JP2006175428A - 高速旋回式蒸発装置におけるミスト除去構造並びにこの装置を用いた含油廃水の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】蒸発缶2における液体成分L1及び蒸気成分Sの流入口23と、蒸気成分Sの排気口21との間には、旋回流によって蒸発缶2の内壁近傍に位置する蒸気成分Sが排気口21に移動する際に、この蒸気成分S中に含まれるミストMを衝突させるための衝突板24が具えられたことを特徴として成るものであり、蒸発缶2内において旋回流となって蒸発缶2の内壁近傍に位置する蒸気成分Sを、排気口21に至る前に確実に衝突板24に衝突させることができ、この蒸気成分Sの旋回流中に含まれるミストMを蒸気成分Sから高効率で分離することができる。
【選択図】図1
Description
このうち液膜上昇式の蒸発装置は、機械的な可動部分がない簡単な構造であるためイニシャルコストが低く済み、またほとんど故障しないため保守費用を含めたランニングコストも低く済むものであり、更には設置面積が少なく済むといったメリットがあるため広く普及しているものである。
そしてこの新規な高速旋回式蒸発装置D′によれば、蒸発缶2′内において被処理液L0の発泡を防ぎ、更に濃縮された状態の被処理液L0と、新たに投入された被処理液L0との混合不足による焦げ付き等を防ぐことができ、発泡しやすい被処理液L0や、粘度の高い被処理液L0を取り扱うことが可能となっていた。
この際、被処理液L0としての消化液が濃縮される一方で、このとき生じた蒸気成分Sが凝縮されて生成される凝縮液L2への不純物の混入はできる限り抑えることが要求される。
これは、前記メタン醗酵の際に生ずる消化液には多量の有機物が含まれており、この消化液を下水や河川などに放流するにはBOD値を基準値以下にまで下げる必要があるため、消化液を濃縮処理して、得られた濃縮液L3は堆肥の原料として有効利用される一方、凝縮液L2については脱色、消毒、希釈等の措置が施された後、下水や河川に放流されているからである。
このうち特許文献2に示された手法は、油水分離機で油分を除いた油分含有廃水(分離廃水)を、蒸発缶内の伝熱管の上方から散布して蒸発濃縮し、蒸発した水分を凝縮器で凝縮させる手法であり、気液分離が十分に行われずに凝縮水に油分が混ざってしまうため、凝縮水から油分を分離するための油分離機を設ける必要があった。
この発明によれば、蒸発缶内において旋回流となって蒸発缶の内壁近傍に位置する蒸気成分を、排気口に至る前に確実に衝突板に衝突させることができ、この蒸気成分の旋回流中に含まれるミストを蒸気成分から高効率で分離することができる。
この発明によれば、前記衝突板によって蒸気成分から分離されなかったミストは、内部デミスタによって再度、分離が試みられるため、より高効率で蒸気成分から分離されることとなる。
この発明によれば、油分含有廃水を液体原料として扱った場合でも、突沸現象を抑えながら高濃度まで濃縮することができる。また凝縮液への油分の混入を確実に防止することができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
図1中符号Dで示すものは本発明が適用される高速旋回式蒸発装置であり、この装置は加熱缶1と蒸発缶2との間を吹込管路3によって接続して成るものである。そして前記加熱缶1内に配された長管11内に流入する被処理液L0を、この長管11の外側に供給された加熱媒体(加熱蒸気H)からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった状態の液体成分L1と蒸気成分Sとを前記蒸発缶2内に吹き込み、この蒸発缶2内においてこれら液体成分L1と蒸気成分Sとの分離を行う装置である。
まず前記加熱缶1について説明すると、このものは密閉性が確保された筐体10内に、金属等の耐熱素材から成る管路である長管11が複数本具えられるものであり、この長管11の下端部は給液口12と連通状態とされ、一方、長管11の上部は排出口13と連通状態とされて成るものである。また前記筐体10の側周部分には蒸気口14及びドレン口15が形成される。
そして図2、3に示すように、前記流入口23と排気口21との間に衝突板24が配されるものであり、この衝突板24は一例として、筐体20の内径と略同一の外形寸法で形成された環状のフランジ24aの下面に、筐体20の内径よりも約5%程小さな径の円筒状部材であるカラー24bを組み付けて構成されたものである。また前記フランジ24aの外周面と筐体20の内周面との間が密接するように適宜、溶接や接着剤の充填等が行われる。
なおこの実施例では、前記カラー24bを非通気性の金属素材により形成するようにしたが、後述する内部デミスタ25のメッシュ材25bと同様の網体によって形成するようにしてもよい。
