JP6692582B2 - レジンコンクリートの曲げ強度推定装置、レジンコンクリートの曲げ強度推定方法、及びレジンコンクリートの曲げ強度推定プログラム - Google Patents

レジンコンクリートの曲げ強度推定装置、レジンコンクリートの曲げ強度推定方法、及びレジンコンクリートの曲げ強度推定プログラム Download PDF

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この発明は、レジンコンクリートの曲げ強度推定装置、レジンコンクリートの曲げ強度推定方法、及びレジンコンクリートの曲げ強度推定プログラムに関する。
近年、鉄筋コンクリートに代わる建設材料として、レジンコンクリートが使用される機会が増えてきている。このレジンコンクリートは単体で非常に高い圧縮強度と比較的高い引張・曲げ強度を発揮することを特徴としており、強度設計に内部鉄筋を考慮していないため、レジンコンクリート自身の曲げ強度が安全性の最も重要な指標となる(非特許文献1参照)。
ところで、レジンコンクリートがマンホール等の地中構造物の建設材料に適用されてから数十年が経過しようとしており、強度の低下と劣化の顕在化が予測される。従って、レジンコンクリートが用いられている地中構造物について経年劣化を考慮して安全に維持管理することは社会的な課題であり、鉄筋コンクリートと同様に点検を実施し劣化の度合いを診断して安全性を評価することが重要となる。
国枝 稔 他、"レジンコンクリートの特性と構造設計指針(案)について"、コンクリート工学、Vol.45,No.11,p.7-12 (2007) 国枝 晃、"JIS A 1106 コンクリートの曲げ強度試験方法"、コンクリート・ジャーナル、Vol.3,No.6,p.39-40 (1965) 国枝 晃、"JIS A 1132 コンクリートの強度試験用供試体の作り方"、コンクリート・ジャーナル、 Vol.3,No.5,p.44-45 (1965) "Polymers in Concrete: proceedings of the first International Congress on Polymer Concretes"、Concrete Society 1st International Congress on Polymer Concretes, p.216-222 (1975)
現在、レジンコンクリート構造物が十分な曲げ強度を有していることを確認するために、目視による点検が実施されており、点検項目としてひび割れの有無の確認が行われている。しかし、鉄筋コンクリートがひび割れ及び露筋の過程を経てから、鉄筋腐食を伴って曲げ強度が低下するのに対し、レジンコンクリートでは曲げ強度が低下してからひび割れが発現する。このため、レジンコンクリートではひび割れの有無の確認のみでは曲げ強度低下の予兆を捉えにくいため、適切な維持管理が出来ないおそれがある。
劣化が発現する前に曲げ強度を測定する手法として、曲げ強度試験を行う手法が考えられる(非特許文献2参照)。この曲げ強度試験は、曲げ破壊時の強度を直接得るための破壊試験であり、地中構造物から切り出すコンクリート供試体(非特許文献3参照)に対して実施する試験である。従って、個別に劣化の様相が異なるレジンコンクリート構造物の耐力を評価するためには破壊試験を個別に実施する必要があり、各構造物の形状変化や躯体強度の低下を免れない。また、コンクリート供試体の切出しを伴う破壊検査では、現場作業に時間を要するほか、構造物の立地条件によっては切出しそのものを行えない場合があるなど、運用上の課題も抱えている。
上述の課題を解決するために有用なのが非破壊検査である。しかし、現在のところ、鉄筋コンクリートの圧縮・曲げ強度に関する非破壊検査手法は存在するものの、レジンコンクリートに関する有効な非破壊検査手法は存在しない。そのため、レジンコンクリート製構造物について効率的・効果的な点検診断を実施するためには、非破壊検査で得られる物理的特性値から曲げ強度を推定する手法を構築する必要がある。
従って、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、非破壊検査によってレジンコンクリートの曲げ強度を推定することが可能な、レジンコンクリートの曲げ強度推定装置、レジンコンクリートの曲げ強度推定方法、及びレジンコンクリートの曲げ強度推定プログラムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置は、
レジンコンクリートへの超音波入力に対する出力応答から、レジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性を取得する非破壊検査部と、
曲げ強度算出式を記憶する記憶部と、
該伝播速度及び該周波数応答特性と、前記曲げ強度算出式とから、レジンコンクリートの曲げ強度を推定する曲げ強度推定部と
を備え
前記非破壊検査部は、前記出力応答を高速フーリエ変換した信号を3以上の周波数領域に分割し、各周波数領域内の信号強度和を入力信号強度で規格化することによって前記周波数応答特性を取得することを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定方法は、
レジンコンクリートへの超音波入力に対する出力応答から、レジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性を取得する第1のステップと、
該伝播速度及び該周波数応答特性と、予め記憶部に記憶された曲げ強度算出式とから、レジンコンクリートの曲げ強度を推定する第2のステップと
を含み、
