JP6700054B2 - 非接触音響探査システム - Google Patents

非接触音響探査システム Download PDF

Info

Publication number
JP6700054B2
JP6700054B2 JP2016020264A JP2016020264A JP6700054B2 JP 6700054 B2 JP6700054 B2 JP 6700054B2 JP 2016020264 A JP2016020264 A JP 2016020264A JP 2016020264 A JP2016020264 A JP 2016020264A JP 6700054 B2 JP6700054 B2 JP 6700054B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
time
transmitted
wave
sound wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016020264A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017138239A (ja
Inventor
恒美 杉本
恒美 杉本
和子 杉本
和子 杉本
紀之 歌川
紀之 歌川
黒田 千歳
千歳 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gakko Hojin Toin Gakuen
Sato Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Gakko Hojin Toin Gakuen
Sato Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gakko Hojin Toin Gakuen, Sato Kogyo Co Ltd filed Critical Gakko Hojin Toin Gakuen
Priority to JP2016020264A priority Critical patent/JP6700054B2/ja
Publication of JP2017138239A publication Critical patent/JP2017138239A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6700054B2 publication Critical patent/JP6700054B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Length Measuring Devices Characterised By Use Of Acoustic Means (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

本発明は、音波を用いた非接触音響探査システムに関するものである。
近年、コンクリート構造の内部の欠陥を発見したり地中に埋設された物品を検出したりするなどの目的で、音波や超音波を利用する方法が種々提案されている。本発明者らは下記の特許文献1および特許文献2において、音波を用いて非接触で欠陥等の探査対象物を探査する手法を提案している。これらの手法は、コンクリート構造などの対象構造物に対して二次元的に音波を照射し、この対象構造物の表面の振動速度を計測して探査対象物をスキャンするものである。
特開2014−106102号公報 特開2015−224891号公報
特許文献1や特許文献2に示されるような従来の非接触音響探査法を用いて広い面積の探査対象物をスキャンするにあたっては、対象構造物に二次元的に音波を照射してその表面の振動速度を計測していく必要がある。ここで、対象構造物や探査対象物の剛性は一般に未知であるため、音波の周波数を変えて探査対象物の共振周波数を探索していく必要があり、振動速度を計測する合計時間は長くなりがちである。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、従来の探査法における探査精度を少なくとも維持したまま探査時間を短縮することが可能な非接触音響探査システムを提供することを目的とする。
本発明は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(i)〜(x)である。
(i)探査対象物を内部に含む被照射体の表面に送波音波を照射して前記被照射体を振動させ、前記表面の複数の計測箇所において振動速度を計測して前記探査対象物の位置を判断する非接触音響探査システムであって、
前記送波音波を所定の送波時間間隔(T)ごとに送出する音響発信源と、
前記被照射体の前記表面の振動速度を計測する計測器と、
得られた振動速度の計測結果を用いて、前記探査対象物が存在する部位と存在しない部位とを特定する解析装置と、を有し、
前記音響発信源が前記送波時間間隔(T)ごとに送出する各回の前記送波音波が、当該送波音波が前記音響発信源より送出されてから前記被照射体の前記表面で反射して前記計測器に到達するまでの反射到達時間(T)よりも短い時間長(Ta)であり、かつ複数の異なる周波数の送波信号を順次に含むことを特徴とする非接触音響探査システム。
(ii)前記送波時間間隔(T)が、前記反射到達時間(T)以上であり、かつ前記反射到達時間と前記送波音波の時間長との和(T+Ta)よりも短い上記(i)に記載の非接触音響探査システム。
(iii)第一の前記送波音波に含まれる前記送波信号にかかる複数の周波数である第一周波数群と、前記第一の送波音波よりも後に送出される第二の前記送波音波に含まれる前記送波信号にかかる複数の周波数である第二周波数群と、が互いに異なる上記(i)または(ii)に記載の非接触音響探査システム。
(iv)前記第一周波数群に含まれる最高周波数を上限とし最低周波数を下限とする第一周波数範囲が、前記第二周波数群に含まれる最高周波数を上限とし最低周波数を下限とする第二周波数範囲と重複している上記(iii)に記載の非接触音響探査システム。
(v)前記第一周波数群に含まれる最高周波数が前記第二周波数群に含まれる最低周波数よりも低いか、または前記第一周波数群に含まれる最低周波数が前記第二周波数群に含まれる最高周波数よりも高い上記(iii)に記載の非接触音響探査システム。
(vi)前記解析装置または前記計測器は、前記第二の送波音波が照射されて振動する前記被照射体の前記表面の振動速度に関する前記計測器の計測結果から、前記第一周波数群の信号の少なくとも一部を選択的に抑圧する上記(iii)から(v)のいずれかに記載の非接触音響探査システム。
(vii)前記解析装置は、前記第一および前記第二の送波音波が照射されて前記被照射体の前記表面が振動する時間帯をそれぞれ判定し、前記時間帯と異なる時間に前記計測器が計測した前記計測結果から不要成分の少なくとも一部を抑圧する上記(vi)に記載の非接触音響探査システム。
(viii)前記音響発信源が送出する前記送波音波の周波数帯域は、前記探査対象物を内部に含む位置における前記被照射体の共振周波数および前記探査対象物を内部に含まない位置における前記被照射体の共振周波数をともに包含しており、前記音響発信源が、前記周波数帯域をカバーする前記送波音波を複数回繰り返して送出する上記(i)から(vii)のいずれかに記載の非接触音響探査システム。
本発明によれば、音響発信源から送出される各回の送波音波に複数の異なる周波数の送波信号を順次に含まれることで、探査対象物の共振周波数を探索するために必要な送波音波の照射回数および計測器による計測回数を低減することができる。このため、探査精度を少なくとも維持しつつも探査時間を短縮することができる。
