JP6751957B1 - 鉄筋腐食度評価装置、鉄筋腐食度評価方法、及びコンピュータプログラム - Google Patents

鉄筋腐食度評価装置、鉄筋腐食度評価方法、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】鉄筋コンクリート(RC)床版橋における鉄筋の腐食度合いを効率的に、且つ定量的に評価できる鉄筋腐食度評価装置を提供する。【解決手段】鉄筋腐食度評価装置10は、床版の表面から床版の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得部と、取得部により取得された反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、床版のアスファルトコンクリート層で電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去部と、除去部により表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、床版における鉄筋の腐食度合いを評価する評価部と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄筋腐食度評価装置、鉄筋腐食度評価方法、及びコンピュータプログラムに関する。
RC(Reinforced Concrete)構造物は、主にコンクリートと鉄筋とで構成される。コンクリートは、引張力に対して脆弱であるため、この引張力は鉄筋が負担し、コンクリートは圧縮力を負担する。したがって、経時変化に伴ってコンクリートが圧縮力を負担できなくなるか、又は、鉄筋が引張力を負担できなくなると、そのRC構造物は耐荷性能及び耐久性能を失うこととなる。必要とされる耐荷性能及び耐久性能を失うと、構造物としての目的を果たさないため、通常は、耐荷性能及び耐久性能が失われる前に補修又は補強といった対策工事が施される。
例えば、鉄筋コンクリート床版(RC床版)を用いたRC床版橋は、経時変化等により、RC床版の内部の鉄筋に腐食が生じる。鉄筋に腐食が生じると、床版の耐荷性能及び耐久性能を損なわせるため、鉄筋の腐食の状態を正確に評価することが求められる。しかし、RC床版橋の耐荷性能及び耐久性能を正しく評価することは容易ではなく、供用中のRC床版橋の評価は非破壊を条件とされることが多いことも、評価をより困難なものとしている。そこで、種々の情報から、RC床版橋の鉄筋の腐食の状態を推定する技術が提案されている。
例えば特許文献1には、鉄筋コンクリートの表面に舗装されたアスファルト混合物の表面が、予め定められた所定時間、電磁誘導加熱によって加熱される加熱ステップと、アスファルト混合物の表面の温度が計測され、時間と共に変化する前記アスファルトの表面の温度情報が取得される温度計測ステップと、鉄筋が腐食していない状態におけるアスファルト混合物の表面温度と、鉄筋の腐食性状を評価すべきアスファルト混合物の表面温度の違いから、コンクリート内の鉄筋の腐食率を算定する腐食率算定ステップと、からなる鉄筋コンクリート床版の鉄筋の腐食性状評価方法が記載されている。
特開2016−191697号公報
しかしながら、特許文献1で開示された発明においては、アスファルト混合物の表面を所定時間加熱する必要があり、内部の鉄筋の腐食度合いを効率的に、且つ定量的に評価することができない。RC床版の内部の鉄筋の腐食度合いを非破壊で、効率的に、且つ定量的に評価できることが望ましい。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを非破壊で、効率的に、且つ定量的に評価できる鉄筋腐食度評価装置、鉄筋腐食度評価方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
第1態様に係る鉄筋腐食度評価装置は、鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する鉄筋腐食度評価装置であって、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面から前記鉄筋コンクリート床版橋の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得部と、前記取得部により取得された前記反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去部と、前記除去部により前記表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、前記第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する評価部と、を備える。
第2態様に係る鉄筋腐食度評価装置において、前記除去部は、前記表面周波数成分を除去した反射応答の周波数分布から、さらに前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた周波数成分を除去する。
第3態様に係る鉄筋腐食度評価装置において、前記評価部は、前記第1測定ピーク値及び前記第2測定ピーク値を比較し、前記第1測定ピーク値と前記第2測定ピーク値との大小関係に基づいて前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する。
