JP4331726B2 - 剣道用籠手 - Google Patents
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Description
そして、上記手の内部cは、人の手指と竹刀等との間にあって競技中や練習中に常時大きな摩擦を受けて擦り切れ易く、また、籠手頭布団部aと手の内部cとの縫着部分には手の内部cを握って分厚い籠手頭布団部aをその握りに追従させるために比較的強い引っ張り力が作用し、また、竹刀等を握った際に手の内部cに多数の皺ができて握りづらく、この握り難さから派生して竹刀等の操作もしずらくなり、しかも、激しい競技や稽古による汗が染み込み、籠手全体の中で最も消耗し、また、破損し易く、しかも、腐食や悪臭の発生原因になり易く、張替え等の比較的費用と手間のかかる修理を要する部分になっている。
そこで、このような問題を解決するものとして、籠手筒の先端に籠手頭の緩衝材のみを回転及び折曲げ自在に連結し、籠手頭の緩衝材に別体に形成した籠手頭カバーを着脱自在に被着させ、籠手頭カバーの後端側に籠手筒の一部を覆う延長部を形成してなる剣道用籠手が提案されている(実公昭56−36,531号公報参照)。
しかしながら、この剣道用籠手においては、籠手頭カバーを籠手頭の緩衝材に固定する手段がないので、使用時に籠手頭カバー内で緩衝材がずれて手指が竹刀等で打たれる虞がある。
また、手の内側に位置する手の内部材と手の甲側に位置する籠手布団部材にはそれぞれその周縁部にスライドファスナの各エレメントを取り付け、このスライドファスナにより籠手布団部材の内側に手の内部材を着脱可能に取り付けた剣道用籠手(実開平2−116,481号及び実開平3−80,767号の各公報参照)や、上記の手の内部材を手袋状に形成した剣道用籠手(実公平7−6,926号及び実開平7−33,380号の各公報参照)が提案されている。
しかしながら、これらの剣道用籠手においては、籠手布団部材と手の内部材とがその周縁部でのみ取り付けられているので、競技や稽古中に相手との激しい衝突や竹刀等による打突等の衝撃によってスライドファスナ等の取着手段が破損して籠手布団部材と手の内部材との間が分離したり、あるいは、竹刀等を握るために分厚い籠手頭布団部を引き付けた際に指先が硬いスライドファスナ等の取着手段に強く接し、その上から竹刀等によって打突されて怪我をする虞がある等、必ずしも安全であるとはいえない。
また、本発明者は、上記の検討を進める中で、手の内部材の手平部に所定の縮寸加工を施すことにより、竹刀等を握った際に手平部に皺ができるのを防止することができ、これによって極めて竹刀等を握り易くなることを見い出し、本発明を完成した。
更に、本発明者は、上記の検討を進める中で、手袋状に形成した手の内部材の四指挿入部の先端を籠手頭布団部の四指保護部の先端より内側に設定することにより、使用時に指先が四指保護部の先端より内側に位置し、指先の怪我をより確実に未然に防止できることを見い出し、本発明を完成した。
更にまた、本発明者は、上記の検討を進める中で、手袋状に形成した手の内部材の手甲部に籠手筒布団部の内側にまで延びる延長前腕部を形成することにより、競技又は稽古中に前腕からの汗を吸収できると共にこの籠手筒布団部の衝撃緩和効果をより一層高めることができることを見い出し、本発明を完成した。
そして、本発明者は、上記の検討を進める中で、取着手段としてスライドファスナを用いた場合、籠手布団部材と手の内部材との間に上記スライドファスナの始端及び/又は終端を保護するファスナ保護帯を設けることにより、単に打突等による衝撃からこのスライドファスナの最も損傷し易い始端及び/又は終端を保護できるだけでなく、使用中に誤ってスライダーが移動する等の問題も解決でき、使用者の保護にもなることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、最も消耗・破損し易く、また、腐食や悪臭の発生原因になり易くて修理の負担となっている手の内部を着脱可能にし、これによって修理費を軽減できると共に洗浄により腐食や悪臭の発生を防止できるだけでなく、競技中や稽古中に相手との激しい衝突や竹刀等による打突等の衝撃が作用しても、籠手布団部材と手の内部材との間が分離するのを防止して手指を完全に保護することができる安全な剣道用籠手を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、籠手布団部材、手の内部材及びこれらの間を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、より安全でより使い勝手の良い剣道用籠手を提供することにある。
すなわち、本発明は、前腕を保護する籠手筒布団部と先端に親指保護部及び四指保護部を有して手首より先の部分を保護する籠手頭布団部とを継ぎ合わせてなる籠手布団部材と、この籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部に着脱可能に取り付けられる手の内部材と、上記籠手布団部材に手の内部材を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、上記手の内部材には、上記籠手頭布団部の親指保護部及び/又は四指保護部の少なくとも先端部に係止し、使用時に上記籠手布団部材と手の内部材との間が分離するのを防止する分離防止手段が設けられていることを特徴とする剣道用籠手である。
また、本発明は、手の内部材の手平部に所定の縮寸加工を施すこと、手袋状に形成した手の内部材の四指挿入部の先端を籠手頭布団部の四指保護部の先端より内側に設定すること、手袋状に形成した手の内部材の手甲部に籠手筒布団部の内側にまで延びる延長前腕部を形成すること、あるいは、取着手段としてスライドファスナを用いた場合、籠手布団部材と手の内部材との間に上記スライドファスナの始端及び/又は終端を保護するファスナ保護帯を設けること、にそれぞれ特徴を有する剣道用籠手である。
本発明において、上記手の内部材は、使用者が竹刀等を握った際に使用者の手の平と竹刀等との間に位置して使用者の手の平を保護したり、あるいは、滑り止めとしての機能を発揮する手平部のみで構成されていてもよく、また、この手の平側に位置する手平部に、手の甲側に位置する手甲部を縫着等の手段で取り付け、これら手平部と手甲部とによって親指が挿入される親指挿入部と親指以外の四指が挿入される四指挿入部とを有する手袋状に形成されていてもよく、吸汗性等の観点から、好ましくは手袋状に形成されているのがよい。そして、この手の内部材の手平部は鹿革やフェルト、人工皮革等の強靭な吸湿性に優れた材質で形成され、また、手の内部材を手袋状に形成する場合、その手甲部は織布、不織布、フェルト等の比較的強靭で柔軟性や吸湿性に優れた材質で形成される。
また、上記手の内部材に設けられる分離防止手段については、その一端が手の内部材に固定され、他端が籠手頭布団部の親指保護部及び/又は四指保護部の少なくとも先端部に着脱可能に係止し、使用時には取着手段により互いに着脱可能に取り付けられた籠手布団部材と手の内部材との間が分離するのを確実に防止できるものであればよく、例えば、親指保護部及び/又は四指保護部の少なくとも先端部を被覆する被覆部に形成されたり、単に帯状や紐状等に形成されたり、また、これらを組み合せて形成されてもよいが、籠手頭布団部の親指保護部及び/又は四指保護部の先端部を保護するという観点からは、好ましくはこれらの先端部を被覆する被覆部に形成されているのがよい。
そして、この手の内部材に設けられる被覆部(分離防止手段)については、それが上記籠手頭布団部の親指保護部及び/又は四指保護部、好ましくは親指保護部及び四指保護部の少なくとも先端部をそれぞれ被覆することができれば、どのように形成されていてもよく、例えば、上記籠手頭布団部の親指保護部や四指保護部の先端部のみが嵌合される比較的小さな袋状に形成されてもよいほか、親指保護部や四指保護部の略全体が嵌合される比較的大きな袋状に形成されてもよく、またこの際に、親指保護部や四指保護部の先端部が嵌合される部分を残して切込みが設けられてもよく、更には、親指保護部や四指保護部の少なくとも先端部において互いに重なり合う複数の取着帯片で構成してこれらの取着帯片を互いに重ね合せ状に籠手布団部材側に固着するように形成されていてもよい。
更に、この手の内部材に設けられた各被覆部とこれら各被覆部内に収容される籠手布団部材の籠手頭布団部の親指保護部や四指保護部の先端部との間に、これらの間を着脱可能に固定する、例えばベルベットファスナ、ホック、ボタン、ファスナー等の止着手段を設けてもよく、これによって親指保護部や四指保護部の先端部を収容した各被覆部の開口端を確実に閉塞させることができ、この開口端から被覆部内に竹刀等の先端が引っ掛かって不慮の事故が発生するような事態を未然に防止することができる。
更にまた、上記手の内部材の少なくともその四指が位置する四指部分の先端(手の内部材が手袋状に形成されている場合にはその四指挿入部の先端)が上記籠手頭布団部の四指保護部の先端より内側に位置するように形成するのがよく、これによって、使用時に籠手内に手指を挿入して竹刀等を握った際に、指先が籠手頭布団部の四指保護部の先端より内側に位置して籠手頭布団の四指保護部の先端より先に出っ張るのを防止し、指先の怪我を未然に防止できるようになっている。この点は、勿論、親指以外の四指側だけでなく、親指側に対して適用してもよい。