本発明の非接触音響検査システムの構成を示す説明図である。 (a)は送波音波の従来の送信方法を説明する図であり、(b)はシングルトーンバースト波の波形例を示す図である。 シングルトーンバースト波のタイムチャートの例である。 マルチトーンバースト波の波形例を示す図である。 マルチトーンバースト波のタイムチャートの例である。 送波時間間隔を最適化したマルチトーンバースト波のタイムチャートの例である。 Cタイプのマルチトーンバーストに用いられる周波数ゲートの例である。 Dタイプのマルチトーンバーストに用いられる周波数ゲートの例である。 実施例の実験セットアップ図である。 実施例に用いたマルチトーンバースト波を示す図である。 実施例にかかる振動エネルギーを用いた映像結果例である。 (a)から(d)は実施例にかかる振動速度スペクトルである。
本発明について説明する。
本発明は探査方法および非接触音響探査システムに関する。本発明の探査方法および非接触音響探査システムによれば、被照射体の内部の探査対象物の位置を正確に把握することができる。被照射体としては、たとえば、コンクリート構造物、地面(土、砂、石、アスファルト等)、木、液体、人体が挙げられる。具体的には、本発明の探査方法および本発明の非接触音響探査システムによれば、たとえば、地面に埋められている地雷の位置を正確に把握することができる。この場合、地雷が探査対象物である。また、コンクリート構造物の内部の欠陥部の位置を正確に把握することができる。この場合、欠陥部が探査対象物である。また、人体の内部に存在する腫瘍等の位置を正確に把握することができる。この場合、腫瘍等が探査対象物である。また、各種製品等の内部の欠陥部の位置を正確に把握することができる(すなわち、非破壊検査することができる)。この場合、欠陥部が探査対象物である。また、池、海、湖等の液面の近くに位置する探査対象物(周囲の液体と音響インピーダンスが異なる物体)の位置を正確に把握することができる。
図1は、本発明の実施形態の非接触音響探査システム(以下、「探査システム」と略記する場合がある)10の構成を示す説明図である。はじめに、探査システム10の概要について説明する。
探査システム10は、探査対象物3を内部に含む被照射体1の表面に送波音波12を照射して被照射体1を振動させ、表面の複数の計測箇所において振動速度を計測して探査対象物3の位置を判断するシステムである。
探査システム10は、音響発信源11、計測器13、および解析装置151を含むコンピュータ15を備える。音響発信源11は、送波音波12を所定の送波時間間隔(T)ごとに送出する。計測器13は、被照射体1の表面の振動速度を計測する計器である。解析装置151は、計測器13で得られた振動速度の計測結果を用いて、探査対象物3が存在する部位と存在しない部位とを特定する機能を有する。
本実施形態の探査システム10は、音響発信源11が送波時間間隔(T)ごとに送出する各回の送波音波12が、反射到達時間(T)よりも短い時間長(Ta)であり、かつ複数の異なる周波数の送波信号を順次に含むことを特徴とする。ここで、反射到達時間Tとは、当該送波音波12が音響発信源11より送出されてから被照射体1の表面で反射して計測器13に到達するまでの時間である。
探査システム10は、任意波形発生装置17およびアンプ19を更に有している。コンピュータ15は、解析装置151に加えて制御装置152および表示部153を含んでおり、制御装置152によって任意波形発生装置17を制御して、所望の周波数の音波を音響発信源11から発生させる。計測器13は、任意波形発生装置17が発生するトリガ信号に制御装置152を同期させて計測する。表示部153には、後に説明する振動速度分布図等を表示することができる。表示部とはディスプレイ画面等を意味する。
以下、探査システム10について更に詳細に説明する。
音響発信源11にはフラットスピーカを用いることができる。音響発信源11の数やスピーカの角度等は特に限定されない。音響発信源11には、フラットスピーカの他、パラメトリックスピーカも好ましく用いることができ、具体的にはアメリカンテクノロジー社製の長距離音響放射装置(LRAD(登録商標):Long Range Acoustic Device)や強力超音波音源を好ましく用いることができる。このほか音響発信源11にはラウドスピーカやパルスレーザ、高圧ガスガン、衝撃波管を用いることができる。
音響発信源11から被照射体1へ照射される送波音波12は、所望の周波数(ω)に調整することができ、かつ、被照射体1の表面をその振動速度が計測器13によって測定できる程度に、表面に対して平行方向ではない方向(好ましくは、表面に対する垂直方向)へ振動させることができる音波であればよい。送波音波12は、空気中で振動振幅が減衰し難い可聴帯域の音波(音響波)が好ましい。超音波は空気中で振動振幅の減衰が大きいものの、音響発信源11が発する送波音波12としての使用を排除するものではなく、音波には超音波を含む。送波音波12の強度は、音響発信源11から被照射体1へ当該送波音波12を照射することで、被照射体1の表面に90dB以上の音圧を発生させる強度であることが好ましく、100dB程度の音圧を発生させる強度であることがより好ましい。
被照射体1は、たとえばコンクリート構造物や土壌などであり、その内部に局所的に探査対象物3が存在している。探査対象物3としては空洞や剥離欠陥などの欠陥部(ボイド)を挙げることができるが、このほか被照射体1と共振周波数が異なる金属などの埋設物でもよい。
計測器13は、送波音波12により加振された被照射体1の振動を光学的に計測する手段である。本実施形態に用いられる計測器13は、被照射体1の表面の振動速度を非接触で測定できるものであれば特に限定されず、レーザ変位計を用いることができ、レーザドップラ振動計であることが好ましい。計測器13にレーザドップラ振動計を用いる場合、計測器13はレーザ(観察波131)を被照射体1に照射する。送波音波12が照射されて振動する被照射体1の表面で観察波131が反射されて計測器13の受光部(図示せず)で受光されることにより、計測器13は被照射体1の表面の振動速度を計測する。この観察波131は、探査対象物3を内包する被照射体1の振動状況を示す目的信号である。計測器13で得られた振動速度の計測データは解析装置151で解析するために用いられる。
計測器13には、1回の計測で被照射体1の表面の1点における振動計測が可能なシングルレーザタイプのレーザ振動計を用いることも可能であるが、スキャニングレーザタイプのレーザ振動計を用いることが好ましい。スキャニング振動計であるレーザドップラ振動計としては、具体的に、ポリテックジャパン社製のPSV500が挙げられる。シングルレーザタイプのレーザ振動計としては、長距離測定用のレーザドップラ振動計であるポリテックジャパン社製のRSV−150を例示することができる。これらのレーザドップラ振動計は解析装置の一部および制御装置を含むものである。
解析装置151は、被照射体1における探査対象物3の位置を特定するための特定の情報処理を行うことができるものであれば特に限定されず、本実施形態の探査システム10を実現するプログラムが格納された汎用コンピュータを用いることができる。
任意波形発生装置17は、制御装置152の指令によって所望の周波数の音波を音響発信源11から発生させる装置である。言い換えると、制御装置152は、音響発信源11から送波音波12が出力される時間関係を制御する手段である。任意波形発生装置17には、バースト波を発生可能な市販のファンクションジェネレータ等を用いることができる。任意波形発生装置17は、簡単のために手動で制御してもよく、または解析装置151側から制御するようにシステムを構成してもよい。アンプ19に用いられる機器は特に限定されず、たとえば、市販のオーディオアンプを用いることができる。