第4態様に係る鉄筋腐食度評価装置において、前記評価部は、前記第1測定ピーク値より前記第2測定ピーク値の方が大きい場合に、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食が進行していると腐食度合いを評価する。
第5態様に係る鉄筋腐食度評価装置において、前記評価部は、劣化していない鉄筋コンクリート床版橋に電磁波を照射して得た反射応答から、前記周波数成分を除去して得た反射応答の周波数分布である基準周波数分布における、前記第1周波数帯のレベルのピーク値を基準値として、当該基準値と前記第1測定ピーク値とを比較することにより前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する。
第6態様に係る鉄筋腐食度評価装置において、前記評価部は、前記基準値に対する所定の割合を閾値とし、前記第1測定ピーク値が前記閾値よりも小さい場合に、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食が進行していると腐食度合いを評価する。
第7態様に係る鉄筋腐食度評価装置において、前記評価部は、鉄筋コンクリート床版橋の表面の複数の位置について、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する。
第8態様に係る鉄筋腐食度評価方法は、鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する鉄筋腐食度評価方法であって、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面から前記鉄筋コンクリート床版橋の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去ステップと、前記除去ステップにより前記表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、前記第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する評価ステップと、を含む。
第9態様に係る鉄筋腐食度評価方法は、鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価するコンピュータプログラムであって、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面から前記鉄筋コンクリート床版橋の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得ステップと、前記取得ステップにより取得された前記反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去ステップと、前記除去ステップにより前記表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、前記第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する評価ステップと、をコンピュータに実行させる。
本発明によれば、鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを非破壊で、効率的に、且つ定量的に評価できる鉄筋腐食度評価装置、鉄筋腐食度評価方法、及びコンピュータプログラムを提供することができる。
鉄筋腐食度評価システムの概略構成図である。 反射応答波形の検出を説明するための図である。 1グリッドにつき検出される反射応答波形の一例を示す図である。 RC床版橋の概略断面を示す断面図である。 評価装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 評価装置の機能構成の例を示すブロック図である。 腐食グレードと鉄筋の状況との関係を示す図である。 時間−周波数の関係を示す図である。 反射応答データの表面付近の周波数成分を抽出した図である。 周波数成分を逆FFTによりタイムドメインの波形に変換した図である。 図8に示す反射応答から図10に示した波形を減算した図である。 図11に示す波形をSトランスフォームによって表した時間−周波数の関係を示す時間−周波数分布図である。 図12の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 評価装置による鉄筋腐食度評価処理の流れを示すフローチャートである。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図15の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図17の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図19の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図21の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図23の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図25の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。 RC床版の内部周波数成分の時間−周波数分布図の例である。 図27の時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明の実施形態では、道路橋等の路面構造体であるRC床版橋の鉄筋の腐食度合いを評価する。
