JP2004125674A - 電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定方法及びその装置 - Google Patents

電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定方法及びその装置 Download PDF

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橋本 光男
Masanori Takanabe
高鍋 雅則
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Abstract

【課題】測定精度が高く、かつ、簡便に測定できるコンクリート強度の非破壊測定装置を提供するとともに、その測定方法を提供する。
【解決手段】コンクリートブロック2の表面2bから磁場パルスを、コンクリートブロック2中の鉄筋2aに照射して鉄筋2aを励振し、鉄筋2aを音源とする音響を発生させ、音響がコンクリートブロック2の表面2bの測定点である音響変換器5に到達する伝搬遅延時間を測定し、伝搬遅延時間と鉄筋2aから測定点5までの距離とから音速を求め、音速と、あらかじめ求めておいたコンクリート強度と音速との相関関係からコンクリート2の圧縮強度を推定する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート強度を非破壊で測定する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートは、コンクリート打ち込み後のコンクリート養生の仕方によって強度が大きく変化することが知られている。
図8は養生方法とコンクリート強度との関係を示す図である(非特許文献1参照)。横軸は材齢であり、縦軸は圧縮強度である。図に示すように、コンクリートを水で濡らした状態での養生、すなわち、湿潤養生日数が多いほどコンクリート強度が大きくなり、標準養生(20℃±3℃で水中養生)の場合にもっとも強度が高くなる。実際のコンクリート構造物のコンクリート養生においては、水中で養生する標準養生は不可能であるので、一般に、湿潤養生によって養生し、構造物の使用開始時におけるコンクリート強度が標準養生の4週目の強度に達するように養生することが定められている。
【0003】
ところで、コンクリートの強度が上記の規格を満たしているか否かを検査する方法には、構造物から供試体を抜き取り圧縮強度試験器で測定する破壊検査がある。この方法は、コンクリート強度を測定する上でもっとも確実な方法ではあるが、実際の施工では困難な場合が多い。例えば、新築マンションの各所から供試体を抜き取ることは、美観を著しく傷つけるため困難である。このような場合、非破壊検査でコンクリート強度を評価することが一般に行われている。
しかしながら従来、規格を満たしているか否かを判定するに十分な精度を有する非破壊のコンクリート強度検査方法がなかった。
【0004】
例えば、従来のコンクリート強度の非破壊検査方法にはシュミットハンマー法がある。図9は、シュミットハンマー法を説明する図である。図に示すように、シュミットハンマーをコンクリート表面に押しつけてある程度押すと、先端が半球状のハンマ(鋼錘)がコンクリート表面を打撃する。この打撃の反作用力によってハンマが反発されるが、この反発の程度、すなわち、ハンマの反発度を測定する。反発度はコンクリートの弾性係数と比例関係にあり、弾性係数とコンクリート圧縮強度とは関係があるので、あらかじめ作成した反発度と圧縮強度との関係図表を用いて圧縮強度を推定する。
【0005】
しかしながらこの方法は簡便ではあるが、コンクリート内部の強度を正確に測定できない場合が多い。すなわち、コンクリート表面を打撃するものであるから表面の弾性係数を反映した反発度となり、表面の強度は大きいが内部の強度が弱いといった場合にはコンクリート強度を正しく評価できない。また、打撃する際の状態、すなわち、コンクリート表面の凹凸状態、表面への密着の仕方等によってもコンクリートに対する打撃力が異なり、検査する人によって、また、検査ごとに測定値がばらつくことが避けられない。
【0006】