また、手の内部材が手袋状に形成されている場合、好ましくは、手の内部材の親指挿入部及び四指挿入部の各手甲部側と、これら親指挿入部及び四指挿入部を覆う籠手布団部材の籠手頭布団部に設けられた親指保護部及び四指保護部との間に、少なくともこれらの間の一部を着脱可能に固定する、例えばベルベットファスナ、ホック、ボタン、ファスナー等の止着手段を設けてもよく、これによって、手の内部材側の親指挿入部及び四指挿入部と籠手布団部材側の親指保護部及び四指保護部との間をより強固に固着することができ、手の動きに籠手布団部材側の親指保護部及び四指保護部がよく追従して手の内部材と籠手布団部材との一体感が生じる。
また、手の内部材が手袋状である場合、その四指挿入部に、この四指挿入部に挿入される四指の内の任意の指を他の指から分離させて挿入させる隔壁部を設けてもよく、これによって、各指が他の指の干渉を受けずに自由に動くことができ、特に最も力が弱いにも拘わらず確りした握り強さを求められる小指の動きを容易にすることができ、竹刀の握りの強さや操作が容易になる。
更に、手の内部材が手袋状に形成されている場合、その手甲部に、この手甲部と同じ若しくは異なる吸湿性のよい布地等や、これらの布地等とフェルト、スポンジ等の緩衝材との組合せ等で形成され、籠手布団部材の籠手筒布団部の内側の適当な位置まで(例えば、手首部を覆う位置まで、前腕中間部分を覆う位置まで、あるいは、前腕全体を覆う位置まで等)、好ましくは前腕全体を覆う肘側末端にまで延びる延長前腕部を設けるのがよく(なお、以下の説明では、実施例も含めて、特に断らない限り、延長前腕部といえばこの「前腕全体を覆う肘側末端にまで延びる延長前腕部」をいう。)、これによって、競技又は稽古中に前腕からの汗を吸収でき、また、籠手筒布団部における衝撃緩和効果をより一層向上させることができ、更に、籠手装着時の挿入が容易で痛くないほか、手袋状本体部と共に籠手筒布団部から取り外して洗濯することにより容易に清浄化でき、籠手筒布団部を長期に亘って清潔に保つことができる。この延長前腕部については、手甲部と異なる素材で別体に形成して縫着してもよいほか、同じ素材で一体に形成してもよく、また、別体に形成した場合には手甲部と延長前腕部との間をベルベットファスナ等の適当な手段で着脱可能に取り付けてもよい。また、この延長前腕部の大きさや形状についても特に制限されるものではなく、例えば幅方向の大きさについては、籠手筒布団部の幅方向全長に亘って存在するものであっても、また、幅方向一部にのみ存在するものであっても、更に、籠手筒布団部の幅方向を超えて存在し、使用時には前腕部に巻き付けるようにして使用するものであってもよい。更にまた、このように手袋状に形成された手の内部材の手甲部に延長前腕部を設けた際には、好ましくは、籠手筒布団部内側とこの延長前腕部との間を着脱可能な、例えばベルベットファスナ、ホック、ボタン、ファスナー等の止着手段で固着するのがよい。
更に、手の内部材には、その手甲部や延長前腕部に、更には手甲部と延長前腕部との繋ぎ目部分(手首が位置する部分)等に衝撃緩衝性に優れたフェルト、スポンジ等の帯状の打突緩衝材を設けてもよく、また、この際に必要によりこの打突緩衝材を着脱可能に設けてもよく、これによって、例えば剣道の指導者が初心者に指南する際にあえて連続的に籠手を打たせる場合でも、指導者の手首が痛むのを確実に防止することができる。なお、この打突緩衝材を設ける場所については、手甲部、延長前腕部及びこれらの繋ぎ目部分のうちの何れか1箇所に又は2箇所に更には全ての箇所に、それぞれ個別にあるいは連続させて設けてもよいが、剣道の決り手である籠手等により打撃を受け易い場所が特に右手の手首の部分に集中しているので、右手側のみに設けてもよく、更には、鍔迫り合い等で衝撃を受ける右手の四指付け根部分の周辺にのみ設けてもよい。更に、この打突緩衝材については、籠手筒布団部の内側に位置するように、手の内部材の手甲部に取り付けてもよい。
また、本発明においては、上記手の内部材の手の平側に位置する手平部には、好ましくは、少なくとも四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法を縮小する縮寸加工を施すのがよく、これによって、竹刀等を握った際に生じる手平部の皺の発生を可及的に抑制することができ、極めて竹刀等を握り易くなり、更に皺が介在しないことから各指先が自由に動き易くなって素手で握った感触により近くなり、稽古中や試合中に、疲労による握力の低下から竹刀等を握る四指や親指が緩んだり、誤って竹刀等を落とすようなことが少なくなる。この縮寸加工については、好ましくは、四指側だけでなく親指側についても同様に施すのが望ましい。
上記の縮寸加工については、例えば、手の内部材の手平部を構成する前の人工皮革や鹿革等の素材から切り出された掌部材において、少なくともその四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法が縮寸加工前の長さ寸法より短く縮小することができればよく、具体的には、以下に示す切込・接合加工、切欠・接合加工、切離・接合加工、切離・重合加工等の加工方法を例示することができる。
上記の切込・接合加工は、手平部となる掌部材に、その四指部分あるいはこの四指部分及び親指部分に、その略幅方向に延びる必要な長さ及び形状の切込みを必要な数だけ(1箇所又は2箇所以上、好ましくは1〜3箇所)設け、この切込みにより形成された切込み端縁部を互いに重ね合わせて接合する方法である。
また、上記の切欠・接合加工は、上記掌部材の四指部分あるいはこの四指部分及び親指部分に、その略幅方向に延びる必要な長さ及び形状の切欠きを必要な数だけ(1箇所又は2箇所以上、好ましくは1〜3箇所)設け、この切欠きにより形成された切欠き端縁部を互いに重ね合わせて接合する方法である。
更に、上記の切離・接合加工には、上記掌部材の四指部分あるいはこの四指部分及び親指部分に、その略幅方向に延びる必要な数(1箇所又は2箇所以上、好ましくは1〜3箇所)の切離し線を入れて複数の切離し片を形成し、これら各切離し片の切離し端縁部に互いに接合されて縮寸可能な形状(例えば、互いに略同じ大きさの略円弧状、略山形状、略台形状、略矩形状等の形状)に切り欠き、次いでこの切欠きにより新たに形成された縮寸可能な形状の各接合端縁部を互いに重ね合わせて接合する方法や、あるいは、互いに接合される端縁部には互いに接合されて縮寸可能な形状の接合端縁部を有し、かつ、手平部となる掌部材を構成する複数の切離し片を、打抜きや切出し等の単一操作の切離手段で素材から切り出し、次いで各切離し片に形成された縮寸可能な形状の接合端縁部を互いに接合する方法がある。
更にまた、上記の切離・重合加工は、上記掌部材の四指部分あるいはこの四指部分及び親指部分に、その略幅方向に延びる必要な数(1箇所又は2箇所以上、好ましくは1〜3箇所)の切離し線を入れて複数の切離し片を形成し、各切離し片の切離し端縁部をその両端部が狭くて中央部が広くなるように三日月状に重ね合わせて接合する方法である。
そして、上記縮寸加工において行われる接合手段としては、例えば、添え布や添え皮等を裏打ちして、若しくは、このような裏打ちを行うことなく直接に重ね合せて行う縫着等を挙げることができ、また、この接合手段が適用される縫着部分に予め軟質で耐水性のある適宜な接着剤により接着させておくことにより、この縫着部分に一枚ものと同様の強度と耐久性を付与することができ、また、次の縫着作業の作業性が著しく向上する。更に、縮寸加工に切離加工が伴う場合には、必要により一部の切離し片の厚さや素材を変更して組み合わせること、例えば手平部の部位に応じて厚さの異なる人工皮革等の同じ素材を組み合せたり、手平部の部位に応じて人工皮革と鹿皮等の異なる素材を組み合わせることにより、より手に馴染み易い手平部を形成することができる。また、上記の縮寸加工において、その切込・接合加工、切欠・接合加工、切離・接合加工あるいは切離・重合加工で形成される掌部材についても、これら掌部材やこれらの掌部材に施される切込み、切欠き等の加工も含めて、例えば素材である鹿皮や人工皮革等から打抜き等の単一操作の切離手段で容易に形成することができる。
この手平部に施される縮寸加工により、手の内部材の手平部周縁の長さ寸法とこの手の内部材が着脱可能に取り付けられる籠手布団部材の籠手頭布団部の周縁の長さ寸法とを略同じ大きさに設計しても、竹刀等を握った際に手平部に皺ができるのを容易に防止することができ、逆に言えば、竹刀等を握った際に手平部に皺ができないように籠手頭布団部と手平部とを形成しつつ、これら籠手頭布団部と手平部の周縁の長さ寸法を略同じ長さにすることができ、籠手布団部材に手の内部材を着脱可能に取り付けるための取着手段の取付が容易になる。特に、取着手段がスライドファスナである場合、その一方のエレメントAが籠手頭布団部の周縁部に取り付けられ、また、他方のエレメントBが手平部の周縁部に取り付けられるが、その際の取付作業が極めて容易になる。
そして、手の内部材を籠手布団部材に着脱可能に取り付ける取着手段については、手の内部材を籠手布団部材の所定の位置に確実に固着できるものであればよく、例えば、籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部の周縁部に取り付けられた一方のエレメントAと、手の内部材の周縁部に取り付けられた他方のエレメントBと、これらエレメントAとエレメントBとの間を開閉するスライダーとを有するスライドファスナを始めとして、籠手頭布団部の親指保護部及び四指保護部の各付け根付近と手首部分を覆って保護する籠手頭布団部と籠手筒布団部との継ぎ目付近とをそれぞれその手の平側から手の甲側に向けて包み込むように覆いながら適当な止着手段(ベルベットファスナ、ホック、ボタン、バックル等)で固定できるように形成された鹿革製、フェルト製、ゴム製、織布製、不織布製、人工皮革製等の丈夫な取着帯片や、その他のベルト、バンド等を挙げることができる。
