JP2003334033A - デザート用殺菌凍結卵白及びその製造方法 - Google Patents

デザート用殺菌凍結卵白及びその製造方法

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JP2003334033A
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dessert
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Shuntaro Ise
俊太郎 伊勢
Hirokazu Kawagishi
宏和 河岸
Masahiko Noguchi
雅彦 野口
Sawako Hara
佐和子 原
Shizuko Nakamura
静子 中村
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Ise Delica Co ltd
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Ise Delica Co ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に大量生産されるデザート用卵白に高
い気泡性を与える。 【解決手段】 レモン果汁を添加して、卵白のpHを
6.5〜7.5に調整した後に、加熱殺菌して凍結させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、起泡性および泡の
安定性に優れたデザート用殺菌凍結卵白、およびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、製菓などのデザート作りにお
いては、材料となる卵白の高い起泡性と、泡の安定性と
が求められている。一般的な、各家庭でのデザート作り
のように、割卵直後の卵白を使用する場合は起泡性も高
く、その安定性も優れている。しかし、卵白をデザート
の原料として工業的に大量生産し、時間をかけて広域に
流通させることになると、起泡性やその安定性について
の問題が生じ、更に、流通過程などにおける時間的経過
によるサルモネラ菌の増殖などの問題も生じてくる。
【0003】このサルモネラ菌は生卵における代表的な
食中毒菌であり、その増殖は、卵白中では全卵中よりも
多少は抑制される。しかし、その流通に長時間を要する
と、食中毒を引き起こす菌数にまで増殖する恐れがあ
る。このため、卵白の流通における微生物的安全性か
ら、卵白の加熱殺菌が行われている。しかし、加熱し過
ぎると卵白が熱凝固することから、殺菌温度は60℃以
下で実施されることが多い。この60℃以下温度では、
サルモネラ菌は効率よく殺菌されるも、セレウス菌のよ
うな耐熱菌までは殺菌することはできない。そこで、長
期の流通期間中での微生物的安全性を確保するため、殺
菌後は、凍結した状態で流通させることが行われてい
る。ところが、微生物的安全性のために実施しているこ
れらの加熱殺菌と凍結処理が、卵白の起泡性やその安定
性を著しく低下させている。
【0004】この加熱殺菌により卵白の起泡性が低下す
る理由としては、卵白構造タンパク質のうちのコンアル
ブミンが加熱変性により不溶化することが原因とされて
いる。また、凍結処理が起泡性を低下させる理由として
は、オボアルブミンの凍結変性による不溶化が原因とさ
れている。そして、加熱殺菌による起泡性の低下を解決
するためには、硫酸アルミニウム、トリエチルクエン
酸、または、胆汁酸を添加し、中和して加熱するなどの
工夫が行われ、また、蛋白加水分解物と多糖類とを添加
すること(例えば、特開平9−313100号)なども
行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の硫酸ア
ルミニウムなどの薬剤的な添加物は、最近、高まってき
た食品の安全性に対する志向から敬遠される傾向にあ
る。即ち、天然性と健康的なイメージのある添加物であ
って、さらに、デザートの製造にマッチしている添加物
が望まれている。
【0006】このような観点からは、卵白にレモン果汁
を添加して中和し、起泡性を改善するという一般家庭向
きの方法が以前から存在していた。しかし、この方法で
は、消費者がその都度、果汁を準備し、添加しなければ
ならないという問題があり、工業的な殺菌凍結卵白の大
量生産に用いられたことはなかった。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、卵白にあらかじめレモン果汁を添加して中和し、
