JP7117729B2 - 非接触音響解析システム及び非接触音響解析方法 - Google Patents
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更に、特許文献1には、超音波検査手段を用いて検査する場合には、水やグリセリン等の媒体が使用できる場所では振動素子を用いた超音波センサを用い、それ以外の場所では電磁超音波センサを用いる旨が記載されている。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、幅広い環境において点検調査が可能となる非接触音響解析システム及び非接触音響解析方法を提供するものである。
このように、平面波音波による加振によって生じるたわみ共振を原理とする手法である為、多用な環境で実施することができる。
図1は、本発明の実施形態の非接触音響解析システム(以下、「解析システム」と略記する場合がある)10の原理について説明する説明図である。
解析システム10は、少なくとも以下の音響発信源11、計測器13、及び解析装置151を含むコンピュータ15を備える。
音響発信源11は、対象面2に対して平面波音波12を送出する。
計測器13は、対象面2の振動速度を計測する。
解析装置151は、計測器13によって計測された対象面2の振動速度又は該振動速度に基づき算出された対象面2の振動エネルギー比を、対象面2の単位部位ごとに導出する機能を有する。
なお、本実施形態における音響発信源11は、後述する飛行体20に搭載され、計測器13及び解析装置151は地上に設置される(飛行体20に搭載されない)ことを前提として、以下説明する。しかしながら、ここで述べた構成は一具体例であり、上記の計測器13又は解析装置151に相当する構成が、飛行体20に搭載されることを必ずしも否定するものではない。
制御装置152は、飛行体20に搭載された任意波形発生装置17に対して無線通信によって制御信号を出力することによって、音響発信源11から送出される平面波音波12の周波数を自在に制御することができる。また、制御装置152は、任意波形発生装置17に対する制御信号と同期させて、計測器13に対して対象面2に係る振動速度の計測を開始させるトリガ信号を出力する。
表示部153には、後に説明する振動速度分布図や振動エネルギー比分布図等を表示することができる。ここで表示部153とはディスプレイ画面等を意味する。
解析システム10によって解析される構造物1としては、例えば、コンクリート構造物(橋梁やトンネル等の建築物)が挙げられる。
詳細は後述するが、本実施形態では計測器13にレーザドップラ振動計を用いるので、100~150メートル程度離れている位置に存在する対象面2についても振動速度を計測可能であるため、構造物1が比較的大きな建築物であっても解析対象としうる。
なお、本発明の実施において、飛行体20に搭載する音響発信源11の数やスピーカの角度等は特に限定されないが、飛行体20を安定的に飛行させる為、比較的軽量のものを用いることが好ましい。
音響発信源11から送出される平面波音波12は、空気中で振動振幅が減衰し難い可聴帯域の音波(音響波)が好ましい。超音波は空気中で振動振幅の減衰が大きいものの、音響発信源11が発する平面波音波12としての使用を排除するものではなく、音波には超音波を含む。平面波音波12の強度は、音響発信源11から構造物1へ当該平面波音波12を照射することで、構造物1の対象面2に90dB以上の音圧を発生させる強度であることが好ましく、100dB程度の音圧を発生させる強度であることがより好ましい。
計測器13にレーザドップラ振動計を用いる場合、計測器13はレーザ(観察波131)を対象面2に照射する。平面波音波12が照射されて振動する対象面2で観察波131が反射されて計測器13の受光部(不図示)で受光されることにより、計測器13は対象面2の振動速度を計測する。この観察波131は、欠陥部3を内包する構造物1の振動状況を示す目的信号とも解される。計測器13で得られた対象面2の振動速度の計測データは解析装置151で解析するために用いられる。
アンプ19に用いられる機器は特に限定されず、例えば、市販のオーディオアンプを用いることができる。
計測器13に入射する直接音波121及び反射音波122は、計測器13を不要に振動させ、目的とする対象物(構造物1)の振動を検出する感度を低下させる要因になりうる。また、直接音波121や反射音波122が構造物1の周囲に存在する種々の部材(不図示)において反射することによって生じる多重反射波が計測器13に到達することも振動検出の感度を低下する要因になりうる。仮に、直接音波121、反射音波122及び多重反射波の影響が振動検出の感度低下を招く場合、これらの影響を低減させる対策を施すことが必要となり得る。
