JP2015021749A - 検査装置および検査方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】部材の形状変化や材料特性変化が空間的に緩やかに変化し、変化部分からの反射エコーが生じないような場合であっても変化の存在を検出する。【解決手段】検査装置は、検査対象部材に弾性波を送出し、検査対象部材を伝播する弾性波を受信する送受信部11と、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を計測する信号処理部12と、比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率を予め記憶する記憶部13と、検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率とを比較して、検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定する判定部14とを備える。【選択図】 図1

Description

本発明は、部材の変形や材料変化を検査する検査装置および検査方法に関し、特に、弾性波を用いた非破壊方式の検査装置および検査方法に関するものである。
各種機械の構成部材、建築部材、建設部材等の長尺部材は、機械の深部に配設されたり、建造物中や地中に埋設されたりすることがある。このような場合には、経時変化などにより部材に亀裂、摩耗、腐食、変形などの変化、すなわち断面積、断面形状や材料特性(ポアソン比、ヤング率、体積弾性率や剛性率等に代表される弾性定数)の変化が生じても、その変化(欠陥)を目視あるいは変化した部分に直接アクセスする検査方法等で直接点検することが困難である。
そこで、従来より、長尺部材に直接アクセス可能な場所から、長尺部材の軸線に進行する弾性波を送信して、形状等が変化した部分から反射される弾性波(エコー)を受信することにより、欠陥の存在、位置、程度等を検出する弾性波パルスエコー法が提案、検討されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、弾性波を送信してから反射されたエコー波を受信するまでの時間と波の伝搬速度とによって欠陥までの距離を評価し、エコー波の振幅等によって欠陥の程度を評価している。
亀山俊平他、"ガイド波探傷システム"、(社)日本非破壊検査協会、非破壊検査、第52巻、第12号、672−678頁、平成15年12月1日発行
しかしながら、非特許文献1に開示された方法では、部材の形状や材料特性が変化した部分からの反射エコー波に基づいてその変化を検出しているので、空間的にある程度急激な変化については検出できるものの、変化が部材の軸線方向に緩やかに生じている場合については、反射エコーが生じないか、生じたとしてもきわめて小さなエネルギーのエコーとなり、ノイズレベルに覆い隠されてしまうため、部材の変化を検出することができないという問題点があった。このため、部材の形状変化(断面積、断面形状変化等)や材料特性変化が空間的に緩やかに変化したような場合であっても、その変化を検出できる技術が望まれていた。
本発明は、形状変化(断面積、断面形状変化等)や材料特性変化が空間的に緩やかに変化し、変化部分からの反射エコーが生じないような場合であっても、その変化の存在を検出することができる検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
本発明の検査装置は、検査対象部材に弾性波を送出する送出手段と、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信手段と、前記送出手段が送出し前記受信手段が受信した弾性波の平均減衰率を計測する計測手段と、比較対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率を予め記憶する記憶手段と、前記計測手段により計測された、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率と、前記記憶手段に記憶された、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率とを比較して、前記検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定する判定手段とを備え、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率は、形状および材料特性が所望の状態にある前記検査対象部材と同一形状および同一材料の前記比較対象部材を前記検査対象部材と同一環境に設置したときに、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率であることを特徴とするものである。
また、本発明の検査装置の1構成例において、前記送出手段は、周波数を変えながら所定の周波数範囲の前記弾性波を前記検査対象部材に送出し、前記計測手段は、前記検査対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率の周波数特性を計測し、前記記憶手段は、前記比較対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率の周波数特性を予め記憶し、前記判定手段は、前記計測手段により検出された、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性と、前記記憶手段に記憶された、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較して、前記検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定することを特徴とするものである。
また、本発明の検査装置の1構成例において、前記送出手段は、所定の周波数の前記弾性波を前記検査対象部材に送出し、前記計測手段は、前記検査対象部材を伝播する前記所定の周波数の弾性波の平均減衰率を計測し、前記記憶手段は、前記比較対象部材を伝播する前記所定の周波数の弾性波の平均減衰率を予め記憶することを特徴とするものである。
