JP4868180B2 - 殻付加熱処理卵の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、卵白が加熱処理されてなる殻付加熱処理卵(ただし、ゆで卵を除く。)を製造する方法に関する。
工業的に温泉卵を製造する代表的な方法としては、例えば、数百個単位で殻付卵をトレーに並べ、その殻付卵をトレーごと68℃に保持された温水中に浸漬し、温水を撹拌しながら30分間温水中で加熱凝固処理した後、直ちに冷水に浸漬してその温度を50℃以下に冷却するという方法が広く実施されている。しかし、この製造方法においては、得られる温泉卵の卵殻にひびや割れ目が生ずる現象(破卵)が発生するということがあり、破卵を防止することが求められている。
ところで、生卵の商品価値を決定する重要な要素として鮮度が挙げられる。このことは、温泉卵についても同様であり、加熱凝固処理すべき温泉卵用原料殻付卵として、産卵からあまり時間が経過していない新鮮なものを使用することが求められている。
従って、殻付卵の鮮度を客観的に判断することが必要となるが、その指標としてハウユニットや生卵白のpHが知られている。生卵白のpHを鮮度指標とする理由は、卵が産み落とされた後、時間の経過と共に生卵白のpHが上昇し、最終的にpH9.7程度まで上昇するという事実があるためである。このpHの上昇は、卵白から二酸化炭素が放出されるために生ずると考えられている。また、ハウユニットは、殻付卵を平板上に割卵した際の濃厚卵白の高さと殻付卵重量から算出するもので、ハウユニットが高い程鮮度が高いと評価される。経験的に、殻付卵が通常の流通経路にある場合にそれが新鮮であるということの目安のハウユニットは70以上である。
また、このようなハウユニットや生卵白のpHは、保管温度の影響を受け、保管温度が低い程ハウユニットの低下や生卵白のpHの上昇が抑制される。そのため、殻付卵は、鮮度管理の点から、養鶏場、GPセンター(鶏卵選別・包装施設)、鶏卵加工業者等の流通の各段階において、一定温度に温度管理した保管庫(以下、貯卵庫という)に保管されている。
一方、加熱凝固処理すべき殻付卵の新鮮さと、殻付卵の保管条件との関係に着目しつつ、殻付加熱処理卵を製造するために殻付卵を加熱凝固処理した場合、ハウユニットが87程度で生卵白のpH値が8.6前後の比較的新鮮な殻付卵を使用すると、かなりの割合で破卵が生じるという問題がある。この問題の原因は明確ではないが、新鮮な卵白には二酸化炭素が多く含まれており、加熱するとこの二酸化炭素が気化して殻付卵の内部圧力が高まるためと考えられる。
また、殻付卵の貯卵庫での保管に際し、鮮度や保管条件の異なる殻付鶏卵が混ざり合っていると、保管後の生卵白のpHにバラツキが生じる。これに対しては、二酸化炭素濃度0.05容量%以上0.6容量%未満の雰囲気に調整した貯卵庫に殻付鶏卵を保管することにより、殻付鶏卵の生卵白のpHを固ゆで卵の製造に適した8.80〜9.15の範囲に収束させ、卵殻の剥き易さを高めると共に硫化黒変を生じにくくする技術が提案されている(特許文献1)。


特開2002−325560号公報
しかし、特許文献1の技術をゆで卵以外の殻付加熱処理卵に適用した場合、その工業的生産という観点から、破卵率が十分に改善されたとは言えないという問題があり、また、殻付卵の生卵白のpHを所定のpH域に収束させるために、数日間の保管が必要になる場合があり、そのような場合、原料卵として新鮮卵を使用して欲しいという消費者の要求に応じることができないという問題がある。
本発明の目的は、以上の従来技術の問題を解決しようとするものであり、卵白が加熱処理されてなる殻付加熱処理卵(ただし、ゆで卵を除く。)を製造する際に、産卵から間もない新鮮な殻付卵を原料として使用しても、破卵の発生を抑制しつつ目的の殻付加熱処理卵を製造できるようにすることである。
本発明者らは、殻付卵を貯卵庫で保管する際に、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素を二酸化炭素除去手段により除去しながら行うと、殻付卵の鮮度を保ったまま、生卵白のpHを迅速に上昇させることができ、その結果、破卵を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、殻付卵を、貯卵庫で保管した後、加熱処理する殻付加熱処理卵(ただし、ゆで卵は除く。)の製造方法において、殻付卵の貯卵庫での保管を、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素を二酸化炭素除去手段により除去しながら行うことを特徴とする製造方法を提供する。
