JP2003331467A - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP2003331467A
JP2003331467A JP2002131739A JP2002131739A JP2003331467A JP 2003331467 A JP2003331467 A JP 2003331467A JP 2002131739 A JP2002131739 A JP 2002131739A JP 2002131739 A JP2002131739 A JP 2002131739A JP 2003331467 A JP2003331467 A JP 2003331467A
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栄子 鈴木
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浩司 出口
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肇 譲原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な繰り返し記録特性を有し高速記録が可
能な光記録媒体を提供する。 【解決手段】 光記録媒体は、透明基板1上に、少なく
とも下部保護層2と、非晶質相および結晶相の可逆的相
変化をする記録層3と、ZrO2、Al23、MgO、
およびX(XはY23およびCeOから選ばれる少なく
とも1種)から選択された材料からなる上部保護層4
と、反射放熱層5とが順次積層されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、相変化型記録媒体
に関し、特に書き換え可能な相変化型光ディスクに関す
る。
【0002】
【従来の技術】結晶相および非晶質相の可逆的相変化を
用いたいわゆる相変化型記録媒体は、書き換え可能な記
録媒体として世界的に普及している。そして、CD−
R、CD−RW記録媒体は普及とともに、高速記録化が
進んでおり、相変化型記録媒体も高速記録が必須となっ
ている。これらの相変化型ディスクはポリカーボネート
製の透明基板にZnS−SiO 2下部保護層、AgIn
SbTeまたはGeSbTe相変化層、ZnS−SiO
2上部保護層、AlまたはAg合金反射放熱層の膜構成
をとるのが一般的である。従来、相変化型光ディスクの
保護層としてはZnS−SiO2が用いられてきた。酸
化などの劣化から相変化膜を保護したり、記録を繰り返
し行った時の熱応力に対する耐性が大きいことがその理
由である。また熱伝導が小さく、ディスクの記録感度を
良くできる点も利点であった。
【0003】しかし、CD−R、CD−RW記録媒体
は、普及とともに、高速記録化が進んでおり相変化記録
媒体も高速記録が必須となっている。高速記録は、記録
密度が高くなるとともに、レーザー光の発光パルスのパ
ルス周波数が高くなり、記録層の加熱、急冷をより短時
間に制御する必要がある。短時間に加熱、急冷をするた
めにはより高い記録パワーをかけ、急冷はパルスのof
f時間を長くする必要があるが、線速度がより速くなる
とともに記録パワーが必要となる。また、高速記録化に
応じて記録材料や相変化記録に関わる各層構成材料の開
発が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】高速記録でしかも繰り
返し記録を行う場合、短時間に高温に加熱し、冷却をく
りかえすため、記録層だけでなく、記録層と反射放熱層
との間にある保護層の劣化が、より起こり易くなる。そ
のため、繰り返し書き換え特性の向上には保護膜の引っ
張り強度や、靭性がZnS−SiO2よりさらに大きい
ものが求められる。したがって本発明の目的は、上記問
題点に鑑み、良好な繰り返し記録特性を有し高速記録が
可能な光記録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、透明
基板上に、少なくとも下部保護層と、非晶質相および結
晶相の可逆的相変化をする記録層と、ZrO2、Al2
3、MgO、およびX(XはY23およびCeOから選
ばれる少なくとも1種)から選択された材料からなる上
部保護層と、反射放熱層とが順次積層されてなることを
特徴とする光記録媒体である。温度によって単斜晶、正
