JP2018132481A - 解析装置及び解析システム - Google Patents

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恒美 杉本
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裕 中川
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Abstract

【課題】非破壊的に被検体を解析する解析システム及びその解析システムに用いられる解析装置を提供する。
【解決手段】振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体の表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに、被検体の表面に与えられた振動の振動速度に係る波形の位相を求め、求められた各部位における位相と第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])のうち一方が所定値を超えており他方が所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を第一領域と第二領域との境界として推定する。
【選択図】図8

Description

本発明は、解析装置及び解析システムに関するものである。
特性の異なる複数の部材を接合することによって構成されている製品や部品は世に広く流通しており、このような製品等の検査では接合部の健全性を解析することが品質保持の観点からきわめて重要である。
可能であれば製品等を破壊せずに接合部の健全度を検査できることが望ましいが、このような検査方法の実現に向けて様々な研究及び開発が行われている。
例えば、下記の特許文献1には、第2の部材に溶接されている第1の部材の表面にレーザ光を照射して超音波振動を生起させ、第1の部材から第2の部材に伝播した超音波振動の周波数及び波長を求め、求められた値を所定の関係式に代入することによって、溶接部の断面寸法を算出する検査装置が提案されている。
特開2014−185945号公報
特許文献1に例示するように、検査対象物(被検体)を振動させた様子を解析することによって非破壊的に検査を行う方式は従来においても種々提案されているものの、計測条件が十分に整っている環境において実現可能であったとしても実際の製作現場においては導入できない事例が多々存在しており、このような製作現場にも適用可能な新たな解析方式の開発が求められている。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、非破壊的に被検体を解析する解析システム及びその解析システムに用いられる解析装置を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出し、本発明を完成させた。
本発明は次の(i)〜(vii)である。
(i)互いに隣接しており且つ振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体について、前記第一領域と前記第二領域との境界を解析する解析装置であって、前記被検体の表面に与えられた振動の振動速度に係る波形の位相を、前記表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、求められた各部位における位相と前記第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、前記特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における前記位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び前記一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における前記位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])を算出し、算出された前記第1分散値及び前記第2分散値のうち一方が所定値を超えており他方が前記所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定することを特徴とする解析装置。
(ii)前記所定値は1と定められており、前記解析装置は、前記第1分散値に係る対数と前記第2分散値に係る対数との積である分散値積が負である場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定する(i)に記載の解析装置。
(iii)前記解析装置は、前記特定の線分上の各部位について前記分散値積を算出し、算出された前記分散値積が負である部位のうちkが最小である部位を、前記一端側の前記境界として推定し、算出された前記分散値積が負である部位のうちkが最大である部位を、前記一端の他端側の前記境界として推定する(ii)に記載の解析装置。
(iv)前記解析装置は、前記特定の線分上の各部位について前記分散値積を算出し、算出された前記分散値積が負である部位のうち、前記分散値積が前記参照点近傍の局所領域における極小値である部位を、前記境界として推定する(ii)に記載の解析装置。
(v)前記解析装置によって推定される前記境界の間に含まれる部位の点数が、百未満である(i)から(iv)のいずれか一つに記載の解析装置。
