JP4328420B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、より詳細には、低温衝撃性を必要とする各種成形物を得るために有用な熱可塑性樹脂組成物、及び該熱可塑性樹脂からなる成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂からなる成形品の低温衝撃性を高める方法として、熱可塑性樹脂に各種エラストマー(ゴム成分)をブレンドする方法や可塑剤を添加する方法、あるいはその両者を組み合わせた方法などが知られている。また、コストを問わない場合には、熱可塑性エラストマーを用いることもある。
【0003】
例えば、特公平6−45748号公報には、ポリアミドの低温における衝撃強度を向上させる目的で、ポリアミドに、α,β−不飽和カルボン酸又はその酸誘導体でグラフト変性されたグラフト変性エチレン・α−オレフィンランダム共重合体と、低分子量のエチレン系共重合体にα,β−不飽和カルボン酸又はその酸誘導体をグラフト重合させた低分子量変性エチレン系ランダム共重合体とを添加したポリアミド組成物が開示されている。また、特開昭60−156747号公報及び特開平1−272659号公報には、ポリエステルにグラフト変性ポリオレフィンを添加して衝撃強度を向上させた樹脂組成物が開示されている。
【0004】
しかし、これらの改良を施した場合でも、用途によっては低温下での衝撃強度が十分でない場合がある。このような場合、当業者は各種エラストマーを多量に用いたり、可塑剤を樹脂に相溶する限界まで添加して対処するが、エラストマーを多量に用いると、強度(引張り強度、曲げ強度等)、耐熱性、耐薬品性などの諸特性の低下を招きやすく、可塑剤を多量に添加すると、可塑剤がブリードするという問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、熱可塑性樹脂が本来有する他の優れた物性を損なうことなく、低温衝撃性を大幅に改良できる熱可塑性樹脂組成物、及び該熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に変性ポリオレフィンに加えて、さらにグリコール又はその誘導体を混合すると、熱可塑性樹脂に変性ポリオレフィンを添加した場合と比較して、熱可塑性樹脂の諸特性(例えば、引張り特性、曲げ特性、耐熱特性など)を損なうことなく、低温下における衝撃性を大幅に改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(A)ポリアミドと、(B)前記ポリアミド100重量部に対して2〜60重量部のエポキシ変性、酸無水物変性若しくはカルボン酸変性されたエチレン・α−オレフィン共重合体又はプロピレン・α−オレフィン共重合体と、(C)前記ポリアミド100重量部に対して0.1〜8重量部の下記式(1a)
【化1】
(式中、R 1 及びR 2 は水素原子を示し、A 1 、A 2 及びA 3 は、同一又は異なって、炭素数2〜6のアルキレン基を示し、l、m及びnは、同一又は異なって、0以上の整数を示す。但し、l+m+nは10〜5000の整数である)
で表される化合物とからなる熱可塑性樹脂組成物を提供する。
本発明は、また、上記の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品を提供する。
なお、本明細書では、熱可塑性樹脂と変性ポリオレフィンとグリコール又はその誘導体とからなる熱可塑性樹脂組成物及び該熱可塑性樹脂組成物からなる成形品についても説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と変性ポリオレフィンとグリコール又はその誘導体とで構成されている。
前記熱可塑性樹脂には広範なものが含まれる。代表的な熱可塑性樹脂として、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル樹脂など、及びこれらの樹脂を含むポリマーアロイが例示できる。これらの中でも、ポリアミド、ポリエステルなどが好ましい。
【0008】
ポリアミドとしては、特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン、m−又はp−キシリレンジアミンなどの脂肪族、脂環式、芳香族等のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環式、芳香族等のジカルボン酸との重縮合により得られるポリアミド;ε−アミノカルボン酸、11−アミノウンデカン酸等のアミノカルボン酸の縮合によって得られるポリアミド;ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムから得られるポリアミド;又は前記成分からなる共重合ポリアミド;これらのポリアミドの混合物等が例示される。
【0009】
より具体的には、ポリアミドとして、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、芳香族ポリアミド、脂環式ポリアミドなどが挙げられる。また、ポリアミドには、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12などのポリアミドからなるハードセグメントと、ポリエーテル成分などからなるソフトセグメントとを有するマルチブロック共重合体なども含まれる。
【0010】
ポリエステルとしては、特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの脂肪族、脂環式、芳香族等のジヒドロキシ化合物と、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族、脂環式、芳香族等のジカルボン酸との重縮合によって得られるポリエステル;前記成分からなる共重合ポリエステル;これらのポリエステルの混合物等が例示できる。
【0011】