制御装置152は、送波音波12を特定時刻に限局して音響発信源11から出力させる。解析装置151は、計測器13の計測結果のうち被照射体1が振動している時間帯を判定する。
計測器13の受光部(図示せず)には、被照射体1の表面で反射した観察波131のほか、音響発信源11が発する送波音波12の一部である直接音波121と、被照射体1の表面で送波音波12が反射した反射音波122とが入射する。以下、計測器13が出力する波形信号を振動状況信号という。振動状況信号は、観察波により得られる目的とする対象物信号のほか、直接音波121や反射音波122などの影響による不要信号成分(ノイズ)を含む。直接音波121は音響発信源11から計測器13に直接に到達する送波音波12であり、反射音波122は被照射体1で反射して計測器13に到達する送波音波12である。計測器13に入射する直接音波121および反射音波122は、計測器13を不要に振動させ、目的とする対象物信号の検出感度を低下させる原因となる不要信号である。
音響発信源11から被照射体1の表面までの距離をdとし、計測器13から、被照射体1に対する観察波131の照射位置までの距離をdとする。また、計測器13と音響発信源11との距離をdとする。送波音波12が音響発信源11より送出されてから被照射体1の表面で反射して計測器13に到達するまでの距離はd+dとなる。すなわち、送波音波12が音響発信源11より送出されてから被照射体1の表面に到達するまでの時間(以下、目標到達時間Tという場合がある)は、d/音速(Vs)となる。観察波131(レーザ)の速度は音速に比べて十分に高いため、被照射体1の表面の振動が開始する目標到達時間Tの瞬間が計測可能時間の開始タイミングとなる。
また、音響発信源11が送波音波12を送出してから反射音波122が計測器13に入射するまでの反射到達時間Tは、(d+d)/音速(Vs)となる。また、音響発信源11より送出された送波音波12は、d/音速(Vs)の時間(以下、直接到達時間Tという場合がある)で直接音波121として計測器13に到達する。反射音波122が不要信号として計測器13に入射する反射到達時間Tの瞬間が計測可能時間の終了タイミングとなる。
送波音波12はバースト波であり、所定の送波時間間隔Tごとに音響発信源11から送出される。各回の送波音波12(以下、バースト群という場合がある)の送波時間間隔Tは一定であることが好ましい。送波音波12はバースト波であるため、バースト群の一個あたりの時間長Taは送波時間間隔Tよりも当然短く、更に反射到達時間Tよりも短い。
音響発信源11と計測器13とが互いに近傍に配置される場合、直接音波121は計測器13を強く振動させる。本実施形態の探査システム10では、送波音波12にバースト波が用いられ、かつ送波音波12の送波時間間隔Tや送波音波12の各回の時間長Taが設定されている。これにより、計測器13にて観察波131を計測する時間が、直接音波121や反射音波122が計測器13を振動させる時間とは異なるタイミングとなる。具体的には、直接到達時間Tと時間長Taとの合計が、目標到達時間T以下に設定されている。
以下、送波音波の送信方法について説明する。はじめに、特許文献1に記載された従来の送信方法について説明する。図2(a)は、特許文献1の実施例3に記載された送信方法を説明する図である。この従来の送信方法では、欠陥部などの探査対象物3の共振周波数を探すために、送波音波の周波数を音波送出毎に変化させていくことにより、必要な周波数帯域をカバーする。図2(a)に示すように、周波数の異なる要素波形sFn(nは自然数)が送波音波として送波時間間隔Tごとに順次送波される。この送波時間間隔Tは、反射音波が計測器に入射し、時間長Taに亘って計測器を振動させるよりも長い時間、すなわち反射到達時間T+時間長Taよりも長く設定されている。特許文献1の送信方法では、十分な長さの送波時間間隔Tごとに送出される個々の送波音波において周波数は一定である。便宜上、この従来の送信方法をシングルトーンバースト波と呼ぶことにする。
図2(b)は、シングルトーンバースト波の実際の波形例を示す図である。縦軸は任意波形発生装置が発生させる送波音波の振幅であり、横軸は音響発信源が送波音波を発生させてからの時間である。この例では1回のパルス長を3ミリ秒(=帯域330Hz)とし、パルス間インターバル(送波時間間隔T)を50ミリ秒としている。周波数範囲を1000Hzから4800Hzとし、周波数変調インターバルを200Hzとすると20回の送波音波を送出する必要があるため、波形全体の時間は50ミリ秒×(20−1)回+3ミリ秒≒1.0秒である。これを1スキャンに要する送波音波の照射時間である。被照射体1の実際の探査にあたっては、被照射体1の表面の1箇所あたり更に複数回のスキャンをしてもよい。ここで、被照射体1のスキャンに用いられる周波数範囲をカバーする送波音波を測定点の1点に対して1回ずつ照射することをアベレージ1回と呼称する。アベレージ回数は1回でも複数回でもよい。好ましいアベレージ回数は、計測器13(レーザドップラ振動計)の出力および音響発信源11の音響出力に基づいて決定することができる。一例として音響発信源11から音響出力される送波音波12の強度を、被照射体1の表面において100dBとなるように調整した場合であって、計測器13にPSV500などのスキャニング振動計を用いる場合には、アベレージ回数を複数回、具体的には5回程度とすることにより探査対象物3を精度よく探査することが可能である。また、音響発信源11の音響出力を上記と共通とし、計測器13にRSV−150などのシングルレーザタイプのレーザ振動計を用いる場合には、コンクリート等の被照射体1の表面における反射率がより高く出力も高いため、アベレージ回数を1回としても上記と同等の精度で探査対象物3を探査できる場合がある。
図3はシングルトーンバースト波のタイムチャートである。計測器13(図1参照。以下同)が発するレーザ光(観察波131)は送波音波12に比べて伝搬速度が圧倒的に速いことから、計測器13で受信される計測信号に対して時間ゲートをかけることにより、対象物(被照射体1)の振動波形だけを切り出すことができる。ここで、時間ゲートとは、計測信号のうち特定の時間帯のもののみを抽出し、他の時間帯の信号を除去する処理を行うための制御信号をいう。この時間ゲート(制御信号)は、目的信号の出現時刻である目標到達時間T(=d/Vs)に開始し、時間幅d/Vsを有する信号である。解析装置151は、計測器13が取得した振動速度の信号情報に時間ゲート(制御信号)を乗じることで、目的信号のみを抽出する。
図3(a)は送波音波12を構成する送出信号の波形であり、図3(b)は計測器13で計測される信号波形を示す。図3(b)に示すように、直接波(直接音波121)による影響は、直接到達時間T(=d/Vs)より開始し、そこから時間長Taに亘って続く。なお、図3(a)に示す送出信号の立ち上がりを時刻=0とし、「時間」を「時刻」の意味で用いる場合がある。
図1に示すように計測器13は音響発信源11の近傍に配置され、距離dは距離dやdに比べて短くなることが一般的である。送波音波12の一回あたりの時間長Taは下式(1)を満たすことが好ましい。これにより、送波音波12が被照射体1の表面に到達した時点で、直接音波121による計測器13の振動が実質的に終了していることとなる。
(数1)