また、本発明は、好ましい態様として、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素を、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素濃度が300ppm以下に維持されるように二酸化炭素除去手段により除去する態様、貯卵庫での殻付卵の保管を、殻付卵の生卵白のpHが少なくとも9.15以上となるまで行う態様、殻付卵の貯卵庫での保管期間が、殻付卵のハウユニットが70未満とならない期間である態様、及び殻付卵の保管の際に、貯卵庫内温度を−2〜20℃に調整する態様を提供する。
本発明の殻付加熱処理卵の製造方法においては、加熱凝固処理を施すべき殻付卵を貯卵庫で保管する際に、二酸化炭素除去手段で庫内の二酸化炭素を連続的にまたは断続的に除去する。従って、本発明の殻付加熱凝固卵の製造方法によれば、生卵白のpHを迅速に上昇させることができるので、卵白が流動性の乃至は半熟状の殻付加熱処理卵を、新鮮な卵を用いても破卵の割合を大きく低減させ、工業的に有利に製造することができる。
本発明は、破卵が極力生じないようにした殻付加熱処理卵の製造方法である。ここで、「殻付加熱処理卵」とは、卵白が加熱処理されているものをいい(ただし、ゆで卵を除く。)、具体的には、例えば、卵白が半熟状である一般的に温泉卵と称せられるもの、また特許第3054383号公報に記載されている加熱処理卵、卵白が生卵と同様の流動性を有する加熱処理卵等が挙げられる。従って、本発明では卵黄の凝固状態は問わず、卵黄が完全に凝固していても、流動性を有していてもよい。ここで、前記ゆで卵とは、殻剥きできる程度に卵白が凝固しているものをいう。また破卵とは、卵殻にひびもしくは亀裂が生じている卵であり、卵殻膜に亀裂が存在するか否かは問わない。
本発明の製造方法においては、まず、殻付卵を貯卵庫で保管する。殻付卵の貯卵庫での保管は、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素を二酸化炭素除去手段により、連続的もしくは非連続的に除去しながら行う。二酸化炭素を除去する理由は以下の通りである。
即ち、一般的に、空気中には体積比で窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.93%及び二酸化炭素0.034%等が含まれている。一方、温度管理のできる密閉型貯卵庫に殻付卵を保管すると、殻付卵の生卵白内に溶解・充満した二酸化炭素が、卵殻の気孔を通って卵殻外に逸散することにより、貯卵庫の雰囲気中の二酸化炭素濃度が上昇し、例えば、殻付卵100万個程度を収容する容量1000m程度の密閉型貯卵庫に一度に鮮度の良い殻付卵を満杯量収容して10℃で3日程度保管した場合に、雰囲気中の二酸化炭素濃度が700ppm程度にもなる場合がある。そこで、貯卵庫内の二酸化炭素濃度を二酸化炭素除去手段で除去することにより、貯卵庫内の二酸化炭素濃度を低下させ、殻付卵の生卵白内に溶解・充満している二酸化炭素が卵殻の気孔を通って卵殻外に逸散することを加速し、結果的に殻付卵の生卵白のpHを速やかに上昇させることができる。
なお、この殻付卵の生卵白のpHの上昇に関する本発明者等の研究の中で、従来、殻付加熱処理卵の製造の際に、破卵を抑制できるpH域があるのかという観点からの研究はなされていなかったところ、殻付卵の生卵白のpHを好ましくは9.15以上とすることにより、破卵を抑制できることが見出された。従って、本発明においては、殻付卵の生卵白のpHを9.15以上にまで上昇させることが好ましい。
本発明の製造方法における二酸化炭素の除去の程度は、貯卵庫の二酸化炭素濃度が高すぎると殻付卵の生卵白の迅速なpH上昇が望めないので、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。なお、二酸化炭素濃度を20ppmより下げようとすると、そのための設備費用が増大するため、より好ましい濃度範囲は20〜200ppmとなる。なお、本発明においては、保管中全期間にわたって貯卵庫内の二酸化炭素濃度を300ppm以下、更に20〜200ppmに維持し続けることが好ましい。