なお、以下の説明において、このような対策を不要信号対策と称して例示する。この不要信号対策は、本発明の実施において必ずしも適用されなくてもよく、本発明を実施する環境において許容される場合に適用すればよい。
たとえば、音響発信源11によって送出される送波音波の周波数範囲及びその近傍帯域を抽出する周波数ゲートを、解析システム10に適用してもよい。或いは、構造物1の振動計測を繰り返し行うことにより不要信号の周波数帯域が経験的に定まる場合には、経験的に定められた当該周波数帯域を除去する周波数ゲートを用いてもよい。
なお、観察波131(レーザ)の速度は音速に比べて十分に高いため、構造物1の表面の振動が開始する目標到達時間T1の直後から構造物1の振動計測を行うことができる。
このとき、複数の共振周波数を有する欠陥が複合して存在していることが考えられるために、欠陥部3の可視化には振動速度分布だけではなく、振動エネルギー比とスペクトルエントロピーを用いた欠陥検出アルゴリズムも併用することにより明瞭に可視化を図ることができる。
一つ目の送信方法は、送波時間間隔T0ごとに周波数の異なる要素波形(トーンバースト波)を平面波音波として順次送信することによって、欠陥部3の解析に必要な周波数帯域をカバーする方法である。この送信方法では、十分な長さの送波時間間隔T0ごとに送出される個々の送波音波において周波数は一定である。便宜上、この送信方法によって送信される平面波音波をシングルトーンバースト波と呼ぶことにする。
二つ目の送信方法は、送波時間間隔T0ごとに到来する1回の送出タイミングにおいて、送波時間間隔T0より短い時間長さであって且つ各々が異なる周波数である要素波形(トーンバースト波)を複数含む平面波音波を送信することによって、欠陥部3の解析に必要な周波数帯域を1回の音波送信で複数の帯域にわたってカバーする方法である。便宜上、この送信方法によって送信される平面波音波をマルチトーンバースト波と呼ぶことにする。
しかしながら、欠陥部3自体のたわみ共振を起こすという観点から見た場合には、共振周波数を含む信号波形の長さが短いと振動発生効率が落ちるためにS/N比の劣化を招くことになるため、上記のシングルトーンバースト波及びマルチトーンバースト波を用いた方が良好な結果が得られる。
以下、解析システム10を用いた評価実験について説明する。
図2は、構造物1、飛行体20及び計測器13の位置関係を示す模式図である。
図3及び図4は、構造物1の内部に埋め込んだ模擬欠陥の配置を示す断面図である。
即ち、飛行体20によって構造物1の対象面2に近づき、飛行体20に搭載した音響発信源11から平面波音波12を照射した対象面2を上記の原理に基づいて解析するので、たとえ高所等の人が立ち寄りがたい場所であっても、構造物1の内部(対象面2の近傍)に生じた欠陥部3を容易に検出することができる。
ここで模擬欠陥とは人為的に作成した欠陥部であり、具体的には、0.5ミリメートル厚のスチレンシート31~34及び1ミリメートル厚の発泡シート35~38である。
スチレンシート31~34は、それぞれの中心が外壁供試体の上部から40センチメートルに位置し、且つ、それぞれの中心が40センチメートル間隔になるように配置されている。
発泡シート35~38は、それぞれの中心が外壁供試体の上部から70センチメートルに位置し、且つ、それぞれの中心が40センチメートル間隔になるように配置されている。
なお、図3に図示するように、構造物1(外壁供試体)の内部には、スチレンシート31~34及び発泡シート35~38の他に、これらと同様の模擬欠陥39(4つのスチレンシートと4つの発泡シート)が埋設されているが、本評価実験では解析対象としなかった為、詳細な説明については省略する。
ここで、図4(a)にスチレンシート34の埋没状態を例示する。スチレンシート34は、母材(駆体コンクリート44)の表面に0.5ミリメートル厚の両面テープ45で貼り付けられており、その上からモルタル43で覆い、更にモルタル43の上には貼付モルタル42(又は接着剤)を塗布してタイル(例えば、タイル41a)を貼り付けている。従って、駆体コンクリート44からタイル41aの上面までの距離を10ミリメートルとすると、スチレンシート34の埋没深さはタイル41aの上面から約9ミリメートル程度である。なお、スチレンシート31~33の埋没状態及び埋没深さについても、スチレンシート34と概ね同じである。
