JP5004479B2 - 高速旋回式蒸発装置の運転方法 - Google Patents
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Description
このうち液膜上昇式の蒸発装置は、機械的な可動部分がない簡単な構造であるためイニシャルコストが低く済み、またほとんど故障しないため保守費用を含めたランニングコストも低く済むものであり、更には設置面積が少なく済むといったメリットがあるため広く普及しているものである。
そしてこのような液膜上昇式の蒸発装置によって各種廃液の濃縮処理を行う場合には、主に廃液の減容化が目的とされるため、なるべく高い濃縮倍率とすることにより、経済的効果を高めることが要求される。
そしていったんこのような事態に陥ってしまうと、装置の運転ができなくなってしまうばかりか、掃除や部品交換等のメンテナンスが必要となってしまうため稼働率の著しい低下を招いてしまう。
特に連続運転が行われる場合には、バッチ運転時のように結晶を含めた液体成分が一旦すべて排出されることがないため、結晶が装置内に蓄積されてしまい、気が付かないうちにポンプや管路の閉塞等を起こしてしまうこともあった。
この発明は、分離された結晶を、濃縮液(液体成分)の取り出し経路とは別の管路からバルブを通じて抜き出すものであり、結晶の析出による悪影響を回避することができるものであった。
そしてその後も本出願人は高速旋回式蒸発装置における無機塩の結晶に関する問題を解消するための研究を継続して行ってきた。
この発明によれば、濃度の単位時間当たりの変化量が異常値を示したときに、無機塩等の結晶が生じたものと判断して装置の運転が停止されることとなるため、結晶の生成を初期の段階で検知してポンプや管路の閉塞等、装置にとって致命的な不具合を確実に回避することができる。
濃度の単位時間当たりの変化量=最大濃縮液濃度−(最大濃縮液濃度×(最小滞留液量−抜出流量)+想定される最低原液濃度×供給流量)/(最小滞留液量+供給流量−抜出流量−蒸発流量)・・・式(1)
この発明によれば、無機塩等の結晶の発生を正確に検出することができる。
この発明によれば、液体成分中に結晶が析出されたときにハンチングを引き起こすといったBrix計の特性を利用して異常値を検出することができる。
このため、無機塩の含有率が不明な廃液であっても、結晶の生成を最小限としつつ、最大限の濃縮を行うことができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
まず前記加熱缶1について説明すると、このものは密閉性が確保された筐体10内に、金属等の耐熱素材から成る管路である長管11が複数本具えられるものであり、この長管11の下端部は給液口12と連通状態とされ、一方、長管11の上部は排出口13と連通状態とされて成るものである。また前記筐体10の側周部分には蒸気口14及びドレン口15が形成される。
更に吹込管路3における蒸発缶2との接続部位近傍の開口断面積を、前記複数本の長管11の開口断面積の総和よりも小さくなるように設定することにより流速の増大を図るようにしてもよい。
また前記流入口23は図2(c)に示すように、垂直辺が水平辺よりも長い長方形状のスリットとされ、一方、吹込管路3における蒸発缶2との接続部位の開口断面の形状も、垂直辺が水平辺よりも長い長方形状のスリットとされ、蒸発缶2内に吹き込まれる液体成分L1と蒸気成分Sとが薄層状態に成るように構成される。
更に蒸発缶2の流出口22付近である蒸発缶2の下部と、戻り管路5との間にバイパス管53が設けられるとともに、このバイパス管53に対して濃度計54及びバルブ52Bが具えられる。
この濃度計54は一例とししてBrix計が適用されるものであり、この計器の測定原理は次のようなものである。すなわち液体は、その濃度に応じて屈折率が異なることを利用したものであり、プリズムと接した被測定液に対してLED等の光源から光を照射することにより臨界角すなわち屈折率を測定して、この値に基づいて濃度を算出するというものである。
なお前記ドレン口15の後段部分には、凝集液排出ポンプを兼用する真空ポンプP1 が具えられる。
そしてバルブ81、バルブ52A、バルブ52B及び圧縮機9は、図示しない制御盤によって操作され、それぞれ蒸発缶2への被処理液L0の供給量、戻り管路5からの濃縮液L3の抜出流量、加熱缶1における蒸気成分Sの蒸発流量の調節が行われることとなる。
まず圧縮機9を起動して加熱缶1内に加熱蒸気Hを供給するものであり、長管11を加熱した加熱蒸気Hは凝集して凝縮液L2となり、ドレン口15から外部に排出される。なお装置の始発状態において蒸気循環路6内に蒸気成分Sが存在しない場合には、適宜の蒸気供給装置を併設し、ここから蒸気循環路6内に蒸気を供給する等の措置を施す。
