JP4329008B2 - コンクリートポールのひび割れ評価装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電柱等の内部に鉄筋を有するコンクリートポールのひび割れを電磁パルス法(特許文献1参照)を用いて評価するコンクリートポールのひび割れ評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば高速道路の路側に設けられた電柱等のコンクリートポールは、送電線の荷重により、また通過する自動車等が発生する風圧を繰り返し受けることによって疲労し、ひび割れが生ずることがある。
このため、従来は、人間がこれらのコンクリートポールを一本一本目視によりあるいは手作業でハンマー等で叩いて、その音の反射(反響)を聴いて、ひび割れの発生を評価するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような手作業によって、検査を行なう人間の主観的な判断に基づいてコンクリートポールのひび割れの発生を評価していることから、評価結果の信頼性が低かった。また、手作業のために比較的時間がかかり、効率的な検査が困難であった。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑み、検査を行なう人間の主観によらず客観的に、容易に且つ短時間でコンクリートポールのひび割れを評価することができるコンクリートポールのひび割れ評価装置を提供することを目的としている。
【0005】
【特許文献1】
PCT/JP01/09742
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のコンクリートポールのひび割れ評価装置は、地面に立てられた鉄筋を含むコンクリートポールの表面に取り付けられ磁場パルスを発生する励磁コイルと、励磁コイルの取付位置と異なった位置に取り付けられ磁場パルスと鉄筋との相互作用によって励磁コイル直下の鉄筋から発生する音響パルスを検出する音響センサと、音響センサの出力から音響パルスの減衰率を測定する測定部と、音響パルスがひび割れのないコンクリートポールにおける底面または上面で反射して音響センサに到る伝搬距離に依存した標準減衰率を記憶した判定部とからなり、判定部が、標準減衰率と、被測定コンクリートポールにおける底面または上面で反射して音響センサに到る測定する音響パルスの減衰率とを、音響パルスの伝搬距離において比較し、コンクリートポールのひび割れの有無及び程度を判定することを特徴とする。
上記構成において、伝搬距離を求めるに際し、音響パルスが励磁コイルから音響センサに到る伝搬遅延時間を測定し、この伝搬遅延時間にコンクリートポールの音速を乗じて求めることが好ましい。
【0007】
上記構成において、音響センサは、コンクリートポールの表面の適宜の箇所に着脱可能であれば好ましい。また、音響センサは、コンクリートポールの円周を取り巻いた複数の音響センサからなればさらに好ましく、コンクリートポール全体のひび割れの有無・程度を1回の測定で判定することができる。
上記構成において、伝搬距離の検出に低域通過フィルタを使用すれば、音響パルスのピーク位置の評価精度を高めることができる。
【0008】
上記の構成によれば、励磁コイルに電流パルスを印加することにより磁場パルスが発生し、磁場パルスが励磁コイル直下の鉄筋に渦電流を生起し、渦電流の磁場と磁場パルスの磁場とが相互作用して鉄筋に衝撃力が作用して鉄筋が振動し、鉄筋を音源とする音響パルスが発生しコンクリートポール中を伝搬する。その際、ひび割れ部分があると減衰する。従って、音響パルスの減衰率を測定すればひび割れの有無や程度が判定できる。本発明の音響パルス発生方式は、電磁力によって鉄筋を直接励振して発生するものであるから強度が極めて大きく、コンクリートポールのような長い構造物であっても、また、ひび割れが存在してもコンクリートポールの全ての表面で精度良く音響パルス波形を測定することができる。
【0009】