方晶、立方晶と結晶構造が変化するZrO2の相変態は
体積変化を伴うため、その温度(1000℃)付近での
繰り返し温度変化では記録媒体を破壊してしまうが、少
量のCeO、Y23などを添加して、立方晶ジルコニア
中に正方晶を微細分散化して常温で不安定な正方晶ジル
コニアを安定化させる、これを用いて靭性を付加させ、
さらにAl23、MgOを添加してさらなる超塑性を付
加でき、記録媒体に高い強度と靭性を持たせることがで
きる。
【0006】請求項2の発明は、請求項1の光記録媒体
において、前記下部保護層と前記記録層との間にさら
に、ZrO2、Al23、MgO、およびX(XはY2
3およびCeOから選ばれる少なくとも1種)から選択
された材料からなる下部第2保護層を有することを特徴
とする。上記の上部保護層材料を、ZnSSiO2下部
保護層と記録層との間に、下部第2保護層として用いた
場合、繰り返し記録特性をより改善できる。
【0007】請求項3、4の発明は、請求項1、2の光
記録媒体において前記上部保護層および下部第2保護層
は、化学式(ZrO2a(Al23b(MgO)
c(X)で表し、その割合(mol%)をa+b+c
+d=100とした時に、30<a<50、30<b<
50、10<c<30、および0.1<d<10である
ことを特徴とする。(ZrO2−X)−Al23−Mg
O(XはCeO、Y23の少なくとも1種)は薄膜化し
ても機械強度と靭性の優れた性質がそのまま維持されて
おり、その成分が上記の範囲にある場合、また特に相変
化記録層に隣接して用いると、記録媒体の書き換え回数
が向上する。
【0008】請求項5の発明は、請求項1の光記録媒体
において、前記上部保護層の膜厚が、4nmから20n
mであることを特徴とする。薄すぎると感度が悪く、厚
すぎると冷却速度が遅くなるため非晶質相が形成しにく
かったりマークの面積が小さくなってしまうが、上記範
囲は好適である。請求項6の発明は、請求項2の光記録
媒体において、前記下部第2保護層の膜厚が、2nmか
ら10nmであることを特徴とする。2nm未満である
と、明確な効果が得られない。しかし、10nmを超え
ると放熱性が悪くなり、繰り返し特性が逆に悪化する。
したがって、2nmから10nmが好ましい。
【0009】請求項7の発明は、請求項1の光記録媒体
において、前記記録層の主要構成元素が、Ge、Mn、
Sb、およびTeであることを特徴とする。相変化記録
層においてはこれまでSb70に対してTe30付近の
共晶組成を基本としていたが、結晶化温度を上げないた
めにMnが、マークの高温下での保存性のためにGeを
加えて、高線速記録に対応して記録精度が高く、耐久性
のある相記録媒体が提供可能となる。
【0010】請求項8の発明は、請求項7の光記録媒体
において、前記記録層は、添加元素QとしてGa、S
n、Seから選択される少なくとも1つの元素を含み、
化学式QαGeβMnγSbδTeεで表わされ、α、
β、γ、δ、εの各組成比(at%)が、α+β+γ+
δ+ε=100とした時に、0<α≦5、1≦β<7、
0<γ≦10、65≦δ<80、15≦ε≦25、か
つ、γ≧αであることを特徴とする。請求項7の構成に
加え、結晶化温度を上げるがまた結晶化速度も上げる材
料であるGaと、結晶化速度を上げるがそれほど結晶化
温度を上げない材料としてSnと、マークの安定性を向
上させるSeとから選択した1以上の材料を添加して、
上記組成比で記録層を作ることによって、記録精度の高
く、耐久性のある相記録媒体を提供可能となる。
【0011】請求項9の発明は、請求項7または8の光
記録媒体において、前記記録層は、昇温速度10℃/分
での結晶化温度が150℃から220℃であることを特
徴とする。150℃未満であると、記録マークが極端に
結晶化しやすくなり良好な保存信頼性を確保できなくな
る。しかし、220℃を超えると、製膜した記録膜を初
期結晶化するのが困難となる。したがって、記録層の結
晶化温度は、昇温速度10℃/分で測定の場合におい
て、150℃から220℃であることが好ましい。
【0012】請求項10の発明は、請求項8の光記録媒
体において、前記添加元素Qが、Gaであることを特徴
とする。高線速化には、Gaを含めることによって結晶
化速度を高めることができる。
【0013】請求項11の発明は、請求項1の光記録媒
体において、前記反射放熱層が、Agを主要元素として