(vi)互いに隣接しており且つ振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体の表面を加振する加振源と、前記被検体の前記表面の振動速度を計測する計測器と、前記計測器による計測に基づいて前記第一領域と前記第二領域との境界を解析する解析装置と、を有している解析システムであって、前記解析装置は、前記計測器によって計測された振動速度に係る波形の位相を、前記表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、求められた各部位における位相と前記第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、前記特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における前記位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び前記一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における前記位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])を算出し、算出された前記第1分散値及び前記第2分散値のうち一方が所定値を超えており他方が前記所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定することを特徴とする解析システム。
(vii)前記被検体は、複数の部材を溶接、溶着又は接着することによって接合されている接合部を内部に含んでおり、前記解析装置は、前記接合部の内部領域と外部領域との境界を解析する(vi)に記載の解析システム。
本発明者による検証により、互いに隣接しており且つ振動特性が異なる複数の領域を含む被検体の表面を振動させて被検体の表面における計測点毎に振動速度波形の位相を求めた場合、求めた位相と所定の参照点における位相との位相差に基づく演算処理によって、複数の領域の境界を推定可能である旨の知見に想到した。
本発明は、上記の知見に基づいて被検体に含まれる複数の領域の境界を推定するものであり、その解析結果に基づいて被検体の健全性等を判定することもできる。
本発明によれば、非破壊的に被検体を解析する解析システム及びその解析システムに用いられる解析装置を提供することができる。
本発明の解析システムの構成を示す説明図である。 本実施例で使用した被照射体を示す図である。 (a)は、シングルトーンバースト波の送出方法を説明する説明図である。(b)は、本実施例で被照射体に照射したシングルトーンバースト波の波形を示す図である。 被照射体にシングルトーンバースト波を照射した場合に、溶接部上と非溶接部上において計測された振動速度のタイムチャートである。 被照射体の計測結果を描画した平面画像と、実際に円痕部を撮影した撮影画像と、の比較を示す図である。 画像化処理によって出力された平面画像を示す図である。 円痕部上を通るラインL1における計測例を示す図である。 データ番号kを基準とした前後の短い区間幅(w)の分散値の概念図である。 本実施例における推定方法の概念図である。 ラインL2とラインL3における各部位の位相差と、各部位における位相差の分散値積と、を比較した説明図である。
本発明について説明する。
図1は、本発明の実施形態の解析システム10の構成を示す説明図である。はじめに、解析システム10の概要について説明する。
解析システム10は、互いに隣接しており且つ振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体について、第一領域と第二領域との境界を解析するシステムである。例えば、解析システム10は、複数の部材(例えば、第一部材2及び第二部材4)を溶接、溶着又は接着することによって接合されている接合部3を内部に含んでいる被照射体1を被検体とし、接合部3の内部領域と外部領域との境界を解析するシステムである。
解析システム10は、音響発信源11、計測器13、および解析装置151を含むコンピュータ15を備える。
音響発信源11は、被検体の表面を加振する加振源である。より具体的には、音響発信源11は、被照射体1に送波音波12を送出することによって被検体の表面を加振することができる。なお加振源の例としては、送波音波の照射によって被検体を加振するものに限られず、例えばレーザ光の照射によって被検体を加振するものであってもよい。
計測器13は、被照射体1の表面の振動速度を計測する計器である。
解析装置151は、計測器13によって計測された振動速度(被照射体1の表面に与えられた振動の振動速度)に係る波形の位相を、表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、求められた各部位における位相と第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差に基づいて、第一領域と第二領域との境界(接合部3の内部領域と外部領域との境界)を解析する機能を有する。
ここで「振動特性が異なる第一領域と第二領域」とは、同じ条件で第一領域を局所的に加振した場合と第二領域を局所的に加振した場合とで、計測される振動特性が互いに相違することをいう。以下の実施例における第一領域は、例えば接合部3の内部領域であり、以下の実施例における第二領域は、例えば接合部3の外部領域である。
解析システム10は、任意波形発生装置17およびアンプ19を更に有している。コンピュータ15は、解析装置151に加えて制御装置152および表示部153を含んでおり、制御装置152によって任意波形発生装置17を制御して、所望の周波数の音波を音響発信源11から発生させる。計測器13は、任意波形発生装置17が発生するトリガ信号に制御装置152を同期させて計測する。表示部153には、後に説明する振動速度分布図等を表示することができる。表示部とはディスプレイ画面等を意味する。
以下、解析システム10について更に詳細に説明する。
解析システム10によって解析される被照射体1としては、例えば、金属、樹脂、セラミック等を接合することによって構成されているものが挙げられる。
被照射体1に内包されている接合部3において接合されている第一部材2と第二部材4とは、同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。また、第一部材2と第二部材4とを接合する方法については、特に制限されず、各部材に適した接合方法が適宜選択されればよい。