時間長Ta≦目標到達時間T−直接到達時間T ・・・(1)
ここで、直接波(直接音波121)および反射波(反射音波122)による影響を除去するため、音響発信源11から被照射体1の表面までの距離dと音速Vs(または気温)とに基づいて目標到達時間T(=d/Vs)を予め決定し、この目標到達時間Tから反射到達時間T(=(d+d)/Vs)までの時間のみ計測信号を抽出するように時間ゲートを設定する(図3(c)参照)。この時間ゲート処理により、計測器13のレーザヘッドの共振による探査精度(S/N比)への影響が低減され、図3(d)に示すように対象物の振動速度を示す信号のみが精度よく抽出される。
<マルチトーンバースト波について>
つぎに、本発明の特徴であるマルチトーンバースト波について説明する。前述のように特許文献1に示される従来の送信方法では送波音波(バースト群)の1回の送出の際に1つの周波数だけを使用していた。このため被照射体の表面を2次元的にスキャンする場合に計測時間が比較的長くなる傾向があった。この原因は、送出する送波音波の時間的な長さに起因している。しかしながら、単純に短い時間内に複数の周波数を混ぜて送波音波を送信してしまうと、被照射体に対する十分な加振力が得られないばかりか、上述した時間ゲートも有効に使うことができなくなるため、かえってS/N比の悪化を招いてしまうことになる。
これに対し本発明者らは、図3各図に示すシングルトーンバースト波の送信時のタイムチャートを更に鋭意検討したところ、送波音波の送出可能時間(=時間長Taの上限)は、下式(2)のように目標到達時間Tから反射到達時間Tまでの計測可能時間と一致するまで長くすることができ、それはすなわち各回の送波音波の音波群の先頭が被照射体で反射してから計測器に到達するまでの時間(=d/Vs)であるとの知見に想到した。
(数2)
時間長Ta≦反射到達時間T−目標到達時間T=d/Vs ・・・(2)
すなわち、1回の音波送出の際に時間にしてd/Vsの範囲内であれば、1つの周波数だけでなく、複数の周波数が順次存在しても計測器が実質的に送波音波で振動していない時間帯に観察波を受光することが可能である。ここで複数の周波数を含んだトーンバースト波を、前述のシングルトーンバースト波と区別するためにマルチトーンバースト波と呼ぶことにする。マルチトーンバースト波を構成する各回の送波音波の時間長Taの上限は、上式(2)で目標到達時間Tを限りなく零に近づけた場合、反射到達時間Tよりも僅かに小さな値となる。したがってマルチトーンバースト波とは、音響発信源が送波時間間隔Tごとに送出する各回の送波音波(バースト群)が、反射到達時間Tよりも短い時間長Taであり、かつ複数の異なる周波数の送波信号を順次に含むバースト波であるということができる。
すなわち、本実施形態で送出される第一の送波音波(バースト群)に含まれる送波信号にかかる複数の周波数である第一周波数群と、この第一の送波音波よりも後に送出される第二の送波音波(バースト群)に含まれる送波信号にかかる複数の周波数である第二周波数群と、は互いに異なっている。ここで、二つの周波数群が異なるとは、各周波数群に含まれる周波数が完全一致していることを排除する趣旨であり、共通の周波数がこれら二つの周波数群に一部要素として含まれていてもよい。ただし、被照射体の共振周波数が未知の場合などは所望の周波数範囲の音波を均等に出力することが好ましく、かかる場合は第一周波数群と第二周波数群に含まれる周波数が重複なく完全に不一致であることが好ましい。
マルチトーンバースト波の周波数や時間長Taを決定する場合には、音響発信源11と被照射体1の表面との距離d、被照射体1の表面から計測器13(レーザヘッド)までの距離d、音響発信源11から計測器13までの距離d、および計測環境中の音速(Vs)または気温を事前に計測しておく。その上で、目標到達時間Tから反射到達時間Tまでの計測可能時間内に不要信号が計測器13に入射しないタイミングおよび時間長Taに限局して制御装置152でマルチトーンバースト波群を作成して任意波形発生装置17より信号出力させる。
本発明で用いられるマルチトーンバースト波は、送波時間間隔Tごとに送出される各回の送波音波が複数の異なる周波数を順次に含んで構成されている。各回の送波音波に含まれる周波数の個数は特に限定されず、2個以上である。ここで、異なる周波数を順次に含むとは、一回の送波音波(バースト群)における一の時刻における中心周波数と他の時刻における中心周波数とが異なることをいう。各回の送波音波の中で、周波数が異なる複数の信号波形は時間的に連続して含まれていてもよく、または周波数が異なる信号波形同士の間に時間間隔があってもよい。ただしこの時間間隔は送波時間間隔Tよりも遙かに短いものであり、反射到達時間Tの1/2未満の長さである。また、一回の送波音波(バースト群)の中で、周波数は昇順または降順に整列されていてもよく、または不整列でもよい。送波音波(バースト群)を構成する個々の周波数の送出信号は短パルス列であり、その要素波形は正弦波でも三角波でも矩形波でもよい。また要素波形の周期は1周期より長くてもよく、または1周期より短くてもよい。
探査対象物の探査にあたって必要とされる周波数範囲は探査対象物の規模や深さに依存して決定され、飛び飛びの周波数の間隔である周波数変調インターバルは、バースト群を構成する各周波数の信号波形の持続時間に基づいて決定される。具体的には、当該持続時間(秒)の逆数(Hz)の1/2程度とすることができる。そして周波数範囲および周波数変調インターバルが決定されることにより、マルチトーンバースト波を何回送出すべきかが決まる。たとえば周波数範囲を1000Hzから4800Hzとし、周波数変調インターバルを200Hzとする場合には、周波数の異なる20個のバースト波が必要とされる。一例として、図1に示す被照射体1から計測器13のレーザヘッドまでの距離dを5.3m、音速Vsを343.5m/s(気温20℃)とすると、d/Vsは約15.4ミリ秒である。そして、1つの周波数あたり3ミリ秒程度の時間長さのバースト波が必要であるとすると、1回のマルチトーンバースト波に5つに周波数を格納することができる。すなわち全部で4回のマルチトーンバースト波を送出することにより、すべての上記の周波数範囲を網羅できることになる。ここで、シングルトーンバースト波の場合には20回の音波送出が必要となるため、他の条件が全く同じと仮定すれば、マルチトーンバースト波を使用することにより、単純に5倍の計測速度の向上が可能となる。
このマルチトーンバースト波の波形例を図4に示す。送波時間間隔Tは30ミリ秒としており、4回のバースト群を含む波形全体の時間長さは0.124秒となった。
<送波時間間隔Tについて>
図5はマルチトーンバースト波のタイムチャートの例である。同図では、周波数が異なる2個の音波が1個のバースト群に含まれている例を示している。従来、計測器のヘッドの共振によるS/N比の劣化を極力さけるため、バースト群ごとの送波時間間隔Tは十分な長さが与えられ、特許文献1では(d+2d)/Vs以上程度のインターバル間隔での送信を行われていた。
一方、図5(a)に示す本実施形態のように、マルチトーンバースト波の場合は個々のバースト群の時間長Taを極力長く設定してできるだけ多くの周波数のバースト波を一回のバースト群に含めることが好ましいため、個々のバースト群の時間長Taを計測可能時間と同等の長さとするとよい。これにより、図5(b)に示すように、計測可能時間以外は、計測器13は直接波(直接音波121)もしくは反射波(反射音波122)の影響を受けることがわかる。そして、図3に示したシングルトーンバースト波と同様に、マルチトーンバースト波を送波音波12とする場合も対象物(被照射体1)の振動時間に対応する時間帯を計測可能時間として限局する時間ゲートを設定する(図5(c)参照)。これにより、計測器13で取得されて解析装置151で解析される波形から直接波と反射波の影響を除去し、被照射体1の振動速度の信号のみが精度よく抽出される。
