JP4336475B2 - 画像処理装置、画像処理方法、記録装置、記録方法、画像処理方法を実現するプログラムおよび当該プログラムを格納した記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、及び記録装置に関し、特に、入力画像データに基づいて、階調画像データを生成する画像処理における画質の改善に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ファクシミリ等に於ける情報出力装置として、所望される文字や画像等の情報を用紙やフィルム等シート状の記録媒体に記録を行う記録装置には様々な方式のものがあるが、その中で、記録媒体に記録剤を付着することで記録媒体上にテキストや画像を形成する方式が実用化されており、このような方式の代表例として、インクジェット記録装置がある。近年、インクジェット記録装置の性能が向上し、テキストばかりでなく、画像も記録されるようになってきた。
【0003】
インクジェット記録装置では、記録速度の向上や高画質化等のために、同一色同一濃度のインクを吐出可能な複数のインク吐出口(ノズル)を集積配列したノズル群を用い、さらに、このようなノズル群が、同一色で濃度の異なるインクや、異なる色のインクについてそれぞれ設けられているのが通例である。また、同一色で同一濃度のインクの吐出量を何段階かに変えて吐出可能としたものもある。
【0004】
そして、これらのノズル群を設けた記録ヘッドを、記録媒体に対して相対的に移動させつつノズルからインクを吐出させ、記録を行なう。
【0005】
記録ヘッドを記録媒体に対して、相対的に移動させる方法としては、
(1)ノズル群をX方向に略並行に配置し、記録媒体が停止している間にX方向と交差する方向(Y方向)に記録ヘッドを移動させ、この間にインクを吐出して記録を行い、その後記録媒体を間欠的にX方向に所定距離移動させた後、再度記録ヘッドをY方向に移動させる。以下、この動作を繰り返すことで記録を行なう、いわゆるシリアル記録方式と、
(2)ノズル群を記録媒体のY方向の全幅をカバーするように固定して設け、記録媒体をX方向に一定速度で移動させる間に記録を行う、いわゆるフルライン記録方式と、が実用化されている。
【0006】
これらの方式で画像を記録する場合、画像を構成する単位として画素が定義される。画素は、必ずしも1つのノズルから1回のインク吐出によって媒体上に形成される1つのドットで構成される必要はなく、一つの画素を複数のドットで形成するようにしても良い。複数のドットで一つの画素を形成する場合、略同じポイントに重ねて記録されても良いし、隣接するポイントに記録しても良い。いずれにせよ、予め決められた規則に従って決定される。
【0007】
記録すべき画像データは、画像処理によって、記録装置に適合した画像サイズになるように拡大補間、縮小等の処理を施される。次いで、それぞれの画素に対して、記録すべき色と濃度とが予め決められた規則に従って決定され、このように決定されたデータに基づいて記録が実行される。
【0008】
前述のように、一つの画素は複数のドットで構成されても良いが、この場合には、一つの濃度だけではなく、異なる濃度のインクが選択され得る。吐出量可変の記録ヘッドを使用している場合は、適宜吐出量すなわちドットのインク量を変えても良い。また、これらを組み合わせても良い。
【0009】
画像を記録する場合、画像情報の階調を忠実に再現する方法として、ディザ法、誤差拡散法などの中間調処理法が用いられる。更に、ディザ法や誤差拡散法において、一つの画素の階調を多くすることで、より多くの階調が表現可能となる。このような記録方法の具体例は、特開平10−324002号公報に記載されている。
【0010】
すなわち、一つの色について濃度の異なるインクを吐出可能なノズル群を用意しておき、これらのノズル群から、一つの画素に対して予め決められた限度内で選択的に複数回記録(以下重ね打ちと記述)を行うことで、この画素で表現可能な濃度(記録O.D.値)の階調を多くすることができる。
【0011】
例えば、6種類の異なる濃度のインクを吐出可能なノズル群を用意し、600dpiの一つの画素を4回以内の重ね打ちを行なうとすると、50階調以上の表現が可能である。一つの画素を、隣接する2×2のポイントで構成し、合計16回以内の重ね記録で構成するとすると、200階調以上の表現が可能である。また、濃度の異なるインクを吐出可能なノズル群を用意する変わりに、ノズルから吐出されるインクの量を可変とし、ドットのインク量を可変とすることで階調を表現しても良い。またこれらの組み合わせで階調を表現しても良い。
【0012】
これらの場合、表現しようとする画素の濃度(所望O.D.値)とインクの重ね打ちの方法を対応させる規則を予め決めておき、この規則に従って実際の記録、すなわち、どのノズルでいつインクを吐出するかが決定され、このデータに基づいて後述する記録制御部により記録が行われる。
【0013】
一例としては、それぞれのインクで記録した場合の画素の記録O.D.値を測定しておき、この測定値に基づいて重ね打ちした場合の記録O.D.値を決定し、各重ね打ちパターンに対する画素の記録O.D.値を記述したテーブルを用意する。そして、記録すべき画素の所望O.D.値に近い記録O.D.値の重ね打ちのパターンを選択する。誤差拡散処理の場合は、記録すべき画素の所望O.D.値とテーブルの記録O.D.値との差を求め、これを誤差として隣接画素に振り分ける。
【0014】
最近は、様々な用途や目的に記録装置が使用され、所望される画像の種類も増大している。これに伴って、プリンタに要求される特性も、用途や目的によって様々となっている。例えば、高画質が要求される例として、医療画像用プリンタがある。
【0015】
医療画像等の一部の分野では、モノクロで記録されたモノクロ画像が依然として多数使用されている。その理由は、モノクロ画像の方が人間の目の濃度分解能が高いため、濃度分解能が多く要求される分野においては、カラー画像よりも人間が認識できる情報量が多くなる為である。更に、記録媒体として反射式の媒体を用いるよりも、透過式の媒体を用いる方が、人間が認識できる濃度分解能が多くなることが知られている。一般的に、カラー画像に対する人間の目の濃度分解能は、8bit程度と言われているのに対し、モノクロ透過画像については、10乃至11bitといわれている。
【0016】
そして、医療用のX線写真やCT・MRI画像を透過型の記録媒体に記録されたものは、実際に人間の濃度分解能の限度まで読み取られ、診断の為の情報を提供している。このような高階調のモノクロ画像を記録するプリンタとして、画像信号に応じて変調されたレーザー光を銀塩フィルム上に照射し、このフィルムを現像処理することでフィルム上に画像を得るレーザーイメージャーがある。
【0017】
このようなレーザーイメージャーの場合、ある程度のマージンも見込んで12bitの濃度分解能で記録される場合が多い。しかしながら、このようなレーザーイメージャーは高価であり、また、湿式の現像処理が必要であるため、廃液処理やメンテナンスが煩雑となるなどの問題がある。湿式の現像処理を行なう変わりに、加熱することで現像処理を行なう、乾式銀塩方式のレーザーイメージャーも存在するが、湿式に比較して画質が劣るという問題がある。
【0018】
他方、特開平10−324002号公報に記載されたような、600dpiの解像度で50階調以上の多階調記録が可能なインクジェット方式で、更に誤差拡散処理を行うことで、256階調の記録を行なう記録装置も提案されている。
【0019】
[従来例]
以下、このような多階調記録が可能なインクジェット記録装置を従来例として図を参照して説明する。
【0020】
[インクと階調]
表1は本従来例の記録装置で記録に用いるインクを示している。表1に示すように使用するインクは6種類であり、濃度の薄い方から順に♯1〜♯6とする。同時に各インクの染料濃度(%)及び、透明の記録媒体に記録した場合の透過濃度(記録O.D.値)を示す。尚、各インクは染料及び溶媒からなり、溶媒は、水に、界面活性剤、保湿剤等の各種添加剤が含まれたものである。これら添加剤は、記録ヘッドからの吐出特性、記録媒体上での吸収特性とを制御するものである。
【0021】
【表1】
【0022】