なお前記メッシュ材25bは、ステンレス、アルミニウム等の金属あるいはポリプロピレン等の合成樹脂、更にはグラスファイバー等を素材とした網体を、複数積層して形成されるものであって、気体中に含まれる微粒子を捕捉するための部材である。
更に吹込管路3における蒸発缶2との接続部位近傍の開口断面積を、前記複数本の長管11の開口断面積の総和よりも小さくなるように設定することにより流速の増大を図るようにしてもよい。
また前記流入口23は図2(c)に示すように、垂直辺が水平辺よりも長い長方形状のスリットとされ、一方、吹込管路3における蒸発缶2との接続部位の開口断面の形状も、垂直辺が水平辺よりも長い長方形状のスリットとされ、蒸発缶2内に吹き込まれる液体成分L1と蒸気成分Sとが薄層状態に成るように構成される。
また、蒸発缶2における排気口21と加熱缶1における蒸気口14との間は蒸気循環路6によって接続され、更にその途中に圧縮機9が具えられる。そしてこの圧縮機9から筐体10内に供給された加熱蒸気Hが、長管11内に位置する被処理液L0(濃縮が進行した液体成分L1も含む)に対して熱を伝導し、その結果加熱蒸気Hは凝集して凝縮液L2となり、ドレン口15から外部に排出される。
なお前記ドレン口15の後段部分には、凝集液排出ポンプを兼用する真空ポンプPが具えられる。
まず圧縮機9を起動して加熱缶1内に加熱蒸気Hを供給するものであり、長管11を加熱した加熱蒸気Hは凝集して凝縮液L2となり、ドレン口15から外部に排出される。なお装置の始発状態において蒸気循環路6内に蒸気成分Sが存在しない場合には、適宜の蒸気供給装置を併設し、ここから蒸気循環路6内に蒸気を供給する等の措置を施す。
次いで真空ポンプPを起動して被処理液L0及び液体成分L1の循環経路内の減圧を行い、被処理液L0の沸点低下を図り、この状態でバルブ81の開度を調節して、漢方薬生薬エキス、各種調味料、動物エキス、魚介エキス、植物エキス、醗酵液等の各種液体物質や、アミノ酸、酵母、蛋白質等の水溶液あるいは各種廃液等を被処理液L0としてノズル82から蒸発缶2内に供給する。なお被処理液L0の種類等によっては減圧を要さない場合もある。
そしてこれら蒸気成分Sと液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込むものであり、このとき先細り状のダクト31を通過するとともに、吹込管路3を通過するため流速が増すものである。なおこの実施例では、吹込管路3内における蒸気成分Sと液体成分L1との流速が、100〜250m/sとなるようにした。
そして蒸気成分Sは旋回流の状態で上方に向かうものであり、このとき蒸気成分S及び蒸気成分S中に含まれるミストM(液体成分L1の飛沫粒子)は、遠心作用によって筐体20の内壁近傍に位置することとなる。
やがて蒸気成分S及び蒸気成分S中に含まれるミストMは、衝突板24におけるフランジ24aによって上昇が阻害され、カラー24bを乗り越えて排気口21に向かうものであり、このときミストMは衝突板24にぶつかって液滴となり、蒸気成分Sから分離されることとなる。
更に前記衝突板24によって分離されなかったミストMは、内部デミスタ25を通過する際に、メッシュ材25bによって捕捉され、蒸気成分Sから分離されることとなる。
そして以上のような操作を継続し、液体成分L1が所望の濃度となった時点でバルブ52を開放し、濃縮された状態の液体成分L1を濃縮液L3として外部に排出するものである。
なおこの実施例で示す高速旋回式蒸発装置Dは、図1に示した高速旋回式蒸発装置Dと基本構成を同一とするものであるため、ここでは構成の異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
また前記蒸発缶2における排気口21の後段部分には外部デミスタ26及びコンデンサ7が接続され、更にその後段に真空ポンプPが接続される。
まず蒸気供給装置90から加熱缶1内に蒸気を供給するものであり、長管11を加熱した蒸気は凝集してドレンとなり、ドレン口15から外部に排出される。
次いで真空ポンプPを起動して被処理液L0及び液体成分L1の循環経路内の減圧を図り、この状態でバルブ81の開度を調節して、廃液等の被処理液L0をノズル82から蒸発缶2内に供給する。なおこの実施例では、真空ポンプPを用いて循環経路内の減圧を行い、被処理液L0の沸点低下を図ったが、被処理液L0の種類等によっては減圧を要さない場合もある。
そしてこれら蒸気成分Sと液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込むものであり、このとき先細り状のダクト31を通過するとともに、吹込管路3を通過するため流速が増すものである。なおこの実施例では、吹込管路3内における蒸気成分Sと液体成分L1との流速が、100〜250m/sとなるようにした。