前記第1のステップでは、前記出力応答を高速フーリエ変換した信号を3以上の周波数領域に分割し、各周波数領域内の信号強度和を入力信号強度で規格化することによって前記周波数応答特性を取得することを特徴とする。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定プログラムは、コンピュータを上述のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置が備える各部として機能させるプログラムであることを特徴とする。
本発明によれば、非破壊検査によってレジンコンクリートの曲げ強度を推定することが可能な、レジンコンクリートの曲げ強度推定装置、レジンコンクリートの曲げ強度推定方法、及びレジンコンクリートの曲げ強度推定プログラムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置に接続して用いられる超音波計測装置の構成を示すブロック図である。 レジンコンクリート構造物の断面図である。 レジンコンクリートを伝播した超音波信号の時間軸波形である。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定方法の手順を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置における超音波計測部の動作を示すフローチャートである。 送信用探触子、及び受信用探触子の向きを変えてレジンコンクリート内に配置した例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置における音速取得部の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置における周波数応答特性取得部の動作を示すフローチャートである。 レジンコンクリートを伝播した超音波信号に対して高速フーリエ変換処理を行った信号を示す図である。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置における曲げ強度算出式生成部の動作を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置による曲げ強度推定値と、曲げ強度測定値との関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置における曲げ強度推定部の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定装置100は、試験体として抽出されたレジンコンクリート及び曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの非破壊検査を行う非破壊検査部11と、試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度試験による測定値を取得する破壊検査部21と、レジンコンクリートの曲げ強度算出式を生成する曲げ強度算出式生成部31と、レジンコンクリートの曲げ強度を推定する曲げ強度推定部51と、曲げ強度算出式を記憶する記憶部80と、これらの機能部を制御する制御部70とを備える。レジンコンクリートの曲げ強度推定装置100は、図1に示すように、曲げ強度の推定結果等を表示する表示部60と接続されていてもよいし、表示部60をレジンコンクリートの曲げ強度推定装置100の内部に備えていてもよい。
非破壊検査部11は、試験体として抽出された、例えばレジンコンクリート製マンホール等のレジンコンクリート構造物に対し、外部の超音波計測装置U1等(図2参照)を用いて超音波計測を行い計測データを取得する超音波計測部12と、超音波計測により取得したデータの処理を行いレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度を算出する音速取得部13と、超音波計測により取得したデータの処理を行いレジンコンクリートを伝播する超音波の周波数応答特性を取得する周波数応答特性取得部14とを備えている。
超音波計測部12によるレジンコンクリートを伝播する超音波の計測は、例えば、図1及び図2に示すような、レジンコンクリートの曲げ強度推定装置100に接続された超音波計測装置U1によって行うことができる。
図2は、超音波計測装置U1の構成を示すブロック図である。超音波計測装置U1は、図2に示すように、レジンコンクリートに対して超音波を入力する送信用探触子を備える送信部U2と、レジンコンクリート中を伝搬した超音波を受信する受信用探触子を備える受信部U3と、受信した超音波を電気信号に変換するための所定の演算を施す演算部U4と、受信した信号に対応する画像データの生成を行う画像処理部U5と、パーソナルコンピュータの各種インターフェースからの情報入力を受け付ける入力部U6と、画像処理部U5が生成した画像を含む各種情報を表示する表示部U7と、各種情報を記憶する記憶部U8と、超音波計測装置U1の動作制御を行う制御部U9とを備えている。なお、送信部U2の送信探触子および受信部U3の受信探触子は、その位置を自動調整するように構成されていてもよいし、手動で位置を調整してもよい。また、送信探触子および受信探触子は、所定の距離間隔で固定されていてもよい。超音波計測部12は、超音波計測装置U1が受信し、変換処理を行った超音波信号を取得する。
非破壊検査部11は、試験体として抽出されたレジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性の他に、後述するように、曲げ強度が未知であるレジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性を取得する。