これらのインクを用いて、同一画素に打ち込む重ね打ち回数を最大4とし、同一濃度のインクの重ね打ちはしないという制限の下では、一つの画素で表すことのできる階調数は、6+6C2+6C3+6C4+1=57となる。尚、表1では、同一濃度になる組合せができないような染料濃度を持つインクが設定してある。また、この時の低濃度側4種のインクドット単独の濃度比は、低濃度側から1:2:4:8になっている。そして、この57階調のうちの53階調を使用して画像を出力する。つまり、入力画像データ(256階調)を53値化して画像を出力する。
【0023】
その時の各階調(53階調)を表現するためのインクの種類とその組合せを図23に示す。図中、No.の欄は各階調を示している。図中※で示した部分は、低濃度部分での濃度レベルの差が、高濃度部分と比較して小さくなるようにするために使用しない組合せを示している。インク#1〜#6の欄において、○印はそのインクを記録ヘッドから吐出することを示し、×はそのインクを記録ヘッドから吐出しないことを示している。また、d1[i](i=0〜52:整数)の欄は各階調を表現するインク濃度レベルを示している(記録O.D.値に比例)。またth[i](i=0〜52:整数)の欄は入力画像データを53階調のいずれかの階調に決定するための閾値を示している。尚、閾値は、通常、インク濃度レベルd1[k−1]とインク濃度レベルd1[k]との間の中点のインク濃度レベルとして決定される。
【0024】
ここで各階調を示すインクの種類の組合せがインク重ね打ち組合せデータであり、その組合せに基づいて決定されるインク濃度レベルがインク濃度データである。
【0025】
そして、この53値のインク濃度レベル(d1[0]〜d1[52])と52値の閾値(th[1]〜th[52])を用いて、入力画像データ(256階調)を53値化する多値誤差拡散処理を行なう。
【0026】
本従来例では、多値誤差拡散処理を用いて入力画像データの多値化を行なっているが、これに限定されるものではない。例えば、多値平均濃度保存法、多値ディザマトリックス法あるいはサブマトリックス法等の他の多値化の方法を用いて、入力画像データの多値化を行なっても良い。
【0027】
[記録制御部の構成]
図24は本従来例の記録制御を行う構成を示すブロック図である。同図において、1はスキャナなどの画像入力部で、記録しようとする画像の各画素に対する濃度データ(CV値)が入力される。2は各種パラメータの設定および記録開始を指示する各種キーを備えている操作部、3は記憶媒体中の各種プログラムに従って本記録装置全体を制御するCPUである。
【0028】
4は制御プログラムやエラー処理プログラムに従って本記録装置を動作させるためのプログラムなどを格納している記憶媒体である。本実施形態の動作はすべてこのプログラムによる動作である。該プログラムを格納する記憶媒体4としては、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いる事ができる。
【0029】
記憶媒体4において4aはガンマ変換処理で参照するためのガンマ補正変換テーブル、4bはインク重ね打ち組合せテーブル、4cは各種制御プログラムを格納しているプログラム群をそれぞれ示している。
【0030】
5は記憶媒体4中の各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリア及び画像処理時のワークエリアとして用いるRAMである。
【0031】
6は入力画像を格納するイメージメモリである。7は入力画像を元に、インクジェットで多階調を実現するための吐出パターンを作成する画像処理部、8は2値化された画像データを格納するビットプレーンメモリである。
【0032】
9は記録時に画像処理部で作成された吐出パターンに基づいてドット画像を形成するプリンタであり、図11に示した記録部を含んでいる。10は本装置内のアドレス信号、データ、制御信号などを伝送するバスラインである。
【0033】
[画像処理部]
次に、図25を用いて本従来例の画像処理部での処理フローを説明する。尚、以下に述べるプロセスは、ハード(画像処理ボード)で実行するように構成することもできるし、ソフトで実行するように構成することもできる。ソフトで実行する場合には、画像処理部7は存在せず、制御プログラム群の中に画像処理プログラムを格納し、CPUの制御によりこのプログラムが実行されることで以下のプロセスが実行される。
【0034】
操作者が操作部から所望の画像の記録を指示すると、データ読み込み100で画像入力部1を介したデータの読み込みを行い、読み込んだデータをイメージメモリに格納する。ガンマ補正処理11ではこのデータから画像データを取り出し、各画素ごとのCV値をガンマ補正変換テーブル4aを用いて濃度を表す信号CD値に変換し、イメージメモリ6に格納する。前段処理12では、イメージメモリの画像に対し、拡大補間処理、画像回転、フォーマッティングなどの処理を行なう。注目画素選択13では、イメージメモリ領域内のこれから処理をしようとする一画素を選択し、濃度データCD値を得る。
【0035】
インク分配処理14では、インク重ね打ち組合せテーブルを参照して、重ね打ちするインクの組合せデータを得、各濃度のインクの吐出、不吐出を示す2値信号を決定し、更にこれを所定の規則により、各記録ヘッドの吐出、不吐出を示す2値信号を決定して、各記録ヘッド毎のビットプレーン8に記録する。誤差拡散処理16では、濃度データに対応するCD値と、上記で決定された重ね打ちの組合せで記録した場合のCD値との差を、まだ展開処理の完了していない周囲の画素に振り分け、イメージメモリの該当画素のCD値に加減する。
【0036】
[誤差拡散処理]
ここで、この誤差拡散のプロセスの詳細を図25を用いて説明する。図26は、入力画像データと多値誤差拡散処理後に得られる53値化画像データの配置を示す模式図である。すなわち、入力画像データが示す各画素ごとの256濃度データ(0{黒}〜255{透明})における画素の配置の一部を示す図である。
【0037】
図26の(a)において、f(i,j)は多値化(53値化)しようとする注目画素(i,j)の256濃度データレベルを示す。また、破線より上の各画素f(i−2,j−1)〜(i−1,j)は、既に多値化(53値化)処理が終了しており、B(1,j)は注目画素(i,j)の多値化(53値化)後の濃度データ("0","8.6",…,"250.7","255"の53個の値とする)を示している。また、注目画素(i,j)の多値化(53値化)後は、f(i,j+1),f(i,j+2)と順次同様の多値化(53値化)処理を行なう。
【0038】
まず、注目画素(i,j)の256濃度データレベルf(i,j)は、閾値th[k]と比較演算する。
【0039】
th[k]≦f(i,j)<th[k+1] …(1)
B(i,j)=dl[k] …(2)
そして、上記(1)式を満たすkを求め、(2)式により注目画素(i,j)の多値化(53値化)後の濃度データB(i,j)を決定する。
【0040】
続いて、図26の(b)に示す誤差拡散マトリックスを用いて、上記の多値化処理で決定された濃度データB(i,j)と多値化処理前の256濃度データレベルf(i,j)との間に生じた誤差errを、以下に示す(3)式によって演算する。
【0041】
err=f(i,j)−dl[k] …(3)
そして、演算された誤差errを、以下に示す(4)式に従って他の画素へ拡散する。
【0042】
f'(x,y)=f(x,y)+err×M(X−i,y−j)/31…(4)
このように、誤差errは、図25の(b)に示すような誤差拡散マトリックスの配分に従い、各画素へ拡散され、以後この拡散された誤差を含めた値f'(i,j)を用いて、同様に多値化(53値化)処理を行なう。
【0043】
上記の例では、256階調の記録の例が示されているが、入力画像データを256階調のかわりに4096階調とすれば、4096階調の記録が可能である。図28は、4096階調を表現するためのインクの種類とその組合せを図23と同様に示す図である。このようにして4096階調で実際にX線画像を記録したところ、良好な画質を得ることができた。
【0044】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像の種類によっては、レーザーイメージャーの画像と比べて画質の劣るところもあり、改善が望まれる部分が確認された。その一例を以下に説明する。
【0045】
