JP3961649B2 - 脱気装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、上水、中水あるいは下水中の溶存気体を除去する脱気装置、特に連続的処理にも対応可能でコンパクト化可能な脱気装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂筒に水を通すことにより炭酸塩硬度を下げて軟水化することは例えばボイラ給水設備などでよく知られている。この場合、イオン交換樹脂筒に導入する水に酸化物が溶解していると、強酸・弱酸性陽イオン交換樹脂の場合は酸化による不可逆膨潤を起こし、また陰イオン交換樹脂の場合は酸化によって交換基が分解したり不可逆膨潤を起こしたりするので、通水に際しては水中に酸化物が溶解または混在していないことを確認しないとイオン交換樹脂の耐久性を左右する大きな問題を引き起しかねない。例えば、配管のライニングの疵から溶出した鉄イオンや銅イオンが水中の溶存酸素との反応で銹となって混在している場合、それらの触媒的な働きでイオン交換樹脂が酸化されて劣化する。
【0003】
そこで従来から、通水に酸化物の溶解あるいは混在が認められるような場合、あるいはそれが生じる可能性がある場合には、イオン交換樹脂に通水する前に水に脱スケールおよび腐食防止などの目的で前処理を施すことが常識的に行なわれている。
【0004】
最も一般的なこの種の前処理は、溶存酸素除去用の毒性の強いヒドラジンなどの脱酸剤とpHを高めるための清缶剤とを配合した薬品を水に投入する薬注方式である。
【0005】
また薬注によらない方式として、水中に溶存している酸素・炭酸ガス・遊離塩素などを高真空度の容器内で脱気する真空脱気方式も知られており、バッチ処理方式だけでなく、大量処理のためにエジェクターとサイクロンを組み合わせた多段連続真空脱気方式も知られている。
【0006】
また、この他にも、例えば特公平2−11319号、特公平2−12640号あるいは特公平6−38959号公報には、静電場または振動電場を与えるタンク中で水中のミネラル成分をイオン解離させて浮遊スケールとして析出除去する際にタンク内を減圧して脱気することが教示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
薬注方式は、脱酸剤の毒性の問題から病院や食品工場での採用には適さないことは勿論、イオン交換樹脂筒の上流で薬注を行なうと、その分だけ水中の不純物が増加するのでイオン交換樹脂にとっては負荷の増加となるばかりでなく、自然と薬注量が増加する傾向があり、適正な薬品投入量の監視には管理面で困難を伴うことや、薬品使用量がかさむなどの諸問題があるので、薬剤使用に付加価値が見込まれる厳正に管理された工場などでの用途以外には一般的ではない。
【0008】
真空脱気方式は衛生面からは問題ない方式であるが、生活給水の水処理やビル建物等での赤水対策としては真空度の管理に難点があり、例えば、水中の溶存酸素は大気圧と水温又は気温などが季節によって大きく変化するため、常に一定の脱気圧性能を維持させるには、真空圧力の調整だけでは管理ができない。このため、真空脱気方式は未だ広く普及するには至っていないが、比較的容易に扱えるのはバッチ処理方式の真空脱気装置である。しかしながら、バッチ処理方式の真空脱気装置は、処理が非連続であるので処理量が限られ、多量の水を処理する必要がある場合には大規模な設備としなければならず、設備維持費用が多額となるので一般的ではない。
【0009】
一方、例えば食品工場などのように連続多量処理が要求される場合には、運転操作および保守に専門的な煩雑さが要求されるエジェクターとサイクロンを組み合わせた多段連続真空脱気方式が採用され、時間当たりの処理量も充分な設備が実用化されているが、設置面積が大きく、設備費用及び維持費用が大きいので、処理による付加価値が見込める産業用途向きであり、一般の共同住宅やオフィスビルなどにおける水処理設備の脱気装置としては管理面も含めて経済的に引き合わず、採用は現実的ではない。
【0010】
また中空糸膜脱気法をイオン交換樹脂筒の上流で実行する方式も知られているが、この場合は、水中の金属イオンが中空糸膜の表面で酸化され、この酸化物が膜に付着して脱気通路の閉塞により機能不全に陥り、膜の頻繁な交換を余儀なくされる結果、付加価値の高い用途以外ではランニングコストが嵩んで経済的に引き合わないという欠点がある。
【0011】