この取着手段として、安全性や外観、経済性等の観点から、好ましくはスライドファスナであり、より好ましくは合成樹脂製のスライドファスナであり、特に好ましくは、その各エレメントA及びBが熱可塑性樹脂でコイル状に形成されたファスナーエレメントとこのファスナーエレメントが片面側縁部長手方向に沿って取り付けられたファスナーテープとで構成された連続スライドファスナ(例えば、特開2003−47,506号公報参照)である。そして、このような連続スライドファスナを用いる場合、好ましくは各ファスナーエレメントの取付面とは反対側の面が表面側になるように各ファスナーテープを介して籠手布団部材と手の内部材との間に取り付けるのがよく、これによって竹刀等の打突等の衝撃に対して比較的弱い各ファスナーエレメントが各ファスナーテープの裏側に隠れて保護されるだけでなく、外観的にも好ましいものとなる。
ここで、取着手段としてスライドファスナを用いる場合、その籠手布団部材側のエレメントAは籠手布団部材の最外周縁端より内側に取り付けるのがよく、これによってスライドファスナを竹刀等の打撃による衝撃から保護することができる。また、上記分離防止手段が被覆部である場合、好ましくはこの被覆部が籠手頭布団部の親指保護部及び四指保護部の親指及び四指の第二間接より前の部分に、より好ましくは第一間接より前の部分に位置するスライドファスナを被覆するように形成するのが望ましく、これによってスライドファスナを竹刀等の打撃による衝撃からより確実に保護することができる。
また、取着手段としてスライドファスナを用いる場合には、籠手布団部材又は手の内部材には、少なくともその四指が位置する四指部分の先端部に、使用時に使用者の指先が周縁部に取り付けられた比較的硬いスライドファスナに直接的に接触するのを防止する指先緩衝帯を設けるのがよく、これによって四指の先端をより確実に保護することができる。
更に、取着手段がスライドファスナであって手の内部材に延長前腕部が設けられている場合には、このスライドファスナの始端(スライドファスナ閉時にスライダーが存在しない側の端部)及び/又は終端(スライドファスナ閉時にスライダーが存在する側の端部)を上記籠手布団部材の籠手頭布団部の親指側及び/又は小指側の付け根から籠手筒布団部の内側に延びる延長前腕部の親指側及び/又は小指側の中間位置又は末端位置、好ましくは末端位置まで延ばし、これによって手の内部材を籠手布団部材側に取着した際に同時に手の内部材の延長前腕部まで取着できるようにしてもよい。
更にまた、取着手段としてのスライドファスナは、好ましくはその始端側が籠手頭布団部の親指側付け根(延長前腕部の肘側まで延設する場合にはその親指側で肘側末端)に位置し、その終端側が小指側付け根(延長前腕部の肘側まで延設する場合にはその小指側で肘側末端)に位置するように取り付けるのがよく、これによって最も損傷し易いスライドファスナのスライダーが使用時に打突等により損傷したり、使用中に勝手に移動したり、使用の邪魔になるのを可及的に防止することができる。
また、取着手段がスライドファスナである場合、スライドファスナの始端及び/又は終端、特にスライドファスナ閉時にスライダーが位置する終端については、好ましくは、一端が籠手布団部材及び手の内部材のいずれか一方に固定されていると共に他端が他方に着脱可能に固着され、使用時に少なくともスライドファスナの始端及び/又は終端を保護するファスナ保護帯を設けるのがよく、スライドファスナにおいて損傷し易いその始端及び/又は終端、特に最も損傷し易い終端やスライダーをより確実に保護できると共に、使用中に誤ってスライダーが移動することもなくなり、使用者の保護にもなる。
更に、取着手段がスライドファスナであって、使用時にこのスライドファスナの各エレメントA及びB、特にそのファスナーエレメントの一部又は全部が籠手の表面側に露出する場合、一端が籠手布団部材及び手の内部材のいずれか一方に固定されていると共に他端が他方に向けて延設され、使用時に少なくとも各エレメントA及びBの表面側露出部分をその表面側から被覆して保護する帯状ファスナ保護帯を設けて各エレメントA及びBの表面側露出部分を保護するのがよく、また、スライドファスナの始端側及び/又は終端側が延長前腕部の肘側まで延設されている場合には、この延長前腕部に位置するスライドファスナの部分全体を帯状ファスナ保護帯で保護するようにし、これによって使用時にスライドファスナを保護するだけでなく、このスライドファスナから使用者の前腕部を保護するようにしてもよい。
なお、本発明においては、籠手布団部材には、その手の平側の内面、好ましくはその全面に防水処理を施し、競技又は稽古中に使用者等の汗が籠手布団部材に吸収されるのを防止するようにしてもよい。この防水処理としては、例えば、籠手布団部材の手の平側を形成する布地に防水フィルムを熱融着(ラミネート)したり、防水コーティングをしたり、別の防水性布地を貼着する等の適当な方法を採用することができる。この籠手布団部材の手の平側の防水処理と本発明の手の内部材、特に手袋状に形成された手の内部材の手甲部やこの手甲部に延設された延長前腕部とを組み合わせることにより、使用者等からの汗を着脱可能で容易に洗濯できる手の内部材により略完全に吸収し、また、籠手布団部材に吸収されるのを防止できるので、剣道用籠手に汗が残って腐食や悪臭の発生原因になるのを可及的に防止することができる。
本発明によれば、最も消耗・破損し易く、また、腐食や悪臭の発生原因になり易くて修理の負担となっている手の内部を着脱可能にし、これによって修理費を軽減できる(修理費の軽減)と共に洗浄により腐食や悪臭の発生を防止できる(悪臭等の発生防止)だけでなく、競技や稽古中に相手との激しい衝突や竹刀等による打突等の衝撃が作用しても、取着手段を確実に保護できる(取着手段の保護)と共に、使用者の手指を完全に保護する(安全性の向上)ことができる安全な剣道用籠手を提供することができる。
また、本発明によれば、籠手布団部材、手の内部材及びこれらの間を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、竹刀等を握った際に手平部に皺ができるのを防止して握り易くなる、使用時に指先が四指保護部の先端より内側に位置して指先の怪我をより確実に未然に防止できる、使用中に前腕からの汗を吸収できると共にこの籠手筒布団部の衝撃緩和効果をより一層高める、又は、取着手段としてのスライドファスナの最も損傷し易い始端及び/又は終端を保護すると共に使用中のスライダーの移動を防止して使用者を保護する等の効果を有し、より安全でより使い勝手の良い剣道用籠手を提供することができる。
図2は、図1の剣道用籠手を示す手の平側からみた平面説明図である。
図3は、図1の剣道用籠手の籠手布団部材を示す手の甲側からみた平面説明図である。
図4は、図1の剣道用籠手の籠手布団部材を示す手の平側からみた平面説明図である。
図5は、図1の剣道用籠手の手の内部材を示す手の甲側からみた平面説明図である。
図6は、図1の剣道用籠手の手の内部材を示す手の平側からみた平面説明図である。
図7は、図1の剣道用籠手で取着手段として用いた連続スライドファスナの表面側を示す平面説明図である。
図8は、図7の連続スライドファスナの裏面側を示す平面説明図である。
図9は、図1の手の内部材における四指挿入部の先端部とその手甲部の手の甲側に設けられた被覆部の先端部とを拡大して示す部分拡大断面説明図である。
図10は、図6に示す手の内部材の手平部を製造するための掌部材を構成する3個の切離し片を示す平面説明図である。
図11は、図10に示す3個の切離し片からなる掌部材を用いて形成された手平部を示す平面説明図である。
図12は、本発明の実施例2に係る剣道用籠手を手の平側からみた平面説明図である。
図13は、本発明の実施例3に係る剣道用籠手を手の平側からみた平面説明図である。
図14は、本発明の実施例4に係る剣道用籠手を手の甲側からみた平面説明図である。
図15は、本発明の実施例5に係る剣道用籠手を手の甲側からみた平面説明図である。
図16は、図15の剣道用籠手を手の平側からみた平面説明図である。
図17は、本発明の実施例6に係る剣道用籠手で採用された手の内部材の手平部を製造する際における掌部材を示す平面説明図である。
図18は、図17に示す掌部材を用いて形成された手平部を示す平面説明図である。
図19は、本発明の実施例7に係る剣道用籠手で採用された手の内部材の手平部を製造する際における掌部材を示す平面説明図である。
図20は、図19に示す掌部材を用いて形成された手平部を示す平面説明図である。
図21は、本発明の実施例8に係る剣道用籠手の四指部分の先端部の変形例を示す図9と同様の断面説明図である。
図22は、本発明の実施例9に係る剣道用籠手を示す手の平側からみた平面説明図である。
図23は、本発明の実施例10に係る剣道用籠手を示す手の平側からみた平面説明図である。
図24は、本発明の実施例11に係る剣道用籠手を示す手の平側からみた平面説明図である。
図25は、本発明の実施例12に係る剣道用籠手を示す手の平側からみた平面説明図である。
図26は、本発明の実施例13に係る剣道用籠手を示す手の平側からみた平面説明図である。
図27は、図26のX−Y線断面説明図である。
図28は、本発明の実施例14に係る剣道用籠手の籠手布団部材をその手の平側からみた平面説明図である。
図29は、図28の籠手布団部材をその手の甲側からみた斜視説明図である。
図30は、図28の籠手布団部材をその手の甲側からみた平面説明図である。
図31は、上記実施例14に係る剣道用籠手の手の内部材をその手の平側からみた平面説明図である。