有することを特徴とする。反射率と熱伝導率の大きなA
gを主成分とすることによって冷却速度を大きくでき、
良好な非晶質形成を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】(実施の形態)本発明の実施の形
態は、図1に示すように、透明基板1上に、少なくとも
下部保護層2と、非晶質相および結晶相の可逆的相変化
をする記録層3と、ZrO2、Al23、MgO、およ
びX(XはY23およびCeOから選ばれる少なくとも
1種)から選択された材料からなる上部保護層4と、反
射放熱層5とが順次積層されてなることを特徴とする光
記録媒体である(請求項1)。
【0015】ここにおいて、図2に示すように前記下部
保護層2と前記記録層3との間にさらに、ZrO2、A
23、MgO、およびX(XはY23およびCeOか
ら選ばれる少なくとも1種)から選択された材料からな
る下部第2保護層6を有することが望ましい(請求項
2)。上部保護層材料を、ZnS−SiO2下部保護層
2と記録層3との間に、下部第2保護層として用いた場
合、繰り返し記録特性をより改善できる。しかし、あま
りに厚くすると放熱性が悪くなるため、下部第2保護層
の膜厚が、2nmから10nmが好ましい(請求項
6)。
【0016】相変化型光ディスクは相変化記録層が結晶
と非晶質との相変化を繰り返すことで書き換えを行なう
ため、保護膜に挟まれた相変化膜は書き換えのたびに微
細な体積変化を繰り返す。したがって保護膜には大きな
機械的な強さと、靭性が求められる。使用する基板は、
ポリカーボネート(PC)、ポリメタアクリル酸(PM
MA)などのプラスチック製基板、ガラス等の透明な基
板を用いる。ZrO2に2.5mol%のY23を添加
した部分安定化ジルコニアは正方晶ジルコニアとも呼ば
れ、セラミックとしては、大きな延性を有している。Z
rO 2は単斜晶、正方晶、立方晶と温度によって結晶構
造が変化し、とくに1000℃付近での単斜晶と正方晶
の間での相変態は、体積変化を伴うため、この温度付近
での繰り返し温度変化では記録媒体を破壊してしまう。
しかし、ここに少量のCeO、Y23などを添加する
と、立方晶ジルコニア中に正方晶を微細分散化すること
ができ、常温で不安定な正方晶ジルコニアを安定化させ
ることができ、これを用いて靭性を付与することができ
る。即ち、力が加わると、分散している正方晶が膨張し
て単斜晶への相変態を起こして衝撃を変態として吸収す
るからである。しかしこれは、通常の使用中の衝撃でデ
ータに悪影響が出るほどの程度ではない。さらにAl2
3、MgOを添加すると、バルクの多結晶体ではさら
に大きな超塑性を示す。またさらに、ジルコニアは屈折
率が2程度で、光学吸収がほぼ0で、熱伝導も小さくZ
nS−SiO2と似ている。相変化型光ディスクの保護
層として従来用いられているZnS−SiO2の性質に
加え、より高い強度と靭性を備えている。
【0017】ここで、前記上部保護層および下部第2保
護層は、化学式(ZrO2a(Al 23b(MgO)c
(X)で表し、その割合(mol%)をa+b+c+
d=100とした時に、30<a<50、30<b<5
0、10<c<30、および0.1<d<10であるこ
とが好ましい(請求項3、4)。(ZrO2−X)−A
23−MgO(XはCeO、Y23の少なくとも1
種)は薄膜化しても機械強度と靭性の優れた性質がその
まま維持されるが、上記の範囲にない場合、本発明者ら
が実験を重ねて鋭意検討した結果によると、従来技術の
ZnS−SiO2と比較して、繰り返し特性が同等もし
くは劣ってしまった。
【0018】また、前記上部保護層の膜厚が、4nmか
ら20nmであることが望ましい(請求項5)。ここで
下部保護層は、従来のZnS、SiO2の混合物を用
い、その比はZnS:SiO2=50:50から85:
15である。この下部第2保護層の膜厚が、2nmから
10nmであることが望ましい(請求項6)。
【0019】前記記録層の主要構成元素が、Ge、M
n、Sb、およびTeであることが望ましい(請求項
7)。ここで上記記録層は、添加元素QとしてGa、S
n、Seから選択される少なくとも1つの元素を含み、
化学式QαGeβMnγSbδTeεで表わされ、α、
β、γ、δ、εの各組成比(at%)が、α+β+γ+
δ+ε=100とした時に、0<α≦5、1≦β<7、
