JP6735727B2 - 検査対象物の非露出部の腐食検査方法及び腐食検査装置 - Google Patents

検査対象物の非露出部の腐食検査方法及び腐食検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、検査対象物の非露出部の腐食検査方法及び腐食検査装置に関する。さらに詳しくは、検査対象物の露出部の外面に探触子を設置し、前記探触子から前記検査対象物の非露出部に向けて超音波を入射させると共に前記非露出部からの反射波を受信し、受信した反射波を評価することにより前記非露出部の腐食を検査する検査対象物の非露出部の腐食検査方法及び腐食検査装置に関する。
全国の高速道路や一般道には、道路標識、道路照明施設、道路情報提供装置が設置されている。これらの支柱構造物は、支柱の腐食による断面欠損などの不具合によって、倒壊等の危険性がある。しかしながら、従来、支柱の腐食状況の確認は、外側から地表露出部の目視検査を行うか、埋設箇所を掘削して部分的に地際部および埋設部の状況を確認する程度であり、腐食の発生状況を十分に把握できていない。
一方、近年、例えば特許文献1,2に記載の如く、超音波を使用して支柱の埋設部を検査する方法が提唱されている。これらの発明は、支柱の外表面から超音波の表面SH波を入射させ、減肉部と端面の反射エコー高さから埋設部の減肉状態を評価している。しかし、SH波の使用に際しては、非常に粘性の高い接触媒質を必要とするため、探触子を走査して支柱の全周のデータを得ることができず、円周上の4点のデータのみで腐食の程度を評価しており、さらなる精度向上が求められていた。また、これらの方法は、3段階又は4段階評価で減肉量を評価しており、定量的な評価も困難であった。
また、例えば特許文献3〜5に記載の如く、超音波を使用して電柱の支線ロッドの腐食を検査する方法が提唱されている。しかし、これらの方法では、反射信号の波形図に基づいて腐食の有無を検出しているに過ぎず、その腐食の深さを推定することは困難であった。
特許第3973603号 特許第5647746号 特開平6−138102号公報 特開平8−313495号公報 特開2015−87337号公報
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、検査対象物の非露出部の腐食を精度よく且つ定量的に評価可能な検査対象物の非露出部の腐食検査方法及び腐食検査装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る検査対象物の非露出部の腐食検査方法の特徴は、検査対象物の露出部の外面に探触子を設置し、前記探触子から前記検査対象物の非露出部に向けて超音波を入射させると共に前記非露出部からの反射波を受信し、受信した反射波を評価することにより前記非露出部の腐食を検査する方法において、予め、模擬腐食部を有する試験体において、前記模擬腐食部の深さと所定のエコー高さを超える前記模擬腐食部からの反射信号の模擬腐食反射信号幅との相関を示す検量線を前記超音波の屈折角、前記超音波の周波数、前記探触子の振動子の大きさ及び前記探触子から前記腐食までの距離の少なくとも1つの条件において複数作成しておき、前記検査対象物において、受信した反射波における前記所定のエコー高さを超える前記腐食からの反射信号の腐食反射信号幅を求め、前記腐食反射信号幅に基づいて前記検量線により前記腐食の深さを推定することにある。
外部から目視等で直接確認が困難な非露出部に腐食部が存在する場合、検査対象物を伝搬する超音波の一部は腐食部で反射し探触子で受信される一方、他の一部は、腐食していない部分を伝って検査対象物の端部へ伝搬する。このように、腐食部で反射する反射波は、腐食の大きさ(深さ)の影響を受ける。よって、模擬腐食部を有する試験体において、模擬腐食部の深さと所定のエコー高さを超える模擬腐食部からの反射信号の模擬腐食反射信号幅との相関を示す検量線を予め作成しておき、検査対象物において、受信した反射波における所定のエコー高さを超える腐食からの反射信号の腐食反射信号幅を求めることで、求めた腐食反射信号幅に基づいて検量線から腐食の深さを容易に推定でき、高精度で定量的な評価が可能となる。
しかも、前記検量線を予め前記超音波の屈折角、前記超音波の周波数、前記探触子の振動子の大きさ及び前記探触子から前記腐食までの距離の少なくとも1つの条件において複数作成しておく。腐食反射信号幅は上記条件の影響を受けやすいため、これら条件の少なくとも1つにおいて、検量線を複数作成しておくことで、より高精度で定量的な評価が可能となる。
