JP4330308B2 - 高速旋回式蒸発装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は各種調味料、各種エキス等の液体原料を濃縮するために用いられる蒸発装置に関するものであって、特に発泡しやすい液体原料や、粘度の高い液体原料や各種廃液を取り扱うことのできる高速旋回式蒸発装置に係るものである。
【0002】
【発明の背景】
従来より、漢方薬生薬エキス、各種調味料、動物エキス、魚介エキス、植物エキス、醗酵液等の各種液体物質や、アミノ酸、酵母、蛋白質等の水溶液あるいは各種廃液等を液体原料とし、この液体原料の濃縮を行う場合には、種々の蒸発装置が用いられている。
このうち液膜上昇式の蒸発装置は、機械的な可動部分が無い簡単な構造であるためイニシャルコストが低く済み、またほとんど故障しないため保守費用を含めたランニングコストも低く済むものであり、更には設置面積が少なく済むといったメリットがあるため広く普及しているものである。
【0003】
前記液膜上昇式蒸発装置D′は、図4に示すように加熱缶1′と蒸発缶2′とをその間の吹込管路3′によって接続して成るものである。そして前記加熱缶1′内に配した長管11′内に流入した液体原料Lを、この長管11′の外側に供給した加熱媒体からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分L1と蒸気成分Sとを前記蒸発缶2′内に吹き込み、この蒸発缶2′内においてこれら液体成分L1と蒸気成分Sとの分離を行う装置である。
【0004】
しかしながら従来の液膜上昇式蒸発装置D′は、発泡性を有する液体原料Lや、高粘度の液体原料Lを取り扱うのに適したものではなかった。
すなわち蒸発缶2′内においては、液体成分L1を高速の旋回流とし、遠心効果により発泡を抑えることが有効であるため、従来の液膜上昇式蒸発装置D′にあっては、蒸発缶2′に対して吹込管路3′を円形横断面の接線方向に流路を形成するように接続し、蒸発缶2′内において液体成分L1の旋回流を起こすことが図られている。しかしながら加熱缶1′から排出された液体成分L1及び蒸気成分Sの流速は10〜20m/s程度であり、蒸発缶2′内における液体成分L1の流速が不充分なものとなってしまい、液体成分L1の発泡を充分に抑えることはできなかった。
【0005】
また前記液膜上昇式蒸発装置D′は、長管11′の内部で液体原料Lを沸騰させ、長管11′内を上昇する蒸気成分Sが液体成分L1を引き上げるものであるため、液体原料Lを加熱缶1′の下部に供給している。
しかしながら加熱缶1′の下部においては液体原料Lが上昇する流速はコンマ数m/s程度と非常に遅いため、戻り管路5′から再び加熱缶1′内に戻る濃縮された状態の液体成分L1と、新たに投入された液体原料Lとがうまく混ざり合わない。この結果濃度の低い部分が先に長管11′内を上昇することとなるため、長管11′内に均等な圧力がかからず、各長管11′での流量が不均一となり、液切れによる過熱や焦げ付きが生じてしまう。
【0006】
【解決を試みた技術課題】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、液体成分の発泡を防ぎ、更に濃縮された状態の液体成分と、新たに投入された液体原料との混合不足による焦げ付き等を防ぎ、発泡しやすい液体原料や、粘度の高い液体原料を取り扱うことのできる、新規な高速旋回式蒸発装置の開発を技術課題としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1記載の高速旋回式蒸発装置は、加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成するとともに、前記加熱缶内に配した複数の長管内に流入した液体原料を、この長管の外側に供給した加熱媒体からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体成分を得る蒸発装置において、前記蒸発缶は平面視で円形の横断面を有するものであり、この蒸発缶に対して前記吹込管路を接続するにあたっては、円形横断面の接線方向に流路を形成するように接続することにより、蒸発缶内において1000〜20000rpmの液体成分の旋回流を生じさせるものであり、このため前記吹込管路における蒸発缶との接続部位近傍の開口断面積を、前記蒸気成分が発生する複数の長管の開口断面積の総和よりも小さく設定することにより、吹込管路内における蒸気成分と液体成分との流速が100〜250m/sとなるようにしたことを特徴として成るものである。