図32は、図31の手の内部材をその手の甲側からみた平面説明図である。
図33は、図31の手の内部材における四指挿入部の先端部とその手甲部の手の甲側に設けられた被覆部の先端部とを拡大して示す部分拡大断面説明図である。
図34は、本発明の実施例15に係る剣道用籠手をその手の甲側からみた斜視説明図である。
図35は、図34の剣道用籠手の籠手布団部材をその手の平側からみた平面説明図である。
図36は、図34の剣道用籠手の籠手布団部材をその手の甲側からみた平面説明図である。
図37は、図34の籠手布団部材をその籠手筒布団部から籠手頭布団部の四指保護部にかけて模式的に示す説明図である。
図38は、図34の剣道用籠手の手の内部材をその手の甲側からみた平面説明図である。
図39は、図34の手の内部材をその延長前腕部から四指挿入部にかけて模式的に示す断面説明図である。
図40は、図34の手の内部材を、その取着巾片を取り除いて、手の甲側からみた平面説明図である。
図41は、実施例15の手の内部材の3つの変形例(a)、(b)及び(c)を示す手袋本体部2aの四指挿入部10部分の横断説明面である。
図42は、本発明の実施例16に係る剣道用籠手をその手の甲側からみた平面説明図である。
図43は、図42の手の内部材のみをその手の甲側からみた平面説明図である。
図44は、図42の手の内部材をその手の平側からみた平面説明図である。
図45は、図42の手の内部材をその手の甲側からみた平面説明図である。
図46は、従来の剣道用籠手をその手の内側からみた平面説明図である。
図47は、図46のx−x線断面説明図である。
図48は、図46のy−y線断面説明図である。
1…籠手布団部材、2…手の内部材、2a…縫着、3…籠手筒布団部、4…籠手頭布団部、5…親指保護部、6…四指保護部、6a…四指保護部の先端、7…手平部、7a…掌部材、7b…親指部分、7c…四指部分、7d…掌基部片、7e…親指部片、7f…四指部片、8…手甲部、8a…延長前腕部、9…親指挿入部、10…四指挿入部、10a…四指挿入部の先端、11a,11b…被覆部(分離防止手段)、11c,11d…ベルベットファスナ(止着手段)、11e…V字状の切欠き、11f…締付け片、12…スライドファスナ(取着手段)、12a…エレメントA、12b…エレメントB、12c…スライダー、12d…ファスナーエレメント、12e…ファスナーテープ、13a,13b…接合端縁部、14a,14b…縫着、15a,15b,16a,16b…ベルベットファスナ(止着手段)、17…指先緩衝帯、18a,18b,18c…切欠き、19…添え皮の裏打、20a,20b,20c,22a,22b,22c…縫着、21a,21b,21c…切込み、x0…掌部材における親指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の元の長さ寸法(原寸)、y0…掌部材における四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の元の長さ寸法(原寸)、x…手平部における親指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法、y…手平部における四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法、P…縮寸加工、23a,23b…帯状の係止帯(分離防止手段)、23c,23d…ベルベットファスナ、24…ファスナ保護帯、24a,24b…帯状ファスナ保護帯、25…ベルベットファスナ、26…取着巾片(取着手段)、26a,26b,26c,43a,43b,43c…取着帯片(取着手段)、26d…親指側巾片、26e…中央巾片、26f…小指側巾片、27a,27b,27c,27d,27e…ベルベットファスナ(止着手段)、28a,28b,28c,28d…ベルベットファスナ(止着手段)、29a,29b,29c,29d,29e…ベルベットファスナ(止着手段)、30a,30b,30c,30d…ベルベットファスナ(止着手段)、31a,31b,31c,31d,31e,31f…ベルベットファスナ(止着手段)、32a,32b…縫着部、33d…ベルベットファスナ(止着手段)、34a,34b,34c,34d…ベルベットファスナ(止着手段)、35a,35b,35c…ベルベットファスナ(止着手段)、36a,36b,36c,36d…ベルベットファスナ(止着手段)、37a,37b…切込み、38a,38b,38c,38d…ベルベットファスナ(止着手段)、39a,39b,39c…ベルベットファスナ(止着手段)、40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40h…ベルベットファスナ(止着手段)、41a,41b,41c…隔壁、42a,42b,42c…縫着箇所、44,45,46,47,48,49…ベルベットファスナ(止着手段)、50…打突緩衝材、50a…補強部、51a…人差し指部、51b…中指部、51c…薬指部、51d…小指部、51e…三指部。
そして、上記手の内部材2は、図1、図2、図5及び図6に示されているように、人工皮革で形成されて手の平側に位置する手平部7と織布で形成されて手の甲側に位置する手甲部8とをその外周縁部で縫着して形成されており、使用者の親指が挿入される親指挿入部9と使用者の親指以外の四指が挿入される四指挿入部10とを有して手袋状に形成されており、また、上記の親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8外側には、上記籠手布団部材1と手の内部材2との間が分離するのを防止する分離防止手段として、籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の大部分、すなわち親指又は四指の第一間接と第二間接の中間位置位までをそれぞれ被覆する比較的大きな袋状の被覆部11a,11bが設けられており、更に、上記手甲部8の前腕側には、この手甲部8と同じ素材で一体に形成され、上記籠手布団部材1の籠手筒布団部3の内面側に沿って延設され、この籠手筒布団部3の内面側に着脱可能に取り付けられる延長前腕部8aが設けられている。
この実施例1において、手の内部材2の親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8外側に設けられた袋状の被覆部11a,11bとこれら各被覆部11a,11b内に収容される籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の各先端部との間には、図1及び図5に示されているように、一方が各被覆部11a,11b側に取り付けられ、また、他方が親指保護部5及び四指保護部6の各先端部側に取り付けられ、互いに着脱可能に係止し、使用時に各被覆部11a,11bが誤って親指保護部5及び四指保護部6の各先端部から離脱するのを防止するベルベットファスナ(止着手段)11c,11dが設けられており、これによって、籠手布団部材1に手の内部材2を取り付けた状態で、親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8外側に設けられた各被覆部11a,11bがベルベットファスナ11c,11dによりそれぞれ親指保護部5及び四指保護部6の各先端部に確実にかつしっかりと固定されるようになっている。
また、手の内部材2を籠手布団部材1に着脱可能に取り付ける取着手段のスライドファスナ12は、その全体が合成樹脂で形成され、図2、図4、図5及び図6に示されているように、籠手布団部材1の籠手頭布団部4の周縁部、詳細には周縁部の最外周縁端より内側に取り付けられている一方のエレメントA12aと、手の内部材2の周縁部の最外周縁端よりに取り付けられた他方のエレメントB12bと、上記エレメントB12b側に配設されて上記エレメントA12aとエレメントB12bとの間を開閉するスライダー12cとで構成されている。
この実施例1の剣道用籠手で用いられているスライドファスナ12は、図7及び図8に示すように、その各エレメントA及びBがポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂でコイル状に形成されたファスナーエレメント12dとこのファスナーエレメント12dが片面側縁部長手方向に沿って取り付けられたファスナーテープ12eとで構成された連続スライドファスナであり、図2に示されているように、各ファスナーエレメント12dの取付面とは反対側の面(図7に示された面)が表面側になるように各ファスナーテープ12eを介して籠手布団部材1と手の内部材2との間に取り付けられており、この結果、スライドファスナ12が閉じられた使用時には、各ファスナーエレメント12dのほとんどの部分は各ファスナーテープ12eの裏側に位置してこの各ファスナーテープ12eにより覆われ、これによって竹刀等の打突等の衝撃に対して比較的弱い各ファスナーエレメント12dが各ファスナーテープ12eにより保護され、また、外観的にも好ましいものとなる。
更に、この実施例1の手の内部材2においては、図9(四指側のみを図示)に示されているように、その親指挿入部9及び四指挿入部10の先端が籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の先端より内側に位置するように、これら親指挿入部9及び四指挿入部10を形成する手平部7と手甲部8の先端を互いに縫い付ける縫着2aが施されており、これによって、使用者の親指及び四指の指先が籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の先端より内側に位置し、籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6によって使用者の親指及び四指の指先を確実に保護できるようになっている