図27はこの方法により透明フィルム上に胸部X線画像を記録した例を示しており、501はそのフィルムである。通常のX線写真では、肩の部分は、本来、滑らかに濃度が変わっているが、この例では、502に示す輪郭が現れた。これを本来輪郭のないところに輪郭が現れるという意味で、擬似輪郭と呼ぶ。このような擬似輪郭は、他にも、濃度が滑らかに変化する部分に現れた。この擬似輪郭が現れると、画像の品位が損なわれるばかりでなく、本来の目的である、画像診断にも悪影響を及ぼす。
【0046】
このような擬似輪郭がなぜ発生するかについて、解析した結果、以下のような原因であることが判明した。一例として、図28を参照して、濃度階調が3043から2974に変化する部分について考察する。
【0047】
この部分では、最初No.37の組合せが主に使用され、次いでNo.36の組合せが主に使用される。No.37とNo.36の組合せを比較すると、No.37の組合せでは、4種類のインク#4、#3、#2、#1が使用され、No.36の組合せでは1種類のインク#5だけが使用されている。このように2つの組合せでは、使用されているインクの種類の数が大きく変わっていることがわかる。
【0048】
そして、No.37の組合せが使用されるか、No.36の組合せが使用されるかは、誤差拡散処理の結果により決定されるが、所望O.D.値が図28の閾値(2939.2)の近傍で変化する場合、画像ではなだらかに階調が変化していても、No.37からNo.36への切り変わりが徐々に行われずに、隣接するいくつかの画素で同時に切り変わる場合が発生する。
【0049】
ところで、記録に使用するインクは、表1に示される濃度となるように調合されるが、実際には誤差が生じる。また、調合されたときには正しい値だったとしても、時間が経過すると、水分の蒸発等により濃度が若干変化する。実験によると、2〜3%の変化は通常起こり得、多い場合は5%程度変化する場合もある。その変化範囲は、濃度変化が3%であると想定すると、例えば#5のインクでは、透過濃度で、0.89×0.03=0.027程度となる。
【0050】
すなわち、上記No.37の組合せからNo.36の組合せへの移り変わりにおいて、インク#4、#3、#2、#1が正しい値であったとしても、#5のインク濃度が3%変化したとすると、透過濃度で0.027の誤差が生じることを意味する。例えばある微小領域で、50%の画素がNo.37の組合わせからNo.36の組合せへ移行すると仮定すると、その領域の平均濃度で0.0135の誤差が生じる。
【0051】
インクの使用条件を限定したり、インクの蒸発を防ぐような対策を施すことで、インクの濃度変化が1%以下になるようにコントロールすることは、可能である。しかしながら、その場合においても、上述の例と同じように使用するインクの組合せが変化すると、透過濃度で0.0045の誤差が生じる。
【0052】
他方、透過のフィルムに対する人間の目の濃度分解能は、上述のように10bit以上であり、これは、透過濃度に直すと、0.003である。従って、透過濃度で0.003以上の濃度差があると、これを輪郭として認識することになる。つまり、本来輪郭のないところであっても、透過濃度で0.003以上の濃度差があれば、輪郭として認識する。
【0053】
この透過濃度0.003という値に対して、上記の例の濃度誤差0.0135は十分に大きい値であり、このような濃度誤差があると擬似輪郭が現れる頻度が上昇してしまう。
【0054】
更に、濃度誤差を生じる他の要因としては、ノズルによる吐出量のばらつきがある。記録ヘッド全体に渡って均等にばらついていれば、ノズルの数が多いので、平均化されて全体としてのばらつき(偏差量)は小さくなるが、記録ヘッドが多数のチップで構成されており、チップごとにばらつき度合が異なっていると、これも濃度の誤差として現れる事になる。本発明者らの実験によれば、所望の濃度が0.003変化する場合に、濃度の誤差が0.003以下であれば、擬似輪郭が見えにくくなることが判明した。
【0055】
図29(a)は、記録媒体上にグレースケールテストパターンを記録した例を示している。これは、基準位置を最低濃度とし、図の横方向の基準位置からの距離に比例して濃度が上昇するようにしたものである。本来、なめらかに濃度が変化するべきものであるが、図に示すように、所々にムラが現われた。図29(b)は、(a)のテストパターンの濃度を測定した結果を示す。これは本来、基準位置から右上がりの直線になるべきものであるが、図のように凹凸が現われた。凹凸の位置は、グレースケールパターンのムラの位置に対応している。
【0056】
このようなグレースケールパターンのムラが発生すると、前述のような明確な擬似輪郭は発生しないが、ぼやっとしたムラが画像に現われ、やはり診断に影響を及ぼす場合もある。このようなグレースケールパターンのムラがなぜ発生するかについて、解析した結果、以下のような原因であることが判明した。
【0057】
図30は、図29(b)の一部を拡大したものであり、図中破線はインク濃度に誤差がない場合の理想的なグレースケールパターンの濃度を示し、実線は測定結果を示している。実線のようなグレースケールパターンの濃度誤差であれば、上述の擬似輪郭の発生限度以内であり、擬似輪郭は発生しない。
【0058】
しかしながら、図のように、グレースケールテストパターンの濃度変化の傾きが理想の傾きからずれている場合、ずれの程度が大きくなると、図29(a)に示すようなムラが発生する。本発明者らの実験によると、所望の濃度が0.012変化する場合に、グレースケールの濃度変化のずれ量が0.006以下であれば、ムラが見えにくいことが判明した。
【0059】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、入力画像データに基づいて、階調画像データを生成する画像処理において、擬似輪郭やムラの発生を抑制して画質を改善することのできる、画像処理装置、画像処理方法、記録装置、記録方法、画像処理方法を実現するプログラムおよび当該プロラムを格納した記憶媒体を提供することを目的とする。
【0060】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、画像データを複数の画素からなるブロックに分割し、注目画素の前記ブロック内の位置および注目画素の階調値に応じて当該注目画素を表現するのに用いる同系色で濃度の異なるインクドットの種類および数に対応したドット組合せを決定する画像処理装置であって、第1の階調値、前記第1の階調値よりも大きな第2の階調値、および、前記第1の階調値と前記第2の階調値の間の階調値の夫々について、前記ブロック内の位置と当該画素を表現するのに用いるドット組合せとを対応付けたテーブルを記憶した記憶手段と、前記注目画素のブロック内の位置および階調値に基づいて、前記テーブルを参照して、前記注目画素を表現するのに用いるドット組合せを決定する決定手段とを備え、前記テーブルでは、(i)前記第1の階調値について、前記ブロック内の各位置に第1のドット組合せが対応付けられており、(ii)前記第2の階調値について、前記ブロック内の各位置に第2のドット組合せが対応付けられており、(iii)前記間の階調値の夫々について、前記ブロック内の各位置に前記第1あるいは第2のドット組合せが対応付けられており、且つ、前記間の階調値が大きくなるにつれて、前記ブロック内における前記第1のドット組合せの割合が減少し前記第2のドット組合せの割合が増加することを特徴とする。
【0064】
これによれば、同じ階調値を有する画素であっても、その画素において使用可能なインクドットの組み合わせが複数種存在するので、同じ階調値についてインクドットの組み合わせが1種しか存在しない形態に比べて、擬似輪郭をより軽減することができる。
【0065】
従って、各画素の濃度レベルを増やさずに、実質的に階調数を増加した場合と同様な効果が得られる。これを、例えば、濃度の異なる記録剤を使用して画像を記録する記録装置に適用すると、記録剤の種類を増やさずにより高画質の画像が記録できるという効果が得られる。
【0066】
【発明の実施の形態】
始めに、本発明の基本的概念について説明する。
【0067】
本発明者らは、階調がなだらかに変化する画像を記録する際に、従来のように濃度の異なる画素に一度に切り換えるのではなく、濃度の異なる画素を使用する比率を段階的に上昇させることにより、擬似輪郭として認識されにくくなることを見出した。
