JP4334783B2 - ニッケル・水素蓄電池用負極板およびその製造方法ならびにそれを用いたニッケル・水素蓄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニッケル・水素蓄電池用負極板およびその製造方法、ならびにそれを用いたニッケル・水素蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニッケル・水素蓄電池は、公害性が低く、エネルギー密度が高いという特徴を有しており、近年需要が拡大している。このニッケル・水素蓄電池は、各種のコードレス機器や、電子機器、電動工具、電気自動車などの電源に採用され、商品化されている。近年、ニッケル・水素蓄電池の用途が拡大するとともに、充放電の大電流化、高容量化、長寿命化がさらに望まれている。
【0003】
水素吸蔵合金粉末を含む負極を用いるニッケル・水素蓄電池では、充電末期または過充電時に、反応式(1)に示す反応によって酸素ガスが正極において発生する。
【0004】
(1)OH-→1/2H2O+1/4O2+e-
この反応で発生した酸素はセパレータを通過して負極に到達し、反応式(2)および反応式(3)に示す反応によって消費される。
【0005】
(2)1/2O2+H2O+2e-→2OH-
(3)MH+1/4O2→M+1/2H2O
ところが、上記の酸素ガス消費反応が速やかに行われないと、即ち、負極側における酸素ガスと水素吸蔵合金中の水素との反応が速やかに進行しないと、正極における酸素ガスの発生速度が負極における酸素ガスの消費速度を上回るため、電池の内圧が上昇することになる。そして、電池の内圧が安全弁の作動圧以上になると、安全弁が作動して電池内のガスが放出される。このとき、ガス放出と同時に電解液も電池外に放出される場合があり、電解液の不足が起こりやすくなる。その結果、電池のサイクル寿命が低下してしまうという問題がある。このような問題は、急速充電を行った場合に特に顕著となる。
【0006】
また、負極の充電受け入れ性が十分でない場合、急速充電時に負極においても反応式(4)に示すような水素ガス発生反応が生じ、電池の内圧が上昇する。
【0007】
(4)H2O+e-→OH-+1/2H2
このような電池内圧の上昇を抑制するために、負極表面にNi層を形成した負極が提案されている(特開平11−120999号公報参照)。この負極では、Niメッキによって負極の表面に略球形のNi粒子を形成している。その結果、この負極では、負極表面の導電性が向上することによって充電受け入れ性が向上し、負極自体の水素ガス発生が抑制される。また、この負極では、負極の表面付近の合金中に水素が存在しやすくなる。さらに、ニッケルは酸素ガス還元の触媒性を有し、反応式(2)に示される酸素ガス還元反応を促進させる。このようにして、酸素ガスの消費の促進、および水素ガス発生の抑制を行い、内圧の上昇を抑制する。
【0008】
また、内圧の上昇を抑制する方法として、表面に炭素粉末層を形成した負極が提案されている(特開昭63−195960号公報参照)。この負極では、負極表面の導電性が向上することによって充電受け入れ性が向上する。その結果、この負極では、負極自体の水素ガス発生が抑制されるとともに、負極の表面付近の合金中に水素が存在し易くなることになる。このようにして、酸素ガスの消費の促進、および水素ガス発生の抑制を行い、内圧の上昇を抑制する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メッキによってNi粒子を析出させる前者の負極では、Ni粒子層の連続性が不十分であり、特に、負極板の表面にある微小な亀裂の部分で不連続性が顕著となる。このため、前者の負極では、負極表面の導電性のさらなる向上が求められていた。
【0010】
また、炭素粉末層を形成する後者の負極では、炭素粉末層の導電性が前者のニッケルメッキ層の導電性より低い。このため、後者の負極では、酸素ガス消費能力および大電流充放電特性のさらなる向上が求められていた。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑み、電池の過充電時に電池の内圧が高くなりすぎることを防止できるとともに、大電流充放電特性に優れたニッケル・水素蓄電池を形成できるニッケル・水素蓄電池用負極板およびその製造方法、ならびにそれを用いたニッケル・水素蓄電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板は、導電性の支持体と、水素吸蔵合金を含み前記支持体に支持された層と、前記層の表面に直に配置されたニッケル粒子と、前記ニッケル粒子の間に配置された黒鉛粒子とを含み、前記ニッケル粒子は電気メッキにより析出されたものであり、前記黒鉛粒子は前記ニッケル粒子の上から結着剤とともに塗布されたものであり、前記黒鉛粒子の平均粒径は、ニッケル粒子の平均粒径よりも小さく、前記ニッケル粒子が略球形で且つその粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、前記黒鉛粒子の粒径が0.05μm以上2.0μm以下であることを特徴とする。この負極板によれば、電池の過充電時に電池の内圧が高くなりすぎることを防止できるとともに、大電流充放電特性に優れたニッケル・水素蓄電池を形成できる。