また、この実施例1において、上記手の内部材2を構成する手平部7には、図2及び図6に示されているように、四指先端側の指先先端部及び親指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法を縮小する縮寸加工Pが施されている。
すなわち、この手平部7は、図10及び図11に示されているように、その製造時に手平部7となる掌部材7aに切離・接合加工を施すことにより形成されているが、この掌部材7aは2種類の厚さの異なる素材である人工皮革からそれぞれ単一操作の切離手段である打抜きにより切り出され、かつ、互いに切り離された端縁部には互いに略同じ大きさで略円弧状に形成された接合端縁部13a,13bを有する3個の切離し片(すなわち、厚さ0.8mmの掌基部片7d、厚さ1.3mmの親指部片7e及び厚さ1.3mmの四指部片7f)で構成されており(図10参照)、また、これら3個の切離し片(掌基部片7d、親指部片7e及び四指部片7f)からなる掌部材7aは、互いに接合されて手平部7とされる際に、各接合端縁部13a,13bが酢酸ビニル系接着剤により予め接着された後に互いに縫着14a,14bされており(図11参照)、これによって、親指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間及び四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間において、縫着後の長さ寸法x,yがその縫着前の長さ寸法(原寸)x0,y0より短くなる、いわゆる縮寸加工Pが施されている。
また、籠手布団部材1には、図4に示されているように、その籠手頭布団部4の四指保護部6の手の平側に1箇所とその籠手筒布団部3の籠手頭布団部4とは反対側の端部の手の平側に3箇所とに、それぞれベルベットファスナ(止着手段)15a,16aが設けられており、また、手の内部材2には、図5に示されているように、その手甲部8の外側に1箇所とその延長前腕部8aの手甲部8とは反対側の端部の外側に3箇所とに、それぞれベルベットファスナ(止着手段)15b,16bが設けられており、これらベルベットファスナ15a,15b,16a,16bによって籠手布団部材1の籠手頭布団部4と手の内部材2の手甲部8との間、及び、籠手布団部材1の籠手筒布団部3と手の内部材2の延長前腕部8aとの間において、使用時に位置ずれが生じるのを確実に防止できるようになっている。
更に、手の内部材2には、図5に示されているように、手首部分を覆う手甲部8から延長前腕部8aにかけて、フリースニット素材からなる打突緩衝材50が縫着されており、また、その手首部分に対応する位置には更に衝撃緩衝性を高めるためのフェルト製の補強部50aが設けられており、これによって、使用者の手首をより確実に保護できるようになっている。
従って、この実施例1の剣道用籠手において、その籠手布団部材1に手の内部材2を取り付ける際には、先ず、手の内部材2側に設けられたベルベットファスナ15b,16bをそれぞれ対応する籠手布団部材1側のベルベットファスナ15a,16aに止着し、次いで籠手頭布団部4の周縁部に設けられた一方のエレメントA12aと手の内部材2の周縁部に設けられた他方のエレメントB12bとの位置合わせを行い、スライダー12cによりこれらエレメントA12aとエレメントB12bとの間を閉じ、次いで、手の内部材2の親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8外側に設けられた被覆部11a,11bをそれぞれ籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の外側に位置するように反転させて被覆せしめ、各被覆部11a,11b側のベルベットファスナ11cを親指保護部5及び四指保護部6側のベルベットファスナ11dに止着させればよい。反対に、籠手布団部材1から手の内部材2を取り外す際には、上記の取付手順とは反対の手順を行えばよい。ここで、各被覆部11a,11bは、伸縮性に富むニット素材で形成されているため、被覆の際の反転操作がし易く、また、これに伴って、この各被覆部11a,11bに設けられるベルベットファスナ11cについては伸縮性に優れたものが採用されている。
なお、この実施例1の剣道用籠手においては、その籠手布団部材1の手の平側に位置する織布にポリエチレン製の防水フィルムが熱融着(ラミネート)されて防水処理されており(図示せず)、これによって使用者からの汗が籠手布団部材1に吸収されるのを防止できるようになっている。
この実施例2においては、上記実施例1の場合と同様に、手の内部材2が手平部7と手甲部8とで手袋状に形成されているが、実施例1の場合とは異なり、上記手平部7に縮寸加工が施されておらず、また、上記手甲部8に延長前腕部が形成されていない。この実施例2の剣道用籠手においても、実施例1の場合と同様に、修理費の軽減、悪臭等の発生防止、取着手段の保護、完全性の向上等の効果を奏するものである。
この実施例3においては、上記実施例1の場合とは異なり、手の内部材2は、手の平側に位置する人工皮革製の手平部7のみで形成されて手甲部がなく、手袋状にはなっておらず、また、この手平部7に縮寸加工がない。従って、この実施例3の剣道用籠手においては、使用者の手は籠手布団部材1と手の内部材2の手平部7との間に入るようになっている。この実施例3の剣道用籠手においても、実施例1の場合と同様に、修理費の軽減、悪臭等の発生防止、取着手段の保護、完全性の向上等の効果を奏するものである。
この実施例4においては、上記実施例1の場合とは異なり、手の内部材2に設けられた袋状の被覆部11a,11bには、籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の外側に位置する部分において、手首側に向けて開口するV字状の切欠き11eがそれぞれ形成され、これら各切欠き11eの開口端側にはゴム製等の伸縮可能な材料で形成された締付け片11fがそれぞれ取り付けられており、籠手布団部材1に対する手の内部材2の取付けや取外しの操作の際にはこれら被覆部11a,11bの締付け片11fを引き延ばして行うようになっており、これによって、籠手布団部材1に手の内部材2を取り付けた状態で各被覆部11a,11bが締付け片11fによりそれぞれ親指保護部5及び四指保護部6に確実にかつしっかりと固定されるようになっている。この実施例4の剣道用籠手においては、切欠き11eと締付け片11fとが各被覆部11a,11bと親指保護部5及び四指保護部6との間の止着手段として機能する。
この実施例5においては、上記実施例1の場合とは異なり、手の内部材2の親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8外側には、上記籠手布団部材1と手の内部材2との間が分離するのを防止する分離防止手段として、一端がこの手の内部材2の親指挿入部9及び四指挿入部10側にそれぞれ固着され、他端にはベルベットファスナ23c,23dにより籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の外側に着脱可能に固着される帯状の係止帯23a,23bが設けられている。そして、この実施例5においても、上記実施例1の場合と同様に、手の内部材2が延長前腕部8aを有する手袋状に形成されている。
この実施例6の手平部7には、上記実施例1の場合と異なり、その製造時に、手平部7となる掌部材7aに対して、使用者の親指が位置する親指部分7bの略根元部と、使用者の四指が位置する四指部分7cの略根元部及び略中間部とに、それぞれ略幅方向に延びる合計3本の切欠き18a,18b,18cを形成し、これらの切欠き18a,18b,18cに添え皮の裏打ち19をして各切欠き18a,18b,18cにより形成された切欠き端縁部を縫着20a,20b,20cすること(切欠・接合加工)により、親指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法x、及び、四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法yが、それぞれ掌部材7aにおける元の長さ寸法(原寸)x0,y0より短くなるように縮小させる、いわゆる縮寸加工Pが施されている。
この実施例7の手平部7には、上記実施例1や実施例6の場合とは異なり、その製造時に、手平部7となる掌部材7aに対して、使用者の親指が位置する親指部分7bの略中間部分と、使用者の四指が位置する四指部分7cの略根元部分及び略中間部分とに、それぞれ略幅方向に延びる3本の切込み21a,21b,21cを形成し、この切込み21a,21b,21cにより形成された切込み端縁部を互いに重ね合わせて縫着22a,22b,22cすること(切込・接合加工)により、親指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法x、及び、四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法yが、それぞれ掌部材7aにおける元の長さ寸法(原寸)x0,y0より短くなるように縮小させる、いわゆる縮寸加工Pが施されている。