二酸化炭素除去手段は、化学吸収法、吸着分離法又は膜分離法等を行う装置とすることができ、化学吸収法では、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ソーダ石灰、炭酸カリウム、アルカノールアミン等を使用し、吸着分離法では、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等を使用し、膜分離法では、ポリイミド中空糸膜等を使用する。これらの二酸化炭素吸収剤又は吸着分離剤は、開放形の容器に充填して貯卵庫内に設置してもよく、また、二酸化炭素吸収剤又は吸着分離剤を充填したカラムに貯卵庫内の空気が循環するように吸収・排気系を組んでもよく、貯卵庫の冷蔵装置に二酸化炭素吸収剤又は吸着分離剤を組んでもよい。
また、二酸化炭素除去手段の二酸化炭素除去能力については、貯卵庫に収容する殻付卵の数、雰囲気温度等にもよるが、殻付卵から放出される二酸化炭素量よりも二酸化炭素除去手段の二酸化炭素除去能力を高く設定して、殻付卵からの二酸化炭素放出量を促進すればよい。具体的には、文献(K.M.Keener et al, "Chemical Method for Determination of Carbon Dioxide Content in Egg Yolk and Albumen", Poultry Sci., 80, 983 (2001))によれば、産卵2日後の鶏卵卵白には、二酸化炭素が1.44mg/g卵白の割合で含まれることが報告されている。Mサイズ鶏卵中には平均36g程度の卵白が含まれるため、Mサイズ鶏卵の鶏卵1個の卵白からは最大約52mg/個の二酸化炭素が放出されると考えられる。したがって、鶏卵1000個を保管する貯卵庫の二酸化炭素除去能力としては、鶏卵1000個から放出される二酸化炭素の量が最大で52gと考えられることから、1kgあたり0.3kgの二酸化炭素を吸着するソーダ石灰を少なくとも173g用いればよい。
以上説明したような二酸化炭素除去手段を備えた貯卵庫を使用すると、貯卵庫での保管中に、殻付卵の鮮度を保ったままその生卵白のpHを短時間で上昇させ、破卵の割合を極力低減しつつ殻付加熱処理卵を製造することが可能となる。より具体的には、pH8.5前後、ハウユニット85程度の新鮮な殻付鶏卵を、低温(5℃)で鮮度を保ったまま保管した場合であっても3日以内で、pHを9.15以上に速やかに上昇させることが可能となる。
貯卵庫内の温度は、鮮度の指標であるハウユニットの低下を防ぐため、20℃以下とすることが好ましく、15℃以下とすることがより好ましい。一方、温度が低すぎると凍結して二酸化炭素の逸散ができないことから好ましくは−2℃以上、設備費用の点からより好ましくは0℃以上である。従って、好ましい温度範囲は0〜15℃となる。
また、貯卵庫内の湿度は、殻付卵から水分が蒸発して気室が大きくなることを抑制するため、平均湿度50%RH以上、より好ましくは70%RH以上とすることが好ましい。
かかる温度、湿度の調整は、従来の貯卵庫に付帯している冷蔵設備や湿度調節設備等により行うことができる。
本発明において、貯卵庫に保管すべき殻付卵は、商品価値が高い新鮮卵を使用することが好ましいが、新鮮の程度を外見だけで判断することは実質上不可能である。そこで、本発明では、新鮮度と密接な関係のあるハウユニットの数値で判断することができる。一般的には、産卵後1日程度経過した殻付卵のハウユニットが100程度であり、大気中、20℃で保存した際に保存開始から5日後のハウユニットがほぼ70であることから、本発明では、ハウユニットが70以上の殻付卵を貯卵庫で保管し、そのハウユニットを保管中全期間に亘って70以上に維持するようにすることが好ましい。通常、殻付卵を貯卵庫に保管している間にそのハウユニットが若干低下することを考慮すると、保管庫に保管前の殻付卵として、ハウユニットが85以上のものを使用することが好ましい。
なお、貯卵庫に保管する前の殻付卵のハウユニットに関し、同じ製造ロットの多数の殻付卵から好ましくは5個をサンプリングし、それらを割卵して常法に従ってハウユニットを測定し、それらの相加平均値を求め、得られた結果を残りの同じ製造ロットの殻付卵の生卵白のハウユニットとする。保管後の殻付卵のハウユニットについても同様である。ここで同じ製造ロットの殻付卵とは、基本的には同じ飼育環境(ケージ環境、餌の種類、品種、月齢等)にある同種の鳥類(鶏、ウズラ、チャボ、アヒル等)が産卵した卵を3日以内に集卵したものであるが、ハウユニットの差が20程度であれば異なる飼育環境の鶏から採卵した殻付卵を同一製造ロットとして使用することができる。
