JP2013130572A - 超音波厚さ測定方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射エコーの検出が困難な付着物層においてもその厚さを測定可能な超音波厚さ測定方法及び装置を提供する。
【解決手段】対向する2つの面を有する被検査体の一方の面(A面と称する)に送信探触子が配置され、A面における送信探触子とは異なる位置に受信探触子が配置され、被検査体の他方の面(B面と称する)に付着している付着物層の厚さを測定する超音波厚さ測定方法であって、送信探触子から被検査体に対して超音波を入射し、B面を伝播する付着物層側超音波を少なくとも含む超音波を受信探触子によって受信する超音波検出工程と、超音波検出工程で受信された超音波の減衰率を算出する減衰率算出工程S4と、付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、減衰率算出工程で算出された超音波の減衰率から付着物層の厚さを求める厚さ判定工程S5とを備えることを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、超音波を利用して、対向した2つの面を有する被検査体の一方の面に付着した付着物層の厚さを測定する超音波厚さ測定方法及び装置に関する。
従来、管や構造物等の被検査体に付着した付着物層の厚さ測定として、非破壊で検査可能な超音波検査が多く用いられている。
付着物層としては、例えばボイラの主蒸気管や過熱器管等の管においては、経年使用により管内面が水蒸気酸化して生成される内層スケール、あるいは管内を流れる流体成分を含むスケールが管壁に付着、堆積したりするものが挙げられる。
このように、管内には、管内面が浸食された内層スケールおよび管内面に付着した外層スケールが付着、堆積する。
これらのスケールは、管の伝熱の阻害、管の異常な温度勾配発生、圧損増大、等を引き起こし、管の噴破やクリープ損傷、剥離して他の機器に不具合を生じさせる等の可能性がある。
したがって、管を適切な時期に洗浄や交換が必要であり、この適正時期を知るためにスケールの厚さを測定することが必要となる。
そこで、上述したように超音波を用いた非破壊検査が好適に用いられるが、具体的に、超音波検査装置による付着物層の厚さ測定は、被検査体の一方の面に超音波探触子を配置し、付着物層が形成された他方の面に向けて超音波を送信し、他方の面(被検査体と付着物層の境界面)および付着物層の端部(付着物層と管内流体が接触する境界面)で反射した反射エコーをそれぞれ受信する。
そして、他方の面の反射エコーと付着物層端部の反射エコーの受信時間差を距離に換算し、付着物層の厚さを求めるようになっている。
関連する技術として、特許文献1(特開2006−322902号公報)には、筒状体に取り付けられた超音波トランスデューサによって超音波の内の板波、特にラム波を用いて、筒状体内部に付着した付着層の厚みを測定する方法が示されている。
その方法は、1対の探触子のうち、一方の探触子を検査対象の筒状体外面に固定、他方の探触子を検査対象の筒状体外面を移動させて、両探触子間で超音波を送受信し、送信された超音波の周波数、受信された超音波の伝播時間、振幅を測定し、伝播距離、振幅、周波数、伝播時間の4つのうち少なくとも3つの関係から付着層の厚みを求めるものである。
しかし、付着層厚さに対する伝播距離、振幅、周波数、伝播時間の実験データは示されているが、4つの関係から付着層の厚さをどのように求めるのかは、明示されていない。
また、他の関連する技術として、特許文献2(特開2001−183126号公報)には、超音波を用いて管内面スケールの厚さを測定する厚さ測定システムが開示されている。
このシステムは、配管に取り付けられた超音波トランスデューサによって超音波を送信した後反射エコーを受信し、受信されたRF波形の反射波信号に基づいて管の肉厚とともに管内面スケールの厚さを測定する。
また、関連する他の技術として、特許文献3(特開2004−45124号公報)には、電磁超音波検査装置によって管を周方向および長手方向に走査して、管内面に付着している水蒸気酸化スケールの厚さを検査する方法が開示されている。
この方法では、管の内面からの反射エコー、すなわち管とスケールとの境界面からの反射エコーと、スケール端部からの反射エコーとを用いて、管外面から管内面までの距離および管外面からスケール端部までの距離の差からスケール厚さを求めるようにしている。
特開2006−322902号公報 特開2001−183126号公報 特開2004−45124号公報
しかしながら、従来の超音波検査技術は付着物層の密度が緻密であり、且つ付着物層の厚さが1mm以上(特許文献1)のものを対象としており、空隙率が大きく、しかも厚さが0.05mm〜0.5mm程度のポーラス状の付着物層においては、減衰が大きいために付着物層端部からの反射エコーが得られず、付着物層の厚さを測定することができなかった。
また、例えば100μm以下の厚さの小さい付着物層は、付着物層端部からの反射エコーが付着物層側の面からの反射エコーと重なってしまうため、やはり付着物層の厚さを測定することができなかった。
このように、従来の超音波検査技術は、付着物層の状態や厚さ等の諸要因によって付着物層端部からの反射エコーが検出できない場合には適用できなかったため、どのような状態の付着物層に対しても厚さを測定可能な技術が求められている。
本発明の少なくとも一つの実施形態は、上述の事情に鑑みて、例えば空隙率の大きいポーラス状の付着物層のように、反射エコーの検出が困難な付着物層においてもその厚さを測定可能な超音波厚さ測定方法及び装置を提供することを目的とする。
幾つかの実施形態に係る超音波厚さ測定方法は、対向する2つの面を有する被検査体の一方の面(A面と称する)に超音波探触子のうち送信探触子が配置され、前記A面における前記送信探触子とは異なる位置に前記超音波探触子のうち受信探触子が配置され、前記送信探触子から前記被検査体に入射させた超音波を前記受信探触子で受信して、前記被検査体の他方の面(B面と称する)に付着している付着物層の厚さを測定する超音波厚さ測定方法であって、前記送信探触子から前記被検査体に対して超音波を入射し、前記B面を伝播する付着物層側超音波を少なくとも含む超音波を前記受信探触子によって受信する超音波検出工程と、前記超音波検出工程で受信された前記超音波の減衰率を算出する減衰率算出工程と、前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、前記減衰率算出工程で算出された前記超音波の減衰率から前記付着物層の厚さを求める厚さ判定工程とを備えることを特徴とする。
上記超音波厚さ測定方法においては、付着物が付着している被検査体を伝わって検出される超音波の振幅は、付着物が付着していない被検査体を伝わって検出される超音波の振幅に比べて小さくなる。つまり、付着物が付着している被検査体を伝わって検出される超音波の振幅の減衰が大きくなる。また、この超音波の減衰率は、付着物の厚さによっても異なる。
したがって、上記超音波厚さ測定方法では、超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、超音波の減衰率から付着物層の厚さを求めるようにしている。これにより、例えば、ポーラス状の付着物層や厚さが薄い付着物層のように、付着物層端部からの反射エコーが検出できない場合においても、付着物層の厚さ測定が可能となる。
また、超音波の減衰は、付着物層の内部に存在する空隙の影響も受けるため、上記超音波測定方法では、付着物層の空隙率に応じた減衰率と厚さとの関係を用いるようにしている。したがって、より一層精度の高い付着物層厚さ測定結果を得ることができる。
ここで、付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係は、予め取得しておくことが好ましい。この関係は、実験的に求めてもよいし、経験的に求めてもよいし、あるいはシミュレーションや計算により求めてもよい。なお、減衰率とは、超音波の伝搬に伴う振幅低下の比率をいう。