図10は、シュミットハンマー法による反発度と圧縮強度試験器による圧縮強度との相関を示す図である(非特許文献2)。なお、図において、データ点の形状の違いは養生日数の違いに基づくものであり、実線、点線は、各種学会の推奨する推定式を表す直線である。図からわかるように、圧縮強度が同じであっても反発度は大きくばらつき、あるいは、反発度が同じであっても圧縮強度が大きくばらつく。少なくとも、±100kgf/cm2 の誤差を見込まなければならないことがわかる。
【0007】
また、コンクリートの圧縮強度を推定するにはシュミットハンマー法と、コンクリート中の音速測定を併用するのがよいと述べられている文献もある(非特許文献3)。
音速測定は、コンクリートブロックの正面に超音波発振器を配置し、コンクリートブロック裏面の対応する位置に超音波変換器を配置できる場合には精度良く測定できる。しかしながら、マンション等の居住構造物の各所のように、裏面に超音波変換器を配置できない場合には、コンクリートブロックの正面側の表面のみを利用して音速を測定せざるを得ない。しかしながら、コンクリートブロックの正面側の表面のみを利用した音速測定は、十分な精度で音速を測定できない。以下にその理由を説明する。
【0008】
図11はコンクリートブロックの正面側の表面を利用した超音波法によるコンクリートの音速測定の原理を示す模式図である。
図に示すように、超音波発振器101と超音波変換器102を所定の距離離してコンクリート表面103に配置し、超音波発振器101で超音波をコンクリートブロック104中に励振し、超音波105がコンクリート104中を伝搬し超音波変換器102に伝搬する時間を測定して、伝搬時間と超音波105の伝搬距離からコンクリート中の超音波の音速を測定する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの方法は、表面を伝搬する表面波106、及び、コンクリート104中の鉄筋107による反射波108が複雑に重畳して超音波変換器102に到達するため、正確に超音波105の伝搬時間を測定することができない。また、超音波105の伝搬距離は、超音波発振器101と超音波変換器102との間の距離に一致しないため、超音波105の伝搬距離を正確に特定することができない。また、コンクリート表面103の音響インピーダンスと超音波発振器101及び超音波変換器102の音響インピーダンスを十分整合させることが困難なため、コンクリート104の内部に十分な強度の超音波105を励振し、かつ、十分な強度で超音波105を検出することが難しい。このためコンクリートブロックの表面に近い部分の音速しか測定できない。
【0010】
このように従来は、コンクリート構造物の強度がコンクリートの養生方法によって左右されることが知られており、コンクリート構造物の構築の際には、所定のコンクリート強度を満たすように養生することが規定されているにもかかわらず、この規定に見合う精度の、かつ、簡便に測定できる、コンクリート強度の非破壊測定方法がなかった。
また、コンクリートは、その寿命が半永久的であると信じられてきたが、最近になって、コンクリートの中性化、アルカリ骨材反応、凍結・溶解、繰り返し加重、火災等によってコンクリートの強度が劣化することがわかってきた。このため、既存のコンクリート構造物のコンクリート強度を知ることも急務になってきている。しかしながら、構造物であるだけに、供試体を抜き取る等の破壊検査ができない場合が多く、一方、従来の非破壊検査では十分な精度で測定できないという課題があった。
【0011】
【非特許文献1】
十河茂幸 信田佳延 栗田守朗 宇治公隆 著 「コンクリート名人養成講座」 日経BP社 2000年10月20日発行
【非特許文献2】
社団法人日本非破壊検査協会編 「コンクリート構造物の非破壊試験法」 株式会社養賢堂発行 1994年12月21日 pp221−224
【非特許文献3】
非特許文献2のp139
【特許文献1】
国際公開番号 WO 02/40959 A1
【0012】
上記課題に鑑み本発明は、測定精度が高く、かつ、簡便に測定できるコンクリート強度の非破壊測定方法を提供するとともに、さらに、非破壊でコンクリートの強度を測定する装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定方法は、コンクリートブロックの表面から磁場パルスを、コンクリートブロック中の鉄筋に照射して鉄筋を励振し、鉄筋を音源とする音響を発生させ、音響がコンクリートブロックの表面上の測定点に到達する伝搬遅延時間を測定し、伝搬遅延時間と鉄筋から測定点までの距離とから音速を求め、音速と、あらかじめ求めたコンクリート強度と音速との相関関係からコンクリートの強度を推定することを特徴とする。
