JP4336464B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体に関し、さらに詳しくは、特に、銀合金を用いた反射放熱層を有する光情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光情報記録媒体の光反射層としては、金、又はアルミニウム合金が広く用いられている。また、銀合金も近年用いられるようになってきた。
金は化学的に安定で反射率も高く、熱伝導率も高いため、CD−R等に用いられている。しかし、金は高価である。
【0003】
アルミニウム合金は、安価で比較的高い反射率を有することから、CD、DVDをはじめ、MOやCD−RW等の記録系の光ディスクにも広く用いられている。
銀は、金と同様に、反射率や熱伝導率が大きいため、すべての光ディスクに有用なものと考えられる。また、金に比べれば安価である。
【0004】
銀は、成膜法として一般的なスパッタリングによる成膜レートがアルミニウムの約3倍早く、高速で成膜できるという利点がある。
しかし、化学的安定性に劣り、光ディスクの信頼性に欠けるものである。
これを解決するために、高価なPdの添加が行われている。
【0005】
また、銀は結晶が変化しやすく、成膜後の初期化や印刷工程における加熱、加圧等により、熱伝導率が変化する。
このことは、メディアの記録特性が安定でないことを意味する。
【0006】
銀は、金と同等の反射率や金以上の熱伝導率を有するために、再生専用型、記録型を問わず、銀反射層を用いた光ディスクでは、優れた初期特性を得ることができる。
しかし、銀は化学的に安定でなく、隣接する層からの各種の物質の影響や環境から、取り込まれる水分等の影響により特性が変化する。
これは、光情報記録媒体を長期に使用した場合に、反射率が低下して再生できなくなることや、再生時のエラー発生が多くなるという問題を引き起こす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現況に鑑み、反射率が高く、高速成膜が可能で、しかも良好なジッターと信頼性の高い繰り返し書き換え特性を有した光記録媒体を提供することをその課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、反射放熱層と相変化型記録層に着目して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0009】
すなわち、基板上に積層した下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護層及び反射放熱層を有する相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、Agに0.5〜10原子%のCuを含有した合金からなることを特徴とする光情報記録媒体としてもよい。
【0010】
の発明には、該相変化型記録層が、SbTe準安定層を基盤とする材料である光情報記録媒体、該上部誘電体保護層が、GeCrの窒化物又はSiCである光情報記録媒体及び該下部誘電体保護層が、2層からなり、基板側がZnS−Nb、記録層側がGeCrの窒化物である光情報記録媒体が含まれる。
【0011】
本発明によれば、第に、基板上に積層した下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護層及び反射放熱層を有する相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子%のPd及び0.5〜原子%のNiを含有した合金であって、PdとNiの合計が5原子%以下であるものからなることを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
【0012】
この第発明には、該相変化型記録層が、SbTe準安定層を基盤とする材料である光情報記録媒体が含まれる。
【0013】
また、本発明によれば、第に、基板上に積層した反射放熱層、下部誘電体保護層、相変化型記録層及び上部誘電体保護層を有する膜再生性相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子%のPd及び0.5〜3原子%のNiを含有した合金であって、PdとNiの合計が5原子%以下であるものからなることを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
【0014】
この第の発明には、該相変化型記録層が、Sb Te準安定層を基盤とする材料である光情報記録媒体が含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明においては、銀の高反射率、高熱伝導率及び高速成膜等の特質を保ち、かつ化学的安定性を改善する安価な合金系として、銀−銅合金により相変化型光情報記録媒体(以下、単に記録媒体ということがある)の反射放熱層を構成する。
このような構成とすることにより、反射放熱層の化学的安定性を向上することができる。
さらに、相変化型光ディスクの保護層として、一般的なZnS−SiOは硫黄を含むため、この硫黄がAgを硫化劣化させるので、反射放熱層と接する上部保護層には、ZnS−SiOを用いないこととし、上部保護層には、GeCrNx、GeAlNx、GeSiNx等の窒化ゲルマニウム系材料又はSiCを用いるものである。
【0016】