【0013】
上記負極板は、前記ニッケル粒子が略球形(略球形とは、球形、ほぼ球形、楕円形、鶏卵形などを含む形状である)で且つその粒径が0.1μm以上3.0μm以下である。黒鉛粒子の粒径は0.05μm〜2.0μmの範囲内である。ニッケル粒子の粒径を0.1μm以上とすることによって、ニッケル粒子の略球形のニッケル粒子を容易に製造できる。また、ニッケル粒子の粒径を3.0μm以下とすることによって、比表面積が小さくなることによるガス吸収効果の低下を防止できる。また、黒鉛粒子の粒径が0.05μmよりも小さい場合、黒鉛粒子を負極表面に固定するための結着剤の量が増えるため、水素吸蔵合金の粒子の表面に接触しにくくなって酸素ガスの吸収効果が低下する。また、黒鉛粒子の粒径が2.0μmよりも大きい場合、ニッケル粒子間または負極板表面の亀裂に黒鉛粒子が入りにくくなり、負極表面の導電性が低下する。したがって、黒鉛粒子の粒径は、0.05μm〜2.0μmの範囲内である。
【0014】
また、本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板の製造方法は、
(i)導電性の支持体上に水素吸蔵合金を含む層を形成する工程と、
(ii)前記支持体をカソードとして電気メッキを行うことによって、前記層上に直にニッケル粒子を析出させる工程と、
(iii)前記(ii)の工程を経た前記層上に黒鉛粒子を結着剤とともに塗布する工程とを含み、
前記(ii)の工程において、電流密度が100mA/cm2〜300mA/cm2の範囲内の条件で6秒間〜180秒間のあいだ電気メッキを行い、
前記黒鉛粒子の平均粒径は、ニッケル粒子の平均粒径よりも小さく、
前記ニッケル粒子が略球形で且つその粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、前記黒鉛粒子の粒径が0.05μm以上2.0μm以下であることを特徴とする。この製造方法によれば、本発明の負極板を容易に製造できる。
【0016】
また、本発明のニッケル・水素蓄電池は、正極板と負極板とセパレータと電解液とを含むニッケル・水素蓄電池であって、前記負極板が、上記本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1では、本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板について説明する。実施形態1のニッケル・水素蓄電池用負極板10(以下、負極板10という場合がある)について、断面図を図1に模式的に示す。
【0019】
負極板10は、導電性の支持体11と、水素吸蔵合金(図示せず)を含み支持体11に支持された層12と、層12の表面全体に分散して配置された略球形のニッケル粒子13と、ニッケル粒子13の間に配置された黒鉛粒子14とを含む。
【0020】
支持体11には、たとえば、NiまたはNiメッキをした鉄からなるパンチングメタルなどを用いることができる。
【0021】
層12は、水素吸蔵合金と、カーボンブラックなどの導電剤とを少なくとも含む。水素吸蔵合金としては、ニッケル・水素蓄電池に一般的に用いられる合金を用いることができ、たとえば、Mm(ミッシュメタル:希土類元素の混合物)とNiとを含む合金を用いることができる。層12の表面には、小さな亀裂12aが形成されている場合がある。層12は、実施形態2で説明する方法で形成できる。
【0022】
ニッケル粒子13は、略球形であり、粒径が3.0μm以下(好ましくは、0.1μm〜3.0μmの範囲内)である。ニッケル粒子13は、実施形態2で説明する方法で形成できる。ニッケル粒子13の量は、負極板1cm2あたり0.0001g〜0.003gの範囲内であることが好ましい。
【0023】
黒鉛粒子14には、一般に市販されている天然黒鉛や人工黒鉛などを用いることができる。黒鉛粒子14の粒径は、2.0μm以下(好ましくは、0.05μm〜2.0μmの範囲内)である。黒鉛粒子14の平均粒径は、ニッケル粒子13の平均粒径よりも小さい。黒鉛粒子14の量は、負極板1cm2あたり0.0001g〜0.002gの範囲内であることが好ましい。黒鉛粒子14は、ニッケル粒子13の粒子間にのみ存在することが好ましいが、ニッケル粒子13の表面(上)に少量存在してもよい。