音速取得部13は、超音波計測部12が取得した測定結果を受け取り、超音波の伝播速度を導出するためにデータ処理を実行する。音速取得部13は、レジンコンクリート中を伝搬する超音波の伝播速度を、表面を伝搬する縦弾性波の速度として検出を試みる。その理由を図3と図4を用いて説明する。図3はレジンコンクリート構造物の断面図であり、内空間側壁面に超音波計測装置U1の探触子を当てて超音波を伝搬させている様子を示している。超音波は固体を伝搬する際、縦波や横波など様々な伝搬モードをとる他、表面を伝わる波や底版で反射する波などが存在し、様々な伝播経路をとる。これらの波のうち、伝播速度が最も大きく最短経路で受信部U3に到達するのは表面を伝搬する縦弾性波である。図4に示すように、表面縦弾性波の他に1次反射波等、様々な伝搬モード・伝播経路の超音波が重なり合って受信されるが、受信部U3に最速で到達する表面縦弾性波は他の信号の影響を受けない。従って、表面縦弾性波は検出が容易であるため、表面縦弾性波を用いて伝播速度を導出することが最も有利である。なお、図4の例では、最初に検出された下向きピークを表面弾性波ピークの到達時間と判定している。
他方、仮に1次反射波を検出し超音波の伝播速度を導出しようとすると、受信信号中における反射波ピークが他の信号と混在し、反射波ピークを同定することが困難となる。また、反射波の経路長はコンクリートの厚みに依存するので、未知の厚み情報を求めるために、表面縦弾性波の伝播速度を導出する場合と比較してより多くの計測を要する。また、後述するように、曲げ強度に最も大きな影響を与えるのは内空間側の表面なので、内空間側の表面状態を大きく反映する表面縦弾性波の伝播速度を求めることが望ましい。
周波数応答特性取得部14は、超音波計測部12が取得した全データ、もしくは超音波計測部12が取得したデータのうち音速取得部13で超音波の伝播速度算出のために採用されたデータを用いて周波数応答解析を実行し特徴量を抽出する。
破壊検査部21は、試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度試験による測定値を取得する。破壊検査部21は、図1に示すように、曲げ強度試験結果入力部23を有する。
曲げ強度試験用のコンクリート供試体は、例えばJIS A 1132(非特許文献3)に規定されている切り出し寸法に則り、試験体の構造物から切り出す。コンクリート供試体を採取するに際しては、構造物の曲げモーメントが最も大きく作用する箇所を選択することが望ましい。そして、切り出されたコンクリート供試体に対して、例えばJIS A 1106(非特許文献2)に則った曲げ強度試験を行い、その測定結果は曲げ強度試験結果入力部23に入力される。
曲げ強度算出式生成部31は、非破壊検査部11によって取得した、試験体として抽出されたレジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度と、周波数応答特性とを取得する。また、曲げ強度算出式生成部31は、破壊検査部21内の曲げ強度試験結果入力部23に入力された、試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度の測定値を取得する。曲げ強度算出式生成部31は、伝播速度、周波数応答特性、及び曲げ強度の測定値から、曲げ強度算出式を生成する。生成された曲げ強度算出式は、記憶部80に記憶される。
本実施形態では、曲げ強度算出式生成部31は、回帰分析により、レジンコンクリートの曲げ強度を、レジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性から推定している。そのような構成を採用した理由を以下に説明する。
内空間を有するレジンコンクリート製構造物が内空間側の表面に最も大きな曲げモーメントを示すこと、および材料劣化が材料表面から進行することを考慮すると、レジンコンクリートの表面状態を反映した表面弾性波の伝播速度は曲げ強度と相関が大きいと考えられる。
また、レジンコンクリートの曲げ強度は近似的に音速の2乗と相関があると経験的に明らかとなっている。固体の表面を伝搬する縦弾性波の速度Vcは弾性係数Eと密度Wを用いて以下のように表すことができる。
Figure 0006692582
また、レジンコンクリートの弾性係数Eと圧縮強度f、および曲げ強度fと圧縮強度fは以下の関係にある(非特許文献4参照)。
Figure 0006692582
Figure 0006692582
従って、数式(1)乃至(3)より、以下の関係を導くことができる。
Figure 0006692582
ここで、a、a、及びaは所定の係数である。そして、密度Wの変化が十分に小さいと仮定すると、数式(4)より、レジンコンクリートの曲げ強度fは表面縦弾性波の速度Vcの2乗に比例することが分かる。
但し、レジンコンクリート内部の空隙や骨材剥離による曲げ強度への影響を無視することはできない。そこで、レジンコンクリート内部を通過する反射波を含めて周波数解析を行い、周波数応答特性値を取得し、伝播速度による曲げ強度推定の更なる精度向上を試みている。得られた伝播速度・周波数応答特性値を併せて独立変数とし、従属変数である曲げ強度を説明する回帰分析を行うことで、曲げ強度算出式を生成している。この機能により、超音波の伝播速度のみを独立変数とした場合より精度良く曲げ強度を推定することが可能となる。
曲げ強度推定部51は、非破壊検査部11により取得した、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性と、曲げ強度算出式生成部31により生成された曲げ強度算出式とに基づいて、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定する。
次に、本実施形態のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置100を用いた、曲げ強度推定方法について説明する。図5は、本実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定方法の手順を示すフローチャートである。