音響発信源11には、被照射体1に面的に加振を加えうるフラットスピーカを好ましく用いることができる。フラットスピーカとしては、具体的に、エフ・ピー・エス社のFPS2030M3P1Rが挙げられる。音響発信源11には、フラットスピーカの他、パラメトリックスピーカも好ましく用いることができ、更にはラウドスピーカやパルスレーザ、高圧ガスガン、衝撃波管を用いることができる。なお、音響発信源11の数やスピーカの角度等は特に限定されない。
音響発信源11から被照射体1へ照射される送波音波12は、所望の周波数(ω)に調整することができ、かつ、被照射体1の表面をその振動速度が計測器13によって測定できる程度に、表面に対して平行方向ではない方向(好ましくは、表面に対する垂直方向)へ振動させることができる音波であればよい。送波音波12は、空気中で振動振幅が減衰し難い可聴帯域の音波(音響波)が好ましい。超音波は空気中で振動振幅の減衰が大きいものの、音響発信源11が発する送波音波12としての使用を排除するものではなく、音波には超音波を含む。送波音波12の強度は、音響発信源11から被照射体1へ当該送波音波12を照射することで、被照射体1の表面に90dB以上の音圧を発生させる強度であることが好ましく、100dB程度の音圧を発生させる強度であることがより好ましい。
計測器13は、送波音波12により加振された被照射体1の振動を光学的に計測する手段である。本実施形態に用いられる計測器13は、被照射体1の表面の振動速度を非接触で測定できるものであれば特に限定されず、レーザ変位計を用いることができ、レーザドップラ振動計であることが好ましい。計測器13にレーザドップラ振動計を用いる場合、計測器13はレーザ(観察波131)を被照射体1に照射する。送波音波12が照射されて振動する被照射体1の表面で観察波131が反射されて計測器13の受光部(図示せず)で受光されることにより、計測器13は被照射体1の表面の振動速度を計測する。この観察波131は、接合部3を内包する被照射体1の振動状況を示す目的信号である。計測器13で得られた振動速度の計測データは解析装置151で解析するために用いられる。
計測器13には、1回の計測で被照射体1の表面の1点における振動計測が可能なシングルレーザタイプのレーザ振動計を用いることも可能であるが、スキャニングレーザタイプのレーザ振動計を用いることが好ましい。スキャニング振動計であるレーザドップラ振動計としては、具体的に、ポリテックジャパン社製のPSV−500−HやPSV−500Xtraが挙げられる。このレーザドップラ振動計は解析装置の一部および制御装置を含むものである。
解析装置151は、上述した解析処理を行うことができるものであれば特に限定されず、本実施形態の解析システム10を実現するプログラムが格納された汎用コンピュータを用いることができる。
ここで、解析処理に用いられる各部位の位相差を算出する際に基準となる接合部3上に予め定めた参照点(リファレンス)は、被照射体1の表面上に予め定められた特定の位置であり、且つ、その直下に接合部3が存在する可能性が高いと推定される位置(例えば、スポット溶接による接合であれば、そのスポット径の中心位置)であることが好ましい。
任意波形発生装置17は、制御装置152の指令によって所望の周波数の音波を音響発信源11から発生させる装置である。言い換えると、制御装置152は、音響発信源11から送波音波12が出力される時間関係を制御する手段である。任意波形発生装置17には、バースト波を発生可能な市販のファンクションジェネレータ等を用いることができる。任意波形発生装置17は、簡単のために手動で制御してもよく、または解析装置151側から制御するようにシステムを構成してもよい。アンプ19に用いられる機器は特に限定されず、例えば、市販のオーディオアンプを用いることができる。
制御装置152は、送波音波12を特定時刻に限局して音響発信源11から出力させる。解析装置151は、計測器13の計測結果のうち被照射体1が振動している時間帯を判定する。
計測器13の受光部(図示せず)には、被照射体1の表面で反射した観察波131のほか、音響発信源11が発する送波音波12の一部である直接音波121と、被照射体1の表面で送波音波12が反射した反射音波122とが入射する。直接音波121は音響発信源11から計測器13に直接に到達する送波音波12であり、反射音波122は被照射体1で反射して計測器13に到達する送波音波12である。
計測器13に入射する直接音波121および反射音波122は、計測器13を不要に振動させ、目的とする対象物(被照射体1)の振動を検出する感度を低下させる要因になりうる。また、直接音波121や反射音波122が被照射体1の周囲に存在する種々の部材(不図示)において反射することによって生じる多重反射波が計測器13に到達することも振動検出の感度を低下する要因になりうる。
従って、直接音波121、反射音波122および多重反射波の影響を低減させる対策を施して、被照射体1の振動計測を行うことが好ましい。なお、以下の説明において、このような対策を不要信号対策と称して、いくつか例示する。これらは本発明の実施において必ずしも適用されなくてもよく、本発明を実施する環境において許容される場合に適用すればよい。
不要信号対策として、解析システム10に所望の周波数特性を持つ周波数ゲートを適用してもよい。ここで周波数ゲートとは、一部の周波数帯域を選択的に抽出又は除去する処理である。具体的な周波数ゲートとしては、計測器13がバンドパスフィルタを備えてもよく、または解析装置151において周波数解析して振動速度の計測信号から不要信号を除去してもよい。
例えば、音響発信源11によって送出される送波音波の周波数範囲及びその近傍帯域を抽出する周波数ゲートを、解析システム10に適用してもよい。或いは、被照射体1の振動計測を繰り返し行うことにより不要信号の周波数帯域が経験的に定まる場合には、経験的に定められた当該周波数帯域を除去する周波数ゲートを用いてもよい。