例えば、ひび割れのないコンクリートポールの伝搬距離に依存した減衰率をあらかじめ判定部に記憶させておき、同一の伝搬距離で減衰率を比較すれば、ひび割れの有無が判定できる。また、コンクリートポールの底面または上面での反射を含む伝搬距離に依存した減衰率をあらかじめ判定部に記憶させておけば、コンクリートポールの地中部分、音響センサの取付位置より上部のひび割れも判定することができる。
【0010】
伝搬距離は、例えばオシロスコープで電流パルスを印加した時点から音響パルス波形のピークが観測される時点までの時間を測定し、この時間にコンクリートポールの音速を乗ずればよい。この際、ピークを観測しやすくするために低域通過フィルタを介して高周波数成分を遮断すると良い。低周波数成分の伝搬速度はひび割れ等によってあまり影響を受けないためと考えられる。
【0011】
また、波形の減衰率の測定は、例えば、音響パルスの包絡線が囲む面積から求めても良い。ひび割れがあると音響パルス波形が歪むので、ピーク値で比較するよりも包絡線面積で比較した方が精度がよい。音響パルス波形の包絡線を測定する際、高域通過フィルタを介して低周波数成分を遮断すると包絡線が精度良く測定できる。低周波成分は減衰率が低いため、種々の雑音の低周波成分が測定音響パルス波形に混入するためと考えられる。
【0012】
このように、本発明の装置によれば、客観的に容易に、且つ短時間でコンクリートポールのひび割れやひび割れの程度を判定できる。また、本発明の装置はコンクリートポール全体のひび割れの有無や程度を判定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実質的に同一の部材には、同一の符号を付して説明する。
図1は、本発明のコンクリートポールのひび割れ評価装置の構成を示す図である。図において、コンクリートポールのひび割れ評価装置10は、ひび割れを評価すべきコンクリートポール11に対して、その地表付近の表面に取り付けられた励磁コイル12と、この励磁コイル12に対して電流パルスを印加する電源部13と、上記コンクリートポール11の長手方向に沿って適宜の位置に取り付けられた音響センサ14と、音響センサ14からの検出信号が入力される測定部15と、測定部15で評価された減衰率に基づいてひび割れの有無及び程度を判定する判定部16と、から構成されている。なお、13aは電源部13から励磁コイル12に電流パルスを供給するための電線であり、14bは音響センサ14が検出した信号を測定部15に伝送するための電線である。
ここで、コンクリートポール11は、例えば高速道路の路側にて地面17に直立している電柱等であって、内部に長手方向に延びる鉄筋を備えている。上記コンクリートポール11は、図示の場合、長さ8mで、下方の約2m弱の部分が地中に埋め込まれている。
【0014】
励磁コイル12は、図に示すように、コンクリートポール11の地上に露出している部分の地表付近にて、その実質的に円筒状の表面に対して、図示の場合、下端から2mの位置に、例えばスチールバンドまたはゴムバンド等により密着して取り付けられている。
【0015】
上記電源部13は、所望のパルス幅の電流パルスを発生させて、この電流パルスをケーブル13aを介して上記励磁コイル12に印加するようになっている。ここで、上記電流パルスは、大きなエネルギーの音響パルスを発生させるために、時間幅は短く、電流波高値が高いことが必要である。
【0016】
図2は、本発明の装置に用いる電流パルスの時間波形を示す図である。図に示すように、パルス幅110μs,パルス半値幅35μsで、ピーク電流は3000Aであり、この程度であれば、10m前後のコンクリートポールのひび割れを精度良く測定することができる。
【0017】
音響センサ14は、音響変換器、例えばAE(Acoustic Emission)センサであって、図に示すように、コンクリートポール11の地上に露出している部分の長手方向に沿って、適宜の位置にてその表面に密着して取り付けられている。音響センサ14は、励磁コイル12に発生する磁場パルスによりコンクリートポール11内部の鉄筋(図示せず)が励振(特許文献1参照)されたとき、鉄筋に発生してコンクリートポール11内及び表面を伝搬されてくる音響パルスを検出する。