この発明によれば、蒸発缶内において生じる液体成分の旋回流を、流速の速いものとすることができ、その遠心効果によって発泡を効果的に抑えることができる。
【0008】
更にまた請求項2記載の高速旋回式蒸発装置は、前記要件に加え、前記吹込管路における蒸発缶との接続部位の開口断面を、垂直辺が水平辺よりも長い長方形形状とし、蒸発缶内に吹き込む液体成分と蒸気成分とを薄層状態とすることを特徴として成るものである。
この発明によれば、液体成分の旋回流と、上昇する蒸気成分との干渉を軽減するため、液体成分の旋回流の乱れを防止することができる。
【0009】
更にまた請求項3記載の高速旋回式蒸発装置は、前記要件に加え、前記蒸発缶から排出された蒸気成分を圧縮し、圧縮により高温となった過熱蒸気を加熱缶に供給するように構成したことを特徴として成るものである。
この発明によれば、液体原料から発生した蒸気成分の潜熱を有効利用することができ、ランニングコストを低減することができる。
【0010】
更にまた請求項4記載の高速旋回式蒸発装置は、前記要件に加え、前記液体原料の供給は、蒸発缶内に行うように構成したことを特徴として成るものである。
この発明によれば、高速旋回式蒸発装置中に新たに供給された液体原料を、蒸発缶内において濃縮された状態の液体成分と充分に混合し、濃度が均一となった状態で加熱缶に供給することができる。
【0011】
更にまた請求項5記載の高速旋回式蒸発装置は、前記要件に加え、前記循環経路内を減圧状態とすることを特徴として成るものである。
この発明によれば、液体原料の沸点が低下するため、蒸発を効率的に行うことができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について図示の実施の形態に基づいて説明するものであり、図1に示す蒸気供給装置9を用いて加熱缶1に蒸気を供給する実施の形態と、図3に示す圧縮機90を用いて液体原料Lから発生した蒸気成分Sを圧縮し、得られた過熱蒸気Hを加熱缶1に供給する実施の形態とに分けて説明を行う。
【0013】
【蒸気供給装置を用いる実施の形態】
まず蒸気供給装置9を用いて加熱缶1に蒸気を供給する実施の形態について説明する。図1中符号Dで示すものが本発明の高速旋回式蒸発装置であり、このものは加熱缶1と蒸発缶2との間を吹込管路3によって接続して成るものである。そして前記加熱缶1内に配した長管11内に流入した液体原料Lを、この長管11の外側に供給した加熱媒体からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった状態の液体成分L1と蒸気成分Sとを前記蒸発缶2内に吹き込み、この蒸発缶2内においてこれら液体成分L1と蒸気成分Sとの分離を行う装置である。
【0014】
以下高速旋回式蒸発装置Dを構成する諸部材について詳しく説明する。
まず前記加熱缶1について説明すると、このものは密閉性が確保された筐体10内に、金属等の耐熱素材から成る管路である長管11を複数本具えるものであり、この長管11の下端部を給液口12と連通状態とし、一方、長管11の上部を排出口13に臨ませて成るものである。また前記筐体10側周部分には蒸気口14及びドレン口15が形成される。
【0015】
次に前記蒸発缶2について説明すると、このものは円筒下部に逆円錐を接続した形状の中空部材である筐体20の上部に排気口21を形成し、下部に流出口22を形成し、更に側周部に流入口23を形成して成るものである。
【0016】
そして前記加熱缶1における排出口13と、蒸発缶2における流入口23との間を吹込管路3によって連通状態に接続し、また前記加熱缶1における給液口12と、蒸発缶2における流出口22との間を戻り管路5によって連通状態に接続する。この結果、蒸発缶2、戻り管路5、加熱装置1及び吹込管路3を要素とした循環経路が形成されるものである。
【0017】
ここで前記吹込管路3及び流入口23の形態について詳しく説明する。
