JP4330051B2 - 被熱転写シート及び熱転写方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクリボン等の熱転写シートと組み合わせて使用され、熱量印加によって熱転写シートからの染料が転写される被熱転写シート及び熱転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビデオ装置に入力された画像情報等を印画紙等の被熱転写シート上に現像する方法としては、昇華性染料や熱溶融染料を用いる方法が用いられている。
【0003】
この熱転写方法では、昇華性染料や熱溶融染料を有する染料層が形成された熱転写シート(インクリボン)と、上記染料を受容するための受容層が形成された被熱転写シート(印画紙)とを、染料層と受容層とが対向するように重ね合わせ、サーマルヘッド等により、画像信号に応じて点状に熱を印加する。これにより、染料層の染料が昇華または溶融して印画紙の受容層に移行し、印画紙上に画像が現れることになる。
【0004】
このような被熱転写シートは、シート状基材と、このシート状基材上に形成された受容層とからなる2層構造とされる。そして、この受容層は、インクリボンから移行する染料、例えば、昇華性の分散染料の画像を受容し、受容により形成された画像を維持する層であり、従来より、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等の染着性樹脂から形成されている。
【0005】
また、熱転写シートにおいて、受容層として使用されるアクリル系樹脂は、いわゆる、懸濁重合、塊状重合、溶液重合及び乳化重合等任意の重合方法により得ることができる。これらの重合方法に使用される重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ヒドロキシパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、パーオキシジカーボネート類、パーオキシエステル類等の過酸化物重合開始剤を使用している。
【0006】
また、受容層には、耐熱性を向上させる為に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加する場合もある。更に、受容層には、染料の転写感度及び光退色性、即ち耐光性を向上させる為に、可塑剤を添加する場合もある。さらにまた、受容層には、熱転写シートの染料層表面との剥離性を向上させる為に、離型剤としてシリコーンオイル等を添加する場合もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクリボンに使用される昇華性染料としては、インドアニリン系シアン染料を使用する場合がある。このインドアニリン系シアン染料を有するインクリボンを用いて、(メタ)アクリル樹脂を染料受容層に使用した被熱転写シートに印画を行うと、画像の高温環境下における保存性や画像の経時変化といった点で問題があった。
【0008】
すなわち、インドアニリン系シアン染料を有するインクリボンと(メタ)アクリル樹脂を使用した非熱転写シートとを組み合わせて使用して形成された画像を、高温環境下に保存した場合、短時間で低濃度域のシアン色が消色してしまい、画像の品位が損なわれてしまう。また、これらの組合せで印画された画像は、室温でも長時間保存した場合でも、同様の現象が発生して品位が損なわれてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、上述したような従来の実情に鑑みて案出されたものであり、インドアニリン系シアン染料を有するインクリボンを用いた場合であっても、長期保存性に優れ且つ画像の経時変化を低減することが可能であり、高品質高解像度の画像を形成することが可能な被熱転写シート及び熱転写方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明者が鋭意検討した結果、(メタ)アクリル樹脂を重合する時に使用する過酸化物系重合開始剤がラジカル反応するに際して本来の目的である重合に使用されず、酸成分を形成してしまうものがあり、酸成分とインドアニリン系シアン染料とが反応する結果、インドアニリン系シアン染料が劣化・消色してしまうといった知見を得るに至った。本発明者らは、このような知見に基づいて、染料受容層の酸成分を規制することによってインドアニリン系シアン染料を長期に亘って保存することができることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、上述した目的を達成した本発明に係る被熱転写シートは、基材とこの基材上に形成された染料受容層とからなり、上記染料受容層が、化4で表されるアゾ系の重合開始剤を用いて重合されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる(メタ)アクリル樹脂を主体としてなり、酸価が1.0mgKOH/g以下であることを特徴とするものである。
【化4】
【0012】
以上のように構成された本発明に係る被熱転写シートは、酸価を1.0mgKOH/g以下に規定しているため、特に、インドアニリン系シアン染料を劣化させるようなことがなく、長期に亘って画像を保存することができる。
【0013】
また、上述した目的を達成した熱転写方法は、染料受容層を有する被熱転写シートとインク層を有する熱転写シートとを、染料受容層とインク層とが対向するように配置し、上記インク層の所定の領域を加熱することによりインク層に含有されるインクを上記染料受容層に移行させる熱転写方法において、基材上に上記化4で表されるアゾ系の重合開始剤を用いて重合されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる(メタ)アクリル樹脂を主体として形成されるとともに酸価が1.0mgKOH/g以下とされた染料受容層を有する被熱転写シートと、少なくとも化5で表されるインドアニリン系のシアン染料を含有するインク層を有する熱転写シートとを使用することを特徴とするものである。
【0014】
【化5】
【0015】