さらに、超音波を用いて付着物層厚さを求めるようにしたので、被検査体の比較的広い範囲における平均的な付着物層厚さを測定することが可能となる。
少なくとも一実施形態において、前記被検査体が管であり、前記超音波検出工程では、前記管の前記A面である外周面に配置された前記送信探触子から前記管の厚さ方向に対して前記超音波を入射して、前記管の長手方向に伝播した超音波を前記外周面に配置された前記受信探触子で受信し、前記厚さ判定工程にて、前記超音波の減衰率を用いて前記管の内面に付着したスケールの厚さを測定するようにしてもよい。
なお、管の厚さ方向に対する超音波の入射角度は特に限定されない。
これにより、管を切断することなく管の内面に付着、堆積したスケールの厚さを正確に測定することが可能となる。
上記超音波検査においては、スケールが付着している管を伝わって検出される超音波の振幅は、スケールが付着していない管を伝わって検出される超音波の振幅に比べて小さくなる。つまり、スケールが付着している管を伝わって検出される超音波の振幅の減衰が大きくなる。(これは被検査体に入射した超音波の一部がスケール層に伝播し、その分だけ被検査体とスケールとの境界での反射量が減少するためと、推定される。)また、この超音波の減衰率は、付着しているスケールの厚さによっても異なる。
したがって、上記超音波厚さ測定方法では、超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係に基づいて、超音波の減衰率からスケールの厚さを求めるようにした。これにより、例えば、ポーラス状のスケールや厚さが薄いスケールのように、スケール端部からの反射エコーが検出できない場合においても、スケールの厚さ測定が可能となる。
少なくとも一実施形態において、前記被検査体の前記A面を伝播する探触子側超音波の波形を取得する探触子側超音波取得工程と、前記超音波検出工程で受信された前記超音波から前記探触子側超音波の波形を除去することによって、前記被検査体の前記B面を伝播する付着物層側超音波の波形を抽出する付着物層側超音波抽出工程とをさらに備え、前記減衰率算出工程では、前記付着物層側超音波抽出工程で抽出された前記付着物層側超音波の前記減衰率を算出するようにしてもよい。
なお、超音波検出工程で受信された超音波には、A面を伝播する探触子側超音波と、B面を伝播する付着物層側超音波が含まれる。また、A面を伝播する探触子側超音波及びB面を伝播する付着物層側超音波の少なくとも一方は、表面波であってもよい。
被検査体の一方の面から発信した超音波は、一方の面(A面)を伝播する探触子側超音波と、他方の面を伝播する付着物層側超音波の両方を含む超音波を受信するため、これらの超音波が干渉し合って誤差が生じる可能性がある。そこで、上記したように、予め探触子側超音波を取得しておき、超音波検出工程で受信された超音波から探触子側超音波の波形を除去して付着物層側超音波のみを抽出することによって、付着物層を伝播する超音波の減衰率を正確に取得することが可能であり、測定結果の精度をより一層向上させることができる。
少なくとも一実施形態において、前記被検査体と前記超音波探触子との位置関係と同一の位置関係になるように、付着物が付着していない試験体上に、一又は複数の超音波探触子を配置し、前記一又は複数の超音波探触子から前記試験体に較正用超音波を送信して、前記較正用超音波のうち、少なくとも表面波を前記較正用超音波探触子で受信する較正用超音波検出工程をさらに備え、前記付着物層側超音波抽出工程では、前記較正用超音波検出工程で受信された表面波の波形を、前記探触子側超音波とみなして前記付着物層側超音波の波形を抽出するようにしてもよい。
このように、較正用超音波検出工程にて、試験体を用いて探触子側超音波の波形に対応する波形を取得することによって、正確な探触子側超音波の波形を取得することができ、そのためより精度の高い測定結果を得ることができる。
少なくとも一実施形態において、前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係は、前記空隙率が複数段階に区分され、複数の空隙率の区分ごとに前記超音波の減衰率と前記付着物層の厚さとの関係がそれぞれ設定されており、前記減衰率算出工程では、対象となる被検査体に該当する前記空隙率の区分を選択し、該区分に対応した前記超音波の減衰率と前記付着物層の厚さとの関係を用いて、前記付着物層の厚さを求めるようにしてもよい。
このように、所定の範囲を有するように空隙率を複数段階に区分し、対象となる管に該当する空隙率の区分を選択するようにしたので、付着物層の空隙率が異なる複数の管に幅広く適用することができる。なお、付着物層の空隙率は、管の内部を流れる流体の温度、および、流体若しくは管の成分の少なくとも一方によって推定することができる。
この場合、前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係は、前記空隙率の区分に加えて、付着物の成分ごとにさらに区分されており、前記減衰率算出工程では、対象となる被検査体の空隙率と、推定される付着物の成分とに応じて前記区分を選択するようにしてもよい。
超音波の減衰率は、付着物層の成分の影響も受ける場合がある。したがって、上記したように、超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係は、空隙率の区分に加えて、付着物層の成分ごとにさらに区分されていることにより、より正確な付着物層の厚さの測定が可能となる。
上記管内面の超音波厚さ測定方法において、前記超音波検出工程の前に、異なる複数の周波数を用いて超音波検査を行い、前記被検査体の周波数感度を検出する感度検出工程と、予め取得した周波数と空隙率との関係に基づいて、前記感度検出工程で得られる最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択する空隙率選択工程とをさらに備え、前記厚さ判定工程では、前記空隙率選択工程で選択される空隙率に対応した超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係を用いることが好ましい。
このように、異なる複数の周波数を用いて超音波検査を行って最も感度の高い周波数を検出し、周波数と空隙率との関係に基づいて、最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択するようにしたので、対象となる管の空隙率を事前に把握していない場合においても、本発明の方法を適用することができる。
上記管内面の超音波厚さ測定方法において、前記超音波検出工程では、前記超音波探触子によって前記被検査体の長手方向に沿って超音波を送受信し、前記減衰率算出工程にて、前記超音波探触子で検出した超音波の振幅と、付着物層が付着していない被検査体の超音波の振幅との比率、または、前記超音波探触子で検出した一定の伝播距離における超音波のエネルギー量と、付着物層が付着していない被検査体での一定の伝播距離における超音波のエネルギー量との比率に基づいて減衰率を算出することが好ましい。
これにより、主に付着物層の影響に基づく減衰率を明確に求めることができる。
少なくとも一実施形態において、前記被検査体が管であり、前記超音波検出工程では、前記超音波探触子によって前記被検査体の外周面から径方向に超音波を送受信し、一回の送信に対して時系列的に受信される複数の反射エコーを検出し、前記減衰率算出工程にて、前記受信探触子で検出した前記複数の反射エコーの振幅の差から前記減衰率を算出するようにことが好ましい。
このように、超音波を管に対して垂直に入射させ、時系列的に受信される複数の反射エコーの振幅の差から減衰率を算出するようにしたので、局所的な付着物層の厚さを測定することが可能となる。