本実施形態に係るレジンコンクリートの曲げ強度推定方法は、曲げ強度算出式を生成する手順と、当該曲げ強度算出式、及び非破壊検査部11により取得したレジンコンクリート中を伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性から、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定する手順の2つに大きく分けられる。
まず、曲げ強度算出式を生成する手順について説明する。レジンコンクリートの曲げ強度推定装置100の制御部70は、非破壊検査部11の超音波計測部12により、試験体として抽出されたレジンコンクリートに超音波を入力し、コンクリート内を伝播した超音波を受信するように制御する(図5のステップS101)。この超音波計測は、超音波計測部12と接続された、図2に示す超音波計測装置U1を通じて実行される。
超音波計測部12の動作について図6を使って説明する。作業者は、超音波計測部12による計測に際して、予めコンクリート以外の異物を含まないよう計測範囲を定める。ここでいう異物とは例えば、強度設計には考慮されないが施工の都合上含まれている養生鉄筋等が該当する。超音波計測装置U1の送信部U2から受信部U3までの経路がレジンコンクリート内部の養生鉄筋と十分に近い場合、装置から送信された超音波パルスがレジンコンクリート中でなく養生鉄筋を介して伝搬する可能性がある。超音波が養生鉄筋を介して伝搬した場合、適切な計測結果が得られないため、測定範囲から養生鉄筋を避ける必要がある。なお、養生鉄筋の有無は、例えば鉄筋探査装置等を用いて確認を行うことができる。
ここで、超音波計測装置U1の送信用探触子と受信用探触子の距離を探触子間距離と定義する。超音波計測部12による計測は、探触子間距離をN通りに変化させ(ステップS1)、探触子間距離毎にステップS2からステップS4までの処理を繰り返し実行する。ここで、Nは2以上の値であることが望ましいが、送信用と受信用の探触子が固定されている場合などは、Nは1であっても良い。
超音波計測部12による計測は、ステップS2において、探触子向きをM通りに変化させながら、ステップS3の処理を繰り返し実行する。つまり図7に示すように、探触子間距離と探触子間中心位置を固定しながら、送信用探触子と受信用探触子を結ぶ線分がなす角度をM通りに変化させ(図7の例では3通り)、制御部70は、各角度毎にステップS3の処理を繰り返し実行する。なお、図7において、例えば「送信部1」と記載された位置は、送信用探触子が配置されるM通りの位置のうちの第1の位置を示している。同様に、「受信部2」と記載された位置は、受信用探触子が配置されるM通りの位置のうちの第2の位置を示している。
上述のように、制御部70は、N通りの探触子間距離、及びM通りの探触子間角度毎に超音波計測の結果を取得する(ステップS3)。このように、探触子の向きを変化させて複数の計測を実施した後、計測データを平均化することにより、養生鉄筋の影響やレジンコンクリート内部の組成むらの影響を緩和することが可能となる。
なお、探触子間距離をN通りに変化させ、且つ探触子間角度をM通りに変化させる工程は、作業者が手動で行ってもよいし、制御部70が自動で行うように構成してもよい。また、ここでは各測定における探触子間中心位置が揃うように計測する例について説明したが、この態様には限定されず、各測定において探触子間中心位置が必ずしも一致する必要はない。
ステップS3において、制御部70は、予め受信部U3で観測した超音波信号をモニターし、計測結果が適切な強度を示すように超音波計測装置U1の送信部U2内にある圧電素子に対する印加電圧、および受信部U3内にある受信波を増幅する増幅器のゲインを調整して計測を実施する。つまり、後処理である音速取得部13や周波数応答特性取得部14において受信信号の特徴量が抽出可能であるような十分な強度のピークが検出され、かつピーク値が飽和せずに計測可能範囲内に収まるように予め調整を行う。そして、計測結果が適切でなかった場合は、超音波計測装置U1の送信部U2内における上述の印加電圧、および受信部U3内における上述のゲインを調整し、改めてステップS3を実施する。
超音波計測部12は、N通りの探触子間距離、及びM通りの探触子間角度について繰り返し処理を終了し(ステップS4およびステップS5)、計測結果を音速取得部13に送信する。
レジンコンクリートの曲げ強度推定装置100の制御部70は、超音波計測部12からの計測結果を元に、試験体として抽出されたレジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度を取得する(図5のステップS102)。
音速取得部13の動作について図8を使って説明する。音速取得部13はステップS10によって、ステップS11からステップS19までの処理をM通りの各探触子向きについて繰り返し実行する。またステップS11によって、ステップS12からステップS16までの処理をN通りの探触子間距離について繰り返し実行する。
ステップS12では、ある所定の探触子向き、及び探触子間距離における受信信号に対してピーク検出を行う。この際、表面縦弾性波の波形が上に凸であれば上に凸のピーク検出を行い、下に凸であれば下に凸のピーク検出を行う。ピーク検出の際の閾値は任意の値を選択することができる。
ステップS13では、ステップS12で検出したピークの中に目的である表面縦弾性波のピークが存在するか否かの判定を行う。より具体的には、ステップS12で検出したピークのうち、最短時間で到達したピークの到達時間が所定の到達時間の範囲内にあるか否かを確認する。レジンコンクリート中を伝搬する縦弾性波の速度は、通常、約3500〜4500[m/s]の範囲内の値を示す。本実施形態では、探触子間距離Lnが既知であるため、探触子間距離Lnと縦弾性波速度Va(仮に、4000[m/s]とする)から、表面縦弾性波の予想伝搬時間Tを以下のように予測することが可能である。