やがて蒸気成分S及び蒸気成分S中に含まれるミストMは、衝突板24におけるフランジ24aによって上昇が阻害され、カラー24bを乗り越えて排気口21に向かうものであり、このときミストMは衝突板24にぶつかって液滴となり、蒸気成分Sから分離されることとなる。
更に前記衝突板24によって分離されなかったミストMは、内部デミスタ25を通過する際に、メッシュ材25bによって捕捉され、蒸気成分Sから分離されることとなる。
やがて蒸気成分Sは排気口21から外部デミスタ26に至り、ここで更にミストMの除去が成されてコンデンサ7に至り、凝縮液L2となって外部に排出されるものである。
なおこの際、濃縮された状態の液体成分L1は、新たに供給された液体原料Lと混ざり合うため、濃度が均一となった状態で加熱缶1に供給されることとなり、複数の長管11での流量が不均一になることがなく、液切れによる過熱や焦げ付きが生じない。
なおこの実施例では、前記液体原料として油分含有廃水を用いるため、油分含有廃水を高速旋回式蒸発装置Dに投入する前に、この油分含有廃水に加圧浮上分離法等の油分分離操作を前処理として施し、油分の含有率を低下させた分離廃液を得て、この分離廃液を被処理液L0として高速旋回式蒸発装置Dに投入するようにしたが、油分含有廃水の性状によっては前処理を省略することもできる。
まず圧縮機9を起動して加熱缶1内に加熱蒸気Hを供給するものであり、長管11を加熱した加熱蒸気Hは凝集して凝縮液L2となり、ドレン口15から外部に排出される。
次いで真空ポンプPを起動して被処理液L0及び液体成分L1の循環経路内の減圧を行い、被処理液L0の沸点低下を図り、この状態でバルブ81の開度を調節して、前記分離廃液を被処理液L0としてノズル82から蒸発缶2内に供給する。
そしてこれら蒸気成分Sと液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込む。
やがて蒸気成分S及び蒸気成分S中に含まれるミストMは、衝突板24におけるフランジ24aによって上昇が阻害され、カラー24bを乗り越えて排気口21に向かうものであり、このときミストMは衝突板24にぶつかって液滴となり、蒸気成分Sから分離されることとなる。
更に前記衝突板24によって分離されなかったミストMは、内部デミスタ25を通過する際に、メッシュ材25bによって捕捉され、蒸気成分Sから分離されることとなる。
そして以上のような操作を継続し、液体成分L1が所望の濃度となった時点でバルブ52を開放し、濃縮された状態の液体成分L1を濃縮液L3として外部に排出し、適宜後処理を施すようにする。
1 加熱缶
10 筐体
11 長管
12 給液口
13 排出口
14 蒸気口
15 ドレン口
2 蒸発缶
20 筐体
21 排気口
22 流出口
23 流入口
24 衝突板
24a フランジ
24b カラー
25 内部デミスタ
25a 枠体
25b メッシュ材
26 外部デミスタ
26a 筐体
26b 衝突板
26c メッシュ材
3 吹込管路
31 ダクト
5 戻り管路
51 濃縮液排出口
52 バルブ
6 蒸気循環路
7 コンデンサ
8 給液タンク
81 バルブ
82 ノズル
9 圧縮機
90 蒸気供給装置
H 加熱蒸気
L0 被処理液
L1 液体成分
L2 凝縮液
L3 濃縮液
M ミスト
P 真空ポンプ
S 蒸気成分
Claims (3)
- 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成するとともに、前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体原料を、この長管の外側に供給した加熱媒体からの伝導熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体成分を得る蒸発装置において、前記蒸発缶は平面視で円形の横断面を有するものであり、この蒸発缶に対する前記吹込管路の接続形態は、蒸発缶内において液体成分及び蒸気成分の旋回流を生じされるように成され、更に前記蒸発缶における液体成分及び蒸気成分の流入口と、蒸気成分の排気口との間には、旋回流によって蒸発缶の内壁近傍に位置する蒸気成分が排気口に移動する際に、この蒸気成分中に含まれるミストを衝突させるための衝突板が具えられたことを特徴とする高速旋回式蒸発装置におけるミスト除去構造。
- 前記蒸発缶内における衝突板の上方には、内部デミスタが具えられたことを特徴とする請求項1記載の高速旋回式蒸発装置におけるミスト除去構造。
- 前記請求項1または2記載の高速旋回式蒸発装置におけるミスト除去構造を用いて処理する方法であって、前記液体原料として油分含有廃水を対象とし、この油分含有廃水を前記高速旋回式蒸発装置に投入することにより濃縮するとともに、このとき生じる蒸気成分中にミスト状態で存在する油分を蒸気成分から分離するように処理することを特徴とする含油廃水の処理方法。
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