幾つかの実施形態に係る超音波厚さ測定装置は、対向する2つの面を有する被検査体の一方の面(A面と称する)から超音波を送受信し、他方の面(B面と称する)に付着している付着物層の厚さを測定する超音波厚さ測定装置であって、前記被検査体の前記A面に配置され、前記被検査体に超音波を発信して、前記B面を伝播する付着物層側超音波を少なくとも含む超音波を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子で受信した前記超音波を解析して前記付着物層の厚さを求める解析手段と、前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係が蓄積される記憶手段とを備え、前記解析手段は、前記超音波の減衰率を算出する減衰率算出部と、前記記憶手段に蓄積される前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、前記減衰率算出部で算出された前記超音波の減衰率から前記付着物層の厚さを求める厚さ判定部とを有することを特徴とする。
超音波厚さ測定装置では、超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、超音波の減衰率から付着物層の厚さを求めるようにしたので、超音波の減衰率によって付着物層の厚さを測定することが可能となる。これにより、例えば、ポーラス状の付着物層や厚さが薄い付着物層のように、付着物層の端部からの反射エコーが検出できない場合においても、付着物層の厚さ測定が可能となる。
また、本発明では、付着物層の空隙率に応じた減衰率と厚さとの関係を用いるようにしているため、付着物層の内部に存在する空隙の影響を考慮して、より一層精度の高い厚さの測定結果を得ることが可能となる。さらに、この装置は、超音波を用いて付着物層の厚さを求めるようにしたので、被検査体の比較的広い範囲における平均的な付着物層の厚さを測定することが可能である。
少なくとも一実施形態において、前記被検査体が管であり、前記超音波探触子は、前記管の外周面に配置され、前記管の長手方向に向かって超音波を発信して、前記長手方向に伝播した超音波を受信し、前記解析手段は、前記超音波の減衰率を用いて前記管内面に付着したスケールの厚さを求めるようにしてもよい。
これにより、管を切断することなく管の内面に付着、堆積したスケールの厚さを正確に測定することが可能となる。
少なくとも一実施形態において、前記記憶手段には、前記超音波を送信した際に、前記付着層側からの反射超音波が発生しない厚さを有する試験体と、前記被検査体と前記超音波探触子との位置関係と同一の位置関係になるように前記試験体上に配置された一、又は複数の較正用超音波探触子とを利用して予め取得した較正用表面波の波形がさらに蓄積され、前記解析手段は、前記被検査体の前記A面を伝播する探触子側超音波の波形を取得する探触子側超音波取得部と、前記超音波探触子で受信した前記超音波から前記探触子側超音波の波形を除去することによって、前記被検査体の前記B面を伝播する付着物層側超音波の波形を抽出する付着物層側超音波抽出部とをさらに有し、前記減衰率算出部にて、前記付着物層側超音波抽出部で抽出された前記付着物層側超音波の前記減衰率を算出するようにしてもよい。
なお、「付着物層側反射超音波が発生しない厚さ」とは、付着物層側超音波を全く検出しない厚さ、又は付着物層側反射超音波が発生する場合であっても検出波形が付着物層の厚さ測定に影響を及ぼさない程度の厚さのことをいう。
このように、予め探触子側超音波を取得しておき、受信探触子で受信された超音波から探触子側超音波の波形を除去して付着物層側からの伝播超音波のみを抽出することによって、付着物層からの伝播超音波の減衰率を正確に取得することが可能であり、測定結果の精度をより一層向上させることができる。また、探触子側超音波取得工程にて、付着物層側反射超音波が発生しない厚さを有する試験体を用いて探触子側超音波の波形を計測することによって、正確な探触子側超音波の波形を取得することができ、そのためより精度の高い測定結果を得ることができる。
少なくとも一実施形態において、前記記憶手段には、超音波の周波数と付着物層の空隙率との関係がさらに蓄積されており、前記解析手段は、異なる複数の周波数を用いた超音波検査で得られる前記被検査体の周波数感度を検出する感度検出部と、前記記憶手段に蓄積される前記周波数と空隙率との関係に基づいて、前記感度検出部で得られる最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択する空隙率選択部とをさらに有し、前記厚さ判定部では、前記空隙率選択部で選択される空隙率に対応した超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係を用いるようにしてもよい。
このように、異なる複数の周波数を用いて超音波検査を行って最も感度の高い周波数を検出し、周波数と空隙率との関係に基づいて、最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択するようにしたので、対象となる被検査体の空隙率を事前に把握していない場合においても、本構成の装置を適用することができる。
少なくとも一実施形態において、前記超音波探触子は、前記被検査体の面内方向に沿って超音波を送受信し、前記解析手段の前記減衰率算出部は、前記受信探触子で検出される超音波の振幅と、前記付着物層が付着していない被検査体の超音波の振幅との比率、または、前記超音波探触子で検出した一定の伝播距離における超音波のエネルギー量と、前記付着物層が付着していない被検査体での一定の伝播距離における超音波のエネルギー量との比率に基づいて減衰率を算出するようにしてもよい。
これにより、主に付着物層の影響に基づく減衰率を明確に求めることができる。
少なくとも一実施形態において、前記超音波探触子は、前記被検査体の前記A面から前記B面に向けて厚さ方向に超音波を送受信し、一回の送信に対して時系列的に受信される複数の反射エコーを検出し、前記解析手段の前記減衰率算部は、前記超音波探触子で検出した複数の反射エコーの振幅の差から前記減衰率を算出するようにしてもよい。
このように、超音波を被検査体に対して垂直に入射させ、時系列的に受信される複数の反射エコーの振幅の差から減衰率を算出するようにしたので、局所的な付着物層の厚さを測定することが可能となる。
幾つかの実施形態に係る超音波厚さ測定装置及び方法は、超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、超音波の減衰率から付着物層の厚さを求めるようにしたので、管内面からの超音波のみで付着物層の厚さを測定することが可能となる。これにより、例えば、ポーラス状の付着物層や厚さが薄い付着物層のように、付着物層の端部からの反射エコーが検出できない場合においても、付着物層の厚さ測定が可能となる。
また、本発明では、付着物層の空隙率に応じた減衰率と厚さとの関係を用いるようにしているため、付着物層内部に存在する空隙の影響を考慮して、より一層精度の高い厚さの測定結果を得ることが可能となる。
さらに、本発明では、B面側の伝播超音波を用いて付着物層の厚さを求めるようにしたので、被検査体の比較的広い範囲における平均的な付着物層の厚さを測定することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るスケール厚さ測定装置の全体構成図である。 ポーラススケールが付着した管の断面を示す拡大図である。 (A)はスケールが付着していない管の超音波の波形を示す図で、(B)はポーラススケールが付着している管の超音波の波形を示す図である。 スケールの空隙率に応じた超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係を表す減衰率−厚さマップの一例を示す図である。 異なる複数の周波数を用いた超音波検査の結果を示す図である。 超音波の周波数とスケールの空隙率との関係を表す周波数−空隙率マップの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係るスケール厚さ測定方法の手順を示すフローチャートである。 厚さ測定試験の装置構成を示す平面図である 厚さ測定試験の結果を示す図であり、(A)はスケールが付着していない管の超音波を示す図で、(B)はポーラススケールが付着した管の超音波を示す図である。 管を伝播する超音波について説明する図である。 (A)は管を伝播する超音波を歪みのコンター図として示した図で、(B)は(A)のB部及びC部の拡大図である。 本発明の第2実施形態に係るスケール厚さ測定装置の全体構成図である。 (A)は超音波探触子の受信部で受信される元波形{A面側の探触子側超音波とB面側のスケール側超音波が重畳した波形}で、(B)はA面側を伝播する探触子側超音波の波形で、(C)はB面側を伝播するスケール側超音波の波形{(A)−(B)}をそれぞれ示す図である。 スケール厚さに対する各測定値を示す表である。 スケール厚さに対する各測定値を示すグラフである。 本発明の第3実施形態に係るスケール厚さ測定装置の全体構成図である。 超音波探触子による測定原理を示す模式図である。 本発明の第3実施形態に係るスケール厚さ測定方法の手順を示すフローチャートである。 スケール厚さ測定試験の結果を示す図であり、(A)はスケールが付着していない管の反射エコーを示す図で、(B)はポーラススケールが付着した管の反射エコーを示す図である。