【0068】
図15は、濃度が一段階濃い画素に切り換えるパターンの例を示している。図15(a)のパターンは、従来から用いられているパターンであり、低い濃度の画素から一段濃い濃度の画素に一斉に切り変わる。このパターンでは、上述のように、図中点線で示した境界部分が輪郭として認識できない濃度差の上限が0.003である。
【0069】
一方、図15(b)のパターンは、一段濃い濃度の画素を使用する比率を、1/4、2/4、3/4、4/4の4つのステップで段階的に徐々に上昇させる。このパターンでは、図中点線で示した境界部分が輪郭として認識できない濃度差の上限は0.015である。
【0070】
また、図15(c)のパターンは、一段濃い濃度の画素を使用する比率を、1/16、2/16、…、16/16の16のステップで段階的に徐々に上昇させる。このパターンでは、図中点線で示した境界部分が輪郭として認識できない濃度差の上限は0.03である。
【0071】
このように、濃度の異なる画素の使用比率を段階的に上昇させることにより、境界の輪郭が見えにくくなる。
【0072】
従って、濃度が滑らかに変化する場合に、(c)のパターンで変化するように画素の出現パターンをコントロールすることで、最小濃度差が0.03以下であれば擬似輪郭を見えないようにできる。また、(b)のパターンで変化するように画素の出現パターンをコントロールすることで、最小濃度差が0.015以下で擬似輪郭を見えないようにできる。
【0073】
このことを換言すると、次のようになる。すなわち、図15の(b)のパターンは、濃度が滑らかに変化(階調値が1増加)する場合に、一段濃い濃度の画素が出現する確率が1/4ということである。また、図15(c)のパターンは、濃度が滑らかに変化(階調値が1増加)する場合に、一段濃い濃度の画素が出現する確率が1/16ということである。
【0074】
このように、濃度が滑らかに変化(階調値が1増加)する場合に、一段濃い濃度の画素が出現する確率をコントロールすることにより、擬似輪郭を見えないようにすることができる。
【0075】
これを上述の例で説明すると、濃度階調が3043から徐々に2974に変化する部分において、No.37の組合せからNo.36の組合せへの切り変わりが徐々に行われるように制御する。
【0076】
これと同様の考え方を、画素ではなく、画素を構成する画素形成要素についても導入することができる。すなわち、同系色で濃度の異なるk種類の画素形成要素のうちから、l(エル)個を選択して、同系色でm階調の画素を形成する場合に、同一の記録濃度に対して、画素形成要素の組み合わせを複数個のうちから選択可能にするとともに、各階調に対して、少なくとも2種類以上の異なる画素形成要素の組合せで画素を形成するようにする。そして、所望O.D.値が変化する場合に、この2種類以上の異なる画素形成要素の組合せのうちから適宜いずれかを選択することにより、画素に含まれる画素形成要素の出現確率を徐々に変えていくようにする。
【0077】
具体的な出現確率の変化の程度は、中間調記録濃度の変化する幅0.003、出現確率を制御しようとする画素形成要素の記録濃度をd1とした時、該画素形成要素の出現確率の変化P1を、
P1<0.003/(d1×0.01)
とすることにより、擬似輪郭が見えにくくなる。
【0078】
また、図29(b)に示すようなグレースケールのムラに関しては、中間調記録濃度の変化する幅を0.012、出現確率を制御しようとする画素形成要素の記録濃度をd1とした時、該画素形成要素の出現確率の変化P1を、
P1<0.006/(d1x0.01)
とすることにより、グレースケールムラが目立たなくなる。
【0079】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0080】
なお、以下に説明する実施形態では、インクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。
【0081】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0082】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0083】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0084】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態としてのインクジェット記録装置の要部(記録部)を示す斜視図、図2は、その側面図(図1のA矢視図)、図3、図4、図5は、部分詳細図で、図3はキャリッジを上方向から見た図、図4(a)は記録ヘッドを記録面側から見た図、図4(b)は、シートにインクが打込まれた状態を示す図、図5はキャリッジを下から見た図である。
【0085】
これらの図において、501は画像が記録される記録媒体としてのシート、502及び503と、504及び505とは、それぞれ対になってシートをX方向に搬送するローラであり、ローラ505には、部分的に膨出部506が設けられており、この膨出部506がシートに接触するようになっている。
【0086】
507はモータ、508はモータ軸に取り付けられたプーリ、509、510はローラ502、504の一端に取り付けられたプーリであり、ベルト511によってプーリ508に結合されており、モータの回転によってローラ502、504が回転するようになっている。また、ローラ503、505は、不図示の機構により、ローラ502、504に押し付ける方向に付勢されており、以上の構成によりシートがX方向に搬送される。
【0087】
512は、複数の記録ヘッド513a〜513r(以下、総称して記録ヘッド513とも呼ぶ)を搭載するキャリッジであり、各ヘッドには図4(a)に示すように、多数のノズルがシート501の記録面に対向して設けられている。516、517は、キャリッジを摺動可能に保持するシャフトであり、516はキャリッジに設けられた穴518を貫通し、また、キャリッジに設けられた突起部分519がシャフト517の上に乗る構造になっている。以上の構成によって、記録ヘッド513のノズルの設けられた面が所定距離dでシートに相対するようになっている。
【0088】
520は、一部をキャリッジ512に固定されたベルトであり、モータ521の軸に取り付けられたプーリ522と固定軸523に回転可能に取り付けられたプーリ524との間に張り渡されている。以上の構成により、モータ521の回転によってキャリッジ512がY方向及びその反対方向に移動可能となっていて、シートのY方向全域及び、キャリッジの待機位置である512a及びシートに関して512aと対象の位置に移動可能である。なお、キャリッジがシート上を移動する間、記録ヘッドのノズル面とシートとの間隔は、dに保たれるように構成されている。
【0089】
526a〜526rは、インクを収容するインクカートリッジであり、記録ヘッド513a〜513rに装着され、各記録ヘッドにインクを供給するようになっている。ヘッドカートリッジ526a〜526rは、記録ヘッド513a〜513rに対して、それぞれ着脱自在となっており、インクカートリッジのインクがなくなったら、取り外して新しいインクカートリッジを取り付けることでインクを補給できるように構成されている。
【0090】
525は、ローラ502、504間に設けられたシートガイドである。515は、以上の構成によりシート上にノズルでインクを吐出した時にシート上に形成されるドットを示している。
【0091】
[記録制御部の構成]
図6は本実施形態の記録制御を行う構成を示すブロック図である。図6において、1はスキャナなどの画像入力部であり、記録しようとする画像の各画素に対する濃度データ(CV値)が入力される。2は各種パラメータの設定および記録開始を指示する各種キーを備えている操作部、3は記憶媒体中の各種プログラムに従って本記録装置全体を制御するCPUである。
【0092】
4は制御プログラムやエラー処理プログラムに従って本記録装置を動作させるためのプログラムなどを格納している記憶媒体である。本実施形態の動作はすべてこのプログラムによる動作である。該プログラムを格納する記録媒体4としては、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスクなどを用いる事ができる。
