JP2002269828A - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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JP2002269828A JP2001062579A JP2001062579A JP2002269828A JP 2002269828 A JP2002269828 A JP 2002269828A JP 2001062579 A JP2001062579 A JP 2001062579A JP 2001062579 A JP2001062579 A JP 2001062579A JP 2002269828 A JP2002269828 A JP 2002269828A
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Eiko Suzuki
栄子 鈴木
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浩子 田代
Hajime Yuzurihara
肇 譲原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射率が高く、高速成膜が可能で、しかも良
好なジッターと信頼性の高い繰り返し書き換え特性を有
した光記録媒体を提供すること。 【解決手段】 基板上に積層した下部誘電体保護層、相
変化型記録層、上部誘電体保護層及び反射放熱層を有す
る相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、
Agに0.5〜10原子%のCuを含有した合金からな
ることを特徴とする光情報記録媒体、基板上に積層した
下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護層
及び反射放熱層を有する相変化型光情報記録媒体におい
て、該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子%のPd及
び0.5〜4原子%のNiを含有した合金であって、P
dとNiの合計が5原子%以下であるものからなること
を特徴とする光情報記録媒体及び基板上に積層した反射
放熱層、下部誘電体保護層、相変化型記録層及び上部誘
電体保護層を有する膜再生性相変化型光情報記録媒体に
おいて、該相変化型記録層が、SbTe準安定層を基
盤とする材料からなることを特徴とする光情報記録媒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体に
関し、さらに詳しくは、特に、銀合金を用いた反射放熱
層を有する光情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光情報記録媒体の光反射層としては、
金、又はアルミニウム合金が広く用いられている。ま
た、銀合金も近年用いられるようになってきた。金は化
学的に安定で反射率も高く、熱伝導率も高いため、CD
−R等に用いられている。しかし、金は高価である。
【0003】アルミニウム合金は、安価で比較的高い反
射率を有することから、CD、DVDをはじめ、MOや
CD−RW等の記録系の光ディスクにも広く用いられて
いる。銀は、金と同様に、反射率や熱伝導率が大きいた
め、すべての光ディスクに有用なものと考えられる。ま
た、金に比べれば安価である。
【0004】銀は、成膜法として一般的なスパッタリン
グによる成膜レートがアルミニウムの約3倍早く、高速
で成膜できるという利点がある。しかし、化学的安定性
に劣り、光ディスクの信頼性に欠けるものである。これ
を解決するために、高価なPdの添加が行われている。
【0005】また、銀は結晶が変化しやすく、成膜後の
初期化や印刷工程における加熱、加圧等により、熱伝導
率が変化する。このことは、メディアの記録特性が安定
でないことを意味する。
【0006】銀は、金と同等の反射率や金以上の熱伝導
率を有するために、再生専用型、記録型を問わず、銀反
射層を用いた光ディスクでは、優れた初期特性を得るこ
とができる。しかし、銀は化学的に安定でなく、隣接す
る層からの各種の物質の影響や環境から、取り込まれる
水分等の影響により特性が変化する。これは、光情報記
録媒体を長期に使用した場合に、反射率が低下して再生
できなくなることや、再生時のエラー発生が多くなると
いう問題を引き起こす。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現況に鑑み、反射率が高く、高速成膜が可能で、しかも
良好なジッターと信頼性の高い繰り返し書き換え特性を
有した光記録媒体を提供することをその課題とするもの
である。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、反射放熱層と相変化型記録層に着目
して鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到っ
た。
【0009】すなわち、本発明によれば、第一に、基板
上に積層した下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部
誘電体保護層及び反射放熱層を有する相変化型光情報記
録媒体において、該反射放熱層が、Agに0.5〜10
原子%のCuを含有した合金からなることを特徴とする
光情報記録媒体が提供される。
【0010】この第1の発明には、該相変化型記録層
が、SbTe準安定層を基盤とする材料である光情報
記録媒体、該上部誘電体保護層が、GeCrの窒化物又
はSiCである光情報記録媒体及び該下部誘電体保護層
が、2層からなり、基板側がZnS−Nb、記録
層側がGeCrの窒化物である光情報記録媒体が含まれ
る。
【0011】本発明によれば、第2に、基板上に積層し
た下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部誘電体保護
層及び反射放熱層を有する相変化型光情報記録媒体にお