すなわち、コイル状に巻いた導線を被測定コンクリートブロックの表面に固定し、コイルに電流パルスを流して磁場パルスを発生する。コイルに生じた磁場パルスはコンクリート内部の鉄筋に照射され、鉄筋に渦電流が誘起される。渦電流による磁場と磁場パルスの磁場との相互作用力により、鉄筋が励振される。鉄筋が励振されると、鉄筋を音源とする音響が発生する(特許文献1参照)。この音響は表面に配置した音響変換器に伝わる。音響変換器に伝わる時間と、音響変換器と励振した鉄筋との間の距離から音速がわかる。あらかじめ求めた音速とコンクリート圧縮強度との関係からコンクリートの圧縮強度が推定できる。
この方法によれば、音源がコンクリート内部にあり、音響がコンクリート内部から表面まで伝搬するので、コンクリート内部から表面に至る平均の音速が測定できる。従って、コンクリートブロックの強度を正確に推定できる。
【0014】
また、本発明の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定方法の別の態様によれば、コンクリートブロック中の鉄筋の位置が不明な場合に、コンクリートブロックの表面上の複数の測定点で鉄筋を音源とする音響の伝搬遅延時間を測定し、これらの伝搬遅延時間から鉄筋の位置を特定し、特定した位置と伝搬遅延時間とに基づいて音速を求め、求めた音速と、あらかじめ求めたコンクリート強度と音速との相関関係から上記コンクリートの強度を推定することを特徴とするものである。
この方法によれば、鉄筋位置がわからない場合にも、コンクリート強度を測定することができるようになる。
【0015】
また、本発明の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置は、コンクリートブロックの表面からコンクリートブロック中の鉄筋に磁場パルスを照射して鉄筋を励振するためのコイルと、コイルに電流パルスを供給する電源部と、鉄筋の励振に基づく音響を検出するコンクリートブロック表面に取り付ける音響変換器と、音響変換器の出力から音響の伝搬遅延時間を計測し、伝搬遅延時間と鉄筋と音響変換器との距離に基づいて音速を計算し、音速とコンクリート強度と音速との相関関係からコンクリート強度を演算し表示する計測・演算・表示部とを有し、コンクリートブロックの強度を計測することを特徴とする。
上記構成において、計測・演算・表示部は、好ましくは、フーリエ変換機能等の波形解析機能を有し、音速、及び、コンクリートブロックの強度とともに、音響波の強度、周波数情報を表示する。
また、計測・演算・表示部は、好ましくは、コンピュータを有し、コンピュータのメモリーに、あらかじめ求めたコンクリートブロックの音速と強度の相関関係を記憶させておく。
【0016】
すなわち、コイルに電流パルスを流すと磁場パルスが発生し、磁場パルスによりコンクリート内部の鉄筋に渦電流が誘起される。渦電流による磁場と磁場パルスの磁場との相互作用力により鉄筋が励振され、鉄筋が励振されると、鉄筋を音源とする音響が発生する。音響は表面に配置した音響変換器に伝わり、音響変換器で電気信号に変換され、計測・演算・表示部に入力される。計測・演算・表示部で、磁場パルスを発生させた時刻を基準とした音響の到達時間を計測し、音響の伝搬時間を演算する。伝搬時間と、鉄筋と音響変換器との距離から音速を演算して表示する。さらに、メモリーに記憶された音速と圧縮強度の相関関係を参照してコンクリートの圧縮強度を表示する。
【0017】
この装置によれば、音源がコンクリート内部にあり、音響がコンクリート内部から表面まで伝搬するので、コンクリートの内部から表面までの平均の音速が測定でき、コンクリート強度を正確に測定することができる。また、磁場パルスによる渦電流を利用して鉄筋を励振するから、発生する音響のエネルギーが大きく、コイルと音響変換器との距離を大きくしても測定することができる。
また、鉄筋を励振して発生する音響を測定するので、計測・演算・表示部が波形観測機能も備えていれば、到達波形の強度、形状、あるいは周波数成分等を同時に観測し、音速のみならず、鉄筋とコンクリートとの空隙、鉄筋とコンクリートとのなじみ状態等も同時に測定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置の構成と、その測定方法を示す図である。