本発明において、殻付卵の貯卵庫での保管期間は、上述したようなハウユニットという観点から見た場合、殻付卵のハウユニットが70未満とならない期間とすることが好ましい。このことは、保管中全期間に亘って殻付卵のハウユニットを70以上に維持することを意味する。
また、殻付卵の貯卵庫での保管期間をpHという観点から見た場合、その保管期間は、好ましくは生卵白が殻付加熱処理卵の製造に適したpHである9.15以上、より好ましくは9.20以上となるまでの期間となる。ここで、pHを9.15以上とするのは、9.15未満であると、殻付加熱処理卵の製造の際に生ずる破卵の割合が増加する傾向が高まり、工業生産上無視できないからである。なお、pHは保管期間を長くすることにより9.70程度まで上昇させることができるが、保管期間が長くなることは工業生産上不利になる。従って、pHが9.15に到達した時点が保管終了の一応のタイミングとなる。
殻付卵の生卵白のpHは、上述のように殻付卵を貯卵庫に保管している間に上昇させるので、保管開始時のpHには特に制限はないが、新鮮な鶏卵である場合には一般的に8.0〜8.7程度である。
なお、殻付卵の生卵白のpHに関し、ハウユニットの測定と同様に、同じ製造ロットの多数の殻付卵から好ましくは5個をサンプリングし、それらを割卵して常法に従ってpHを測定し、それらの相加平均値を求め、得られた結果を残りの同じ製造ロットの殻付卵の生卵白のpHとする。保管後の殻付卵の生卵白のpHについても同様である。ここで同じ製造ロットの殻付卵とは、基本的には同じ飼育環境(ケージ環境、餌の種類、品種、月齢等)にある鳥(鶏、ウズラ、チャボ、アヒル等)が産卵した卵を3日以内に集卵したものであるが、pHが8.0〜8.7程度であれば、異なる飼育環境の鶏から採卵した殻付卵を同一製造ロットとして使用することができる。
殻付卵の保管期間について、ハウユニットと生卵白のpHという観点から説明したが、具体的な期間としては、保管雰囲気中の二酸化炭素濃度、保管温度、保管湿度等にもよるが、常温で流通している通常の産卵後0〜3日の殻付鶏卵を雰囲温度5〜20℃で保管する場合、半日〜5日とすることが好ましく、1〜3日とすることがより好ましい。これにより、ハウユニットを70以上に維持しつつ殻付卵の生卵白のpHを9.15以上にすることができるので、破卵の発生割合を大幅に抑制しつつ殻付加熱処理卵を工業的に有利に製造することが可能となる。これに対し、保管日数が短すぎると生卵白のpHを十分に上げることができず、保管期間が長すぎると、ハウユニットが70を下回るおそれがある。
本発明の製造方法においては、上述したように保管した結果物である殻付卵(好ましくはハウユニットが70以上であり且つpHが9.15以上である殻付卵)を、通常、貯卵庫から取り出し、加熱処理する。必要に応じて冷却する。これにより破卵の発生割合を大幅に抑制しつつ殻付加熱処理卵を得ることができる。
加熱処理としては、従来の殻付加熱処理卵の加熱処理と同じ条件を採用することができる。例えば、常法による温泉卵の調製方法、特許第3054383号公報(段落0017〜0019)記載の条件により調製すればよいが、一般的には、55℃〜90℃付近の温水や気体、スチームで5分から2時間程度加熱後、4〜10℃程度に冷却するという条件が挙げられる。ここでいう冷却は、卵殻表面の温度を50℃以下に低下させるために行うものであり、余熱により卵白が更に加熱変性することを防止するためである。冷却手法は特に限定されず、室温放置、冷蔵庫投入、冷水浸漬、水シャワー等、適宜選択することができる。
好ましい加熱処理の具体例としては、68℃の温水中で30分間加熱した後、必要に応じて冷水または4℃程度の冷蔵庫中で冷却する方法が挙げられる。
以下、本発明を具体的に説明する。
実施例1
同じ養鶏場において同じ月齢で且つ同じ種類の鶏が同じ日に産卵し、採卵から1日経過したMサイズの生の殻付卵を310個用意した。
それとは別に貯卵庫として用意した恒温器内に、5%水酸化ナトリウム溶液7Lを注入した容器からなる二酸化炭素除去装置を設置した。次に、エアーポンプ((株)イワキ製APN−240型)を用いて恒温器内の空気を5%水酸化ナトリウム溶液に吹き込むことで、恒温器内の二酸化炭素を除去した。なお、二酸化炭素除去前の貯卵庫内の二酸化炭素濃度は500ppmであった。