音響発信源11から被照射体1の表面までの距離をdとし、計測器13から、被照射体1に対する観察波131の照射位置までの距離をdとする。送波音波12が音響発信源11より送出されてから被照射体1の表面で反射して計測器13に到達するまでの距離はd+dとなる。すなわち、送波音波12が音響発信源11より送出されてから被照射体1の表面に到達するまでの時間(以下、目標到達時間Tという場合がある)は、d/音速(Vs)となる。
なお、観察波131(レーザ)の速度は音速に比べて十分に高いため、被照射体1の表面の振動が開始する目標到達時間Tの直後から被照射体1の振動計測を行うことができる。
送波音波12はバースト波であり、所定の送波時間間隔Tごとに音響発信源11から送出される。各回の送波音波12(以下、バースト群という場合がある)の送波時間間隔Tは一定であることが好ましい。送波音波12はバースト波であるため、バースト群の一個あたりの時間長Taは送波時間間隔Tよりも当然短い。
また、音響発信源11が送波音波12を送出してから反射音波122が計測器13に入射するまでの反射到達時間Tは、(d+d)/音速(Vs)となる。
反射音波122が不要信号として計測器13に入射する反射到達時間Tの瞬間までに、計測器13が被照射体1の振動を検出できるようにバースト群の一個あたりの時間長Taを設定することにより、反射音波122の影響を低減させる不要信号対策になりうる。この場合、時間長Taは少なくとも反射到達時間Tより短くなる。
また、計測器13と音響発信源11との距離をdとする。音響発信源11より送出された送波音波12は、d/音速(Vs)の時間(以下、直接到達時間Tという場合がある)で直接音波121として計測器13に到達する。
計測器13が直接音波121による影響を受ける時間帯が、計測器13が被照射体1の振動計測を開始するタイミング(目標到達時間T)までに含まれるようにバースト群の一個あたりの時間長Taを設定することにより、直接音波121の影響を低減させる不要信号対策になりうる。この場合、直接到達時間Tと時間長Taとの合計が少なくとも目標到達時間T以下になる。
<送波音波の送信方法について>
以下、送波音波の送信方法について説明する。
本発明者は、解析システム10に好ましく適用可能な送波音波の送信方法を二通り確立している。
一つ目の送信方法は、周波数の異なる要素波形を送波音波として送波時間間隔Tごとに順次送信することによって、接合部3の解析に必要な周波数帯域をカバーする方法である。この送信方法では、十分な長さの送波時間間隔Tごとに送出される個々の送波音波において周波数は一定である。便宜上、この送信方法によって送信される送波音波をシングルトーンバースト波と呼ぶことにする。
二つ目の送信方法は、送波時間間隔Tごとに到来する1回の音波送信の際に1つの周波数だけでなく、複数の周波数を含む送波音波(バースト波)を送信することによって、接合部3の解析に必要な周波数帯域を1回の音波送信で複数の帯域にわたってカバーする方法である。便宜上、この送信方法によって送信される送波音波をマルチトーンバースト波と呼ぶことにする。
<解析システム10を用いた解析の実施例について>
以下、解析システム10を用いた解析の実施例について説明する。
図2は、本実施例で使用した被照射体1を示す図である。同図に示す被照射体1は、本発明を検証するために新たに製作したものであり、上面側に100ミリメートル角で厚さ1.2ミリメートルの鉄板である第一部材2が設けられており、下面側に300ミリメートル角で厚さ2.3ミリメートルの鉄板である第二部材4が設けられている。
被照射体1を製作するにあたって第一部材2より第二部材4を大きく且つ厚くした理由は、第一部材2の上面にシングルトーンバースト波を照射して加振した場合、第一部材2の振動は第二部材4にも伝播するが、この伝播した振動の影響を計測上無視できる程度に抑制するためである。
図2に示すように、第一部材2と第二部材4とは互いの中央付近においてスポット溶接を行ったことにより円痕部5が形成されている。
本検証のために、被照射体1の製作にあたって第一部材2と第二部材4とをスポット溶接する際に電流の大きさを変化させ、接合部3の状態(ナゲット径の大小)がそれぞれ異なる三種類の被照射体1が製作された。
以下の説明において、溶接時の電流が標準であるものを被照射体1B、溶接時の電流が標準より大きいものを被照射体1A、溶接時の電流が標準より小さいものを被照射体1C、と呼称する。なお、被照射体1A、被照射体1B及び被照射体1Cのいずれについても、中央付近に形成された円痕部5の径(スポット径)は外観上では約6ミリメートル程度になっている。
本実施例では、被照射体1の表面から音響発信源11までの距離dを約370ミリメートルとし、計測器13から被照射体1に対する観察波131の照射位置までの距離dを約650ミリメートルとして、被照射体1にシングルトーンバースト波を照射した。
図3(a)は、シングルトーンバースト波の送出方法を説明する説明図である。シングルトーンバースト波を送出する場合、接合部3の共振周波数を探すために、送波音波の周波数を音波送出毎に変化させていく(例えば、周波数SF1、周波数SF2、周波数SF3の順に変化させる)ことにより、必要な周波数帯域をカバーする。
図3(b)は、本実施例で被照射体1に照射したシングルトーンバースト波の波形を示す図である。縦軸は任意波形発生装置17が発生させる送波音波12の振幅であり、横軸は音響発信源11が送波音波12を発生させてからの時間である。
本実施例では、音響発信源11から音響出力される送波音波12の強度を、被照射体1の表面において90dBとなるように調整している。また、1回のシングルトーンバースト波の持続時間を3ミリ秒とし、各送波音波間のインターバル(送波時間間隔T)を50ミリ秒としている。周波数範囲を2kHzから5kHzとし、周波数変調インターバルを200Hzとすると16回の送波音波を送出する必要があるため、波形全体の時間は50ミリ秒×(16−1)回+3ミリ秒≒0.8秒である。この時間が1スキャンに要する送波音波の照射時間である。ここで、被照射体1のスキャンに用いられる周波数範囲をカバーする送波音波を測定点の1点に対して1回ずつ照射することをアベレージ1回と呼称する。被照射体1を解析するにあたっては、アベレージ回数は1回でも複数回でもよい。