ポリカーボネートとしては、例えば、ビスフェノールAなどのジヒドロキシ化合物と、ホスゲン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとの反応により得られるポリカーボネート等が例示される。ポリアセタールには、ホルムアルデヒドの重合により得られるホモポリマー、トリオキサンと環状エーテルとを環状重合させて得られるコポリマーなどが含まれる。ポリフェニレンエーテルには、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキサイド)を主成分とするポリマー、及び変性ポリフェニレンエーテルなどが含まれる。オレフィン系樹脂には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類、オレフィン系共重合体などが含まれる。スチレン系樹脂には、ポリスチレン;及びABS樹脂、AXS樹脂などのスチレン系共重合体などが含まれる。
【0012】
前記変性ポリオレフィンには、エポキシ変性ポリオレフィン、酸無水物変性ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィンなどのグラフト変性ポリオレフィンなどが含まれる。これらのグラフト変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンに、該ポリオレフィンに対してグラフト化可能な不飽和化合物をグラフト重合させることにより得られる。
【0013】
前記変性ポリオレフィンの基体となるポリオレフィン(未変性ポリオレフィン)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどの炭素数2〜20程度のα−オレフィン等の単独重合体又は共重合体が挙げられる。該ポリオレフィンは、その特性を損なわない範囲内で、例えば、ジエン化合物から誘導される構成単位等、α−オレフィンから誘導される構成単位以外の構成単位を含んでいてもよい。
【0014】
好ましい基体ポリオレフィンには、エチレンを主体とするエチレン・α−オレフィン共重合体、及びプロピレンを主体とするプロピレン・α−オレフィン共重合体などが含まれる。
【0015】
前記エチレン・α−オレフィン共重合体において、エチレンとα−オレフィンとのモル比は、前者/後者=10/90〜99/1、好ましくは50/50〜95/5程度である。エチレン・α−オレフィン共重合体の代表的な例として、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体などが挙げられる。また、前記プロピレン・α−オレフィン共重合体において、プロピレンとα−オレフィンとのモル比は、前者/後者=50/50〜95/5程度である。プロピレン・α−オレフィン共重合体の代表的な例として、プロピレン・1−ブテン共重合体などが挙げられる。
【0016】
基体ポリオレフィンとして、例えばエチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合、そのメルトフローレート(190℃)は、0.1〜50g/10分程度、密度は0.850〜0.900g/cm3程度であり、X線による結晶化度は40%程度以下である。
【0017】
前記ポリオレフィンをグラフト変性する際に使用する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を有する不飽和化合物;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,5−ジカルボン酸(ナジック酸)、メチル−エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,5−ジカルボン酸(メチルナジック酸)などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸などの不飽和カルボン酸無水物;前記不飽和カルボン酸の酸ハライド化合物、イミド化合物、エステル化合物などの不飽和カルボン酸誘導体などが挙げられる。
【0018】
これらのグラフト変性剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのグラフト変性剤の中でも、不飽和カルボン酸無水物を使用することが好ましく、無水マレイン酸又は無水ナジック酸が特に好ましい。
【0019】
グラフト重合は、未変性のポリオレフィンを溶媒に懸濁又は溶解させ、この懸濁液又は溶液に前記グラフト変性剤を添加してグラフト反応させる方法、未変性のポリオレフィンとグラフト変性剤との混合物を溶融させながらグラフト反応させる方法等により行うことができる。前記グラフト変性剤の使用量は、反応性等を考慮して適宜設定できるが、一般には、未変性ポリオレフィン100重量部に対して1〜10重量部程度である。グラフト反応を行う際には、ラジカル開始剤を用いることができる。ラジカル開始剤としては、例えば、有機ペルオキシド、有機ペルエステル、アゾ化合物などの公知のラジカル開始剤を使用できる。
【0020】
グラフト変性ポリオレフィンにおけるグラフト量は、未変性ポリオレフィンに対するグラフト変性剤の割合として、例えば0.01〜10重量%程度、好ましくは0.1〜5重量%程度である。
【0021】
グラフト変性ポリオレフィンのX線による結晶化度は、例えば40%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下であり、メルトフローレート(190℃)は、例えば0.1〜50g/10分程度、好ましくは0.2〜20g/10分程度であり、密度は0.82〜0.96g/cm3程度、好ましくは0.84〜0.92g/cm3程度である。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記変性ポリオレフィンの量は、熱可塑性樹脂の諸特性を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.5〜100重量部程度、好ましくは2〜60重量部、さらに好ましくは5〜40重量部、特に10〜30重量部程度である。変性ポリオレフィンの量が多すぎると、熱可塑性樹脂が本来有している強度や耐熱性などの特性を低下させるおそれがあり、逆に少なすぎると低温での耐衝撃性がさほど改善されない傾向となる。変性ポリオレフィンは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0023】