また、本発明の検査装置の1構成例において、前記計測手段は、前記送出手段が送出した弾性波の振幅またはエネルギーと、前記受信手段が受信した弾性波の振幅またはエネルギーと、前記送出手段から前記受信手段までの弾性波の既知の伝搬距離とから、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の検査装置の1構成例において、前記送出手段は、平均群速度または平均エネルギー速度が既知の周波数の弾性波を前記検査対象部材に送出し、前記弾性波を送信してから受信するまでの時間を計測し、前記既知の群速度またはエネルギー速度と、前記時間とに基づいて、前記検査対象部材の長さを測定する測定手段をさらに備えることを特徴とするものである。
また、本発明の検査方法は、送出手段が、検査対象部材に弾性波を送出する送出ステップと、受信手段が、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信ステップと、計測手段が、前記送出手段が送出し前記受信手段が受信した弾性波の平均減衰率を計測する計測ステップと、判定手段が、比較対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率を予め記憶する記憶手段を参照し、前記計測ステップで計測した、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率と、前記記憶手段に記憶された、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率とを比較して、前記検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定する判定ステップとを含み、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率は、形状および材料特性が所望の状態にある前記検査対象部材と同一形状および同一材料の前記比較対象部材を前記検査対象部材と同一環境に設置したときに、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率であることを特徴とするものである。
本発明によれば、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較することにより、検査対象部材の形状や材料特性が空間的に緩やかに変化し、その変化部分から反射エコーが生じないような場合であっても、検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを検査することができる。また、平均減衰率の変化と対象部材の変化との関係が単調である場合には、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率との違いの大小によって、検査対象部材の形状や材料特性の変化の程度を推定することも可能である。
また、本発明では、周波数を変えながら所定の周波数範囲の弾性波を検査対象部材に送出し、検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性を計測し、検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性と、記憶手段に記憶された、比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較することにより、減衰率変動の大きな周波数が事前に分からない場合であっても、確実に減衰率変動の大きな周波数を含めた評価を行うことができる。
また、本発明では、所定の周波数の弾性波を検査対象部材に送出し、検査対象部材を伝播する所定の周波数の弾性波の平均減衰率を計測し、検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率と、記憶手段に記憶された、比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率とを比較することにより、減衰率変動の大きな周波数が事前に分かっている場合に、簡便に検査対象部材の検査を行うことが可能となる。
また、本発明では、測定手段を設けることにより、検査対象部材の長さを計測することができる。なお、群速度またはエネルギー速度は想定される形状変化、材料特性変化依存性の小さな弾性波のモード、周波数を用いるのがより好ましい。
本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の送受信部の構成を示す図である。 長尺部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数依存性の1例を示す図である。 長尺部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数依存性を、シミュレーションにより算出した結果を示す図である。 本発明の第1の実施の形態に係る検査装置の動作を説明するフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る検査装置の構成を示すブロック図である。 長尺部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数依存性を、シミュレーションにより算出した結果を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る検査装置の動作を説明するフローチャートである。
[第1の実施の形態]
まず、本発明に係る第1の実施の形態について説明する。
<検査装置の構成>
図1に示すように、本実施の形態に係る検査装置1は、送出手段および受信手段となる送受信部11と、計測手段となる信号処理部12と、記憶部13と、判定部14と、出力部15とを備えている。