以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
なお、以下に示す第1〜第3実施形態では、被検査体として管を例示して説明するが、被検査体は管に限定されるものではなく、対向する2つの面の少なくとも一方に付着物層が形成される他の構造物等であってもよい。
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るスケール厚さ測定装置の全体構成を説明する。
同図に示すように、このスケール厚さ測定装置1は、管60の内面に付着しているスケール61の厚さを測定する装置であり、主として、超音波探触子2と、発振器3と、解析手段4と、記憶手段5とを備える。
ここで、被検査体となる管の概略を図2に示す。なお、図2は、ポーラススケールが付着した管の断面を示す拡大図である。管の内面63には、高温酸化等により管60の内面が浸食して形成された内層スケール、または、管60の内部を流れる流体の成分が付着して形成された外層スケールを含むスケール61が付着、堆積している。ここでは一例として、スケールの内部に多数の空隙62を有するポーラス状のスケール61(以下、ポーラススケールと称する)を示している。管の内面63(管60とスケール61との境界面)と、スケールの端部64との径方向の距離がスケール厚さとなる。なお、以下の説明において、管60の外周面をA面と称し、管60の内面をB面と称する。すなわち、超音波探触子2が配置される面がA面で、測定対象であるスケールが付着した面がB面である。
図1に戻り、超音波探触子2は、管60の外周面(A面)に配置され、管60の長手方向に向かって超音波を管内に送信して、管60の長手方向に伝播した超音波を受信する。この超音波探触子2は、例えば、発振器3で生成される超音波パルスを送信する送信部(送信探触子)2aと、少なくとも管60の長手方向に伝わった超音波を受信する受信部(受信探触子)2bとを有している。この超音波探触子2としては、送信部2aと受信部2bとが長手方向に離間して配置される2探触子型の探触子が好適に用いられる。ボイラ等で用いられる管60は、通常、隣接する複数の管がフィンで連結されているが、送信部2aと受信部2bとが長手方向に離間して配置されることにより、管同士または管とフィンとの溶接部を回避することができ、ノイズの混入を防ぐことが可能である。
なお、受信探触子2bで受信する超音波は、少なくともB面を伝播する付着物層側超音波を含む超音波であり、これにA面を伝播する探触子側超音波が重畳された超音波であってもよい。また、A面を伝播する探触子側超音波及びB面を伝播する付着物層側超音波の少なくとも一方は、表面波であってもよい。
超音波探触子2の受信部2bで受信された超音波は、解析手段4に入力される。
解析手段4は、主に、減衰率算出部43と、厚さ判定部44とを有する。
減衰率算出部43は、超音波探触子2で受信した超音波の減衰率を算出する。ここで、減衰率とは、超音波の伝搬に伴う振幅低下の比率をいう。この減衰率は、同一の管60においては、管内面のスケールの有無によって異なる。
図3(A)及び(B)を用いて、具体的な減衰率の算出例を以下に説明する。ここで、図3(A)は、スケールが付着していない管の超音波の波形を示す図で、(B)は、ポーラススケールが付着している管の超音波の波形を示す図である。なお、この波形は、図1に示すように送信部2aと受信部2bとからなる2探触子型の超音波探触子2を用いて、長手方向に超音波を送受信して検出したものである。
超音波の減衰率は、超音波の振幅から算出することができる。例えば、スケールが付着している管を伝播した超音波の振幅と、スケールが付着していない管を伝播した超音波の振幅との比率から算出する。この場合、以下の算出式(1)によって減衰率が算出される。

ここで、図3(A)に示すように、Amaxはスケールが付着していない管の超音波の振幅最大値で、図3(B)に示すように、Bmaxはスケールが付着している管の超音波の振幅最大値である。
このように、超音波の振幅から超音波の減衰率を算出することにより、演算処理を容易化することができる。
また、他の算出方法として、超音波の減衰率は、超音波の一定の伝播距離における超音波のエネルギー量から算出することができる。例えば、スケールが付着している管での一定の伝播距離における超音波のエネルギー量と、スケールが付着していない管での一定の伝播距離における超音波のエネルギー量との比率から算出する。この場合、以下の算出式(2)によって減衰率が算出される。

ここで、図3(A)に示すように、A(x)はスケールが付着していない管の超音波の波形の式で、図3(B)に示すように、B(x)はスケールが付着している管の超音波の波形の式である。また、図3(A)及び(B)に示すように、αは評価始端ビーム路程で、βは評価終端ビーム路程である。なお、評価始端ビーム路程は、超音波のエネルギー量を算出する際に設定される「一定の伝播距離」の始端であり、評価終端ビーム路程は、「一定の距離」の終端である。
このように、超音波の一定の伝播距離における超音波のエネルギー量から超音波の減衰率を算出することにより、高い精度で減衰率を算出することが可能である。
なお、スケールが付着していない管の超音波は、予め実験的に取得しておくことが好ましい。
図1に戻り、厚さ判定部44は、スケールの空隙率に応じた超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係に基づいて、減衰率算出部43で算出された超音波の減衰率からスケールの厚さを求める。
スケールの空隙率に応じた超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係は、予め取得されていることが好ましく、減衰率−厚さマップ52として記憶手段5に蓄積されている。この減衰率−厚さマップ52は、解析手段4または記憶手段5に接続される入力手段6から入力し、蓄積するようにしてもよい。
図4に、スケールの空隙率に応じた超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係を表す減衰率−厚さマップの一例を示す。この減衰率−厚さマップは、縦軸が減衰率を表し、横軸がスケール厚さを表す。
このマップでは、空隙率およびスケール成分によって複数の区分が設定されている。例えば、線aは、主なスケール成分が純マグネタイトで、且つ空隙率が大である区分に該当する管が適用され、線bは、主なスケール成分が純マグネタイトで、且つ空隙率が中である区分に該当する管が適用され、線cは、主なスケール成分が純マグネタイトで、且つ空隙率が小である区分に該当する管が適用される。さらに、線dは、主なスケール成分が純マグネタイトおよび銅で、且つ空隙率が大である区分に該当する管が適用され、線eは、主なスケール成分が純マグネタイトおよび銅で、且つ空隙率が中である区分に該当する管が適用され、線fは、主なスケール成分が純マグネタイトおよび銅で、且つ空隙率が小である区分に該当する管が適用される。