0<γ≦10、65≦δ<80、15≦ε≦25、か
つ、γ≧αであることが望ましい(請求項8)。
【0020】ここで、従来例を振り返ってみると、相変
化記録層はこれまでSb70Te30付近の共晶組成を
基本とした、AgInSbTe系、およびAgInSb
TeGe系が記録特性が良いため用いられてきた。Sb
はTeに対する比率が大きくなるほど、また、Sb量が
80at%を超えると、結晶化速度が高くなるが、保存
性が悪く、しかも記録マークを形成しにくくなる。従っ
て、高線速記録に対応するためのSbの好ましい量は、
65at%以上、80at%より少ない方が良い。一
方、Teは、15at%以上25at%以下が良い。G
eは遅いにもかかわらず、記録したマークの高温環境下
での保存性を向上させるので、必須の元素である。中で
もGe−Te間の結合エネルギーが大きく、しかもGe
添加量が増加する程、結晶化温度を高くするため、保存
性が良い。しかし、あまり多く入れると結晶化温度がさ
らに高くなり、結晶化速度も遅くなるので限度がある。
また、従来から使われているAgはマークを安定化させ
るが、結晶化温度はあまり増加させない。あまり多く入
れると、結晶化の速度を下げてしまうため、結局多くは
入れることができない。Inは、結晶化速度を上げると
ともに、結晶化温度を上げるので、保存性も向上させる
が、偏析しやすく、繰り返しオーバーライト特性の劣化
と再生光パワーに対する劣化が起きる。従って、DVD
で2倍速以上の高線速記録に対しては、AgInSbT
eGe系も、AgInSbTe系も見直すことが必要で
あった。
【0021】そこで、本発明において、従来良く用いら
れていたAg、Inに代わる元素を検討した。Inと同
様の効果があるものとしはGaがある。Gaは、同量の
Inに比べより結晶化速度を速くするが、結晶化温度も
より高くなってしまう。従って、あまり多く入れること
ができない。例えば、Geが5at%で、Gaが6at
%以上になると結晶化温度が200℃をはるかに超え
て、250℃以上にもなる。そのため、記録層を非晶質
状態から結晶化させるための初期化過程において、反射
率が低くなること、トラック一周の反射率分布が大きく
なり、記録特性、データエラーの原因になることから、
初期化が難しくなる。従って、GeGaSbTe、Ge
InSbTe系は十分でない。そこで、我々は、結晶化
速度を速くするが、結晶化温度を必要以上に上げない元
素ということで、希土類、アルカリ土類金属、遷移金属
元素を検討した結果、Mn、Snが効果的であることが
わかった。特に、MnはInと同じく結晶化速度を上げ
る。多く入れても、オーバーライト特性を劣化させずに
保存特性も良好である。結晶化温度もあげるが添加量に
対する増加量は小さい。再生光劣化も小さい。SnはM
nよりも結晶化速度を高くするが、あまり多く入れる
と、オーバーライト特性が悪くなる。従って、GeMn
SbTe系を基本とし、Sn、Gaを添加して、結晶化
速度を調整できることがわかった。またさらなる検討に
より、マーク形成能及びマークの安定性を向上させるた
めに、Seを微量添加することが良いとことが分かっ
た。
【0022】ここで、記録層の膜厚は10nm〜25n
mの範囲が良く、薄すぎると、変調度、反射率が小さく
なり、厚すぎると記録感度、繰り返し記録特性が悪くな
る。
【0023】ここで、前記記録層は、昇温速度10℃/
分での結晶化温度が150℃から220℃であることが
望ましい(請求項9)。
【0024】また、前記添加元素Qが、Gaであること
が望ましい(請求項10)。Qの元素であるSn、G
a、Seの好ましい範囲は、1〜3at%である。Mn
は、3at%から7at%が好ましい。また、これらG
a、Snの量はMnよりも少ない方が良い。Seは3a
t%以下が良い。ここで、高線速化に対応する上では、
まず第一に結晶化速度を高めることであるので、これら
Qの元素のうち、Gaを添加することが最も好ましい。
Gaは結晶化速度を高める効果が最も大きいからであ
る。上述のような保護層、記録層を的確に組み合わせ、
各々の組成比を調整することにより低線速から高線速、
より具体的にはDVDの1X(3.5m/s)〜5X
(17.5m/s)において良好なオーバーライト特性
を示し、保存特性にも優れた記録媒体を形成できる。
【0025】ここで、前記反射放熱層が、Agを主要元
素として有することが望ましい(請求項11)。反射放