図において、電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置1は、被試験体構造物である鉄筋コンクリートブロック2の表面に取り付けられる電線で構成したコイル3と、コイル3に電流パルスを印加する電源部4と、鉄筋コンクリートブロック2の表面に取り付けた音響変換器5と、音響変換器5と信号ケーブル6で接続した計測・演算・表示部7とから構成されている。
【0019】
コイル3は、例えばφ1.6mmの導線を50×30mmの矩形状の枠に7ターン巻回したコイル4個を、互いに軸を揃えかつ密着して構成されている。コイル3は試験体である鉄筋コンクリートブロック2の表面に取り付けられる。電源部4はコイル3に電源ケーブル8を介して電流パルスを印加するようになっている。なお、電源部4は上記の構成に限定されることなく、鉄筋コンクリートブロック2の大きさや鉄筋2aの位置、太さ等に対応して、所望の駆動パルスを発生させることができるように構成される。
【0020】
音響変換器5は公知の音響変換器であって、微弱な振動を検出して電気信号に変換し、信号ケーブル6を介して計測・演算・表示部7に入力する。
計測・演算・表示部7は、例えば音響解析装置として市販されている公知の構成のものでよく、音響変換器5からの検出信号をアンプリファイア等により増幅すると共に、不要な信号をフィルタなどにより除去した後、音響解析を行なうようになっている。または、単発現象を記録・計測できるストレージスコープでもよく、さらに、FFT(Fast Fourier Transform)等のフーリエ変換機能を有した測定器であればさらによい。また、マイクロコンピュータのメモリーにあらかじめ実験により求めた音速と強度との関係を記憶させておくことにより、直接、コンクリート強度を表示することができる。
【0021】
本発明の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置1は、上記のように構成されており、コイル3に電流パルスを印加すると鉄筋コンクリート2の内部方向に磁場パルスが発生し、この磁場パルスが導電体である鉄筋2aに渦電流を誘起する。この渦電流に伴う磁場と磁場パルスの磁場との相互作用力によって、鉄筋2aが励振される。この場合、導電体2aが磁性体であれば、磁気エネルギーに伴う力も励振力に付加され強化される。
【0022】
鉄筋2aが励振されると鉄筋2aを音源とする音響が発生し、この音響が表面2bに伝わり、音響変換器5で音響信号が電気信号に変換され、この電気信号が信号ケーブル6を介して計測・演算・表示部7に入力される。計測・演算・表示部7で、音響の伝搬遅延時間を計測する。磁場パルスは電磁パルスなので伝搬速度が光速に近く、電流パルスをコイル3に印加すると同時に鉄筋2aが励振される。従って、伝搬遅延時間の測定は、電流パルスをコイル3に印加した時刻を基準として、計測・演算・表示部7で観測される音響波形の立ち上がり時間を測定すればよい。例えば、計測・演算・表示部7がストレージオシロスコープであれば、磁場パルス発生のタイミング波形と、音響の到達タイミング波形とを同一の画面上に同時に表示して伝搬遅延時間を画面上からも読みとることができる。
【0023】
被測定構造物の設計図などで鉄筋2aの位置がわかっている場合には、鉄筋2aと音響変換器5との距離を上記の伝搬遅延時間で除することにより音速を求める。この測定したコンクリートの音速を基に、あらかじめ求めたコンクリートの音速とコンクリートの圧縮強度との関係式から被測定構造物のコンクリート圧縮強度を求める。
【0024】
次に、鉄筋の位置がわからない場合に音速を求める方法の一例を説明する。
図2は、鉄筋の位置がわからない場合に音速を求める方法を示す図である。
図2(a)に示すように、始めに、コンクリート表面2b上の複数の位置で伝搬遅延時間を測定し、もっとも小さい伝搬時間を与える位置から、鉄筋2aの真上の位置Pを求める。次に、図2(b)に示すように、位置Pを含む直線上で、位置Pから所定の距離L1,L2離れた位置に音響変換器5a,5bを配置し、P点にコイル3を配置する。コイル3でP点の真下の鉄筋2aを励振して音響を発生させ、音響変換器5a,5bでそれぞれ、伝搬遅延時間t1,t2を測定する。
【0025】
求める音速をvとすると、音響変換器5aと音源との距離はvt1、音響変換器5bと音源との距離はvt2となる。vt1,L1及び鉄筋の深さdの間には、vt1を斜辺とし位置Pから所定の距離L1とdを2辺とする直角三角形の関係が成り立ち、vt2,L2及び鉄筋の深さdの間には、vt2を斜辺とし位置Pから所定の距離L2と鉄筋の深さdを2辺とする直角三角形の関係が成り立ち、これらの直角三角形は深さdを共通とするので次式が成り立つ。