前記グリコール又はその誘導体には、例えば、下記式(1)
【化2】
(式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基又はアシル基を示し、A1、A2及びA3は、同一又は異なって、炭素数2以上のアルキレン基を示し、l、m及びnは、同一又は異なって、0以上の整数を示す。但し、l+m+n>0である)
で表される化合物が含まれる。
【0024】
R1、R2におけるアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1〜6程度のアルキル基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4程度のアルキル基が好ましく、特にメチル基又はエチル基が好ましい。
R1、R2におけるアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ベンゾイル基などの炭素数2〜8程度の脂肪族、脂環式又は芳香族アシル基などが挙げられる。
R1及びR2のうち、少なくとも一方は水素原子であるのが好ましく、特に、R1及びR2が何れも水素原子であるのが好ましい。
【0025】
A1、A2、A3における炭素数2以上のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、ヘキサメチレン基などの炭素数2〜6程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。
【0026】
l+m+nは1以上の整数であり、好ましくは1〜30000程度、さらに好ましくは10〜5000程度、特に好ましくは20〜1000程度である。
【0027】
上記式(1)で表される化合物の代表的な例として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオールなどのアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(以下、これらを単に「ポリエチレングリコール」と総称することがある)、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(以下、これらを単に「ポリプロピレングリコール」と総称することがある)、ポリテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンテトラメチレングリコール(PPTG)(ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレンブロックコポリマー)などのポリアルキレングリコール(コポリマーを含む);及びこれらのモノアルキルエーテル、ジアルキルエーテル、モノアシル体、ジアシル体、モノアルキルエーテルモノアシル体などが挙げられる。
【0028】
これらのグリコール又はその誘導体は単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。好ましいグリコール又はその誘導体は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンテトラメチレングリコール(PPTG)などのポリアルキレングリコール(コポリマーを含む)である。ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、例えば30〜1000000程度、好ましくは60〜100000程度、さらに好ましくは120〜50000程度である。
【0029】
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、前記グリコール又はその誘導体の量は、熱可塑性樹脂の諸特性を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部程度、好ましくは0.1〜8重量部、さらに好ましくは0.5〜6重量部程度である。グリコール又はその誘導体の量が多すぎると、樹脂からこれらがブリードアウトを起こしたり、またすべて樹脂に取り込まれた場合でも、熱可塑性樹脂が本来有している強度や耐熱性などの特性を低下するおそれがあり、逆に少なすぎると低温での耐衝撃性がさほど改善されない傾向となる。
【0030】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、可塑剤を添加してもよい。可塑剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤;ポリエステル系可塑剤;エポキシ系可塑剤;無水ヒドロフタル酸エステル系可塑剤;ブチルベンジルフタレート、ジラウリルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブトキシエチル)アジペート、ジ(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジオクチルセパケート、ジブチルセパケート、クエン酸アセチルトリエチル、ジ(2−エチルヘキシル)マレエート、ジブチルマレエート、ジブチルフマレート、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルなどのエステル系可塑剤;ステアリン酸系可塑剤;トリメリット酸系可塑剤;ベンゼンスルホン酸ブチルアミドなどの芳香族スルホンアミド系可塑剤;ゴム用可塑剤;塩化パラフィンなどが挙げられる。これらは、熱可塑性樹脂の種類に応じて、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。例えば、熱可塑性樹脂としてポリアミドを用いる場合には、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルなどの安息香酸エステル系可塑剤や、ベンゼンスルホン酸ブチルアミドなどの芳香族スルホンアミド系可塑剤などが好ましい。