熱層は、反射率を確保でき、かつ熱伝導率の非常に大き
くとれる材料としてAg、またはAgを主成分とする合
金が好ましい。これによって冷却速度が大きくなり、良
好な非晶質形成を実現することができる。ここで、反射
放熱層の層厚は50nm以上250nm以下が望まし
い。反射放熱層の放熱能力は基本的には層の厚さに比例
するので、50nm未満であると、冷却速度が低下す
る。一方、250nmを越えると、材料コストの増大を
招く。なお、銀反射放熱層は保護層と接して設けられる
が、本発明における保護層は硫黄を含まないため、銀反
射放熱層が硫化しディスクに欠陥が発生するおそれがな
い。
【0026】本発明の相変化型記録媒体は、記録波長が
400〜780nmの範囲で記録再生が可能である。記
録密度を上げるために、対物レンズの開口率を0.60
以上とし、入射光のビーム径を小さくする。波長650
nm、対物レンズの開口率が0.6〜0.65の場合
は、基板の厚さを0.6mmとし、基板のトラックピッ
チは0.74μm以下、溝の深さは15nm〜60n
m、溝幅を0.2〜0.3μmとする。本記録媒体を用
いて高速、高密度で記録する場合、レーザー光をパルス
幅変調させる。発光パルスのパワーのレベルが、記録、
消去、バイアスの3つのレベルからなる。記録、消去パ
ワーは、再生パワーより高く、バイアスパワーは再生パ
ワー以下とする。バイアスパワーとは、記録パワーを照
射した後のパワーであり、溶融した相変化記録膜を急冷
し非晶質相を形成させるために必要である。具体的に
は、このような本発明の光情報記録媒体に光記録するに
は、基準クロック長さn周期に相当するアモルファスを
形成する場合、n周期の時間に(n−1)回のレーザー
パルス照射を行う。図3は、レーザパルス照射プロファ
イルを示すグラフである。例えば、図3に示す基準クロ
ック5周期相当の長さのアモルファスを形成する場合
は、4回のレーザーパルスを照射する。記録線速度8.
5m/sにおいて,基準クロック63.7MHzでの記
録の場合(DVD、2.4倍速記録)、例えば図におけ
る、(1)レーザー照射開始遅延時間は19ns、
(2)先頭パルス幅は6ns、(3)マルチパルス幅は
7ns、(4)冷却パルス幅は14.5ns、(5)記
録パワーは15mW、(6)消去パワーは8mW、
(7)冷却パワーは0.1mWにて行う。記録線速は、
容量4.7GBのDVDの場合、最大20m/s、記録
時のクロックは線密度0.267μm/bitにおい
て、最大150MHzである。記録データの変調方式は
(8,16)変調方式である。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。 (実施例1〜4)基板の溝ピッチを0.74μm、溝幅
0.25μm、溝深さ25nm、厚さ0.6mmのポリ
カーボネート製基板を用い、この上にスパッタリング方
式により各層を積層する。下部保護層は、ZnS:Si
2=80:20(mol%)のターゲットを使用し、
膜厚を70nmとした。次に、記録層として表1に示し
た組成を有する記録層を膜厚17nmでそれぞれ作製し
た。さらに上部保護層としては、表1に示した組成の、
ZrO2、Al23、MgO、およびX(XはY23
よびCeOから選ばれる少なくとも1種)からなる混合
物ターゲットを用いて、膜厚12nmで作成した。さら
に、Ag合金を膜厚160nmとして設けた。紫外線硬
化樹脂を塗布し、2μm厚として保護層とした。最後
に、膜のないもう一枚の基板を紫外線硬化樹脂で貼合わ
せて厚さ1.2mmとし、記録媒体とした。
【0028】その後、大口径LD(1μm×100μ
m)を用いて、線速3.5m/s、パワー850mWで
記録層を結晶化させた。記録再生は波長655nm、対
物レンズNA0.65のピックアップヘッドを用いて、
記録線速14m/sで記録密度が0.267μm/bi
tとなるように記録した。記録データの変調方式は
(8、16)変調方式である。記録パワーは20mW、
バイアスパワーは0.1mW、消去パワー6mWとす
る。表1に、初回および繰り返し記録1000回後のジ
ッターを示す。
【0029】
【表1】
【0030】これら記録媒体を記録後80℃、85%R
Hの環境に300時間放置しても、ジッター劣化はほと
んどなかった。
【0031】(実施例5〜8)基板の溝ピッチを0.7
4μm、溝幅0.25μm、溝深さ25nm、厚さ0.
