JP4329098B2 - 合成電車線用イヤー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トロリ線により線が添えられている合成電車線をちょう架線に吊設したハンガーに支持させるために用いる、合成電車線用イヤー装置に関する。
合成電車線用イヤー装置としては、例えば、図5,6に示すようにトロリ線Tとより線tを挟着する部材の片方のイヤー金具1を共用して、このイヤー金具1にボルト4a,4bを用いてトロリ線Tとより線tの各各に対し他方の個別イヤー金具2,3を各別に締着できるようにした構造のものが従来より用いられている。そして、共用のイヤー金具1に個別イヤー金具2,3を接合させるときの位置決めとして、共用のイヤー金具1側に突起5が、他方の個別イヤー金具2,3側には上記突起5の嵌る凹み6,7がそれぞれ設けられている。
この従来のイヤー装置において、共用のイヤー金具1側のボルト4a,4bの挿通孔はバカ孔であるが、他方の個別イヤー金具2,3側のボルト4a,4bの挿通孔は雌ねじとして機能している。図中、8はをちょう架線に吊設したハンガー(いずれも図示省略)へイヤー装置を取り付ける際に用いるナットである。
上記従来のイヤー装置は、共用のイヤー金具に2個の個別イヤー金具を離間させてボルトによりそれぞれ締着し、トロリ線とより線を挟着状態に支持できるように構成されていて、トロリ線とより線の支持状態は安定性の面等では満足できるが、装置の大型化は避けられず、重量が大であって取り扱いに不便である。また、重量が大きいと、パンタグラフの通過時の振動が大きくなって、トロリ線の大きな摩耗にも影響する。その上、2個のボルト操作は非常に煩雑となって作業性は悪く、上記諸問題の解決と相俟って、改善策が要望されていた。
本発明はかかる問題を解決したものであって、その目的は、装置の大幅な軽量化(上記従来のイヤー装置と比較してほぼ半減)を達成できることは勿論、左右一対のイヤー金具間にクランプを介在させて、より線とトロリ線を左右両ねじを備えたボルト1個の使用で段階的にかつ強固に挟着できるようにして両線を安定した支持状態に保持できるように、また、後の操作となるトロリ線の締め付け作業に際しては片手操作も可能となって、作業員の労力は軽減できて高所作業での安全性が確保されるように改良した合成電車線用イヤー装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴とする合成電車線用イヤー装置は左右一対のイヤー金具と、この両イヤー金具間に挟着状態として設けられるクランプと、これらの3部材を互いに結合締着する左右両ねじを備えたボルト及び該ボルトの先方半部側のねじ部と螺合するナットを備え、上記クランプのボルト挿通孔は該ボルトの手前半部側のねじ部と螺合する雌ねじ部として機能し、このクランプと上記ボルトの両ねじ部にそれぞれ装着される両イヤー金具との各対向面の上端部側には雌雄の嵌合部が圧着可能に設けられ、その両イヤー金具の相対向した下端部はトロリ線の挟着部に形成されている一方、この挟着部の上方へ連続した状態で上記ボルトの手前半部側のねじ部上に位置するイヤー金具とクランプの下端部の相対向した内面部分はより線の挟着面部に形成されている構成である。
上記構成において、クランプとボルトの手前半部側のねじ部上に位置するイヤー金具との間には、本合成電車線用イヤー装置をちょう架線に吊設したハンガーへ支持させるための取着部が設けられており、この取着部を構成するために、該取着部側の雌雄の嵌合部は中間を切り落とした状態にそれぞれ離間させて、それらの嵌合部に臨んだ上記クランプとイヤー金具の部分にはハンガーの下端に設けられている一対の支持片をそれぞれ係止する窓穴が設けられている。他方、クランプとボルトの先方半部側のねじ部上に位置するイヤー金具の組の嵌合部は幅方向へ連続した状態で設けられており、これらの嵌合部の存在によってクランプと両イヤー金具間の相対的回動は防止できる。
上記ボルトの先方半部側のねじ部上に位置するイヤー金具とクランプとの対向面は互いに当接できる接合面部に形成されており、両部材の強固な結合が果たされてトロリ線をしっかりと安定した支持状態に保持できる。また、左右のねじ部を備えたボルトは、手前半部側のねじ部へクランプが容易に螺合できるように、先方半部側のねじ部の呼び径は手前半部側のねじ部のそれより小さい。なお、両イヤー金具のボルトへの挿通孔はバカ穴に形成され、また、当然のことではあるが、両イヤー金具のトロリ線の挟着部の内側面部分と、クランプとイヤー金具のより線の挟着面部には歯形等の刻みによる滑り止めが設けられている。
左右両ねじを備えた一個のボルトとナットにより、最初の段階で一方のイヤー金具に対してねじ締め動作するクランプと、続いて該クランプに圧接動作する他方のイヤー金具によって、より線とトロリ線は段階的にかつ強固に挟着することができ、特に、後段の操作となるトロリ線の締め付け作業は、先ずハンガーへの支持とより線の挟着が果たされた後でのナット締め操作であるため、片手操作が可能となって作業員の労力は軽減され、高所作業での安全性と相俟って作業性の向上を図る上に極めて有効である。
以下に、本発明の実施の形態を図1〜図4を参照して説明する。11,21は左右一対のイヤー金具であって、この両イヤー金具11,21間には挟着状態とされたクランプ31が設けられている。両イヤー金具11,21とクランプ31はアルミ青銅合金等の鋳物製であって、ボルト41を介して互いに接合締着される。ボルト41は左右ねじ42,43を備えており、図示の場合、ボルト41の頭部41a側である手前半部側のねじ部42は左ねじに、また先方半部側のねじ部43は右ねじに形成されている。