図4は、被照射体1にシングルトーンバースト波を照射した場合に、円痕部5の範囲内の或る位置(以下の説明において、当該位置を溶接部上と称する)と、円痕部5の範囲外の近傍の或る位置(以下の説明において、当該位置を非溶接部上と称する)と、において計測された振動速度のタイムチャートである。図4に示す結果より、以下の二点が明らかになった。
一点目は、溶接部上でも振動が観測されるということである。これは接合部3の周辺がたわみ共振を起こした後に、接合部3にエネルギーが集中するために起こる現象であると考えられる。そのため、単純に接合部3の周辺における振動エネルギーを用いて接合部3について解析しても、接合部3の抽出が困難になることが判明した。
二点目は、振動速度のタイムチャートの波形には、溶接部上の動きと溶接部上の近傍付近の動きに明らかな時間差(位相差)が生じているということである。すなわち、この位相差に係る現象に着目した手法を用いて、被照射体1に内包されている接合部3を特定し、接合部3の健全性を評価するといった解析処理が実現可能であることが判明した。
図4からは、溶接部上の振動振幅が非溶接部上の振動振幅より小さいことも見てとれるが、音波(超音波を含む)による計測において、振動振幅は伝搬媒質による変動が大きいステータスである。より多様な計測条件又は計測環境にも対応できる解析システム10を開発する目的に鑑み、円痕部5の中心を参照点とした振動速度波形の位相差に着目して、接合部3を解析することを検討する。
各測定点における位相(θ)と、各測定点の振動速度波形に対してフーリエ変換を行うことによって得られる実部(R)と虚部(I)の関係は下式(1)のように表すことができる。
(数1)
位相θ=atan(虚部I/実部R) ・・・(1)
円痕部5の近傍周辺の範囲(図2に図示する計測範囲6)に限定し、より詳細に振動振幅を計測した場合の計測を行った。図2に示すように計測範囲6は、円痕部5を中心とした36.5ミリメートル×12.5ミリメートルの方形領域である。なお、この詳細測定においてはシングルトーンバースト波の周波数範囲は3kHzから4kHzとし、周波数インターバルは100Hzとし、シングルトーンバースト波の持続時間は5ミリ秒とし、各送波音波間のインターバル(送波時間間隔T)は20ミリ秒とした。
被照射体1A、被照射体1B及び被照射体1Cのそれぞれについて、上記の条件で詳細測定を同様に行い、円痕部5の中心を参照点とした振動速度波形の位相差を計測範囲6の範囲内で映像化する画像化処理を行った。
ここで画像化処理とは、解析装置151によって行われる情報処理であって、具体的には、計測範囲6に含まれる測定点(被照射体1の表面の部位)ごとに得られた位相差を、各部位を座標位置とする平面画像に描画し、得られた平面画像を出力する処理である。平面画像の出力は、コンピュータ15の表示部153に表示出力することであってもよいし、不図示の印刷装置から印刷出力することであってもよいし、不図示の外部装置に外部出力することであってもよい。
被照射体1Bの計測結果を描画した平面画像P2(図5(a)参照)と、実際に円痕部5を撮影した撮影画像P4(図5(b)参照)と、の比較を、図5に示す。また、上記の画像化処理によって出力された平面画像を、図6に示す。図6に示す3つの平面画像P1(図6(a)参照)、平面画像P2(図6(b)参照)、平面画像P3(図6(c)参照)は、それぞれ被照射体1A、被照射体1B、被照射体1Cに係る測定結果を描画したものである。即ち、図5の平面画像P2と図6の平面画像P2とは同じ平面画像である。
なお、図5及び図6に示す平面画像では、各測定点における位相差の大小を画像の濃淡によって表しており、濃い部分ほど位相差が小さく、淡い部分ほど位相差が大きくなっている。なお、視認容易とするため、位相差のスケール範囲を0(零)度から10度までとしており、10度を超える位相差については10度に対応する濃度と同じ濃度で表している。
図5に示すように、平面画像P2の中央付近に形成されている位相差が低い島状の部分(例えば、3度以下の部分)は、撮影画像P4に撮影されている円痕部5の大きさよりもやや大きめではあるものの、円痕部5が存在する位置とほぼ同じ位置に形成されていることがわかる。
図6に示す平面画像から、スポット溶接時に流した電流値に比例して、各平面画像において位相差が低い部分の面積が変化することが明らかである。
また、被照射体1Aや被照射体1Bに対応する平面画像に示すように、スポット溶接時の電流が標準以上である場合には位相差が低い部分が連続的(一塊)に形成される傾向であるのに対して、被照射体1Cに対応する平面画像に示すように、スポット溶接時の電流が標準より小さい場合には位相差が低い部分が離散的に形成される傾向であることが明らかになった。
上記のように、画像化処理によって平面画像を得ることにより、接合部3の大きさや形状を目視確認することができる。
通常の製造現場においてスポット溶接の健全性は、該当箇所を破壊して溶接部(ナゲット)を露わにし、その大きさを測定することをもって判定しているが、上記の画像化処理によって得られた平面画像の目視確認に代替することにより同様の判定を非破壊的に行うことが期待できる。
<接合部3の境界(エッジ)の推定方法について>
上記の画像化処理によって得られる平面画像を用いた目視確認でも接合部3の存在位置や大きさ等を推定することは可能であるが、その推定の精度や検査業務の効率性を向上させる観点から解析装置151による解析処理によって機械的に判定できることが好ましい。以下、接合部3の境界の推定方法の一具体例について説明する。
なお、以下に説明する推定方法は、検査における制約の少なさや検査業務の効率の観点から、円痕部5上を通る1ライン上における位相差の変化に基づき接合部3の境界を推定可能な方法について検討した結果である。同様の推定方法を、円痕部5上を通る複数ラインに用いることによって、推定精度の向上を図ったり、接合部3の平面形状を推定したりできることについては、言うまでもない。