6mmのポリカーボネート製基板を用い、この上にスパ
ッタリング方式により各層を積層する。下部保護層は、
ZnS:SiO2=80:20(mol%)のターゲッ
トを使用し、膜厚を60nmとした。次に、表2に示す
ような組成で、下部第2保護層(膜厚8nm)と、所定
の記録線速で記録可能な記録層(膜厚17nm)とを順
に成膜した。上部保護層としては、ZrO2、Al
23、MgO、およびX(XはY23、CeOから選ば
れる少なくとも1種)からなる混合物層を膜厚12nm
で成膜した(表2)。さらにAgを膜厚160nmで反
射放熱層として作成した。
【0032】
【表2】
【0033】そして、紫外線硬化樹脂を塗布し、2μm
厚として保護層とし、最後に、膜のないもう一枚の基板
を紫外線硬化樹脂で貼合わせて厚さ1.2mmとし、記
録媒体とした。
【0034】その後、大口径LD(1μm×100μ
m)を用い、線速3.5m/s、パワー850mWで記
録層を結晶化させた。記録再生は波長655nm、対物
レンズNA0.65のピックアップヘッドを用いて、記
録線速17m/sで記録密度が267μm/bitとな
るように記録した。消去パワーは6mWとした。表2
に、初回、および繰り返し記録1000回後のジッター
を示す。実施例5〜8はいずれも、1000回繰り返し
記録時のジッターは9%台であり、実施例1〜4より改
善していた。これより、下部第2保護層を設けることに
より、繰り返し記録特性を改善できることがわかる。
【0035】(比較例1〜4)比較例では、本発明によ
る実施の形態1から、本発明にかかる上部保護層と下部
第2保護層とを取り除いたものである。(上部保護層お
よび下部第2保護層は、既述のようにともに、Zr
2、Al23、MgO、およびX(XはY23および
CeOから選ばれる少なくとも1種)から選択された材
料からなっている。) 基板の溝ピッチを0.74μm、溝幅0.25μm、溝
深さ25nm、厚さ0.6mmのポリカーボネート製基
板を用い、この上にスパッタリング方式により各層を積
層する。下部保護層は、ZnS:SiO2=80:20
(mol%)のターゲットを使用し、膜厚を70nmと
した。記録層の組成は、表3に示すとおり、実施例1〜
4、実施例5〜8、および比較例1〜4がそれぞれ順に
同じ組成をなしている。そして、記録層は、所定の記録
線速で記録可能な記録層を膜厚17nmとして作製し、
実施例1〜4の記録層をそれぞれ比較例1〜4に用い
た。上部保護層はZnS:SiO2=80:20(mo
l%)混合物層を膜厚12nmで作成した。
【0036】次に、硫化防止層としてSiCを膜厚4n
mで設けた。硫化防止層を設けた後、Agを膜厚160
nmとして反射放熱層とした。さらに、紫外線硬化樹脂
を塗布し、2μm厚として保護層とした。最後に、膜の
ないもう一枚の基板を紫外線硬化樹脂で貼合わせて厚さ
1.2mmとし、記録媒体とした。その後、大口径LD
(1μm×100μm)を用い、線速3.5m/s、パ
ワー750mWで記録層を結晶化させた。記録再生は波
長655nm、対物レンズNA0.65のピックアップ
ヘッドを用いて、記録線速14m/sで記録密度が0.