また、中空糸膜をイオン交換樹脂の下流で使用することも単に溶存酸素の除去には効果があるが、この場合も、例えばボイラ設備では蒸気リターン配管や循環温水配管から溶解した金属イオン成分が酸化されて中空糸膜面に付着固化し、目詰まりをおこすので、中空糸膜の全面交換作業を比較的早期に行なうことが余儀なくされる欠点が避けられない。
【0012】
尚、真空脱気処理に併用して処理水を加熱沸騰することにより、水中のトリハロメタンやトリクロロエチレン等の塩化物による発癌性物質またはO−157をはじめとする有害菌を同時に除去することも知られているが、給湯系での煮沸は可能であっても、冷水を供給する給水系では煮沸・冷却のエネルギー消費を考えると現実性に乏しい。
【0013】
従って本発明の課題は、季節変化などの環境条件に左右されずに減圧容器内での低温沸騰と超音波によるキャビテーションとの相乗作用によってほぼ連続的な通水脱気を可能とする新規な真空脱気装置を提供することである。
【0014】
また、薬注を不要とし、或いは、加熱することなく溶存気体の除去を果たすことのできる脱気装置を提供することなども本発明の別の課題である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するため、本発明による脱気装置は、給水口から導入されて内部を満たした水に減圧低温沸騰と空洞化現象を与える導水筒と、導水筒の内部の水に空洞化現象誘発のための超音波を照射する超音波振動子と、真空ポンプで減圧された脱気室と、導水筒内の水を脱気室に送り込むポンプ手段と、脱気室内に貯えられた水を外部へ送水する送水手段とを備え、特に前記ポンプ手段は、導水筒の内部の水に導水筒のほぼ軸方向に沿った軸心の上昇回転渦流を発生させつつ導水筒上端の軸心近傍領域から吸水して吐出水を前記脱気室内に放水飛散させる渦巻ポンプからなることを特徴とする。
【0016】
好ましくは、前記渦巻ポンプは羽根車外周部からの吐出水を脱気室内に直接放射する横向き吐出口を有する立軸形の半径流もしくは斜流形タービンポンプまたはボリュートポンプからなり、該ポンプは導水筒の上端部にほぼ同軸状に直結され、前記吐出口は前記脱気室内に直接開口される。
【0017】
また、脱気室は前記渦巻ポンプからの放水を受けてこれを飛散させる衝合壁を有することが望ましい。
【0018】
更に、送水手段からの水の少なくとも一部を導水筒へ循環させる循環系を更に備えていてもよい。
【0019】
本発明の脱気装置では、減圧された脱気室の内部で導水筒内の水に減圧低温沸騰と超音波による空洞化現象を誘発させ、水中の溶存気体を渦巻ポンプにより水と共に気泡として脱気室に導き、脱気室からその減圧源に吸引捕集して脱気するので、脱気のための減圧を水の導入に利用できるほか、処理水を煮沸させるための加熱エネルギーは不要である。
【0020】
ところで、冬季のように導水筒内の水温が低いときは水の粘性が大きくなり、低温の水中で発生した気泡と水は強い粘性力をもつので、速やかに且つ容易に脱気することが困難になりがちであるが、本発明の脱気装置では、導水筒の水に空洞化現象を誘発するための超音波振動エネルギーを照射して給水管から導水筒内に導入された水にキャビテーションを生起せしめるための超音波振動子が備えられている。
【0021】
従って水が真空圧のみにより減圧沸騰を起こす場合よりも減圧の程度が少なくても、超音波振動エネルギーによるキャビテーション現象で水に空洞化現象が誘発され、この空洞に水中の溶存気体が気泡となって捕捉され、それが渦巻ポンプによる上昇回転渦流の軸心部に集められながら渦巻ポンプで吸引されて減圧下の脱気室内に放出されることによって気体として脱気室に放散されるので、脱気室に接続された減圧源としての真空ポンプから効果的に脱気することができる。もちろん、脱気室の減圧を充分低圧にし、それ自体で導水筒内の水に減圧沸騰を起こす場合にも超音波の照射を併用することは効果的である。
【0022】
一般に超音波によるキャビテーションは、音圧が大気圧を超えたときに発生する。そこで、超音波の音圧を(p)、処理対象の水の密度を(ρ)、粒子の振動速度を(u)、波の伝播速度を(c)とすれば、p=ρcuである。また、音波の強度、すなわちパワー密度(I)は、I=ρcu2 である。
【0023】