【0093】
記憶媒体4において、4aはガンマ変換処理で参照するためのガンマ補正変換テーブル、4bはブロック内番地指定テーブル、4cは重ね打ちパターン振り分けテーブル、4dはインク振り分けテーブル、4eは各種プログラムを格納している制御プログラム群をそれぞれ示している。
【0094】
5は記憶媒体4中の各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリア及び画像処理時のワークエリアとして用いるRAMである。
【0095】
6は入力画像を格納するイメージメモリである。7は入力画像を元に、インクジェットで多階調を実現するための吐出パターンを作成する画像処理部、8は2値化された画像データを格納するビットプレーンメモリである。
【0096】
9は記録時に画像処理部で作成された吐出パターンに基づいてドット画像を形成するプリンタであり、図1に示した記録部を含んでいる。10は本装置内のアドレス信号、データ、制御信号などを伝送するバスラインである。
【0097】
[データ処理単位]
図8は、本実施形態のデータ処理単位であるブロックの配置の例として、ブロック番地指定テーブルを示している。1ページの画像データ20をブロック21に分割して各ブロック毎にデータ処理を行う。a1,a2,a3,…,b1,b2,b3,…,c1,c2,c3,…,のように、1ページの画像データは行及び列方向に分割されたブロックからなる。
【0098】
図9は、一つのブロック内の画素構成の例を示しており、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)はそれぞれ、1ブロックが横×縦で示すと、2×1、1×2、2×2、4×4、変則2×4の画素で構成される例を示している。(e)の様に、必ずしも矩形でなくとも良い。図9において、A1,A2,A3,…は、ブロック内の画素に付けられた番地を示す。各画素の配置は、図示された様に一定の規則により配列しても良いし、ランダムに配列しても良い。また、全てのブロックを同じ配列にしても良いし、ブロック毎に変えても良い。これらの規則をテーブルに表したものが、ブロック内番地指定テーブルである。テーブルを設ける変わりに、あるアルゴリズムを与え、これにより各画素の番地を決めても良い。
【0099】
なお、以下では、ブロックが4×4の画素で構成される場合について説明する。また、各画素の大きさも、さまざまなものがあるが、以下の説明では、600dpiとする。この場合、2×2を単位とすると300dpi、4×4を単位とすると150dpiとなる。
【0100】
[インクと階調]
図10は、本実施形態で使用する8種類(薄い方から♯1〜♯8)のインクの例を示している。図中、O.D.は光学濃度であり、O.D.比は最も薄いインク#1の光学濃度を1としたときの各インクの光学濃度の比率を示し、チップ数は18個用意されているインクカートリッジ526a〜526rの内訳を示している。この図の例では黒色の濃度の異なる8種類のインクのうち、#1〜♯4のインクカートリッジを各1個、#5のインクカートリッジを2個、#6〜♯8のインクカートリッジを各4個使用する。また、重ね打ち回数(最高)とあるのは、一つの画素に対して該当する濃度のインクの許容される重ね打ち回数である。
【0101】
図11及び図12は、本実施形態で使用される2系列のインク組合せテーブルそれぞれの例(一部)を示す図である。両図では、各階調値に対して重ね打ちされるインクの種類と数が記入されている。図中の組合せ名は、その組合せを識別するために付けられた名前である。尚、従来例に関して説明した図23及び図28においては、階調値は0を黒、255又は4095を透明(反射タイブの場合は白)と表していたが、以下の説明では、わかりやすくするために、0を透明(反射タイブの場合は白)、255又は4095を黒とする。
【0102】
図11及び図12に示されたように、本実施形態で使用するインクの種類は#8までの8種類である。図中ODの欄は、その階調値のO.D.値を示している。また、各インクの欄に、○が一つある場合はその濃度のインクを1回、○が二つある場合はその濃度のインクを2回重ね打ちすることを意味する。また、空欄は、その濃度のインクを使用しないことを意味する。例えば、階調値1056に対しては、#2のインクを1発、♯5のインクを2発重ね打ちする。このテーブルは、階調値0〜4095まで40または、その倍数毎に用意されている。
【0103】
なお、図11及び図12は、図面の都合上2つに分割しているだけで、一つのテーブルであっても良い。すなわち、各階調値に対して、図11に示すA系列と、図12に示すB系列との2つの系列が用意されている。また、図から明らかなように、A系列では最高濃度で使用するインクを♯7とし、B系列では最高濃度で使用するインクを#8として組合せを構成している。
【0104】
図13は、本実施形態で使用される重ね打ちパターン振り分けテーブルの例(一部)である。図13(a)〜(d)は、それぞれ、階調値1024〜1027に対応するに対応する4×4画素のパターンを示している。これと同様なテーブルが、階調値0〜4095まで設けられている。
【0105】
図13(a)の例を説明すると、4×4の○は、図8の4×4の各番地に対応している。白抜きと色つきの○印では使用されるインク組合せが異なる。すなわち、階調値1024に対しては、1〜16のすべての番地に対して、図11又は図12のO.D.値0.768のインク組合せで重ね打ちすることを意味する。同様に、(b)に示された階調値1025に対しては、1番地のみ0.78、2〜16番地までは、0.768で重ね打ちする。(c)の階調値1026、(d)の1027も同様である。
【0106】
この結果、この4×4のブロックの平均濃度は、平均濃度として示した値となる。すなわち、この4×4のブロックの平均濃度は、0.00075ずつ変化する。他の階調についても同様なテーブルが設けられている。そして、階調値が0〜4095まで変化する時、0.00075または、その倍数毎にOD=0〜3.07まで変化するようになっている。
【0107】
図14は、図13に示したパターンにおいて、ある画素に対して図11と図12に示したどちらの系列からインク組合せを選択する方法を説明するための図である。図14も図13と同様な重ね打ちパターン振り分けテーブルの例(一部)であるが、図11と図12のどちらの系列からインク組合せを選択するかという点のみに着目して簡略化されている。
【0108】
なお、ここでは説明のために図14のテーブルを別個に示したが、図13のテーブルと図14のテーブルは別である必要はなく、両方の情報が記入されたテーブルが一つあればよい。すなわち、図13のテーブルで、O.D.値の選択を指示する数字に、AかBのどちらの系列を選択するかの情報も一緒に記入されていれば良い。
【0109】
図14では、各画素に対して図11の系列Aから選択するか、図12の系列Bから選択するかが色別に示されている。図より明らかなように、階調値が増加する場合に、系列Bの組合せを使用する確率がしだいに上昇しており、これは、画素に♯8の画素形成要素(インク)が使用される確率が徐々に増加していることを意味している。ここでは、階調が16増えるごとに#8の出現割合が1/16ずつ増加している。平均化して考えると、階調が1増加するごとに、#8の画素形成要素出現確率の増加する割合は、1/256である。
【0110】
この場合、#8の記録濃度は0.768であるので、インクの濃度誤差を5%と想定すると、このインクの濃度誤差は0.0384であるが、階調が1増加したときのブロック内での出現確率の増加率が1/256なので、ブロック内での平均濃度を考えると、濃度誤差は0.00015になる。前述のように、人間の目が擬似輪郭として認識する最小濃度差は、0.003であるが、これに比べて0.00015は十分に小さい数字であり、インク濃度誤差の影響で擬似輪郭が発生する可能性は無視できる。
【0111】
また、階調が16(ODで0.012)増加したときの#8のインクのブロック内での出現確率の増加率は、1/16なので、ブロック内での平均濃度で考えると、濃度誤差は0.0384/16=0.0024になる。この値はグレースケールムラの発生限界(実験値)の0.006に対し、5%であり十分に小さい。よって、図29のようなグレースケールムラの発生する可能性もほとんどない。