図1は、鉄筋腐食度評価システムの概略構成図である。図2は、反射応答波形の検出を説明するための図である。図3は、1グリッドにつき検出される反射応答波形の一例を示す図である。図4は、RC床版橋の概略断面を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る鉄筋腐食度評価システム1は、車両90に搭載されている。
鉄筋腐食度評価システム1は、鉄筋腐食度評価装置10と、電磁波装置20とを含んで構成される。鉄筋腐食度評価装置10は、アスファルトの下にRC床版が埋設されたRC床版橋の鉄筋、特に上部鉄筋の腐食度合いを評価するための装置である。鉄筋腐食度評価装置10について、詳細は後述する。以下では、鉄筋腐食度評価システム1を、単に、評価システム1と呼び、鉄筋腐食度評価装置10を、単に、評価装置10と呼ぶ。図面についても同様である。
電磁波装置20は、ライン上に複数設けられた電磁波照射部及び受信部を備える。電磁波装置20は、車両90の進行方向が橋軸方向、電磁波装置20のライン方向が橋軸直角方向となるように、例えば車両90の後方下部等に設けられる。電磁波照射部は、マイクロ波等の電磁波をRC床版橋に向かって照射する。受信部は、RC床版橋の各部において反射された反射波を受信する。
電磁波照射部としては、公知の電磁波レーダーシステムを特に限定無く用いることができるが、送受信センサを多数並設したレーダーシステムを用いることが、作業効率と精度の点で好ましい。また送受信センサは、アレイ状のアンテナであるアレイアンテナを用いることが、作業効率の点で好ましい。
レーダーシステムで用いられるセンサとしては、インパルス発信を用いたものであって、RC床版橋の鉄筋の腐食度合いを評価する場合においては、周波数が0.5〜3GHzの中心帯域を持つものが好適である。特に中心周波数を1GHz以上として、探査を行うと波長が短くなることから、分解能は向上する。
図2に示すように、電磁波装置20は、RC床版橋表面の評価対象範囲95を車両進行方向に走査しながら、表面からRC床版橋の内部(深さ)方向へ電磁波を照射し、その反射波を受信する。これにより、評価対象範囲95の各グリッドについて、深度に応じた反射波強度を検出する。深度に応じた反射波強度は、1グリッドにつき、図3に示すような反射応答波形の形で検出される。1グリッドは、例えば、1cm×1cmであり、1ライン幅は2.0mとすることができる。この場合、1ラインにつき200グリッド分の反射応答波形が検出される。
深度は、電磁波装置20からの電磁波の照射から、電磁波装置20での反射波の受信までの時間に対応する。図3に示すような反射応答波形から、所望の各深度に対応した反射波強度を抽出することにより、RC床版橋の深さ毎の反射波強度が得られる。
電磁波装置20は、取得した各グリッドについての反射応答波形(深度に応じた反射波強度)の情報を、評価装置10へ出力する。なお、電磁波装置20は、車両90に取り付けられている形態に限定されず、作業員に保持される形態、手押し車の形態など、他の形態でもよい。
図4に示すように、RC床版橋は、アスファルトコンクリート層96と、RC床版98とが、積層されて形成されている。RC床版98は、コンクリート内に複数の鉄筋99が埋設されて構成された床版である。電磁波装置20から照射される電磁波は、アスファルトコンクリート層96及びRC床版98において、それぞれ時間差を持って反射する。このように、RC床版橋からの反射応答は、アスファルトコンクリート層96で反射された表面反射応答、及びRC床版98の内部の鉄筋99で反射されたRC床版反射応答を含む。これらの反射応答が、図3に示す反射応答波形に表れる。なお、RC床版橋は、必ずしも橋である必要はなく、上記のような構造を有する路面構造体であれば、いかなる構造体であっても良い。
図5は、評価装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5に示すように、評価装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16、光ディスク駆動部17、通信インタフェース(通信I/F)18の各構成を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、RC床版橋の鉄筋の腐食度合いを評価するための評価プログラム(鉄筋腐食度評価プログラム)が格納されている。
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
光ディスク駆動部17は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)又はブルーレイディスクなどの各種の記録媒体に記憶されたデータの読み込み、及び記録媒体に対するデータの書き込み等を行う。
通信インタフェース18は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi−Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
次に、評価装置10の機能構成について説明する。
