分野だけでなく光学分野、(医療品、化粧品などの)容器分野、電気絶縁分野及びその他の分野においても有用である。
Claims (3)
- 芳香族ビニル系重合体を水素添加して得られる、芳香環の水素添加率が97%以上で、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.0以下、重量平均分子量(Mw)が100,000〜300,000であり、分子量(M)10,000以下の成分が重合体全重量中2重量%以下である水素化重合体100重量部に、ガラス転移温度が40℃以下の軟質重合体0.01〜10重量部を配合してなる樹脂組成物。
- 請求項1記載の樹脂組成物からなる成形材料。
- 請求項2記載の成形材料を成形してなる情報記録媒体基板。
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