いて、該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子%のPd
及び0.5〜4原子%のNiを含有した合金であって、
PdとNiの合計が5原子%以下であるものからなるこ
とを特徴とする光情報記録媒体が提供される。
【0012】この第2発明には、該相変化型記録層が、
SbTe準安定層を基盤とする材料である光情報記録
媒体が含まれる。
【0013】また、本発明によれば、第3に、基板上に
積層した反射放熱層、下部誘電体保護層、相変化型記録
層及び上部誘電体保護層を有する膜再生性相変化型光情
報記録媒体において、該相変化型記録層が、SbTe
準安定層を基盤とする材料からなることを特徴とする光
情報記録媒体が提供される。
【0014】この第3の発明には、該反射放熱層が、A
gに0.5〜3原子%のPd及び0.5〜4原子%のN
iを含有した合金であって、PdとNiの合計が5原子
%以下である光情報記録媒体が含まれる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明においては、銀の高反射
率、高熱伝導率及び高速成膜等の特質を保ち、かつ化学
的安定性を改善する安価な合金系として、銀−銅合金に
より相変化型光情報記録媒体(以下、単に記録媒体とい
うことがある)の反射放熱層を構成する。このような構
成とすることにより、反射放熱層の化学的安定性を向上
することができる。さらに、相変化型光ディスクの保護
層として、一般的なZnS−SiOは硫黄を含むた
め、この硫黄がAgを硫化劣化させるので、反射放熱層
と接する上部保護層には、ZnS−SiOを用いない
こととし、上部保護層には、GeCrNx、GeAlN
x、GeSiNx等の窒化ゲルマニウム系材料又はSi
Cを用いるものである。
【0016】銀−銅合金は、化学的安定性に優れてお
り、かつ安価である。しかし、銀−パラジウム系合金に
比べれば安定性に劣るので、反射放熱層と接する上部保
護層には、硫黄を含むものは使用しない。記録層が、S
Te基を基本とする相変化型記録の場合、記録時の
非晶質化、消去時の結晶化と共に一旦溶融モードに入
る。したがって、記録膜が一旦、溶けやすくするために
熱をため、その後、急冷することが求められる。このこ
とから、上部保護層はある一定時間熱を遮断し、その
後、急激に冷やすことが求められる。
【0017】上部保護層は、低熱伝導、反射放熱層は、
高熱伝導が求められる。記録層がGeSdTe
ベースとする化合物組成の場合、消去するための結晶化
過程は固相で行われるため、平均記録温度はやや低くな
る。反射放熱層の熱伝導が単純に大きければいいという
ものではない。したがって、本発明の熱設計の指針は、
SbTe基記録層に限られるものである。
【0018】ZnS−SiOは、熱伝導率が小さく、
記録時に熱が拡散しすぎないために低いジッターでマー
クを書き込むことができる。また、隣接トラックへの熱
にじみが小さく、クロスライトが生じにくい長所があ
る。そこで、ZnS−SiOの低熱伝導率との長所を
有し、かつ低熱伝導率を有する材料を探索して、GeC
rNxを得たのである。
【0019】薄膜の熱伝導を測定することは困難である
が、同じ膜厚に固定し、上部保護層材料を各種振って、
ディスクの記録感度を調べることにより、で熱伝導の順
位をつけることは可能である。これによれば、ZnS−
SiOとGeCrNxは同等、SiCは、それよりも
熱伝導が大きかった。
【0020】他に、SiNxやSiO等も、熱伝導は
大きかった。GeCrNxは、窒化ゲルマニウムと窒化
クロムの混合体であるが、光ディスクに用いるのに充分
な程度に透明であり、熱伝導も小さい。そのため、上部
保護層をGeCrNxに置き換えても、初期記録再生特
性はZnS−SiOのときと変わらない。なお、Ge
は高価なため、SiCを用いることもできる。ただし、
SiCの熱伝導は、ZnS−SiOよりは数倍大き
い。このため、ディスクの記録感度は多少劣化する。
【0021】以下に、本発明の光情報記録媒体について
図面に基づいて説明する。図1は、本発明の光情報記録
媒体の実施形態の一つである相変化型書き換え可能光デ
ィスクの構造を示す断面図である。基板1の上に、下部
誘電体保護層2、相変化型記録層3、上部誘電体保護層
4、反射放熱層5、樹脂保護層6が積層されている。な
お、DVD系の光ディスクでは、これが2枚貼り合わさ
れた構造となる。
【0022】下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部
誘電体保護、反射放熱層は、一般的にスパッタリング法
で真空中で連続成膜される。成膜方法は、イオンプレー
ティング、真空蒸着等も考えられるが、コスト、成膜の
制御性のよさ等から、マグネトロンスパッタリング法に
よる作成が好ましい。基板1は、記録再生用の光が透過
する透明な物質であり、一般的には、ポリカーボネート
樹脂やガラスが用いられる。基板厚さは、CD系では
1.2mm、DVD系では0.6mmである。特殊なデ
ィスクでは、これに限らない。また、基板にはアドレス
情報を記録したり、トラッキングサーボのために、凹凸
のピットやグルーブが形成される。
【0023】下部誘電体保護層2は、通常、スパッタリ
ング法で形成され、相変化型ディスクの場合は、ZnS
−SiOが一般的である。光学的に透明で、記録膜を
水分やガスから遮断する能力が求められる。膜厚は、4
0〜250mmが一般的である。CD系では40〜90
mm、DVD系では50〜100nmである。光学的な
光閉じ込めと基板への熱遮断及び記録膜へのガスや水分
の遮断の3要素から、膜厚は決定される。したがって、
記録再生の光波長が変われば膜厚は変動する。
【0024】一般的には、ZnS−SiO単層で構成
される。しかし、記録層の隣接領域に特に熱遮断の性質
がある層を置き、その熱遮断層と基板の間にスパッタ率
が大きい膜を用いると、ディスクの成膜がより高速に行
うことができる。そこで、ZnS−NbなどのZ
nS−SiOと性質が近似していて直流スパッタでき