空隙率は所定の範囲で区分されている。例えば、空隙率大の区分は、空隙率85%以上100%未満の範囲とし、空隙率中の区分は、空隙率70%以上85%未満の範囲とし、空隙率小の区分は、空隙率50%以上70%未満の範囲とする。この範囲は適宜設定可能である。なお、空隙率の区分は、空隙生成の主要因となる、管60を流れる流体温度およびスケール成分の少なくとも一方に基づいて設定してもよい。スケール成分の区分は、管60を流れる流体の成分および管60自体の成分によって推定されるスケール成分に応じて設定してもよい。
上記した減衰率−厚さマップは、実験的に求めてもよいし、経験的に求めてもよいし、あるいはシミュレーションや計算により求めてもよい。
このように、所定の範囲を有するように空隙率を複数段階に区分し、対象となる管60に該当する空隙率の区分を選択するようにしたので、スケールの空隙率が異なる複数の管に幅広く適用することができる。
また、超音波の減衰率は、スケール成分の影響も受ける場合があるので、空隙率の区分に加えて、スケール成分ごとにさらに区分されていることにより、より正確な厚さの測定が可能となる。
図1に示す解析手段4は、さらに感度検出部41と、空隙率選択部42とを備えていてもよい。
感度検出部41は、異なる複数の周波数を用いた超音波検査で得られる管60の周波数感度を検出する。異なる複数の周波数を用いた超音波検査の結果を図5に示す。同図において、縦軸は周波数を表し、横軸はビーム路程を表す。ここでは一例として、周波数が高い順に、周波数A、周波数B、周波数Cとしている。超音波探触子2によって、これらの周波数の超音波を管60に送信し、A面側を伝播する探触子側超音波とB面側を伝播する付着物層側超音波とを含む超音波を受信して、周波数ごとに波形を取得する。このとき、周波数Bでは超音波が顕著に現れており、他の周波数A、Cではほとんど超音波が現れない。この場合、最も感度の高い周波数として周波数Bを選択する。
空隙率選択部42は、超音波の周波数とスケールの空隙率との関係に基づいて、感度検出部41で得られる最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択する。
超音波の周波数とスケールの空隙率との関係は、周波数−空隙率マップ51として記憶手段5に蓄積されている。周波数−空隙率マップ51の一例を図6に示す。同図に示すように、周波数−空隙率マップ51は、周波数が低くなるにつれて空隙率が小さくなるように設定されている。この周波数−空隙率マップ51は、予め取得して蓄積されることが好ましく、これは実験的に求めてもよいし、経験的に求めてもよいし、あるいはシミュレーションや計算により求めてもよい。
上記した厚さ判定部44では、この空隙率選択部42で求めた空隙率を用いて、減衰率−厚さマップ52から超音波の周波数とスケールの空隙率との関係を選択する。
このように、異なる複数の周波数を用いて超音波検査を行って最も感度の高い周波数を検出し、周波数−空隙率マップ51に基づいて、最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択するようにしたので、対象となる管60の空隙率を事前に把握していない場合においても、本実施形態の装置を適用することができる。
また、上記した各マップおよび厚さ判定結果等は、解析手段4に接続される表示手段7に表示させることもできる。
次に、図7を参照して、本発明の第1実施形態に係るスケール厚さ測定方法の手順を説明する。
まず最初に、ステップS1の感度検出工程で、異なる複数の周波数を用いて管60の超音波検査を行い、管60の周波数感度を検出する。ここでは、複数の検査結果から最も感度の高い周波数を選択する。
そして、ステップS2の空隙率選択工程で、周波数−空隙率マップ51を用いて、最も感度の高い周波数に対応する空隙率を選択する。
一方、ステップS3の超音波検出工程で、管60の外周面に配置した超音波探触子2の送信部2aから管60の長手方向に向かって超音波を送信して、管60の長手方向に伝播た超音波を受信部2bで受信する。なお、この超音波検出工程では、ステップS1の感度検出工程で取得された最も感度の高い周波数を用いて、超音波の検出を行うことが好ましい。また、感度検出工程及び超音波検出工程では、超音波探触子2を配置する前に測定対象領域の管外表面を研磨しておくことが好ましい。これにより、超音波探触子2と管60との接触部での異物の存在に起因した誤差の発生を防止することができる。
次いで、ステップS4の減衰率算出工程で、超音波検出工程で検出した超音波の減衰率を算出する。超音波の減衰率は、上記した算出式(1)または算出式(2)等によって求められる。
さらに、ステップS5の厚さ判定工程で、減衰率−厚さマップ52を用いて、減衰率算出工程で算出された超音波の減衰率からスケールの厚さを求める。減衰率−厚さマップ52には、複数の区分に対応して減衰率と厚さとの関係がそれぞれ設定されているため、この中から、ステップS2で選択された空隙率の区分に対応する減衰率と厚さとの関係を抽出し、この減衰率と厚さとの関係に基づいて厚さを求める。
なお、ステップS1の感度検出工程およびステップS2の空隙率選択工程を備えていない場合には、減衰率−厚さマップ52から減衰率と厚さとの関係を抽出する際に、予めスケール空隙率およびスケール成分を推定しておき、推定された区分に対応する減衰率と厚さとの関係を抽出するようにしてもよい。この推定方法は、管60の内部を流れる流体の温度、および、流体若しくは管の成分の少なくとも一方によって推定することができる。また、ステップS4の減衰率算出工程では、受信部2bで検出される超音波の振幅と、スケールが付着していない管の超音波の振幅との差に基づいて減衰率を算出するようにしてもよい。
上記したように本実施形態によれば、超音波の減衰率とスケールの厚さとの関係に基づいて、超音波の減衰率からスケールの厚さを求めるようにしたので、管内面からの伝播超音波のみでスケールの厚さを測定することが可能となる。これにより、例えば、ポーラス状のスケールや厚さが薄いスケールのように、スケール端部からの超音波が検出できない場合においても、スケールの厚さ測定が可能となる。また、本実施形態に係る厚さ測定は、減衰率を用いることから比較的スケール厚さが厚い場合にも適しており、特に、スケール厚さが0.05mm〜0.5mmのスケールの厚さ測定に好適に用いることができる。
また、本実施形態では、スケールの空隙率に応じた減衰率と厚さとの関係を用いるようにしているため、スケール内部に存在する空隙の影響を考慮して、より一層精度の高い厚さの測定結果を得ることが可能となる。
さらに、B面側の伝播超音波を用いてスケール厚さを求めるようにしたので、管の比較的広い範囲における平均的なスケール厚さを測定することが可能となる。
ここで、図8に示す試験装置を用いて、超音波により超音波検出試験を行った結果を示す。
図8に示すように、この試験装置は、予め管60を一部切り出しておき、この管60の一端側に1探触子型の超音波探触子2を配置して構成される。超音波探触子2は、他端側に向けて超音波パルスを送信し、管の他端側の端面で反射した反射エコーを受信する。
図9は厚さ測定試験の結果を示す図であり、(A)はスケールが付着していない管の反射エコーを示す図で、(B)はポーラススケールが付着した管の反射エコーを示す図である。図9(A)および(B)を比較して、スケールが付着していない管の反射エコー71は明瞭に現れるが、ポーラススケールが付着した管の反射エコー72はほとんど検出できない。このように、スケールの有無によって減衰が異なることが明らかである。そこで、これらの振幅の差を用いて被検査体における反射エコーの減衰率を求めるようにしている。
上記したように本実施形態によれば、B面側の伝播超音波を用いて減衰率を算出するようにしたので、比較的広い範囲における平均的なスケール厚さを測定することが可能となる。
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係るスケール厚さ測定装置1について説明する。本実施形態のスケール厚さ測定装置1は、スケール側超音波を抽出する構成を追設したことを除けば、既に説明した第1実施形態のスケール厚さ測定装置1と同様の構成である。したがって、ここでは、第1実施形態と共通する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
