JP4155460B2 - 液体原料の濃縮方法並びにその装置 - Google Patents
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Description
この種の装置は大別して、図6に示す縦型の加熱缶1′を使用したヒートポンプ式の濃縮装置C′と、図7に示す横型の加熱缶1′を使用したヒートポンプ式の濃縮装置C′とに分けられるが、いずれのタイプの装置も、加熱缶1′内に具えた管路11′内で液体原料L0の溶媒成分を蒸発させるものであり、このための熱源として加熱缶1′の外に排出された蒸気成分S0を圧縮器7′によって昇温して蒸気S1とした後、前記管路11′の外側を通過させている。
具体的にはまず図6に示した装置では、ベントコンデンサを適用した予熱器5′によって、加熱缶1′から排出された未凝縮ガスS2を冷却して凝縮させるものであり、この予熱器5′を通過する液体原料L0は蒸気潜熱を受けて昇温されるものである(特許文献1参照)。
また図7に示した装置は、長管11′内において凝縮したドレンDを予熱器5′に導いて液体原料L0を昇温し、この昇温された液体原料L0を加熱缶1′に投入するものである(特許文献2参照)。
またこのため長管11′に入った時点での液体原料L0の温度が低く、長管11′内において液体原料L0が沸騰するまでに時間がかかってしまうため、図5中に仮想線で示すように熱伝導率の低い液体領域が多くなり、加熱缶1′の処理能力を低下させてしまう要因となっている。
この発明によれば、液体原料を加熱した未凝縮ガスは凝縮する際に潜熱を放出するため、この潜熱によって更に液体原料を加熱することができる。また未凝縮ガスとドレンとの双方から液体原料に対して熱エネルギーを供給することができるため、液体原料を高温にすることができる。
この発明によれば、予熱器内の加熱媒体の温度低下を回避することができる。
この発明によれば、蒸発缶に液体原料が投入されることによって引き起こされる液体成分の温度低下を少なくさせ、長管内において液体成分が沸騰するまでの時間を短くすることができる。
この発明によれば、液体原料を加熱した未凝縮ガスは凝縮する際に潜熱を放出するため、この潜熱によって更に液体原料を加熱することができる。また未凝縮ガスとドレンとの双方から液体原料に対して熱エネルギーを供給することができるため、液体原料を高温にすることができる。
この発明によれば、温度低下を検出することにより、加熱媒体中の空気量を検知することができ、予熱器内の温度低下を回避することができる。
この発明によれば、蒸発缶に液体原料が投入されることによって引き起こされる液体成分の温度低下を少なくさせ、長管内において液体成分が沸騰するまでの時間を短くすることができる。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
なおこの実施例では前記蒸気S1として、蒸発缶2において分離された蒸気成分S0を圧縮ポンプ7によって昇温して用いている。
まず前記加熱缶1について説明すると、このものは図2に示すように機密性が確保された筐体10内に、金属等の耐熱素材から成る管路である長管11を複数本具えるものであり、この長管11の下端部を筐体10下部に形成した給液口12と連通状態とし、一方、長管11の上端部を筐体10上部に形成した排出口13に連通状態として成るものである。
また前記筐体10の側周部分には、蒸気口14及びドレン口15が形成される。なお給液口12から長管11を通って排出口13に至る流路と、蒸気口14から筐体10内を通ってドレン口15に至る流路とは、双方を流れる流体が互いに干渉しないようになっており、双方の流路間では熱エネルギーのみが移動するものである。
更にまた前記加熱缶1に形成された蒸気口14には蒸気供給装置9が接続される。
また筐体20内にはノズル82が配されるものであり、このノズル82内から給液タンク8に貯留された液体原料L0が噴出されるものである。なおこの液体原料L0の噴出量は、バルブ81の開度を調節することにより調節される。
なお前記戻り管路4には濃縮液排出口41が形成されるものであり、バルブ42を開放することにより、濃縮された液体成分L1を外部に排出できるように構成されている。
ここで前記予熱器5について説明すると、このものは図3に示すように、中空状のシェル50内に液体原料L0を通過させるための管路51を具え、この管路51の外側に加熱媒体を通過させるものであり、原料液流入口52に投入された液体原料L0は、管路51を通過する過程で加熱媒体から熱エネルギーを受け、昇温した状態で原料液流出口53から排出される。