送受信部11は、図2に示すように、検査対象となる長尺部材10の任意の位置に固定される探触子111と、この探触子111を駆動するとともに探触子111によって検出された信号を信号処理部12に出力する送受信回路112とを有する。
なお、本実施形態では、長尺部材10の全体が地中に埋設されているとして以下説明するが、必ずしも地中に埋設されている場合ばかりではなく、別の材質中に埋め込まれている場合にも同様に適用可能であり、部材の形状や材料特性の変化によって弾性波の減衰率が変化する状況であれば、必ずしも部材全体が別の材料に埋め込まれたり、接触したりしていなくても同様に適用可能である。
探触子111は、例えば超音波の送受信を行う圧電素子のアレイによって実現することができる。この探触子111は、例えば地中に埋設された金属棒の一部分に取り付けられて、後述する信号処理部12からの指示に基づいて、長尺部材10に固定された位置から長尺部材10の延在方向に伝搬する弾性波の波束を送信し、この弾性波が長尺部材10の端部Eで反射したエコー波を受信する。
送受信回路112は、後述する信号処理部12からの指示に基づいて、任意の波形を発生させる波形発生器1120と、この波形に基づいて探触子111の圧電素子を駆動する電力増幅回路1121と、探触子111により受信した弾性波の信号を増幅する受信増幅器1122とを有する。
信号処理部12、記憶部13、判定部14および出力部15は、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置と、メモリ、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶装置と、キーボード、マウス、ポインティングデバイス、ボタン、タッチパネル等の外部から情報の入力を検出する入力装置と、外部との情報の送受を行うI/F(Interface)装置と、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)等の表示装置とを備えたコンピュータから構成されている。このような演算装置がそのコンピュータの記憶装置にインストールされたプログラムに従って処理を実行することにより、上述したようなハードウェア資源が制御されて、ハードウェア装置とソフトウェアが協働することにより、信号処理部12、記憶部13、判定部14および出力部15が実現される。
信号処理部12は、送受信部11に対して所定の波形のデータを与えて、長尺部材10に所定の種類、周波数の弾性波を送出するよう送受信部11の探触子111を駆動する一方、探触子111が受信した信号を処理して、長尺部材10を伝搬した弾性波の平均減衰率(dB/m)の周波数特性を算出する。
本実施の形態において、信号処理部12は、図3に示すような減衰率の周波数依存性を示す周波数分布依存性を検出する。なお、図3において、縦軸は弾性波の平均減衰率[dB/m]、横軸は所定のモードの弾性波の周波数[kHz]を示している。
このような周波数特性の算出は、次のように行われる。まず、探触子111から長尺部材10に弾性波を送信して、端部Eで反射したエコー波を探触子111で受信する。信号処理部12は、送信した弾性波(または基準となる弾性波)の振幅と受信したエコー波の振幅とを比較することにより、弾性波の減衰率を算出し、この減衰率を弾性波の伝搬距離で割ることにより、弾性波の平均減衰率を算出する。
具体的には、送信した弾性波の振幅がA0、受信したエコー波の振幅がA1である場合、弾性波の伝搬距離をL0(図2の例では探触子111から端部Eまでの往復距離なので2m)とすると、弾性波の平均減衰率Att[dB/m]は、以下の式(1)のようになる。
Att=[20×Log10(A1/A0)]/L0[dB/m] ・・・(1)
式(1)により、信号処理部12は、図3における1点の減衰率を算出することができる。そして、このような減衰率の算出を、送信波の周波数を変えながら所定の周波数範囲にわたって繰り返し行うことにより、図3に示すような周波数分布依存性を得ることができる。なお、弾性波の振幅A0,A1は例えば一定の計測期間中の最大振幅でもよいし、計測期間中の平均振幅でもよい。また、A0の2乗を送信波のエネルギー、A1の2乗を受信波のエネルギーとしてもよい。この場合はエネルギーA02の平方根の値A0、エネルギーA12の平方根の値A1を式(1)に代入することになる。エネルギーA02,A12は例えば一定の計測期間中の一部の時間(例えば得られたエコー波の最大振幅を含む一定時間)のエコー波から評価したエネルギーでもよいし、エコー波の波束全体から評価したエネルギーでもよい。
例えば、材料がスチールで、断面形状が半径r=20[mm]の円である円柱状の長尺部材10が地中に埋設されている場合に、ガイド波L(0,1)モードの弾性波を送受信したと仮定して、平均減衰率Attをシミュレーションにより算出すると、図4のaに示すような平均減衰率Attの周波数依存性が得られる。この場合、弾性波の減衰は主に地中に振動のエネルギーが漏洩することにより生じている。同様に、材料がスチールで、断面形状が半径r=10[mm]の円である円柱状の長尺部材10の場合には、図4のbで示すような平均減衰率Attの周波数依存性を得ることができる。なお、図4は、スチールと周囲を取り囲む土とが等方均質弾性体であると仮定し、スチールと土の物性定数が表1に示したような値である場合について、シミュレーション計算により得られた結果である。なお、図4のようなシミュレーションは、一般的に入手可能なシミュレーションソフトウェア(例えば、文献「Brian Pavlakovic,Mike Lowe,David Alleyne,and Peter Cawley,“Disperse: a general purpose program for creating dispersion curves”,Review of Progress in Quantitative Nondestructive Evaluation,edited by D.O.Thompson and D.E.Chimenti,Plenum Press,New York,Vol.16,pp.185-192,1997」参照)で演算することができる。
