JP4330311B2 - 茹卵の製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、殻が剥けやすく、しかも卵黄の偏芯の少ない茹卵の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
茹卵の原料である殻付生卵は、その鮮度が製品の歩留や品質を左右する要因となる。すなわち、殻付生卵の鮮度が良すぎると卵白のpHが低く(pH7.5〜8.5程度)、加熱凝固させても卵白部が硬く凝固せずに柔らかく、また卵白部と卵殻膜の剥がれが悪い。その結果、殻が剥きずらいばかりでなく、殻剥き時に卵白部が傷ついたり、割れたりして歩留が低下する。
このため従来においては、殻を剥きやすくするため、産卵直後の新鮮卵を冷蔵庫(3〜6℃)や保管庫(20〜25℃)に数日間乃至数週間保管し、保管中に卵白中の炭酸ガスを卵殻より放出させて、卵白のpHが9.0以上となるように鮮度管理をしていた。
【0003】
しかしながら、このような鮮度管理は手間がかかるばかりでなく、保管温度と保管時間の管理が難しく、適度な管理条件を逸して鮮度を低下させ過ぎると、殻付生卵の濃厚卵白が減少して卵白全体の粘度が低下してしまう(濃厚卵白が水様化してしまう)。さらにカラザも脆弱化し、殻付生卵の中心部に位置していた卵黄が動きやすくなり、この殻付生卵は、たとえ鈍端を上にして立てたまま加熱したとしても、卵黄が卵の中心部から偏って熱凝固し、卵黄が偏芯した茹卵となりやすい。
偏芯した茹卵は、真二つにカットすると卵黄が偏っているので、見栄えが悪く、また偏芯によって茹卵の卵白部の薄くなった部分に亀裂が生じやすく、さらに、偏芯した卵黄の一部が卵白部を突き破って、その表面に飛び出した茹卵は最早商品とはならない。
また、従来においては、冷蔵庫等で保管した、冷えた殻付生卵を原料として茹卵を製する場合、卵殻にヒビが出るのを防ぐため、殻付生卵を予備加熱したり、室温保管することにより、常温(20〜25℃)に戻してから加熱する方法がとられていた(例えば、特開昭60―224468)。
しかしながら、この方法によると確かにヒビの少ない殻付茹卵は得られるが、予備加熱に手間がかかるばかりでなく、卵の品温が上昇し卵黄の偏芯が起きやすくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、本発明は鮮度の低下した殻付生卵を使用しても殻が剥けやすく、しかも卵黄の偏芯の少ない茹卵の製法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、卵黄の偏芯の少ない茹卵の製法を開発せんと検討した結果、殻付生卵を鈍端を上にして立てたまま冷却し、これをそのまま加熱凝固させると目的が達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
本発明は、殻付生卵を鈍端を上にして立てたまま、−1℃〜5℃に冷却した後、この−1℃〜5℃に冷却した殻付生卵を、鈍端を上にして立てたままの状態で加熱して加熱凝固させることを特徴とする茹卵の製法、からなるものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、殻付生卵の冷却温度とは、その卵黄膜から2〜3mm内側の卵黄の品温をいい、この温度は、例えばサンプルの殻付生卵を割卵し、直ちに(卵の冷却温度が上昇しないうちに)その卵黄膜つきの卵黄に温度計のセンサーを突き刺して測定することにより容易に知ることができる。
本発明において茹卵とは、殻付生卵を加熱凝固(通称ボイルとも云う)させた後、その殻を剥き取った殻なしの茹卵のことをいう。