まず前記吹込管路3は図2に示すように、蒸発缶2に対して円形横断面の接線方向に流路を形成するように接続することにより、蒸発缶2内において液体成分L1及び蒸気成分Sの旋回流を生じさせるように構成される。そして吹込管路3における加熱缶1との接続部位を、先細り状のダクト31によって構成し、更に吹込管路3における蒸発缶2との接続部位近傍の開口断面積S3が、前記複数本の長管11の開口断面積S11の総和よりも小さくなるように設定した。
また前記流入口23は図2(c)に示すように、垂直辺が水平辺よりも長い長方形状のスリットとするものであり、吹込管路3における蒸発缶2との接続部位の開口断面の形状も、垂直辺が水平辺よりも長い長方形状とし、蒸発缶2内に吹き込む液体成分L1と蒸気成分Sとが薄層状態に成るように構成した。
【0018】
なお戻り管路5の途中には濃縮液排出口51を形成するものであり、バルブ52を開放することにより、濃縮された状態の液体成分L1を外部に排出できるように構成する。
【0019】
また前記蒸発缶2における排気口21の後段部分にはコンデンサ7を接続し、更にその後段に真空ポンプPを接続する。
更にまたこの実施の形態においては、前記蒸発缶2における筐体20内に液体原料Lを供給するものであり、給液タンク8に貯留された液体原料Lを、バルブ81の開度を調整することにより、筐体20内に配したノズル82から噴出するものである。
【0020】
更にまた前記加熱缶1に形成した蒸気口14には蒸気供給装置9を接続するものであり、ここから筐体10内に供給された蒸気が、長管11内に位置する液体原料L(濃縮後の液体成分L1も含む)に対して熱を伝導し、その結果蒸気は凝集してドレン口15から外部に排出される。
【0021】
本発明の高速旋回式蒸発装置Dは、一例として上述したように構成されるものであり、以下この装置の作動態様について説明する。
まず蒸気供給装置9から加熱缶1内に蒸気を供給するものであり、長管11を加熱した蒸気は凝集し、ドレン口15から外部に排出される。
次いで真空ポンプPを起動して液体原料L及び液体成分L1の循環経路内の減圧を図り、この状態でバルブ81の開度を調節して、漢方薬生薬エキス、各種調味料、動物エキス、魚介エキス、植物エキス、醗酵液等の各種液体物質や、アミノ酸、酵母、蛋白質等の水溶液あるいは各種廃液等を液体原料Lとしてノズル82から蒸発缶2内に供給する。なおこの実施の形態では、真空ポンプPを用いて循環経路内の減圧を行い、液体原料Lの沸点低下を図ったが、液体原料Lの種類等によっては減圧を要さない場合もある。
【0022】
すると液体原料Lは、戻り管路5を経由して加熱缶1に至って長管11内に供給され、蒸気から伝導される熱によって長管11内部で沸騰し、発生した蒸気成分Sが長管11内を上昇する際に、濃縮された状態の液体成分L1を引き上げるものである。
そしてこれら蒸気成分Sと液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込むものであり、このとき先細り状のダクト31を通過するとともに、蒸発缶2との接続部位近傍の開口断面積S3を複数本の長管11の開口断面積S11の総和よりも小さく設定した吹込管路3を通過するため流速が増すものである。なおこの実施の形態では、吹込管路3内における蒸気成分Sと液体成分L1との流速が、100〜250m/sとなるようにした。
【0023】
次いで蒸気成分Sと液体成分L1とは、蒸発缶2における流入口23から筐体20内に流入するものであり、このとき図2に示すように、蒸発缶2は平面視で円形の横断面を有するものであり、この蒸発缶2に対して吹込管路3が円形横断面の接線方向に流路を形成するように接続されているため、蒸発缶2内において液体成分L1の旋回流を生じさせることができる。特に本発明によればこの旋回流の回転数は、小型の装置で20000rpm程度、大型の装置で1000rpm程度と、既存の装置と比べて高い値とすることができるため、遠心効果により液体成分L1の発泡を効果的に抑えることができるものである。
【0024】
また前記吹込管路3における蒸発缶2との接続部位の開口断面を、垂直辺が水平辺よりも長い長方形形状としたため、蒸発缶2内に吹き込む液体成分L1と蒸気成分Sとが薄層状態となり、流入口23から排気口21に向けて移動する蒸気成分Sの流れが、流入口23から排出口22に向けて移動する液体成分L1の流れに干渉してしまうことがない。
【0025】
そして蒸気成分Sは排気口21からコンデンサ7に至り、凝集液となって外部に排出される。