Figure 0006692582
また、表面縦弾性波の予想伝搬時間Tは、縦弾性波速度の予測誤差をαとしたとき、以下の範囲内に収まるはずである。
Figure 0006692582
ここで、V1=4000[m/s]+α、V2=4000[m/s]−αとする。
ステップS13において、最短到達ピークの到達時間が表面弾性波の数式(6)に示す予想伝搬時間Tの範囲内に収まれば、最短到達ピークは表面弾性波ピークであると判定され、ステップS17へ移行し、N通りの各探触子間距離についての繰り返し処理を行う。範囲外であればステップS14へと移行し、最短到達ピークの到達時間が数式(6)の予想伝搬時間Tの範囲より短ければ、最短到達ピークをノイズと判定し、最短到達ピークより後に検出されるピークのうち予想伝搬時間Tの範囲内に収まるものを表面弾性波ピークとして同定するべくステップS16へと移行する。
最短到達ピークの到達時間が予想伝搬時間Tの範囲より遅ければ、範囲内でピークを検出するためにピーク検出閾値を小さくする必要がある。制御部70は、ステップS15に移行し、ピーク検出閾値調整を実行する。
ステップS18では、各探触子間距離Lnを縦軸に、それぞれの表面縦弾性波ピークの到達時間を横軸にプロットする。ステップS19ではプロットを最小二乗法で直線近似し、決定係数Rを算出する。この時、プロットに近似する直線の傾きが表面縦弾性波の伝播速度に相当する。
ステップS20でM通りの探触子向きについての繰り返し処理を終了すると、音速取得部13は探触子間距離−表面弾性波ピーク伝搬時間のプロットをM個得る。このうち、プロットの精度が良いものを伝播速度として取得するために、ステップS21において決定係数がある値d以上となるプロットがある一定数Pより多いかどうかを判定する。ここで、Pはプロットの個数Mよりも小さい整数を設定する。ステップS21の判定がNoとなり、精度の良いプロットが十分な数だけ得られなかった場合はステップS22へ移行し、ピーク検出閾値を再度調整した後、ステップS10の処理へと戻る。ステップS21の判定がYesであった場合は、ステップS23で決定係数がd未満であったプロットを除外し、ステップS24で各プロットの傾きから表面縦弾性波の伝播速度を取得する。
ステップS25で、伝播速度を取得したプロットの数が2より大きいと判定されればステップS26へ移行し、傾きの著しく異なるプロットを除外し、ステップS27へと移行する。但し、伝播速度を取得したプロットの数が1つであれば、除外処理を行わない。ステップS27では、残された各プロットの伝播速度を平均化し、伝播速度Vを算出する。
次に、レジンコンクリートの曲げ強度推定装置100の制御部70は、超音波計測部12からの計測結果を元に、試験体として抽出されたレジンコンクリート内を伝播する超音波の周波数応答特性を取得する(図5のステップS103)。
周波数応答特性取得部14は、超音波計測部12が取得した受信信号、もしくは超音波計測部12が取得した受信信号のうち音速取得部13で伝播速度算出のために用いられたプロットに対応する受信信号を用いて、周波数応答解析を実行し特徴量を抽出する。
周波数応答特性取得部14の動作を図9に示す。周波数応答特性取得部14は、ステップS28によってステップS29からステップS37までの処理をN通りの探触子間距離について繰り返し実行する。また、ステップS29によって、ステップS30の処理をM’通りの各探触子向きについて繰り返し実行する。ここで、M’は、Mもしくは音速取得部13において除外されたプロットの数をMから差し引いた数である。
ステップS30では、各探触子間距離、各探触子向きの受信信号データについて高速フーリエ変換を実行する。この際、窓関数には、矩形窓、ガウス窓等の任意の窓関数を用いることができる。
ステップS31でM’通りの探触子向きについての繰り返し処理を終了すると、ステップS32で各探触子間距離についてのM’個のデータを平均化する。ステップS33で片側振幅スペクトルをプロットし、周波数応答のプロットを得る。
ステップS34で、所定の周波数領域をJ分割し、J個の各分割領域についてステップS35とステップS36の処理を繰り返し実行する。ここで所定の周波数領域とは、例えば、0Hzを始点としピーク強度の約1%程度まで強度が減衰する周波数を終点とする周波数領域とすることができる。なお、各探触子間距離についてこの処理を繰り返し実行する場合は、周波数領域および分割数Jは同一とする必要がある。
ステップS35では、J分割した各周波数領域内で強度の和を算出する。これはJ分割した各周波数領域の範囲で強度を積分することに相当する。ステップS36では、ステップS35で得られた各分割領域の強度和を各探触子間距離における測定時の入力信号強度で除すことで強度比を得る。図10を用いて、ある探触子間距離Lnのデータについて0〜200kHzの範囲を2分割する場合(すなわち、J=2とした場合)を例として説明する。図10は、ある探触子間距離、及び探触子向きの計測結果に対して高速フーリエ変換を実行して得られたデータをプロットしたものである。このうち、0〜F[kHz]の範囲にあるプロットの強度和をxLn,1とし、F〜200[kHz]の範囲にあるプロットの強度和をxLn,2とする。xLn,1,xLn,2をそれぞれ測定時の入力信号強度VLnで除し、以下の数式(7)、(8)で表される強度比を得ることができる。なお、図10の例では、0Hzを始点としピーク強度(約20[kHz]において強度約430)の1%以下まで強度が減衰する周波数である200[kHz]を終点とする周波数領域のデータを扱っている。
Figure 0006692582
Figure 0006692582