【0024】
負極板10では、表面全体に略球形のニッケル粒子13を配置し、ニッケル粒子13の間に黒鉛粒子14を配置している。このため、負極板10では、極板の表面の導電性が高く、極板の表面付近の合金中に水素が存在しやすくなる。そのため、負極板10を用いることによって、負極における酸素ガスの消費反応を促進することができる。また、負極表面の導電性が向上することによって、充放電時における電流密度のムラが低減され、過充電時に負極から水素ガスが発生することを抑制できる。また、同時に、大電流充放電特性が向上する。したがって、負極板10によれば、過充電時に電池の内圧が高くなりすぎることを防止できるとともに、大電流充放電特性に優れたニッケル・水素蓄電池が得られる。
【0025】
(実施形態2)
実施形態2では、本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板の製造方法について説明する。なお、実施形態1で説明した部分と同様の部分については、同一の符号を用いて重複する説明を省略する。
【0026】
実施形態2の製造方法では、まず、導電性の支持体11上に、水素吸蔵合金を含む層12を形成する(工程(i))。層12は、水素吸蔵合金を含むペーストを支持体11上に塗布したのち、乾燥および圧延することによって形成できる。このペーストは、導電剤や増粘剤などとともに水素吸蔵合金と水とを混練することによって形成できる。
【0027】
次に、層12が形成された支持体11をメッキ液に浸漬し、支持体11をカソードとして電気メッキを行う。これにより、層12上にニッケル粒子13を析出させる(工程(ii))。メッキ液には、たとえば、硫酸ニッケルや塩化ニッケルと、ホウ酸とを含むメッキ液を用いることができる。電気メッキは、100mA/cm2〜300mA/cm2の範囲内の電流値で、6秒間〜180秒間のあいだ行うことが好ましい。このような条件で電気メッキを行うことによって、好ましい粒径のニッケル粒子を析出させることができる。
【0028】
次に、上記(ii)の工程を経た層12上に黒鉛粒子を塗布する(工程(iii))。工程(iii)は、たとえば、黒鉛粉末が分散された液体を層12上にスプレーすることによって行うことができる。黒鉛粉末が分散された液体は、黒鉛粉末の他に、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA)や、ポリビニルピロリド(PVP)や、ポリエチレンオキシド(PEO)や、スチレン−ブタジエンゴム系ポリマ(SBR)などを含むことが好ましい。最後に、得られた極板を必要に応じて乾燥したり切断したりすることによって、負極板を得る。
【0029】
実施形態2の製造方法によれば、実施形態1で説明した負極板10を容易に製造できる。
【0030】
(実施形態3)
実施形態3では、本発明のニッケル・水素蓄電池について説明する。実施形態3のニッケル・水素蓄電池20について、一部分解斜視図を図2に示す。
【0031】
ニッケル・水素蓄電池20は、ケース21と、ケース21内に封入された正極板22、負極板23、電解液(図示せず)、および正極板22と負極板23との間に配置されたセパレータ24と、安全弁を備える封口板25とを備える。
【0032】
負極板23には、実施形態1の負極板10や実施形態2の製造方法で製造される負極板を用いることができる。上記ケース21、正極板22、セパレータ24、および電解液には、アルカリ蓄電池に一般的に用いられているものを用いることができる。たとえば、正極板22には、水酸化ニッケルを活物質の主成分とする正極を用いることができる。セパレータ24には、スルホン化したポリプロピレン不織布などを用いることができる。また、電解液には、水酸化カリウムを主な溶質とした比重が1.3程度の電解液を用いることができる。
【0033】
ニッケル・水素蓄電池20は、本発明の負極板を用いているため、電池の過充電時に電池の内圧が高くなりすぎることを防止できるとともに、大電流充放電特性に優れている。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
(実施例1)
実施例1では、実施形態2の製造方法で実施形態1の負極板を製造した一例、およびそれを用いてニッケル・水素蓄電池を製造した一例について説明する。
【0036】