一方、液体成分L1は流出口22に至り、ここから戻り管路5内に移動するものであり、濃縮された状態の液体成分L1は、前記ノズル82から供給された新たな液体原料Lを伴って再び加熱缶1における長管11内に位置することとなる。
なおこの際、濃縮された状態の液体成分L1は、新たに供給された液体原料Lと混ざり合うため、濃度が均一となった状態で加熱缶1に供給されることとなり、複数の長管11での流量が不均一になることが無く、液切れによる過熱や焦げ付きが生じない。
【0026】
そして以上のような操作を継続し、液体成分L1が所望の濃度となった時点でバルブ53を開放し、濃縮された状態の液体成分L1を外部に排出するものである。
【0027】
【圧縮機を用いる実施の形態】
続いて図3に示す、圧縮機90を用いて液体原料Lから発生した蒸気成分Sを圧縮し、得られた過熱蒸気Hを加熱缶1に供給する実施の形態について説明を行う。
なおこの実施の形態で示す高速旋回式蒸発装置Dは、図1に示した高速旋回式蒸発装置Dと基本構成を同一とするものであるため、ここでは構成の異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
すなわちこの実施の形態で示す高速旋回式蒸発装置Dは図3に示すように、前記蒸発缶2における排気口21と加熱缶1における蒸気口14との間に蒸気循環管路6を接続し、更にその途中に圧縮機90を具えて成るものである。そしてこの圧縮機90から筐体10内に供給された過熱蒸気Hが、長管11内に位置する液体原料L(濃縮後の液体成分L1も含む)に対して熱を伝導し、その結果過熱蒸気Hは凝集してドレン口15から外部に排出される。なおこのドレン口15の後段部分には、凝集液排出ポンプを兼用する真空ポンプPを具えるものである。
【0028】
この実施の形態で示す高速旋回式蒸発装置Dは、一例として上述したように構成されるものであり、以下この装置の作動態様について説明する。
まず圧縮機90を起動して加熱缶1内に過熱蒸気Hを供給するものであり、長管11を加熱した過熱蒸気Hは凝集し、ドレン口15から外部に排出される。なお装置の始発状態において蒸気循環経路6内に蒸気成分Sが存在しない場合には、適宜の蒸気供給装置を併設し、ここから蒸気循環経路6内に蒸気を供給する等の措置を施す。
次いで真空ポンプPを起動して液体原料L及び液体成分L1の循環経路内の減圧を行い、液体原料Lの沸点低下を図り、この状態でバルブ81の開度を調節して、廃液等の液体原料Lをノズル82から蒸発缶2内に供給する。なお液体原料Lの種類等によっては減圧を要さない場合もある。
【0029】
すると液体原料Lは、戻り管路5を経由して加熱缶1に至って長管11内に供給され、蒸気から伝導される熱によって長管11内部で沸騰し、発生した蒸気成分Sが長管11内を上昇する際に、濃縮された状態の液体成分L1を引き上げるものである。
そしてこれら蒸気成分Sと液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込むものであり、このとき先細り状のダクト31を通過するとともに、蒸発缶2との接続部位近傍の開口断面積S3を複数本の長管11の開口断面積S11の総和よりも小さく設定した吹込管路3を通過するため流速が増すものである。なおこの実施の形態では、吹込管路3内における蒸気成分Sと液体成分L1との流速が、100〜250m/sとなるようにした。
【0030】
次いで蒸気成分Sと液体成分L1とは、蒸発缶2における流入口23から筐体20内に流入するものであり、このとき図2に示すように、蒸発缶2は平面視で円形の横断面を有するものであり、この蒸発缶2に対して吹込管路3が円形横断面の接線方向に流路を形成するように接続されているため、蒸発缶2内において液体成分L1の旋回流を生じさせることができる。特に本発明によればこの旋回流の回転数は、小型の装置で20000rpm程度、大型の装置で1000rpm程度と、既存の装置と比べて高い値とすることができるため、遠心効果により液体成分L1の発泡を効果的に抑えることができるものである。
【0031】
また前記吹込管路3における蒸発缶2との接続部位の開口断面を、垂直辺が水平辺よりも長い長方形形状としたため、蒸発缶2内に吹き込む液体成分L1と蒸気成分Sとが薄層状態となり、流入口23から排気口21に向けて移動する蒸気成分Sの流れが、流入口23から排出口22に向けて移動する液体成分L1の流れに干渉してしまうことがない。