前記模擬腐食部は、前記試験体の一部が自然に腐食して形成された自然減肉であるとよい。現実の腐食部の表面は凹凸面となっており、その凹凸によって超音波の反射が生じやすくなっている。よって、検量線の作成に際し、実際に腐食した試験体を用いることで、現実に即したデータとなり、より検査精度を向上させることができる。
前記検査対象物は一部が地中に打ち込まれた棒状体であり、前記露出部は前記棒状体の地上部であり、前記非露出部は前記棒状体の地中埋設部であってもよい。例えば、電線の張力方向とは反対方向に張設された電柱の支線に連結され、一端が地中に埋め込まれた支線ロッドが挙げられる。
また、前記検査対象物は一部が地下に埋設された柱状体であり、前記露出部は前記柱状体の地上部であり、前記非露出部は前記柱状体の地中埋設部であってもよい。例えば、道路用の照明柱、信号柱、標識柱等の円筒状の支柱が挙げられる。
前記探触子は、前記超音波として横波を入射させるものであるとよい。横波を入射させるので、SH波のように非常に粘性の高い接触媒質を必要とせず、検査が簡便となり且つ例えば探触子を走査させることも容易となる。
前記探触子を前記検査対象物の周方向へ走査させ、前記受信した反射波を前記検査対象物の全周を横軸としたBスキャン画像として表示させても構わない。これにより、非露出部の腐食の評価を視覚的にも容易に行うことが可能となる。
前記探触子は、前記検査対象物の周方向に沿って適宜間隔をおいて複数配置されていても構わない。複数の探触子を周方向に配置するので、超音波が検査対象部全体を隈無く行き渡るので、さらに精度を向上させることができる。
上記目的を達成するため、本発明に係る検査対象物の非露出部の腐食検査装置の特徴は、検査対象物の露出部の外面に設置され、前記検査対象物の非露出部に向けて超音波を入射させると共に前記非露出部からの反射波を受信する探触子と、前記探触子で受信した反射波を評価する信号処理装置を備え、受信した反射波を評価することにより前記非露出部の腐食を検査する構成において、前記信号処理装置は、模擬腐食部を有する試験体において、予め前記超音波の屈折角、前記超音波の周波数、前記探触子の振動子の大きさ及び前記探触子から前記腐食までの距離の少なくとも1つの条件において複数作成された、前記模擬腐食部の深さと所定のエコー高さを超える前記模擬腐食部からの反射信号の模擬腐食反射信号幅との相関を示す検量線を有し、前記検査対象物において、受信した反射波における前記所定のエコー高さを超える前記腐食からの反射信号の腐食反射信号幅を求め、前記腐食反射信号幅に基づいて前記検量線により前記腐食の深さを推定することにある。
また、前記探触子は、前記超音波として横波を入射させるものであるとよい。係る場合、前記探触子を前記検査対象物の周方向へ走査可能に保持する保持手段をさらに備え、前記信号処理装置は、前記受信した反射波を前記検査対象物の全周を横軸としたBスキャン画像として表示させるとよい。前記探触子は、前記検査対象物の周方向に沿って適宜間隔をおいて複数配置されているとよい。
上記本発明に係る検査対象物の非露出部の腐食検査方法及び腐食検査装置の特徴によれば、検査対象物の非露出部の腐食を精度よく且つ定量的に評価することが可能となった。
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
本発明に係る腐食検査装置の概略図である。 スキャナの一例を示す概略平面図である。 図2の正面図である。 検査対象部での横波の伝搬を模式的に示す図である。 超音波ビームの拡がりと腐食反射信号幅との関係を説明する図である。 図5の試験体のA点(減肉部)におけるAスキャン画像の一例である。 図5の試験体のB点(減肉部)におけるAスキャン画像の一例である。 腐食反射信号の出現位置と屈折角との関係を説明する図である。 検量線の一例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る図1相当図である。 他の実施形態におけるスキャナの一例を示す図2相当図である。
次に、適宜図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