以上のように構成された本発明に係る熱転写方法は、酸価が1.0mgKOH/g以下に規定された染料受容層にインドアニリン系のシアン染料が転写されることとなる。この染料受容層では、インドアニリン系のシアン染料を劣化・消色させる酸成分が、1.0mgKOH/g以下の酸価として規定されているため、インドアニリン系のシアン染料を長期に亘って維持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る被熱転写シート及び熱転写方法の具体的な実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
本発明を適用した被熱転写シートの一例を図1に示す。この被熱転写シートは、いわゆる印画紙として、染料を含有する染料層を有するインクリボン等の熱転写シートと組み合わせて用いられ、熱転写シートから移行した染料により所定の画像を形成するものである。
【0018】
この被熱転写シートは、シート状の基材1と、この基材1上に形成されて染料を受容する染料受容層2とを備える。そして、この被熱転写シートでは、例えばビデオ信号に応じて、サーマルヘッドによる選択的な熱量印加により熱転写シートより染料が染料受容層2に移行し、画像が形成される。
【0019】
ここで、熱転写シートは、図2に示すように、熱転写シート基材5と、この熱転写シート基材5の一主面上に配設されたイエロー染料層6、マゼンタ染料層7及びシアン染料層8を有するインク層9と、インク層9に隣接して熱転写シート5の一主面5a上に配設されたラミネート層10とから構成されている。そして、上述した被熱転写シートでは、染料受容層2とインク層9とが対向するように熱転写シートと組み合わされ、画像が形成されることとなる。
【0020】
また、この被熱転写シートにおいて、基材1としては、従来より用いられているものを使用することができ、例えば、上質紙、コート紙等の紙類、種々のプラスチックシート、或いはこれらの複合シート等を使用することができる。
【0021】
さらに、被熱転写シートにおいて、染料受容層2は、(メタ)アクリル樹脂を主体とするものである。そして、染料受容層2は、酸価が1.0mgKOH/gに規定されている。
【0022】
(メタ)アクリル樹脂としては、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを挙げることができる。これらは単独で使用しても良く、複数種を併用使用しても良い。本発明では、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのみからなる(メタ)アクリル樹脂を用いる。
【0023】
この(メタ)アクリル樹脂は、いわゆる、懸濁重合、塊状重合、溶液重合及び乳化重合等任意の重合方法により得ることができる。これらの重合方法に使用される重合開始剤としては、従来より公知のものを使用することができるが、特に、化6で示されるアゾ系重合開始剤を使用することが好ましい。
【0024】
【化6】
【0025】
アゾ系重合開始剤は、重合に使用されない場合でも酸性物質を生成しないため、染料受容層2の酸価を増大するようなことがない。このため、アゾ系重合開始剤を使用することによって、染料受容層の酸価を1.0mgKOH/g以下に確実に規定することができる。
【0026】
このように重合してなる(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量は、1万〜100万程度が好ましく、更には10万〜100万程度がより好ましい。(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が1万未満の場合には、染料受容層2が脆くなり、また、染料受容層2を形成する際に塗膜特性が悪化する虞がある。逆に、(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量が100万より大の場合には、染料受容層2を形成する際の塗料の粘度が高くなってしまい塗工し難くなり、染料受容層2の表面性が劣化する虞がある。
【0027】
なお、染料受容層2には、白色度を向上させるため、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等の無機顔料や蛍光増白剤を添加することができる。また、染料受容層2には、離型剤を添加しても良い。例えば、離型剤としては、メチルスチレン変性シリコーンオイル、オレフィン変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイルのようなシリコーンオイルや、フッ素系離型剤等を挙げることができる。
【0028】
また、染料受容層2には、皮膜特性を向上させる為に硬化剤を添加することが好ましい。硬化剤としては、例えば、エポキシ系硬化剤、イソシアネート系硬化剤等を挙げることができ、特に、無黄変タイプの多官能イソシアネート化合物を使用することが好ましい。このような多官能イソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ビューレット等を挙げることができる。これら硬化剤は、単独で使用しても良いし、複数種を併用しても良い。
【0029】
さらに、染料受容層2には、プリンター装置内で走行する時に静電気が発生することを防止するため、帯電防止剤を使用することが好ましい。帯電防止剤としては、例えば、陽イオン型界面活性剤(第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体等)、陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキル硫酸エステルナトリウム塩等)、両性イオン型界面活性剤もしくは、非イオン型界面活性剤等の各種の界面活性剤を挙げることができる。これらの帯電防止剤は、染料受容層2に添加しても良いし、染料受容層2の表面にコーティングして使用してもよい。
【0030】