この実施例8において、手の内部材2には、比較的柔らかな弾性体で帯状に形成された指先緩衝帯17が、四指挿入部10の内部先端に位置するように手平部7及び/又は手甲部8側に固定されて設けられており、これによって、使用時に使用者の少なくとも人差指先端から小指先端まで四指の指先が硬いスライドファスナ12によって直接的に圧迫されるのを防止できるようになっている。
この実施例9においては、上記実施例1〜5の場合と異なり、スライドファスナ12のエレメントA12aの始端と終端が取り付けられる部分に、それぞれ比較的厚手の布製のファスナ保護帯24の一端が籠手頭布団部4のエレメントA12aの始端又は終端と共に縫着されており、また、これら各ファスナ保護帯24の他端にはベルベットファスナ25が取り付けられており、使用時には各ファスナ保護帯24のベルベットファスナ25を手の内部材2側に設けられた図示外のベルベットファスナに固着し、これら各ファスナ保護帯24によりスライドファスナ12の最も損傷し易いスライダー12cやスライドファスナ12の始端及び終端をその表側から覆って保護するようになっていると共に、スライドファスナ12のスライダー12cやその始端及び終端が直接に使用者の手や腕に当たらないようになっている。
この実施例10においては、上記実施例1〜9の剣道用籠手とは異なり、取着手段のスライドファスナ12は、その始端が籠手布団部材1の籠手頭布団部4の親指側付け根付近に位置すると共に、使用時にスライダー12cが位置するスライドファスナ12の終端が籠手筒布団部3の小指側の肘側末端付近にまで延びており、これによって使用時にスライダー12cが稽古や競技の邪魔になったり、あるいは、最も損傷し易いスライダー12cが竹刀等により打突されて破損するのを可及的に防止することができる。また、この実施例10においても、上記実施例9の場合と同様に、スライドファスナ12の始端及び終端を保護するファスナ保護帯24が取り付けられている。そして、この実施例10のァスナ保護帯24は、上記実施例9の場合と異なり、その一端が手の内部材2の手甲部8及び延長前腕部8aにそれぞれ縫着されており、また、他端はスライドファスナ12の始端側で籠手頭布団部4の外側に、また、スライドファスナ12の終端側で籠手筒布団部3の内側に、それぞれ図示外のベルベットファスナにより着脱可能に固着されている。
この実施例11においては、上記実施例1〜9の剣道用籠手とは異なり、取着手段のスライドファスナ12は、その始端と終端がいずれも籠手筒布団部3の親指側又は小指側の肘側末端付近にまで延びており、また、使用時にスライダー12cが位置するスライドファスナ12の終端側には、上記実施例9及び10の場合と同様に、ファスナ保護帯24が取り付けられており、これによって手の内部材2を籠手布団部材1側に取着する際に同時にかつ容易に延長前腕部8aを籠手筒布団部3の内側に取着できると共に、使用時にはスライダー12cが籠手筒布団部3の小指側の肘側末端付近に位置するので、稽古や競技の邪魔になったり、あるいは、最も損傷し易いスライダー12cが竹刀等により打突されて破損するのを可及的に防止することができる。
この実施例12においては、上記実施例10の場合と同様に、取着手段のスライドファスナ12は、その始端が籠手布団部材1の籠手頭布団部4の親指側付け根付近に位置すると共に、使用時にスライダー12cが位置するスライドファスナ12の終端が籠手筒布団部3の小指側の肘側末端付近にまで延びているが、実施例10の場合とは異なり、籠手筒布団部3の領域部分に位置するスライドファスナ12の終端側全体に亘ってこのスライドファスナ12を保護する帯状ファスナ保護帯24aが取り付けられており、これによってスライドファスナ12の終端側が籠手筒布団部3の領域において使用者の前腕部に直接的に当たることがなく、延長前腕部8aと相俟って使用者の前腕部における衝撃緩和効果がより一層向上する。
この実施例13においては、上記実施例10や実施例12の場合と同様に、取着手段のスライドファスナ12は、その始端が籠手布団部材1の籠手頭布団部4の親指側付け根付近に位置すると共に、使用時にスライダー12cが位置するスライドファスナ12の終端が籠手筒布団部3の小指側の肘側末端付近にまで延びているが、実施例10や実施例12の場合とは異なり、スライドファスナ12が使用時に籠手頭布団部4と手の内部材2との間を取着する部分において、このスライドファスナ12の各エレメントA12a及びB12b、特にそのファスナーエレメントの一部又は全部が籠手の表面側に露出する領域(親指側付け根付近、親指と人差指の間、及び小指側付け根付近)に、一端が籠手布団部材1の籠手頭布団部4側(図27の右側参照、小指側付け根付近)又は手の内部材2側(図27の左側参照、親指と人差指の間)に固定され、他端が他方に向けて延設され、使用時に少なくとも各エレメントA12a及びB12b表面側露出部分をその表面側から被覆して保護する帯状ファスナ保護帯24bが設けられており、これによって各エレメントA12a及びB12b表面側露出部分が保護されている。
この実施例14の剣道用籠手は、上記実施例1〜12の場合と異なり、図31及び図32に示されているように、手の内部材2の親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8外側に設けられた被覆部11a,11bがそれぞれ比較的小さな袋状に形成されており、また、この手の内部材2を籠手布団部材1の籠手頭布団部4に着脱可能に取り付けるための取着手段が第1、第2及び第3の取着帯片26a,26b,26cで構成されている。
そして、籠手布団部材1には、図28に示されているように、その籠手頭布団部4の手の平側に、親指保護部5及び四指保護部6の先端部にそれぞれ位置するベルベットファスナ(止着手段)27a,27bと、親指保護部5及び四指保護部6の付け根付近にそれぞれ位置するベルベットファスナ(止着手段)27c,27dと、親指保護部5と四指保護部6との間に位置するベルベットファスナ(止着手段)27eとが取り付けられており、また、図29及び図30に示されているように、その籠手頭布団部4の手の甲側の4箇所にベルベットファスナ(止着手段)28a,28b,28c,28dが取り付けられている。
また、上記手の内部材2には、図32に示されているように、その手甲部8に、親指挿入部9及び四指挿入部10の先端部に位置するベルベットファスナ(止着手段)29a,29bと、親指挿入部9及び四指挿入部10の付け根付近にそれぞれ位置するベルベットファスナ(止着手段)29c,29dと、親指挿入部9と四指挿入部10との間に位置するベルベットファスナ(止着手段)29eとが取り付けられており、また、図31に示されているように、その第1の取着帯片26aの手平部7側の2箇所にベルベットファスナ(止着手段)30a,30bが、また、その第2の取着帯片26bの手平部7側の2箇所にベルベットファスナ(止着手段)30c,30dがそれぞれ取り付けられており、更に、図32に示されているように、その第1の取着帯片26aの手甲部8側の2箇所にベルベットファスナ(止着手段)31a,31bが、その第2の取着帯片26bの手甲部8側の1箇所にベルベットファスナ(止着手段)31cが、また、その第3の取着帯片26cの手甲部8側の3箇所にベルベットファスナ(止着手段)31d,31e,31fがそれぞれ取り付けられている。
また、この実施例14の手の内部材2は、図31及び図33に示されているように、2つの縫着部32a,32bにより、その四指挿入部10の先端10aが被覆部11bの先端より内側に位置するように形成されており、手指を挿入して竹刀等を握った際に、指先が被覆部11bに嵌合された籠手頭布団部4の四指保護部6の先端6aより内側に位置し、指先が籠手頭布団4の四指保護部6の先端6aより先に出っ張るのを完全に防止し、指先の怪我を未然に防止できるようになっている。なお、この実施例14においては、親指以外の四指側についてのみこの点の加工がなされているが、この四指側についてのみでなく、親指側に対しても同様の加工を施してもよいことは勿論である。
更に、この実施例14においては、図33に示されているように、上記手の内部材2の四指挿入部10の手甲部8側の先端部外側に設けられた被覆部11bには、その内面側開口端近傍に、この被覆部11b内に嵌合される籠手布団部材1の籠手頭布団部4の四指保護部6の先端部に設けられたベルベットファスナ(止着手段)28dに着脱可能に止着するベルベットファスナ(止着手段)33dが設けられており、これによって四指保護部6の先端部が嵌合した被覆部11bの開口端を確実に閉塞させることができ、この開口端から被覆部11b内に竹刀等の先端が引っ掛かって不慮の事故が発生することが無いようになっている。
なお、この図33においては、親指以外の四指側についてのみこの点の加工が示されているが、手の内部材2の親指挿入部9の手甲部8側の先端部外側に設けられた被覆部11aについても、上記の四指側と同様に、図示外のベルベットファスナ(止着手段、33c:図示せず)が設けられており、籠手布団部材1の籠手頭布団部4の親指保護部5の先端部に設けられたベルベットファスナ(止着手段)28cに着脱可能に止着されるようになっている。
従って、この実施例14の剣道用籠手について、その籠手布団部材1の籠手頭布団部4に手の内部材2を取り付ける際には、先ず、親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8側の各先端部に設けられた被覆部11a,11bを捲り上げ、次いで図28に示す親指保護部5及び四指保護部6の各先端部のベルベットファスナ27a,27bと図32に示す親指挿入部9及び四指挿入部10の各先端部のベルベットファスナ29a,29bとを止着し、更に籠手頭布団部4の手の平側に設けられた図28に示すベルベットファスナ27c,27d,27eと手の内部材2の手甲部8側に設けられた図32に示すベルベットファスナ29c,29d,29eとを止着して籠手布団部材1の籠手頭布団部4の手の平側に手の内部材2の手甲部8を固着する。