【0031】
可塑剤の添加量は、使用する熱可塑性樹脂の種類や所望する曲げ弾性率等の物性値などによって異なるが、通常、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜20重量部である。
【0032】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、ベースポリマー(熱可塑性樹脂)の柔軟性を調節する目的で、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリエステルエラストマーなどのエラストマー成分を配合してもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、低温衝撃性を損なわない範囲で、他の添加剤、例えば、無機質フィラー、グラファイト、ガラス繊維、金属繊維、複素繊維、石膏繊維、セラミック繊維、カップリング剤、熱安定剤、耐候安定剤、離型剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤などを添加してもよい。
【0033】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と変性ポリオレフィンとグリコール又はその誘導体、及び必要に応じて可塑剤、他の樹脂、添加剤等とを混合して溶融することにより調製することができる。上記各成分の混合には、慣用の混合機、押出機、ニーダーなどの混練機等を用いることができる。
【0034】
上記のようにして調製した熱可塑性樹脂組成物を用いて、通常の溶融成形法、例えば圧縮成形法、射出成形法、押出し成形法などを利用することにより、所望の形状の成形品を得ることができる。こうして得られる成形品の代表的な例として、シャトルコックなどのスポーツ用品、靴、チューブ、ホース、ギヤなどの自動車又は機械用部品、電気器具部品などが挙げられる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂の本来有する優れた物性を損なうことなく、低温における衝撃強度を著しく向上させることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0037】
実施例1
ポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部、変性ポリオレフィン(商品名「タフマーMH5010」、三井化学(株)製)20重量部、酸化防止剤(商品名「イルガノックス1098」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)0.5重量部、カーボンブラック0.5重量部、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル(可塑剤)(上野製薬(株)製)10重量部、及びポリプロピレングリコール(ナカライテスク(株)製試薬)3重量部を、二軸押出し機を用いてコンパウンド化し、これを射出成形機を用いて、温度280℃で射出成形することにより、試験片[ASTM規格の引張りダンベル(ASTM D 638準拠)、曲げダンベル(ASTM D 790準拠)、IZOD衝撃試験ダンベル(ノッチ付き)(ASTM D 256準拠)]を作製した。
【0038】
実施例2
ポリアミド12(商品名「ダイアミド」、ダイセル・ヒュルス(株)製)100重量部、変性ポリオレフィン(商品名「タフマーMH5010」、三井化学(株)製)20重量部、酸化防止剤(商品名「イルガノックス1098」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製)0.5重量部、カーボンブラック0.5重量部、p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル(可塑剤)(上野製薬(株)製)10重量部、及びポリプロピレンテトラメチレングリコール(商品名「PPTG−1000」、保土谷化学工業(株)製)3重量部を、二軸押出し機を用いてコンパウンド化し、これを射出成形機を用いて、温度280℃で射出成形することにより、試験片[ASTM規格の引張りダンベル(ASTM D 638準拠)、曲げダンベル(ASTM D 790準拠)、IZOD衝撃試験ダンベル(ノッチ付き)(ASTM D 256準拠)]を作製した。
【0039】
比較例1
変性ポリオレフィンを添加しなかった点以外は実施例1と同様の操作を行い、試験片を作製した。
【0040】
比較例2
ポリプロピレングリコールを添加しなかった点以外は実施例1と同様の操作を行い、試験片を作製した。
【0041】
比較例3
変性ポリオレフィン及びポリプロピレングリコールを添加しなかった点以外は実施例1と同様の操作を行い、試験片を作製した。
【0042】
評価試験
実施例及び比較例で得られた試験片について、23℃×50%RHにおける引張り特性(ASTM D 638に準拠)、曲げ特性(ASTM D 790に準拠)、及び23℃、0℃、−20℃、−40℃におけるIZOD(アイゾット)衝撃強度(ASTM D 256に準拠)を測定した。その結果を表1に示す。
【表1】
Claims (2)
- 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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1999
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