ここで、図4(b)に発泡シート35の埋没状態を例示する。発泡シート35は、母材(駆体コンクリート44)の表面に直に接した状態においてモルタル43で覆われており、更にモルタル43の上には貼付モルタル42(又は接着剤)を塗布してタイル(例えば、タイル41b)を貼り付けている。従って、駆体コンクリート44からタイル41bの上面までの距離を10ミリメートルとすると、発泡シート35の埋没深さはタイル41bの上面から約9ミリメートル程度である。なお、発泡シート36~38の埋没状態及び埋没深さについても、発泡シート35と概ね同じである。
なお、ここで述べた構成は一具体例であり、飛行体20が有人航空機であることを必ずしも否定するものではなく、ここに挙げていない構成を飛行体20に搭載してもよい。
本評価実験における解析装置151は、飛行体20の飛行中にレーザ距離計によって計測された距離D1が所定範囲内(本評価実験では3メートル程度)であることを条件として、対象面2の単位部位ごとに対象面2の振動速度又は対象面2の振動エネルギー比を導出するものとする。対象面2に対する音圧を所定の水準(本評価実験では95dB程度)に維持した上で、対象面2の振動速度を計測するためである。
なお、飛行体20に搭載するレーザ距離計は、非接触に対象面2までの距離を計測可能であればよく、必ずしもレーザ式の距離計である必要はない。また、距離D1については、その測定条件(音響発信源11から送出する平面波音波12の強度等)に応じて適宜変更可能である。
ここで当該追尾機構は、人間が手動によって計測器13に係る観察波131の照射位置を照準点に合わせる為に設けられるものであってもよいし、自律的に計測器13に係る観察波131の照射位置を照準点に合わせるものであってもよい。
なお、飛行体20に搭載する照準用レーザポインタは、非接触に対象面2に照準点を指し示すことができればよく、必ずしもレーザ式のポインタである必要はない。
本評価実験では、音響発信源11から対象面2までの距離D1は3メートル程度を想定するのに対して、計測器13から対象面2までの距離D2はより遠方(例えば、100~150メートル程度)に離間しても構わない。なお、距離D2の値が大きい場合は、平面波音波12の反射音波122が測定に与える影響が十分に小さいため、平面波音波12の送出間隔にインターバル時間を設ける等の対策は必要ない。従って、本評価実験における加振用波形としては、1回の音波送出で必要とされる周波数帯を全て含んだマルチトーンバースト波が、最も短時間で計測ができるために適していると思われる。
このマルチトーンバースト波を利用すると、1つの測定点あたり60ミリ秒の加振時間で対象面2の振動速度を計測可能である為、極めて短時間(例えば81点で約21秒)で計測を行うことが可能である。
なお、解析装置151は、上記のような平面画像(対象面2の振動速度分布図)を表示部153に出力するのみならず、不図示の印刷手段によって印刷出力できてもよい。
このマルチトーンバースト波を利用すると、1つの測定点あたり200ミリ秒の加振時間で対象面2の振動速度を計測可能である。図5に示したマルチトーンバースト波を利用するよりも計測時間が長くなるものの、1回でより多くの周波数のトーンバースト波が送出されるので、より多くのたわみ共振周波数に係る欠陥部3を検出することができる。
なお、解析装置151は、上記のような平面画像(対象面2の振動エネルギー比分布図)を表示部153に出力するのみならず、不図示の印刷手段によって印刷出力できてもよい。
図9は、上述した本評価実験の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、構造物1の対象面2に平面波音波12を照射することをもって構造物1の内部に生じた欠陥部分(欠陥部3)を解析する非接触音響解析方法の手順とも言える。
飛行体20が所定の計測エリア(対象面2)の前方に位置するまで(ステップS12のNO)、飛行体20の移動を継続し、飛行体20が所定の計測エリアの前方に位置した時点でホバリング(空中停止)する(ステップS12のYES)。
ステップS13において計測された距離が所定範囲内であること(ステップS14のYES)を条件として次の工程(ステップS15)に進み、所定範囲外である場合(ステップS14のNO)には前述したステップS11に戻り、飛行体20(音響発信源11)と対象面2との距離を調整する。
ここで後述する導出工程(ステップS19)に進む為には、ステップS14がYESとなることを条件としているので、導出工程は、ステップS13において計測された距離が所定範囲内であることを条件として、対象面2の単位部位ごとに対象面2の振動速度又は対象面2の振動エネルギー比を導出しているものと言える。