ステップS37でJ分割した各周波数領域について繰り返し処理を終了し、ステップS38で各探触子間距離毎のN個のデータについて繰り返し処理を終了すると、J×N個の強度比を特徴量として得ることができる。ステップS39では、ステップS40の処理をJ分割された各周波数領域について繰り返し実行する。そして、ステップS40では、数式(9)により探触子間距離が異なるN個の強度比データの平均化を行い、強度比平均Xを得る(ステップS40)。
Figure 0006692582
ステップS41で、ステップS39の繰り返し動作を終了する。
以上のステップにより、非破壊検査部11は動作を終了し、曲げ強度推定装置100は、試験体として抽出されたレジンコンクリート中を伝播する超音波の伝播速度Vおよび周波数応答特性X・・・Xを取得する。
次に、作業者は、試験体として抽出されたレジンコンクリートに対して、例えばJIS A 1106(非特許文献2)に則った曲げ強度試験を行う。レジンコンクリートの曲げ強度推定装置100の制御部70は、当該曲げ強度試験の結果を破壊検査部21の曲げ強度試験結果入力部23を通じて取得する(図5のステップ104)。これによって、破壊検査部21は動作を終了する。
制御部70は、試験体として抽出されたレジンコンクリートに対し非破壊検査部11で取得した伝播速度Vと、周波数応答特性X・・・Xと、測定された曲げ強度Ymeasuredとから、曲げ強度算出式生成部31において曲げ強度算出式を生成する(図5のステップ105)。
曲げ強度算出式生成部31の動作を図11に示す。曲げ強度算出式生成部31は、K個の試験体として抽出されたレジンコンクリートから取得したデータをK1個の推定式生成用データとK2個のテスト用データとに分類する(ステップS42)。
ステップS43では回帰モデルを作成する。回帰モデルは伝播速度Vおよび周波数応答特性X・・・Xを用いて曲げ強度Yを説明するモデルである。前述の通り、レジンコンクリートの曲げ強度は伝播速度の2乗と相関があるが、本回帰モデルでは、伝播速度の2乗項の他に伝播速度の1乗項と定数項も許容することとする。また、周波数応答特性値は1乗項からn乗項までを許容することとするが、ここではn=1の場合を例に説明する。J=2とした場合、回帰モデルは下記の数式(10)のように表現することができる。
Figure 0006692582
なお、n=2の場合、数式(10)の右辺に更にX 、及びX の項を加えればよい。
ステップS44で、K1個の推定式生成用データに対して回帰分析を実施し、得られた回帰モデルをステップS45においてK2個のテストデータに対して適用する。なお、ここでいう回帰分析は、K1個の推定式生成用データについて、曲げ強度試験の測定値と、数式(10)の右辺に伝播速度Vおよび周波数応答特性X・・・Xを適用した時の曲げ強度推定値Yとの相関がなるべく良くなるように係数b0,b1,b2,b3,b4・・・を定めることである。ステップS45により、K2個のテストデータに対して回帰モデルによる曲げ強度推定値Yが得られるので、ステップS46において曲げ強度推定値Yと破壊検査部21で取得した曲げ強度測定値Ymeasuredをプロットする。図12にプロットの一例を示す。黒色のプロット及び破線は伝播速度Vのみを用い、周波数応答特性X・・・Xを用いない回帰モデル(すなわち、数式(10)においてb3,b4・・・を0とした回帰モデル)による曲げ強度推定値Y1とYmeasuredの関係を表しており、白色のプロット及び実線は伝播速度Vと周波数応答特性X・・・Xを用いた本実施形態の回帰モデルによる曲げ強度推定値Y2とYmeasuredの関係を表したものである。伝播速度Vと周波数応答特性X・・・Xの双方を用いた回帰モデルによる推定の方が、曲げ強度の測定値との相関が高いことが分かる。このように、回帰分析によって得た数式(10)で表される回帰モデルは、超音波の伝播速度及び周波数応答特性とレジンコンクリートの曲げ強度との相関を表す曲げ強度算出式となる。ステップS47において各プロットの自由度調整済み決定係数Rを算出し、ステップS48において抽出した特徴量および回帰モデルの評価を行う。自由度調整済み決定係数Rとは、独立変数を増やすことにより、決定係数が相関の度合と比べて過度に良くならないように補正した決定係数である。なお、抽出した特徴量および回帰モデルの評価が不要な場合には、K1=Kとし、ステップS42、S45〜S48を省略しても構わない。
以上の手順によって、曲げ強度算出式生成部31は動作を終了し、曲げ強度算出式が生成される。生成された曲げ強度算出式は、記憶部80に記憶される。
次に、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定する手順について説明する。
制御部70は、まず、非破壊検査部11の超音波計測部12により、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートに超音波を入力し、コンクリート内を伝播した超音波を受信するように制御する(図5のステップS106)。なお、この超音波計測は、ステップS101において、試験体として抽出されたレジンコンクリートに対して行った超音波計測と同様の手順で行うことができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、制御部70は、超音波計測部12からの計測結果を元に、曲げ強度が未知であるレジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度、及び周波数応答特性を取得する(図5のステップS107及びステップS108)。なお、この超音波の伝播速度、及び周波数応答特性の取得についても、図5のステップS102及びステップS103において、試験体として抽出されたレジンコンクリートに対して行った超音波の伝播速度、及び周波数応答特性の取得と同様の手順で行うことができるため、ここでの詳細な説明は省略する。