【0026】
【数1】
Figure 2004125674
【0027】
L1,L2,t1,t2が既知であるので、音速vは、次式(2)から求めることができる。
【0028】
【数2】
Figure 2004125674
【0029】
次に、本発明の実施例を説明する。
同一のセメントと水を混合して同一形状のコンクリートを作製し、作製したコンクリートの養生日時を変えて種々の強度のコンクリート試験体を作製した。試験体ごとに、本発明の方法による音速と、圧縮試験器による圧縮強度を測定し、音速と圧縮強度の相関を調べた。
コンクリート形状は、40×40×160mmの直方体であり、直方体の長手方向の一端面から20mmの位置に、Φ9mm×45mmの鉄筋2aが一端面に平行に埋め込まれている。
また、セメントと水の重量混合比W/Cは20%、40%、及び60%の3種類を作製した。養生方法は、全て水中養生(温度:20℃±1℃)であり、養生日数は、0日(脱型直後)、7日及び28日である。
【0030】
図3は実施例に用いた本発明の音速測定方法を示す図であり、図3(a)は断面図、図3(b)は左側面図である。図に示すように、試験体の長手方向の一端面にコイル3を固定し、試験体の長手方向の他端面に音響変換器5を固定する。コイル3に電流パルスを供給して磁場パルスを発生し、鉄筋2aを励振する。鉄筋2aを音源とする音響を音響変換器5で電気信号に変換し、電気信号を計測・演算・表示部7に入力する。計測・演算・表示部7で、磁場パルスを発生させた時刻を基準として、音響の伝搬遅延時間を計測する。
【0031】
図4は、計測・演算・表示部7で測定した音響波形を示す図である。横軸は時間、縦軸は信号強度に対応する電圧である。図において、CH1は音響波形を示し、CH2はコイルに印加した電流パルスを示す。
W/C比60%の試験体について、養生日数が異なる場合を示しており、図4(a)は養生日数1日、図4(b)は養生日数7日、図4(c)は養生日数28日である。図からわかるように、同等の電流パルスで励振しても養生日数によって音響波形が異なり、養生日数が多いほど振幅が大きくなる。
【0032】
図5は、図4を時間軸のスケールを拡大して示した図である。図からわかるように、CH1の立ち上がり時刻から音響の伝搬遅延時間が測定できる。養生日数が多いほど伝搬遅延時間が短くなる。
【0033】
図6は、図4で計測した音響波形を周波数解析した図である。図からわかるように、養生日数が多くなるほど周波数成分が増加することがわかる。
【0034】
図7は、本発明の方法で測定した音速と、圧縮強度試験器で測定した圧縮強度との相関を示す図である。使用した圧縮強度試験器は、一般に使用されている圧縮強度試験器であり、コンクリートに圧力を印加し、応力が零になる圧力をコンクリートの圧縮強度とした。図7(a)は、本発明の方法で測定した音速を示す図であり、横軸は試験体の養生日数、縦軸は音速である。試験体は、W/C比が20%(●)、60%(◆)、40%(▲)のものそれぞれについて測定した。音速は鉄筋2aから音響変換器5までの長さ131mmを図5の方法で求めた伝搬遅延時間で除して求めた。図からわかるように、W/C比が小さいほど、また、養生日数が多いほど音速が大きくなる。
【0035】
図7(b)は、圧縮強度試験器で測定した図7(a)と同一の試験体の圧縮強度を示す図である。図からわかるように図7(a)と同様な傾向、すなわち、W/C比が小さいほど、また、養生日数が多いほど圧縮強度が大きくなる。
【0036】
図7(c)は、音速と圧縮強度との相関を示す図であり、横軸は音速、縦軸は圧縮強度である。W/C比が20%、40%及び60%の各試験体の、養生日が7日と28日における圧縮強度と音速に基づいてプロットした図である。この図7(c)からわかるように、本発明の方法によって測定した音速は圧縮強度とほぼ比例関係にある。従って、本発明の方法によってコンクリートの圧縮強度が測定できることがわかる。
【0037】
【発明の効果】
上記説明から理解されるように、本発明によれば、磁場パルスによってコンクリートブロック内部の鉄筋を励振するので、コンクリート内部の鉄筋を音源としたエネルギーの大きい音響を発生できる。音響はコンクリート内部から表面に伝搬するので、その音速は内部から表面にわたるコンクリートの音速の平均値となり、従って、コンクリートの圧縮強度を正しく測定することができる。