Figure 2015021749
ここで、図2に示した長尺部材10、すなわち、材料がスチールで、長さが1[m]、断面の半径が大部分の範囲で20[mm]、符号Dで示す範囲(長さL[m])のみで半径が概ね10[mm]である円柱状の長尺部材10について考える。ある周波数のガイド波L(0,1)モードに対する平均減衰率Att(dB/m)は、その周波数における半径20[mm]の円柱に対する減衰率Att20(dB/m)と、半径10[mm]の円柱に対する減衰率Att10(dB/m)とをそれらの長さの比を踏まえて平均することによって、下式(2)で示すようになる。
Att=(1−L)・Att20+L・Att10 ・・・(2)
このような評価を複数の周波数の弾性波について行うことによって、各周波数において図4の符号a,bで表される特性の間に入る減衰率の周波数依存性を得ることができる。
このように、長尺部材10の断面積が一部でも変化した場合、例えば長尺部材10全体が半径20[mm]である場合と比べて、一部でも半径が10[mm]に変化した場合、弾性波の平均減衰率の周波数依存性は変化する。
そこで、本実施の形態では、検査対象の長尺部材10(以下、「検査対象部材」という。)の使用前の形状など既知の形状を有する部材を比較対象(以下、「比較対象部材」という。)として、この比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を予め取得しておき、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を計測し、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較して、周波数特性が一致するか否かにより検査対象部材の形状および材料特性が変化したか否かを検査する。また、平均減衰率の変化が単調である範囲については、その変化の大小によって、検査対象部材の形状や材料特性の変化の程度または検査対象部材の変化部分の長手方向の長さの程度を推定することも可能となる。
なお、図4においては、弾性波としてL(0,1)モードのガイド波を送信した場合の結果を示している。ここで、Lモードとは、円柱形の部材において、周方向の振動成分が0の振動形態のなかで、動径方向の振動に関して、軸対称に振動するモードを意味しているが、使用する弾性波のモードはこれらに限定されない。円柱形の部材(丸棒やパイプ)については、ガイド波のモードとして、Lモードに加えて、Tモード、Fモードが存在することが知られている(例えば、文献「H.Nishino,S.Takashina,F.Uchida,M.Takemoto and K.Ono,“Modal analysis ofhollow cylindrical guided waves and applications”,Japanese Journal of Applied Physics,Vol.40,2001,pp.364-370」参照)。
記憶部13は、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を予め記憶する。ここで、比較対象部材とは、上述したように、検査対象部材が変化したか否かを検出するための比較対象であり、形状および材料特性が所望の状態にある検査対象部材(例えば設置、埋設直後の健全な検査対象部材)や、この健全な検査対象部材と同一環境に設置、埋設された同一形状、同一材料の部材などのことを言う。
比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性は、信号処理部12が検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を計測する方法と同等の方法により予め取得してもよいし、検査対象部材が設置、埋設される環境と同一の環境に比較対象部材が設置、埋設されたと仮定して、シミュレーション計算により予め取得してもよい。
判定部14は、信号処理部12により計測された、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と、記憶部13に予め記憶された、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較して、検査対象部材の形状および材料特性が比較対象部材の形状および材料特性と同一であるか否かを判定する。この判定結果は、出力部15に出力される。
出力部15は、判定部14による判定結果をモニタ等に出力する。
<検査装置の動作>
次に、本実施の形態に係る検査装置1による検査動作について図5を用いて説明する。まず、検査装置1は、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を予め記憶部13に記憶しておく(図5ステップS1)。具体的には、比較対象部材を検査対象部材が設置、埋設される環境と同一の環境に設置、埋設し、信号処理部12から送受信部11に対して所定の波形のデータを与え、比較対象部材に固定された送受信部11の探触子111から比較対象部材に弾性波を送信させ、比較対象部材の端部で反射したエコー波を探触子111で受信して、信号処理部12が、送信した弾性波の振幅A0(またはエネルギーA02)と受信したエコー波の振幅A1(またはエネルギーA12)と弾性波の既知の伝搬距離L0とから式(1)により、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を算出すればよい。このような平均減衰率の算出を、送信波の周波数を変えながら所定の周波数範囲にわたって繰り返し行うことにより、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を得ることができる。
なお、上記のとおり、検査対象部材が設置、埋設される環境と同一の環境に比較対象部材が設置、埋設されたと仮定して、シミュレーション計算により、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を算出してもよい。