図7は、円痕部5上を通る特定の線分(ラインL1)における計測例を示す図である。
本実施例では、解析装置151は、位相差を計算する参照点を円痕部5の略中心に設定し、ラインL1上の部位ごとに位相差を算出しているために、図7に示すように、中心部付近において算出された位相差は0(零)に近しく略均一な値になっている。一方で、円痕部5の中心部から外れた領域における位相差は中心部から離間するほど大きくなる傾向が見られる。
このように、円痕部5の中心部付近とそれから外れた領域とでは、分散値の傾向が相違するためAIC(Akaike Information Criterion)法を用いて接合部3の境界を推定することも考えられるが、実際には円痕部5に含まれる計測点数(本実施例では約30点)が少ないため、AIC法では良好な結果が得られない。
そこで、本実施例では少ない計測点数でも分散値の変化が明確に検出できるように、短区間の分散値積(Variance Product of Short sections)による推定方法を新たに検討した。
図8に、データ番号kを基準とした前後の短い区間幅(w)の分散値の概念図を示す。ここで、ラインL1の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における位相差の分散値を第1分散値と呼称する。また、ラインL1の一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における位相差の分散値を第2分散値と呼称する。
次に、図9に、本実施例における推定方法の概念図を示す。なお、図9に示す計測結果は、ラインL1上をアベレージ1回でスキャンして計測したものである。
ここでk=25、w=10とした場合、15番目から25番目の短区間UN1における分散値(第1分散値)と、25番目から35番目の短区間UP1における分散値(第2分散値)と、を比較すると、双方ともに1を超える値になっている。このような場合、短区間UN1及び短区間UP1は共に円痕部5の中心部から外れた領域であり、25番目の測位点には接合部3が存在しないものと推定することができる。
また、k=78、w=10とした場合、68番目から78番目の短区間UN2における分散値(第1分散値)と、78番目から88番目の短区間UP2における分散値(第2分散値)と、を比較すると、短区間UN2における分散値については1を超えているが、短区間UP2における分散値については1を下回る。このような場合、短区間UN2が円痕部5の中心部から外れた領域であって短区間UP2が円痕部5の中心部付近であり、78番目の測位点には接合部3が存在するものと推定することができる。
本実施例における推定方法では、各短区間における分散値(第1分散値と第2分散値)に係る閾値を1と定めて接合部3が存在の有無を判定しているので、解析装置151は、第1分散値に係る対数と第2分散値に係る対数との積(以下、分散値積と称する)を求め、求めた分散値積が負である場合の少なくとも一部において、k番目の部位を接合部3の境界を推定する解析処理を実行することができる。ここで分散値積は、下式(2)によって求めることができる。なお、下式(2)においてvar(X[k-w,k])は第1分散値であり、var(X[k,k+w])は第2分散値である。
(数2)
VPSk(w)=log{var(X[k-w,k])} * log{var(X[k,k+w])} ・・・(2)
データ番号が1番目からn番目までの分散値var(X[1,n])は、平均値をmとしたときには下式(3)で定義される。なお、下式(3)によって分散値var(X[1,n])を求める処理には、例えば(X1-m)から(Xn-m)までの各項を所定の代表値で除して無次元化することにより、無次元化した値を分散値に係る閾値のスケールに合わせる処理等が追加されてもよい。
(数3)
var(X[1,n])={(X1-m)2+(X2-m)2+・・・+(Xn-m)2}/n ・・・(3)
上式(2)に対して代入可能なkの最小値kmin(本実施例ではkmin=w=10)から順次代入して、ラインL1上の各部位について分散値積を算出していくと、接合部3の境目(エッジ)付近においてデータ番号が小さい側の分散値(第1分散値)が1を超えておりデータ番号が大きい側の分散値(第2分散値)が1を下回るので、分散値積が負の値に変化する。このような変化が見られた場合のk番目の測定点、即ち算出された分散値積が負である部位のうちkが最小である部位を、一端側の接合部3の境界として推定することができる。
次に、上式(2)に対して代入可能なkの最大値kmax(本実施例ではkmax=180−w=170)から順次代入して、ラインL1上の各部位について分散値積を算出していくと、接合部3の境目(エッジ)付近においてデータ番号が小さい側の分散値(第1分散値)が1を下回りデータ番号が大きい側の分散値(第2分散値)1を超えるので、分散値積が負の値に変化する。このような変化が見られた場合のk番目の測定点、即ち算出された分散値積が負である部位のうちkが最大である部位を、当該一端の他端側の接合部3の境界として推定する。
一方、AIC法では上記のような変化は起きない。分散値積を算出することにより極性が保存されて、より明確にエッジ部分を推定することができる。
ところで、分散値積に基づく接合部3のエッジ部分の推定方法は、上記の推定方法に限られない。
図10に、被照射体1の計測範囲6に含まれるラインL2とラインL3における各部位の位相差と、各部位における位相差の分散値積と、を比較した説明図を示す。なお、図10(a)がラインL2に係る計測結果に基づくものであり、ラインL2は被照射体1Aに形成された円痕部5上の線分である。また、図10(b)がラインL3に係る計測結果に基づくものであり、ラインL3は被照射体1Cに形成された円痕部5上の線分である。
なお、図10においてプロットされている分散値積は、そのデータ番号をkとした場合における第1分散値と第2分散値の積である。