図6は、評価装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図6に示すように、評価装置10は、機能構成として、取得部100、除去部101及び評価部102を有する。各機能構成は、CPU11がROM12又はストレージ14に記憶された鉄筋腐食度評価プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより実現される。
取得部100は、RC床版橋の表面からRC床版橋の深さ方向へ照射された電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する。取得部100は、電磁波装置20から、反射応答データを取得する。
除去部101は、取得部100により取得された反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、RC床版橋の表面で電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する。表面周波数成分は、図4に示す表面反射応答を表し、RC床版舗装の表面付近(アスファルトコンクリート層96、及び、アスファルトコンクリート層96とRC床版98との境界を含む範囲)で得られる反射の周波数成分である。
評価部102は、第1測定ピーク値及び第2測定ピーク値を用いて、RC床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する。第1測定ピーク値は、除去部101により表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である。第2ピーク値は、除去部101により表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である。評価部102の評価結果は、例えば、表示部16に表示される。
ここで、第1周波数帯は、例えば600〜800MHzの帯域であり、第2周波数帯は、例えば1200〜1600MHz前後の帯域でありうる。
鉄筋の腐食度合いは、腐食グレードという基準により評価される。図7は、腐食グレードと鉄筋の状況との関係を示す図である。評価装置10は、評価対象のRC床版橋の鉄筋が、図7に示した腐食グレードの中のどの腐食グレードに該当するかを評価する。従って、評価部102の評価結果には、RC床版橋のどの場所がどの腐食グレードであるかの情報が含まれる。なお、図7では腐食グレードをローマ数字で表しているが、以下の説明では腐食グレードをアラビア数字で表す。
次に、除去部101による表面周波数成分の除去について説明する。本実施形態に係る評価装置10は、時間−周波数分析によって特定深さの分析を行うことで、鉄筋の腐食度合いを評価する。
時間−周波数分析で特定深さの分析を行うには、その時間位置の周波数成分を分かりやすく提示することが求められる。例えば、表面付近の反射波は信号強度が大きいために周波数成分のレベルが大きく、RC床版98の内部からの反射波の小さな周波数の変化が分かりにくい。本実施形態に係る評価装置10は、除去部101によって、レベルが大きく、分析には不要な表面付近の周波数成分を除去する。本実施形態に係る評価装置10は、除去部101が表面付近の周波数成分を除去することで、RC床版98の内部からの反射波を用いた時間−周波数分析が可能となる。
本実施形態に係る評価装置10は、除去部101によって、反射応答データの表面付近の周波数成分の減算を2回繰り返す。本実施形態に係る評価装置10は、表面付近の周波数成分の減算を2回繰り返すことで、RC床版反射応答を表す内部周波数成分を用いた評価の信頼性を向上させることができる。表面付近の周波数成分の減算が1回だけの場合と、2回の場合との比較例については後述する。
本実施形態に係る評価装置10は、内部周波数成分の時間−周波数分布を、さらに周波数分布に変換する。時間−周波数分布から周波数分布への変換は、例えば評価部102が実行してもよい。評価装置10は、内部周波数成分の周波数分布から、上述の第1測定ピーク値及び第2測定ピーク値を求める。そして、評価装置10は、第1測定ピーク値及び第2測定ピーク値を用いて、RC床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する。
本実施形態に係る評価装置10は、予め、鉄筋の腐食のない健全なRC床版橋に対して電磁波を照射して、RC床版橋からの反射波に対して、表面付近の周波数成分の減算を行って、周波数分布を求めておく。この健全なRC床版橋の周波数分布のデータは、例えばストレージ14に保存される。評価部102は、RC床版橋に対して電磁波を照射して得られる周波数分布のデータと、健全なRC床版橋の周波数分布のデータとの比較により、まずRC床版橋の鉄筋の腐食の有無について判断する。そして、評価部102は、RC床版の内部の鉄筋が腐食していると判断すると、評価対象の周波数分布のデータに基づいて、鉄筋の腐食グレードを判断する。
図8は、図3に示す反射応答をSトランスフォーム(S Transform、R.G.Stockwell氏により提案されている時間−周波数分析法)によって表した、時間−周波数の関係をコンター図で示す時間−周波数分布図である。図9は、反射応答データの表面付近の周波数成分を抽出した図である。図10は、図9に示した周波数成分を逆FFT(Fast Fourier Transform;高速フーリエ変換)によりタイムドメインの波形に変換した図である。図11は、図3に示す反射応答から図10に示した波形を減算した図である。図12は、図11に示す波形をSトランスフォームによって表した、時間−周波数の関係をコンター図で示す時間−周波数分布図である。図13は、図12に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。周波数分布は、時間領域を全て合わせることで得られる。図8〜図13に示した図は、鉄筋の腐食のない健全なRC床版橋に対して電磁波を照射して得られる特性であるとする。