次に、信号処理部12は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を計測する(図5ステップS2)。具体的には、送受信部11に対して比較対象部材の周波数特性を計測するときと同じ所定の波形のデータを信号処理部12から与え、検査対象部材に固定された送受信部11の探触子111から検査対象部材に弾性波を送信させ、検査対象部材の端部で反射したエコー波を探触子111で受信して、信号処理部12が、送信した弾性波の振幅A0(またはエネルギーA02)と受信したエコー波の振幅A1(またはエネルギーA12)と弾性波の既知の伝搬距離L0とから式(1)により、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を算出すればよい。このような平均減衰率の算出を、送信波の周波数を変えながら所定の周波数範囲にわたって繰り返し行うことにより、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を得ることができる。計測した平均減衰率の周波数依存性は、判定部14に出力される。
続いて、判定部14は、記憶部13から、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性を取得し、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較して、これらの周波数特性が同一であるか否かを判定する(図5ステップS3)。この比較は、例えば、図3に示すような周波数特性を重ね合わせて、一致するか否かを確認することにより行われる。
判定部14は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とが同一である場合(ステップS3:YES)、検査対象部材の形状および材料特性が変化していないと判定する(図5ステップS4)。また、判定部14は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とが同一でない場合(ステップS3:NO)、検査対象部材の形状または材料特性が変化していると判定する(図5ステップS5)。
なお、判定部14は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較し、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を中心値とする所定の閾値範囲内に、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率が含まれる場合には、これらの平均減衰率が同一であると判定し、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率が前記閾値範囲から外れている場合には、これらの平均減衰率が同一でないと判定する。
このような平均減衰率の比較を平均減衰率の周波数特性で定められた周波数範囲(例えば図3の横軸の周波数範囲)の各周波数について行い、全ての周波数で平均減衰率が同一の場合には、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とが同一であると判定し、少なくとも一部の周波数で平均減衰率が異なる場合には、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とが同一でないと判定する。
判定部14により判定が行われると、出力部15は、その判定結果をモニタ等に出力する(図5ステップS6)。これにより、ユーザは、モニタ画面を確認することによって、検査対象部材の形状および材料特性が変化しているか否かを確認することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較することにより、検査対象部材の形状や材料特性が空間的に緩やかに変化し、その変化部分から反射エコーが生じないような場合についても、検査対象部材の形状や材料特性が変化したか否かを検査することができ、また、平均減衰率の変化と部材の変化との関係が単調である場合、検査対象部材変化の度合いも評価することができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態は、弾性波の平均減衰率の周波数特性を検査対象部材の検査に用いる代わりに、所定の周波数の弾性波の平均減衰率を用いるものである。したがって、上述した第1の実施の形態と同等の構成要素については、同じ名称および符号を付して、適宜説明を省略する。
<検査装置の構成>
図6に示すように、本実施の形態に係る検査装置2は、送受信部11と、信号処理部22と、記憶部23と、判定部24と、出力部15と、測定部26とを備えている。本実施の形態においても、信号処理部22、記憶部23、判定部24および出力部15は、コンピュータの演算装置がそのコンピュータの記憶装置にインストールされたプログラムに従って処理を実行することにより実現される。
信号処理部22は、送受信部11に対して所定の波形のデータを与えて、検査対象部材に所定の周波数、所定の種類の弾性波を送出するよう送受信部11の探触子111を駆動する一方、探触子111が受信した信号を処理して、検査対象部材を伝搬した弾性波の平均減衰率を算出する。
このような平均減衰率の算出は、次のように行われる。まず、探触子111から検査対象部材に特定の周波数の所定の弾性波を送信して、検査対象部材の端部で反射したエコー波を探触子111で受信する。信号処理部22は、送信した弾性波(または基準となる弾性波)の振幅と受信したエコー波の振幅とを比較することにより、弾性波の減衰率を算出し、この減衰率を弾性波の伝搬距離で割ることにより、弾性波の平均減衰率を算出する。送信した弾性波の振幅をA0、受信したエコー波の振幅をA1、弾性波の伝搬距離をL0とすると、弾性波の平均減衰率Att[dB/m]は式(1)により算出することができる。