ここで、以下の説明においては、鉄筋からコンクリートポール11内及び表面を通って直接に(反射することなく)音響センサ14に達する音響パルスを直接波といい、コンクリートポール11の下端又は上端で反射されて音響センサ14に達する音響パルスを反射波という。
【0018】
上記測定部15は、音響センサ14からの検出信号に基づいて音響パルスのうち直接波を測定波として取り出す。また、測定部15は、音響センサ14aからの検出信号に基づいて、上記音響パルスのうちコンクリートポール11の下端で反射された反射波を測定波として取り出す。
次に、上記測定部15は、これらの測定波について高域通過フィルタ(図示せず)により、例えば20kHz以下の低周波成分を除去した後、包絡線処理を行なう。そして、上記測定部15は、包絡線により囲まれた直接波の面積を計算する。その後、上記測定部15は、減衰のない標準波形、例えば励磁コイル12の直近で測定した音響波形の包絡線で囲まれた面積と比較することにより減衰率を計算して、判定部16に出力する。
なお、測定部15は、測定する音響パルス波形の伝搬距離を求める。例えば、音響パルスが励磁コイルから音響センサに到る伝搬遅延時間をオシロスコープで測定し、伝搬遅延時間にコンクリートポールの音速を乗じて求める。
【0019】
上記判定部16は、ひび割れのないコンクリートポールの減衰率をあらかじめ伝搬距離の関数(標準減衰率)として備えており、標準減衰率と測定部15から出力された減衰率と伝搬距離とに基づいて比較し、コンクリートポール11の励磁コイル12が取り付けられた部分から音響センサ14が取り付けられた部分までの間、そして励磁コイル12が取り付けられた部分からコンクリートポール11の下端または上端の間のひび割れの有無、そして程度を判定して、出力するようになっている。尚、標準減衰率は直接波の減衰率のみではなく、コンクリートポール11の下面または上面で反射した反射波の標準減衰率を備えている。
伝搬距離の検出に低域通過フィルタを使用すれば、音響パルスのピーク位置の検出精度を高めることができる。また、音響パルス波形の包絡線の検出に高域通過フィルタを使用すれば包絡線の検出精度を高めることができる。
なお、判定結果の出力は、信号として、判定部16に設けられた表示部への表示として、印刷媒体への印刷として、あるいは判定部16に設けられたスピーカ等による音声として、適宜に行なわれる。
【0020】
本発明によるコンクリートポールのひび割れ評価装置10は、以上のように構成されており、電源部13を駆動して、励磁コイル12に対して電流パルスを印加することにより励磁コイル12がパルス駆動され、磁場パルスが発生する。そして、この磁場パルスによってコンクリートポール11内部の鉄筋が励振され、この励振によって音響パルスが発生する。この音響パルスは、コンクリートポール11内を長手方向に沿って伝搬し音響センサ14によって検出される。
【0021】
測定部15は、音響センサ14からの検出信号に基づいて、上述した直接波及び反射波を取り出してその減衰率を測定する。そして、判定部16が、この減衰率に基づいて上記励磁コイル11の取付位置から音響センサ14の取付位置までの間と、励磁コイル11の取付位置からコンクリートポール11の下端及び音響センサ14の取付位置からコンクリートポール11の上端までの間におけるコンクリートポール11のひび割れの有無、程度を判定する。
【0022】
以下、具体例に基づいて説明する。
図3は音響パルスの伝達特性を測定すために用いた実験配置を示す図である。図に示すように、ひび割れのないコンクリートポールに音響センサ14を等間隔で多数配置し、励磁コイル12で発生させた音響パルスを各音響センサ14で測定した。
図4は、音響パルスの伝達特性の測定結果を示す図である。縦軸は音響パルスのp−p(peak to peak)電圧波高値であり、横軸は音響センサの位置を示す。A曲線は音響パルスのp−p電圧波高値を示し、B曲線は20KHzのHPF(High Pass Filter)通過後のp−p電圧波高値である。
【0023】