次に、上述の生の殻付卵305個をプラスチックトレーに並べ、5℃、70%RHに調整された上述の恒温器内に入れ、そのまま3日間保管した。なお、保管前の殻付卵のハウユニットと生卵白のpHは、保管前の殻付卵5個を後述する方法に従って測定した。また、保管後の殻付卵のハウユニットと生卵白のpHとについては、プラスチックトレーに載せてあった殻付卵5個を取り出し、上述と同様に測定した。得られた結果を表1に示す。
なお、保管中の貯卵庫内の二酸化炭素濃度については、保管開始から15分毎に二酸化炭素濃度分析計(GM70、ヴァイサラ(株)製)を用いて測定し、それらの相加平均値を求め、得られた結果を保管中の貯卵庫内の二酸化炭素濃度とした。得られた結果を表1に示す。
これとは別に、保管終了後の殻付卵300個を取り出し、それを68℃の湯中で30分間加熱することで殻付加熱処理卵(いわゆる温泉卵)を製造した。そして得られた殻付加熱処理卵の破卵の改善を後述の方法で評価した。その後、余熱により卵白が更に加熱凝固変性することを防止するために、4℃の冷蔵庫に入れ冷却した。これらの結果を表1に示す。
<殻付卵のハウユニットの測定>
保管前又は保管後の殻付生卵(5個)を10℃の冷蔵庫内に静置して品温を約10℃とした後、EGGマルチテスターEMT−5200(JA全農取扱品)を使用して殻付生卵の重量を測定し、さらに生の殻付卵を割卵して卵の濃厚卵白の高さを測定してハウユニットを求め、それらの相加平均値を算出した。得られた数値を、それぞれ保管前又は保管後の殻付卵のハウユニットとした。
<生卵白のpHの測定>
上述したようにハウユニットを測定した後の5個の殻付生卵のそれぞれについて、卵黄膜が破れないように卵黄と卵白を分離し、卵白を100mlのビーカーに入れた。この卵白をヒスコトロン((株)日音医理科器機製作所製、NS−50型)で泡立てないように撹拌して均一にした後、pHメータ(METTLER TOLEDO製 MI229型)の電極を生卵白に接触させて測定し、それらの相加平均値を算出した。得られた数値を、保管後の殻付卵の生卵白のpH値とした。
比較例1
実施例1において、二酸化炭素除去装置を使用しないこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して殻付加熱処理卵を調製し、また、実施例1と同様に貯卵庫内の二酸化炭素濃度を測定し、生卵白のpHとハウユニットとを測定した。得られた結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、保管中の二酸化炭素濃度を200ppmとしたこと以外は実施例1と同様の操作を繰り返して殻付加熱処理卵を調製し、また、実施例1を同様に貯卵庫内の二酸化炭素濃度を測定し、生卵白のpHとハウユニットとを測定し、更に、破卵の改善を評価した。
比較例2
比較例1において、保管中の保管温度を35℃とした以外は比較例1と同様の操作を繰り返して殻付加熱処理卵を調製し、また、同様に生卵白のpHとハウユニットとを測定した。得られた結果を表1に示す。
<破卵の改善の評価>
実施例1又は2の殻付加熱処理卵(温泉卵)300個を目視観察して破卵の個数をカウントし、この個数を、二酸化炭素除去装置を備えた貯卵庫を利用した実施例1又は2の破卵数とした。一方、二酸化炭素除去装置を備えない貯卵庫を使用した以外は、実施例1と同様の方法で調製した比較例1の殻付加熱処理卵300個を目視観察し、破卵の個数をカウントし、この個数を実施例1に対する比較例1の破卵数とした。次に、これらの破卵数を用いて以下の式により破卵改善率を算出し、その値により破卵の改善を次の3段階に評価した。なお、わずかでも卵殻にヒビが入っているものは破卵とした。以下の式を実施例1に適用する場合、「二酸化炭素除去装置を備えた際の破卵数」が実施例1の破卵数に該当し、「二酸化炭素除去装置を備えない際の破卵数」が比較例1の破波卵数に該当する。
Figure 0004868180
(評価ランク 基準内容)
A: 破卵改善率が15%より大きく、大変好ましい場合。
B: 破卵改善率が5〜15%であり、実用上問題のないレベルである場合。
C: 破卵改善率が5%より小さく、実用に適さないレベルである場合。
Figure 0004868180
(評価)