なお、弾性波の振幅A0,A1は例えば一定の計測期間中の最大振幅でもよいし、計測期間中の平均振幅でもよい。また、A02を送信波のエネルギー、A12を受信波のエネルギーとしてもよい。この場合はエネルギーA02の平方根の値A0、エネルギーA12の平方根の値A1を式(1)に代入することになる。エネルギーA02,A12は例えば一定の計測期間中一部の時間(例えば得られたエコー波の最大振幅を含む一定時間)のエコー波から評価したエネルギーでもよいし、エコー波の波束全体から評価したエネルギーでもよい。
図7の符号a,bに示すような弾性波の平均減衰率の周波数特性は、検査対象部材の形状や材料特性等によって相違する。このため、検査対象部材の一部において形状や材料特性が変化すると、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率の周波数特性は変化する。従って、形状や材料特性が変化した検査対象部材に特定の周波数の所定の弾性波を送信した場合には、データ処理によって算出された弾性波の平均減衰率は、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と異なる。一方、形状や材料特性が変化していない検査対象部材に特定の周波数の所定の弾性波を送信した場合には、データ処理によって算出された弾性波の平均減衰率は、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と同一となる。なお、図7の符号a,bで示した周波数特性は、スチール製の円柱形長尺部材と周囲を取り囲む土とが等方均質弾性体であると仮定し、スチールと土の物性定数が表1に示したような値である場合について、シミュレーション計算により得られた結果であり、図4の符号a,bで示した周波数特性と同一である。
例えば、図7の符号aの周波数特性を有する長尺部材に対して周波数f1(80[kHz])付近のガイド波L(0,1)モードの弾性波を送信した場合、弾性波の平均減衰率は約51.6[dB/m]となる。また、図7の符号bの周波数特性を有する長尺部材に対して周波数f1付近のガイド波L(0,1)モードの弾性波を送信した場合、弾性波の平均減衰率は約14.0[dB/m]となる。
一方、図7の符号aの周波数特性を有する長尺部材の形状と符号bの周波数特性を有する長尺部材の形状とが混在するような部材(但し、形状の変化は空間的に十分緩やかであるために、形状変化部分からの弾性波の反射エコーは生じないとする)に対して周波数f1付近のガイド波L(0,1)モードの弾性波を送信した場合、弾性波の平均減衰率は、両方の長尺部材の長さの比に応じたaとbとの間の平均的な減衰率(すなわち51.6[dB/m]と14.0[dB/m]との間の値)となる。
具体的には、図2に示したスチール製の長尺部材10のように、大半が図7の符号aの周波数特性を有する形状で、一部分のみ図7の符号bの周波数特性を有する形状に変化した長尺部材が地中に埋設されている場合、この長尺部材を伝搬する弾性波の平均減衰率は、半径が10[mm]である区間Dが実効的に0.100[m]存在したとすると、式(2)において、Att20=51.6[dB/m]、Att10=14.0[dB/m]、L=0.100mを代入することによって、47.8[dB/m]となる。このように、長尺部材の一部でも形状が異なると(部材全体が半径0.02[m]である場合に比べて、一部分でも半径が0.01[m]である領域が存在すると)、長尺部材を伝搬する弾性波の平均減衰率も異なることとなる。
本実施の形態では、図7の符号a,bに示すような周波数特性や経験などから検査対象部材と比較対象部材との間で平均減衰率の差が比較的大きくなる特定の周波数の弾性波を予め決定し、比較対象部材を伝搬する前記特定の周波数の弾性波の平均減衰率を予め取得しておき、検査対象部材を伝搬する前記特定の周波数の弾性波の平均減衰率を計測し、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較して、平均減衰率が一致するか否かにより検査対象部材の形状および材料特性が変化したか否かを検査する。
記憶部23は、比較対象部材を伝搬する特定の周波数の弾性波の平均減衰率を予め記憶する。比較対象部材を伝搬する特定の周波数の弾性波の平均減衰率は、信号処理部22が検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を計測する方法と同等の方法により予め取得してもよいし、検査対象部材が設置、埋設される環境と同一の環境に比較対象部材が設置、埋設されたと仮定して、シミュレーション計算により予め取得してもよい。
判定部24は、信号処理部22により計測された、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と、記憶部23に予め記憶された、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較して、検査対象部材の形状および材料特性が比較対象部材の形状および材料特性と同一であるか否かを判定する。この判定結果は、出力部15に出力される。
測定部26は、検査対象部材の長さが分からない場合、信号処理部22により、平均群速度(またはエネルギー速度)が既知である特定の周波数の所定の弾性波を検査対象部材に送信させてからエコーを受信するまでの伝搬時間を計測し、この伝搬時間と既知の平均速度から検査対象部材の長さを測定する。
<検査装置の動作>
次に、本実施の形態に係る検査装置2による検査動作について図8を用いて説明する。まず、検査装置2は、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を予め記憶部23に記憶しておく(図8ステップS11)。具体的には、比較対象部材を検査対象部材が設置、埋設される環境と同一の環境に設置、埋設し、信号処理部22から送受信部11に対して所定の波形のデータを与え、比較対象部材に固定された送受信部11の探触子111から比較対象部材に特定の周波数の所定の弾性波を送信させ、比較対象部材の端部で反射したエコー波を探触子111で受信して、信号処理部22が、送信した弾性波の振幅A0(またはエネルギーA02)と受信したエコー波の振幅A1(またはエネルギーA12)と弾性波の既知の伝搬距離L0とから式(1)により、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を算出すればよい。なお、上記のとおり、検査対象部材が設置、埋設される環境と同一の環境に比較対象部材が設置、埋設されたと仮定して、シミュレーション計算により、比較対象部材を伝搬する特定の周波数の弾性波の平均減衰率を算出してもよい。