やがて蒸気成分Sは排気口21から蒸気循環管路6内を移動して圧縮機90に至り、この圧縮機90の圧縮作用により高温の過熱蒸気Hとなり、蒸気口14に供給されるものである。
【0032】
一方、液体成分L1は流出口22に至り、ここから戻り管路5内に移動するものであり、濃縮された状態の液体成分L1は、前記ノズル82から供給された新たな液体原料Lを伴って再び加熱缶1における長管11内に位置することとなる。なおこの際、濃縮された状態の液体成分L1は、新たに供給された液体原料Lと混ざり合うこととなり、濃度が均一となった状態で加熱缶1に供給され、複数の長管11での流量が不均一になることが無く、液切れによる過熱や焦げ付きが生じない。
【0033】
そして以上のような操作を継続し、液体成分L1が所望の濃度となった時点でバルブ52を開放し、濃縮された状態の液体成分L1を外部に排出するものである。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、液体原料Lを濃縮した液体成分の発泡を防ぎ、更に濃縮された状態の液体成分と、新たに投入された液体原料Lとの混合不足による焦げ付き等を防ぎ、発泡しやすい液体原料Lや、粘度の高い液体原料Lを効率的に濃縮することができる。更に液体原料Lから発生した蒸気成分Sの潜熱を有効利用することができ、ランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 蒸気供給装置を用いる実施の形態で示した本発明の高速旋回式蒸発装置を骨格的に示す側面図である。
【図2】 蒸気缶に対する戻り管路の接続の様子を示す斜視図、平面図及び側面図である。
【図3】 圧縮機を用いる実施の形態で示した本発明の高速旋回式蒸発装置を骨格的に示す側面図である。
【図4】 既存の液膜上昇式蒸発装置を示す側面図である。
【符号の説明】
D 高速旋回式蒸発装置(液膜上昇式蒸発装置)
1 加熱缶
10 筐体
11 長管
12 給液口
13 排出口
14 蒸気口
15 ドレン口
2 蒸発缶
20 筐体
21 排気口
22 流出口
23 流入口
3 吹込管路
31 ダクト
5 戻り管路
51 濃縮液排出口
52 バルブ
6 蒸気循環路
7 コンデンサ
8 給液タンク
81 バルブ
82 ノズル
9 蒸気供給装置
90 圧縮機
L 液体原料
L1 液体成分
P 真空ポンプ
S 蒸気成分
S3 開口断面積
S11 開口断面積
Claims (5)
- 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成するとともに、前記加熱缶内に配した複数の長管内に流入した液体原料を、この長管の外側に供給した加熱媒体からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体成分を得る蒸発装置において、前記蒸発缶は平面視で円形の横断面を有するものであり、この蒸発缶に対して前記吹込管路を接続するにあたっては、円形横断面の接線方向に流路を形成するように接続することにより、蒸発缶内において1000〜20000rpmの液体成分の旋回流を生じさせるものであり、このため前記吹込管路における蒸発缶との接続部位近傍の開口断面積を、前記蒸気成分が発生する複数の長管の開口断面積の総和よりも小さく設定することにより、吹込管路内における蒸気成分と液体成分との流速が100〜250m/sとなるようにしたことを特徴とする高速旋回式蒸発装置。
- 前記吹込管路における蒸発缶との接続部位の開口断面を、垂直辺が水平辺よりも長い長方形形状とし、蒸発缶内に吹き込む液体成分と蒸気成分とを薄層状態とすることを特徴とする請求項1記載の高速旋回式蒸発装置。
- 前記蒸発缶から排出された蒸気成分を圧縮し、圧縮により高温となった過熱蒸気を加熱缶に供給するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の高速旋回式蒸発装置。
- 前記液体原料の供給は、蒸発缶内に行うように構成したことを特徴とする請求項1、2または3記載の高速旋回式蒸発装置。
- 前記循環経路内を減圧状態とすることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の高速旋回式蒸発装置。
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