ステップS15において調整された観察波131の照射位置が、照準点を基準として計測可能な範囲内であること(ステップS16のYES)を条件として次の工程(ステップS17)に進み、範囲外である場合(ステップS16のNO)には前述したステップS15に戻り、再び観察波131の照射位置を照準点に合わせるように調整する。
これにより、後述する振動速度計測工程(ステップS18)では、ステップS15で調整した照射位置に対してレーザードップラ振動計を用いて対象面2の振動速度を計測することができる。
計測器13は、ステップS17において音響発信源11から送出された平面波音波12が照射された対象面2の振動速度を計測する(ステップS18;振動速度計測工程)。
解析装置151は、ステップS18において計測された対象面2の振動速度又は該振動速度に基づき算出した対象面2の振動エネルギー比を、対象面2の単位部位ごとに導出する(ステップS19;導出工程)。
全ての計測点について測定を終えた後に、解析装置151は、ステップS19において導出された対象面2の振動速度又は対象面2の振動エネルギー比に基づいて構造物1の欠陥部分(欠陥部3)に係る解析結果を出力する(ステップS21;解析結果出力工程)。
なお、上記の手順は、本発明に係る非接触音響解析方法を実施する手順の一具体例に過ぎず、本発明の目的を達成する範囲内において一部の工程を省略したり、一部の工程の順序を入れ替えたり、一部の工程を並行して進めたり、ここで記載していない別の工程を追加したりしてもよい。
上記の評価実験では、音響発信源11は飛行体20に搭載しているので、対象面2に対して正対する位置から平面波音波12を照射させることができる一方、計測器13(レーザードップラ振動計)は地上に設置しているため、対象面2に対して斜の位置から観察波131を照射させることになる。
この点を鑑みて、観察波131の入射角と対象面2の振動振幅の関係について検証する為、追加の実験(以下、追加実験と称する)を行った。
構造物1(コンクリート供試体)から音響発信源11までの距離D3を5メートル、構造物1から計測器13までの距離D4を5.4メートルとし、計測器13から照射される観察波131の入射角θを変化させた場合における対象面2の振動振幅(計測器13の計測結果)の変化を観察した。
なお、構造物1には対象面2から50ミリメートルの深さに30センチメートル角の発泡スチロール(不図示)が埋設されており、これを模擬欠陥とする。
また、構造物1の対象面2付近における平面波音波12の音圧は100dBに設定した。
図12に示す通り、観察波131が対象面2から60°近くの角度が付いても概ね理論値に近似する計測値が得られる為、特に問題なく計測可能であることが明らかになった。当然の事ながら入射角θが変化することにより検出される振幅の大きさは変化していくが、本発明では相対的な分布が検出できれば欠陥検出には問題ないといえる。また、観察波131の角度依存性は計測対象となる構造物1にも依存するわけであるが、コンクリートやタイル等のように観察波131が当たった場合に散乱光を発するような表面粗さを持つものであれば同様な傾向を示すことが想定される。ただし、鏡のように観察波131を完全反射するような物体を計測対象とした場合、戻り光が全く無いために計測不能となる。
ここまで図1から図12を用いて説明される実施例に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
例えば、構造物1の対象面2の付近に仮設足場を組む等して、上に列挙した構成及び作業員をその仮設足場に配置することによっても、本発明に係る非接触音響解析システム及び非接触音響解析方法を実施することができる。
例えば、解析装置151は、導出した対象面2の振動速度又は対象面2の振動エネルギー比が所定の閾値以上である単位部位が連続的に存在している平面画像上の島部分を求め、求めた島部分の大きさ又は形状のうち少なくとも一方に基づいて、島部分の内部側が構造物1の欠陥部分であるか否かの良否判定を行い、良否判定の結果を解析結果として出力してもよい。
ステップS31~S36については、上述したステップS11~S16の手順と同様なので、詳細な説明については省略する。
計測器13(レーザドップラ振動計)は、ステップS37において平面波音波12が照射された対象面2を走査(スキャン)して連続する計測点(連続N点)に対して振動速度を計測する(ステップS38)。