次に、制御部70は、図5のステップS107及びステップS108により取得した、曲げ強度が未知であるレジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性、並びにステップS105により生成し記憶部80に記憶された曲げ強度算出式を用いて、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定する(図5のステップS109)。より具体的には、曲げ強度推定部51の動作を示す図13に示すように、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの特徴量である、レジンコンクリート内を伝播する超音波の伝播速度V及び周波数応答特性X・・・Xを、数式(10)(各係数b0,b1,b2,b3,b4・・・が回帰分析によって決定済みのもの)に代入することで曲げ強度推定値Yを得ることができる(ステップS49)。
なお、本実施形態のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置100は、コンピュータとプログラムによっても実現することができる。そして、当該プログラムは、記録媒体に記録して提供することができるほか、ネットワークを通して提供することもできる。
また、本実施形態では、曲げ強度推定装置100内で、曲げ強度算出式の生成、及び曲げ強度推定の双方を行うように構成しているが、この態様には限定されない。例えば、他の装置で生成した曲げ強度算出式を曲げ強度推定装置100内の記憶部80に記憶し、その曲げ強度算出式を読み出して、非破壊検査部11により計測された超音波の伝播速度及び周波数応答特性からレジンコンクリートの曲げ強度を推定するように構成してもよい。
また、本実施形態では、曲げ強度推定装置100と接続された外部の超音波計測装置U1が超音波をレジンコンクリートに入力し、当該レジンコンクリート中を伝播した超音波を受信し変換処理を行うように構成したが、この態様には限定されない。曲げ強度推定装置100が超音波計測装置U1の機能を内部に有していてもよい。
また、本実施形態では、制御部70が曲げ強度推定装置100内の各機能部である、非破壊検査部11、破壊検査部21、曲げ強度算出式生成部31、曲げ強度推定部51、記憶部80等の制御を行うように構成したが、この態様には限定されない。各機能部が個別の制御部によって独立に制御される構成であってもよい。
また、本実施形態では、試験体として抽出されたレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性と、レジンコンクリートの曲げ強度の測定値とから、数式(10)で示されるような曲げ強度算出式のみを生成するように構成したが、この態様には限定されない。制御部70は、曲げ強度算出式生成部31に図11と同様の動作をさせることにより、試験体として抽出されたレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度と、レジンコンクリートの曲げ強度の測定値とから、数式(10)においてb3,b4・・・を0とした第2の曲げ強度算出式を更に生成するように構成してもよい。この場合、例えば、図11のステップS48で実行される抽出した特徴量および回帰モデルの評価の結果に基づいて、いずれの算出式を使用するかを選択するように構成してもよい。
以上述べたように、本実施形態のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置100では、レジンコンクリートへの超音波入力に対する出力応答から、レジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性を取得する非破壊検査部11と、超音波の伝播速度及び周波数応答特性と曲げ強度との相関を表す曲げ強度算出式を記憶する記憶部80と、伝播速度及び周波数応答特性と、前記曲げ強度算出式とから、レジンコンクリートの曲げ強度を推定する曲げ強度推定部51とを備えるように構成した。これによって、レジンコンクリートの曲げ強度を非破壊で推定することができるので、曲げ強度を調査したいレジンコンクリート製構造物の外観と機能を損なうことなく安全性の評価を行うことが可能となる。例えば、レジンコンクリート製マンホールの曲げ強度を推定し、維持管理の指標とすることができる。また、曲げ強度を算出するにあたり破壊試験用のコンクリート供試体を構造物から切り出す必要性が無くなるので、現場作業の時間を短縮することができる。更に、立地条件などからコンクリート供試体の切出しができず曲げ強度の評価が不可能であったレジンコンクリート製構造物についても曲げ強度を推定することが可能となる。
また、本実施形態では、超音波の伝播速度の他に周波数応答特性値を取得することによって、曲げ強度の推定精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度を測定する破壊検査部21と、非破壊検査部11により取得した、試験体として抽出されたレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性と、試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度の測定値とから、曲げ強度算出式を生成する曲げ強度算出式生成部31とを更に備え、曲げ強度推定部51は、非破壊検査部11により取得した、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性と、曲げ強度算出式とに基づいて、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定するように構成した。これによって、試験体として抽出されたレジンコンクリートによる曲げ強度算出式の生成と、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度推定とを、1つの装置により効率的に実施することが可能となる。