励磁コイル12から6mの位置にある音響センサ14の検出信号においても、p−p電圧波高値は約100mV,高域通過フィルタ通過後の電圧波高値も約40mVあり、この電圧は、検出器の感度と比べて十分高く、音響パルスのひび割れによる減衰率を測定するには十分である。また、励磁コイル12から1mの距離における電圧波高値を基準とした5mの距離における電圧波高値の減衰率は1/10以内であり、測定器のダイナミックレンジの観点からも好ましい。
【0024】
図5は、上記具体例で測定された音響パルスの波形を示す図である。横軸は時間を示し、縦軸は音響センサ14で検出した音響パルスの電圧値である。
一般に、コンクリートポール11を伝播されてくる音響パルスの波形は、図からわかるように、コンクリートポール11の状態、即ちひび割れの状態や程度によって微妙に変化するため、電圧波高値のみからひび割れの状態や程度を判定するのは難しい。しかしながら、図に示すように、音響パルス部分Cの包絡線Dで囲まれる部分の面積はひび割れの状態や程度を良く反映している。
【0025】
次に、上記の包絡線により囲まれた部分の面積が、ひび割れの程度を良好に反映することを示す。図6は、ひび割れの程度が異なるコンクリートポールを模式的に示した図である。(a)において“ひび割れ中”と表示した部分は、幅が約0.4mmのひび割れを有する中程度のひび割れコンクリートポール部分を示し、“ひび割れ無し”と表示した部分はひび割れの全くないコンクリートポール部分を示している。(b)において、“ひび割れ大”と表示した部分は、幅が約2.5から3mmに至るひび割れを有するコンクリートポール部分を示している。なお、一点鎖線A,B,Cはコンクリートポール内の鉄筋の位置を示し、下記に説明する測定の際にこれらの鉄筋を励振して音響パルスを発生させた。
この例では、一点鎖線A,B,Cで示した鉄筋の直上に、上記ひび割れを各々挟んで励磁コイルと音響センサを配置し、また、励磁コイルと音響センサの間の距離は同一にした。
【0026】
図7は、ひび割れの程度の違いによる音響波形の変化を示す図である。図において(A)、(B)及び(C)はそれぞれ、図6に示した“ひび割れなし”、“ひび割れ中”及び“ひび割れ大”の領域を伝搬した音響パルス波形を示す図である。図から明らかなように、音響パルスの包絡線面積E,F,Gが囲む面積は、ひび割れの程度によって著しく異なることがわかる。すなわち、音響パルスの包絡線の囲む面積によって判定すれば、正確にひび割れの程度を判定できる。
【0027】
次に、コンクリートポールの地中部分のひび割れの評価について説明する。
図8は、コンクリートポールの地中部分のひび割れの評価を実証するための実験配置を示す図である。図に示すように、コンクリートポール11の底面18から2mの位置に励振コイル12を配置し、励磁コイル12から先端方向(底面と反対方向)に1mの距離に第1の音響センサ14aを配置した。またこの配置では、励磁コイル12の直下の鉄筋から発生した音響パルスがコンクリートポール11の底面18に至り、底面18で反射した音響パルスが第1の音響センサ14aに至る音響パルスの伝搬距離は5mであるので、この伝搬距離5mだけ励磁コイル12から先端方向に離れた位置に第2の音響センサ14bを配置した。
【0028】
図9は、コンクリートポールの反射波の音響波形を示す図である。図の縦軸は電圧値であらわした音響波形であり、横軸は時間である。(a)はひび割れのないコンクリートポールの反射波の音響波形を示し、(b)は励磁コイル12と底面18との間にひび割れのあるコンクリートポールの反射波の音響波形を示している。
図9(a)において、グラフHは、励磁コイル12からコンクリートポールの先端方向に1mの距離に配置した第1の音響センサ14aで測定した音響パルス波形であり、Aは直接波、すなわち、励磁コイル12の直下の鉄筋で発生した音響パルスの内、直接第1の音響センサ14aに到達した音響パルス波形であり、Bは励磁コイル12の直下の鉄筋で発生した音響パルスの内、底面18に至り、底面18で反射し、第1の音響センサ14aに到達した反射波の音響パルス波形である。グラフIの音響波形Cは、励磁コイル12からコンクリートポールの先端方向に5mの距離に配置した第2の音響センサ14bで測定した直接波の音響波形である。