【0112】
仮にインクの濃度誤差を1%までに押さえることができたとすると(これ以上インク濃度誤差を小さくすることは、実際には困難である)、インク濃度誤差の影響で擬似輪郭が発生する可能性を低くするためには、階調が4(ODで0.003)増加したときの、#8の画素形成要素の出現確率の増加率を、0.003/0.00768=0.39よりも小さくすれば良い。すなわち、階調が1増加するときの#8の出現確率の増加率を約1/10よりも小さくすれば擬似輪郭が見えにくくなる。
【0113】
同様に、インクの濃度誤差を1%までに押さえることができたとすると、インク濃度誤差の影響でグレースケールムラが発生する可能性を低くするためには、階調が16(ODで0.012)増加したときの♯8の画素形成要素の出現確率の増加率を、0.006/0.00768=0.78よりも小さくすれば良い。すなわち、階調が1増加するときの#8の出現確率の増加率を約1/20よりも小さくすればグレースケールのムラは見えにくくなる。
【0114】
尚、図11及び図12に示された組合せからも当然であるが、♯8の画素形成要素の出現確率が増加すると、その分#7の画素形成要素の出現確率は減少していく。
【0115】
[画像処理部]
次に、図7を用いて画像処理部7での処理フローについて説明する。尚、以下に述べるプロセスは、ハード(画像処理ボード)で実行するように構成することもできるし、ソフトで実行するように構成することもできる。ソフトで実行する場合には、画像処理部7は存在せず、制御プログラム群の中に画像処理プログラムを格納し、CPUの制御により、このプログラムが実行されることで以下のプロセスが実行される。
【0116】
ガンマ補正処理11では、画像入力部1で入力される画像信号CVを、用意されたガンマ補正変換テーブル4aを用いて濃度を表す信号CDに変換し、イメージメモリ6に格納する。この実施形態では、CD値を、12bit(4096階調)で表している。
【0117】
前段処理12では、イメージメモリの画像に対し、拡大補間処理、画像回転、フォーマッティングなどの処理を行なう。注目画素選択13では、イメージメモリ領域内のこれから処理をしようとする一画素を選択し、濃度データCDを得る。
【0118】
ブロック内番地参照14では、ブロック内番地指定テーブルを参照して、処理しようとする画素がブロック内の何番地であるかのデータを得る。重ね打ちパターン振り分けテーブルの該当CD値および該当番地参照15では、該画素の番地とCD値(階調値)から、重ね打ちパターン振り分けテーブル4cを参照して、該画素のO.D.値を得る。
【0119】
インク組合せテーブル参照15'では、上で得られた画素毎のO.D.値に従い、インク組合せテーブル4dを参照して、該当画素のインク組合せを得る。インク分配処理16では、得られたインク組合せに従い、各濃度のインクの吐出、不吐出を示す2値信号を決定し、更にこれを所定の規則により、各ヘッドの吐出、不吐出の2値信号を決定して、各ヘッド毎のビットプレーンに記録する。
【0120】
以上の処理を行うことにより、注目した一画素の処理が終了する。そして、画像の濃度データCDをもとに、上記の14、15、16の処理を所定の領域に含まれる画素の全てについて繰り返すことにより、それぞれの記録ヘッドに対して各画素ごとに吐出、不吐出を示す2値信号d1,d2,d3,…が形成される。
【0121】
ここで、上記所定の領域を、記録しようとする1ページ全体として、1ページ分のビットプレーンを完成させてから以下に記す記録のプロセスに移行しても良いし、1ページを何分の一かに分割し、分割した領域ごとにビットプレーンを完成させ、まずこの領域の記録を行なったのち、次の領域の処理に移っても良い。後者の場合、それぞれのビットプレーンを更に複数に分け、前の領域の記録プロセスを行なっている間に次の領域のビットプレーンを作成するようにしても良い。
【0122】
以上のような処理を行った後、記録が行われる。詳細には、図2の左方向から、不図示の手段によりシート501がローラ502、503の間に送り込まれる。ついでシートは、モータ507により、所定距離ずつ間欠的にX方向に送られる。シートが停止している間に、モータ521が回転し、キャリッジをY方向に一定のスピードで移動させる。キャリレジ上の記録ヘッドが、シートの上を通過する間に、図6、図7の記録制御部により、画像信号に対応したノズル吐出指令信号が送られ、これに従って各ノズルから選択的に液滴が吐出される。
【0123】
記録ヘッドがシート上を通過して、シート上から離れた位置にある間にモータ507がシートを所定距離X方向に移動して停止し、ここで再びモータ521がキャリッジを所定スピードで移動させ、同様に選択的に液滴を吐出させる。以下このような動作を繰り返すことで、最終的にシート上に所望の画像が記録される。記録が終了したシートは、ローラ504、506によって図2の左方向に搬送され、ついで不図示の手段により図2の左方向に排出される。
【0124】
本実施形態では、画素密度600dpi、最小記録濃度ステップ(濃度負荷ステップ)を0.012としている。また、1ドットのインク液滴の量は、約8pl、1画素は4ドット以下で形成される。すなわち、1画素のインク量は約32pl以下である。
【0125】
本実施形態により、実際に胸部X線画像を記録したところ、擬似輪郭及びムラの発生が抑制されて画質の改善された画像が得られた。
【0126】
[変形例]
上記実施形態では、画素密度600dpi、最小濃度ステップを0.012とし、濃度の異なるインクの種類を8としたものであるが、これらの数字は、一例である。
【0127】
例えば、変形例として、1ドットのインク液滴の量を約4plとし、1画素を8ドット以下で形成するように(1画素のインク量は上の例と同様約32pl以下)しても良い。
【0128】
この場合、最低濃度のインクの濃度が上記実施形態の2倍でも、液滴の量が半分なので、最小濃度ステップを、同じ0.012とすることができる。また、1画素を形成するドットの数が多いので、途中の濃度のインクの濃度の差を大きくとることができ、インクの濃度の種類を減らしても(例えば、4〜6種類)、同じ濃度ステップが実現できる。
【0129】
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態も上記第1の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、以下の説明においては、上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分について説明する。
【0130】
上記第1の実施形態では、図13及び図14に示すように、各階調値に対して4×4の重ね打ちパターンを対応させたが、本実施形態では、4×4の重ね打ちパターンにはO.D.値のみを対応させ、各階調値に対して、O.D.値を対応させたテーブルを別に用意するものである。この方法によると、4×4の重ね打ちパターンに対応させるO.D.値を、設計値ではなく、様々な基準から設定して濃度の精度を高くすることができる。
【0131】
具体的な例としては、
(1)上記第1の実施形態で図13及び図14の各組合せによって実際に記録させた記録O.D.値の実測値にする。
(2)図11及び図12の各組合せで実際に記録させて画素の記録O.D.値を求め、この値から図13及び図14の各組合せで記録したときの記録O.D.値の推定値を計算により求める。
(3)図13及び図14の各組合せで記録したときの記録O.D.値の推定値を、設計値に対するいろいろな原因による誤差を補正した値とする。
などが考えられる。このようにする場合は、図13及び図14において、各階調値の代わりに上の方法で求めた値(記録O.D.値またはその補正値)を記入しておけばよい。
【0132】
図17は、本実施形態の画像処理部7での処理フローを図7と同様に示した図であり、図16は、該当番地参照15で使用するCD値対所望O.D.値の対応を示すテーブルである。上記第1の実施形態と比較すると、本実施形態では、該当番地参照15において、注目画素のCD値から、図16のCD値対所望O.D.値対応テーブルを用いて所望O.D.値を決め、さらに図13及び図14のテーブルによりあらかじめ決めたアルゴリズム(その所望O.D.値に最も近い重ね打ちパターン、あるいは、その所望O.D.値より大きく、かつその所望O.D.値に最も近い重ね打ちパターン、等)により重ね打ちパターンを選択し、これに従って重ね打ちを行なう。尚、CD値対所望O.D.値対応テーブル4fは、図6の記憶媒体の中に設けられている。