表1からわかるように、二酸化炭素濃度が300ppm以下に調整された貯卵庫に、ハウユニットが70以上で且つ生卵白のpHが9.15以上となるように保管された殻付卵を原料に殻付加熱処理卵を製造した実施例1及び2の場合、比較例1の場合に対し、それぞれ破卵数が減少し、破卵の改善が実用上問題のないB評価であった。
なお、二酸化炭素除去手段を備えない貯卵庫を使用した比較例1の場合には、二酸化炭素濃度が500ppmであったので、保管3日でもpHが9.03までしか上昇せず、結果的に、実施例1の場合よりも破卵数が増加した。また、比較例1の保管温度を5℃から35℃に上げた比較例2の場合には、保管1日でハウユニットが70未満となってしまい、鮮度の問題が生じた。
実施例3及び4
実施例1において、貯卵庫内での殻付卵の保管日数、保管温度及び二酸化炭素濃度を、表2に示す値としたこと以外は、実施例1と同様に殻付加熱処理卵を調製し、同様に生卵白のpHとハウユニットとを測定し、破卵の改善を評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004868180
表2より、貯卵庫内の保管温度が高くなるとハウユニットの低下が大きくなる傾向があることがわかる。
実施例5
実施例1において、保管時の貯卵庫内の二酸化炭素濃度の平均が120ppmとなるようにした他は、実施例1と同様に殻付卵を保管したところ、保管前の殻付卵のハウユニットは89であり、生卵白のpHは8.93であったところ、保管後にはハウユニットは86、生卵白のpHは9.31であった。
上記保管後の殻付生卵を用いて、特許第3054383号公報の実施例1に基づいて本発明による殻付加熱処理卵に相当する加熱処理卵を調製した。得られた加熱処理卵の破卵の程度の評価を実施例1と同様の方法で行なったところ、破卵改善率は28%であり、破卵改善率が15%より大きく、大変好ましい結果であった。
実施例6
実施例5の再現性を確認するために、再度、実施例5を繰り返した。即ち、実施例1において、保管時の貯卵庫内の二酸化炭素濃度の平均が120ppmとなるようにした他は、実施例1と同様に殻付卵を保管したところ、保管前の殻付卵のハウユニットは89であり、生卵白のpHは8.93であったところ、保管後にはハウユニットは86、生卵白のpHは9.31であった。
上記保管後の殻付生卵を用いて、本発明による殻付加熱処理卵に相当する卵白が生卵と同様の流動性を有する加熱処理卵を調整した。具体的には、前記殻付生卵を55℃の湯中で2時間加熱を行うことで卵白が生卵と同様の流動性を有する加熱処理卵を調整した。得られた加熱処理卵の破卵の程度の評価を実施例1と同様の方法で行ったところ、大変好ましい結果であった。
本発明の殻付加熱処理卵の製造方法においては、加熱処理を施すべき殻付卵を貯卵庫で保管する際に、二酸化炭素除去手段で庫内の二酸化炭素を除去する。従って、ハウユニットを70以上に維持したまま、生卵白のpHを、破卵の発生を大きく抑制しつつ殻付加熱処理卵を製造できる好ましいpHである9.15以上に比較的短期間で上昇させることができる。従って、本発明の製造方法によれば、卵白が加熱処理されてなる殻付加熱処理卵(ただし、ゆで卵を除く。)を、破卵の割合を大きく低減させつつ工業的に有利に製造することができる。

Claims (5)

  1. 殻付卵を、貯卵庫で保管した後、加熱処理する殻付加熱処理卵(ただし、ゆで卵を除く。)の製造方法において、殻付卵の貯卵庫での保管を、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素を二酸化炭素除去手段により除去しながら行うことを特徴とする殻付加熱処理卵の製造方法。
  2. 貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素を、貯卵庫内雰囲気中の二酸化炭素濃度が300ppm以下に維持されるように二酸化炭素除去手段により除去する請求項1記載の殻付加熱処理卵の製造方法。
  3. 貯卵庫での殻付卵の保管を、殻付卵の生卵白のpHが少なくとも9.15以上となるまで行う請求項1又は2に記載の殻付加熱処理卵の製造方法。
  4. 殻付卵の貯卵庫での保管期間が、殻付卵のハウユニットが70未満とならない期間である請求項1〜3のいずれかに記載の殻付加熱処理卵の製造方法。
  5. 殻付卵の保管の際に、貯卵庫内温度を−2〜20℃に調整する請求項1〜4のいずれかに記載の殻付加熱処理卵の製造方法。
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