本発明の方法及び装置を、コンクリート建造物の養生管理や検査に使用すれば、非破壊でコンクリート強度を精度良く測定できるので、極めて有用である。また、既存のコンクリート構造物の余寿命予測に用いれば、非破壊でコンクリート強度を精度良く測定できるので、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置の構成及び測定方法を示す図である。
【図2】鉄筋の位置がわからない場合に音速を求める方法を示す図である。
【図3】実施例に用いた本発明の音速測定方法を示す図である。
【図4】計測・演算・表示部で測定した音響波形を示す図である。
【図5】図4を時間軸のスケールを拡大して示した図である。
【図6】図4で計測した音響波形を周波数解析した図である。
【図7】本発明の方法で測定した音速と、圧縮強度試験器で測定した圧縮強度との相関を示す図である。
【図8】養生方法とコンクリート強度との関係を示す図である。
【図9】シュミットハンマー法を説明する模式図である。
【図10】シュミットハンマー法による反発度と圧縮強度試験器による圧縮強度との相関を示す図である。
【図11】コンクリートブロックの表面を利用した超音波法によるコンクリートの音速測定の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
1   非破壊コンクリート強度測定装置
2    コンクリートブロック
2a  鉄筋
2b  コンクリートブロック表面
3   コイル
4   電源部
5   音響変換器
5a  音響変換器
5b  音響変換器

Claims (5)

  1. コンクリートブロックの表面から磁場パルスを、このコンクリートブロック中の鉄筋に照射して鉄筋を励振し、この鉄筋を音源とする音響を発生させ、この音響がコンクリートブロックの表面上の測定点に到達する伝搬遅延時間を測定し、この伝搬遅延時間と上記鉄筋から測定点までの距離とから音速を求め、この音速と、あらかじめ求めたコンクリート強度と音速との相関関係から上記コンクリートの強度を推定することを特徴とする、電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定方法。
  2. 前記コンクリートブロック中の鉄筋の位置が不明な場合に、このコンクリートブロックの表面上の複数の測定点で上記鉄筋を音源とする音響の伝搬遅延時間を測定し、これらの伝搬遅延時間から上記鉄筋の位置を特定し、この特定した位置と上記伝搬遅延時間とに基づいて音速を求め、この音速と、あらかじめ求めたコンクリート強度と音速との相関関係から上記コンクリートの強度を推定することを特徴とする、請求項1に記載の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定方法。
  3. コンクリートブロックの表面からコンクリートブロック中の鉄筋に磁場パルスを照射して鉄筋を励振するためのコイルと、このコイルに電流パルスを供給する電源部と、上記鉄筋の励振に基づく音響を検出する上記コンクリートブロック表面に取り付ける音響変換器と、この音響変換器の出力から上記音響の伝搬遅延時間を計測し、この伝搬遅延時間と上記鉄筋と音響変換器との距離に基づいて音速を計算し、この音速とコンクリート強度と音速との相関関係から上記コンクリート強度を演算し表示する計測・演算・表示部とを有し、上記コンクリートブロックの強度を測定することを特徴とする、電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置。
  4. 前記計測・演算・表示部は、フーリエ変換機能等の波形解析機能を有し、前記音速、または、前記コンクリートブロックの強度とともに、前記音響波の強度、周波数情報を表示することを特徴とする、請求項5に記載の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置。
  5. 前記計測・演算・表示部は、コンピュータを有し、このコンピュータのメモリーに、あらかじめ求めた前記コンクリートブロックの音速と強度の相関関係を記憶させておくことを特徴とする、請求項5に記載の電磁パルスを用いた非破壊コンクリート強度測定装置。
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