以下の実施形態において、検査対象物は、図1に示すように、電線111が架設された電柱110の倒壊を防止するために、電線111の張力方向とは反対方向に張設された支線112に連結部材113を介して連結された支線ロッド100である。露出部は、直接探触子2が設置できる等、検査員が直接触れることのできる部位を指し、本例では支線ロッド100の地上部101を指す。また、非露出部は、直接探触子2を設置することが困難である等、検査員が直接触れることができない部位を指し、本例では支線ロッド100が地中Gに打ち込まれた(埋設された)地中埋設部102を指す。
図1に示すように、本発明に係る腐食検査装置1は、中実棒状の支線ロッド100の地上部101に取り付けられ、支線ロッド100の地中埋設部102に向けて超音波を入射させると共に地中埋設部102からの反射波を受信する探触子2と、この探触子2で受信した反射波を評価する信号処理装置3を備え、受信した反射波を評価することにより地中埋設部102の腐食D(以下、「減肉部D」と称する。)の減肉深さtを推定する。
本実施形態において、探触子2には横波斜角探触子を用いる。横波を使用することで、SH波を用いる場合と異なり、極めて粘性の高い接触媒質も不要で作業性もよく、後述するスキャナ20により地上部101の外周面101a上を容易に走査できる。また、本実施形態では、超音波の送信と受信を1つの探触子2で行う一探触子法を採用する。
信号処理装置3は、例えばパーソナルコンピューターにより構成され、図1に示すように、パルサレシーバ4を制御して探触子2から超音波パルスを発生させる。送信された超音波パルスは、支線ロッド100に横波Pを生じさせ、地中埋設部102の減肉部Dで反射し、その反射波が探触子2で受信される。受信した反射信号(反射波)は、パルサレシーバ4及び/又はプリアンプ5により増幅され、フィルタ6によりノイズが除去された状態でA/D変換器7によりデジタル信号に変換される。そして、信号処理装置3にて信号処理がなされ、表示器8に表示される。
また、信号処理装置3は、スキャナ20の支線ロッド100に対する回転数等を検出した計数器9の走査位置データと共に受信した反射信号を処理し、Aスキャン画像やBスキャン画像等の走査画像を生成して、表示器8に表示させる。さらに、信号処理装置3は、腐食Dの存在を警告する警報器3aを備えることも可能である。なお、この信号処理装置3をパーソナルコンピューターにより構成したが、同様に機能を有する信号処理部と、パルサレシーバ4、プリアンプ5、フィルタ6、A/D変換器7、表示器8及び計数器9を有する探傷装置10を用いることも可能である。
本実施形態において、図2,3に示すように、スキャナ20は一対の保持部材21,21よりなり、一対の探触子2,2を支線ロッド100を挟んで正対させる。この保持部材21は、大略、探触子2を収容するシュー22と、シュー22を保持するハウジング23と、シュー22を押圧し探触子2を地上部101の外面101aに密着させるバネ等よりなる押圧部材24と、押圧部材24を固定する蓋部材25と、蓋部材25をハウジング23に固定する固定部材26からなる。そして、一対の保持部材21,21は、ヒンジ27及び留め金28により開閉自在に連結されている。
このスキャナ20が、探触子2を地上部101の外面101a上を支線ロッド100の周方向Cに走査可能にする。なお、スキャナ20は、走査手段の一例に過ぎず、地上部101の外面101a上を周方向Cに走査可能な態様であれば、これに限定されない。また、スキャナ20は、その走査位置を特定する位置特定手段を備えていることが望ましく、その態様は特に限定されない。例えば、計数器9をステッピングモータに代えてもよく、エンコーダを用いることもできる。もちろん、走査時間を測定し、その測定時間から走査位置を割り出すようにしてもよい。
ここで、図4〜6を参照しながら、支線ロッド100内の横波Pの伝搬及び反射信号について説明する。
図4に示すように、地上部101の探触子2から地中埋設部102に向けて入射された横波Pは、設定された屈折角θを中心B0(ビーム軸中心)に拡がりをもったビーム状(扇状)に伝搬する。そのため、入射した超音波ビームBは、伝搬時間の短い経路から長い経路までが連続して存在し(例えば横波P0〜P2)、支線ロッド100の外面100aで反射しながら端部102aに向かって伝搬していく。