る材料を用いることが好ましい。
【0025】相変化型記録層3は、記録時の熱によって
光学定数が変化して記録マークを形成する物質であり、
上記のように溶融消去型相変化材料のうち、融点が低
く、記録感度の良好な、SbTeベースの材料を用い
る。代表的なものは、CD−RW等に実用化されている
AgInSbTeであり、その他、GeInSbTe、
GeGaSbTe、GeBiInSbTe等がある。こ
れらのカルコゲナイド化合物の場合は、結晶と非晶質状
態で記録、未記録の違いを作り、再生する。
【0026】膜厚は5〜100nm程度とするが、10
〜30nmが好ましい。これは、あまり厚いと記録時の
熱干渉が大きくなり、小さなマークの大きさのばらつき
が大きくなって、信号の時間軸揺らぎが大きくなってエ
ラー率が大きくなるからである。また、10nm程度よ
り薄いと、再生光での弱い熱でも、記録マークが熱揺ら
ぎを引き起こして、消去されやすくなるので好ましくな
い。
【0027】上部誘電体保護層4は、熱遮断するため、
膜厚は10〜100nm程度である。記録時の熱を記録
層から速やかに反射放熱層へ流すため、10〜30nm
付近の厚さにするのが好ましい。記録密度や繰り返し書
き換えを重視しない場合は、この第2誘電体保護層を厚
くしてもよい。この場合、記録感度が良くなる。また、
記録マークと消去部の反射率がほぼ同等で位相差が大き
く、消し残りの生じにくい位相差再生メディアを作るこ
とができる。
【0028】本発明の記録媒体は、反射放熱層が銀系材
料であり、合金化させて耐食性を向上させてはいるが、
Al系ほどには強くない。したがって、上部誘電体保護
層には硫黄を含まないGeNxを基準に、窒化クロムを
加えたGeCrNxのような窒化ゲルマニウム系材料や
SiCのような炭化物が好ましい。これらは繰り返し書
き換えでの劣化が小さいものであった。酸化物はSiO
、TaOxなどを検討したが、繰り返し書き換えでの
劣化が速く、良好なディスクは得られなかった。反射放
熱層5は、通常スパッタリング法で形成され、銀に銅
0.5〜10原子%を含有した銀−銅合金よりなる。膜
厚は、反射率の面では50nm程度あれば十分である
が、放熱の面からはこれより厚い方が良く、80〜25
0nm程度が好ましい。厚すぎると、生産上、タクトが
長くなるので好ましくない。
【0029】反射率、放熱の面からは純銀が最良であ
る。銅は銀の次いで熱伝導の大きな材料であり、銀に加
えても、あまり熱伝導率が下がらない。銀の耐蝕性を向
上させるためには、AlやIn等を添加してもよい。し
かし、反射放熱層の熱伝導率は、ディスクの繰り返し書
き換え回数と密接に関係しており、熱伝導が小さくなる
と、正比例して、繰り返し書き換え回数も小さくなって
いくことが本発明の検討過程で判明した。この傾向は、
記録層に化合物組成のGeSbTe組成の材料を
用いたディスクでは顕著ではない。SbTe基の記録
層を用いたディスクに固有の現象である。Al、In、
Sb等の銀の耐蝕性向上のための添加元素は、わずか数
%の添加で銀の熱伝導を小さくしてしまうことが判明し
た。
【0030】本発明のAg−Cu合金は、Cuを添加し
てもほとんど熱伝導が下がらない。従来の追記型CDで
あるCD−R等でも、反射率等に着目してAgに対する
PdやCuの添加が検討されているが、熱伝導の詳細な
挙動に注目し、極力大きい熱伝導である耐蝕性合金とし
て考えられたものは皆無であった。銅の添加量は、耐蝕
性の面から多すぎると逆に耐蝕性が劣化する。0.1〜
10原子%くらいが良好で、特に0.5〜3原子%程度
が最適量である。樹脂保護層6はCD系のような単板メ
ディアでは、成膜された膜を保護するために設けられて
いる。DVD系では、保護のためと2枚貼り合せるため
の接着層としての機能を兼ねている。一般的に、有機系
の紫外線硬化性樹脂等が用いられる。厚さは1〜100
μm程度が一般的であり、スピンコート法により塗布さ
れる。スプレー式、ロールコート式でも差し支えない。
樹脂フィルムをロールで貼ることもできる。
【0031】この相変化型光ディスクでは、基板1側か
ら記録用の光を照射して、相変化記録層3を相変化させ
て、光学定数を変えて情報信号を記録する。そして、記
録時より弱い再生光をあて、記録層の光学定数変化を光
の反射率変化として再生する。反射放熱層の成膜時間
は、アルミニウム合金を同じ厚さに成膜するのに比べ、
約1/3で足りた。これは、ディスク製造上のタクトタ
イム短縮に大きく効果的であり、コスト低減につながっ
た。さらに、本発明の銀合金を用いたディスクは、純銀
反射膜のディスクに比べて銀の耐腐食性が良好であるた
めに、信頼性と耐久性が改善されている。高温高質下で
の保存試験を行ったときのエラー率の増加が抑えられ
た。
【0032】銀−パラジウム合金は、化学的安定性に優
れているものである。しかし、相変化ディスクで一般的
なZnS−SiO保護層に由来する硫黄との反応を完
全に防ぐには、3原子%以上の添加が必要である。とこ
ろが、Agに多くの添加物を入れると、Agの特徴であ
る高い熱伝導が失われる。本発明では、パラジウムとニ
ッケルとを同時に添加することにより、して添加元素の
総量を押さえることができた。良好な耐硫化性を持た
せ、かつ熱伝導率を純Agには劣るものの、Alよりは
大きくできた。また、結晶性に由来すると思われるが、
特開2000−109943号公報に示されているAg
PdCu合金に比べて、熱伝導も大きくできる。
【0033】記録層が、SbTe基を基本とする相変
化型記録の場合、記録時の非晶質化、消去時の結晶化と
共に一旦、溶融モードに入る。したがって、記録膜が一
旦溶けやすくするため、熱をため、その後、急冷するこ
とが求められる。このことから、上部保護層は、ある一
定時間、熱を遮断し、その後、急激に冷やすことが求め
られる。上部保護層は低熱伝導、反射放熱層は高熱伝導
が求められる。
【0034】記録層が、GeSbTeをベースと
する化合物組成の場合、消去するための結晶化過程は固
相で行われるため、平均記録温度はやや低くなる。反射
放熱層の熱伝導が単純に大きければいいというものでは