また、染料受容層2には、必要に応じて可塑剤を添加することができる。例えば、可塑剤としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、多価フェノールエステル等を挙げることができる。さらに、染料受容層2には、保存性を向上させるため紫外線吸収剤や酸化防止剤等を適宜配合することができる。例えば、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ジフェニルアクリレート系、ベンゾトリアゾール系を例示することができ、酸化防止剤としては、フェノール系、有機硫黄系、ホスファイト系、リン酸系等を例示することができる。
【0031】
一方、図2に示した熱転写シートは、シアン染料層8に化7に示すようなインドアニリン系シアン染料を含有している。
【0032】
【化7】
【0033】
インドアニリン系シアン染料は、酸成分により変質しやすい物質であり、酸成分の存在下において、経時的に劣化・消失されてしまうといった特徴をもっている。
【0034】
以上のように構成された被熱転写シートは、染料受容層2がアゾ系の重合開始剤を用いて重合されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる(メタ)アクリル樹脂を主体としてなり、染料受容層2の酸価が1.0mgKOH/g以下に規定されているため、染料受容層2にインドアニリン系シアン染料が転写された場合であっても、当該インドアニリン系シアン染料を長期間に亘って劣化・消色させることなく維持することができる。これにより、被熱転写シートは、染料受容層2に移行した染料により形成された画像においてシアン色が退色してしまい、画像の品質を劣化させるようなことが防止されることとなる。したがって、この被熱転写シートによれば、高品質・高解像度の画像を長期間に亘って保存することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明に係る被熱転写シート及び熱転写方法の具体的な実施例及びこれと比較するための比較例について説明する。
【0036】
実施例1
実施例1では、先ず、一方の面にバック層を有する厚さ6μmのポリエステルフィルム(東レ(株)社製、商品名ルミラー)を基材として使用し、下記の組成に従って調製されたインク組成物を乾燥厚1μmとなるように塗布して熱転写シートを作製した。
【0037】
<インク組成>
インドアニリン系シアン染料 5.0重量部
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製、商品名BX‐1) 5.0重量部
メチルエチルケトン 45.0重量部
トルエン 45.0重量部
次に、メチルメタクリレートモノマー100重量部に対して、重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を1重量部添加し、重合物を調製した。この重合物を精製し、固形分100%の樹脂を試料とした。この樹脂を用い、下記の受容層組成に従って、染料受容層用塗料を乾燥厚10μmになるように、シート用基材として用意した厚さ150μmの合成紙(王子油化社製、商品名YUPO FPG−150)上に塗布し、120℃にて2分間乾燥後、50℃にて48時間キュアリングし、被熱転写シートを得た。この被熱転写シートにおける染料受容層の酸価は0.7mgKOH/gであった。
【0038】
<受容層組成>
重合精製樹脂 100重量部
カルビノール変性シリコーンオイル 5重量部
(東レ・ダウコーニング社製、商品名SF8427)
HDl系ポリイソシアネート 10重量部
(日本ポリウレタン社製、商品名N−75)
メチルエチルケトン 200重量部
トルエン 200重量部
実施例2
重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル1重量部とした以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを作製した。実施例2の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が0.8mgKOH/gであった。
【0039】
実施例3
重量比がフェノキシエチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=80/20であるようなモノマー100重量部を使用して重合物を調製した以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを作製した。実施例3の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が0.6mgKOH/gであった。
【0040】
参考例4
重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を2重量部添加した以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを本発明の参考例として作製した。参考例4の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が1.5mgKOH/gであった。
【0041】
参考例5
重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチルを2重量部添加した以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを本発明の参考例として作製した。参考例5の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が1.8mgKOH/gであった。
【0042】
比較例1
重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを1重量部配合した以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを作製した。比較例1の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が2.5mgKOH/gであった。
【0043】
比較例2