本発明の実施に当って、まず原料の殻付生卵を用意する。従来においては、前述の如く鮮度管理されたものが使用されていたが、本発明においては、鮮度の低下した殻付生卵ばかりでなく、鮮度のよい殻付生卵と鮮度の低下した殻付生卵が混ざったものであっても原料として用いることができる。
【0007】
次に殻付生卵を鈍端を上にして立てたまま−1℃〜5℃に冷却する。殻付生卵は、養鶏場から出荷されるとき、段積みトレーに鈍端を上にして立てたまま収納されるので、これをトレーに収納されたまま冷却すればよい。
この冷却を行なうには、トレー等に収納した殻付生卵を冷蔵庫等の冷所に一定時間保管すればよい。その冷却温度は、後述の実施例に示すように、殻が剥きやすく、同時に偏芯の少ない茹卵を得るために−1℃〜5℃にする。なお、殻付生卵を−2℃以下に冷却すると卵液が凍結して卵が破損してしまうので、冷却温度は−1℃に止めるのが肝要である。
原料の殻付生卵は、通常、常温(20℃〜25℃)であるが、これを例えば5℃に冷却するには、0℃の冷蔵庫に1時間程度保管すればよい。また、殻付生卵を5℃の冷蔵庫に一昼夜も保管すれば確実に5℃に冷却することができる。なお、殻付生卵を鈍端を上にして立てたまま上記温度に冷蔵しておき、必要に応じて取り出し、直ちにこれを用いる方法を採ってもよい。
【0008】
次に、上記温度に冷却した殻付生卵をそのまま加熱凝固させる。ここで、そのまま加熱とは、殻付生卵を鈍端を上にして立てたままの状態で、可及的速やかに加熱することをいう。加熱手段としては、熱水浸漬、熱水シャワー、スチーム加熱等を採ることができ、殻付生卵は段積みトレー等に収納したまま加熱すればよい。
この加熱工程により、殻付生卵の卵白と卵黄は、適度な硬さに熱凝固すると同時に、その卵殻は急激な昇温によりヒビが発生する場合がある。しかし、このヒビは茹卵の品質に何等悪影響を与えないばかりか、本発明においては殻が剥けやすくなるという利点が生れる。なお、加熱手段として蒸気を用いるスチーマーを使用すると冷えた殻付生卵を段階的に昇温させることになるので、殻にヒビが発生するのを少なくすることができる。
【0009】
最後に、この茹卵の殻を剥けば、偏芯の少ない茹卵を得ることができる。
その理由を図面によって説明すると次のとおりである。
鮮度の低下した殻付生卵は、濃厚卵白が水溶化することにより、図2(1)に示すように卵黄は気室のある卵の鈍端部に移動する傾向がある。したがって、これを加熱凝固させると卵黄が偏芯した茹卵ができやすくなる。
ところが、この殻付生卵は、鈍端を上にして立てたまま−1℃〜5℃に冷却すると卵白と卵黄の比重差がなくなり、卵黄が下方に移動して、図2(2)に示すように卵の中心部付近に納まるのではないかと推察される。したがって、これをそのまま加熱凝固させると卵黄の偏芯の少ない茹卵が得られるものと考えられる。
なお、卵白と卵黄の比重差がなくなる原因として、冷却により空気中の炭酸ガスが殻付生卵の卵白に吸収され、卵白の比重が小さくなるのではないかと推察される。
【0010】
実施例
産卵直後の新鮮な鶏卵を常温(25℃)に1週間保存して鮮度を低下させた。この殻付生卵は、卵白のpH9.25、HU65.1であった。なお、HUはハウ・ユニットの省略であり、鮮度低下とともに濃厚卵白が水溶化することを利用した卵の鮮度判定の基準値であり、下記の数式から算出される。鮮度低下に伴いその値が小さくなる。HU65.1はかなり鮮度が低下した卵である。
【0011】
【数1】
HU=100×log(H−1.7W0.37+7.6)
W:殻付生卵の重量(g)
H:割卵して平板上に卵液をおいたときの濃厚卵白の高さ(mm)
【0012】
次に、上記殻付生卵を4群に100個ずつ分け、それぞれの群ごとに殻付生卵を段積みトレーに鈍端部を上にして立てたまま収納し、その殻付生卵を次の温度に冷却した。