次いで真空ポンプP 1 を起動して被処理液L0及び液体成分L1の循環経路内の減圧を行い、被処理液L0の沸点低下を図り、この状態でバルブ81の開度を調節して、漢方薬生薬エキス、各種調味料、動物エキス、魚介エキス、植物エキス、醗酵液等の各種液体物質や、アミノ酸、酵母、蛋白質等の水溶液あるいは各種廃液等を被処理液L0としてノズル82から蒸発缶2内に供給する。なお被処理液L0の種類等によっては減圧を要さない場合もある。
そしてこれら蒸気成分Sと液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込むものであり、このとき先細り状のダクト31を通過するとともに、吹込管路3を通過するため流速が増すものである。なおこの実施例では、吹込管路3内における蒸気成分Sと液体成分L1との流速が、100〜250m/sとなるようにした。
そして蒸気成分Sは旋回流の状態で上方に向かうものであり、このとき蒸気成分S及び蒸気成分S中に含まれるミストM(液体成分L1の飛沫粒子)は、遠心作用によって筐体20の内壁近傍に位置することとなる。
そして液体成分L1の濃度が所定値以上にならないように、バルブ81、バルブ52A、バルブ52B及び圧縮機9を操作して、それぞれ蒸発缶2への被処理液L0の供給量、戻り管路5からの濃縮液L3の抜出流量、加熱缶1における蒸気成分Sの蒸発流量等、装置の制御要素が調節されることとなる。
なおここで液体成分L1の濃度の所定値とは、被処理液L0の性状に由来するものであり、液体成分L1が濃縮されたときに、無機塩等の結晶が生成されると思われる濃度を意味するものである。
そして液体成分L1が所望の濃度となった時点でバルブ52Bを閉め、バルブ52Aを開放すると、濃縮された状態の液体成分L1が濃縮液L3として外部に排出されることとなる。
なお濃度の時間当たりの変化量が異常値を示したか否かの判断は、式(1)によって算出される濃度の単位時間当たりの変化量が、最大濃度上昇勾配または最大濃度下降勾配を超えたか否かによって行われるものであり、超えた場合を異常値とするものである。
濃度の単位時間当たりの変化量=最大濃縮液濃度−(最大濃縮液濃度×(最小滞留液量−抜出流量)+想定される最低原液濃度×供給流量)/(最小滞留液量+供給流量−抜出流量−蒸発流量)・・・式(1)
また前記最大濃度下降勾配とは、供給流量を最大値に、濃縮液抜出流量を0L/minに、蒸発流量を0L/minにそれぞれ設定したときに、式(1)によって導き出される値である。
そしてこれら最大濃度上昇勾配及び最大濃度下降勾配は、前記バルブ81、バルブ52及び圧縮機9を操作して供給流量、抜出流量及び蒸発流量を調節した場合であっても、液体成分L1の濃度調整が不可能となってしまうような勾配である。
1 加熱缶
10 筐体
11 長管
12 給液口
13 排出口
14 蒸気口
15 ドレン口
2 蒸発缶
20 筐体
21 排気口
22 流出口
23 流入口
26 外部デミスタ
26a 筐体
26b 衝突板
26c メッシュ材
3 吹込管路
31 ダクト
5 戻り管路
51 濃縮液排出口
52A バルブ
52B バルブ
53 バイパス管路
54 濃度計
6 蒸気循環路
7 コンデンサ
8 給液タンク
81 バルブ
82 ノズル
9 圧縮機
90 蒸気供給装置
H 加熱蒸気
L0 被処理液
L1 液体成分
L2 凝縮液
L3 濃縮液
M ミスト
P1 真空ポンプ
P2 排出用ポンプ
S 蒸気成分
Claims (3)
- 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成するとともに、前記加熱缶内に配された長管内に流入した液体原料を、この長管の外側に供給された加熱媒体からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体成分を得る蒸発装置の運転方法において、前記蒸発缶の流出口付近には濃度計が具えられ、この濃度計によって検出された液体成分の濃度が所定値以上にならないように装置の制御要素を調節するとともに、前記濃度計によって検出された濃度の単位時間当たりの変化量が異常値を示したときには、停止操作を行うことを特徴とする高速旋回式蒸発装置の運転方法。
- 前記濃度の時間当たりの変化量が異常値を示したか否かの判断は、式(1)による濃度の単位時間当たりの変化量の算出値が、最大濃度上昇勾配または最大濃度下降勾配を超えたか否かによって行われるものであり、超えた場合を異常値とすることを特徴とする請求項1記載の高速旋回式蒸発装置の運転方法。
濃度の単位時間当たりの変化量=最大濃縮液濃度−(最大濃縮液濃度×(最小滞留液量−抜出流量)+想定される最低原液濃度×供給流量)/(最小滞留液量+供給流量−抜出流量−蒸発流量)・・・式(1)
- 前記濃度計はBrix計であることを特徴とする請求項1または2記載の高速旋回式蒸発装置の運転方法。
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