ない。したがって、本発明の熱設計の指針は、Sb
e基記録層に限られるものである。実際、下記する実施
例4の構成で、記録層を化合物組成のGeSbTe
とすると、ジッターは12%以下とすることができな
い。反射層をAlTiにすると、約10%のジッターが
得られる。
【0035】ZnS−SiOは熱伝導率が小さく、記
録時に熱が拡散しすぎないために、低いジッターでマー
クを書き込むことができる。また、隣接トラックへの熱
にじみが小さく、クロスライトが生じにくい長所があ
る。このため、容易には他の材料には変更できず、その
意味から硫化しないAg反射放熱層はきわめて有効であ
る。また 記録面側から記録再生するタイプの光ディス
クでは、基板の直上に反射放熱層を形成する。したがっ
て、プラスチック基板から、水分や成形ときの離型剤等
に由来する腐食性の物質に侵されないことが要求され
る。純Agは、化学的安定性に乏しいために問題がある
が、本発明の合金は、化学的安定性が向上するため、特
に対策しない基板、プロセスにおいてAg合金反射膜を
用いることができる。
【0036】以下に、本発明の光情報記録媒体について
図面に基づいて説明する。図2、3は本発明の光情報記
録媒体の実施形態の一つである相変化型書き換え可能光
ディスクの構造を示す断面図である。図2は、基板側か
ら再生するもの、図3は、膜面側から再生するものを示
す。
【0037】基板1の上に、下部誘電体保護層2、相変
化型記録層3、上部誘電体保護層4、反射放熱層5及び
樹脂保護層6が積層されている。なお、DVD系の光デ
ィスクでは、これが2枚貼り合わされた構造になる。
【0038】下部誘電体保護層、相変化型記録層、上部
誘電体保護、反射放熱層は、一般的にスパッタリング法
で真空中で連続成膜される。成膜方法は、イオンプレー
ティング、真空蒸着等も考えられるが、コスト、成膜の
制御性等からマグネトロンスパッタリング法により作成
することが好ましい。
【0039】基板1は、記録再生用の光が透過する透明
な物質であり、一般的にはポリカーボネート樹脂やガラ
スが用いられる。基板厚さは、CD系では1.2mm、
DVD系では0.6mmである。特殊なディスクではこ
れに限らない。また、基板には、アドレス情報を記録し
たり、トラッキングサーボのために、凹凸のピットやグ
ルーブが形成される。
【0040】下部誘電体保護層2は、通常、スパッタリ
ング法で形成され、相変化型ディスクの場合は、ZnS
−SiOやTaOxが一般的である。光学的に透明
で、記録膜を水分やガスから遮断する能力が求められ
る。膜厚は、40〜250nmが一般的である。CD系
では40〜90nm、DVD系では50nmから100
nmが一般的である。光学的な光閉じ込め、基板への熱
遮断及び記録膜へのガスや水分の遮断の3要素から、膜
厚は決定される。したがって、記録再生の光波長が変わ
れば膜厚は変動する。
【0041】一般的には、ZnS−SiO単層で構成
される。相変化型記録層3は、記録時の熱によって光学
定数が変化して、記録マークを形成する物質で、上記の
ように溶融消去型相変化材料のうち、融点が低く、記録
感度の良好なSbTeベースの材料を用いる。代表的
なものは、CD−RW等に実用化されているAgInS
bTeであり、その他、GeInSbTe,GeGaS
bTe,GeBiInSbTe等がある。
【0042】これらのカルコゲナイド化合物の場合は、
結晶と非晶質状態で記録、未記録の違いを作り、再生す
る。膜厚は、5〜100nm程度を用いるが10〜30
nmが好ましい。これは、あまり厚いと、記録時の熱干
渉が大きくなり、小さなマークの大きさのばらつきが大
きくなり、信号の時間軸揺らぎが大きくなって、エラー
率が大きくなるからである。また、10nm程度より薄
いと、再生光での弱い熱でも記録マークが熱揺らぎを引
き起こして消去されやすくなるので好ましくない。
【0043】上部誘電体保護層4は、熱遮断するため、
膜厚は10〜100nm程度である。記録時の熱を記録
層から速やかに反射放熱層へ流すため、10〜30nm
付近の厚さにするのが好ましい。記録密度や繰り返し書
き換えを余り重視しない場合は、この第2誘電体保護層
を厚くしてもよい。この場合、記録感度が良好となる。
また、記録マークと消去部の反射率がほぼ同等で位相差
が大きく、消し残りの生じにくい位相差再生メディアを
作ることができる。
【0044】本案の記録媒体は、反射放熱層が銀系材料
であり、合金化させて耐食性を向上させてはいるが、A
l系ほどには強くない。したがって、上部誘電体保護層
には、硫黄を含まないGeNxを基準に窒化クロムを加
えたGeCrNxのような窒化ゲルマニウム系材料や、
SiCのような炭化物を用いるとさらに好ましい。これ
らは繰り返し書き換えでの劣化が小さいものであった。
酸化物は、SiO、TaOx等を検討したが、繰り返
し書き換えでの劣化が速く、良好なディスクは得られな
かった。
【0045】反射放熱層5は、通常、スパッタリング法
で形成され、銀にパラジウム0.5〜2.0原子%、ニ
ッケル0.5〜3.0原子%含有した銀−パラジウム−
ニッケル合金よりなる。膜厚は、反射率の面では50n
m程度あれば十分であるが、放熱の面からは、これより
厚い方がよく、80〜250nm程度が一般的である。
厚すぎるのは生産上、タクトが長くなるので好ましくな
い。
【0046】反射率、放熱の面からは、純銀が最良であ
る。しかし、ニッケルは、銀に加えたとしてもあまり熱
伝導率が下がらない。銀の耐蝕性を向上するためには、
W,Zr等の高融点金属をはじめ、AlやInな等、他
に効果のある材料は多い。しかし、反射放熱層の熱伝導
率は、ディスクの繰り返し書き換え回数と密接に関係し
ており、熱伝導が小さくなると、正比例して繰り返し書
き換え回数も小さくなっていくことが本発明の検討過程
で判明した。この傾向は、記録層に化合物組成のGe
SbTe組成の材料を用いたディスクでは顕著では
ない。SbTe基の記録層を用いたディスクに固有の
現象である。
【0047】Al、In、Sb等の銀の耐蝕性向上の添