すなわち本実施形態の探査システム10において解析装置151は、送波音波12が照射されて被照射体1の表面が振動する時間帯を判定し、この時間帯と異なる時間に計測器13が計測した計測結果から不要成分の少なくとも一部を抑圧する。
ここで本発明者らは、この直接波および反射波の影響がある時間帯を別々にする必要は無く、送波時間間隔Tをもっと短くできることに想到した。具体的には、(d+d)Vs=反射到達時間Tよりも少し大きい程度まで送波時間間隔Tを短縮することが可能である。すなわち送波時間間隔(T)を、反射到達時間(T)以上であり、かつ反射到達時間と送波音波の時間長との和(T+T)よりも短い長さとすることができる。
図6は、送波時間間隔Tを最適化したマルチトーンバースト波のタイムチャートの例である。同図に示す場合、各回のバースト群が送信されている時刻0から時間長Taまでの間の特に前半部(時刻Tbまで)においては、前回のバースト群の反射波の影響と当該回のバースト群の直接波の影響とが重なり合う。しかしながらこの時間帯は計測可能時間帯外であるため、従来の時間ゲートのみで直接波と反射波の両方の影響を除去することができる。この工夫により、送波音波の送波時間間隔Tを特許文献1の方法に比べて6から7割程度以内に抑えることが可能になる。
<周波数ゲートの適用>
さらに本発明者らは、解析装置151による信号処理時には、図6(c)に示す時間ゲートだけでなく、送出されたマルチトーンバースト波に合わせた周波数特性を持つ周波数ゲートを用いることにより、多重反射による影響も低減することが可能であることに想到した。多重反射は、たとえば、トンネルの内壁など閉鎖空間に配置された被照射体1において顕著に発生する現象であり、1回のバースト群に由来する反射波が異なるタイミングで複数回に亘って計測器13を振動させることをいう。この多重反射の影響は、当該バースト群が送出されてから送波時間間隔T以上が経過した後に訪れる計測可能時間と重なる場合があるため、時間ゲートのみで多重反射の影響を除去することは困難である。
そこで、マルチトーンバースト波のバースト群を構成する周波数およびそれらの並び順に対応する周波数ゲートを適用する。たとえば、第一の送波音波にかかる第一周波数群の複数の周波数が、この第一の送波音波よりも後に送出される任意のバースト群である第二の送波音波にかかる第二周波数群の複数の周波数と完全に不一致である場合には、第二の送波音波の周波数を選択的に抽出することで第一の送波音波に起因する不要信号を除去または低減することができる。
すなわち、本実施形態の解析装置151または計測器13は、第二の送波音波(当該バースト群)が照射されて振動する被照射体1の表面の振動速度に関する計測器13の計測結果から、当該バースト群よりも前に送出された第一周波数群の信号の少なくとも一部を選択的に抑圧する。かかる周波数選択的な信号抽出を周波数ゲートと呼ぶ。具体的な周波数ゲートとしては、計測器13がバンドパスフィルタを備えてもよく、または解析装置151において周波数解析して振動速度の計測信号から不要信号を除去してもよい。これにより、選択された選択信号には実質的に目的信号のみが存在することとなり、探査対象物の検出性能が向上する。
第一周波数群としては、たとえば1000Hz、1200Hz、1400Hz、1600Hz、1800Hzのように、探査に必要な周波数分解能(たとえば200Hz)毎に連続した複数の周波数のマルチトーンバースト群とすることができる。このタイプのマルチトーンバースト波は連続的な周波数変化をするためC(Continuous)タイプのマルチトーンバーストと呼ぶことにする。図7はCタイプのマルチトーンバーストに用いられる周波数ゲートの例である。
Cタイプのマルチトーンバーストは、第一周波数群に含まれる最高周波数が第二周波数群に含まれる最低周波数よりも低いか、または第一周波数群に含まれる最低周波数が第二周波数群に含まれる最高周波数よりも高い。図7に示す本例では、先に送出される第一のバースト群の第一周波数群よりも、次に送出される第二のバースト群の第二周波数群の方が高い周波数で構成されている場合を例示する。第二周波数群としては、たとえば2000Hz、2200Hz、2400Hz、2600Hz、2800Hzとすることができる。そして、第一周波数群を完全に包含し、かつ第二周波数群(および下記の第三周波数群)を完全に含まない周波数範囲(ここではたとえば900Hzから1900Hz)を選択的に通過させる周波数ゲートFG−aを図7(b)のように設定する。周波数ゲートFG−aは、第一のバースト群に由来する目的信号12aを抽出する時間ゲートと同じタイミングで設定する。これにより、第一のバースト群に由来する目的信号12aが選択的に抽出される。
また、第二周波数群で構成される第二のバースト群の次に、第三周波数群で構成される第三の送波音波が送出される。この第三の送波音波を構成する第三周波数群の最低周波数は第二周波数群の最高周波数よりも高く、二つの群の周波数に重複は無い。第三周波数群は、たとえば3000Hz、3200Hz、3400Hz、3600Hz、3800Hzとすることができる。そして、第二のバースト群に由来する目的信号12bを抽出する時間ゲートと同じタイミングで、第二周波数群を完全に包含し第一周波数群や第三周波数群を完全に含まない周波数範囲(たとえば1900Hzから2900Hz)を選択的に通過させる周波数ゲートFG−bを設定する。これにより、第二のバースト群に由来する目的信号12bが選択的に抽出される。よって、先に送出されたマルチトーンバースト群が壁面等で多重反射して計測時間内に入ってきたとしても、周波数が異なるために簡単にその影響を除去することができる。
そして、第三のバースト群に由来する目的信号12cを抽出する時間ゲートと同じタイミングで、第三周波数群を完全に包含し第一周波数群や第二周波数群を完全に含まない周波数範囲(たとえば2900Hzから3900Hz)を選択的に通過させる周波数ゲートFG−cを設定する。これにより、第三のバースト群に由来する目的信号12cが選択的に抽出される。
上述したように、任意のバースト群に対して、当該バースト群に由来する目的信号を抽出する時間ゲートと重複するタイミングで、当該バースト群の周波数を選択的に通過させる周波数ゲートを設定することで、多重反射による影響も含めて不要信号が除去されて目的信号12a〜12cが抽出される。すなわち本実施形態の解析装置151は、第一および第二の送波音波(バースト群)が照射されて被照射体1の表面が振動する時間帯をそれぞれ判定し、これらの時間帯と異なる時間に計測器13が計測した計測結果から不要成分の少なくとも一部を抑圧する。
マルチトーンバースト群の他の例として、探査に必要な周波数分解能(たとえば200Hz)を超える大きな間隔で飛び飛びの複数の周波数でバースト群を構成してもよい。たとえば1000Hz、1800Hz、2600Hz、3400Hzおよび4200Hzのように800Hz毎に飛び飛びの周波数のバースト群を送出することができる。このタイプのマルチトーンバースト波は離散的な周波数変化をするためD(Discrete)タイプのマルチトーンバーストと呼ぶことにする。図8はDタイプのマルチトーンバーストに用いられる周波数ゲートの例である。