図3、図10及び図11では、横軸に時間を表し、縦軸に受信した電磁波の信号の強度を表す。図8及び図12では、横軸に時間を表し、縦軸に周波数を表す。図13では、横軸に周波数を表し、縦軸に信号の強度を示す。図8及び図12では、信号の強度を濃淡で表す。図8及び図12では、濃くなるほど信号の強度が強いことが表されている。図3、及び図8〜図12において、横軸に時間を表しているが、横軸の時間は、RC床版橋が反射した電磁波を受信した時間である。電磁波は、RC床版橋の深い箇所で反射する程、遅く電磁波装置20に受信されるので、図3、及び図8〜図12の横軸は、RC床版橋の鉛直方向の深さの位置を表しているとも言える。
取得部100が電磁波装置20から取得する反射応答データにより、図3に示すような反射応答の波形が得られる。図3に示す反射応答の波形をSトランスフォームによって表すと、図8に示すような時間−周波数分布図が得られる。
図8に示す時間−周波数分布図は、図4に示す表面反射応答を表す表面周波数成分と、図4に示すRC床版反射応答を表す内部周波数成分と、を含む。上述の除去部101により、図3の波形から表面周波数成分が除去されると、図11に示すような波形となる。さらに、図11に示す波形をSトランスフォームによって表すと、図12に示す時間−周波数分布図が得られる。図12に示す時間−周波数分布図では、図4に示す表面反射応答を表す表面周波数成分を含まず、図4に示すRC床版反射応答を表す内部周波数成分を含む。このため、図12に示す時間−周波数分布図では、表面付近の反射波の周波数成分に埋もれていた分布が現れる。
表面周波数成分は、電磁波の反射強度が高く、時間−周波数分布図の周波数分布の表示に大きな影響を与える。従って、表面周波数成分を除去することにより、RC床版反射応答を表す内部周波数成分を浮かび上がらせることが可能となった。
そして、図13に示す周波数分布図では、各周波数の信号の強度が示されている。評価部102は、周波数分布図における第1周波数帯の第1測定ピーク値p1、及び、第2周波数帯の第2測定ピーク値p2を用いて、RC床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する。
本実施形態では、評価部102は、以下の評価基準によって鉄筋の腐食グレードを判定することで、鉄筋の腐食度合いを評価する。
まず、評価部102は、第1測定ピーク値が、健全なRC床版橋の周波数分布のデータにおける第1測定ピーク値に対して所定の閾値以上、例えば50%以上減少しているかどうかを判定する。RC床版の内部の鉄筋の腐食が進むと、電磁波装置20から照射された電磁波に対する鉄筋からの反射波の強度が落ちると考えられる。従って、評価部102は、健全なRC床版橋の周波数分布のデータにおける第1測定ピーク値に対する低下量を、鉄筋の腐食の進行の有無の判定基準に用いる。
第1測定ピーク値が、健全なRC床版橋の周波数分布のデータにおける第1測定ピーク値に対して所定の閾値以上減少していなければ、評価部102は、評価対象の鉄筋は腐食グレード1であると判定する。一方、第1測定ピーク値が、健全なRC床版橋の周波数分布のデータにおける第1測定ピーク値に対して所定の閾値以上減少していれば、評価部102は、評価対象の鉄筋は腐食グレード2〜4のいずれかであると判定する。
続いて、評価部102は、第1測定ピーク値と第2測定ピーク値との大小関係を比較する。第1測定ピーク値の方が第2測定ピーク値より大きければ、評価部102は、評価対象の鉄筋は腐食グレード2、3のいずれかであると判定する。一方、第2測定ピーク値の方が第1測定ピーク値より大きければ、評価部102は、評価対象の鉄筋は腐食グレード4であると判定する。
言い換えれば、腐食グレード1、2、又は3の場合は、RC床版反射応答に第2周波数帯の成分は第1周波数帯の成分と比べて多く含まれず、腐食グレード4の場合は、RC床版反射応答に第2周波数帯の成分が第1周波数帯の成分と比べて多く含まれている。この事象は、鉄筋の腐食が進むことに起因すると考えられる。従って、評価部102は、第1測定ピーク値と第2測定ピーク値との大小関係を比較することで、鉄筋の腐食の進行度合いを評価することができる。そして、評価部102は、第1測定ピーク値より第2測定ピーク値の方が大きい場合に、鉄筋の腐食が進行していると腐食の進行度合いを評価することができる。
評価部102は、内部周波数成分の周波数分布における第1周波数帯の第1測定ピーク値、及び、第2周波数帯の第2測定ピーク値を用いて、RC床版橋における鉄筋の腐食度合いを定量的に評価することができる。
なお、本実施形態では、時間領域を全て合わせることで周波数分布を得ていたが、本発明は係る例に限定されない。鉄筋付近より深い位置の不要な成分を除去して、より明確な特徴を得るため、例えば、地表面から鉄筋付近までの時間位置の周波数成分を抽出して、地表面から鉄筋付近までに限定した時間領域の周波数分布を求めてもよい。
次に、評価装置10の作用について説明する。