次に、捲り上げた各被覆部11a,11bを元の位置に戻すことにより親指保護部5及び四指保護部6の各先端部を各被覆部11a,11b内にそれぞれ位置せしめ、この状態で各被覆部11a,11b側にそれぞれ設けたベルベットファスナ33c,33dを親指保護部5及び四指保護部6の各先端部にそれぞれ設けたベルベットファスナ28c,28dに止着し、これによって、籠手布団部材1の籠手頭布団部4の親指保護部5及び四指保護部6の各先端部と、手の内部材2の親指挿入部9及び四指挿入部10の手甲部8側の先端部外側に設けた被覆部11a,11bとの間を固着する。
このようにして籠手布団部材1の籠手頭布団部4の手の平側に手の内部材2の手甲部8を固着すると共に親指保護部5及び四指保護部6の各先端部に手の内部材2の各被覆部11a,11bを被せて固着した後、手の内部材2の第1の取着帯片26aを籠手頭布団部4の手の甲側に巻き付けて第1の取着帯片26aの手甲部8側に設けられたベルベットファスナ31a,31bを籠手頭布団部4の手の甲側に設けられたベルベットファスナ28a,28bに止着し、次いで第2の取着帯片26bを籠手頭布団部4の手の甲側に巻き付けて第2の取着帯片26bの手甲部8側に設けられたベルベットファスナ31cを上記第1の取着帯片26aの手平部7側に設けられたベルベットファスナ30bに止着し、更に、第3の取着帯片26cを籠手頭布団部4の手の甲側に巻き付けてこの第3の取着帯片26cの手甲部8側に設けられたベルベットファスナ31d,31e,31fを上記第1の取着帯片26aの手平部7側に設けられたベルベットファスナ30a及び第2の取着帯片26bの手平部7側に設けられたベルベットファスナ30c,30dにそれぞれ止着し、これによって第1、第2及び第3の取着帯片26a,26b,26cを籠手頭布団部4の手の甲側で強固に固着すればよい。
この実施例15の籠手布団部材1には、図35及び図37に示されているように、その籠手頭布団部4の手の平側に、親指保護部5及び四指保護部6の先端部にそれぞれベルベットファスナ(止着手段)34a,34bが取り付けられていると共にこれら親指保護部5の付け根付近及び手首付近にそれぞれベルベットファスナ(止着手段)34c,34dが取り付けられており、また、その籠手筒布団部3の手の平側に、互いに所定の間隔を置いて3箇所にベルベットファスナ(止着手段)35a,35b,35cが取り付けられており、更に、図36及び図37に示されているように、その籠手頭布団部4の手の甲側に、親指保護部5及び四指保護部6の各先端部及び各付け根付近にそれぞれ比較的大きなベルベットファスナ(止着手段)36a,36b,36c,36dが取り付けられている。
そして、上記手の内部材2は、図38及び図39に示されているように、人工皮革で形成されて手の平側に位置する手平部7と、フェルトで形成されて上記籠手布団部材1の籠手頭布団部4の手の甲側に位置する手甲部8と、この手甲部8と同じフェルトで一体に形成され、上記籠手布団部材1の籠手筒布団部3と略々同じ長さを有する延長前腕部8aと、上記籠手布団部材1の籠手頭布団部4に略対応して上記手甲部8の外側に位置し、この手の内部材2を上記籠手布団部材1に着脱可能に取り付けるための化学繊維製の織布よりなる取着巾片(取着手段)26とをその外周縁部で縫着して形成されており、上記手平部7と手甲部8とにより親指挿入部9と四指挿入部10とが形成され、また、上記取着巾片26には親指保護部5を覆う部分の略中央と四指保護部6を覆う部分の略中央とにそれぞれ切込み37a,37bが設けられて親指側巾片26d、中央巾片26e及び小指側巾片26fとに分割されていると共に、上記の各切込み37a,37bの先端側にはそれぞれ親指保護部5及び四指保護部6の先端部が嵌合される被覆部11a,11bが形成されている。
また、この実施例15の手の内部材2には、図38〜図40に示されているように、その手甲部8に、親指挿入部9及び四指挿入部10の先端部に位置するベルベットファスナ(止着手段)38a,38bと、親指挿入部9の付け根付近及び手首付近にそれぞれ位置するベルベットファスナ(止着手段)38c,38dとが取り付けられていると共に、籠手筒布団部3に対応する延長前腕部8aの手の甲側に互いに所定の間隔を置いて3箇所にベルベットファスナ(止着手段)39a,39b,39cが取り付けられており、更に、上記親指側巾片26d、中央巾片26e及び小指側巾片26fには、切込み37a,37bの両側縁に沿ってその内面側に、上記籠手頭布団部4の手の甲側の親指保護部5及び四指保護部6の各先端部及び各付け根付近に設けられたベルベットファスナ36a,36b,36c,36dにそれぞれ止着可能な8個のベルベットファスナ(止着手段)40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hが取り付けられている。
この実施例15の手の内部材2においても、図39に示されているように、上記実施例14の場合と同様に、手の内部材2は、その四指挿入部10の先端10aが被覆部11bの先端より内側に位置するように形成されており、手指を挿入して竹刀等を握った際に、指先が図示外の籠手頭布団4の四指保護部6の先端より先に出っ張るのを完全に防止し、指先の怪我を未然に防止できるようになっている。なお、この実施例15においても、親指側に対して同様の加工を施してもよいことは勿論である。
更に、この実施例15の剣道用籠手においては、その籠手布団部材の手の平側に位置する織布にポリエチレン製の防水フィルムが熱融着(ラミネート)されて防水処理されており(図示せず)、これによって使用者等からの汗が籠手布団部材に吸収されるのを防止できるようになっている。
従って、この実施例15の剣道用籠手においても、上記実施例14の場合と同様に、手の内部材2の取着巾片26を構成する親指側巾片26d、中央巾片26e及び小指側巾片26fをそれぞれ裏返してこの手の内部材2の手甲部8を露出させ、次いで手の内部材2側の手甲部8のベルベットファスナ38a,38b,38c,38d及び延長前腕部8aのベルベットファスナ39a,39b,39cを対応する籠手布団部材1側のベルベットファスナ34a,34b,34c,34d及び35a,35b,35cにそれぞれ止着して手の内部材2を籠手布団部材1に固着し、次いで、上記手の内部材2の親指側巾片26d、中央巾片26e及び小指側巾片26fをそれぞれ元に戻して手の内部材2の親指保護部5及び四指保護部6の各先端部を手の内部材2の各被覆部11a,11b内に位置せしめ、更に、親指側巾片26d、中央巾片26e及び小指側巾片26fに設けたベルベットファスナ40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40hをそれぞれ対応する籠手頭布団部4側のベルベットファスナ36a,36b,36c,36dに止着することにより、手の内部材2を籠手布団部材1に強固にかつ容易に着脱可能に取り付けることができる。
なお、図41(a)(b)(c)は、上記実施例15の手の内部材2の変形例を示すものであり、手の内部材2の四指挿入部10部分の横断面を示している。
図41(a)に示す例は、実施例15の場合と異なり、その四指挿入部10を形成する手平部7と手甲部8との間に、この四指挿入部10内に挿入される各四指(人差し指、中指、薬指及び小指)の間を仕切る隔壁41a,41b,41cが設けられており、四指挿入部10内において各四指がそれぞれ分離されている。
また、図41(b)に示す例は、四指挿入部10を形成する手平部7がその3箇所42a,42b,42cで手甲部8と縫着されており、これによって四指挿入部10内に挿入される各四指(人差し指、中指、薬指及び小指)の間がそれぞれ人差し指部51a、中指部51b、薬指部51c及び小指部51dに分離されるようになっており、更に、図41(c)に示す例は、四指挿入部10を形成する手平部7が1箇所42cでのみ手甲部8と縫着されており、四指挿入部10内に挿入される各四指のうち最も重要な小指が挿入される小指部51dのみが他の三指(人差し指、中指及び薬指)が挿入される三指部51eから分離されるようになっている。
これらのように四指挿入部10内において各四指、特に小指を分離して個別に動ける自由を確保することにより、竹刀の握りの強さや操作を容易にすることができ、特に最も力が弱いにも拘わらず、確りした握り強さを求められる小指の動きを容易にすることができる。
なお、図41(a)(b)(c)において、取着巾片26には、上記実施例15と同様に、切込み37bにより分割された中央巾片26e及び小指側巾片26fが形成されており、上記籠手布団部材1の籠手頭布団部4の四指保護部6に着脱可能に固着されるようになっている。
この図41(a)(b)(c)に示す手の内部材2の変形例は、手の内部材が手袋状に形成されていれば、本発明の他の実施例に対しても適用することができる。
の場合と同様に、上記籠手布団部材1の籠手筒布団部3と略々同じ長さを有する延長前腕部8aが設けられている。