負極板は以下のようにして作製した。まず、組成がMmNi3.55Co0.75Mn0.4Al0.3で表される水素吸蔵合金を用意し、この水素吸蔵合金をボールミルで粉砕して平均粒径24μmの粉末を得た。その後、この水素吸蔵合金の粉末100質量部(重量部)と、増粘剤として機能するカルボキシメチルセルロース0.15質量部と、導電剤として機能するカーボンブラック0.3質量部と、結着剤として機能するスチレン−ブタジエン共重合体0.8重量部とを、分散媒である水と混合してペーストを作製した。このペーストを、支持体であるパンチングメタルに塗着し、乾燥および圧延を行い、厚さが0.33mmの極板(以後、ベース極板という場合がある)を作製した。
【0037】
次に、硫酸ニッケルや塩化ニッケルを溶質とするメッキ液と、ニッケル板からなる対極とを用いてベース極板に電気メッキ(ニッケルメッキ)を行った。このとき、析出する略球形のニッケル粒子の粒径が0.5μm〜1.5μmの範囲内で平均粒径が1.0μmになるように、且つ、ベース極板1cm2あたり0.001g析出するように、メッキ液の温度が30℃、pHが4.0、電流密度が100mA/cm2の条件で60秒間メッキを行った。その後、得られた極板を水洗し、80℃の温度で乾燥させることによってニッケルメッキされたベース極板(以後、ニッケルメッキ極板という場合がある)を得た。
【0038】
次に、粒径が0.2μm〜1.1μmの範囲内であり平均粒径が0.8μmの天然黒鉛粉末と、結着剤として機能するポリビニルアルコールとに、分散剤である水を添加してスラリーを作製した。そして、このスラリーをニッケルメッキ極板の両面に、極板1cm2あたり黒鉛粒子が0.0005gになるようにスプレーで吹き付けた。その後、乾燥し、幅3.5cm、長さ31cmに切断することによって本発明の負極板(以後、負極板Aという場合がある)を作製した。負極板Aの断面図は、図1に模式的に示されるような状態であった。SEM写真によって負極板Aの表面に析出したニッケル粒子の形状を確認したところ、Ni粒子は略球形になっていた。
【0039】
次に、負極板Aを用いてニッケル・水素蓄電池を作製した。まず、負極板Aを、正極およびセパレータと組み合わせて渦巻き状に巻回させて電極群を構成し、正極および負極の集電体を所定の場所に付け、SCサイズの電池ケースに収納した。ここで、正極板には、公知のペースト式ニッケル正極板(幅3.5cm、長さ26cm、厚さ0.57mm)を用いた。セパレータには、親水基を付与したポリプロピレン製不織布を用いた。電解液には、比重1.30の水酸化カリウム水溶液に40g/Lの割合で水酸化リチウムを溶解した電解液を用いた。
【0040】
電極群をケースに収納したのち、ケースの上部を封口板で密閉し、公称容量3000mAhの本発明のニッケル・水素蓄電池(以後、電池Aという場合がある)を作製した。
【0041】
(比較例1)
比較例1では、負極板のみが電池Aとは異なるニッケル・水素蓄電池(以後、電池Bという場合がある)を作製した。具体的には、負極板として、実施例1で説明したニッケルメッキ極板(黒鉛粒子を吹き付ける前の極板)を用いた。このニッケルメッキ極板の断面図を図3(a)に模式的に示す。図3(a)のニッケルメッキ極板は、支持体11と、層12と、層12上に配置されたニッケル粒子13とを備える。層12には、微小な亀裂12aが存在している。
【0042】
(比較例2)
比較例2では、負極板のみが電池Aとは異なるニッケル・水素蓄電池(以後、電池Cという場合がある)を作製した。具体的には、負極板として、実施例1で説明したベース極板に実施例1で説明した方法で黒鉛粒子を吹き付けた極板(ニッケルメッキしていない極板)を用いた。この負極板の断面図を図3(b)に模式的に示す。図3(b)の負極板は、支持体11と、層12と、層12上に配置された黒鉛粒子14とを備える。層12には、微小な亀裂12aが存在している。
【0043】
(電池の特性評価)
次に、上述した電池A、B、およびCについて、電池組み立て後に25℃で一日放置した。その後、20℃において300mAで15時間充電したのち、電池の端子電圧が1.0Vになるまで600mAで放電する充放電を1サイクルとし、この充放電を2サイクル行った。このようにして、電池A、B、およびCの初期活性化を行った。これらの電池について、過充電時の内圧特性および大電流放電特性を評価した。
【0044】
過充電時の内圧特性については、20℃において3000mAの電流で1.2時間充電して、電池内圧を測定することによって評価した。また、大電流放電特性については、以下の方法で評価した。まず、20℃において3000mAで1.2時間充電し、電池の端子電圧が1.0Vになるまで3000mAで放電する充放電サイクルを10サイクル行った。その後、20℃において3000mAで1.2時間充電した後、電池の端子電圧が0.8Vになるまで大電流(30A)で放電を行った。この大電流放電時の平均放電電圧を求めた。また、20℃において3000mAで1.2時間充電した後、600mAで電池電圧が1.0Vになるまで放電したときの放電容量を100%とし、これに対する大電流放電時の放電容量比率を求めた。過充電時の電池の内圧、大電流放電時の放電容量比率、および大電流放電時の平均放電電圧の結果を、表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