処理対象の水の密度は水中の揮発性成分や有機物などの不純物含有量で大きく影響を受けることから、本発明では導水筒の好ましくは底面に複数の超音波振動子を取り付け、振動子の稼動数と駆動電源の電圧電流制御によって超音波の強度を制御し、真空度が脱気室内の水の飽和水蒸気圧に達する前に導水筒内の水柱にキャビテーションを発生させて水中の溶存気体を効率的に気泡化し、この気泡を渦巻ポンプによる上昇回転渦流に巻き込んでその軸心部に収束させながら導水筒上端から半径方向に向けて脱気室内に放水飛散させ、この飛散によって水中に含まれる微細な気泡を脱気室における真空脱気で除去するものであり、従って、このような脱気によって酸化力の極めて弱い脱気水としたうえで例えばイオン交換樹脂筒に送り込むことにより、イオン交換樹脂の劣化を効果的に防止することも可能である。
【0024】
この超音波振動による脱気の効果の向上は著しく、従来の一般的な受水槽における水面が大気に開放された条件下での超音波加振方式とは異なり、本発明では導水筒内の上部に連通する脱気室が減圧された条件下で行なわれるので、脱気された水に大気から平衡分圧に応じた量の気体が再び溶解してしまうことがなく、塩素臭のないほぼ純水に近い高純度の脱気水を得ることができる。
【0025】
特に好ましくは、直立状態の導水筒の底部から導水筒内に満たされた水に超音波振動の定在波が与えられるように導水筒の寸法及び超音波振動の周波数を選定することにより、導水筒内を満たす水柱には超音波の定在波が形成され、水面で超音波の完全反射が起こるので最大の超音波振動エネルギーが伝達され、それによりキャビテーションが瞬時に発生し、溶存気体が盛んに気泡となって水面で破裂し、導水筒内の減圧された上部脱気空間から外部へ捕集除去され、従って脱気の効率が更に高くなる。
【0026】
この場合、導水筒の筒形状は、筒内で発生する気泡を軸心部に集めて速やかに吸引上昇させるために下部よりも上部に行くほど内径が漸減する裁頭円錐筒とするのがよく、その頂部に渦巻ポンプを直結配置する。この渦巻ポンプとしては各種の形式のものを用いることができるが、好ましくは渦室もしくは固定または可動案内羽根を持たずに羽根車外周部からの吐出水を直接的に脱気室内へ放射する横向き吐出口を有する立軸半径流形もしくは立軸斜流形のタービンポンプまたはボリュートポンプを用い、このポンプを導水筒の上端部にほぼ同軸状に直結し、また吐出口も好ましくは全周に亘って適切な間隔で配列した複数のスリット状開口で構成してこれを脱気室内に直接開口させ、気泡を含む水がポンプ周囲の全周から霧状に脱気室へ噴射されるようにするのがよい。
【0027】
立軸形渦巻ポンプの羽根車(ローター)を一方の端面が閉鎖された片面開放ローターとし、その周囲の全周に亘って複数のスリット状開口からなる横向きの吐出口を水流に作用する遠心力の方向と直交する向きで設けると、ポンプローターの羽根と羽根との間に遠心力に対抗する逆向きの溝渦流が形成されにくくなり、これにより水流に随伴する気泡が羽根と羽根との間に停滞することがなく、ポンプ自体の揚水効率を低下させることがないという利点を得ることができる。もちろん、ローターの羽根の角度や形状は使用条件に応じて最適設計可能であることは述べるまでもない。
【0028】
内部に導水筒を配置した脱気室内を真空ポンプによって大気圧より減圧された状態におき、導水筒の給水口から水を内部に吸引させて導水筒内を水で満たし、渦巻ポンプのローターを回転させると、脱気室内の真空圧とポンプローターによる吸引によって導水筒内に回転上昇渦が生じながら水流がポンプから脱気室内に吐出され、導水筒への吸水と脱気室内への吐出とが連続して行われる。このとき減圧沸騰と同時に導水筒内に照射された超音波によるキャビテーションで導水筒内の水に盛んに気泡が発生し、この気泡が回転上昇渦流に巻き込まれる。この場合、気泡は水よりも比重が軽いので殆どが上昇回転渦流の軸心部に集まり、渦水流と共にポンプローターの軸心上からポンプに吸い込まれる。
【0029】
吸い込まれた水と気泡は、ローターの回転で駆動される水流に作用する遠心力によって互いに分離された状態で全周の複数のスリット状の吐出口から霧状になって横向きに脱気室内へ噴射され、脱気室内の真空圧で気泡が吸引捕集されて脱気が果たされる。脱気された水は脱気室内の下部に一時溜められ、必要に応じて外部ポンプにより脱気室の下部から適宜外部へ取り出される。この間、脱気室内の水位を監視し、常に一定の水位が維持されるように給水系および排水系を電磁弁およびポンプの動作で制御しても良い。
【0030】
渦巻ポンプの吐出口に対面するように脱気室内に放射水に対する衝合部材を設けることは好ましいことであり、この衝合部材として脱気室の壁面自体を利用することもできる。吐出口から噴射される気泡混じりの霧状の水が衝合部材に衝突すると、水の随伴して衝突する気泡が強制的に破壊され、これにより気泡中の気体が脱気室に開放されるので減圧による気体の捕集が効果的となり、脱気の効果が一層高くなる。気泡の破裂で分離した気体は脱気室から真空ポンプなどの減圧源に捕集吸引され、一方、脱気水は自然落下で脱気室下部に貯留されるが、この場合、脱気水が下部貯水面に穏やかに導入されるように鎮静用の案内樋などを脱気室内に配置しても良い。