加元素は、わずか、数%の添加で銀の熱伝導を小さくし
てしまう。その他、WやZr等の高融点金属の添加も、
耐硫化特性向上には効果的であると言われているが、熱
伝導が著しく劣化した。ZrやWを1原子%添加しただ
けで、Al合金にも劣る結果となった。
【0048】従来の追記型CDであるCD−R等でも、
反射率等に着目してAgに対するPdやCuの添加を検
討したが、熱伝導の詳細な挙動に注目し、極力大きい熱
伝導である耐蝕性合金として考えられたものは皆無であ
った。
【0049】このように、添加量の上限は熱伝導の低下
具合で決まってくるので添加元素を決めれば上限は決定
される。本発明のパラジウムとニッケルであれば、合計
で5原子%が上限であった。これ以上の添加は、記録特
性がAl合金と近くなり、オーバーライト回数が劣化す
る。記録特性は、添加物を少なくするほど向上するが、
添加物が2から3原子%以下になれば顕著な差はなくな
る。耐蝕性の面で、添加物5原子%の範囲内で効果的な
パラジウム、ニッケルの組み合わせを探索し、本発明で
は、表1のような組み合わせを試した。
【0050】パラジウムは、銀に比較的固溶しやすい。
また、ニッケルは、銀と固溶しないため、銀の結晶間の
粒界に優先的に析出して存在するようである。このため
に、パラジウムは硫化そのものを防ぎ、ニッケルは、粒
界に異種元素が存在することにより、銀原子の移動しや
すさを低下させて結晶粒の変化を防ぎ、銀合金膜の熱伝
導が経時変化して低下していくのを防ぐことができる。
銀に固溶するものとしては、金もパラジウム同様であ
る。しかし、耐硫化性を向上させる能力はパラジウムの
方が大きいことから、本発明では、パラジウムを添加し
た合金としたのである。
【0051】さらに、同一添加量に対して、ニッケル
は、銅より熱伝導低下の割合が小さい。これは、添加に
よるAgの結晶性を変化させる割合が小さいからと考え
ている。成膜条件にもよるが、粒界に非晶質様の相がで
きることがある。ニッケルの方が銅に比べてこの非晶質
化が起きにくいと考えられる。
【0052】このように、銀に固溶する元素と、粒界に
優先析出する元素を同時に添加することにより、それぞ
れを単独で添加するよりも、少量で耐硫化性を向上させ
つつ、添加量が少ないために熱伝導が純Agに比べてあ
まり下がらず、かつ結晶粒の変化を防ぎ、経時変化での
熱伝導低下が起こりにくいAg合金膜を得る結果になっ
ている。
【0053】DVD+RW規格の基板に記録膜をスパッ
タし、表1にあるように、反射層の組成のみを変えた。
このメディアに紫外線硬化性樹脂をオーバーコートし、
レーザー光で初期化を行って保存試験をした。反射光を
660nm、NA0.65のピックアップで再生し、バ
ースト的な反射光のドロップアウトを観察した。長さ1
0μm以上のドロップアウトが初期の2倍以上になった
ものをNGと判定した。評価は、中周付近、半径40〜
42mmの2mmとした。加速条件は、80℃、85%
湿度、500時間である。
【0054】樹脂保護層6は、CD系のような単板メデ
ィアでは、成膜された膜を保護するために設けられてい
る。DVD系では、保護のためと、2枚貼り合せるため
の接着層としての機能を兼ねている。一般的に、有機系
の紫外線硬化性樹脂等が用いられる。厚さは、1〜10
0μm程度が一般的であり、スピンコート法で塗布され
る。スプレー式、ロールコート式でも差し支えない。樹
脂フィルムをロールで貼ることもある。
【0055】この相変化型光ディスクでは、基板1側か
ら記録用の光を照射して、相変化記録層3を相変化さ
せ、光学定数を変えて情報信号を記録する。そして、記
録時より弱い再生光をあて、記録層の光学定数変化を光
の反射率変化として再生する。反射放熱層の成膜時間
は、アルミニウム合金を同じ厚さ成膜するのに比べ、約
1/3で足りた。これは、ディスク製造上のタクトタイ
ム短縮に大きく効果的であり、コスト低減につながっ
た。さらに、本発明の銀合金を用いたディスクは、純銀
反射膜のディスクに比べて銀の耐腐食性が良好であるた
めに、信頼性と耐久性が改善されている。高温高質下で
の保存試験を行ったときのエラー率の増加が抑えられ
た。
【0056】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明するが、これら実施例によって本発明はなんら限
定されるものではない。
【0057】実施例1 直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μm
の螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板
を用い、相変化型光ディスクを作製した。下部誘電体保
護層は、ZnS−Nb(15重量%)55nm、
GeCrNx10nm、記録層は、Ag3In5Sb6
0Te30Ge2(原子%)15nm、第2誘電体保護
層は、GeCrNx20nm、反射放熱層は、Ag−2
原子%Cu合金150nmである。
【0058】成膜は、すべてアネルバ製インラインスパ
ッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリン
グ法により行った。ガス圧力は2mTorrである。反
射放熱層の組成は、予めこの組成で作成した合金ターゲ
ットを用いた。GeCrNxについては、Ge−20重
量%Cr合金ターゲットを用いて、Ar30sccm、
窒素10sccm混合ガス中で、高周波により反応性ス
パッタリングをして成膜した。
【0059】スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本
インキ製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化
させた。その後、膜のないクリヤ盤と粘着シートで貼り
合せた。紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さ
は約50μmであった。このディスクをレーザー光によ
り溶融結晶化させて、初期化した。660nmNA0.