ステップS38における計測点が最終の計測点であれば(ステップS39のYES)を条件として次の工程(ステップS40)に進み、最終の計測点ではない場合(ステップS39のNO)には前述したステップS35に戻り、飛行体20のホバリング位置については維持させたまま、計測器13を動かして観察波131の照射位置を調整する。
ここで、次の計測エリアが存在するのであれば、飛行体20のホバリング位置を変更する為、次の計測エリアに移動し(ステップS41のYES)、全ての計測エリアについて計測データを収集したのであれば(ステップS41のNO)、解析装置151がデータ解析を行って評価実験を終了する(ステップS42;データ解析工程)。
なお、データ解析工程とは、上述した導出工程(ステップS20)及び解析結果出力工程(ステップS21)を包含する手順である。
飛行体20のホバリング位置を調整する手順(ステップS31~S34)には比較的時間と手間が掛かる。上述した変形例に係る手順は、飛行体20の位置調整に係る手順の回数の最少化を図ることができ、評価実験全体としての時間と手間を低減させるというメリットがある。
この変形例に係る手順は比較的広い計測エリアを一気に計測することができる為、図7や図8を用いて説明した、マルチトーンバースト波を構造物1の対象面2を網羅的に照射する解析方法(外壁タイルの剥離といった対象面2からごく浅い位置に生じた欠陥について解析する方法)に好ましく適用可能な手順であると言える。
(1)構造物の対象面に平面波音波を照射することをもって前記構造物の内部に生じた欠陥部分を解析する非接触音響解析システムであって、前記平面波音波を送出する音響発信源と、前記対象面の振動速度を計測する計測器と、前記計測器によって計測された前記対象面の振動速度又は該振動速度に基づき算出された前記対象面の振動エネルギー比を、前記対象面の単位部位ごとに導出する解析装置と、を備え、前記解析装置は、前記音響発信源から送出された前記平面波音波が照射された前記対象面について導出した前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比に基づいて前記構造物の欠陥部分に係る解析結果を出力することを特徴とする非接触音響解析システム。
(2)前記解析装置は、前記対象面の単位部位ごとに導出した前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比を、各単位部位を座標位置とする平面画像に描画し、得られた前記平面画像を解析結果として出力する(1)に記載の非接触音響解析システム。
(3)前記解析装置は、導出した前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比が所定の閾値以上である単位部位が連続的に存在している前記平面画像上の島部分を求め、求めた前記島部分の大きさ又は形状のうち少なくとも一方に基づいて、前記島部分の内部側が前記構造物の欠陥部分であるか否かの良否判定を行い、前記良否判定の結果を解析結果として出力する(2)に記載の非接触音響解析システム。
(4)前記音響発信源は、送波時間間隔ごとに到来する1回の送出タイミングにおいて、前記送波時間間隔より短い時間長さであって且つ各々が異なる周波数であるトーンバースト波を複数含むマルチトーンバースト波を前記平面波音波として送出する(1)から(3)のいずれか一つに記載の非接触音響解析システム。
(5)前記音響発信源によって1回の送出タイミングに送出される前記マルチトーンバースト波を構成する各々の前記トーンバースト波の周波数が、所定の周波数間隔で連続的に変化する(4)に記載の非接触音響解析システム。
(6)前記音響発信源によって1回の送出タイミングに送出される前記マルチトーンバースト波を構成する各々の前記トーンバースト波が、次数が連続的に変化する高次高調波となるように配置されている(4)に記載の非接触音響解析システム。
(7)前記音響発信源が無人航空機に搭載されている(1)から(6)のいずれか一つに記載の非接触音響解析システム。
(8)前記無人航空機は、前記音響発信源が前記平面波音波を照射する前記対象面までの距離を計測する距離計を搭載しており、前記解析装置は、前記無人航空機の飛行中に前記距離計によって計測された距離が所定範囲内であることを条件として、前記対象面の単位部位ごとに前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比を導出する(7)に記載の非接触音響解析システム。