Dタイプのマルチトーンバーストは、第一周波数群に含まれる最高周波数を上限とし最低周波数を下限とする第一周波数範囲が、第二周波数群に含まれる最高周波数を上限とし最低周波数を下限とする第二周波数範囲と重複している。図8に示す本例では、先に送出される第一のバースト群の第一周波数範囲が上記のように1000Hz、1800Hz、2600Hz、3400Hzおよび4200Hzであり、次に送出される第二のバースト群の第二周波数範囲は1200Hz、2000Hz、2800Hz、3600Hzおよび4400Hzとすることができる。さらに、第三のバースト群の第三周波数範囲は、1400Hz、2200Hz、3000Hz、3800Hzおよび4600Hzとすることができる。
Dタイプのマルチトーンバーストを用いる場合も、Cタイプと同様に、第一から第三のバースト群に由来する目的信号12a〜12cを抽出する時間ゲートを設定するとともに、時間ゲートが設定されている時間帯と異なる時間に計測器13が計測した計測結果から不要成分の少なくとも一部を抑圧する。
具体的には、図8(b)に示すように、目的信号12aを選択的に抽出する時間ゲートと同じタイミングで設定される周波数ゲートFG−dには、たとえば900Hz以上1100Hz以下、1700Hz以上1900Hz以下、2500Hz以上2700Hz以下、3300Hz以上3500Hz以下、および4100Hz以上4300Hz以下を選択的に通過させるバンドパスフィルタを適用することができる。
また、目的信号12bを選択的に抽出する時間ゲートと同じタイミングで設定される周波数ゲートFG−eは、たとえば1100Hz以上1300Hz以下、1900Hz以上2100Hz以下、2700Hz以上2900Hz以下、3500Hz以上3700Hz以下、および4300Hz以上4500Hz以下を選択的に通過させるとよい。
そして、目的信号12cを選択的に抽出する時間ゲートと同じタイミングで設定される周波数ゲートFG−fは、たとえば1300Hz以上1500Hz以下、2100Hz以上2300Hz以下、2900Hz以上3100Hz以下、3700Hz以上3900Hz以下、および4500Hz以上4700Hz以下を選択的に通過させるとよい。
このように、バースト群に由来する目的信号を抽出する時間ゲートと重複するタイミングで、当該バースト群の周波数範囲を包含し、それよりも先に送出されたバースト群にかかる他の周波数範囲を包含しない周波数帯を選択的に通過させ、当該他の周波数範囲にかかる計測信号を不要信号として抑圧する。これによりCタイプと同様に、先に送出されたマルチトーンバースト群が壁面等で多重反射して計測時間内に入ってきたとしても、周波数が異なるために簡単にその影響を除去することができる。
<探査判定について>
解析装置151は、計測器13で得られた振動速度の計測結果を用いて、探査対象物3が存在する部位と存在しない部位とを特定する探査判定を行う。探査判定の具体的な処理は特に限定されないが、たとえば特許文献2に記載された下記の工程に基づいて行うことができる。
まず、計測器13が計測した振動速度の測定結果に基づいて、被照射体1の各測定箇所における周波数と振動速度との関係を表す振幅スペクトル(Sf)を求め、さらに周波数と振動エネルギー(PSD)との関係を求める。振動エネルギー(PSD)は、振動速度の2乗に比例する値である。つぎに、得られた周波数と振動エネルギー(PSD)との関係について特定範囲で積分値を求める。積分する範囲は特に限定されないが、計測器の共振周波数を含まない範囲で積分することが好ましい。そして、その積分値が最も小さい値であった測定箇所を最小PSD部とする。最小PSD部と判断された測定箇所は、探査対象物が存在しない部位として特定することができる。
このほか、最小PSD部に対するその他の測定箇所の振動エネルギーの比である振動エネルギー比(VER(1))を求め、その値が閾値以下であった測定箇所を、探査対象物が存在しない部位と判断してもよい。
また、探査対象物が存在しない部位と判断した測定箇所以外の測定箇所において、振幅スペクトル(Sf)からスペクトルエントロピー(H)を求め、最小PSD部よりも低いスペクトルエントロピー(H)を示す測定箇所が見つかった場合には、当該測定箇所を探査対象物が存在する部位と判断し、逆に、最小PSD部以上のスペクトルエントロピー(H)を示す測定箇所を計測不良箇所と判断してもよい。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明する。ただし本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
マルチトーンバースト波の有効性を確認するために図1に示す探査システム10で被照射体1に送波音波12を照射して探査対象物3の探査を行った。具体的には、探査対象物3として円形欠陥が埋設されたコンクリート供試体(被照射体1)での確認実験を行った。用いた欠陥部には厚さ25mm、直径200mmの円柱形の発泡スチロールが深さ80mmの位置に埋設されている。実験セットアップ図を図9に示す。計測器13にはスキャニングレーザタイプのレーザドップラ振動計を用いた。
測定点数は、円形欠陥の直上および外部に均等に配置された35点とした。コンクリート供試体の表面の振動速度を計測する条件として、図1に示す距離d=5.0(m)、距離d=5.3(m)、計測時の音速をVs=343.5(m/秒)とした(気温20度)。ここで、音響発信源11が送出する送波音波12の周波数帯域が、探査対象物3(円形欠陥)を内部に含む位置における被照射体1(コンクリート供試体)の共振周波数、および探査対象物3を内部に含まない位置における被照射体1の共振周波数をともに包含するように設定した。より具体的には、使用したマルチトーンバースト波はDタイプで、周波数範囲は1000Hzから4800Hz、周波数インターバルは200Hz、音波の送信間隔は30ミリ秒とした。図10は実施例に用いたマルチトーンバースト波の波形を示す。そして音響発信源11が上記の周波数帯域をカバーする送波音波12(バースト群)を複数回繰り返して送出するように任意波形発生装置17を設定した。本実施例では、1回のバースト群に5つの異なる周波数の要素波形が含まれており、4個のバースト群により上記の周波数範囲がカバーされる。そして、上記の周波数範囲(本実施例では1000Hzから4800Hzまで)の送波音波を測定点の1点に対して複数回ずつ照射した。具体的には、本実施例では、かかるバースト群を図10に示すように繰り返して20個、すなわちアベレージ5回でコンクリート供試体に照射した。図10に示すように、アベレージ1回のバースト群を測定点の1点に照射する時間は約0.12秒であり、アベレージ5回すなわち20個のバースト群を測定点の1点に照射する時間は約0.6秒であった。
比較例として使用したシングルトーンバースト波の周波数範囲も同様に1000Hzから4800Hzとし、周波数インターバルは200Hz、音波の送信間隔は50ミリ秒とした。シングルトーンバースト波の波形は図2(b)に示すものとし、異なる周波数のバースト群を1個ずつ、合計20個をコンクリート供試体に照射した。これによりアベレージ1回の照射が行われたことになる。20個のバースト群を測定点の1点に照射する時間は図2(b)に示すように約1.0秒であった。
振動エネルギーを用いた映像結果例を図11に示す。同図に示す結果から、実施例および比較例のどちらも、ほぼ同程度の欠陥検出が出来たことがわかる。
また、振動エネルギー比で最大値を示した測定点=9および円形欠陥中心部である測定点=13の振動速度スペクトルを図12に示す。図12(a)は、シングルトーンバースト波を照射したときの測定点=9(振動エネルギー比最大)の振動速度スペクトルを示す。図12(b)は、シングルトーンバースト波を照射したときの測定点=13(欠陥部の中心)の振動速度スペクトルを示す。図12(c)は、マルチトーンバースト波を照射したときの測定点=9(振動エネルギー比最大)の振動スペクトルを示す。そして図12(d)は、マルチトーンバースト波を照射したときの測定点=13(欠陥部の中心)の振動スペクトルを示す。