図10に示すように、ラインL2及びラインL3における各部位の位相差は、その中心部分、即ち参照点近傍の局所領域において0(零)に近しく略均一な値になっている。また、ラインL2及びラインL3における各部位の分散値積は、参照点近傍の局所領域において負の値を示し且つ極小値を示す部位が二つ存在すると共に、これらの部位の中心部分において正の値を示し且つ極大値を示す部位が一つ存在する。この現象は、各ラインの中心部分においては、第1分散値と第2分散値とが共に負の値となり、分散値積が正の値に変化することに起因する。
解析装置151は、これらの極小値を示す部位を各ライン上に存在する接合部3の境界として推定することもできる。言い換えれば、解析装置151は、特定の線分上の各部位について分散値積を算出し、算出された分散値積が負である部位のうち、分散値積が参照点近傍の局所領域における極小値である部位を、接合部3の境界として推定してもよい。
或いは、解析装置151は、第1分散値と第2分散値とが共に負の値になる部位を、接合部3が存在する部位(接合部3の境界の間)と推定してもよい。
この推定方法によれば、微妙な位相変化を捉えて接合部3(ナゲット)の径を推定することができる。
ここで述べた推定方法によって接合部3のエッジを推定した場合、ラインL2に関する計測結果によれば、極小値を示すデータ番号82と97に対応する部位が接合部3のエッジとして推定される。また、ラインL3に関する計測結果によれば、極小値を示すデータ番号85と95に対応する部位が接合部3のエッジとして推定される。
このように、本推定方法によって推定される接合部3の径と、スポット溶接時の電流の大小と、が正の相関関係にあることがわかる。
上述した推定方法のいずれも、接合部3のエッジ間における計測点数が少ない場合、たとえば百未満であったとしても、良好な推定結果を導くことができる。ここで接合部3のエッジ間における計測点数とは、解析装置151による推定上のエッジ間の計測点数、言い換えれば、解析装置151によって推定される接合部3の境界の間に含まれる部位の点数である。
なお、解析装置151に上述した推定方法に基づく解析処理を行わせる場合に、計測範囲6の範囲内で計測された全ての計測データを用いる必要はなく、接合部3から明らかに外れた部位の計測データを除外する等の設定を検査作業員が適宜設定できてもよい。
本発明に係る解析システム10は送波音波で加振して、レーザで振動を計測する方法であるため、非接触かつ非破壊的に計測できるという利点を本質的に持っている。同じく非接触の方法である赤外線を用いた手法と比較すると、加熱する必要がないために周囲の環境条件に影響されにくいという利点を持っている。さらに加熱用のランプ交換等も必要としないために、導入後のランニングコスト面でも有利であると思われる。
或いは、三次元開口合成を用いたフェーズドアレイ型の超音波検査装置も市販されているが、計測時にはあくまでも対象部に接触する必要があるという欠点があるため、オフラインの抽出検査程度にしか使用されていないというのが実情である。
本発明に係る解析システム10であれば、環境条件の変化にも対応可能であり、且つ、非接触で接合部の健全性を検査可能であるため、様々な分野のインラインで使用されることが期待できる。
<本発明の変形例について>
ここまで図1から図10を用いて説明される実施例に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上記の実施例では、シングルトーンバースト波を用いた計測を解析システム10に適用して説明したが、マルチトーンバースト波を用いた測定に代えてもよい。
マルチトーンバースト波を用いた場合、1回の音波送信の際に複数の周波数を含む送波音波を送信するため、計測に必要な周波数範囲のすべてを網羅するために要する音波送出の回数がシングルトーンバースト波を用いる場合に比べて低減するため、計測速度が向上することが見込まれる。
上記の実施例では、被照射体1に内包される接合部3の内部領域と外部領域との境界を推定する解析システム10及び解析装置151について述べたが、本発明によって解析される被検体はこの例に限られない。
例えば、空隙を内包する被検体について当該空隙とその周辺領域との境界を推定する解析処理に本発明が応用されてもよい。或いは、特定の液体が浸透している領域(染み)を内包する被検体について当該領域とその周辺領域との境界を推定する解析処理に本発明が応用されてもよい。
本実施形態は以下の(イ)と(ロ)の技術思想を包含するものである。
(イ)振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体について、前記第一領域と前記第二領域との境界を解析する解析装置であって、
前記被検体の表面に与えられた振動の振動速度に係る波形の位相を、前記表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、
求められた各部位における位相と前記第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、
前記特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における前記位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び前記一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における前記位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])を算出し、
算出された前記第1分散値及び前記第2分散値のうち一方が所定値を超えており他方が前記所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定することを特徴とする解析装置。