(9)前記無人航空機は、前記音響発信源が前記平面波音波を照射する前記対象面に、照準点を指し示す照準ポインタを搭載しており、前記計測器は、前記対象面に観察波を照射して該対象面の振動速度を計測するレーザードップラ振動計であり、前記レーザードップラ振動計から照射される前記観察波の照射位置を、前記照準ポインタが指し示す前記照準点の移動に合わせて追尾させる追尾機構を備えている(7)又は(8)に記載の非接触音響解析システム。
(10)構造物の対象面に平面波音波を照射することをもって前記構造物の内部に生じた欠陥部分を解析する非接触音響解析方法であって、音響発信源から前記平面波音波を送出させる音波送出工程と、前記音波送出工程において前記音響発信源から送出された前記平面波音波が照射された前記対象面の振動速度を計測する振動速度計測工程と、前記振動速度計測工程において計測された前記対象面の振動速度又は該振動速度に基づき算出した前記対象面の振動エネルギー比を、前記対象面の単位部位ごとに導出する導出工程と、前記導出工程において導出された前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比に基づいて前記構造物の欠陥部分に係る解析結果を出力する解析結果出力工程と、を含むことを特徴とする非接触音響解析方法。
(11)前記音響発信源が無人航空機に搭載されている(10)に記載の非接触音響解析方法。
(12)前記音響発信源から前記平面波音波が照射される前記対象面までの距離を、前記無人航空機に搭載させた距離計を用いて計測する距離計測工程を含み、前記導出工程では、前記距離計測工程において計測された距離が所定範囲内であることを条件として、前記対象面の単位部位ごとに前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比を導出する(11)に記載の非接触音響解析方法。
(13)前記無人航空機は、前記音響発信源が前記平面波音波を照射する前記対象面に、照準点を指し示す照準ポインタを搭載しており、レーザードップラ振動計から照射される観察波の照射位置を前記照準ポインタが指し示す前記照準点に合わせて調整する照準位置調整工程を含み、前記振動速度計測工程では、前記照準位置調整工程で調整した前記レーザードップラ振動計を用いて前記対象面の振動速度を計測する(11)又は(12)に記載の非接触音響解析方法。
2 対象面
3 欠陥部
10 解析システム
11 音響発信源
12 平面波音波
13 計測器
15 コンピュータ
17 任意波形発生装置
19 アンプ
20 飛行体
21 反射源
31~34 スチレンシート
35~38 発泡シート
39 模擬欠陥
41a、41b タイル
42 貼付モルタル
43 モルタル
44 駆体コンクリート
45 両面テープ
121 直接音波
122 反射音波
131 観察波
151 解析装置
152 制御装置
153 表示部
Claims (9)
- 構造物の対象面に平面波音波を照射することによって前記対象面を加振させ、加振させた前記対象面の振動速度を計測することに基づいて前記構造物の内部に生じた欠陥部分を解析する非接触音響解析システムであって、
前記平面波音波を送出する音響発信源と、
前記音響発信源を搭載させた無人航空機と、
地上に設置され、前記対象面に観察波を照射して前記観察波の照射位置の 振動速度を計測するレーザードップラ振動計と、
前記レーザードップラ振動計 によって計測された前記対象面の振動速度又は該振動速度に基づき算出された前記対象面の振動エネルギー比を、前記対象面の単位部位ごとに導出する解析装置と、
を備え、
前記無人航空機は、前記音響発信源が前記平面波音波を照射する前記対象面までの距離を計測する距離計と、前記対象面に照準点を指し示す照準ポインタと、を搭載しており、
前記レーザードップラ振動計は、
前記照準ポインタが指し示す前記照準点に合わせて、前記観察波の照射位置を手動又は自律的に追尾させる追尾機構を有しており、
前記無人航空機の飛行中に前記距離計によって計測された距離が所定範囲内であることを条件として、前記観察波の照射位置を前記照準点に追尾させることによって、複数の前記単位部位のそれぞれを加振させ、前記単位部位ごとの振動速度を計測し、
前記解析装置は、前記対象面の単位部位ごとに前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比を導出し、導出した前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比に基づいて前記構造物の欠陥部分に係る解析結果を出力する、