図12各図に示す結果より、振動速度スペクトルの最大値はシングルトーンバースト波の方がやや大きいもののノイズレベルは同程度であり、計測時間の短縮化に起因するS/N比の悪化の影響はほぼないことが確認された。
なお、計測器13で計測された振動速度を記録装置(図示せず)で記録する場合、一般的に測定点の1点ごとにデータ記録する必要があり、また1回のデータ記録にかかる遅延時間は約0.2秒程度である。したがって、実施例のようにマルチトーンバースト波を35点に照射した場合の計測時間の合計は(0.6秒+0.2秒)×35点=28秒程度である。一方、シングルトーンバースト波を照射する比較例の場合、実施例と同様に5回のアベレージでシングルトーンバースト波を照射するには、アベレージ1回毎にデータ記録をする必要があるため、計測時間の合計は(1.0秒+0.2秒)×5回×35点=210秒となる。したがって、実施例のようにアベレージ回数が複数回となるようにマルチトーンバースト波を連続して複数回繰り返して被照射体1に照射することにより、アベレージ1回ごとに行われるデータ記録の回数を減らし、もって計測時間を高速化することができる。具体的には同条件下のシングルトーンバースト波の7.5倍の高速計測が達成可能である。かかる高速化は、本実施例のように計測器13にスキャニングレーザタイプのレーザドップラ振動計を用いる場合のみならず、シングルレーザタイプのレーザ振動計を用いる場合にも実現される。特に、上記実施形態で用いた計測器13よりも高い出力のレーザドップラ振動計を用いた場合には、マルチトーンバースト波をアベレージ1回で照射するだけで同等の探査精度を実現することも可能になる。その場合には(0.12秒+0.2秒)×35点=11.2秒となるので、同条件下のシングルトーンバースト波の18.75倍の高速計測が達成可能である。
以上説明したように、本実施形態の探査システム10によれば、非接触音響探査法のS/N比を維持したまま、計測速度を飛躍的に改善するマルチトーンバーストおよび周波数ゲートが実現される。このことが、円形供試体を用いた実施例の実験結果から確認された。
上記実施形態は以下の技術思想を包含するものである。
探査対象物を内部に含む被照射体の表面に送波音波を照射して前記被照射体を振動させ、前記表面の複数の計測箇所において振動速度を計測して前記探査対象物の位置を判断する非接触音響探査システムであって、
前記送波音波を所定の送波時間間隔(T)ごとに送出する音響発信源と、
前記被照射体の前記表面の振動速度を計測する計測器と、
得られた振動速度の計測結果を用いて、前記探査対象物が存在する部位と存在しない部位とを特定する解析装置と、を有し、
前記送波時間間隔(T)が、前記送波音波が前記音響発信源より送出されてから前記被照射体の前記表面で反射して前記計測器に到達するまでの反射到達時間(T)よりも長く、かつ前記反射到達時間と前記送波音波の時間長(T)との和(T+T)よりも短いことを特徴とする非接触音響探査システム。
1 被照射体
3 探査対象物
10 探査システム
11 音響発信源
12 送波音波
12a〜12c 目的信号
13 計測器
15 コンピュータ
17 任意波形発生装置
19 アンプ
121 直接音波
122 反射音波
131 観察波
151 解析装置
152 制御装置
153 表示部

Claims (8)

  1. 探査対象物を内部に含む被照射体の表面に送波音波を照射して前記被照射体を振動させ、前記表面の複数の計測箇所において振動速度を計測して前記探査対象物の位置を判断する非接触音響探査システムであって、
    前記送波音波を所定の送波時間間隔(T)ごとに送出する音響発信源と、
    前記被照射体の前記表面の振動速度を計測する計測器と、
    得られた振動速度の計測結果を用いて、前記探査対象物が存在する部位と存在しない部位とを特定する解析装置と、を有し、
    前記音響発信源が前記送波時間間隔(T)ごとに送出する各回の前記送波音波が、当該送波音波が前記音響発信源より送出されてから前記被照射体の前記表面で反射して前記計測器に到達するまでの反射到達時間(T)よりも短い時間長(Ta)であり、
    各回の前記送波音波は、前記時間長(Ta)内の一の時刻の信号波形の中心周波数と他の時刻の信号波形の中心周波数とが異なるマルチトーンバースト波であり、かつ中心周波数が異なる前記信号波形同士が時間的に連続して含まれているかまたは中心周波数が異なる前記信号波形同士の間の時間間隔が前記反射到達時間T の1/2未満の長さであり、
    前記計測器が、前記マルチトーンバースト波に含まれる前記一の時刻の前記信号波形によって加振される前記被照射体の前記表面の振動速度および前記他の時刻の前記信号波形によって加振される前記被照射体の前記表面の振動速度を、前記送波音波が前記被照射体の前記表面で反射する目標到達時間(T )から前記反射到達時間(T )までの計測可能時間(T 〜T )内において計測することを特徴とする非接触音響探査システム。
  2. 前記送波時間間隔(T)が、前記反射到達時間(T)以上であり、かつ前記反射到達時間と前記送波音波の時間長との和(T+Ta)よりも短い請求項1に記載の非接触音響探査システム。
  3. 第一の前記送波音波に含まれる前記送波信号にかかる複数の周波数である第一周波数群に含まれる最高周波数と、前記第一の送波音波よりも後に送出される第二の前記送波音波に含まれる前記送波信号にかかる複数の周波数である第二周波数群に含まれる最高周波数と、が互いに異なる請求項1または2に記載の非接触音響探査システム。
  4. 前記第一周波数群に含まれる最高周波数を上限とし最低周波数を下限とする第一周波数範囲の一部が、前記第二周波数群に含まれる最高周波数を上限とし最低周波数を下限とする第二周波数範囲の一部と重複している請求項3に記載の非接触音響探査システム。
  5. 前記第一周波数群に含まれる最高周波数が前記第二周波数群に含まれる最低周波数よりも低いか、または前記第一周波数群に含まれる最低周波数が前記第二周波数群に含まれる最高周波数よりも高い請求項3に記載の非接触音響探査システム。
  6. 前記解析装置または前記計測器は、前記第二の送波音波が照射されて振動する前記被照射体の前記表面の振動速度に関する前記計測器の計測結果から、前記第一周波数群の信号の少なくとも一部を選択的に抑圧する請求項3から5のいずれか一項に記載の非接触音響探査システム。
  7. 前記解析装置は、前記第一および前記第二の送波音波が照射されて前記被照射体の前記表面が振動する時間帯をそれぞれ判定し、前記時間帯と異なる時間に前記計測器が計測した前記計測結果から不要成分の少なくとも一部を抑圧する請求項6に記載の非接触音響探査システム。
  8. 前記音響発信源が送出する前記送波音波の周波数帯域は、前記探査対象物を内部に含む位置における前記被照射体の共振周波数および前記探査対象物を内部に含まない位置における前記被照射体の共振周波数をともに包含しており、
    前記音響発信源が、前記周波数帯域をカバーする前記送波音波を複数回繰り返して送出する請求項1から7のいずれか一項に記載の非接触音響探査システム。