表1から明らかなように、実施例1の電池Aは、比較例1の電池Bおよび比較例2の電池Cに比べて、過充電時における電池の内部圧力の上昇が抑制されていた。また、電池Aは、電池BおよびCに比べて、大電流放電時の放電容量比率と放電電圧が格段に高かった。
【0047】
電池Aの特性が高いのは、実施の形態で説明した効果に基づくものである。これに対して、比較例1の電池Bは、内圧上昇の抑制効果はあるが、略球形のニッケル粒子層は不連続性があって特に負極板表面にある微小な亀裂のところの不連続性が顕著となるため、負極表面の導電性が不十分である。そのため、大電流充放電特性が十分ではなかった。また、比較例2の電池Cは、負極表面に黒鉛粉末層を形成することによって負極表面の導電性を向上させることができるが、黒鉛粉末層はニッケルメッキ層より導電性が劣っているため、十分な酸素ガス消費能力が得られず、大電流充放電特性が十分ではなかった。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について例を挙げて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されず本発明の技術的思想に基づき他の実施形態に適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板およびその製造方法によれば、電池の過充電時に電池の内圧が高くなりすぎることを防止できるとともに、大電流充放電特性に優れたニッケル・水素蓄電池を形成できるニッケル・水素蓄電池用負極板が得られる。
【0050】
また、本発明のニッケル・水素蓄電池によれば、電池の過充電時に電池の内圧が高くなりすぎることを防止できるとともに、大電流充放電特性に優れたニッケル・水素蓄電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のニッケル・水素蓄電池用負極板について一例を示す模式断面図である。
【図2】 本発明のニッケル・水素蓄電池について一例を示す一部分解斜視図である。
【図3】 比較例の負極板について(a)一例および(b)他の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
10 ニッケル・水素蓄電池用負極板
11 支持体
12 層
12a 亀裂
13 ニッケル粒子
14 黒鉛粒子
20 ニッケル・水素蓄電池
21 ケース
22 正極板
23 負極板
24 セパレータ
25 封口体
Claims (3)
- 導電性の支持体と、水素吸蔵合金を含み前記支持体に支持された層と、前記層の表面に直に配置されたニッケル粒子と、前記ニッケル粒子の間に配置された黒鉛粒子とを含み、
前記ニッケル粒子は電気メッキにより析出されたものであり、前記黒鉛粒子は前記ニッケル粒子の上から結着剤とともに塗布されたものであり、
前記黒鉛粒子の平均粒径は、ニッケル粒子の平均粒径よりも小さく、
前記ニッケル粒子が略球形で且つその粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、前記黒鉛粒子の粒径が0.05μm以上2.0μm以下であることを特徴とするニッケル・水素蓄電池用負極板。 - ニッケル・水素蓄電池用負極板の製造方法であって、
(i)導電性の支持体上に水素吸蔵合金を含む層を形成する工程と、
(ii)前記支持体をカソードとして電気メッキを行うことによって、前記層上に直にニッケル粒子を析出させる工程と、
(iii)前記(ii)の工程を経た前記層上に黒鉛粒子を結着剤とともに塗布する工程とを含み、
前記(ii)の工程において、電流密度が100mA/cm2〜300mA/cm2の範囲内の条件で6秒間〜180秒間のあいだ電気メッキを行い、
前記黒鉛粒子の平均粒径は、ニッケル粒子の平均粒径よりも小さく、
前記ニッケル粒子が略球形で且つその粒径が0.1μm以上3.0μm以下であり、前記黒鉛粒子の粒径が0.05μm以上2.0μm以下であることを特徴とするニッケル・水素蓄電池用負極板の製造方法。 - 正極板と負極板とセパレータと電解液とを含むニッケル・水素蓄電池であって、
前記負極板が、請求項1に記載のニッケル・水素蓄電池用負極板であることを特徴とするニッケル・水素蓄電池。
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