ここで、図10及び図11を参照して、管60を伝播する超音波について詳細に説明する。なお、図10は管を伝播する超音波について説明する図であり、図11(A)は管を伝播する超音波を歪みのコンター図として示した図で、(B)は(A)のB部及びC部の拡大図である。
図10に示すように、管60には、長手方向に離間して送信部2aと受信部2bとが配置される。送信部(送信探触子)2aから管60の厚さ方向に対して斜めに送信される超音波は管60の長手方向に伝播して受信部(受信探触子)2bで受信される。このとき、管60の長手方向に伝播する超音波は、超音波探触子2が配置される管外面を伝播する探触子側と、スケール61が付着した管内面を伝播するスケール側超音波とに大別される。したがって、受信部2bで受信される波形は、探触子側超音波とスケール側超音波とが重ね合わされた波形となる。なお、A面を伝播する探触子側超音波及びB面を伝播するスケール側超音波の少なくとも一方は、表面波であってもよい。
一般的に固体の音速は空隙率によっても変化することが知られているから、通常鋼材が用いられる管60を伝播する探触子側超音波と、酸化物等からなるスケール61内を伝播するスケール側超音波とは音速が異なり、そのため2つの超音波の位相はずれる。具体的には、図11(A)に示すように、管60の外表面を伝播する探触子側超音波に対してスケール側超音波の位相遅れが発生する。ここで、本実施形態におけるスケール厚さの測定に必要な超音波は、スケール厚さによって減衰率が変化するスケール側超音波である。ところが、上記したように、受信部2bで受信される超音波は探触子側超音波とスケール側超音波とが重ね合わされた波形となるため、探触子側超音波の影響によって測定誤差が生じることがある。
また、図11(B)に示すように、探触子側超音波に対するスケール側超音波の位相遅れは、スケール厚さによってその程度が異なる。スケール厚さが100μmのときのスケール側超音波は、スケール厚さが50μmのときのスケール側超音波より位相遅れが大きく、またスケール厚さが200μmのときのスケール側超音波は、スケール厚さが100μmのときのスケール側超音波より位相遅れが大きくなる。そのため、スケール厚さが未知である時点でどの程度の位相ずれが発生するかを予測することは困難である。
そこで本実施形態では、管60の長手方向に伝播する超音波の減衰率を用いて管60の内面に付着したスケール厚さを測定する装置において、測定精度をより一層向上させることを目的として、スケール側超音波を抽出する構成を備えている。
図12を参照して、本発明の第2実施形態に係るスケール厚さ測定装置の全体構成を説明する。
同図に示すように、スケール厚さ測定装置1は、主として、超音波探触子2と、発振器3と、解析手段4と、記憶手段5とを備える。
解析手段4は、第1実施形態と同様に感度検出部41と、空隙率選択部42と、減衰率算出部43と、厚さ判定部44とを有するとともに、探触子側超音波取得部45と、スケール側超音波抽出部46とをさらに有する。
記憶手段5は、第1実施形態と同様に周波数−空隙率マップ51と、減衰率−厚さマップ52とを有するとともに、超音波記憶部55をさらに有する。
探触子側超音波取得部45は、管60の表面を伝播する探触子側超音波の波形を取得する。この探触子側超音波は、予め取得されて記憶手段5の超音波記憶部55に記憶されている。
スケール側超音波抽出部46は、超音波探触子2の受信部2bで受信された超音波から探触子側超音波の波形を除去することによって、管60の内面を伝播するスケール側超音波の波形を抽出する。
上記構成を備えるスケール厚さ測定装置1では、探触子側超音波取得部45で超音波記憶部55から探触子側超音波を取得し、スケール側超音波抽出部46によって超音波探触子2で受信した超音波から探触子側超音波を除去し、スケール側からの伝搬超音波(スケール側超音波)のみを抽出する。スケール側超音波は、スケール61を伝播する表面波であってもよい。一例として、各波形を図13に示す。なお、図13(A)は超音波探触子の受信部で受信される元波形で、(B)は探触子側超音波で、(C)はスケール側超音波をそれぞれ示す図である。図13(A)に示す元波形は超音波探触子2で受信される波形であり、これは探触子側超音波とスケール側超音波が重ね合わされた波形である。この波形から図13(B)に示す探触子側超音波を除去することによって、図13(C)に示すスケール側超音波が得られる。
そして、減衰率算出部43でスケール側超音波の減衰率を算出する。さらに厚さ判定部44で減衰率から減衰率−厚さマップ52を用いてスケール厚さを算出する。減衰率−厚さマップ52は第1実施形態に記載したマップと同一のものを用いることができるが、この場合もスケール側超音波に対応した減衰率とスケール厚さとの関係を示すマップであることが好ましい。
上記したように本実施形態によれば、予め探触子側超音波を取得しておき、超音波探触子で受信した超音波(すなわち、A面側を伝播する探触子側超音波とB面側を伝播するスケール側超音波が重畳した波)の波形から探触子側超音波の波形を除去してスケール側超音波のみを抽出することによって、スケール61を通過する超音波の減衰率を正確に取得することが可能であり、測定結果の精度をより一層向上させることができる。
図14はスケール厚さに対する各測定値を示す表で、図15はスケール厚さに対する各測定値を示すグラフである。図14及び図15に示すように、探触子側超音波とスケール側超音波が重ね合わされた波形を用いてスケール厚さを測定する場合に比べて、スケール側超音波のみを抽出してスケール厚さを測定する方がより一層スケール厚さの真値に近い高精度な測定結果が得られる。
また、超音波記憶部55に記憶される探触子側超音波は、被検査体である管60の探触子側超音波を実験的に、または計算やシミュレーション等の演算によって予め取得するようにしてもよい。
ここで、一実施形態として、実験的に探触子側超音波を取得する場合について説明する。管60と同一の材料、又は超音波を送信した時に類似する超音波を発生する材料を試験体として用いる。この試験体は、超音波探触子2の送信部2aから超音波を送信した際にスケール側超音波(B面側の伝播超音波)が発生しない厚さを有することが好ましい。なお、「スケール側超音波が発生しない厚さ」とは、スケール側超音波(B面側の伝播超音波)を全く検出しない厚さ、又はスケール側超音波が発生する場合であっても検出波形がスケール厚さ測定に影響を及ぼさない程度の厚さのことをいう。このとき、試験体は、中実の棒状体を用いるようにしてもよい。
A面での試験体表面に付着した異物の超音波への影響を排除する観点から、試験体の表面を研磨した後、超音波探触子2の送信部2aと受信部2bとを試験体の長手方向に離間して配置する。このとき、送信部2aと受信部2bの間の距離を、被検査体である管60を検査する時の送信部2aと受信部2bの間の距離と一致させておくことが好ましい。これにより、スケール側超音波を抽出する際に、探触子側超音波とスケール側超音波の位置合わせを容易に行うことができる。
そして、送信部2aから超音波を送信し、受信部2bで受信した超音波を超音波記憶部55に記憶する。
また、超音波記憶部55には、管60の厚さ又は材質等の種類と、探触子側超音波との関係を示すマップとして記憶させてもよい。このマップは、複数種類の試験体を用いて各探触子側超音波を実験的に測定し、作成してもよいし、通信回線等を介して提供されるマップを用いてもよい。このように複数種類の管60に対応した探触子側超音波のマップを用いることにより、異なる種類の管60のスケール厚さを測定する場合に、その都度スケール側超音波を取得する必要がなくなり、効率的な測定が可能となる。
[第3実施形態]
図16を参照して、本発明の第3実施形態に係るスケール厚さ測定装置の全体構成を説明する。なお、上記した第3実施形態は、第1実施形態又は第2実施形態と組み合わせて用いることにより、厚さ測定精度を向上させることが可能である。
同図に示すように、このスケール厚さ測定装置1は、管60の内面に付着しているスケール61の厚さを測定する装置であり、主として、超音波探触子2と、発振器3と、解析手段4と、記憶手段5とを備える。