JP2016020264A 2016-02-04 2016-02-04 非接触音響探査システム Active JP6700054B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016020264A JP6700054B2 (ja) 2016-02-04 2016-02-04 非接触音響探査システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016020264A JP6700054B2 (ja) 2016-02-04 2016-02-04 非接触音響探査システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017138239A JP2017138239A (ja) 2017-08-10
JP6700054B2 true JP6700054B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=59564871

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016020264A Active JP6700054B2 (ja) 2016-02-04 2016-02-04 非接触音響探査システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6700054B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7117729B2 (ja) * 2018-05-09 2022-08-15 学校法人桐蔭学園 非接触音響解析システム及び非接触音響解析方法
JP7243983B2 (ja) * 2019-05-21 2023-03-22 学校法人桐蔭学園 非接触音響解析システム
EP4001963A4 (en) * 2019-07-16 2023-03-22 Aquafusion, Ltd. UNDERWATER INFORMATION DISPLAY DEVICE
WO2021241536A1 (ja) * 2020-05-29 2021-12-02 富士フイルム株式会社 構造物の検査方法及び検査システム
JP7432893B2 (ja) 2020-07-20 2024-02-19 学校法人千葉工業大学 遮音性能測定方法及び遮音性能測定システム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5837505B2 (ja) * 1979-04-05 1983-08-16 株式会社東芝 欠陥検出装置
US4380929A (en) * 1981-06-30 1983-04-26 Westinghouse Electric Corp. Method and apparatus for ultrasonic detection of near-surface discontinuities
JP5397969B2 (ja) * 2007-04-24 2014-01-22 有限会社ツツイ電子 埋設物健全性分別装置
JP6144038B2 (ja) * 2012-11-27 2017-06-07 片倉 景義 非接触音響検査装置および非接触音響検査方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017138239A (ja) 2017-08-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6700054B2 (ja) 非接触音響探査システム
JP6396076B2 (ja) 音波を用いた探知方法および非接触音響探知システム
RU2015110055A (ru) Система и способ для измерений звуковых волн с использованием источника акустического пучка
JP7243983B2 (ja) 非接触音響解析システム
JP6144038B2 (ja) 非接触音響検査装置および非接触音響検査方法
JP2014052333A (ja) 超音波検査装置と方法
JP6944147B2 (ja) 非接触音響探査法および非接触音響探査システム
Akamatsu et al. Study on non contact acoustic imaging method for concrete structures
JP2013545077A (ja) ボアホールを囲む層の線形及び非線形特性を画像処理する装置及び方法
JP7117729B2 (ja) 非接触音響解析システム及び非接触音響解析方法
JP2002296244A (ja) コンクリート構造物の診断方法及び装置
US20110048134A1 (en) Ultrasonic diagnostic apparatus
JP5732344B2 (ja) 音波を用いた探知方法、非接触音響探知システム、そのシステムで用いるプログラム、およびそのプログラムを記録した記録媒体
Sugimoto et al. Noncontact acoustic inspection of outer wall by acoustic irradiation induced vibration from UAV equipped with sound source
JP6479478B2 (ja) 超音波探傷方法
KR101082085B1 (ko) 초음파 영상 장치 및 그 제어 방법
JP2017101963A (ja) 内部欠陥検査装置及び方法
Sugimoto et al. Long distance measurement over 30m by high-speed noncontact acoustic inspection method using acoustic irradiation induced vibration
JP6684074B2 (ja) 音波を用いた強度推定方法および強度推定システム
JP2018132481A (ja) 解析装置及び解析システム
Sugimoto et al. Defect detection using the identification of resonance frequency by spatial spectral entropy for noncontact acoustic inspection method
JP6153240B2 (ja) 非接触音響検査装置
JP2006162377A (ja) 超音波探傷装置
JP2024141630A (ja) 非接触音響検査装置
Sugimoto et al. 1P2-8 High speed non-contact acoustic inspection method for civil engineering structure using multi tone burst wave

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191126

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200120

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200323

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200430

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6700054

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250