銀−銅合金は、化学的安定性に優れており、かつ安価である。
しかし、銀−パラジウム系合金に比べれば安定性に劣るので、反射放熱層と接する上部保護層には、硫黄を含むものは使用しない。
記録層が、SbTe基を基本とする相変化型記録の場合、記録時の非晶質化、消去時の結晶化と共に一旦溶融モードに入る。
したがって、記録膜が一旦、溶けやすくするために熱をため、その後、急冷することが求められる。
このことから、上部保護層はある一定時間熱を遮断し、その後、急激に冷やすことが求められる。
【0017】
上部保護層は、低熱伝導、反射放熱層は、高熱伝導が求められる。
記録層がGeSdTeをベースとする化合物組成の場合、消去するための結晶化過程は固相で行われるため、平均記録温度はやや低くなる。
反射放熱層の熱伝導が単純に大きければいいというものではない。
したがって、本発明の熱設計の指針は、SbTe基記録層に限られるものである。
【0018】
ZnS−SiOは、熱伝導率が小さく、記録時に熱が拡散しすぎないために低いジッターでマークを書き込むことができる。
また、隣接トラックへの熱にじみが小さく、クロスライトが生じにくい長所がある。
そこで、ZnS−SiOの低熱伝導率との長所を有し、かつ低熱伝導率を有する材料を探索して、GeCrNxを得たのである。
【0019】
薄膜の熱伝導を測定することは困難であるが、同じ膜厚に固定し、上部保護層材料を各種振って、ディスクの記録感度を調べることにより、で熱伝導の順位をつけることは可能である。
これによれば、ZnS−SiOとGeCrNxは同等、SiCは、それよりも熱伝導が大きかった。
【0020】
他に、SiNxやSiO等も、熱伝導は大きかった。
GeCrNxは、窒化ゲルマニウムと窒化クロムの混合体であるが、光ディスクに用いるのに充分な程度に透明であり、熱伝導も小さい。
そのため、上部保護層をGeCrNxに置き換えても、初期記録再生特性はZnS−SiOのときと変わらない。
なお、Geは高価なため、SiCを用いることもできる。
ただし、SiCの熱伝導は、ZnS−SiOよりは数倍大きい。
このため、ディスクの記録感度は多少劣化する。
【0021】
以下に、本発明の光情報記録媒体について図面に基づいて説明する。なお、図1は参考例である。
図1は、本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つである相変化型書き換え可能光ディスクの構造を示す断面図である。基板1の上に、下部誘電体保護層2、相変化型記録層3、上部誘電体保護層4、反射放熱層5、樹脂保護層6が積層されている。なお、DVD系の光ディスクでは、これが2枚貼り合わされた構造となる。
【0022】
下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護、反射放熱層は、一般的にスパッタリング法で真空中で連続成膜される。
成膜方法は、イオンプレーティング、真空蒸着等も考えられるが、コスト、成膜の制御性のよさ等から、マグネトロンスパッタリング法による作成が好ましい。
基板1は、記録再生用の光が透過する透明な物質であり、一般的には、ポリカーボネート樹脂やガラスが用いられる。
基板厚さは、CD系では1.2mm、DVD系では0.6mmである。
特殊なディスクでは、これに限らない。
また、基板にはアドレス情報を記録したり、トラッキングサーボのために、凹凸のピットやグルーブが形成される。
【0023】
下部誘電体保護層2は、通常、スパッタリング法で形成され、相変化型ディスクの場合は、ZnS−SiOが一般的である。
光学的に透明で、記録膜を水分やガスから遮断する能力が求められる。
膜厚は、40〜250mmが一般的である。
CD系では40〜90mm、DVD系では50〜100nmである。
光学的な光閉じ込めと基板への熱遮断及び記録膜へのガスや水分の遮断の3要素から、膜厚は決定される。
したがって、記録再生の光波長が変われば膜厚は変動する。
【0024】
一般的には、ZnS−SiO単層で構成される。
しかし、記録層の隣接領域に特に熱遮断の性質がある層を置き、その熱遮断層と基板の間にスパッタ率が大きい膜を用いると、ディスクの成膜がより高速に行うことができる。
そこで、ZnS−NbなどのZnS−SiOと性質が近似していて直流スパッタできる材料を用いることが好ましい。
【0025】
相変化型記録層3は、記録時の熱によって光学定数が変化して記録マークを形成する物質であり、上記のように溶融消去型相変化材料のうち、融点が低く、記録感度の良好な、SbTeベースの材料を用いる。
代表的なものは、CD−RW等に実用化されているAgInSbTeであり、その他、GeInSbTe、GeGaSbTe、GeBiInSbTe等がある。
これらのカルコゲナイド化合物の場合は、結晶と非晶質状態で記録、未記録の違いを作り、再生する。
【0026】
膜厚は5〜100nm程度とするが、10〜30nmが好ましい。
これは、あまり厚いと記録時の熱干渉が大きくなり、小さなマークの大きさのばらつきが大きくなって、信号の時間軸揺らぎが大きくなってエラー率が大きくなるからである。
また、10nm程度より薄いと、再生光での弱い熱でも、記録マークが熱揺らぎを引き起こして、消去されやすくなるので好ましくない。
【0027】
上部誘電体保護層4は、熱遮断するため、膜厚は10〜100nm程度である。
記録時の熱を記録層から速やかに反射放熱層へ流すため、10〜30nm付近の厚さにするのが好ましい。