一群(比較例1):25℃(冷却せず)
二群(比較例2):10℃(0℃の冷蔵庫に30分間保管)
三群(実施例1): 5℃(0℃の冷蔵庫に1時間保管)
四群(実施例2):−1℃(−1.5℃の冷蔵庫に2時間保管)
【0013】
次に、各群のサンプルをトレーに収納したまま縦型スチーマー内に入れ、96℃〜97℃で17分間加熱した後冷却水中で冷却し、次いで殻剥きをして各群ごとに殻むき茹卵を得た。
そして、各群からそれぞれ22個のサンプルをランダムに選び、各サンプルを真二つにカットして、サンプルの卵黄の偏芯度を調べた。各群の偏芯度の分布状況は、表1のとおりである。
なお、偏芯度とは、図1に示すように、茹卵の最も長い横軸距離をLmmとし、また、凝固卵白3の最も薄い部分の厚さをXmmとしたとき、X/Lの式から求められる値をいう。数値が小さくなる程偏芯が著じるしいことを示す。
例えば、茹卵の最も長い横軸距離が40mmの卵において、凝固卵白の最も薄い部分の厚さが5mmであるとき、偏芯度は0.125となるが、凝固卵白の最も薄い部分の厚さが2mmであれば、偏芯度は0.05となる。
【0014】
【表1】
【0015】
表1より、殻付生卵の冷却温度を−1℃〜5℃にすると偏芯度が大きなところに分布するようになり、鮮度の低下した原料卵を用いても偏芯の少ない茹卵が得られることが理解できる。
【0016】
試験例1
鮮度が劣る殻付生卵(鶏卵:HU60,pH9.35)を500個用意し,これを五群に100個ずつに分け、それぞれの群ごとに殻付生卵を段積みトレーに鈍端を上にして立てたまま収納した後、これを実施例の冷却法に準じて冷却して一群:25℃、二群:10℃、三群:5℃、四群:2℃、五群:−1℃に、サンプルを冷却した。
次に、各群のサンプルをトレーに収納したまま、熱水シャワー式加熱装置にて97℃〜98℃で20分間加熱した後、冷却水中で冷却した。
得られた殻付生卵について、各群ごとに殻の剥きやすさを調べると共に、殻を剥いて得られた茹卵の偏芯度を実施例と同じ方法で測定した。そして、各群のサンプルのうちでスコッチエッグの原料としてふさわしい偏芯度0.081以上のものを適として、その割合を調べた。なお、スコッチエッグは茹卵を芯体とする加工食品であり、供食に当っては真二つにカットして切り口を上にして盛り付けるものであるから、卵黄の偏芯度が品質に大きく影響するものである。
上記結果は、表2のとおりである。
【0017】
【表2】
【0018】
表2より、殻付生卵の冷却温度を−1℃〜5℃にすればスコッチエッグ用として適した偏芯の少ない茹卵が得られ、また冷えた茹卵を従来のように予備加熱をせずとも殻が比較的剥きやすいことが理解できる。
【0019】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、鮮度の低い殻付生卵を用いても卵黄の偏芯の少ない茹卵を簡便に製造することができる。
【0020】
【図面の簡単な説明】
【図1】殻を剥いた茹卵の断面であって、卵黄の偏芯度を解説するための参考図である。
【図2】(1)は鮮度の低下した殻付生卵の断面であり、(2)はそれを冷却したときの断面(想定図)の説明図である。
【符号の説明】
1・・・殻剥き茹卵 1'・・・殻付生卵
2・・・凝固卵黄 2'・・・卵黄
3・・・凝固卵白 3'・・・卵白
4・・・卵殻
L・・・最も長い横軸距離(mm)
X・・・凝固卵白の最も薄いところの厚さ(mm)
Claims (1)
- 殻付生卵を鈍端を上にして立てたまま、−1℃〜5℃に冷却した後、この−1℃〜5℃に冷却した殻付生卵を、鈍端を上にして立てたままの状態で加熱して加熱凝固させることを特徴とする茹卵の製法。
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