図5に示す試験体100(厚さ16mm)のA点(探触子2からの距離La=200mm)で横波Pが全て遮られて反射した場合、その反射信号は図6Aとなる。係る場合、A点での反射信号のピークは、超音波ビームBの中心B0の経路で伝搬する横波P0の振幅である。そして、例えば、このピーク信号のエコー高さの1/2となる信号範囲(−6dB)を腐食反射信号Raとすると、その腐食反射信号Raの信号幅は符号Waで示す範囲となる。また、図5に示すB点(探触子2からの距離Lb=400mm)で超音波が全て遮られて反射した場合、その反射信号は図6Bとなる。B点の方がA点よりも探触子2から離れている(Lb>La)分、超音波ビームBが拡がって伝搬しているので、腐食反射信号Rbの信号幅Wbは、A点の腐食反射信号幅Waよりも広くなる。このように、腐食反射信号幅Wは、探触子2からの距離Lによって変化する。
なお、図6の縦軸は振幅、横軸は伝搬距離を示す。腐食反射信号幅Wとは、受信した反射波における腐食反射信号Rの各エコー高さが最初に所定値v以上となった伝搬位置(時刻)から最後に所定値V以上となった伝搬位置(時刻)までの距離や時間として表される。所定値vとは、例えばエコー高さを表示器8上に出現する100%振幅表示に調整し、その50%以上の強度を基準とするが、これに限られるものではない。
図4に示すように、減肉部Dの減肉量(減肉深さ)tが増加する(腐食が進行する)と、当該部分の肉厚は支線ロッド100の肉厚T−減肉量tとなり、減肉部Dで遮られることなく端部102aへ伝搬可能となる経路(残存部分)は、その分狭く(薄く)なる。すなわち、減肉部Dの減肉量tが少なければ、減肉部Dで反射する横波は少ないので、全ての横波が遮断(反射)された場合に比べ、欠陥反射信号幅は狭く(少なく)なる。
このように、減肉部D(腐食)からの腐食反射信号Rは、減肉量tの増減に影響を受ける。従って、腐食反射信号Rの信号幅に着目することで、減肉部Dの減肉量の推定が可能である。そして、地中埋設部102の端部102aからの反射信号は不要であるので、例えば、図1,3に一点鎖線、二点鎖線で示す如く、尖った形状の端部102a1や複雑形状の端部102a2であっても、検査が可能である。
ところで、ピーク信号のエコー高さの1/2となるときの振動子中心と欠陥(腐食)の中心とを結ぶ方向が振動子の中心に対してなす角をエコー高さ半減角φといい、円形振動子の場合、下記式(1)で求められる。
φ≒29λ/d ・・・・(1)
ここで、λは試験体中の超音波の波長(λ=試験体中の音速c/周波数f)、dは振動子の直径である。
上記式(1)から分かるように、探触子2の周波数はエコー高さ半減角φに与える影響が大きく、高い周波数の探触子2を用いた場合、得られる腐食反射信号幅Wは狭くなる。腐食反射信号幅Wは、図5に示すように、エコー高さ半減角φによって変動する。よって、減肉深さtを推定する際に、エコー高さ半減角φのわずかな変化が減肉深さtの推定に大きく影響するため、減肉深さtの推定値に誤差が生じやすくなる。よって、周波数は、例えば1MHz以上2.25MHz以下とするとよい。
また、図7に示すように、探触子2から腐食Dまでの距離Lが同じであっても、探触子2の屈折角θx,θyが異なると、腐食反射信号幅Wx,Wyも異なる。さらに、屈折角θx,θyが異なると、超音波の伝搬距離も変わるので、腐食反射信号幅Wx,Wyの時間軸上での出現位置も異なる。なお、例えば、反射信号の振幅がピーク信号の1/2となる範囲(−6dB幅)は、下記式(2)で求められる。
W=L/sin(θ+φ)−L/sin(θ−φ) ・・・・(2)
ここで、θは試験体中での超音波の屈折角である。
図7からも明らかなように、探触子2の屈折角θが大きくなると、反射信号の出現位置は腐食Dまでの水平距離に近くなり(腐食Dまでの直線距離に近似)、おおよその欠陥位置の推定が容易になる。よって、例えば、腐食位置の推定には、70°あるいは75°の高い屈折角の探触子が適している。
次に、支線ロッド100の地中埋設部102の腐食評価方法について説明する。
まず、上述したように、検査対象の支線ロッド100と同等の材料よりなり且つ模擬腐食部が形成された試験体において、外面に探触子2を設置して横波を伝搬させ、受信した反射波において、所定の信号強度V(エコー高さ)を超える模擬腐食反射信号R’の模擬腐食反射信号幅W’を求め、既知の模擬腐食部の深さと模擬腐食反射信号幅W’との相関を示す図8に示す如き検量線Kを予め作成しておく。
ここで、図5に示すように、同程度の減肉深さであっても、その減肉部Dの位置(探触子2からの距離)によって腐食反射信号幅Wは異なる。また、上記式(1)(2)及び図7に示すように、探触子2の条件(振動子サイズ(直径d)、周波数f=c/λ、屈折角θ)の影響も受ける。従って、これらの条件に応じて複数の検量線Kを設定しておくことで、推定値の精度が向上する。