記録密度や繰り返し書き換えを重視しない場合は、この第2誘電体保護層を厚くしてもよい。この場合、記録感度が良くなる。
また、記録マークと消去部の反射率がほぼ同等で位相差が大きく、消し残りの生じにくい位相差再生メディアを作ることができる。
【0028】
本発明の記録媒体は、反射放熱層が銀系材料であり、合金化させて耐食性を向上させてはいるが、Al系ほどには強くない。
したがって、上部誘電体保護層には硫黄を含まないGeNxを基準に、窒化クロムを加えたGeCrNxのような窒化ゲルマニウム系材料やSiCのような炭化物が好ましい。これらは繰り返し書き換えでの劣化が小さいものであった。
酸化物はSiO、TaOxなどを検討したが、繰り返し書き換えでの劣化が速く、良好なディスクは得られなかった。
反射放熱層5は、通常スパッタリング法で形成され、銀に銅0.5〜10原子%を含有した銀−銅合金よりなる。
膜厚は、反射率の面では50nm程度あれば十分であるが、放熱の面からはこれより厚い方が良く、80〜250nm程度が好ましい。
厚すぎると、生産上、タクトが長くなるので好ましくない。
【0029】
反射率、放熱の面からは純銀が最良である。
銅は銀の次いで熱伝導の大きな材料であり、銀に加えても、あまり熱伝導率が下がらない。
銀の耐蝕性を向上させるためには、AlやIn等を添加してもよい。
しかし、反射放熱層の熱伝導率は、ディスクの繰り返し書き換え回数と密接に関係しており、熱伝導が小さくなると、正比例して、繰り返し書き換え回数も小さくなっていくことが本発明の検討過程で判明した。
この傾向は、記録層に化合物組成のGeSbTe組成の材料を用いたディスクでは顕著ではない。SbTe基の記録層を用いたディスクに固有の現象である。
Al、In、Sb等の銀の耐蝕性向上のための添加元素は、わずか数%の添加で銀の熱伝導を小さくしてしまうことが判明した。
【0030】
本発明のAg−Cu合金は、Cuを添加してもほとんど熱伝導が下がらない。
従来の追記型CDであるCD−R等でも、反射率等に着目してAgに対するPdやCuの添加が検討されているが、熱伝導の詳細な挙動に注目し、極力大きい熱伝導である耐蝕性合金として考えられたものは皆無であった。
銅の添加量は、耐蝕性の面から多すぎると逆に耐蝕性が劣化する。
0.1〜10原子%くらいが良好で、特に0.5〜3原子%程度が最適量である。
樹脂保護層6はCD系のような単板メディアでは、成膜された膜を保護するために設けられている。
DVD系では、保護のためと2枚貼り合せるための接着層としての機能を兼ねている。
一般的に、有機系の紫外線硬化性樹脂等が用いられる。
厚さは1〜100μm程度が一般的であり、スピンコート法により塗布される。
スプレー式、ロールコート式でも差し支えない。樹脂フィルムをロールで貼ることもできる。
【0031】
この相変化型光ディスクでは、基板1側から記録用の光を照射して、相変化記録層3を相変化させて、光学定数を変えて情報信号を記録する。
そして、記録時より弱い再生光をあて、記録層の光学定数変化を光の反射率変化として再生する。
反射放熱層の成膜時間は、アルミニウム合金を同じ厚さに成膜するのに比べ、約1/3で足りた。
これは、ディスク製造上のタクトタイム短縮に大きく効果的であり、コスト低減につながった。
さらに、本発明の銀合金を用いたディスクは、純銀反射膜のディスクに比べて銀の耐腐食性が良好であるために、信頼性と耐久性が改善されている。高温高質下での保存試験を行ったときのエラー率の増加が抑えられた。
【0032】
銀−パラジウム合金は、化学的安定性に優れているものである。
しかし、相変化ディスクで一般的なZnS−SiO保護層に由来する硫黄との反応を完全に防ぐには、3原子%以上の添加が必要である。
ところが、Agに多くの添加物を入れると、Agの特徴である高い熱伝導が失われる。
本発明では、パラジウムとニッケルとを同時に添加することにより、して添加元素の総量を押さえることができた。
良好な耐硫化性を持たせ、かつ熱伝導率を純Agには劣るものの、Alよりは大きくできた。
また、結晶性に由来すると思われるが、特開2000−109943号公報に示されているAgPdCu合金に比べて、熱伝導も大きくできる。
【0033】
記録層が、SbTe基を基本とする相変化型記録の場合、記録時の非晶質化、消去時の結晶化と共に一旦、溶融モードに入る。
したがって、記録膜が一旦溶けやすくするため、熱をため、その後、急冷することが求められる。
このことから、上部保護層は、ある一定時間、熱を遮断し、その後、急激に冷やすことが求められる。
上部保護層は低熱伝導、反射放熱層は高熱伝導が求められる。
【0034】
記録層が、GeSbTeをベースとする化合物組成の場合、消去するための結晶化過程は固相で行われるため、平均記録温度はやや低くなる。
反射放熱層の熱伝導が単純に大きければいいというものではない。
したがって、本発明の熱設計の指針は、SbTe基記録層に限られるものである。実際、下記する実施例4の構成で、記録層を化合物組成のGeSbTeとすると、ジッターは12%以下とすることができない。
反射層をAlTiにすると、約10%のジッターが得られる。
【0035】
ZnS−SiOは熱伝導率が小さく、記録時に熱が拡散しすぎないために、低いジッターでマークを書き込むことができる。
また、隣接トラックへの熱にじみが小さく、クロスライトが生じにくい長所がある。
このため、容易には他の材料には変更できず、その意味から硫化しないAg反射放熱層はきわめて有効である。