グラフHの反射波Bと、グラフIの直接波Cを比較すると、ほとんど同じであり、また、反射波と直接波の伝搬距離が同じであることから、コンクリートポールの底面での反射による減衰は無視できる程度に小さいことがわかる。
一方、図9(b)において、グラフHの反射波B’とグラフIの直接波C’を比べると、反射波B’は著しく減衰しており、この結果は、励磁コイル12と底面18との間のコンクリートポールのひび割れによって音響波形が減衰したものである。
本発明の装置によれば、反射波を測定することによって、コンクリートポールの地中に埋まっている部分のひび割れの有無、程度を判定できることを示している。同様に、音響センサ取り付け位置とコンクリートポール上面との間のひび割れの有無、程度を判定することができる。
【0029】
このように、本発明のコンクリートポールのひび割れ評価装置10によれば、コンクリートポール11の地表付近に取り付けた励磁コイル12に電流パルスを印加することにより、励磁コイル12の磁場パルスによって励磁コイル12の直下の鉄筋が励振されて音響パルスが発生し、この音響パルスがコンクリートポール11中及び表面を伝搬する。コンクリートポール11の表面に配置された音響センサにより音響パルスの直接波及び反射波を検出し、測定部15が、これらの直接波及び反射波について、前もって測定した減衰のない音響パルス波形と比較することにより、これらの減衰率を計算し、判定部16がこれらの減衰率に基づいて、コンクリートポール11の地表に露出した部分、地中に埋もれた部分、及び音響センサ取り付け位置とコンクリートポール上面との間の部分のひび割れの有無とその程度を判定することができる。
【0030】
上述した実施形態においては、各音響センサ14は、図10(a)に示すように、コンクリートポール11の実質的に円筒状の表面に圧着されているが、これに限らず、図10(b)に示すように、コンクリートポール11の表面の音響センサ14の取付位置付近を前もって切削加工等により平坦にしておくことにより、各音響センサ14のコンクリートポール11の表面への密着度を高めるようにしてもよい。これにより、音響センサ14の検出感度が向上し、より大きな検出信号を得ることができると共に、各音響センサ14をコンクリートポール11の表面に取り付ける際に、この平坦部分に取り付ければ良いので、各音響センサ14の位置決めの目安となり、音響センサ14の位置決めが容易に行なえる。
さらに、上記実施形態においては、各音響センサ14は、コンクリートポール11の表面に対して着脱可能に取り付けられているが、コンクリートポール11に固定されていてもよい。この場合、コンクリートポールの製造時または出荷時あるいは高速道路等の路側への設置時に、各音響センサ14がコンクリートポール11の表面の所定箇所に固定される。これにより、ひび割れ評価の際に、コンクリートポール11の表面に音響センサ14を取り付ける必要がないので、ひび割れの評価が容易にできる。
【0031】
また、音響センサは、コンクリートポールの円周を取り巻いた複数の音響センサからなるようにしてもよい。
図11は、コンクリートポールの円周を取り巻いた複数の音響センサの構成を示す図である。図11(a)は先端の尖った音響センサ14を示し、(b)は複数の先端の尖った音響センサ14を電柱11に固定するためのバンドを示す。また、図11(c)は電柱に取り付けた状態を示している。なお、図示していないが、バンド19をコンクリートポール11に脱着可能にすることは容易である。この音響センサによれば、電磁パルスを1回発生させるだけで、コンクリートポール全体のひび割れの測定を完了することができる。コンクリートポールの保守点検分野においてはコンクリートポールを1本単位で評価することが必要であるから、コンクリートポールの保守点検分野においてこの構成の音響センサは極めて有用である。なお、環状のバンド19は、一端で嵌着可能又は一部切欠状態で構成されていれば、コンクリートポール11への取付け取外しが容易に行える。
【0032】
【発明の効果】