【0133】
本実施形態によれば、テーブルの数は一つ増えるが、インク濃度が設定値からずれていたり、濃度変化により設定値からずれたりしても、より精度の高い濃度階調で画像を表現することができる。
【0134】
[参考例]
以下、参考例について説明する。本参考例も上記第1の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、以下の説明においては、上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本参考例の特徴的部分について説明する。
【0135】
上記の実施形態では、ブロック内番地指定テーブルを参照して処理しようとする画素がブロック内の何番地であるかのデータを得て、該当する画素の番地とCD値から、重ね打ちパターン振り分けテーブル4cを参照して画素のO.D.値を得るものであるが、本参考例はこのようなテーブルを参照する代わりに、乱数発生手段を使用するものである。
【0136】
図18は、本参考例の記録制御部の構成を示すブロック図である。図18において、4gは確率振り分けテーブルであり、30は1〜16までの数字がランダムに発生するように構成された乱数発生部である。図19は、本参考例で用いる確率振り分けテーブルの例を示している。
【0137】
図20は、本参考例の画像処理部7での処理フローを図7と同様に示した図である。上記第1の実施形態と比較すると、13の注目画素選択までは同じである。
【0138】
確率調査31では、確率振り分けテーブル4gを参照して注目画素を形成する画素の濃度の候補と確率を得る。インク組合せ決定32では、乱数発生部30から発生された乱数を得、これに従って確率振り分けテーブル4gから得られた濃度の候補のうちから一つを決定する。濃度が決まると、インク組合せテーブルから、インク組合せが決定される。そしてインクテーブル参照15'では、該当する画素に打込まれるインクの種類と数を決定する。
【0139】
本参考例によっても、上記第1の実施形態と同様に、擬似輪郭やムラの発生が抑制されて画質の改善された画像が得られた。
【0140】
[第4の実施形態]
以下、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態も上記第1の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、以下の説明においては、上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分について説明する。
【0141】
第1実施形態では、画像をブロックに分割して処理を行うが、本実施形態では、画像をブロックに分割せずに、以下のようにしても良い。
【0142】
図21は、本実施形態の記録制御部の一部である記憶媒体4の内容を示している。図中、4hは重ね打ちパターン振り分けテーブル2であり、その一例を図22に示す。図22で、左の列は階調値(CD値)を示す。一行目の1〜16の番号は、選択される順番を示す。各階調値に対して、1〜16の列に記入されているのが、濃度を示す数字である。
【0143】
また、1〜16の列の各欄の末尾のA及びBは、使用される系列が、図11及び図12に示された系列A及び系列Bのいずれであるのかを示している。
【0144】
例えば、画像の最初の行の最初の画素のCD値が1024であれば、階調値1024の番号1の欄が参照され、濃度0.768のB系列が選択される。次の画素のCD値も1024であれば、今度は階調値1024の番号2の欄が選択され、濃度0.768のA系列が選択される。その次の画素のCD値が1025であれば、階調値1025の番号3の欄が選択され、濃度0.768のA系列が選択される。以下同様にして、番号が16になるまで繰り返され、16になったら1に戻るようにして、処理が繰り返される。このようにして、画像の一行の処理を完了する。
【0145】
画像の次の行の処理を行う際には、一行目と参照する番号の順番が異なるように適当な番号の欄から参照される。具体的な例を挙げると、前の行の画像で最初に参照した番号に9を加算して得られた値の番号から参照を開始する。加算結果が16を超える場合は、16を引いた値を参照開始番号とする方法などが考えられる。以上の処理を画像全体に施して全ての画素の処理を行なう。
【0146】
本実施形態によっても、上記第1の実施形態と同様に、擬似輪郭及びムラの発生が抑制されて画質の改善された画像が得られた。
【0147】
[第5の実施形態]
以下、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態も上記第1の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、以下の説明においては、上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分について説明する。
【0148】
以上説明した実施形態では、いずれも、該当する階調値に対してその透過濃度Dが、インクの濃度dとインク使用したドットの出現確率pとの積、すなわち、D=p×dとなるように、各濃度のインク組合せの出現確率をコントロールするものである。このようにして、面積階調の原理により近似的にその透過濃度が階調値を表すようになる。
【0149】
しかしながら、厳密には透過濃度Dは、
D=log(1/透過率)
で表されるので、以下の式を用いる必要がある。
【0150】
すなわち、濃度d1,d2,…の画素の透過率をT1,T2,…とすると、
d1=log(1/T1),
d2=log(1/T2),…
である。それぞれの画素の占有面積は、その確率に比例すると考えられるから、確率をそれぞれp1,p2,…とすると、透過率はΣTxpとなる。よって、総合した透過濃度Dは、
D=log(1/ΣTxp)
となる。
【0151】
従って、この式が満たされるように確率pをコントロールすれば、記録すべき濃度との誤差がより少ない画像を記録することができる。
【0152】
[第6の実施形態]
以下、本発明の第6の実施形態について説明する。第6の実施形態も上記第1の実施形態と同様なインクジェット記録装置であり、以下の説明においては、上記第1の実施形態と同様な部分については説明を省略し、本実施形態の特徴的部分について説明する。
【0153】
以上説明した実施形態では、入力された画像から各画素の記録データ(ビットプレーン)を生成するときに、使用される画素形成要素(インク)の組合せ及び該組合せで使用される濃度の濃い画素形成要素の出現確率をコントロールするものであったが、一旦作成された記録データを調べ、ブロック内における使用される濃度の濃い画素形成要素の出現確率が予め定められた閾値を越えていたら、濃度の濃い画素形成要素を使用しないように組合せを変更するようにしてもよい。
【0154】
この場合、1つのブロックに対する記録データを生成する度に調べる方法と、一旦全てのビットプレーンを作成してからブロック毎に調べる方法とが考えられる。
【0155】
[他の実施形態]
以上説明した実施形態で採用されるインクジェットの方式については、特に制限はない。また、上記の実施形態では、液体のインクを用いる例を述べたが、固形のインクを溶かして吐出するものでもよい。この場合は、インクの補給は固形インクを交換することになる。
【0156】
また、記録方式として、シートを間欠送りさせてシートが停止している間にシート送り方向と交差する方向に記録ヘッドを移動させて記録するシリアル記録方式を採用する記録装置を例に挙げて説明したが、本発明はこの記録方式に限定されず、シートを定速で送り、シートの送り方向と交差する方向にシート幅をカバーするように設けられた所謂フルラインタイプの記録ヘッドを備え、シートが定速で送られる間に記録を行う方式でも良い。この場合は、それぞれ異なるインクについてフルラインタイプの記録ヘッドを設ける。
【0157】
更に、インクの供給方式は、図1に示すようなカートリッジ方式に限定されない。例えば、キャリッジ上とは別にインクタンクを設け、インクタンクからチューブでヘッドにインクを供給する方式でも良い。また、使用量の多いインクのみチューブ供給とし、それ以外はカートリッジ方式としても良い。