次に、測定部26は、検査対象部材の長さが未知の場合、その長さを測定する(図8ステップS12)。
次に、信号処理部22は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を計測する(図8ステップS13)。具体的には、送受信部11に対して比較対象部材の平均減衰率を計測するときと同じ所定の波形のデータを信号処理部22から与え、比較対象部材に送信した弾性波と同じ特定の周波数の所定の弾性波を、検査対象部材に固定された送受信部11の探触子111から検査対象部材に送信させ、検査対象部材の端部で反射したエコー波を探触子111で受信して、信号処理部22が、送信した弾性波の振幅A0(またはエネルギーA02)と受信したエコー波の振幅A1(またはエネルギーA12)と弾性波の既知の伝搬距離L0とから式(1)により、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を算出すればよい。計測した平均減衰率は、判定部24に出力される。
続いて、判定部24は、記憶部23から、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を取得し、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較して、これらの平均減衰率が同一であるか否かを判定する(図8ステップS14)。判定部24は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較し、比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を中心値とする所定の閾値範囲内に、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率が含まれる場合には、これらの平均減衰率が同一であると判定し、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率が前記閾値範囲から外れている場合には、これらの平均減衰率が同一でないと判定する。
判定部24は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とが同一である場合(ステップS14:YES)、検査対象部材の形状および材料特性が変化していないと判定する(図8ステップS15)。また、判定部24は、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とが同一でない場合(ステップS14:NO)、検査対象部材の形状または材料特性が変化していると判定する(図8ステップS16)。
判定部24により判定が行われると、出力部15は、その判定結果をモニタ等に出力する(図8ステップS17)。これにより、ユーザは、モニタ画面を確認することによって、検査対象部材の形状および材料特性が変化しているか否かを確認することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、検査対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率と比較対象部材を伝搬する弾性波の平均減衰率とを比較することにより、検査対象部材の形状や材料特性が空間的に緩やかに変化し、その変化部分から反射エコーが生じないような場合についても、検査対象部材の形状や材料特性が変化したか否かを検査することができ、また、平均減衰率の変化と部材の変化との関係が単調である場合、検査対象部材変化の度合いを評価することができる。
なお、本実施の形態における測定部26を、第1の実施の形態の検査装置1にも設けるようにしてもよい。
また、第1、第2の実施の形態では、長尺部材の任意の位置にある探触子111から弾性波を送出し、その長尺部材の端部で反射されたエコー波を探触子111で受信する場合を例に説明したが、探触子111が設けられた位置と端部との間に別の受信手段となる探触子をさらに設け、この探触子により受信される弾性波の特性を検出することにより、長尺部材を伝搬する弾性波の平均減衰率を計測するようにしてもよい。
また、第1、第2の実施の形態では、長尺部材の形状や材料特性が変化したか否かを検査する場合を例に説明したが、弾性波を伝搬させることができる部材であれば、検査対象部材の形状は長尺部材に限定されず、各種形状の部材について変形や材料特性変化の有無、程度を検査することができる。
また、図3においては、長尺部材にガイド波を送信した場合の測定結果を示しているが、例えば板状の部材中を伝搬するラム波等の板波や、バルク体の表面を伝搬するレイリー波等の表面波を利用することも可能である。
なお、第1の実施の形態において幅広い周波数範囲における検査対象部材と比較対象部材との平均減衰率の周波数特性を比較する理由は、部材や環境によっては、どの周波数で減衰率の変動が大きいか事前に判別できない場合があり、幅広い周波数範囲において平均減衰率の周波数特性を比較することによって、確実に減衰率変動の大きな周波数を含めた評価を行うことができるようにするためである。事前に減衰率変動の大きな周波数が分かっていた場合であっても、注目する周波数以外で減衰率変動が小さい(または無い)ことを確認することによって、部材に予測通りの変化が生じており、それ以外の変化は生じていないことを確認することができる。一方、事前に減衰率変動の大きな周波数が分かっていれば、第2の実施の形態のように特定の周波数の弾性波のみで測定を行うことにより、より簡便に検査対象部材の検査を行うことが可能となる。