(ロ)振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体の表面を加振する加振源と、前記被検体の前記表面の振動速度を計測する計測器と、前記計測器による計測に基づいて前記第一領域と前記第二領域との境界を解析する解析装置と、を有している解析システムであって、
前記解析装置は、
前記計測器によって計測された振動速度に係る波形の位相を、前記表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、
求められた各部位における位相と前記第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、
前記特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における前記位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び前記一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における前記位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])を算出し、
算出された前記第1分散値及び前記第2分散値のうち一方が所定値を超えており他方が前記所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定することを特徴とする解析システム。
1 被照射体
2 第一部材
3 接合部
4 第二部材
5 円痕部
6 計測範囲
10 解析システム
11 音響発信源
12 送波音波
12a〜12c 目的信号
13 計測器
15 コンピュータ
17 任意波形発生装置
19 アンプ
121 直接音波
122 反射音波
131 観察波
151 解析装置
152 制御装置
153 表示部

Claims (7)

  1. 互いに隣接しており且つ振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体について、前記第一領域と前記第二領域との境界を解析する解析装置であって、
    前記被検体の表面に与えられた振動の振動速度に係る波形の位相を、前記表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、
    求められた各部位における位相と前記第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、
    前記特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における前記位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び前記一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における前記位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])を算出し、
    算出された前記第1分散値及び前記第2分散値のうち一方が所定値を超えており他方が前記所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定することを特徴とする解析装置。
  2. 前記所定値は1と定められており、
    前記解析装置は、前記第1分散値に係る対数と前記第2分散値に係る対数との積である分散値積が負である場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定する請求項1に記載の解析装置。
  3. 前記解析装置は、
    前記特定の線分上の各部位について前記分散値積を算出し、
    算出された前記分散値積が負である部位のうちkが最小である部位を、前記一端側の前記境界として推定し、
    算出された前記分散値積が負である部位のうちkが最大である部位を、前記一端の他端側の前記境界として推定する請求項2に記載の解析装置。
  4. 前記解析装置は、
    前記特定の線分上の各部位について前記分散値積を算出し、
    算出された前記分散値積が負である部位のうち、前記分散値積が前記参照点近傍の局所領域における極小値である部位を、前記境界として推定する請求項2に記載の解析装置。
  5. 前記解析装置によって推定される前記境界の間に含まれる部位の点数が、百未満である請求項1から4のいずれか一項に記載の解析装置。
  6. 互いに隣接しており且つ振動特性が異なる第一領域と第二領域とを含む被検体の表面を加振する加振源と、前記被検体の前記表面の振動速度を計測する計測器と、前記計測器による計測に基づいて前記第一領域と前記第二領域との境界を解析する解析装置と、を有している解析システムであって、
    前記解析装置は、
    前記計測器によって計測された振動速度に係る波形の位相を、前記表面に含まれる特定の線分上の部位ごとに求め、
    求められた各部位における位相と前記第一領域上に予め定めた参照点における位相との位相差を算出し、
    前記特定の線分の一端を基準として(k−w)番目からk番目までの部位における前記位相差の分散値である第1分散値(var(X[k−w,k])及び前記一端を基準としてk番目から(k+w)番目までの部位における前記位相差の分散値である第2分散値(var(X[k,k+w])を算出し、
    算出された前記第1分散値及び前記第2分散値のうち一方が所定値を超えており他方が前記所定値を下回る場合の少なくとも一部において、k番目の部位を前記境界として推定することを特徴とする解析システム。
  7. 前記被検体は、複数の部材を溶接、溶着又は接着することによって接合されている接合部を内部に含んでおり、
    前記解析装置は、前記接合部の内部領域と外部領域との境界を解析する請求項6に記載の解析システム。
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