手前半部側のねじ部42に螺合してボルト41に装着されるクランプ31のボルト挿通孔32は該ボルトと螺合する雌ねじ部に形成されている一方、両イヤー金具11,21のボルト挿通孔12,22はいずれもバカ穴である。クランプ31は、ボルト41の回転によって手前半部側のねじ部42に予め装着された片方のイヤー金具21と接合自在であり、他方のイヤー金具11は先方半部側のねじ部43に装着されて、該ねじ部43に螺合したナット44によりクランプ31と接合自在である。なお、クランプ31のねじ部42への螺合が容易にできるように、ねじ部43の呼び径はねじ部42のそれより小さくなっている。
上記クランプ31と両イヤー金具11,21の対向面31aと11a,31bと21aの上端部には締着時に圧着できるように形成された雌雄の嵌合部33aと13,33bと23がそれぞれ設けられており、図示の場合、嵌合部33a,33bは凹み部に、また嵌合部13,23は突部に形成されている。ボルト41の手前半部側のねじ部42上に装着されたイヤー金具21とクランプ31との間には、本合成電車線用イヤー装置を後述するちょう架線に吊設したハンガーへ支持させるための取着部Sが設けられている。なお、イヤー金具11とクランプ31との対向面11aと31aは互いに当接できる接合面部に形成されている。
上記取着部Sを構成するために、該取着部S側の雌雄の嵌合部33bと23は中間が切り落とされている状態に離間して形成された各一対から形成されていて、それらの嵌合部33bと23に臨んだクランプ31とイヤー金具21の部分には、図2に仮想線で示すハンガー51の下端に左右に折り曲げて設けられている支持片52,53がそれぞれ係止する窓穴34,24が設けられている。他方、クランプ31とボルト41の先方半部側のねじ部43上に位置するイヤー金具11の組の嵌合部33a,13は幅方向へ連続した状態で設けられている。図中、54はハンガー51のちょう架線である。
両イヤー金具11,12の相対向した下端部はトロリ線Tの挟着部14,25に形成されている一方、この挟着部14、25の上方へ連続した状態でボルト41の手前半部側のねじ部42上に位置するイヤー金具21とクランプ31の下端部の相対向した内面部分はより線tの挟着面部26、35に形成されている。即ち、上記挟着部14、25はトロリ線T側に設けられている切込み部と対応した形状の山形に、また上記挟着面部26,35はより線tの周面に対応した形状の湾曲面にそれぞれ形成されている。
以上説明の実施形態によれば、先ず、図3に示すようにクランプ31と片方のイヤー金具12を締着接合して、より線tを挟着面部26,35により挟着させた後、ナット44を締め付けてクランプ31に他方のイヤー金具11を締着接合すると、挟着部14は挟着部25に接近してトロリ線Tを挟着する。この締結動作の最終段階では、各組の嵌合部23と33b,13と33aが見掛け上の支点となって、両イヤー金具21,11はより線tとトロリ線T側に向かって若干傾動する(ボルト挿通孔22,12はバカ穴であるため)ように付勢され、挟着面部26,35と挟着部14,25は互いに接近してより線tとトロリ線Tをそれぞれしっかりと挟着して(図4を参照)、合成電車線をハンガー51に支持させることができる。
なお、ナット44を締め上げると、その段階で、ボルト41はねじ部43とナット44との間に発生する摩擦力により回転するようになって、より線tとトロリ線Tとをより強く把持できる。図中、14aと25a、26aと35aは挟着部14,25の内側面部分と挟着面部26,35上にそれぞれ設けた歯形等の刻みによる滑り止め、45,46はばね座金、47はナット止めである。
本発明に係るイヤー装置の実施の形態を示すもので、構成部材を分離した斜視図である。 図1のイヤー装置の使用状態を示す図で、一部が切り欠かれている正面図である。 図2に示すものからハンガーを除き、合成電車線に装着した初期段階での締着状態を示す縦断正面図である。 図2に示すものからハンガーを除き、合成電車線に装着した最終段階での締結状態を示す縦断正面図である。 従来のイヤー装置を示す側面図である。 図4のA−A線断面図である。
符号の説明
11,21はイヤー金具、31はクランプ、41はボルト、11a,21a,31a,31bは対向面、12,22,32はボルト挿通孔、13,23,33a,33bは嵌合部、14、25は挟着部、24、34は窓穴、26,35は挟着面部、42は手前半部側のねじ部、43は先方半部側のねじ部、44はナット、Tはトロリ線、tはより線、Sは取着部である。

Claims (3)

  1. 左右一対のイヤー金具と、この両イヤー金具間に挟着状態として設けられるクランプと、これらの3部材を互いに結合締着する左右両ねじを備えたボルト及び該ボルトの先方半部側のねじ部と螺合するナットを備え、上記クランプのボルト挿通孔は該ボルトの手前半部側のねじ部と螺合する雌ねじ部として機能し、このクランプと上記ボルトの両ねじ部にそれぞれ装着される両イヤー金具との各対向面の上端部側には雌雄の嵌合部が圧着可能に設けられ、その両イヤー金具の相対向した下端部はトロリ線の挟着部に形成されている一方、この挟着部の上方へ連続した状態で上記ボルトの手前半部側のねじ部上に位置するイヤー金具とクランプの下端部の相対向した内面部分はより線の挟着面部に形成されていることを特徴とする合成電車線用イヤー装置。
  2. 先方半部側のねじ部の呼び径は手前半部側のねじ部のそれより小さく形成されている請求項1記載の合成電車線用イヤー装置。
  3. クランプとボルトの手前半部側のねじ部上に位置するイヤー金具との間には、本合成電車線用イヤー装置をちょう架線に吊設したハンガーへ支持させるための取着部が設けられている請求項1又は2記載の合成電車線用イヤー装置。
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