【0031】
更に、脱気室下部の貯水部と導水筒の給水口との間を例えば開閉弁と送水ポンプとを含む外部配管系で接続して閉ループの循環系を形成することは好ましいことであり、この場合、渦巻ポンプの吸込量Qを給水口への新水の単位時間当たりの給水量Q1と循環系に流れる循環水の単位時間当たりの循環流量Q2との和に等しく設定し(即ち、Q=Q1+Q2)、新水の給水量Q1と循環流量Q2との比m(但し、m=Q2/Q1)が1より大きくなるような条件で装置を稼働させると、脱気室内に溜まった水を繰り返し脱気処理することができるので、残留する溶存気体が究極まで無くなった高脱気水を得ることも可能となる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の好適な実施の形態を模式的に示しており、主装置は真空ポンプ17で内部を減圧された脱気室7と、脱気室内に縦に配置された導水筒15と、導水筒の底部に取り付けられた複数の超音波振動子12と、導水筒の頂部に設置された立軸形渦巻ポンプ3とを備え、給水管9から電磁弁18、イゼクター13及び手動開閉バルブ26を介して導水筒15に導入された水を渦巻ポンプ3により横向きの吐出口4から脱気室7へ噴射して送り込み、脱気室7内に蓄えられた脱気水を送水ポンプ10によって外部へ送水し、その一部を分配筐22から手動開閉バルブ27を介してイゼクター13により給水系へ戻して循環系を形成している。
【0033】
導水筒15は、その底面よりも上方に距離をおいた位置に下部給水口25を備えた略裁頭円錐形のものであり、給水管9から止水弁18、イゼクター13及びバルブ26を介して導入される水で内部が満たされ、この内部を満たした水に減圧低温沸騰と空洞化現象を与える。この導水筒15の底部には、導水筒内の水に超音波を照射して空洞化現象を誘発するための超音波振動子12が複数配置されており、各振動子はパワーボックス19により駆動されている。
【0034】
渦巻ポンプ3は、導水筒15の頂部に直接取付けられたローターケーシング2内で回転するローター(羽根車)1を備えており、このローター1は上面が閉鎖円板20で閉鎖された下面開放型の放射状配置の羽根車からなり、導水筒15と同軸の軸心でモーター6によって回転駆動される。ケーシング2の周壁には等間隔で複数のスリット状開口からなる横向きの吐出口4が設けられており、そこから吐出される霧状の水流が脱気室7内に直接放射され、脱気室の内周壁に霧状の吐出水流が衝合するようになっている。
【0035】
本実施例の渦巻ポンプ3は、導水筒15の内部の水に対して導水筒のほぼ軸方向に沿った軸心の上昇回転渦流を発生させつつ導水筒上端の軸心近傍領域から吸水し、羽根車外周部からの吐出水を吐出口4から脱気室7内に直接放射する立軸形のタービンポンプであるが、同様の機能を果たす限りにおいてボリュートポンプであってもよい。
【0036】
本装置は作動状態においては真空ポンプ17によって脱気室7内が高真空状態に保たれており、真空ポンプ17からの排気は大気中に放散されている。この状態で電磁弁18を開くと、図示しない受水槽から給水管9を経て送られてくる水がイゼクター13とバルブ26を介して給水口25から減圧状態下の導水筒15内に吸引される。導水筒15内に水が満たされた状態で導水筒15の底部に配置された超音波振動子12から予め定められた周波数の超音波を導水筒内の水に照射すると、導水筒15内の水にキャビテーションによる空洞化現象が誘起されて水中に溶けている気体が気泡14として分離する。この気泡発生には減圧下における低温沸騰現象も寄与する。
【0037】
このとき渦巻ポンプ3をモーター6によって動作させると、ローター1の回転によって導水筒15内の水に導水筒の軸方向に沿った軸心の上昇回転渦流が発生し、この渦流が気泡を巻込んで軸心に集めながらローター1の軸心近傍から気泡と共に吸引されてローターの閉鎖円板20に沿って径方向へ向かい、ローター1の羽根の間に気泡を滞留させることなく遠心力によってケーシング2の周壁の複数のスリット状吐出口4から横向きに高速の噴流となって脱気室7内へ放射される。
【0038】