この実施例16において、上記手の内部材2は、図43〜図45に示されているように、人工皮革製の手平部7と織布製の手甲部8とをその外周縁部で縫着して形成されており、親指挿入部9と四指挿入部10とを有すると共に、化学繊維製で伸縮性の織布で形成され、この手の内部材2を籠手布団部材1に着脱可能に取り付けるための第1、第2及び第3の取着帯片(取着手段)43a,43b,43cが設けられており、上記第1の取着帯片43aの親指側の端部と第2の取着帯片43bの親指側の端部とが重なり合って上記籠手布団部材1の籠手頭布団部4の親指保護部5をその手甲側から被覆する被覆部11aを形成し、また、上記第1の取着帯片43aの四指側の端部と第3の取着帯片43cの四指側の端部とが重なり合って上記籠手布団部材1の籠手頭布団部4の四指保護部6をその手甲側から被覆する被覆部11bを形成するようになっている。
また、この実施例16においても、上記実施例14や実施例15の場合と同様に、上記籠手布団部材1には、図示外のベルベットファスナ(止着手段)が取り付けられており、また、上記手の内部材2には、図44及び図45に示されているように、その手甲部8の7箇所にベルベットファスナ(止着手段)44が、また、上記第1の取着帯片43aの手平部7側の5箇所にベルベットファスナ(止着手段)45が、また、この第1の取着帯片43aの手甲部8側の4箇所にベルベットファスナ(止着手段)46が、また、上記第2の取着帯片43bの手平部7側の1箇所にベルベットファスナ(止着手段)47が、また、第2の取着帯片43bの手甲部8側の2箇所にベルベットファスナ(止着手段)48が、更に、上記第3の取着帯片43cの手甲部8側の4箇所にベルベットファスナ(止着手段)49がそれぞれ取り付けられており、更にまた、上記延長前腕部8aにも実施例15の場合と同様に図示外のベルベットファスナ(止着手段)が取り付けられている。
従って、この実施例16の剣道用籠手においても、上記実施例14や実施例15の場合と同様に、上記ベルベットファスナ44,45,46,47,48,49を用いて容易に手の内部材2を籠手布団部材1に取り付け、また、取り外すことができる。
また、本発明の剣道用籠手は、籠手布団部材、手の内部材及びこれらの間を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、竹刀等を握った際に手平部に皺ができるのを防止して握り易くなる、使用時に指先が四指保護部の先端より内側に位置して指先の怪我をより確実に未然に防止できる、使用中に前腕からの汗を吸収できると共にこの籠手筒布団部の衝撃緩和効果をより一層高める、又は、取着手段としてのスライドファスナの最も損傷し易い始端及び/又は終端を保護すると共に使用中のスライダーの移動を防止して使用者を保護する等の効果を個々に、あるいは、組み合せて有るものであり、より安全でより使い勝手のよいものである。
Claims (15)
- 前腕を保護する籠手筒布団部と先端に親指保護部及び四指保護部を有して手首より先の部分を保護する籠手頭布団部とを継ぎ合わせてなる籠手布団部材と、この籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部に着脱可能に取り付けられる手の内部材と、上記籠手布団部材に手の内部材を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、
上記手の内部材には、上記籠手頭布団部の親指保護部及び/又は四指保護部の少なくとも先端部を被覆し、使用時に上記籠手布団部材と手の内部材との間が分離するのを防止する被覆部からなる分離防止手段が設けられていることを特徴とする剣道用籠手。 - 被覆部とこの被覆部で被覆される籠手頭布団部の親指保護部及び/又は四指保護部の先端部との間には、これらの間を着脱可能に固定する止着手段が設けられている請求項1に記載の剣道用籠手。
- 手の内部材は、手の平側に位置すると共に人工皮革、鹿皮及びフェルトから選ばれた1又は2以上の材質で形成された手平部において、切込み、切欠き及び切離しから選ばれた1又は2以上の手段で形成された端縁部を接合することにより、少なくとも四指先端側の指先先端部と手首側の掌基端部との間の長さ寸法を縮小する縮寸加工がされている請求項1又は2に記載の剣道用籠手。
- 手の内部材は、手の平側に位置する手平部に、手の甲側に位置する手甲部が取り付けられ、親指が挿入される親指挿入部と親指以外の四指が挿入される四指挿入部とを有する手袋状に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 手の内部材は、少なくともその四指が位置する四指部分の先端が籠手頭布団部の四指保護部の先端より内側に位置するように形成されており、使用時に指先が上記四指保護部の先端より内側に位置するようになっている請求項1〜4のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 手の内部材の手甲部には、上記籠手布団部材の籠手筒布団部内側にまで延びる延長前腕部が形成されている請求項4又は5に記載の剣道用籠手。
- 取着手段が、籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部の周縁部に取り付けられた一方のエレメントAと、手の内部材の周縁部に取り付けられた他方のエレメントBと、これらエレメントAとエレメントBとの間を開閉するスライダーとを有するスライドファスナである請求項1〜6のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 前腕を保護する籠手筒布団部と先端に親指保護部及び四指保護部を有して手首より先の部分を保護する籠手頭布団部を継ぎ合わせてなる籠手布団部材と、この籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部に着脱可能に取り付けられる手の内部材と、上記籠手布団部材に手の内部材を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、
上記手の内部材は、手の平側に位置する手平部に、手の甲側に位置する手甲部が取り付けられ、親指が挿入される親指挿入部と親指以外の四指が挿入される四指挿入部とを有する手袋状に形成されており、
上記手甲部には、上記籠手布団部材の籠手筒布団部内側にまで延びる延長前腕部が形成されており、
上記取着手段は、籠手布団部材側に取り付けられた一方のエレメントAと、手の内部材側に取り付けられた他方のエレメントBと、これらエレメントAとエレメントBとの間を開閉するスライダーとを有し、その終端が籠手筒布団部の小指側かつ肘側の内側に位置するように、籠手筒布団部とその内面側に位置する延長前腕部との間にまで延設されたスライドファスナであることを特徴とする剣道用籠手。 - 手の内部材の手甲部とこの手甲部を覆う籠手布団部材の籠手頭布団部及び/又は籠手筒布団部との間に、少なくともこれらの間の一部を着脱可能に固定する止着手段が設けられている請求項4〜8のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 手の内部材は、少なくともその手甲部に打突緩衝材が設けられている請求項4〜9のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 籠手布団部材と手の内部材との間には、一端がそのいずれか一方に固定されていると共に他端が他方に着脱可能に固着され、使用時に少なくともスライドファスナの始端及び/又は終端を保護するファスナ保護帯が設けられている請求項7〜10のいずれかに記載の剣道用籠手。
- スライドファスナは、その籠手布団部材側のエレメントAが籠手布団部材の最外周縁端より内側に取り付けられている請求項7〜11のいずれかに記載の剣道用籠手。
- スライドファスナは、その各エレメントA及びBが熱可塑性樹脂でコイル状に形成されたファスナーエレメントとこのファスナーエレメントが片面側縁部長手方向に沿って取り付けられたファスナーテープとで構成された連続スライドファスナであり、各ファスナーエレメントの取付面とは反対側の面が表面側になるように各ファスナーテープを介して籠手布団部材と手の内部材との間に取り付けられる請求項7〜12のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 籠手布団部材と手の内部材との間には、一側縁がそのいずれか一方に固定されていると共に他側縁が他方に向けて延設され、使用時に少なくともスライドファスナの各エレメントA及びBの表面側露出部分をその表面側から被覆して保護する帯状ファスナ保護帯が設けられている請求項7〜13のいずれかに記載の剣道用籠手。
- 前腕を保護する籠手筒布団部と先端に親指保護部及び四指保護部を有して手首より先の部分を保護する籠手頭布団部とを継ぎ合わせてなる籠手布団部材と、この籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部に着脱可能に取り付けられる手の内部材と、上記籠手布団部材に手の内部材を着脱可能に取り付ける取着手段とを備えた剣道用籠手において、
上記取着手段が、籠手布団部材の少なくとも籠手頭布団部の周縁部に取り付けられた一方のエレメントAと、手の内部材の周縁部に取り付けられた他方のエレメントBと、これらエレメントAとエレメントBとの間を開閉するスライダーとを有すると共に、上記各エレメントA及びBが熱可塑性樹脂でコイル状に形成されたファスナーエレメントとこのファスナーエレメントが片面側縁部長手方向に沿って取り付けられたファスナーテープとで構成された連続スライドファスナであり、
上記連続スライドファスナが各ファスナーエレメントの取付面とは反対側の面が表面側となるように各ファスナーテープを介して上記籠手布団部材と手の内部材との間に取り付けられていることを特徴とする剣道用籠手。
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