ことを特徴とする非接触音響解析システム。 - 前記無人航空機が前記対象面の前方でホバリングして前記無人航空機から前記対象面までの距離が前記所定範囲内である間に前記照準ポインタが指し示す前記照準点の位置が前記対象面上で変化し、前記追尾機構によって前記観察波の照射位置を前記照準点に追尾させることによって、複数の前記単位部位のそれぞれを加振させ、前記単位部位ごとの振動速度を連続して計測する、
請求項1に記載の非接触音響解析システム。 - 前記解析装置は、前記対象面の単位部位ごとに導出した前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比を、各単位部位を座標位置とする平面画像に描画し、得られた前記平面画像を解析結果として出力する請求項1又は2に記載の非接触音響解析システム。
- 前記解析装置は、
導出した前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比が所定の閾値以上である単位部位が連続的に存在している前記平面画像上の島部分を求め、
求めた前記島部分の大きさ又は形状のうち少なくとも一方に基づいて、前記島部分の内部側が前記構造物の欠陥部分であるか否かの良否判定を行い、前記良否判定の結果を解析結果として出力する請求項3に記載の非接触音響解析システム。 - 前記音響発信源は、送波時間間隔ごとに到来する1回の送出タイミングにおいて、前記送波時間間隔より短い時間長さであって且つ各々が異なる周波数であるトーンバースト波を複数含むマルチトーンバースト波を前記平面波音波として送出する請求項1から4のいずれか一項に記載の非接触音響解析システム。
- 前記音響発信源によって1回の送出タイミングに送出される前記マルチトーンバースト波を構成する各々の前記トーンバースト波の周波数が、所定の周波数間隔で連続的に変化する請求項5に記載の非接触音響解析システム。
- 前記音響発信源によって1回の送出タイミングに送出される前記マルチトーンバースト波を構成する各々の前記トーンバースト波が、次数が連続的に変化する高次高調波となるように配置されている請求項5に記載の非接触音響解析システム。
- 構造物の対象面に平面波音波を照射することによって前記対象面を加振させ、加振させた前記対象面の振動速度を地上に設置したレーザードップラ振動計を用いて計測することに基づいて前記構造物の内部に生じた欠陥部分を解析する非接触音響解析方法であって、
前記平面波音波を送出させる音響発信源と、前記音響発信源が前記平面波音波を照射する前記対象面までの距離を計測する距離計と、前記対象面に照準点を指し示す照準ポインタと、を搭載させた無人航空機を、前記対象面の前方に移動させる移動工程と、
前記音響発信源から前記平面波音波が照射される前記対象面までの距離を、前記無人航空機に搭載させた距離計を用いて計測する距離計測工程と、
前記距離計測工程において計測された距離が所定範囲内であることを条件として、前記レーザードップラ振動計から照射される観察波の照射位置を調整する照準位置調整工程と、
前記 音響発信源から前記平面波音波を送出させる音波送出工程と、
前記音波送出工程において前記音響発信源から送出された前記平面波音波が照射された前記対象面の振動速度を、前記レーザードップラ振動計を用いて計測する振動速度計測工程と、
前記振動速度計測工程において計測された前記対象面の振動速度又は該振動速度に基づき算出した前記対象面の振動エネルギー比を、前記対象面の単位部位ごとに導出する導出工程と、
前記導出工程において導出された前記対象面の振動速度又は前記対象面の振動エネルギー比に基づいて前記構造物の欠陥部分に係る解析結果を出力する解析結果出力工程と、
を含 み、
前記レーザードップラ振動計は、前記照準ポインタが指し示す前記照準点に合わせて、前記観察波の照射位置を手動又は自律的に追尾させる追尾機構を有しており、
前記距離計測工程において計測された距離が所定範囲内であることを条件として、前記照準位置調整工程において前記観察波の照射位置を前記照準点に追尾させることによって、前記振動速度計測工程において複数の前記単位部位のそれぞれを加振させ、前記単位部位ごとの振動速度を計測する、
ことを特徴とする非接触音響解析方法。 - 一回の前記移動工程及び前記距離計測工程に対して、前記照準位置調整工程と前記音波送出工程と前記振動速度計測工程を複数回繰り返すことによって、複数の前記単位部位のそれぞれを加振させ、前記単位部位ごとの振動速度を連続して計測する、
請求項8に記載の非接触音響解析方法。
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