また 記録面側から記録再生するタイプの光ディスクでは、基板の直上に反射放熱層を形成する。
したがって、プラスチック基板から、水分や成形ときの離型剤等に由来する腐食性の物質に侵されないことが要求される。
純Agは、化学的安定性に乏しいために問題があるが、本発明の合金は、化学的安定性が向上するため、特に対策しない基板、プロセスにおいてAg合金反射膜を用いることができる。
【0036】
以下に、本発明の光情報記録媒体について図面に基づいて説明する。
図2、3は本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つである相変化型書き換え可能光ディスクの構造を示す断面図である。
図2は、基板側から再生するもの、図3は、膜面側から再生するものを示す。
【0037】
基板1の上に、下部誘電体保護層2、相変化型記録層3、上部誘電体保護層4、反射放熱層5及び樹脂保護層6が積層されている。
なお、DVD系の光ディスクでは、これが2枚貼り合わされた構造になる。
【0038】
下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護、反射放熱層は、一般的にスパッタリング法で真空中で連続成膜される。
成膜方法は、イオンプレーティング、真空蒸着等も考えられるが、コスト、成膜の制御性等からマグネトロンスパッタリング法により作成することが好ましい。
【0039】
基板1は、記録再生用の光が透過する透明な物質であり、一般的にはポリカーボネート樹脂やガラスが用いられる。
基板厚さは、CD系では1.2mm、DVD系では0.6mmである。特殊なディスクではこれに限らない。
また、基板には、アドレス情報を記録したり、トラッキングサーボのために、凹凸のピットやグルーブが形成される。
【0040】
下部誘電体保護層2は、通常、スパッタリング法で形成され、相変化型ディスクの場合は、ZnS−SiOやTaOxが一般的である。
光学的に透明で、記録膜を水分やガスから遮断する能力が求められる。
膜厚は、40〜250nmが一般的である。CD系では40〜90nm、DVD系では50nmから100nmが一般的である。
光学的な光閉じ込め、基板への熱遮断及び記録膜へのガスや水分の遮断の3要素から、膜厚は決定される。
したがって、記録再生の光波長が変われば膜厚は変動する。
【0041】
一般的には、ZnS−SiO単層で構成される。
相変化型記録層3は、記録時の熱によって光学定数が変化して、記録マークを形成する物質で、上記のように溶融消去型相変化材料のうち、融点が低く、記録感度の良好なSbTeベースの材料を用いる。
代表的なものは、CD−RW等に実用化されているAgInSbTeであり、その他、GeInSbTe,GeGaSbTe,GeBiInSbTe等がある。
【0042】
これらのカルコゲナイド化合物の場合は、結晶と非晶質状態で記録、未記録の違いを作り、再生する。
膜厚は、5〜100nm程度を用いるが10〜30nmが好ましい。
これは、あまり厚いと、記録時の熱干渉が大きくなり、小さなマークの大きさのばらつきが大きくなり、信号の時間軸揺らぎが大きくなって、エラー率が大きくなるからである。
また、10nm程度より薄いと、再生光での弱い熱でも記録マークが熱揺らぎを引き起こして消去されやすくなるので好ましくない。
【0043】
上部誘電体保護層4は、熱遮断するため、膜厚は10〜100nm程度である。
記録時の熱を記録層から速やかに反射放熱層へ流すため、10〜30nm付近の厚さにするのが好ましい。
記録密度や繰り返し書き換えを余り重視しない場合は、この第2誘電体保護層を厚くしてもよい。
この場合、記録感度が良好となる。
また、記録マークと消去部の反射率がほぼ同等で位相差が大きく、消し残りの生じにくい位相差再生メディアを作ることができる。
【0044】
本案の記録媒体は、反射放熱層が銀系材料であり、合金化させて耐食性を向上させてはいるが、Al系ほどには強くない。
したがって、上部誘電体保護層には、硫黄を含まないGeNxを基準に窒化クロムを加えたGeCrNxのような窒化ゲルマニウム系材料や、SiCのような炭化物を用いるとさらに好ましい。これらは繰り返し書き換えでの劣化が小さいものであった。
酸化物は、SiO、TaOx等を検討したが、繰り返し書き換えでの劣化が速く、良好なディスクは得られなかった。
【0045】
反射放熱層5は、通常、スパッタリング法で形成され、銀にパラジウム0.5〜2.0原子%、ニッケル0.5〜3.0原子%含有した銀−パラジウム−ニッケル合金よりなる。
膜厚は、反射率の面では50nm程度あれば十分であるが、放熱の面からは、これより厚い方がよく、80〜250nm程度が一般的である。
厚すぎるのは生産上、タクトが長くなるので好ましくない。
【0046】
反射率、放熱の面からは、純銀が最良である。しかし、ニッケルは、銀に加えたとしてもあまり熱伝導率が下がらない。
銀の耐蝕性を向上するためには、W,Zr等の高融点金属をはじめ、AlやInな等、他に効果のある材料は多い。
しかし、反射放熱層の熱伝導率は、ディスクの繰り返し書き換え回数と密接に関係しており、熱伝導が小さくなると、正比例して繰り返し書き換え回数も小さくなっていくことが本発明の検討過程で判明した。
この傾向は、記録層に化合物組成のGeSbTe組成の材料を用いたディスクでは顕著ではない。SbTe基の記録層を用いたディスクに固有の現象である。
【0047】