また予熱器5には、前記蒸発缶2から排出される加熱媒体たる未凝縮ガスS2によって液体原料L0を昇温する個所と、同じく前記蒸発缶2から排出される加熱媒体たるドレンDによって液体原料L0を昇温する個所とが形成されるものであり、前記シェル20の側壁部に形成される排出口56よりも下方がドレンDによって液体原料L0を昇温するエリアE1と成り、一方、排出口56よりも上方が未凝縮ガスS2によって液体原料L0を昇温するエリアE2となる。
すなわちシェル50の上部に形成された熱媒投入口54からシェル50内に供給される熱媒体は未凝縮ガスS2とドレンDであり、前記排出口56からは真空ポンプPによってドレンDが排出されるため、この排出口56よりも上方部分が未凝縮ガスS2が溜まるスペースとなるものである。なお排出口56と真空ポンプPとの間にはバルブ57が具えられる。また加熱缶1におけるドレン口15と予熱器5における熱媒投入口54との間を結ぶ管路には温度センサTが具えられる。
そして図1に示すように、前記第一の予熱器5と、蒸発缶2との間には、一例として電気ヒータを適用した第二の予熱器6が具えられるものである。
〔初期運転〕
まず真空ポンプPを起動して濃縮装置Cの系内の減圧を図るものであり、適宜バルブ57、58、59を操作して蒸発缶2、加熱缶1及び予熱器5とこれらを結ぶ管路内を減圧しておく。
次いで蒸気供給装置9から加熱缶1内に蒸気を供給するものであり、長管11の外側を通過した蒸気は凝集してドレンDとなり、ドレン口15から排出されて予熱器5に至る。
そしてノズル82から蒸発缶2内に供給された液体原料L0は、戻り管路4を経由して加熱缶1における長缶11内に供給され、蒸気から伝導される熱によって長管11内部で沸騰し、発生した蒸気成分S0が長管11内を上昇する際に液体成分L1を引き上げることとなる。これら蒸気成分S0と液体成分L1とは長管11内を上昇して排出口13に至りここから吹込管路3内に入り込み、続いて蒸発缶2における流入口22から筐体20内に流入する。
一方、前記液体成分L1は筐体20の下部に溜まり、ここから戻り管路4を経由して蒸発缶1における給液口12に供給される。
このような運転を継続することにより、濃縮された液体成分L1は前記ノズル82から供給された新たな液体原料L0を伴って再び加熱缶1における長管11内に位置することとなり、更なる濃縮が行われるものである。
以下、定常運転の状態にあるときの濃縮装置Cの作動態様について説明する。
まず給液タンク8内に貯留されていた液体原料L0(温度20℃)は、予熱器5における原料液流入口52に供給され、管路51を通過する際に約70℃まで昇温されて原料液流出口53から排出されることとなる。
ここで予熱器5による液体原料L0の昇音原理について説明すると、シェル50の内部は図3に示すように半分ほどの高さまでドレンDが貯留され、その上方に未凝縮ガスS2が充満した状態となっている。すなわちシェル50の側壁部分に設けられた排出口56には真空ポンプPが接続されており、この真空ポンプPの作用によってドレンDが排出されるため、排出口56の位置がドレンDの上限レベルとなるものであり、排出口56よりも下方がドレンDによって液体原料L0を昇温するエリアE1と成り、一方、排出口56よりも上方が未凝縮ガスS2によって液体原料L0を昇温するエリアE2と成る。
そして液体原料L0は、管路51を通過する過程で、まずドレンDから熱エネルギーを受けて昇温され、続いて未凝縮ガスS2から熱エネルギーを受けて更に昇温されるものである。
なお加熱缶1におけるドレン口15から排出されて予熱器5に取り込まれるドレンDと未凝縮ガスS2との比率は約95:5であり、これらドレンDと未凝縮ガスS2との双方を熱源とすることにより、ドレンDのみを熱源としたときと比べて約2倍の熱量が得られるものである。
また液体原料L0中には空気が含まれており、更に装置自体のリークがあるため、ドレン口15から排出されるドレンDと未凝縮ガスS2とには空気が含まれるものであり、この空気の量が多くなると温度センサTの検出値が下がる。そこでこの検出値に応じてバルブ57の開度を調節し、更にバルブ58を開いて脱気口55からシェル50内の空気を外部に放出する。このような操作によってシェル50内の加熱媒体の温度低下が回避されることとなる。
そして液体原料L0は蒸発缶2の下部において濃縮された液体成分L1と混合され、その後加熱缶1における長管11に至ってここで溶媒が蒸発するものであるが、このとき液体原料L0と濃縮された液体成分L1との混合液は80〜85℃と高温状態を維持することができるため、長管11内において直ちに沸騰するものである。このため図5に示すように、熱伝導率の低い液状領域が僅かとなって蒸発速度が速くなり、加熱缶1の処理能力が増大することとなるものである。