図14は、評価装置10による鉄筋腐食度評価処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から鉄筋腐食度評価プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、鉄筋腐食度評価処理が行なわれる。
CPU11は、取得部100として、電磁波装置20からの電磁波の、RC床版橋からの反射応答に関する反射応答データを取得する(ステップS101)。
ステップS101に続いて、CPU11は、反射応答データから地表面付近の表面周波数成分を抽出する(ステップS102)。具体的には、CPU11は、取得した反射応答データをSトランスフォームによって、時間−周波数特性に変換する。CPU11は、反射応答データの時間−周波数特性から、地表面付近の時間位置の表面周波数成分を抽出する。地表面付近の時間位置は、電磁波装置20の特性、例えば、センサに接続されているケーブルの遅延量、もしくはアンテナからの電磁波の発信と反射波の受信とのタイミング、又は、電磁波装置20のアンテナと、RC床版橋の表面との距離等に依存するが、例えば時間−周波数特性における5ナノ秒付近に相当する位置でありうる。
ステップS102に続いて、CPU11は、ステップS102で抽出した地表面付近の表面周波数成分を反射応答データから除去する(ステップS103)。具体的には、CPU11は、ステップS102で抽出した地表面付近の表面周波数成分を逆FFTによってタイムドメインの波形に変換し、変換後の波形を反射応答データから減算する。
ステップS103に続いて、CPU11は、表面周波数成分の除去を2回実行したかどうか判断する(ステップS104)。表面周波数成分の除去を2回実行していないと判断した場合は(ステップS104;No)、CPU11は、ステップS102、及びS103の処理をもう一度実行する。表面周波数成分の除去を2回実行していると判断した場合は(ステップS104;Yes)、CPU11は、表面周波数成分を除去した後の内部周波数成分を周波数分布に変換する(ステップS105)。具体的には、CPU11は、表面周波数成分を除去した後の内部周波数成分を時間−周波数分布に変換し、さらに周波数分布に変換する。
ステップS105に続いて、CPU11は、内部周波数成分の周波数分布に基づいて、鉄筋の腐食度合いを評価する(ステップS106)。具体的には、CPU11は、内部周波数成分の周波数分布に対し、上述した評価基準を適用して、RC床版の内部の鉄筋の腐食グレードを判定することで、RC床版の内部の鉄筋の腐食度合いを評価する。
CPU11が、図14に示した一連の処理を実行することで、本実施形態に係る評価装置10は、RC床版の鉄筋の腐食度合いを非破壊で、効率的に、且つ定量的に評価することができる。
なお、図14に示した一連の処理では、地表面付近の表面周波数成分を逆FFTによってタイムドメインの波形に変換し、変換後の波形を反射応答データから減算する処理を2度繰り返しているが、本発明は係る例に限定されない。CPU11は、地表面付近の表面周波数成分の抽出及び除去を周波数ドメインで行ってもよい。そして、CPU11は、地表面付近の表面周波数成分の抽出及び除去を周波数ドメインで2度繰り返した後に、逆FFTによってタイムドメインの波形に変換してもよい。
CPU11は、図14に示した一連の処理をリアルタイムで実行してもよく、電磁波装置20がRC床版橋から受信した反射波のデータをストレージ14に保存しておき、任意のタイミングでストレージ14からデータを取り出して実行してもよい。
続いて、評価装置10による鉄筋腐食度の評価例を示す。
図15、図17、図19は、それぞれRC床版の内部周波数成分をコンター図で示す時間−周波数分布図の例である。図16は、図15に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。図18は、図17に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。図20は、図19に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。
図15、図17に示した時間−周波数分布では、第1周波数帯の強度が強く、第2周波数帯の強度が弱い。一方、図19に示した時間−周波数分布では、図15、図17に示した時間−周波数分布と比べると、第1周波数帯の強度が弱くなり、第2周波数帯の強度が強くなっている。
図15に示した時間−周波数分布を見ると、鉄筋深度付近の800MHz付近に強度のピークがある。また、健全なRC床版の場合と比べて、分布の形状に崩れが見られる。鉄筋深度から浅い位置で、1200MHz〜2000MHz付近における分布が、健全なRC床版の場合と比べて浮き出るようになった。これは、鉄筋での反射が弱まり、周辺のコンクリートの影響から、周波数の分布形状の崩れ、及び鉄筋より浅い箇所での分布が増加したと考えられる。
図16に示した周波数分布における第1測定ピーク値p1は、図13に示した周波数分布における第1測定ピーク値p1の半分以下となっている。そして、図16に示した周波数分布における第2測定ピーク値p2は、第1測定ピーク値p1よりも小さい。従って、CPU11は、図16に示した周波数分布から、評価対象の鉄筋の腐食グレードはグレード2、またはグレード3であると判定する。