Al、In、Sb等の銀の耐蝕性向上の添加元素は、わずか、数%の添加で銀の熱伝導を小さくしてしまう。
その他、WやZr等の高融点金属の添加も、耐硫化特性向上には効果的であると言われているが、熱伝導が著しく劣化した。
ZrやWを1原子%添加しただけで、Al合金にも劣る結果となった。
【0048】
従来の追記型CDであるCD−R等でも、反射率等に着目してAgに対するPdやCuの添加を検討したが、熱伝導の詳細な挙動に注目し、極力大きい熱伝導である耐蝕性合金として考えられたものは皆無であった。
【0049】
このように、添加量の上限は熱伝導の低下具合で決まってくるので添加元素を決めれば上限は決定される。本発明のパラジウムとニッケルであれば、合計で5原子%が上限であった。
これ以上の添加は、記録特性がAl合金と近くなり、オーバーライト回数が劣化する。
記録特性は、添加物を少なくするほど向上するが、添加物が2から3原子%以下になれば顕著な差はなくなる。
耐蝕性の面で、添加物5原子%の範囲内で効果的なパラジウム、ニッケルの組み合わせを探索し、本発明では、表1のような組み合わせを試した。
【0050】
パラジウムは、銀に比較的固溶しやすい。また、ニッケルは、銀と固溶しないため、銀の結晶間の粒界に優先的に析出して存在するようである。
このために、パラジウムは硫化そのものを防ぎ、ニッケルは、粒界に異種元素が存在することにより、銀原子の移動しやすさを低下させて結晶粒の変化を防ぎ、銀合金膜の熱伝導が経時変化して低下していくのを防ぐことができる。
銀に固溶するものとしては、金もパラジウム同様である。
しかし、耐硫化性を向上させる能力はパラジウムの方が大きいことから、本発明では、パラジウムを添加した合金としたのである。
【0051】
さらに、同一添加量に対して、ニッケルは、銅より熱伝導低下の割合が小さい。
これは、添加によるAgの結晶性を変化させる割合が小さいからと考えている。
成膜条件にもよるが、粒界に非晶質様の相ができることがある。ニッケルの方が銅に比べてこの非晶質化が起きにくいと考えられる。
【0052】
このように、銀に固溶する元素と、粒界に優先析出する元素を同時に添加することにより、それぞれを単独で添加するよりも、少量で耐硫化性を向上させつつ、添加量が少ないために熱伝導が純Agに比べてあまり下がらず、かつ結晶粒の変化を防ぎ、経時変化での熱伝導低下が起こりにくいAg合金膜を得る結果になっている。
【0053】
DVD+RW規格の基板に記録膜をスパッタし、表1にあるように、反射層の組成のみを変えた。
このメディアに紫外線硬化性樹脂をオーバーコートし、レーザー光で初期化を行って保存試験をした。
反射光を660nm、NA0.65のピックアップで再生し、バースト的な反射光のドロップアウトを観察した。
長さ10μm以上のドロップアウトが初期の2倍以上になったものをNGと判定した。
評価は、中周付近、半径40〜42mmの2mmとした。
加速条件は、80℃、85%湿度、500時間である。
【0054】
樹脂保護層6は、CD系のような単板メディアでは、成膜された膜を保護するために設けられている。
DVD系では、保護のためと、2枚貼り合せるための接着層としての機能を兼ねている。
一般的に、有機系の紫外線硬化性樹脂等が用いられる。
厚さは、1〜100μm程度が一般的であり、スピンコート法で塗布される。
スプレー式、ロールコート式でも差し支えない。樹脂フィルムをロールで貼ることもある。
【0055】
この相変化型光ディスクでは、基板1側から記録用の光を照射して、相変化記録層3を相変化させ、光学定数を変えて情報信号を記録する。
そして、記録時より弱い再生光をあて、記録層の光学定数変化を光の反射率変化として再生する。
反射放熱層の成膜時間は、アルミニウム合金を同じ厚さ成膜するのに比べ、約1/3で足りた。
これは、ディスク製造上のタクトタイム短縮に大きく効果的であり、コスト低減につながった。
さらに、本発明の銀合金を用いたディスクは、純銀反射膜のディスクに比べて銀の耐腐食性が良好であるために、信頼性と耐久性が改善されている。
高温高質下での保存試験を行ったときのエラー率の増加が抑えられた。
【0056】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。なお、実施例1〜3は参考例である。
【0057】
実施例1
直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μmの螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板を用い、相変化型光ディスクを作製した。
下部誘電体保護層は、ZnS−Nb(15重量%)55nm、GeCrNx10nm、記録層は、Ag3In5Sb60Te30Ge2(原子%)15nm、第2誘電体保護層は、GeCrNx20nm、反射放熱層は、Ag−2原子%Cu合金150nmである。
【0058】
成膜は、すべてアネルバ製インラインスパッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリング法により行った。
ガス圧力は2mTorrである。
反射放熱層の組成は、予めこの組成で作成した合金ターゲットを用いた。
GeCrNxについては、Ge−20重量%Cr合金ターゲットを用いて、Ar30sccm、窒素10sccm混合ガス中で、高周波により反応性スパッタリングをして成膜した。
【0059】
スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化させた。
その後、膜のないクリヤ盤と粘着シートで貼り合せた。
紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約50μmであった。
このディスクをレーザー光により溶融結晶化させて、初期化した。
660nmNA0.65の光ピックアップを有するドライブで記録再生した。
記録線速度は、3.5m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.267μm/bitの記録密度で記録した。
記録ピークパワー12mW、消去パワー6.8mW、ボトムパワー0.1mW、再生パワー0.7mWを用いた。
【0060】
記録パルスは、DVD+RW規格で規定されているものを用いた。
このディスクの特性は、初回記録後のジッター、(σ/Tw)は7%であった。また、1000回の繰り返し書き換え後は8%であった。
このディスクの半径30mmの位置に10トラック、1000回繰り返し書き換えをした。
その後、80℃85%RHの環境に500時間放置して、再度ジッターを測定した。
初期8%に対し、真中3トラックの平均8.5%であって、劣化は小さかった。
目視で、この保存試験後のディスクをランプにかざしてピンホールの発生状況を観察したが、ピンホールは発生していなかった。
【0061】
実施例2
直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μmの螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板を用い、相変化型光ディスクを作製した。
下部誘電体保護層は、ZnS−Nb(15重量%)55nm、GeAlNx10nm、記録層は、Ge3In5Sb62Te30(原子%)15nm、第2誘電体保護層は、GeAlNx16nm、反射放熱層は、Ag−2原子%Cu合金150nmである。
【0062】
成膜は、すべてアネルバ製インラインスパッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリング法により行った。
ガス圧力は3mTorrである。
反射放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲットを用いた。
GeAlNxについては、Ge−20重量%Al合金ターゲットを用いて、Ar25sccm、窒素15sccm混合ガス中で、直流により反応性スパッタリングをして成膜した。
スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化させた。
その後、同様のプロセスで作成した別のディスクと記録面同士を粘着シートで貼り合せた。
紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約50μmであった。
このディスクをレーザー光で溶融結晶化させて、初期化した。
【0063】
660nmNA0.65の光ピックアップを有するドライブで記録再生した。記録線速度は3.5m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.267μm/bitの記録密度で記録した。
記録ピークパワー13mW、消去パワー7.0mW、ボトムパワー0.1mW、再生パワー0.7mWを用いた。
【0064】
記録パルスは、DVD+RW規格で規定されているものを用いた。
このディスクの特性は、初回記録後のジッター、(σ/Tw)は6.5%であった。また、1000回の繰り返し書き換え後は7.8%であった。
このディスクの半径30mmの位置に10トラック、1000回繰り返し書き換えをした。
その後、80℃85%RHの環境に500時間放置して、再度ジッターを測定した。
初期7.8%に対し、真中3トラックの平均8.2%であって、劣化は小さかった。
目視で、この保存試験後のディスクをランプにかざしてピンホールの発生状況を観察したが、ピンホールは発生していなかった。
【0065】
実施例3
直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μmの螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板を用い、相変化型光ディスクを作製した。
下部誘電体保護層は、ZnS−SiO(20原子%)75nm、記録層は、Ag3In6Sb60Te30Ge2(原子%)15nm、第2誘電体保護層は、SiC14nm、反射放熱層は、Ag−2原子%Cu合金150nmである。
【0066】
成膜は、すべてアネルバ製インラインスパッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリング法で行った。
ガス圧力は3mToorrである。
反射放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲットを用いた。
スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化させた。
その後、同様のプロセスで作成した別のディスクと記録面同士を粘着シートで貼り合せた。
紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約50μmであった。
【0067】