重合開始剤としてメチルエチルケトンパーオキサイドを1重量部配合した以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを作製した。比較例2の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が2.3mgKOH/gであった。
【0044】
比較例3
重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを2重量部配合した以外は実施例1と同様にして被熱転写シートを作製した。比較例3の被熱転写シートにおいては、染料受容層の酸価が4.4mgKOH/gであった。
【0045】
<特性評価>
これら実施例1〜実施例3、参考例4、参考例5及び比較例1〜比較例3までについて、作製された被熱転写シートと熱転写シートとを用いて、画像の高温環境下保存におけるシアン染料の劣化・消色性を次のようにして評価した。
【0046】
高温環境下保存のシアン劣化・消色性
被熱転写シートに対し、熱転写プリンタ(ソニー(株)製、UP‐D5500プリンタ)を使用し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)を有するインクリボン(ソニー(株)製、UPC‐5510)のシアン(C)に相当する領域に、各例で作製したインドアニリン系シアン染料を含有する熱転写シートを切り貼りし、ビジュアル濃度0.5付近になるようにグレーベタを印画した。こうして画像が形成された被熱転写シートを60℃の高温環境下にて24時間保存した。この時、初期と保存後の色相及び濃度をGRETAG(SPM100‐・)にて測定し、下式にて色差△E及び濃度差△O.Dを算出した。
【0047】
△E=((L* 0−L* 1)2+(a* 0−a* 1)2+(b* 0−b* 1)2)1/2
△O.D=O.D0−O.D1
ここで、L* 0、a* 0、b* 0、O.D0:初期の値、L* 1、a* 1、b* 1、O.D1:保存後の値である。
【0048】
そして△E、△O.Dの結果より以下の様に画像の高温環境下保存のシアン劣化・消色性を評価した。
【0049】
O:△E≦0.4、△O.D≦0.02
×:0.4<△E、0.02<△O.D
なお、○の場合、シアン劣化はおきず、品位は損なわれていない。また、×の場合 シアン劣化が認められ、品位が損なわれている。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
この表1から明らかなように、染料受容層がアゾ系の重合開始剤を用いて重合されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる(メタ)アクリル樹脂を主体としてなり、染料受容層の酸価が1.0mgKOH/g以下である実施例1〜実施例3ではシアン劣化が発生していない。これに対して、染料受容層の酸価が1.0mgKOH/gより大きい比較例1〜比較例3ではシアン劣化が発生しており、画像の品質が劣化してしまっている。この結果からも、染料受容層が(メタ)アクリル樹脂からなる場合、染料受容層の酸価が1.0mgKOH/g以下とすることによって、高品質・高解像度の画像を長期間に亘って維持することができることがわかった。
【0052】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る被熱転写シートは、染料受容層の酸価を1.0mgKOH/g以下に規定しているため、特に、インドアニリン系シアン染料を劣化させるようなことがなく、長期に亘って画像を保存することができる。したがって、この被熱転写シートによれば、高品質高解像度の画像を長期保存することが可能となる。
【0053】
また、本発明に係る熱転写方法では、アゾ系の重合開始剤を用いて重合されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる(メタ)アクリル樹脂を主体としてなり酸価が1.0mgKOH/g以下である染料受容層が形成されてなる被熱転写シートとインドアニリン系のシアン染料を含有するインク層を備える熱転写シートを使用している。このため、本手法によれば、染料受容層に転写されたインドアニリン系シアン染料が劣化するようなことがなく、長期に亘って画像を保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る被熱転写シートを示す要部断面図である。
【図2】熱転写シートを示す要部平面図である。
【符号の説明】
1 基材、2 染料受容層
Claims (3)
- 上記(メタ)アクリル樹脂は、フェノキシエチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとのモノマーからなることを特徴とする請求項1記載の被熱転写シート。
- 染料受容層を有する被熱転写シートとインク層を有する熱転写シートとを、染料受容層とインク層とが対向するように配置し、上記インク層の所定の領域を加熱することによりインク層に含有されるインクを上記染料受容層に移行させる熱転写方法において、
基材上に化2で表されるアゾ系の重合開始剤を用いて重合されたアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルからなる(メタ)アクリル樹脂を主体として形成されるとともに酸価が1.0mgKOH/g以下とされた染料受容層を有する上記被熱転写シートと、少なくとも化3で表されるインドアニリン系のシアン染料を含有するインク層を有する上記熱転写シートとを使用することを特徴とする熱転写方法。
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Cited By (1)
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1999
- 1999-10-25 JP JP30217899A patent/JP4330051B2/ja not_active Expired - Lifetime
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