65の光ピックアップを有するドライブで記録再生し
た。記録線速度は、3.5m/sランダムなデジタル信
号をEFM+変調し、0.267μm/bitの記録密
度で記録した。記録ピークパワー12mW、消去パワー
6.8mW、ボトムパワー0.1mW、再生パワー0.
7mWを用いた。
【0060】記録パルスは、DVD+RW規格で規定さ
れているものを用いた。このディスクの特性は、初回記
録後のジッター、(σ/Tw)は7%であった。また、
1000回の繰り返し書き換え後は8%であった。この
ディスクの半径30mmの位置に10トラック、100
0回繰り返し書き換えをした。その後、80℃85%R
Hの環境に500時間放置して、再度ジッターを測定し
た。初期8%に対し、真中3トラックの平均8.5%で
あって、劣化は小さかった。目視で、この保存試験後の
ディスクをランプにかざしてピンホールの発生状況を観
察したが、ピンホールは発生していなかった。
【0061】実施例2 直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μm
の螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板
を用い、相変化型光ディスクを作製した。下部誘電体保
護層は、ZnS−Nb(15重量%)55nm、
GeAlNx10nm、記録層は、Ge3In5Sb6
2Te30(原子%)15nm、第2誘電体保護層は、
GeAlNx16nm、反射放熱層は、Ag−2原子%
Cu合金150nmである。
【0062】成膜は、すべてアネルバ製インラインスパ
ッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリン
グ法により行った。ガス圧力は3mTorrである。反
射放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲッ
トを用いた。GeAlNxについては、Ge−20重量
%Al合金ターゲットを用いて、Ar25sccm、窒
素15sccm混合ガス中で、直流により反応性スパッ
タリングをして成膜した。スパッタの後、紫外線硬化性
樹脂(大日本インキ製SD301)をスピンコートし、
紫外線で硬化させた。その後、同様のプロセスで作成し
た別のディスクと記録面同士を粘着シートで貼り合せ
た。紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約
50μmであった。このディスクをレーザー光で溶融結
晶化させて、初期化した。
【0063】660nmNA0.65の光ピックアップ
を有するドライブで記録再生した。記録線速度は3.5
m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.
267μm/bitの記録密度で記録した。記録ピーク
パワー13mW、消去パワー7.0mW、ボトムパワー
0.1mW、再生パワー0.7mWを用いた。
【0064】記録パルスは、DVD+RW規格で規定さ
れているものを用いた。このディスクの特性は、初回記
録後のジッター、(σ/Tw)は6.5%であった。ま
た、1000回の繰り返し書き換え後は7.8%であっ
た。このディスクの半径30mmの位置に10トラッ
ク、1000回繰り返し書き換えをした。その後、80
℃85%RHの環境に500時間放置して、再度ジッタ
ーを測定した。初期7.8%に対し、真中3トラックの
平均8.2%であって、劣化は小さかった。目視で、こ
の保存試験後のディスクをランプにかざしてピンホール
の発生状況を観察したが、ピンホールは発生していなか
った。
【0065】実施例3 直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μm
の螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板
を用い、相変化型光ディスクを作製した。下部誘電体保
護層は、ZnS−SiO(20原子%)75nm、記
録層は、Ag3In6Sb60Te30Ge2(原子
%)15nm、第2誘電体保護層は、SiC14nm、
反射放熱層は、Ag−2原子%Cu合金150nmであ
る。
【0066】成膜は、すべてアネルバ製インラインスパ
ッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリン
グ法で行った。ガス圧力は3mToorrである。反射
放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲット
を用いた。スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本イ
ンキ製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化さ
せた。その後、同様のプロセスで作成した別のディスク
と記録面同士を粘着シートで貼り合せた。紫外線硬化性
樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約50μmであっ
た。
【0067】このディスクをレーザー光で溶融結晶化さ
せて、初期化した。660nmNA0.65の光ピック
アップを有するドライブで記録再生した。記録線速度
は、3.5m/sランダムなデジタル信号をEFM+変
調し、0.267μm/bitの記録密度で記録した。
記録ピークパワー15mW、消去パワー8.0mW、ボ
トムパワー0.1mW、再生パワー0.7mWを用い
た。記録パルスは、DVD+RW規格で規定されている
ものを用いた。このディスクの特性は、初回記録後のジ
ッター、(σ/Tw)は7.2%であった。また、10
00回の繰り返し書き換え後は7.7%であった。この
ディスクの半径30mmの位置に10トラック、100
0回繰り返し書き換えをした。
【0068】その後、80℃85%RHの環境に500
時間放置して、再度ジッターを測定した。初期7.7%
に対し、真中3トラックの平均8.2%であって、劣化
は小さかった。目視で、この保存試験後のディスクをラ
ンプにかざしてピンホールの発生状況を観察したが、ピ
ンホールは発生していなかった。
【0069】比較例1 実施例1同様の相変化型ディスクとし、反射放熱層を純
Agとした。記録再生、保存試験も実施例1と同様に行
った。初期のジッタ、繰り返し記録での劣化の様子はほ
ぼ同等であった。1000回書き換えたトラックの保存
試験後のジッターは、9.4%になっており、Ag−C
u合金のときより劣化が大きかった。目視によるピンホ
ール観察で、ピンホールが認められた。ディスク全面に
数10μmのピンホールが多数発生していた。
【0070】比較例2 実施例1同様の相変化型ディスクとし、反射放熱層をA
g−40原子%Cuとした。記録再生、保存試験も実施
例1と同様に行った。初期のジッタ、繰り返し記録での
劣化の様子はほぼ同等であった。1000回書き換えた
トラックの保存試験後のジッターは、13%になってお
り、Ag−2原子%Cu合金の時より劣化が大きかっ
た。ドロップアウトがやや観察された。目視によるピン
ホール観察では、ピンホールは認められなかった。
【0071】比較例3 実施例1同様の相変化型ディスクとし、上部保護層をZ
nS−SiOとした。記録再生、保存試験も実施例1
と同様に行った。初期のジッタ、繰り返し記録での劣化
の様子はほぼ同等であった。1000回書き換えたトラ
ックの保存試験後では信号に多数のドロップアウトが発
生していた。バーストエラーになっている。目視による
ピンホール観察では、ピンホールは認められなかった。
しかし、光学顕微鏡で反射層側を観察すると、多数の黒
点が観察された。これは、Agの硫化物と推定され、こ
れがエラーの原因と考えられる。
【0072】実施例4 直径120mm、板厚0.6mm、ピッチ0.74μm
の螺旋状のグルーブが形成されたポリカーボネート基板
を用い、相変化型光ディスクを制作した。下部誘電体保
護層は、ZnS−SiO65nm、記録層は、Ag3
In5Sb60Te30Ge2(原子%)15nm、第
2誘電体保護層は、ZnS−SiO20nm、反射放
熱層は、Ag合金150nmである。銀合金組成は表1
に示した。添加元素の合計は5原子%以下である。
【0073】成膜はすべてアネルバ製インラインスパッ
タリング装置ILC−3105を用いてスパッタリング
法で行った。ガス圧力は2mTorrである。反射放熱
層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲットを用
いた。スパッタの後、紫外線硬化性樹脂(大日本インキ
製SD301)をスピンコートし、紫外線で硬化させ
た。その後、膜のないクリヤ盤と粘着シートで貼り合せ
た。紫外線硬化性樹脂と貼り合せシートの合計厚さは約
50μmであった。このディスクをレーザー光で溶融結
晶化させて、初期化した。
【0074】660nmNA0.65の光ピックアップ
を有するドライブで記録再生した。記録線速度は3.5
m/sランダムなデジタル信号をEFM+変調し、0.
267μm/bitの記録密度で記録した。記録ピーク
パワー12mW、消去パワー6.8mW、ボトムパワー
0.1mW、再生パワー0.7mWを用いた。記録パル
スは、DVD+RW規格で規定されているものを用い
た。これらのディスクの特性は初回記録後のジッター、
(σ/Tw)は9%以下であった。
【0075】このディスクを高温高質環境下で加速劣化
させた。加速条件は、80℃、85%湿度、500時間
である。反射光を660nmNA0.65のピックアッ
プで再生し、バースト的な反射光のドロップアウトを観
察した。長さ10μm以上のドロップアウトが初期の2
倍以上になったものをNGと判定した。評価は、中周付
近半径40〜42mmの2mmとした。表1に示すよう
に、劣化が少ないメディアが得られた。
【0076】実施例5〜10 直径120mm、板厚1.1mm、グルーブピッチ0.