このディスクをレーザー光で溶融結晶化させて、初期化した。
660nmNA0.65の光ピックアップを有するドライブで記録再生した。
記録線速度は、3.5m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.267μm/bitの記録密度で記録した。
記録ピークパワー15mW、消去パワー8.0mW、ボトムパワー0.1mW、再生パワー0.7mWを用いた。
記録パルスは、DVD+RW規格で規定されているものを用いた。
このディスクの特性は、初回記録後のジッター、(σ/Tw)は7.2%であった。また、1000回の繰り返し書き換え後は7.7%であった。
このディスクの半径30mmの位置に10トラック、1000回繰り返し書き換えをした。
【0068】
その後、80℃85%RHの環境に500時間放置して、再度ジッターを測定した。
初期7.7%に対し、真中3トラックの平均8.2%であって、劣化は小さかった。
目視で、この保存試験後のディスクをランプにかざしてピンホールの発生状況を観察したが、ピンホールは発生していなかった。
【0069】
比較例1
実施例1同様の相変化型ディスクとし、反射放熱層を純Agとした。
記録再生、保存試験も実施例1と同様に行った。
初期のジッタ、繰り返し記録での劣化の様子はほぼ同等であった。
1000回書き換えたトラックの保存試験後のジッターは、9.4%になっており、Ag−Cu合金のときより劣化が大きかった。
目視によるピンホール観察で、ピンホールが認められた。
ディスク全面に数10μmのピンホールが多数発生していた。
【0070】
比較例2
実施例1同様の相変化型ディスクとし、反射放熱層をAg−40原子%Cuとした。
記録再生、保存試験も実施例1と同様に行った。
初期のジッタ、繰り返し記録での劣化の様子はほぼ同等であった。
1000回書き換えたトラックの保存試験後のジッターは、13%になっており、Ag−2原子%Cu合金の時より劣化が大きかった。ドロップアウトがやや観察された。
目視によるピンホール観察では、ピンホールは認められなかった。
【0071】
比較例3
実施例1同様の相変化型ディスクとし、上部保護層をZnS−SiOとした。
記録再生、保存試験も実施例1と同様に行った。
初期のジッタ、繰り返し記録での劣化の様子はほぼ同等であった。
1000回書き換えたトラックの保存試験後では信号に多数のドロップアウトが発生していた。バーストエラーになっている。
目視によるピンホール観察では、ピンホールは認められなかった。
しかし、光学顕微鏡で反射層側を観察すると、多数の黒点が観察された。
これは、Agの硫化物と推定され、これがエラーの原因と考えられる。
【0072】
実施例4
直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μmの螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板を用い、相変化型光ディスクを制作した。
下部誘電体保護層は、ZnS−SiO65nm、記録層は、Ag3In5Sb60Te30Ge2(原子%)15nm、第2誘電体保護層は、ZnS−SiO20nm、反射放熱層は、Ag合金150nmである。
銀合金組成は表1に示した。
添加元素の合計は5原子%以下である。
【0073】
成膜はすべてアネルバ製インラインスパッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリング法で行った。
ガス圧力は2mTorrである。
反射放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲットを用いた。
スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化させた。
その後、膜のないクリヤ盤と粘着シートで貼り合せた。
紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約50μmであった。
このディスクをレーザー光で溶融結晶化させて、初期化した。
【0074】
660nmNA0.65の光ピックアップを有するドライブで記録再生した。
記録線速度は3.5m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.267μm/bitの記録密度で記録した。
記録ピークパワー12mW、消去パワー6.8mW、ボトムパワー0.1mW、
再生パワー0.7mWを用いた。
記録パルスは、DVD+RW規格で規定されているものを用いた。
これらのディスクの特性は初回記録後のジッター、(σ/Tw)は9%以下であった。
【0075】
このディスクを高温高質環境下で加速劣化させた。加速条件は、80℃、85%湿度、500時間である。
反射光を660nmNA0.65のピックアップで再生し、バースト的な反射光のドロップアウトを観察した。
長さ10μm以上のドロップアウトが初期の2倍以上になったものをNGと判定した。
評価は、中周付近半径40〜42mmの2mmとした。
表1に示すように、劣化が少ないメディアが得られた。
【0076】
実施例5〜10
直径120mm、板厚1.1mm、グルーブピッチ0.8μmの螺旋状のランド、グルーブが形成されたポリカーボネート基板を用い、相変化型光ディスクを作製した。