図17に示した時間−周波数分布を見ると、図15と同様に、鉄筋深度付近の800MHz付近に強度のピークがある。また、健全なRC床版の場合と比べて、分布の形状に崩れが見られる。鉄筋深度から浅い位置で、1200MHz〜2000MHz付近における分布が、健全なRC床版の場合と比べて浮き出るようになり、且つ、図15の場合よりはっきりと浮き出るようになった。鉄筋の腐食が進んだことで鉄筋での反射が弱まり、周辺のコンクリートの影響から、周波数の分布形状の崩れ、及び鉄筋より浅い箇所での分布がさらに増加したものと考えられる。
図18に示した周波数分布における第1測定ピーク値p1は、図13に示した周波数分布における第1測定ピーク値p1の半分以下となっている。そして、図18に示した周波数分布における第2測定ピーク値p2は、第1測定ピーク値p1よりも小さい。従って、CPU11は、図18に示した周波数分布から、評価対象の鉄筋の腐食グレードはグレード2、またはグレード3であると判定する。
図19に示した時間−周波数分布を見ると、鉄筋深度付近の800MHz付近における分布のピークが無くなり、健全時とは逆に、鉄筋深度より浅い位置で、1200MHz〜2000MHz付近における分布に大きなピークが見られる。鉄筋の腐食が大きく進んだことで鉄筋の反射が弱まり、鉄筋深度より浅い位置でのコンクリートのひび割れや損傷の反射を捉えているものと考えられる。
図20に示した周波数分布における第1測定ピーク値p1は、図13に示した周波数分布における第1測定ピーク値p1の半分以下となっている。そして、図20に示した周波数分布における第2測定ピーク値p2は、第1測定ピーク値p1よりも大きい。従って、CPU11は、図20に示した周波数分布から、評価対象の鉄筋の腐食グレードはグレード4であると判定する。
実際には、図15及び図16は、鉄筋の腐食グレードがグレード2のRC床版橋に対して電磁波を照射した場合の分布図であり、図17及び図18は、鉄筋の腐食グレードがグレード3のRC床版橋に対して電磁波を照射した場合の分布図である。そして、図19及び図20は、鉄筋の腐食グレードがグレード4のRC床版橋に対して電磁波を照射した場合の分布図である。従って、本実施形態に係る評価装置10は、RC床版橋に対して電磁波を照射して得られる周波数分布から、鉄筋の腐食度合いを評価することができる。
続いて、表面周波数成分の除去を1回しか行わなかった場合と、2回行った場合との比較例を示す。
図21、図23、図25、図27は、それぞれ、RC床版橋の表面周波数成分の除去を1回しか行わなかった場合における、RC床版の内部周波数成分をコンター図で示す時間−周波数分布図の例である。図22は、図21に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。図24は、図23に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。図26は、図25に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。図28は、図27に示した時間−周波数分布を周波数分布に変換した周波数分布図である。
図21及び図22は、図12及び図13の分布図と同じ、健全なRC床版からの反射応答データから得られる分布図である。図23及び図24は、図15及び図16の分布図と同じ、腐食グレードがグレード2のRC床版からの反射応答データから得られる分布図である。図25及び図26は、図17及び図18の分布図と同じ、腐食グレードがグレード3のRC床版からの反射応答データから得られる分布図である。図27及び図28は、図19及び図20の分布図と同じ、腐食グレードがグレード4のRC床版からの反射応答データから得られる分布図である。
図22に示した周波数分布図を見ると、第1周波数帯では明確なピーク値を観測することができるが、第2周波数帯では明確なピーク値を観測することが出来ない。同様に、図24及び図26に示した周波数分布図を見ると、第1周波数帯では明確なピーク値を観測することができるが、第2周波数帯では明確なピーク値を観測することが出来ない。そして、図28に示した周波数分布図を見ると、第1周波数帯及び第2周波数帯の両方で明確なピーク値を観測することはできるが、第1周波数帯における第1測定ピーク値と第2周波数帯における第2測定ピーク値とで、大小関係の逆転は見られない。
これらの事象は、いずれも、表面周波数成分が1回の除去処理だけでは完全に取り除けていないことに起因するものである。従って、本実施形態に係る評価装置10は、表面周波数成分の除去を2回行うことで、内部周波数成分の周波数分布に基づいた鉄筋の腐食度合いの評価を、高精度で実施できる。
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した鉄筋腐食度評価処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field−Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、鉄筋腐食度評価処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、鉄筋腐食度評価処理を実行する鉄筋腐食度評価プログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
1 鉄筋腐食度評価システム
10 鉄筋腐食度評価装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 ストレージ
15 入力部