検査対象部材における半径の減少量とその減少の生ずる長さ等、弾性波の減衰に関与するであろうパラメータが複数存在する場合、本発明では、これらの個々のパラメータによる弾性波の減衰を分離して評価することは不可能である。ただし、本発明では、複数のパラメータの変化をトータルで評価して、検査対象部材の変化が軽微な変化か重大な変化かを評価することができる。
本発明は、主に地中や構造物中に埋設、設置された長尺部材等の構造物の変形や材料変化を検査する各種検査装置に適用することができる。
1,2…検査装置、10…長尺部材、11…送受信部、12,22…信号処理部、13,23…記憶部、14,24…判定部、15…出力部、26…測定部、111…探触子、112…送受信回路、1120…波形発生器、1121…電力増幅回路、1122…受信増幅器。

Claims (6)

  1. 検査対象部材に弾性波を送出する送出手段と、
    前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信手段と、
    前記送出手段が送出し前記受信手段が受信した弾性波の平均減衰率を計測する計測手段と、
    比較対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率を予め記憶する記憶手段と、
    前記計測手段により計測された、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率と、前記記憶手段に記憶された、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率とを比較して、前記検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定する判定手段とを備え、
    前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率は、形状および材料特性が所望の状態にある前記検査対象部材と同一形状および同一材料の前記比較対象部材を前記検査対象部材と同一環境に設置したときに、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率であることを特徴とする検査装置。
  2. 請求項1記載の検査装置において、
    前記送出手段は、周波数を変えながら所定の周波数範囲の前記弾性波を前記検査対象部材に送出し、
    前記計測手段は、前記検査対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率の周波数特性を計測し、
    前記記憶手段は、前記比較対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率の周波数特性を予め記憶し、
    前記判定手段は、前記計測手段により検出された、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性と、前記記憶手段に記憶された、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率の周波数特性とを比較して、前記検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定することを特徴とする検査装置。
  3. 請求項1記載の検査装置において、
    前記送出手段は、所定の周波数の前記弾性波を前記検査対象部材に送出し、
    前記計測手段は、前記検査対象部材を伝播する前記所定の周波数の弾性波の平均減衰率を計測し、
    前記記憶手段は、前記比較対象部材を伝播する前記所定の周波数の弾性波の平均減衰率を予め記憶することを特徴とする検査装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査装置において、
    前記計測手段は、前記送出手段が送出した弾性波の振幅またはエネルギーと、前記受信手段が受信した弾性波の振幅またはエネルギーと、前記送出手段から前記受信手段までの弾性波の既知の伝搬距離とから、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率を算出することを特徴とする検査装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検査装置において、
    前記送出手段は、平均群速度または平均エネルギー速度が既知の周波数の弾性波を前記検査対象部材に送出し、
    前記弾性波を送信してから受信するまでの時間を計測し、前記既知の群速度またはエネルギー速度と、前記時間とに基づいて、前記検査対象部材の長さを測定する測定手段をさらに備えることを特徴とする検査装置。
  6. 送出手段が、検査対象部材に弾性波を送出する送出ステップと、
    受信手段が、前記検査対象部材を伝播した弾性波を受信する受信ステップと、
    計測手段が、前記送出手段が送出し前記受信手段が受信した弾性波の平均減衰率を計測する計測ステップと、
    判定手段が、比較対象部材を伝播する前記弾性波の平均減衰率を予め記憶する記憶手段を参照し、前記計測ステップで計測した、前記検査対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率と、前記記憶手段に記憶された、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率とを比較して、前記検査対象部材の形状および材料特性が所望の状態から変化したか否かを判定する判定ステップとを含み、
    前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率は、形状および材料特性が所望の状態にある前記検査対象部材と同一形状および同一材料の前記比較対象部材を前記検査対象部材と同一環境に設置したときに、前記比較対象部材を伝播する弾性波の平均減衰率であることを特徴とする検査方法。
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