なお加熱缶1から排出される加熱媒体、すなわち未凝縮ガスS2とドレンDとの温度はそれぞれ100℃、70℃となる。
上述したように本発明によれば、予熱器5内において液体原料L0を加熱した未凝縮ガスS2は凝縮する際に潜熱を放出するため、この潜熱によって更に液体原料L0を加熱することができる。また未凝縮ガスS2とドレンDとの双方から液体原料L0に対して熱エネルギーを供給することができるため、液体原料L0を高温にすることができる。
また温度低下を検出することにより、空気の異常増加を検知することができ、予熱器5内の加熱媒体の温度低下を回避することができる。
更にまた蒸発缶2に液体原料L0が投入されることによって引き起こされる液体成分L1の温度低下を少なくさせ、長管11内において液体成分L1が沸騰するまでの時間を短くすることができる。
1 加熱缶
10 筐体
11 長管
12 給液口
13 排出口
14 蒸気口
15 ドレン口
2 蒸発缶
20 筐体
21 排気口
22 流入口
3 吹込管路
31 ダクト
4 戻り管路
41 濃縮液排出口
42 バルブ
5 予熱器(第一)
50 シェル
51 管路
52 原料液流入口
53 原料液流出口
54 熱媒投入口
55 脱気口
56 排出口
57 バルブ
58 バルブ
59 バルブ
6 予熱器(第二)
7 圧縮ポンプ
71 管路
72 デミスタ
8 給液タンク
81 バルブ
82 ノズル
9 蒸気供給装置
D ドレン
E1 エリア
E2 エリア
L0 液体原料
L1 液体成分
P 真空ポンプ
S0 蒸気成分
S1 蒸気
S2 未凝縮ガス
Claims (6)
- 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成し、前記蒸発缶内に供給された後、戻り管路を通じて前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体を、この長管の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体を得る方法において、前記長管内の液体に熱を供給した後、加熱缶から排出された加熱媒体を予熱器に送り込み、この予熱器において前記蒸発缶に供給する前の液体原料を昇温するものであり、前記予熱器に送り込まれる加熱媒体は、加熱缶内において蒸気成分が凝縮して生成されたドレンと未凝縮ガスとであることを特徴とする液体原料の濃縮方法。
- 前記予熱器における加熱媒体の入口の前段に温度センサを具え、この温度センサの検出値に基づいて加熱媒体中の空気量を判断し、この空気量に応じて予熱器と真空ポンプとの間を繋ぐ管路に具えたバルブの開度調節を行うことにより、予熱器からの排気量を調節することを特徴とする請求項1記載の液体原料の濃縮方法。
- 前記予熱器によって昇温された液体原料を更に第二の予熱器によって昇温して蒸発缶に供給することを特徴とする請求項1または2記載の液体原料の濃縮方法。
- 加熱缶と蒸発缶との間を吹込管路及び戻り管路によって接続することにより循環経路を形成し、前記蒸発缶内に供給された後、戻り管路を通じて前記加熱缶内に配した長管内に流入した液体を、この長管の外側に供給した蒸気からの加熱によって沸騰させることにより溶媒成分を蒸発させ、濃度の高まった液体成分と蒸気成分とを前記蒸発缶内に吹き込み、この蒸発缶内においてこれら液体成分と蒸気成分とを分離して高濃度の液体を得る装置において、前記加熱缶における加熱媒体の排出口の後段に、前記蒸発缶に供給する前の液体原料を昇温するための予熱器を具えるものであり、この予熱器は、シェル内に液体原料を通過させるための管路を具え、この管路の外側に加熱媒体を通過させるものであり、前記シェルに形成されるドレンの排出口よりも下方を、ドレンによって液体原料を昇温するエリアとし、一方、上方を未凝縮ガスによって液体原料を昇温するエリアとすることを特徴とする液体原料の濃縮装置。
- 前記予熱器における加熱媒体の入口の前段に温度センサを具え、更に予熱器と真空ポンプとの間を繋ぐ管路にバルブを具えたことを特徴とする請求項4記載の液体原料の濃縮装置。
- 前記予熱器と蒸発缶との間には、液体原料を更に昇温するための第二の予熱器を具えたことを特徴とする請求項4または5記載の液体原料の濃縮装置。
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