267μm/bitとなるように記録した。
【0037】比較例の媒体の特性を実施例の場合と比較
した。その結果、初回記録時のジッターは実施例1〜4
は7%台だったが、比較例1〜4は9%台だった。そし
て、1000回繰り返し記録時のジッターは、実施例1
〜4では10%台に抑えられているの対して、比較例1
〜4では12%を越えており、実施例は繰り返し特性が
優れていることが確認された。
【0038】
【表3】
【0039】また、初回記録時の記録パワー依存性を評
価したところ、ジッターを10%未満とするためには、
実施例1〜4ではパワーが13mW以上であれば十分で
あったのに対して、比較例1〜4では14mW以上にす
る必要があり、実施例は感度が良いことが確認された。
またさらに、比較例においては、硫化防止層を設けるた
めに製膜装置を改造し、あらたに真空チャンバーを設け
る必要があった。このため、媒体1枚あたりの製造コス
トが上昇した。また、比較例においては、記録媒体を記
録後80℃、85%RHの環境に300時間放置したと
ころ、製造した媒体のうち1%くらいの割合で、反射面
に欠陥が生じる不良媒体が出た。
【0040】
【発明の効果】請求項1または2の発明によると、保護
層材料を限定することにより、高い線速で記録しても記
録特性が優れた相変化型記録媒体を提供することができ
る。請求項3、4の発明によると、保護層材料の組成比
を限定することにより、高い線速で記録しても記録特性
が優れた相変化型記録媒体を提供することができる。請
求項5または6の発明によると、構成する層の膜厚を限
定することにより、高密度で高い線速で記録しても、記
録特性、保存特性に優れた相変化型記録媒体を提供する
ことができる。請求項7乃至11の発明によると、相変
化記録材料を用いることにより、高い線速で記録して
も、記録特性、保存特性に優れた相変化型記録媒体を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による光記録媒体の一例を
説明する模式的断面図である。
【図2】本発明の実施の形態による光記録媒体の別例を
説明する模式的断面図である。
【図3】レーザパルス照射プロファイルを示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1……基板 2……下部保護層 3……記録層 4……上部保護層 5……反射放熱層 6……下部第2保護層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 538 G11B 7/24 538E B41M 5/26 B41M 5/26 X (72)発明者 鈴木 栄子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 出口 浩司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 譲原 肇 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H111 EA03 EA04 EA23 EA31 FA12 FA14 FA25 FB05 FB09 FB12 FB16 5D029 JA01 JC09 LA14 LB07 LB11 MA13

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に、少なくとも下部保護層
    と、非晶質相および結晶相の可逆的相変化をする記録層
    と、ZrO2、Al23、MgO、およびX(XはY2
    3およびCeOから選ばれる少なくとも1種)から選択
    された材料からなる上部保護層と、反射放熱層とが順次
    積層されてなることを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記下部保護層と前記記録層との間にさ
    らに、ZrO2、Al23、MgO、およびX(XはY2
    3およびCeOから選ばれる少なくとも1種)から選
    択された材料からなる下部第2保護層を有することを特
    徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記上部保護層は、化学式 (ZrO2a(Al23b(MgO)c(X) で表し、その割合(mol%)をa+b+c+d=10
    0とした時に、 30<a<50 30<b<50 10<c<30 0.1<d<10 であることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記上部保護層および下部第2保護層
    は、化学式 (ZrO(AI(MgO)(X) で表し、その割合(mo1%)をa+b+c+d=10
    0とした時に、 30<a<50 30<b<50 10<c<30 0.1<d<10 であることを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記上部保護層の膜厚が、4nmから2
    0nmであることを特徴とする請求項1に記載の光記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 前記下部第2保護層の膜厚が、2nmか
    ら10nmであることを特徴とする請求項2に記載の光
    記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記記録層の主要構成元素が、Ge、M
    n、Sb、およびTeであることを特徴とする請求項1
    に記載の光記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記記録層は、添加元素QとしてGa、
    Sn、Seから選択される少なくとも1つの元素を含
    み、化学式 QαGeβMnγSbδTeε で表わされ、α、β、γ、δ、εの各組成比(at%)
    が、α+β+γ+δ+ε=100とした時に、 0<α≦5 1≦β<7 0<γ≦10 65≦δ<80 15≦ε≦25 かつ、γ≧αであることを特徴とする請求項7に記載の
    光記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記記録層は、昇温速度10℃/分での
    結晶化温度が150℃から220℃であることを特徴と
    する請求項7または8に記載の光記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記添加元素Qが、Gaであることを
    特徴とする請求項8に記載の光記録媒体。
  11. 【請求項11】 前記反射放熱層が、Agを主要元素と
    して有することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒
    体。
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