また、本実施形態では、非破壊検査部11が、出力応答を高速フーリエ変換した信号を複数の周波数領域に分割し、各周波数領域内の信号強度和を入力信号強度で規格化することによって周波数応答特性を取得するように構成した。これによって、各測定毎の超音波信号入力のばらつきの影響を低減して曲げ強度算出式の生成、及び曲げ強度推定を行うことができる。
なお、周波数応答特性の取得は、上述の構成に限定されるものではなく、非破壊検査部11が、出力応答を高速フーリエ変換した信号における0Hzから所定周波数までの信号強度和が全信号強度和の一定割合を占める所定周波数を、周波数応答特性として取得するように構成してもよい。
また、曲げ強度算出式生成部31が、非破壊検査部11により取得した、試験体として抽出されたレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度と、試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度の測定値とから、第2の曲げ強度算出式を更に生成し、曲げ強度推定部51が、曲げ強度算出式及び第2の曲げ強度算出式の少なくともいずれか一方を使用して、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定するように構成してもよい。これにより例えば、レジンコンクリートの表面の劣化状態や、決定係数の評価結果等に基づいて、適宜最適な曲げ強度算出式を選択して、曲げ強度推定を柔軟に行うことが可能となる。
また、本実施形態では、曲げ強度を従属変数、超音波の伝播速度及び周波数応答特性を独立変数とする回帰分析を行うことによって、曲げ強度算出式を生成するように構成した。これによって、破壊検査による曲げ強度の測定と、非破壊検査により得られた特徴量とを最大限に活かして、精度良く曲げ強度推定を行うことが可能となる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
11 非破壊検査部
12 超音波計測部
13 音速取得部
14 周波数応答特性取得部
21 破壊検査部
23 曲げ強度試験結果入力部
31 曲げ強度算出式生成部
51 曲げ強度推定部
60 表示部
70 制御部
80 記憶部
100 レジンコンクリートの曲げ強度推定装置
U1 超音波計測装置
U2 送信部
U3 受信部
U4 演算部
U5 画像処理部
U6 入力部
U7 表示部
U8 記憶部
U9 制御部

Claims (6)

  1. レジンコンクリートへの超音波入力に対する出力応答から、レジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性を取得する非破壊検査部と、
    曲げ強度算出式を記憶する記憶部と、
    該伝播速度及び該周波数応答特性と、前記曲げ強度算出式とから、レジンコンクリートの曲げ強度を推定する曲げ強度推定部と
    を備え
    前記非破壊検査部は、前記出力応答を高速フーリエ変換した信号を3以上の周波数領域に分割し、各周波数領域内の信号強度和を入力信号強度で規格化することによって前記周波数応答特性を取得することを特徴とするレジンコンクリートの曲げ強度推定装置。
  2. 試験体として抽出されたレジンコンクリートの曲げ強度の測定値を取得する破壊検査部と、
    前記非破壊検査部により取得した、試験体として抽出されたレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性と、試験体として抽出されたレジンコンクリートの前記曲げ強度の測定値とから、前記曲げ強度算出式を生成する曲げ強度算出式生成部と
    を更に備える、請求項1に記載のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置。
  3. 前記曲げ強度算出式生成部は、前記非破壊検査部により取得した、試験体として抽出されたレジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度と、試験体として抽出されたレジンコンクリートの前記曲げ強度の測定値とから、第2の曲げ強度算出式を更に生成し、
    前記曲げ強度推定部は、前記曲げ強度算出式及び該第2の曲げ強度算出式の少なくともいずれか一方を使用して、曲げ強度が未知であるレジンコンクリートの曲げ強度を推定する、請求項2に記載のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置。
  4. 前記曲げ強度算出式の生成は、曲げ強度を従属変数、超音波の伝播速度及び周波数応答特性を独立変数とする回帰分析を行うことによって生成する、請求項2に記載のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置。
  5. レジンコンクリートへの超音波入力に対する出力応答から、レジンコンクリートを伝播する超音波の伝播速度及び周波数応答特性を取得する第1のステップと、
    該伝播速度及び該周波数応答特性と、予め記憶部に記憶された曲げ強度算出式とから、レジンコンクリートの曲げ強度を推定する第2のステップと
    を含み、
    前記第1のステップでは、前記出力応答を高速フーリエ変換した信号を3以上の周波数領域に分割し、各周波数領域内の信号強度和を入力信号強度で規格化することによって前記周波数応答特性を取得することを特徴とするレジンコンクリートの曲げ強度推定方法。
  6. コンピュータを請求項1〜のいずれか1項に記載のレジンコンクリートの曲げ強度推定装置が備える各部として機能させる、レジンコンクリートの曲げ強度推定プログラム。
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