16 表示部
17 光ディスク駆動部
18 通信インタフェース
19 バス
20 電磁波装置
90 車両
95 評価対象範囲
96 アスファルトコンクリート層
98 RC床版
100 取得部
101 除去部
102 評価部

Claims (9)

  1. 鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する鉄筋腐食度評価装置であって、
    前記鉄筋コンクリート床版橋の表面から前記鉄筋コンクリート床版橋の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得部と、
    前記取得部により取得された前記反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去部と、
    前記除去部により前記表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、前記第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する評価部と、
    を備える、鉄筋腐食度評価装置。
  2. 前記除去部は、前記表面周波数成分を除去した反射応答の周波数分布から、さらに前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた周波数成分を除去する、請求項1に記載の鉄筋腐食度評価装置。
  3. 前記評価部は、前記第1測定ピーク値及び前記第2測定ピーク値を比較し、前記第1測定ピーク値と前記第2測定ピーク値との大小関係に基づいて前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する、請求項1又は2に記載の鉄筋腐食度評価装置。
  4. 前記評価部は、前記第1測定ピーク値より前記第2測定ピーク値の方が大きい場合に、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食が進行していると腐食度合いを評価する、請求項3に記載の鉄筋腐食度評価装置。
  5. 前記評価部は、劣化していない鉄筋コンクリート床版橋に電磁波を照射して得た反射応答から、前記周波数成分を除去して得た反射応答の周波数分布である基準周波数分布における、前記第1周波数帯のレベルのピーク値を基準値として、当該基準値と前記第1測定ピーク値とを比較することにより前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する、請求項1又は2に記載の鉄筋腐食度評価装置。
  6. 前記評価部は、前記基準値に対する所定の割合を閾値とし、前記第1測定ピーク値が前記閾値よりも小さい場合に、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食が進行していると腐食度合いを評価する、請求項5記載の鉄筋腐食度評価装置。
  7. 前記評価部は、鉄筋コンクリート床版橋の表面の複数の位置について、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の鉄筋腐食度評価装置。
  8. 鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する鉄筋腐食度評価方法であって、
    前記鉄筋コンクリート床版橋の表面から前記鉄筋コンクリート床版橋の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得ステップと、
    前記取得ステップにより取得された前記反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去ステップと、
    前記除去ステップにより前記表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、前記第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する評価ステップと、
    を含む、鉄筋腐食度評価方法。
  9. 鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価するコンピュータプログラムであって、
    前記鉄筋コンクリート床版橋の表面から前記鉄筋コンクリート床版橋の深さ方向へ照射した電磁波の反射応答に関する反射応答データを取得する取得ステップと、
    前記取得ステップにより取得された前記反射応答データが表す反射応答の周波数分布から、前記鉄筋コンクリート床版橋の表面で前記電磁波が反射して得られた表面周波数成分を除去する除去ステップと、
    前記除去ステップにより前記表面周波数成分が除去された反射応答の周波数分布における、第1周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第1測定ピーク値、及び、前記第1周波数帯より高い周波数帯である第2周波数帯の周波数成分のレベルのピーク値である第2測定ピーク値を用いて、前記鉄筋コンクリート床版橋における鉄筋の腐食度合いを評価する評価ステップと、
    をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
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