上記説明から理解されるように、本発明によれば、コンクリートポールの鉄筋を励振して音響パルスを発生するので、大きなエネルギーの音響パルスを発生でき、音響パルスのエネルギーが大きいので、長尺のコンクリートポールでも、ひび割れの有無や程度を正確に測定できる。また、音響パルスの直接波のみならず反射波も測定するので、コンクリートポールの地中に埋まった部分、音響センサからコンクリートポールの上面に到る部分のひび割れも測定できる。また、音響パルスの包絡線で囲まれる面積で比較するので、測定精度が高い。
従って本発明の装置を用いれば、検査を行なう人間の主観によらず客観的に、容易に且つ短時間でコンクリートポールのひび割れを評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンクリートポールのひび割れ評価装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の装置に用いる電流パルスの時間波形を示す図である。
【図3】音響パルスの伝達特性を測定すために用いた実験配置を示す図である。
【図4】音響パルスの伝達特性の測定結果を示す図である。
【図5】測定された音響パルスの波形を示す図である。
【図6】ひび割れの程度が異なるコンクリートポールを模式的に示した図である。
【図7】ひび割れの程度の違いによる音響波形の変化を示す図である。
【図8】コンクリートポールの地中部分のひび割れの評価を実証するための実験配置を示す図である。
【図9】コンクリートポールの反射波の音響波形を示す図である。
【図10】コンクリートポール表面の形状と音響センサの取り付け方法を示す図である。
【図11】コンクリートポールの円周を取り巻いた複数の音響センサからなる音響センサの構成を示す図である。
【符号の説明】
10 コンクリートポールのひび割れ評価装置
11 コンクリートポール
11a 下端
11b,11c,11d 鉄筋
12 励磁コイル
13 電源部
14 音響センサ
14,14a,14b 音響センサ
15 測定部
16 判定部
17 地面
18 コンクリートポールの底面
19 ポールに取り付けるためのバンド
Claims (5)
- 地面に立てられた、鉄筋を含むコンクリートポールの表面に取り付けられ、磁場パルスを発生する励磁コイルと、
この励磁コイルの取付位置と異なった位置に取り付けられ、上記磁場パルスと上記鉄筋との相互作用によって上記励磁コイル直下の鉄筋から発生する音響パルスを検出する音響センサと、
この音響センサの出力から上記音響パルスの減衰率を測定する測定部と、
上記音響パルスがひび割れのないコンクリートポールにおける底面または上面で反射して上記音響センサに到る伝搬距離に依存した標準減衰率を記憶した判定部と、からなり、
上記判定部が、標準減衰率と、被測定コンクリートポールにおける底面または上面で反射して上記音響センサに到る測定する音響パルスの減衰率とを、音響パルスの伝搬距離において比較し、上記コンクリートポールのひび割れの有無及び程度を判定することを特徴とする、コンクリートポールのひび割れ評価装置。 - 前記伝搬距離を求めるに際し、前記音響パルスが前記励磁コイルから前記音響センサに到る伝搬遅延時間を測定し、この伝搬遅延時間にコンクリートポールの音速を乗じて求めることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートポールのひび割れ評価装置。
- 前記音響センサは、前記コンクリートポールの表面の適宜の箇所に着脱可能であることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリートポールのひび割れ評価装置。
- 前記音響センサは、前記コンクリートポールの円周を取り巻いた複数の音響センサからなり、上記コンクリートポール全体のひび割れの有無・程度を1回の測定で判定することを特徴とする、請求項1または3に記載のコンクリートポールのひび割れ評価装置。
- 前記伝搬距離の検出に低域通過フィルタを使用して、前記音響パルスのピーク位置の評価精度を高めることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載のコンクリートポールのひび割れ評価装置。
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