この場合、高速の噴流はスリット状吐出口4を通過する時にスリットのエッジで切断を受けるので、脱気室へは霧状のジェット流として飛散放射され、これが更に脱気室の内壁に衝合することによって水滴中に捕えられたままの微細な気泡も自ら分離され、従ってこれらの開放された水が真空ポンプ17により吸引捕集されて装置外へ排気される。
【0039】
このように、本実施例における渦巻ポンプ3は気泡を含む水を吸引して気泡をポンプ内に停滞させることなく霧状の高速噴流として吐出するものであり、これは従来の一般的なポンプでは実現できなかった特徴のひとつである。
【0040】
このようにして脱気された水は高真空状態の脱気室7内の下部貯水室21に一時的に蓄えられる。この貯水室21には三つの高さレベルで水位検出器a,b,cが設けられており、外部制御装置16によって水位が監視制御されている。即ち、検出器aは送水ポンプ10の停止水位検出用のもの、検出器bは送水ポンプ10の始動水位検出用のもの、そして検出器cは電磁弁18の閉鎖水位検出用のものである。
【0041】
制御装置16は、脱気水の水位が検出器bの水位を越えていれば送水ポンプ10を動作状態にし、これにより貯水室21から配管11を介してポンプ10により外部および循環系に脱気水が送られる。又、貯水室21内の水位が検出器aの水位より低下した場合は送水ポンプ10は水位が検出器bの水位に回復するまで制御装置16によって停止され、更に貯水室21内の水位が検出器cの水位を越えると制御装置16によって電磁弁が閉じられ、新水の供給が停止される。
【0042】
このようにして脱気水が送水ポンプ10から送り出されると、分配筐22によって外部へ送られる水の一部がバルブ27を介して循環配管23に送られ、給水取り入れ用のイゼクター13及びバルブ26を介して導水筒15の給水口25に送られる。イゼクター13では循環配管23からの循環水(脱気水)が高速で通過する時に生じる負圧で電磁弁18からの給水が吸引されて取り込まれ、装置内の減圧による負圧と送水ポンプ10の押込圧との和による圧力で導水筒15に水が吸引されることになる。
【0043】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明による脱気装置は高真空と超音波キャビテーションによる効果に渦巻ポンプによる渦流の遠心力による効果を相乗的に利用して霧化及び噴流衝合による脱気を行わせるので、水中の溶存酸素だけでなく揮発性気体成分をも効果的に脱気することが可能であり、水道水を酸化腐蝕力の殆どない高脱気水に変えて配管の防食と延命に寄与するだけでなく、例えば原油精製に伴う廃水中のベンゼン等の発癌性有機揮発成分を脱気して無害化することもでき、従来の清水による希釈に比べて水資源消費もなく、更に脱気したベンゼンを回収して殺虫剤原料等に利用する道も開けるほか、装置内に目詰まりする個所がないので工場廃水から塩素誘導体の発癌性物質を除去する用途にも利用できるので河川水の汚濁防止にも効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態の一例を縦断面構造として示す模式図である。
【符号の説明】
3:渦巻ポンプ
7:脱気室
10:送水ポンプ
15:導水筒
17:真空ポンプ
Claims (4)
- 真空ポンプで減圧される脱気室と、給水口から導入されて内部を満たした水に前記真空ポンプの減圧による低温沸騰と空洞化現象を与える導水筒と、導水筒の内部の水に空洞化現象誘発のための超音波を照射する超音波振動子と、導水筒内の水を脱気室に送り込むポンプ手段と、脱気室内に貯えられた水を外部へ送水する送水手段とを備えた脱気装置であって、前記ポンプ手段が、導水筒の内部の水に導水筒の軸方向に沿った軸心の上昇回転渦流を発生させつつ導水筒上端の軸心近傍領域から吸水して吐出水を前記脱気室内に放水飛散させる渦巻ポンプからなることを特徴とする脱気装置。
- 前記渦巻ポンプが羽根車外周部からの吐出水を脱気室内に直接放射する横向き吐出口を有する立軸形のタービンポンプ又はボリュートポンプからなり、該ポンプが導水筒の上端部に同軸状に直結され、前記吐出口が脱気室内に直接開口されていることを特徴とする請求項1の脱気装置。
- 脱気室が前記渦巻ポンプからの放水を受けてこれを飛散させる衝合壁を有することを特徴とする請求項1または2に記載の脱気装置。
- 送水手段からの水の少なくとも一部を導水筒へ循環させる循環系を更に備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の脱気装置。
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