8μmの螺旋状のランド、グルーブが形成されたポリカ
ーボネート基板を用い、相変化型光ディスクを作製し
た。基板上に、反射放熱層は、Ag−1原子%Pd−1
原子%Ni合金60nm、下部誘電体保護層は、ZnS
−SiO7nm、記録層は、Ge4In3Sb70T
e23原子%10nm、上部誘電体保護層は、ZnS−
SiO30nmである。なお、ZnS−SiOはS
iO20mol%である。
【0077】成膜は、すべてアネルバ製インラインスパ
ッタリング装置ILC−3105を用いてスパッタリン
グ法で行った。ガス圧力は 3mTorrである。反射
放熱層の組成は予めこの組成で作成した合金ターゲット
を用いた。スパッタの後、粘着剤を塗布した厚み70μ
mの透明シートを貼り、ディスクとした。このディスク
をレーザー光で溶融結晶化させて、初期化した。405
nmNA0.85の光ピックアップを有するドライブで
記録再生した。
【0078】記録線速度は、5.4m/sランダムなデ
ジタル信号をEFM+変調し、0.2μm/bitの記
録密度で記録した。記録ピークパワー5.5mW、消去
パワー2.3mW、再生パワー0.3mWを用いた。記
録パルスは、DVD+RW規格で規定されているものを
用いた。
【0079】このディスクの特性は、初回記録後のジッ
ター、(σ/Tw)は6.0%であった。また、100
0回の繰り返し書き換え後は7.0%であった。実施例
4同様な加速試験を行い、反射層に起因するバースト劣
化は発生していないことを確認した。
【0080】比較例4〜8 実施例4同様の相変化型ディスクとし、反射放熱層組成
を変えて、記録再生、保存試験も実施例4と同様に行っ
た。パラジウムの全く存在しない比較例4は、保存特性
が悪かった。硫化を防ぐには、ニッケルのみでは不足す
ることを示している。
【0081】比較例5,6は、添加元素が5%を越える
と、反射層の熱伝導が不足して、記録特性が悪いことを
示す。特に比較例7は、Ag合金層の比抵抗が5×10
−5ΩcmとAl−0.6原子%Tiの1×10−5Ω
cmよりも大きかった。金属では、熱伝導は、比抵抗と
逆比例しているから、この例では、熱伝導がAlTiよ
りも悪いと考えられる。以上の条件と結果を表1に示
す。
【0082】
【表1】 基板の膜構成は、基板/ZnS−SiO65nm/A
gInSbTeGe15nm/ZnS−SiO20n
m/Ag合金150nmである。保存試験は、80℃、
85%RH100時間で、10μm以上のバースト劣化
が2倍以上になった場合を×とした。記録特性は、66
0nmNA0.65のヘッドで3.5m/s0.267
μm/bitのEFM+信号を記録再生してデータとク
ロックのジッターが9%以上であるものを×とした。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、反射率が高く、高速成
膜が可能で、しかも良好なジッターと信頼性の高い繰り
返し書き換え特性を有した光記録媒体が提供され、光情
報記録媒体分野に寄与するところはきわめて大きいもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つであ
る相変化型光ディスクの断面図である。
【図2】本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つであ
る相変化型光ディスクにおいて、基板側から再生するも
のを示す図である。
【図3】本発明の光情報記録媒体の実施形態の一つであ
る相変化型光ディスクにおいて、膜面側から再生するも
のを示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 下部誘電体保護層 3 相変化型記録層 4 上部誘電体保護層 5 Ag−Pd−Ni反射放熱層 6 樹脂保護層 7 基板 8 基板 9 Ag−Pd−Ni反射放熱層 10 下部誘電体保護層 11 相変化記録層 12 上部誘電体保護層 13 粘着樹脂接着層 14 透明シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 534 G11B 7/24 534N 535 535H B41M 5/26 B41M 5/26 X (72)発明者 鈴木 栄子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 田代 浩子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 譲原 肇 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 針谷 眞人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA03 EA04 EA12 EA23 EA44 FA12 FA14 FA23 FA24 FA25 FA27 FB09 FB12 5D029 JA01 JC18 LA13 LA16 LA17 LB11 MA27

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に積層した下部誘電体保護層、相
    変化型記録層、上部誘電体保護層及び反射放熱層を有す
    る相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、
    Agに0.5〜10原子%のCuを含有した合金からな
    ることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 該相変化型記録層が、SbTe準安定
    層を基盤とする材料である請求項1に記載の光情報記録
    媒体。
  3. 【請求項3】 該上部誘電体保護層が、GeCrの窒化
    物又はSiCである請求項1又は2に記載の光情報記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 該下部誘電体保護層が、2層からなり、
    基板側がZnS−Nb、記録層側がGeCrの窒
    化物である請求項1〜3のいずれかに記載の光情報記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 基板上に積層した下部誘電体保護層、相
    変化型記録層、上部誘電体保護層及び反射放熱層を有す
    る相変化型光情報記録媒体において、該反射放熱層が、
    Agに0.5〜3原子%のPd及び0.5〜4原子%の
    Niを含有した合金であって、PdとNiの合計が5原
    子%以下であるものからなることを特徴とする光情報記
    録媒体。
  6. 【請求項6】 該相変化型記録層が、SbTe準安定
    層を基盤とする材料である請求項5に記載の光情報記録
    媒体。
  7. 【請求項7】 基板上に積層した反射放熱層、下部誘電
    体保護層、相変化型記録層及び上部誘電体保護層を有す
    る膜再生性相変化型光情報記録媒体において、該相変化
    型記録層が、SbTe準安定層を基盤とする材料から
    なることを特徴とする光情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 該反射放熱層が、Agに0.5〜3原子
    %のPd及び0.5〜4原子%のNiを含有した合金で
    あって、PdとNiの合計が5原子%以下である請求項
    7に記載の光情報記録媒体。
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JP2015529189A (ja) * 2012-09-21 2015-10-05 ブサン ナショナル ユニバーシティー インダストリアル ユニバーシティー コオペレーション ファウンデーションBusan National University Industrial University Cooperation Foundation 金属原子が置換された金属単結晶

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