次に、検査対象となる支線ロッド100において、その地上部101の外周面101aにスキャナ20を介して探触子2を接触させ、地中埋設部102に向けて横波を入射させる。そして、受信した反射波において、先と同じ信号強度vを超える腐食反射信号Rの腐食反射信号幅Wを求める。そして、求めた腐食反射信号幅Wを検量線Kに導入し減肉量tを算出する。
このように、本発明では、受信した反射波の腐食反射信号Rの腐食反射信号幅Wにより腐食の程度を評価するので、地中埋設部102の端部からの信号は不要である。そして、既知の減肉深さ(実測可能な減肉量)と模擬腐食反射信号幅との相関を示す検量線Kを予め作成しておくことで、当該検量線Kを用いて減肉部Dの減肉量を推定することができ、定量的な評価が可能となる。また、横波斜角探触子を用いるので、従来のSH波では必須であった粘性の高い接触媒質が不要となり、周方向Cの走査を実現でき、上記定量的評価が可能となる。
最後に、本発明の他の実施形態の可能性について言及する。
上記実施形態において、検査対象物として、中実棒状の支線ロッド100を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、円筒状の柱状材、角柱、H型鋼、レール形や壁等の構造体(物)であっても適用可能である。図9に示す例では、検査対象物は、道路用の照明柱、信号柱、標識柱等の円筒状の支柱100である。この支柱100の地中埋設部102の腐食の評価も可能である。
係る場合、図10に示す如き、スキャナ30を用いるとよい。このスキャナ30は、大略、探触子2を保持するハウジング31と、ハウジング31の四方に設けられたマグネット車輪32と、ヒンジベース33とを備える。また、取付板34には、減速機35、モータ36及びマグネット駆動輪37が取り付けられており、ボルト38a及びナット38bによりハウジング31に取付固定される。このスキャナ30が、探触子2を地上部101の外面101a上を支柱100の周方向Cに走査可能にする。
また、上記実施形態において、露出部として、空気中に露出する地上部を例に説明したが、これに限られるものではなく、水中等、探触子を直接設置できる箇所(部位)であればよい。さらに、非露出部として、地中埋設部を例に説明したが、これに限られるものではなく、水中やコンクリート中等、検査対象箇所(部位)が他の部材(物質)で覆われている箇所であればよい。
上記実施形態において、探触子2を検査対象物としての支線ロッド100に対し、一対の探触子2,2を正対させた。しかし、探触子2の個数はこれに限られるものではなく、検査対象物の周方向に沿って適宜間隔をおいて複数配置することが可能である。もちろん、探触子2が1つあることを妨げるものではない。
さらに、上記実施形態において、探触子2に横波斜角探触子を用いた。しかし、探触子2はこれに限られるものではない。但し、極めて粘性の高い接触媒質も不要で作業性もよいので、横波斜角探触子を用いる上記実施形態が優れている。
本発明は、電柱の支線に連結された棒状の支線ロッドの他、各種アンカー部材の腐食検査に利用することができる。また、支線ロッドの如き棒状体の他、例えば道路用の照明柱、信号柱、標識柱等の道路付帯設備における柱状体の地中埋設部の腐食検査方法及び腐食検査装置として利用することができる。棒状体及び柱状体は、中実及び中空のいずれでも適用可能である。さらに、本発明は、道路用に限られるものではなく、一端部側が地中、水中やコンクリート中等の他の部材で隠匿(埋設)されている支柱、棒状体、筒状体、壁等の非露出部、又は、断熱材又は防音材等の非露出部材の腐食検査として、分野を問わず広く利用することができる。
1:腐食検査装置、2:探触子、3:信号処理装置、3a:警報器、4:パルサレシーバ、5:プリアンプ、6:フィルタ、7:A/D変換器、8:表示器、9:計数器、10:探傷装置、20:スキャナ(走査手段)、21:保持部材、22:シュー、23:ハウジング、24:押圧部材、25:蓋部材、26:固定部材、27:ヒンジ、28:留め具、100:支線ロッド(検査対象物)、100a:外周面、101:地上部(露出部)、101a:外面、102:地中埋設部(非露出部)、102a:端部、110:電柱、110a:基礎、111:電線、112:支線、113:連結部材、B:超音波ビーム、B0:中心、D:腐食(減肉部)、G:地中、K:検量線、P,P0〜P2:横波、R,Ra,Rb:腐食反射信号、t:減肉量(減肉深さ)、T:肉厚、W,Wa,Wb:腐食反射信号幅、W’:模擬腐食反射信号幅、θ:屈折角