超音波探触子2は、管60の外周面に配置され、管60の内面に向けて超音波を送信して、管内面からの反射エコーを受信する。この超音波探触子2は、発振器3で生成される超音波パルスを送信する送信部と、少なくとも管内面からの反射エコーを受信する受信部とを有している。好ましくは、超音波探触子2は、管60の外周面から径方向に、すなわち管60に対して垂直に超音波を送受信する。
図17に示すように、超音波探触子2から送信された超音波パルスは、管の内面63で繰り返し反射し、複数の反射エコーが受信部で時系列的に受信される。この複数の反射エコーは、図16に示す解析手段4に入力される。
図16に示す解析手段4は、主に、減衰率算出部43と、厚さ判定部44とを有する。
減衰率算出部43は、超音波探触子2で受信した複数の反射エコーの振幅の差から減衰率を算出する。ここで、減衰率算出部43は、上記した第1実施形態と同様に、スケールが付着していない管の反射エコーと、スケールが付着している管の反射エコーとの振幅比あるいはエネルギー量の比から減衰率を算出してもよい。
厚さ判定部44は、スケールの空隙率に応じた反射エコーの減衰率とスケールの厚さとの関係に基づいて、減衰率算出部43で算出された反射エコーの減衰率からスケールの厚さを求める。スケールの空隙率に応じた反射エコーの減衰率とスケールの厚さとの関係は、第1実施形態とほぼ同様の構成を採用することができる。
次に、図18を参照して、本発明の第1実施形態に係るスケール厚さ測定方法の手順を説明する。
まず最初に、ステップS11の感度検出工程で、異なる複数の周波数を用いて管60の超音波検査を行い、管60の周波数感度を検出する。ここでは、複数の検査結果から最も感度の高い周波数を選択する。
そして、ステップS12の空隙率選択工程で、周波数−空隙率マップ51を用いて、最も感度の高い周波数に対応する空隙率を選択する。
一方、ステップS13の超音波検出工程で、管60の外周面に配置した超音波探触子2から管内面に向けて超音波を送信して、管内面からの反射エコーを受信する。ここでは、超音波探触子2によって管の外周面から径方向に超音波を送受信し、一回の送信に対して時系列的に受信される複数の反射エコーを検出する。なお、この超音波検出工程では、ステップS11の感度検出工程で取得された最も感度の高い周波数を用いて、反射エコーの検出を行うことが好ましい。
次いで、ステップS14の減衰率算出工程で、超音波検出工程で検出した複数の反射エコーの振幅の差から反射エコーの減衰率を算出する。
さらに、ステップS15の厚さ判定工程で、減衰率−厚さマップ52を用いて、減衰率算出工程で算出された反射エコーの減衰率からスケールの厚さを求める。減衰率−厚さマップ52には、複数の区分に対応して減衰率と厚さとの関係がそれぞれ設定されているため、この中から、ステップS12で選択された空隙率の区分に対応する減衰率と厚さとの関係を抽出し、この減衰率と厚さとの関係に基づいて厚さを求める。
なお、ステップS11の感度検出工程およびステップS12の空隙率選択工程を備えていない場合には、減衰率−厚さマップ52から減衰率と厚さとの関係を抽出する際に、予めスケール空隙率およびスケール成分を推定しておき、推定された区分に対応する減衰率と厚さとの関係を抽出するようにしてもよい。この推定方法は、管60の内部を流れる流体の温度、および、流体若しくは管の成分の少なくとも一方によって推定することができる。
ここで、図19に示すように、超音波検査においては、スケールが付着している管は、スケールが付着していない管に比べて、管内面からの反射エコーの減衰が大きくなる。なお、図19は厚さ測定試験の結果を示す図であり、(A)はスケールが付着していない管の反射エコーを示す図で、(B)はポーラススケールが付着した管の反射エコーを示す図である。上記した超音波検出工程で検出される波形は図13(B)のようになり、図13(A)に示すスケールが付着していない管の反射エコーに比べて、減衰率が大きくなる。例えば、6回目の反射エコーに着目すると、スケールが付着している場合の振幅の方が、スケールが付着していない場合の振幅よりΔVだけ小さくなる。このように、本実施形態では、スケールの有無によって反射エコーの減衰率が異なることを利用して厚さを測定する構成とすることで、管内面からの反射エコーのみでスケールの厚さを測定することが可能となる。
上記したように本実施形態によれば、反射エコーの減衰率とスケールの厚さとの関係に基づいて、反射エコーの減衰率からスケールの厚さを求めるようにしたので、管内面からの反射エコーのみでスケールの厚さを測定することが可能となる。これにより、例えば、ポーラス状のスケールや厚さが薄いスケールのように、スケール端部からの反射エコーが検出できない場合においても、スケールの厚さ測定が可能となる。
また、本実施形態では、スケールの空隙率に応じた減衰率と厚さとの関係を用いるようにしているため、スケール内部に存在する空隙の影響を考慮して、より一層精度の高い厚さの測定結果を得ることが可能となる。
以上、本実施形態の一例について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
例えば、上述の実施形態では、本発明をボイラの主蒸気管や過熱器管に適用した例について主に説明したが、本発明は他の装置、設備またはプラントに設けられる管に適用されてもよい。また、被検査体であるスケールとして、主にポーラススケールについて説明したが、緻密なスケールの厚さ測定にも適用可能である。
1 スケール厚さ測定装置
2 超音波探触子
2a 送信部
2b 受振部
3 発振器
4 解析手段
41 感度検出部
42 空隙率選択部
43 減衰率算出部
44 厚さ判定部
45 探触子超音波取得部
46 スケール側超音波抽出部
5 記憶手段
51 周波数−空隙率マップ
52 減衰率−厚さマップ
55 超音波記憶部
60 管
61 スケール
62 空隙
63 管内面
64 スケール端部

Claims (15)

  1. 対向する2つの面を有する被検査体の一方の面(A面と称する)に超音波探触子のうち送信探触子が配置され、前記A面における前記送信探触子とは異なる位置に前記超音波探触子のうち受信探触子が配置され、前記送信探触子から前記被検査体に入射させた超音波を前記受信探触子で受信して、前記被検査体の他方の面(B面と称する)に付着している付着物層の厚さを測定する超音波厚さ測定方法であって、
    前記送信探触子から前記被検査体に対して超音波を入射し、前記B面を伝播する付着物層側超音波を少なくとも含む超音波を前記受信探触子によって受信する超音波検出工程と、
    前記超音波検出工程で受信された前記超音波の減衰率を算出する減衰率算出工程と、
    前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、前記減衰率算出工程で算出された前記超音波の減衰率から前記付着物層の厚さを求める厚さ判定工程とを備えることを特徴とする超音波厚さ測定方法。
  2. 前記被検査体が管であり、
    前記超音波検出工程では、前記管の前記A面である外周面に配置された前記送信探触子から前記管の厚さ方向に対して前記超音波を入射して、前記管の長手方向に伝播した超音波を前記外周面に配置された前記受信探触子で受信し、
    前記厚さ判定工程にて、前記超音波の減衰率を用いて前記管の内面に付着したスケールの厚さを測定することを特徴とする請求項1に記載の超音波厚さ測定方法。
  3. 前記被検査体の前記A面を伝播する探触子側超音波の波形を取得する探触子側超音波取得工程と、
    前記超音波検出工程で受信された前記超音波から前記探触子側超音波の波形を除去することによって、前記被検査体の前記B面を伝播する付着物層側超音波の波形を抽出する付着物層側超音波抽出工程とをさらに備え、
    前記減衰率算出工程では、前記付着物層側超音波抽出工程で抽出された前記付着物層側超音波の前記減衰率を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波厚さ測定方法。