【0158】
以上の実施形態は、特にインクジェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手段(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式を用いることにより記録の高密度化、高精細化が達成できる。
【0159】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。当然、前述した実施形態の機能を実現するプログラム自体も本発明を構成する。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0160】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0161】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図6、図7、図17、図18、図20および/または図21に示す)テーブルや処理フローに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0162】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、例えば、濃度の濃い画素形成要素が出現する確率をコントロールすることにより、各画素が一斉に濃度の濃い画素形成相素を使用した組合せで表わされるのを防止することができ、濃度が連続的に変化する部分においては組合せが変化する境界部分が擬似輪郭として認識されにくくなり、グレースケール部ブにおいては濃度の濃い画素形成要素の濃度変化に起因するムラの発生を低減することができる。
【0163】
従って、各画素の濃度レベルを増やさずに、実質的に階調数を増加した場合と同様な効果が得られる。これを、例えば、濃度の異なる記録剤を使用して画像を記録する記録装置に適用すると、記録剤の種類を増やさずにより高画質の画像が記録できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態としてのインクジェット記録装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1の記録装置を矢印A方向から見た側面図である。
【図3】図1のキャリッジを上方向から見た図である。
【図4】記録ヘッドの吐出面と、シートにインクが打込まれた状態を示す図である。
【図5】図1のキャリッジを下側から見た図である。
【図6】第1の実施形態の記録制御を行う構成を示すブロック図である。
【図7】図6の画像処理部での処理フローを示す図である。
【図8】画像をブロックに分割する例を示す図である。
【図9】一つのブロック内の画素構成の例を示す図である。
【図10】第1の実施形態で使用する8種類のインクの例を示す図である。
【図11】第1の実施形態で使用するインク組合せテーブルの例を示す第1の図である。
【図12】第1の実施形態で使用するインク組合せテーブルの例を示す第2の図である。
【図13】第1の実施形態で使用される重ね打ちパターン振り分けテーブルの例を示す第1の図である。
【図14】第1の実施形態で使用される重ね打ちパターン振り分けテーブルの例を示す第2の図である。
【図15】濃度が一段階濃い画素に切り換わるパターンの例を示す図である。
【図16】第2の実施形態で使用するCD値対記録O.D.値対応テーブルの例を示す図である。
【図17】第2の実施形態の画像処理部での処理フローを示す図である。
【図18】第3の実施形態の記録制御部の構成を示すブロック図である。
【図19】第3の実施形態で用いる確率振り分けテーブルの例を示す図である。
【図20】第3の実施形態の画像処理部での処理フローを示す図である。
【図21】第4の実施形態の記憶媒体の内容を示す図である。
【図22】第4の実施形態で使用する重ね打ちパターン振り分けテーブル2の例を示す図である。
【図23】53階調を表現するためのインク組合せテーブルを示す図である。
【図24】従来例の記録制御を行う構成を示すブロック図である。
【図25】従来例の画像処理部での処理フローを示す図である。
【図26】入力画像データと多値誤差拡散処理後に得られる53値化画像データの配置を示す模式図である。
【図27】透明フィルム上に胸部X線画像を記録した例を示す図である。
【図28】4096階調を表現するためのインク組合せテーブルを示す図である。
【図29】グレースケールムラの例を示す図である。
【図30】図29(b)の一部を拡大した図である。
【符号の説明】
501 シート
512 キャリッジ
513a〜r 記録ヘッド
514 ノズル
526a〜r インクカートリッジ
1 画像入力部
2 操作部
3 CPU
4 記憶媒体
4a ガンマ補正変換テーブル
4b ブロック番地指定テーブル
4c 重ね打ちパターン振り分けテーブル
4d インク組合せテーブル
4e 制御プログラム群
4f CD値対記録O.D.値対応テーブル
4g 確率振り分けテーブル
4h 重ね打ちパターン振り分けテーブル2
5 RAM
6 イメージメモリ
7 画像処理部
8 ビットプレーンメモリ
9 プリンタ部
10 バスライン
20 画像
21 ブロック
22 画素
30 乱数発生部
501 透明フィルム
502 擬似輪郭
Claims (3)
- 画像データを複数の画素からなるブロックに分割し、注目画素の前記ブロック内の位置および注目画素の階調値に応じて当該注目画素を表現するのに用いる同系色で濃度の異なるインクドットの種類および数に対応したドット組合せを決定する画像処理装置であって、
第1の階調値、前記第1の階調値よりも大きな第2の階調値、および、前記第1の階調値と前記第2の階調値の間の階調値の夫々について、前記ブロック内の位置と当該画素を表現するのに用いるドット組合せとを対応付けたテーブルを記憶した記憶手段と、
前記注目画素のブロック内の位置および階調値に基づいて、前記テーブルを参照して、前記注目画素を表現するのに用いるドット組合せを決定する決定手段とを備え、
前記テーブルでは、(i)前記第1の階調値について、前記ブロック内の各位置に第1のドット組合せが対応付けられており、(ii)前記第2の階調値について、前記ブロック内の各位置に第2のドット組合せが対応付けられており、(iii)前記間の階調値の夫々について、前記ブロック内の各位置に前記第1あるいは第2のドット組合せが対応付けられており、且つ、前記間の階調値が大きくなるにつれて、前記ブロック内における前記第1のドット組合せの割合が減少し前記第2のドット組合せの割合が増加することを特徴とする画像処理装置。 - 画像データを複数の画素からなるブロックに分割し、注目画素の前記ブロック内の位置および注目画素の階調値に応じて当該注目画素を表現するのに用いる同系色で濃度の異なるインクドットの種類および数に対応したドット組合せを決定する画像処理方法であって、
第1の階調値、前記第1の階調値よりも大きな第2の階調値、および、前記第1の階調値と前記第2の階調値の間の階調値の夫々について、前記ブロック内の位置と当該画素を表現するのに用いるドット組合せとを対応付けたテーブルを参照して、前記注目画素のブロック内の位置および階調値に基づいて、前記注目画素を表現するのに用いるドット組合せを決定する決定工程を備え、
前記テーブルでは、(i)前記第1の階調値について、前記ブロック内の各位置に第1のドット組合せが対応付けられており、(ii)前記第2の階調値について、前記ブロック内の各位置に第2のドット組合せが対応付けられており、(iii)前記間の階調値の夫々について、前記ブロック内の各位置に前記第1あるいは第2のドット組合せが対応付けられており、且つ、前記間の階調値が大きくなるにつれて、前記ブロック内における前記第1のドット組合せの割合が減少し前記第2のドット組合せの割合が増加することを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータにより読取可能なプログラムであって、前記コンピュータに請求項2に記載の方法の各工程を実行させるためのプログラム。
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