更に加熱殺菌、凍結処理することにより、解凍後は、起
泡性改善のための添加剤を加えなくても高い起泡性を維
持できるような殺菌凍結卵白の工業的生産、およびその
長期間保存が可能になることを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。
【0008】本発明の殺菌凍結卵白は、果汁のなかでも
レモン果汁という、天然性および健康的なイメージとを
併せ持ち、かつ、デザート製造にも利用される素材を用
いていることから、最近の食品に対する健康および安全
志向にもマッチしている。さらに、解凍後は、デザート
作りの都度、レモン果汁などを準備しなくても済むとい
う、消費者側のメリットがある。
【0009】すなわち本発明は、解凍後、起泡性改善用
の添加剤を用いなくても高い起泡性およびその安定性を
維持できるような殺菌凍結卵白、およびその製造法を提
供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明でいう卵白とは、鶏卵より
調製されたものであれば特に限定されるものではなく、
全卵から卵白のみを分離したものであれば、いずれの形
態でもよい。本発明でいうレモン果汁とは、通常のレモ
ンから製造される濃縮果汁であり、濃縮レモン果汁中の
パルプは除去し、保存料は使用せず、熱処理後、冷凍保
存したものである。規格の例を挙げると、酸成分として
は無水クエン酸として約320g/リットル、濃縮率は
約1/6.5のものがある。
【0011】なお、通常のレモン果汁でも気泡性を高め
ることができるも、このように、濃縮レモン果汁を用い
れば、生レモン果汁を添加する場合に比較し、工業的に
デザート用卵白を生産する場合には、その都度、大量の
レモンを搾汁する必要がなく、また、濃縮果汁を用いれ
ば、生レモン果汁に比べて少量の添加で済むため、結果
的には不要な水分を加えずにすむという利点がある。さ
らに、凍結果汁であれば、必要に応じ、凍結果汁を解凍
することにより、一年中、何時でも、大量のデザート用
卵白を製造することが容易に可能となるという利点があ
る。
【0012】そして、この濃縮レモン果汁を用いる場
合、卵白の重量に対して0.4パーセント程度の重量の
濃縮レモン果汁を添加することにより、pHを6.5〜
7.5の範囲に中和するように調整するものである。こ
のpHが7.5以上の場合は、レモン果汁を添加した効
果が現れず、卵白の気泡性はほとんど改善されない。ま
た、pHを6.5以下とする場合は、卵白が水の状態に
近くなり、気泡性が極めて低くなってしまうため、pH
を6.5〜7.5とするように中和するものである。
【0013】そして、本発明での殺菌には、かきとり式
殺菌機やプレート式殺菌機などを用いることができ、と
くに限定されるものではない。殺菌の目的は、卵白中の
サルモネラ菌を主体とする微生物を死滅、あるいは大幅
に減少させることであり、その温度は、殺菌効果と、卵
白が熱凝固する温度とを勘案して、56℃で3.5分間
程度の処理を行うことが好ましい。
【0014】また、本発明での凍結とは、卵白の長期保
存およびその間の微生物の増殖を停止させることを目的
とするものである。温度は、卵白が凍結固化する−5℃
以下が好ましく、とくに限定されるものではないが、流
通上の温度変化に対する微生物的安全性、および冷凍装
置の能力やコストなどを勘案すると、−10℃から−2
5℃程度が望ましい。
【0015】例えば−10℃以上では、流通時の温度変
化により気温の高い状態に曝されると溶け出す虞があ
り、また、−25℃以下では、流通時の温度変化により
溶けたり微生物や細菌が活性化する虞はなくなるも、冷
凍工程において設備費の増大や処理時間が長くなるなど
の不都合が生じるものである。尚、凍結温度を低くする
ほど製品としての凍結卵白の安定性は高く、流通に時間
を要する広範囲への提供が容易となるものである。
【0016】
【実施例】卵白10キログラム(鶏卵約300個分)
に、濃縮率約1/6.5のレモン果汁40グラムを加え
てpHを約7.0とし、かきとり式殺菌法により56℃
で3.5分間の加熱殺菌を行い、−18℃に冷凍した冷
凍卵白を製造した。次に、この実施例により製造した卵
白を4℃の冷蔵庫内で解凍した卵白の試験により、殺菌
凍結卵白の起泡性およびその安定性に及ぼすに効果につ
いて説明する。
【0017】試験例1(気泡性) レモン果汁を添加してpHを約7に調整した後に加熱殺
菌した卵白、およびレモン果汁を添加してpHを約7に
調整した後に加熱殺菌さらに凍結して解凍した本実施例
の卵白における起泡性を測定した。比較対照として、割
卵して調製した卵白、何も添加せずに本願と同様に加熱