Claims (11)

  1. 検査対象物の露出部の外面に探触子を設置し、前記探触子から前記検査対象物の非露出部に向けて超音波を入射させると共に前記非露出部からの反射波を受信し、受信した反射波を評価することにより前記非露出部の腐食を検査する検査対象物の非露出部の腐食検査方法であって、
    予め、模擬腐食部を有する試験体において、前記模擬腐食部の深さと所定のエコー高さを超える前記模擬腐食部からの反射信号の模擬腐食反射信号幅との相関を示す検量線を前記超音波の屈折角、前記超音波の周波数、前記探触子の振動子の大きさ及び前記探触子から前記腐食までの距離の少なくとも1つの条件において複数作成しておき、
    前記検査対象物において、受信した反射波における前記所定のエコー高さを超える前記腐食からの反射信号の腐食反射信号幅を求め、
    前記腐食反射信号幅に基づいて前記検量線により前記腐食の深さを推定する検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  2. 前記模擬腐食部は、前記試験体の一部が自然に腐食して形成された自然減肉である請求項1記載の検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  3. 前記検査対象物は一部が地中に打ち込まれた棒状体であり、前記露出部は前記棒状体の地上部であり、前記非露出部は前記棒状体の地中埋設部である請求項1又は2記載の検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  4. 前記検査対象物は一部が地下に埋設された柱状体であり、前記露出部は前記柱状体の地上部であり、前記非露出部は前記柱状体の地中埋設部である請求項1又は2記載の検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  5. 前記探触子は、前記超音波として横波を入射させるものである請求項1〜4のいずれかに記載の検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  6. 前記探触子を前記検査対象物の周方向へ走査させ、前記受信した反射波を前記検査対象物の全周を横軸としたBスキャン画像として表示させる請求項5記載の検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  7. 前記探触子は、前記検査対象物の周方向に沿って適宜間隔をおいて複数配置されている請求項1〜6のいずれかに記載の検査対象物の非露出部の腐食検査方法。
  8. 検査対象物の露出部の外面に設置され、前記検査対象物の非露出部に向けて超音波を入射させると共に前記非露出部からの反射波を受信する探触子と、前記探触子で受信した反射波を評価する信号処理装置を備え、受信した反射波を評価することにより前記非露出部の腐食を検査する検査対象物の非露出部の腐食検査装置であって、
    前記信号処理装置は、模擬腐食部を有する試験体において、予め前記超音波の屈折角、前記超音波の周波数、前記探触子の振動子の大きさ及び前記探触子から前記腐食までの距離の少なくとも1つの条件において複数作成された、前記模擬腐食部の深さと所定のエコー高さを超える前記模擬腐食部からの反射信号の模擬腐食反射信号幅との相関を示す検量線を有し、
    前記検査対象物において、受信した反射波における前記所定のエコー高さを超える前記腐食からの反射信号の腐食反射信号幅を求め、
    前記腐食反射信号幅に基づいて前記検量線により前記腐食の深さを推定する検査対象物の非露出部の腐食検査装置。
  9. 前記探触子は、前記超音波として横波を入射させるものである請求項8記載の検査対象物の非露出部の腐食検査装置。
  10. 前記探触子を前記検査対象物の周方向へ走査可能に保持する保持手段をさらに備え、前記信号処理装置は、前記受信した反射波を前記検査対象物の全周を横軸としたBスキャン画像として表示させる請求項9記載の検査対象物の非露出部の腐食検査装置。
  11. 前記探触子は、前記検査対象物の周方向に沿って適宜間隔をおいて複数配置されている請求項8〜10のいずれかに記載の検査対象物の非露出部の腐食検査装置。
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