基板上に、反射放熱層は、Ag−1原子%Pd−1原子%Ni合金60nm、下部誘電体保護層は、ZnS−SiO7nm、記録層は、Ge4In3Sb70Te23原子%10nm、上部誘電体保護層は、ZnS−SiO30nmである。
なお、ZnS−SiOはSiO20mol%である。
【0077】
成膜は、すべてアネルバ製インラインスパッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリング法で行った。
ガス圧力は 3mTorrである。
反射放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲットを用いた。
スパッタの後、粘着剤を塗布した厚み70μmの透明シートを貼り、ディスクとした。
このディスクをレーザー光で溶融結晶化させて、初期化した。
405nmNA0.85の光ピックアップを有するドライブで記録再生した。
【0078】
記録線速度は、5.4m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.2μm/bitの記録密度で記録した。
記録ピークパワー5.5mW、消去パワー2.3mW、再生パワー0.3mWを用いた。
記録パルスは、DVD+RW規格で規定されているものを用いた。
【0079】
このディスクの特性は、初回記録後のジッター、(σ/Tw)は6.0%であった。
また、1000回の繰り返し書き換え後は7.0%であった。
実施例4同様な加速試験を行い、反射層に起因するバースト劣化は発生していないことを確認した。
【0080】
比較例4〜8
実施例4同様の相変化型ディスクとし、反射放熱層組成を変えて、記録再生、保存試験も実施例4と同様に行った。
パラジウムの全く存在しない比較例4は、保存特性が悪かった。
硫化を防ぐには、ニッケルのみでは不足することを示している。
【0081】
比較例5,6は、添加元素が5%を越えると、反射層の熱伝導が不足して、記録特性が悪いことを示す。
特に比較例7は、Ag合金層の比抵抗が5×10−5ΩcmとAl−0.6原子%Tiの1×10−5Ωcmよりも大きかった。
金属では、熱伝導は、比抵抗と逆比例しているから、この例では、熱伝導がAlTiよりも悪いと考えられる。
以上の条件と結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
Figure 0004336464
基板の膜構成は、基板/ZnS−SiO65nm/AgInSbTeGe15nm/ZnS−SiO20nm/Ag合金150nmである。
保存試験は、80℃、85%RH100時間で、10μm以上のバースト劣化が2倍以上になった場合を×とした。
記録特性は、660nmNA0.65のヘッドで3.5m/s0.267μm/bitのEFM+信号を記録再生してデータとクロックのジッターが9%以上であるものを×とした。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、反射率が高く、高速成膜が可能で、しかも良好なジッターと信頼性の高い繰り返し書き換え特性を有した光記録媒体が提供され、光情報記録媒体分野に寄与するところはきわめて大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つである相変化型光ディスクの断面図である。
【図2】本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つである相変化型光ディスクにおいて、基板側から再生するものを示す図である。
【図3】本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つである相変化型光ディスクにおいて、膜面側から再生するものを示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 下部誘電体保護層
3 相変化型記録層
4 上部誘電体保護層
5 Ag−Pd−Ni反射放熱層
6 樹脂保護層
7 基板
8 基板
9 Ag−Pd−Ni反射放熱層
10 下部誘電体保護層
11 相変化記録層
12 上部誘電体保護層
13 粘着樹脂接着層
14 透明シート

Claims (4)

  1. 基板上に積層した下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護層及び反射放熱層を有する相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子%のPd及び0.5〜原子%のNiを含有した合金であって、PdとNiの合計が5原子%以下であるものからなることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 該相変化型記録層が、SbTe準安定層を基盤とする材料である請求項に記載の光情報記録媒体。
  3. 基板上に積層した反射放熱層、下部誘電体保護層、相変化型記録層及び上部誘電体保護層を有する膜再生性相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子%のPd及び0.5〜3原子%のNiを含有した合金であって、PdとNiの合計が5原子%以下であるものからなることを特徴とする光情報記録媒体。
  4. 該相変化型記録層が、Sb Te準安定層を基盤とする材料である請求項に記載の光情報記録媒体。
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