  4. 前記被検査体と前記超音波探触子との位置関係と同一の位置関係になるように、付着物が付着していない試験体上に一、又は複数の超音波探触子を配置し、前記一又は複数の超音波探触子から前記試験体に較正用超音波を送信して、前記較正用超音波のうち、少なくとも表面波を前記較正用超音波探触子で受信する較正用超音波検出工程をさらに備え、
    前記付着物層側超音波抽出工程では、前記較正用超音波検出工程で受信された表面波の波形を、前記探触子側超音波とみなして前記付着物層側超音波の波形を抽出することを特徴とする請求項3に記載の超音波厚さ測定方法。
  5. 前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係は、
    前記空隙率が複数段階に区分され、複数の空隙率の区分ごとに前記超音波の減衰率と前記付着物層の厚さとの関係がそれぞれ設定されており、
    前記減衰率算出工程では、対象となる被検査体に該当する前記空隙率の区分を選択し、該区分に対応した前記超音波の減衰率と前記付着物層の厚さとの関係を用いて、前記付着物層の厚さを求めるようにしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の超音波厚さ測定方法。
  6. 前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係は、前記空隙率の区分に加えて、付着物の成分ごとにさらに区分されており、
    前記減衰率算出工程では、対象となる被検査体の空隙率と、推定される付着物の成分とに応じて前記区分を選択するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の超音波厚さ測定方法。
  7. 前記超音波検出工程の前に、異なる複数の周波数を用いて超音波検査を行い、前記被検査体の周波数感度を検出する感度検出工程と、
    予め取得した周波数と空隙率との関係に基づいて、前記感度検出工程で得られる最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択する空隙率選択工程とをさらに備え、
    前記厚さ判定工程では、前記空隙率選択工程で選択される空隙率に対応した超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係を用いることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の超音波厚さ測定方法。
  8. 前記超音波検出工程では、前記超音波探触子によって前記被検査体の長手方向に沿って超音波を送受信し、
    前記減衰率算出工程にて、前記超音波探触子で検出した超音波の振幅と、付着物層が付着していない被検査体の超音波の振幅との比率、または、前記超音波探触子で検出した一定の伝播距離における超音波のエネルギー量と、付着物層が付着していない被検査体での一定の伝播距離における超音波のエネルギー量との比率に基づいて減衰率を算出するようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の超音波厚さ測定方法。
  9. 前記被検査体が管であり、前記超音波検出工程では、前記超音波探触子によって前記被検査体の外周面から径方向に超音波を送受信し、一回の送信に対して時系列的に受信される複数の反射エコーを検出し、
    前記減衰率算出工程にて、前記受信探触子で検出した前記複数の反射エコーの振幅の差から前記減衰率を算出するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の超音波厚さ測定方法。
  10. 対向する2つの面を有する被検査体の一方の面(A面と称する)から超音波を送受信し、他方の面(B面と称する)に付着している付着物層の厚さを測定する超音波厚さ測定装置であって、
    前記被検査体の前記A面に配置され、前記被検査体に超音波を発信して、前記B面を伝播する付着物層側超音波を少なくとも含む超音波を受信する超音波探触子と、
    前記超音波探触子で受信した前記超音波を解析して前記付着物層の厚さを求める解析手段と、
    前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係が蓄積される記憶手段とを備え、
    前記解析手段は、
    前記超音波の減衰率を算出する減衰率算出部と、
    前記記憶手段に蓄積される前記付着物層の空隙率に応じた超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係に基づいて、前記減衰率算出部で算出された前記超音波の減衰率から前記付着物層の厚さを求める厚さ判定部とを有することを特徴とする超音波厚さ測定装置。
  11. 前記被検査体が管であり、
    前記超音波探触子は、前記管の外周面に配置され、前記管の長手方向に向かって超音波を発信して、前記長手方向に伝播した超音波を受信し、
    前記解析手段は、前記超音波の減衰率を用いて前記管内面に付着したスケールの厚さを求めることを特徴とする請求項10に記載の超音波厚さ測定装置。
  12. 前記記憶手段には、前記超音波を送信した際に、前記付着層側からの反射超音波が発生しない厚さを有する試験体と、前記被検査体と前記超音波探触子との位置関係と同一の位置関係になるように前記試験体上に配置された一、又は複数の較正用超音波探触子とを利用して予め取得した較正用表面波の波形がさらに蓄積され、
    前記解析手段は、
    前記被検査体の前記A面を伝播する探触子側超音波の波形を取得する探触子側超音波取得部と、
    前記超音波探触子で受信した前記超音波から前記探触子側超音波の波形を除去することによって、前記被検査体の前記B面を伝播する付着物層側超音波の波形を抽出する付着物層側超音波抽出部とをさらに有し、
    前記減衰率算出部にて、前記付着物層側超音波抽出部で抽出された前記付着物層側超音波の前記減衰率を算出するようにしたことを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の超音波厚さ測定装置。
  13. 前記記憶手段には、超音波の周波数と付着物層の空隙率との関係がさらに蓄積されており、
    前記解析手段は、
    異なる複数の周波数を用いた超音波検査で得られる前記被検査体の周波数感度を検出する感度検出部と、
    前記記憶手段に蓄積される前記周波数と空隙率との関係に基づいて、前記感度検出部で得られる最も感度の高い周波数に対応した空隙率を選択する空隙率選択部とをさらに有し、
    前記厚さ判定部では、前記空隙率選択部で選択される空隙率に対応した超音波の減衰率と付着物層の厚さとの関係を用いるようにしたことを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の超音波厚さ測定装置。
  14. 前記超音波探触子は、前記被検査体の面内方向に沿って超音波を送受信し、
    前記解析手段の前記減衰率算出部は、前記超音波探触子で検出される超音波の振幅と、前記付着物層が付着していない被検査体の超音波の振幅との比率、または、前記超音波探触子で検出した一定の伝播距離における超音波のエネルギー量と、前記付着物層が付着していない被検査体での一定の伝播距離における超音波のエネルギー量との比率に基づいて減衰率を算出するようにしたことを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の超音波厚さ測定装置。
  15. 前記超音波探触子は、前記被検査体の前記A面から前記B面に向けて厚さ方向に超音波を送受信し、一回の送信に対して時系列的に受信される複数の反射エコーを検出し、
    前記解析手段の前記減衰率算部は、前記超音波探触子で検出した複数の反射エコーの振幅の差から前記減衰率を算出するようにしたことを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の超音波厚さ測定装置。
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