殺菌した卵白、および何も添加せず本願と同様に加熱殺
菌後に冷凍して解凍した卵白を用いた。
【0018】ケンミックスミキサー(KM600 PK127/W ミ
キサーボールの下径15cm上径22cm)を用い、前述の
各卵白の300gをそれぞれ泡立てたときの泡の高さを
図1に示す。なお、ミキサーの回転速度は、装置の目盛
のレベル4とした。この図1中の△は、レモン果汁を添
加してpHを約7に調整した後に加熱殺菌した卵白であ
り、○はレモン果汁を添加してpHを約7に調整した後
に加熱殺菌さらに凍結して解凍した卵白である。また、
□は割卵して調製した卵白、▲は何も添加せず加熱殺菌
した卵白、●は何も添加せず加熱殺菌後に冷凍して解凍
した卵白である。
【0019】この図1に示されたように、レモン果汁を
添加した卵白は、攪拌初期より起泡性に優れ、攪拌7分
間での泡の高さは無添加の2倍の12cmに達した。ま
た、攪拌3分間以降は、割卵して調製した卵白よりも優
れた起泡性を示した。そしてレモン果汁を添加した卵白
では、加熱殺菌したもの、加熱殺菌して凍結後に解凍し
たものでも、起泡性に差は認められなかった。
【0020】しかし、流通における微生物的安全性から
は、凍結保存の形態が望ましいものである。 試験例2(安定性) 卵白の泡の安定性を比較するために、試験例1に記載の
5種類の卵白を、試験例1に記載の方法で5分間泡立て
た後、その一部をカップ(直径5cm 高さ10cm)に移
して30分間静置したときの液戻り量を、液の高さで測
定した結果を図2に示す。
【0021】尚、図2中の横軸方向の符番1は、レモン
果汁を添加してpHを約7に調整した後に加熱殺菌した
卵白であり、符番2はレモン果汁を添加してpHを約7
に調整した後に加熱殺菌さらに凍結して解凍した卵白で
ある。また、符番3は割卵して調製した卵白、符番4は
何も添加せず加熱殺菌した卵白、符番5は何も添加せず
加熱殺菌後に冷凍して解凍した卵白である。
【0022】このように、レモン果汁無添加卵白では、
加熱殺菌した卵白(符番4)が15mm、加熱殺菌後に凍
結解凍した卵白(符番5)では6mmの高さの液戻りを示
し、安定性は低かった。しかし、レモン果汁を添加して
pHを約7に調整した後に加熱殺菌した卵白(符番1)
では、その安定性は、割卵して調製した卵白(符番3)
と同等で、ほぼ液戻りをしていないと判断される1mmで
あった。さらに、本発明の、レモン果汁を添加してpH
を約7に調整した後に加熱殺菌さらに凍結して解凍した
卵白(符番2)では、泡戻りはほとんど認められず、極
めて高い安定性を示した。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、卵白にレモン果汁を添
加して、そのpHを6.5〜7.5に調整した後に、加
熱殺菌、凍結することにより、解凍後に起泡補助剤等を
添加しなくても、割卵調製した卵白以上に優れた起泡性
と安定性を有する卵白であって、天然性に優れた殺菌凍
結卵白の工業的生産およびその長期保存流通が可能とな
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】レモン果汁添加または無添加の各種卵白をミキ
サーにかけたときの泡の高さを示すグラフ。
【図2】レモン果汁添加または無添加の各種卵白の、起
泡後の泡の安定性を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 雅彦 茨城県竜ヶ崎市馴馬町5167番地1 イセデ リカ株式会社内 (72)発明者 原 佐和子 茨城県竜ヶ崎市馴馬町5167番地1 イセデ リカ株式会社内 (72)発明者 中村 静子 茨城県竜ヶ崎市馴馬町5167番地1 イセデ リカ株式会社内 Fターム(参考) 4B042 AC06 AD40 AE03 AG07 AH11 AK11 AP02 AP18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レモン果汁を含有することを特徴とする
    デザート用殺菌凍結卵白。
  2. 【請求項2】 レモン果汁を添加して、卵白のpHを
    6.5〜7.5に調整した後に、加熱殺菌して凍結させ
    ることを特徴とするデザート用殺菌凍結卵白の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のレモン果汁が、濃縮レ
    モン果汁であることを特徴とするデザート用殺菌凍結卵
    白の製造方法。
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